JP2820099B2 - 液晶表示装置およびその製造方法 - Google Patents

液晶表示装置およびその製造方法

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JP2820099B2
JP2820099B2 JP8021828A JP2182896A JP2820099B2 JP 2820099 B2 JP2820099 B2 JP 2820099B2 JP 8021828 A JP8021828 A JP 8021828A JP 2182896 A JP2182896 A JP 2182896A JP 2820099 B2 JP2820099 B2 JP 2820099B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、文字、図形等を表
示する液晶表示装置およびその製造方法に関し、特に視
角特性が優れるとともに高コントラストの液晶表示装置
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の液晶表示装置は、電圧印加時の液
晶分子特有の挙動により視野角が狭いという固有の課題
を有している。液晶表示装置の視野角が狭い理由を、薄
膜トランジスタ(TFT)駆動の液晶表示装置に多く用
いられているねじれネマチック(Twisted Nematic;
「TN」という)モードを例にとって説明する(図8、
図9参照)。
【0003】液晶分子11は棒状の分子と考えられる
が、TN型の液晶表示装置においては、図8に示すよう
に、液晶分子11が2枚のガラス基板23、33間に挾
持されている。すなわち、液晶分子11は上基板33で
も下基板23でもほぼガラス基板に平行に配列している
(但し、ガラス基板界面とは小さなプレティルト角13
をなして配列している)。
【0004】実際には、液晶分子の上基板33面内の方
位方向と下基板23面内の方位方向がほぼ90°の角
(ねじれ角)をなすように配置されているが、図8およ
び図9においては、見易くするために、この90°の液
晶分子のねじれは表示していない。この電圧非印加の状
態では顕著な視角依存性は生じない。
【0005】このTN型の液晶表示装置に不図示の電極
(透明電極)から電圧を印加すると、図9に示すよう
に、液晶分子11は電界と平行になるように配列を変え
る。この際、プレティルト角13方向から液晶分子11
は立ち上がろうとする。
【0006】液晶分子の複屈折性は、液晶分子長軸と光
線のなす角度によって決まる。図9のセル中央部の液晶
分子に注目すると、光線42はセル中心部の液晶分子長
軸と大きな角度をなし、一方、光線41は小さな角度を
なす。
【0007】このため、図9の左方向への視角変化と右
方向への視角変化に対して反対の光学特性を示す。
【0008】通常の液晶表示装置では、図9の左右方向
が液晶表示装置の画面の上下方向に設定されている。こ
のため、上方向への視角変化に対しては、画像が白っぽ
くなりコントラストが低下する「白浮き」として認識さ
れ、下方向への視角変化に対しては画像が暗くなり、ネ
ガポジが反転した「黒つぶれ」として認識される。
【0009】この課題を解決するための従来の技術とし
て、例えば特開昭63−106624号公報には、印加
電圧に左右されずに良好な表示が広い視野で得られる液
晶表示パネルを提供することを目的として、画素対応の
配向膜にラビング方向がそれぞれ逆方向の領域を複数設
けたことを特徴とする液晶表示パネルの構成が提案され
ている。同公報に提案される液晶表示パネルの構成を図
10に示す。
【0010】図10を参照して、この従来の技術は、液
晶表示装置の1画素を複数の領域(領域I、領域II)に
分割し、隣り合う領域でのラビングの向きが互いに反対
(逆方向)となるようにしたものである。ラビングによ
り配向膜表面における液晶分子はプレティルトを生じる
が、隣り合う領域でその方向が反対のため、領域Iと領
域IIにおいて、電圧印加時の液晶分子の立ち上がり方向
が反対となる。これにより視角依存性は隣り合う領域で
相殺され、視角依存性の少ない液晶表示装置が得られて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記特開昭63−10
