JP2822801B2 - 車両用通信装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、光信号を用いて車両等
における通信を行う車両用通信装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の車両用通信装置は、車両と車両
との間の通信を行う車々間通信や車両と道路に設けられ
ている通信装置との間の通信を行う路車間通信等を行う
ために利用される。

【０００３】図４は、このような車両用通信装置の車々
間通信を行うシステムの説明図である。同図において、
中央を走行している車両５１、該車両の前後を走行して
いる先行車５３および後続車５５は、それぞれ車両の前
後部に送光器５７および受光器５９を有し、これらの送
光器５７および受光器５９を介して互いに光通信を行っ
ている。送光器５７は半導体ＩＲ（赤外線）レーザで構
成され、例えば車両情報、メッセージ等を暗号化して送
信する。この送信された光信号は受光器５９で受光さ
れ、デコーダで解読され、例えば表示装置に表示された
り、車両の制御系信号として利用される。

【０００４】図５は、図４に使用されている受光器５７
の内部構成を分解図として示しているものであり、この
受光器は送光器から送信されるＩＲ光信号のうちを特定
波長のみを透過するバンドパスフィルタ６１、該バンド
パスフィルタ６１を透過したＩＲ光信号のうち特定角度
からの光信号のみを透過するハニカムフィルタ６３、該
ハニカムフィルタ６３を透過した光信号を均一に拡散す
る拡散板６５、該拡散板６５で均一に拡散された光信号
を受光する半導体受光素子６７で構成されている。そし
て、この半導体受光素子６７からの出力信号はデコーダ
６９で解読され、表示装置７１に表示されるようになっ
ている。

【０００５】図６は、路車間通信を行う従来の車両用通
信装置の一例を示す説明図である。同図において、道路
には例えば交通の最適化制御を行う交通制御コンピュー
タ７３および該コンピュータ７３に接続され、後述する
ようにビーコントランスミッタおよびビーコンレシーバ
からなるビーコンヘッドを構成しているサインポスト７
５が設けられ、該サインポスト７５は車両７７に設けら
れた送受光器７９と通信を行うようになっている。この
場合の通信情報としては、例えば交通情報や天気情報等
がある。更に具体的には、例えば道路が混雑している時
には、廻り道等の誘導を行う情報を送信したり、または
道路の制限速度や高速道路や駐車場の混雑状況等を送信
する。なお、車両７７にはこの送受光器７９に接続され
て、信号処理装置８１、地磁気センサ８３、オドメータ
またはスピードメータ８５等が接続されている。

【０００６】図７は、図６に示した車両用通信装置にお
ける送受光器７９およびその周辺構成を詳細に示す構成
図である。同図に示すように、前記サインポスト７５は
ビーコンレシーバ７５ｒおよびビーコントランスミッタ
７５ｔで構成され、これらはそれぞれ車両７７の送受光
器７９を構成する赤外線発光素子８７および赤外線受光
素子８９からの光信号を送受光している。また、これら
の発光素子８７および受光素子８９はそれぞれ目的地到
達時間計算機９１およびナビゲーションシステム９２を
介して位置検出装置９３および目的地等を入力する入力
装置９５に接続されている。また、位置検出装置９３は
前記オドメータ８５等を構成する車輸速センサ９７およ
び地磁気センサ８３に接続されている。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述した従来の車両用
通信装置では、受光素子の受光面積の大きさで通信可能
距離が決ってしまい、通信可能距離を長くするためには
受光素子の受光面積を大きくしなければならない。した
がって、大きな受光面積の受光素子を車体に設けた場合
には、他の装置の配置が制約され、デザイン上の自由度
が少なくなってしまい、最適な設計を行い難いという問
題がある。

【０００８】また、通信可能距離を長くしたまま、すな
わち受光素子の受光面積を大きくしたまま、他の装置が
制約されないように例えばウインドウ付近に受光素子を
設けた場合には、この受光素子によって視界が妨げら
れ、視認性を悪化させてしまうという問題がある。

【０００９】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、視界を妨げたり、他の装置の
配置を制約することなく、受光面積を増大して受信感
度、ひいては通信可能距離を増大した車両用通信装置を
提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の車両用通信装置は、車両のウインドウ付近
に設けられるとともに、外部から送信される光信号を入
射し、この光信号を所定方向に回折するホログラム板
と、このホログラム板によって回折された光信号を伝達
する導光手段と、この導光手段により伝達された光信号
を受光する受光手段と、この受光手段により受光した光
信号を通信情報として解読する解読手段とを有すること
を要旨とする。

