JP2821991B2 - セルロースアセテート繊維 - Google Patents
セルロースアセテート繊維Info
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Description
った複雑な凹凸を有するとともに、繊維軸と略直角方向
に微細な隆起を有するセルロースアセテート繊維に関す
る。さらに詳しくは、前記繊維表面形態を有することに
よって、優れた風合いおよび優れた発色性を示すセルロ
ースアセテート繊維に関する。
キスタイルに対する消費者ニーズの高級化、多様化指向
が高まりつつあり、更なる風合いと発色性の向上が望ま
れている。この様な背景を受け、特に繊維表面に微細な
凹凸を付与する種々の繊維の製造方法が提案されてい
る。
等の合成繊維の場合、アルカリ処理、有機溶剤処理、プ
ラズマ処理、コロナ処理等により、繊維表面を凹凸化す
る方法が知られている。さらに微粒子無機物を混入した
繊維に前記同様のアルカリ処理等を行い、より微細な凹
凸を繊維表面に生じさせる方法が提案されている。(例
えば、特公昭59−24233号公報等)。
の屈折率が衣料用繊維の中で最も低い事から色の深みや
鮮明性が優れ、かつ特徴ある繊維断面形状を持つことか
らドライな風合いを兼ね備え、特に婦人用ファッション
素材やブラックフォーマル用素材としてその優れた特性
を発揮してきた。
り一層向上させるべく、これまでに幾つかの微細凹凸形
成方法が提案されている。例えば、水蒸気雰囲気中で乾
式紡糸し、繊維表面にボイドを発生させる方法(特公昭
60−44403号公報)、乾式紡糸後のセルロースア
セテート繊維を極めて短時間、セルロースアセテート可
溶な溶剤に浸漬処理し極く表層のみ破壊し、凹凸を発現
させる方法(特開昭55−93814号公報)等が報告
されている。しかしながら、特公昭60−44403号
公報の方法は、強伸度が著しく低下し、又特開昭55−
93814号公報の方法は、設備的に複雑なものを要
し、実用には難かしい面を備えている。
条件で紡糸を行なう事で単繊維側面に緩やかに屈曲して
いる不均一な畝状隆起部を持つ繊維側面を形成し、風合
いを向上させる方法が開示されている(特公平3−36
927号公報,特公平3−36928号公報)。この方
法は、特殊な後処理や複雑な紡糸装置を必要とせず、し
かも、セルロースアセテート繊維本来の物性を損わず、
独特の複雑な凹凸を繊維表面に形成する方法として優れ
ている。
平3−36927号公報,特公平3−36928号公報
で開示された方法をさらに改良し、繊維表面に繊維軸に
沿った複雑な凹凸を有するとともに、繊維軸と略直角方
向に微細な隆起を有するセルロースアセテート繊維を提
供することにある。すなわち、特公平3−36927号
公報,特公平3−36928号公報で開示された繊維表
面に繊維軸に沿った複雑な凹凸とともに、本願発明で
は、繊維軸と略直角方向に微細な隆起を合わせ持つ繊維
表面形態にすることによって、さらに風合い(特にドラ
イ感)および発色性が改良されたセルロースアセテート
繊維を提供するものである。
面に繊維軸に沿った複雑な凹凸を有するとともに、繊維
軸と略直角方向の微細な隆起を有することを特徴とする
セルロースアセテート繊維を要旨とする。
複雑な凹凸とは、図1に示すように、特公平3−369
27号公報,特公平3−36928号公報で提案された
セルロースアセテート繊維に有する特徴である。本発明
では、さらに、図2に示すような繊維軸と略直角方向の
微細な隆起を有することが必須である。
することによって、ある程度、風合い及び染色性が改良
されるが、繊維軸と略直角方向の微細な隆起を有するこ
とによって、さらに、風合い及び染色性が改良される。
すなわち、本発明の微細な隆起によって本来セルロース
アセテート繊維が持ったドライなタッチがより一層向上