6624号公報に提案される液晶表示装置においては、
液晶の配向ベクトルのねじれ方向(以下「液晶のねじれ
方向」という)が同一で、液晶分子の立上り方向(以下
「液晶の立上り方向」という)が反対の2領域が1画素
内で接した形で共存する。
【0012】この2領域の境界部を拡大して、図11に
示す(但し、中間電圧印加時)。すなわち、図11に示
すように、上記特開昭63−106624号公報に開示
された液晶表示装置においては、分割配向処理された配
向膜21、31が塗布された透明電極22、32を有す
るガラス基板23、33の間に、液晶のねじれ方向が同
一であり、電圧印加時の立ち上がり方向が反対の領域
(図11の左右半分ずつ)が共存している。
【0013】この2つの領域の共存によって視角特性が
改善されることになるが、この2つの領域の境界部の液
晶分子は、電圧印加下でも、電圧非印加の状態を保持し
続ける。
【0014】このため、ノーマリーホワイト型の液晶表
示装置として使用する場合には、電圧印加時においても
2つの領域の境界部の液晶分子は電圧非印加の白表示の
ままであり、この部分からの光漏れが生じ、黒表示時の
透過率が大きくなり、コントラストの大きな液晶表示装
置が得られない。
【0015】この点を改善する方法として、この2つの
領域の境界層に遮光部34を設ける方法があるが、遮光
部34を設けると、開口部が小さくなり、画面の明るさ
が低下するという問題がある。
【0016】従って、本発明は、上記問題点を解消し、
視野特性およびコントラストが優れる液晶表示装置を提
供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】前記目的を解決するため
に、本発明は、電極を有する2つの基板間に、液晶の配
向ベクトルのねじれ方向が同一で電圧印加時の液晶分子
の立上り方向が反対の2種の領域が共存してなる液晶層
が挾持された液晶表示装置において、2種の領域の間
に、液晶の配向ベクトルのねじれ方向が、前記2種の領
域と異なる領域を前記2種の領域より細く、帯状に設け
たことを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0018】また、本発明は、このような構造を安定に
存在させるために、好ましくは、液晶層が0.02wt
%以上且つ4wt%以下範囲での高分子を含む液晶表示
装置を提供するものである。
【0019】さらに、本発明はこのような液晶表示装置
の製造方法も提供するものであり、この製造方法は、基
板表面を1方向に配向処理した2枚の基板間に、ねじれ
特性を有する液晶を注入し、その後、電圧印加下で、液
晶相−等方相の相転移温度以上の温度から相転移温度以
下の温度まで液晶層を冷却することを特徴とする。
【0020】
【作用】本発明の概要をその原理・作用について図面を
参照して以下に詳細に説明する。
【0021】図1は、本発明に係る液晶表示装置の構成
原理を説明するための図であり、本発明に係る液晶光学
素子の中間の電圧印加時における液晶表示装置の断面図
を拡大して示した図である。
【0022】図1に示すように、本発明に係る液晶表示
装置においては、液晶のねじれ方向が同一であり、電圧
印加時の立ち上がり方向が反対の領域A、Bの間に、液
晶のねじれ方向が反対の領域Cが設けられている(例え
ば領域A、Bが左ねじれ状態の場合、領域Cは右ねじれ
状態という具合にねじれ方向が異なる)。
【0023】このような構成としたことにより、本発明
に係る液晶表示装置では、電圧印加時に領域A、Bの境
界部から光漏れが生じない。
【0024】従って、境界部に、前記従来技術で必要と
された遮光部を設けることは不要とされ、高コントラス
トの液晶表示装置が得られる。
【0025】図1に示した構造を有する本発明に係る液
晶表示装置が高コントラストとなる理由を、図2及び図
3を参照して、より詳細に説明する。
【0026】図2は、従来の液晶表示装置に存在する液
晶のねじれ方向が同一で立上がり方向が反対の領域の境
界部を、図3は本発明に係る液晶表示装置に存在する液
晶のねじれ方向が反対の領域の境界部を拡大して、それ
ぞれ示している。また、図2及び図3において、(a)
は電圧非印加状態を、(b)は電圧印加状態をそれぞれ