【００１１】

【作用】本発明の車両用通信装置では、車両のウインド
ウ付近に設けたホログラム板で外部からの光信号を所定
方向に回折し、この回折光を導光手段で受光手段に伝達
して受光し、この受光した光信号を通信情報として解読
している。

【００１２】

【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。

【００１３】図１は、本発明の一実施例に係わる車両用
通信装置の構成を示す図である。同図に示す車両用通信
装置は、車両のリアウインドウ１の内側に透明な回折素
子であるホログラム板３が貼り付けられ、このホログラ
ム板３の更に内側に透明なアクリル樹脂等からなる導光
板５が貼り付けられている。なお、リアウインドウ１、
ホログラム板３および導光板５は断面を示している。

【００１４】このように構成されるリアウインドウ１に
は、例えば図示しない後続車の送光器から送光される波
長λ１の赤外線からなる光信号ＩＲが車両水平軸に対し
て上下方向±１０°、左右方向±１０°の入射角θinで
入射し、該リアウインドウ１で多少屈折し、ホログラム
板３に入射する。なお、光信号ＩＲは例えば近赤外域７
００〜９００ｎｍのものである。

【００１５】ホログラム板３は、上記条件で入射する光
信号を導光板５内で約９０°方向に回折する。そして、
該光信号は導光板５内をその表面に対して水平に矢印で
示すように伝搬していく。なお、受光用ホログラム板３
の屈折率は導光板５の屈折率以上に大きいことが必要で
ある。

【００１６】導光板５の端部には、フォトダイオードか
らなる受光素子７が該端部に対向して設けられ、導光板
５を伝搬されてくる光信号を受光し、電気信号に変換す
る。受光素子７から出力される電気信号はデコーダ９で
解読され、表示器１０に後続車からの通信情報として表
示される。なお、デコーダ９で解読された信号は表示器
１０に表示される以外に、各種アクチュエータに制御信
号として出力されたり、または音声発生器に供給される
ようにもなっている。

【００１７】以上のように、本実施例の車両用通信装置
は、後続車からの光信号をリアウインドウ１に設けたホ
ログラム板３、導光板５を介して受光素子７で受光する
ことにより、後続車との間で通信することができる。そ
して、このようにリアウインドウ１に取り付けられるホ
ログラム板３および導光板５は、透明であるので、視界
を妨げないとともに、比較的広い面積を有するリアウイ
ンドウ１に取り付けることができるため、その面積もリ
アウインドウ１に応じて大きくすることができ、この結
果光信号の受光感度を増大することができ、更に通信機
能距離を長くすることができる。

【００１８】なお、上記実施例はホログラム板３および
リアウインドウ１に取り付けた場合を示したが、本発明
はこれに限定されるものでなく、このようなホログラム
板３および導光板５を車両のフロントウインドウ等に取
り付け、これにより先行車との通信を行うことも可能で
ある。また、本車両用通信装置は、車両に限定されず、
例えば一般家庭の窓ガラス等に取り付けることも可能で
ある。

【００１９】図２は、本発明の他の実施例に係わる車両
用通信装置の構成を示す図である。同図に示す車両用通
信装置は、図１に示した受光機能を有する車両用通信装
置に送光機能を加えて、光信号の送受信の両方を行える
ようにしたものであり、図１に示す構成要素と同じもの
には同じ符号が付されている。

【００２０】すなわち、図２に示す車両用通信装置は、
図１に示した実施例において前記ホログラム板３、すな
わち受光用ホログラム板３と導光板５との間に送光用ホ
ログラム板４を設けるとともに、導光板５の端部と前記
受光素子７との間にダイクロイックミラーからなるビー
ムスプリッタ１３を設け、該ビームスプリッタ１３に対
して発光素子１５から送信用の光信号を入射するように
発光素子１５を設け、この発光素子１５に送信用の光信
号を符号化して供給するエンコーダ１７が発光素子１５
の入力に接続され、該エンコーダ１７に例えば車両情
報、メッセージ、サインポスト情報等の送信用の信号を
入力するようになっている。なお、発光素子１５から出
力される送信用の光信号の波長λ２は、前記受光素子７
で受光される受信用の外部から送光されてくる光信号の
波長λ１と異なるものである。また、送光用の光学系は
すべて送光用ホログラム板４に記録されている。