するだけでなく、微細な隆起のサイズが可視光波長領域
に相当する為、優れた発色性を発揮するものと推定され
る。
度は、繊維軸方向の長さ10μm当たり10〜25個で
あることが好ましい。また、前記微細な隆起の幅は1μ
m以下、前記微細な隆起の高さは、0.1μm以上であ
ることが好ましい。すなわち、該微細な隆起の頻度が1
0未満,幅が1μmを越えると、または、高さが0.1
μm未満であると、発色性改良効果や風合いの改良効果
が不十分となりやすくなる。一方、該微細な隆起の頻度
が25を越える場合は、セルロースアセテート繊維の強
度が低下しやすくなる。
製造方法について、述べる。本発明のセルロースアセテ
ート繊維は、下式(1),(2)を満たす条件で乾式紡
糸することによって、得られる。 5Vj+30Ts-340*C+3800 ≧ 10000Vf/Vj ≧ 5Vj+30Ts-340*C+1900 (1) Tb+20 ≦ Ts ≦ Tb+50 (2) 〔ここで、Tsは、紡糸時の原液温度 Tbは、紡糸溶剤の沸点 Cは、紡糸原液濃度(%) Vjは、紡糸ノズルからの紡糸原液の吐出線速度(m/min) Vfは、乾燥後のセルロースアセテート繊維の引き取り速
度(m/min)である。〕 尚Vf/Vjは通常紡糸ドラフトと称するものであり、Vjは
(紡糸原液の吐出量)/(紡糸口金の総孔面積)で定義
するものである。
糸は、アセテートフレークを溶解して紡糸原液を調整
し、これを小孔径の紡糸口金から加熱空気中に吐出し
て、溶媒を蒸発させ、糸条を形成するものである。この
ような紡糸原液を紡糸口金から吐出すると極く短時間に
表層のかなりの溶媒が蒸発しスキン層が形成され、更に
乾燥が進むにつれて、溶媒が、フィラメント内部より拡
散し、溶媒が内部から失なわれるに伴なって内部体積が
減少し内圧が負となって繊維表面収縮が生ずる。通常の
紡糸条件領域ではこの収縮が半径方向に限定され(この
領域では、比較的紡糸ドラフトが高く、糸の長手方向に
は糸条形成過程、すなわち乾燥収縮過程では、緊張状態
のままであるためと考えられる。)、いわゆる、“菊
型”の断面形状を呈し、長手方向には非常に平滑な繊維
となる。
−36928号公報では、この表面の形成状況と紡糸ド
ラフト、更には吐出速度との関係について検討し、紡糸
ノズルから第一引き取りローラまでの領域に関しては、
紡糸ドラフトを0.60以下にし、且つ吐出線速度が大
きく設定することにより、表面形状を繊維軸に沿った複
雑な凹凸を発生させることに成功している。
長手方向の束縛を緩和することにより糸の長手方向にも
収縮が発生するものと考えられ、紡糸ドラフトを更に低
下させることで、このシワは更に細かくより複雑に入り
組んだ表面状態となる。また、同一ドラフトではあって
も、吐出速度の速い領域では、吐出直後のドープの速度
と取引速度との差が大きくなる為、実質的なドラフトダ
ウンの効果を現わし、より凹凸を発現せしめることにつ
ながっていると考えられる。
と紡糸ドラフト、紡糸吐出線速度、及び紡糸原液温度等
の関係についてさらに検討した結果、紡糸条件を前記式
(1),(2)を満たす条件に設定することにより、繊
維軸に沿った複雑な凹凸とともに、繊維軸と略直角方向
に微細な隆起を有するセルロースアセテート繊維が得ら
れることを見いだした。
繊維軸に沿った複雑な凹凸を発現させ、さらに、原液紡
糸温度を上げることで、繊維軸方向と略直交する方向に
究めて微細な0.1〜1μm程度の隆起が発現する。
隆起の形成機構は明らかではないが、比較的低紡糸ドラ
フト条件であり、乾燥に伴う繊維軸方向の体積収縮に加
えて、紡糸原液が紡糸ノズルの微細孔を通過する際に受
けるずり応力に対するノズル通過後の繊維表層部の緩和
に伴う繊維軸方向への収縮現象に基づくものと推察され
る。
ト繊維を製造する場合においては、紡糸ドラフト、VF /
VJは、式(1)の範囲内にある必要がある。すなわち、