【００２１】このように構成される送光／受光の両方が
可能な車両用通信装置において、受光動作は図１に示し
たものと同じであり、後続車からの波長λ１の光信号を
リアウインドウ１に取り付けた受光用ホログラム板３を
介して導光板５に入射すると、導光板５を伝達し、該導
光板５の端部からビームスプリッタ１３をまっすぐに透
過して受光素子７で受光され、デコーダ９で解読し、表
示器１０に表示するということにより後続車と通信を行
うことができる。

【００２２】また、本車両から例えば後続車への送光動
作では、送光したい所望の情報をエンコーダ１７で符号
化してから、発光素子１５で波長λ２の光信号に変換す
ると、該光信号はビームスプリッタ１３で反射されて、
導光板５の端部に入射する。導光板５内に入射した光信
号は送光用ホログラム板４で所望の配光（広がり）を持
って後続車方向に投光される。従って、後続車のフロン
トウインドウ等に波長λ２の光信号を受光する受光用ホ
ログラム板が設けられてあれば、この光信号を受光し、
後続車との間で通信が可能となる。

【００２３】以上のように構成される図２の車両用通信
装置も車両のリアウインドウに貼り付けられている受光
用ホログラム板３および送光用ホログラム板４を利用し
て、送光および受光動作を行っているので、かなり面積
の大きな受光領域および送光領域を形成することがで
き、特に受光感度を増大し、通信可能領域を長くするこ
とができる。また、受光用ホログラム板３、送光用ホロ
グラム板４および導光板５は透明であるので、視界を妨
げることもない。

【００２４】図３は、本発明の更に他の実施例を示す図
である。同図に示す実施例は、リアウインドウ１に透明
な導光板２１を介してホログラム板２３を貼り付けて、
後続車の前照灯の光をリアウインドウ１から導光板２１
を介してホログラム板２３に入射し、更にホログラム板
２３から導光板２１に入射して、導光板２１内を伝達し
て、該導光板２１の端部に設けられているアルミ蒸着の
反射部２５で反射し、レンズ２７を介して後続車に再投
光し、これにより後続車からの光がハイビームである場
合、後続車に対して自車両が眩惑していることを警告し
ようとするものである。

【００２５】なお、図３の実施例に使用されるホログラ
ム板２３は回折効率が低くてもよいし、または単波長だ
けを高効率に回折するものでもよい。また、光をレンズ
２７を介して後続車に再投光する代わりに、例えば警告
灯等を利用して文字表示で警告してもよい。

【００２６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
車両のウインドウ付近に設けたホログラム板で外部から
の光信号を所定方向に回折し、この回折光を導光手段で
受光手段に伝達して受光し、この受光した光信号を通信
情報として解読しているので、車両の運転者の視界を妨
げたり、他の装置の配置に影響することなく、例えばウ
インドウの大きさまでホログラム板による受光面積を増
大することができ、通信可能領域を長くすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係わる車両用通信装置の構
成を示す図である。

【図２】本発明の他の実施例に係わる車両用通信装置の
構成を示す図である。

【図３】本発明の更に他の実施例を示す図である。

【図４】従来の車両用通信装置の車々間通信を行うシス
テムの説明図である。

【図５】図４に使用されている従来の受光器の内部構成
を示す分解図である。

【図６】路車間通信を行う従来の車両用通信装置の一例
を示す説明図である。

【図７】図６に示した車両用通信装置における送受光器
およびその周辺構成を詳細に示す構成図である。

【符号の説明】

１ リアウインドウ ３ 受光用ホログラム板 ５ 導光板 ７ 受光素子 ９ デコーダ １０ 表示器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) G08G 1/00 - 1/16 H04B 7/26

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車両のウインドウ付近に設けられるとと
   もに、外部から送信される光信号を入射し、この光信号
   を所定方向に回折するホログラム板と、このホログラム
   板によって回折された光信号を伝達する導光手段と、こ
   の導光手段により伝達された光信号を受光する受光手段
   と、この受光手段により受光した光信号を通信情報とし
   て解読する解読手段とを有することを特徴とする車両用
   通信装置。