10000Vf/Vj < 5Vj+30Ts-340*C+1900 であると、乾燥
に伴う繊維軸方向の体積収縮が更に大きくなり、繊維軸
と略直交する方向の微細な隆起よりも、数十μm程度の
シワ状の凹凸が発現し、本発明の目的とする繊維が得ら
れない。すなわち、繊維軸と略直交する方向の微細な隆
起が少ないため、発色性が低下する。また、紡糸筒内で
繊維がたるみやすくなる為、ケバや糸切れが発生しやす
くなるので、好ましくない。また、5Vj+30Ts-340*C+380
0 < 10000Vf/Vjであると、本発明で得られる繊維の特
徴とである繊維軸と略直交する方向の微細な隆起が発現
せず、乾燥に伴う繊維軸方向の体積収縮のみが生じ、風
合い、発色性は改良されない。
液濃度 C(%)が小さくなるほど、繊維軸と略直交す
る方向の微細な隆起の発現領域は、高紡糸ドラフト領域
に移動する。通常、この紡糸原液濃度は、15〜30重
量%の範囲内にある。
ほど、繊維軸と略直交する方向の微細な隆起の発現領域
は、高紡糸ドラフト領域に移動する。この時の、紡糸原
液温度は、前記(2)の条件範囲内、すなわち、Tb+20
〜Tb+50(℃)の範囲内に設定する必要がある。紡糸原
液温度がTb+20(℃)未満の条件で紡糸すると乾燥挙動
の遅れにより表面層乾燥挙動及び体積収縮に伴う繊維軸
方向の収縮バランスが崩れる為微細な隆起が形成しにく
くなり、また紡糸ノズル内の吐出圧や、ずり応力が極端
に増加する為繊維形成が難しい領域になる。一方、紡糸
原液温度がTb+50(℃)を越えると、乾燥速度が早くな
りすぎ、安定な糸形成が困難になる。
としては、平均酢化度48.8%〜56.2%のセルロ
ースジアセテート、平均酢化度56.2%〜62.5%
のセルローストリアセテートが挙げられる。
しては、アセトン(沸点=56.5℃)、塩化メチレン
(39.75℃)が挙げられる。なお、可紡性が上げる
ため、これら溶剤に、水またはアルコール等の助溶剤を
添加した系でも良い。
する。
法〕本発明のセルロースアセテート繊維(品種75d/
15f)の、光沢値、また発色性については28G丸編
機で製編(平編み)後、以下に示す条件で染色し、L*
値、K/S値を測定した。 ・精練 スコアロール900(花王製) 0.2重量%水溶液、浴比1:100、80℃×30分 ・染色 染料:Dianix Black TAN(三菱化成ヘキスト製) 6重量%対繊維重量 染色助剤:DISPER TL(明成化学製)0.5g/リットル URTRA MT−N2(大和化学製) 0.5g/リットル 浴比1:30,130℃×60分 ・還元洗浄 ハイドロサルファイト(関東化学製) 1g/リットル 無水炭酸ナトリウム (関東化学製) 1g/リットル メイサノールBHS NEW(明成化学製) 2g/リットル 60℃×15分 L* 値は日本電色工業製測色色差計ND−300Aによ
って測定された明度であり、この値が、低い程濃黒色で
ある。またK/S値はKubelka−Munkの式を
基に織布の分光反射率より求めた値であり、このK/S
値が高い程深色性であると判断される。光沢値は日本電
色工業製測色変角光沢計VGS−300A(45°鏡面
光沢)にて測定した。
ロースアセテートを塩化メチレン/メタノール=91/
9の混合溶剤によって溶解し、紡糸原液濃を22重量%
濃度に調整した。この紡糸原液を乾式紡糸装置を用い
て、表1に示す紡糸原液温度,吐出線速度及び紡糸ドラ
フトの条件で紡糸を行ない、75d/15fのセルロー
スアセテート繊維を得た。実験No. 1,2,3で得られたセ
ルロースアセテート繊維は表1に示すように繊維軸と略
直角方向の微細な隆起の頻度が繊維軸方向の長さ10μ
m当たり、それぞれ24,20,15個であり、該微細
な隆起の繊維軸方向の幅が、それぞれ0.6,0.5,
0.4μmであり、該微細な隆起の高さが0.5,0.
3,0.3μmであった。また、風合いも、非常にドラ
イで好ましいシャリ感を持っていた。さらに、この繊維
の発色性も、表1のL*及びK/Sから明らかなよう
に、非常に優れていた。実験No. 4で得られた繊維は、
繊維側面が非常に平滑であり、繊維表面に繊維軸に沿っ
た複雑な凹凸もなく、繊維軸と略直角方向の微細な隆起
もなかった。この繊維の風合いはドライ感が不十分であ
り、表1のL*及びK/Sから明らかなように、この繊
維の発色性は、不十分であった。実験No.5では、繊維表
面に繊維軸に沿った複雑な凹凸は有するものの、繊維軸
と略直角方向の微細な隆起はなかった。この繊維の風合
いはドライ感が良いが、シャリが不十分であった。ま
た、表1のL*及びK/Sから明らかなように、この繊
維の発色性は、実験No.4に比べると良い、本発明の実験
No.1,2,3に比べると低かった。
様に変更した以外は、実施例1と同様の手法で75d/
15fの本発明のセルロースアセテート繊維を得た。実
験No. 7,8,11,12,13,15,16,17,20,21,22,23,25,26,27で
得られたセルロースアセテート繊維は表2に示すよう
に、繊維表面に繊維軸に沿った複雑な凹凸を有するとと
もに、繊維軸と略直角方向の微細な隆起を有した繊維で
あった。また、風合いも、非常にドライで好ましいシャ
リ感を持っていた。さらに、この繊維の発色性も、表2
のL*及びK/Sから明らかなように、非常に優れてい
た。実験No.6,9,10,14,18,19,24では、繊維表面に繊維
軸に沿った複雑な凹凸は有するものの、繊維軸と略直角
方向の微細な隆起はなかった。この繊維の風合いはドラ
イ感が良いが、シャリが不十分であった。また、表2の
L*及びK/Sから明らかなように、この繊維の発色性
は、本発明のセルロースアセテート繊維に比べると低か
った。
従来のセルロースアセテート繊維と比較して、セルロー
スアセテート繊維の表面構造が全く異なり、繊維表面に
繊維軸に沿った複雑な凹凸を有するとともに、繊維軸と
略直角方向に微細な隆起を有する繊維である。その結
果、染色性が非常に改良され、染色試験では、L* 値
は、約10以下,K/S値は約45以上の値を示し、そ
の風合い及び発色性が非常に改良されたセルロースアセ
テート繊維とすることが可能となった。
−36928号公報)の方法で得られたセルロースアセ
テート繊維の表面形態を示す電子顕微鏡写真である。
表面形態を示す電子顕微鏡写真である。
Claims (3)
- 【請求項1】 繊維表面に繊維軸に沿った複雑な凹凸を
有するとともに、繊維軸と略直角方向の微細な隆起を有
することを特徴とするセルロースアセテート繊維。 - 【請求項2】 繊維軸と略直角方向の微細な隆起の頻度
が繊維軸方向の長さ10μm当たり10〜25個である
請求項1記載のセルロースアセテート繊維。 - 【請求項3】 繊維軸と略直角方向の微細な隆起の繊維
軸方向の幅が1μm以下であって、該隆起の高さが0.
1μm以上である請求項1または2記載のセルロースア
セテート繊維。
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---|---|---|---|
JP19779094A JP2821991B2 (ja) | 1994-06-09 | 1994-07-29 | セルロースアセテート繊維 |
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JP15151294 | 1994-06-09 | ||
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0860432A JPH0860432A (ja) | 1996-03-05 |
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ID=26480741
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10052807B2 (en) | 2014-02-12 | 2018-08-21 | Fujifilm Corporation | Fiber manufacturing method, non-woven fabric manufacturing method, and fiber manufacturing equipment |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5191332B2 (ja) * | 2008-09-26 | 2013-05-08 | 三菱レイヨン株式会社 | セルロースアセテート繊維の乾式紡糸方法 |
-
1994
- 1994-07-29 JP JP19779094A patent/JP2821991B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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