示している。なお、図3(a)、図3(b)の左端側の
液晶分子は中央部及び右側の液晶分子とねじれ方向が逆
方向とされている。
【0027】図2に示す液晶のねじれ方向が同一で液晶
の立上り方向が反対の2領域の境界部における液晶分子
は電圧印加時においても、基板に対して水平のままであ
り、電圧非印加時の90°ねじれた初期状態をそのまま
保持し続ける(図2(b)参照)。
【0028】このため、ノーマリーホワイトモードにお
いては、「黒」表示であるはずの電圧印加状態において
も、境界部は電圧非印加時の「白」状態のままであり、
この境界部の光漏れにより「黒」表示の透過率が上昇
し、結果として液晶表示装置のコントラストが低下す
る。
【0029】これに対して、図3に示すように、本発明
に係る液晶表示装置に存在する、液晶のねじれ方向が反
対の境界部においては、境界部の液晶分子は電圧の印加
とともに電界方向に配向方向を変え、通常のTNセル内
の液晶分子と同様に十分な電圧印加下では、基板に垂直
となる(図3(b)参照)。このため、液晶のねじれ方
向が反対の2領域の境界部においては電圧印加時におけ
る表示は「黒」となり、コントラストの高い液晶表示装
置が得られる。また、境界部からの光漏れがないため
に、遮光層は不要である。
【0030】上記したように、本発明に係る液晶表示装
置においては、液晶層が液晶のねじれ方向が同一で、立
上り方向が反対の領域A、Bの間に液晶のねじれ方向が
反対の領域Cが存在することを特徴とする。
【0031】このような構造は、適当な液晶材料と配向
手段を用いることにより実現することができる。以下に
本発明に係る液晶表示装置の液晶材料と配向手段の一例
を説明する。
【0032】まず、液晶材料としては、液晶材料がねじ
れ特性を有しているもの、例えばカイラル材を含む液晶
を用いる。これにより、液晶分子の2つのねじれ方向の
うちの1方向のみが優先的に発生するようになり、液晶
層の大半が同一ねじれ方向の領域からなる、液晶表示装
置が得られる。
【0033】次に、本発明における配向手段としては、
液晶分子のねじれ特性により定まったねじれ方向に対す
る2つの液晶の立上り方向が、ほぼ等しい確率で生じる
配向手段が用いられる(すなわちこれに適する配向手段
を使用する)。
【0034】このような配向手段として、代表的な2つ
の方法を挙げることができる。
【0035】その1つは、プレティルト角が小さい配向
膜を用いる方法であり、他の1つは、通常のプレティル
ト角を有する配向膜を用いて液晶分子の配列がスプレイ
配列となるように基板を組み合わせる方法である。
【0036】従来、知られている配向膜においては、ラ
ビングの向きにより液晶分子の立上り方向が決定され
た。これは、ラビング操作により配向膜がラビングの向
きにプレティルト角を生じることに起因している。
【0037】これに対して、プレティルト角の小さい配
向膜を用いることにより、液晶分子の立上り方向が反対
の場合のエネルギー差は小さくなり、電圧印加時に液晶
分子が両方向からほぼ同じ確率で立上がるとともに、そ
の状態が安定に存在する、本発明に係る液晶表示装置を
得ることができる。
【0038】このような低プレティルト角を有する配向
膜として、所定のポリイミド、ポリスチレン等を挙げる
ことができる。
【0039】また、ある種の高分子(例えばポリスチレ
ン)を配向膜として用いた場合には、高分子鎖がラビン
グ方向に対して垂直に配向し、液晶分子もラビング方向
に垂直に配向する。このような配向膜においてはラビン
グ方向とプレティルトの発生方向は垂直であり、プレテ
ィルト角がほとんど0に近い配向状態が得られる。
【0040】また、本発明に係る液晶表示装置に用いら
れる配向手段としては、偏光を利用して基板表面の液晶
分子を1方向に配向させるものや、グルーブ等の微小な
凹凸溝により配向させるものが利用できる。この場合
(これらの配向手段を用いた場合)においても、プレテ
ィルト角は小さく、2つの立上り方向がほぼ等確率で生
成する。
【0041】偏光を利用した配向手段としては、例えば
文献(1)(ジャパン ジャーナルオブ アプライド フ
ィジックス(Jap. J. Appl. Phys.)、Vol.31、1992、P
P.2155-2164)あるいは文献(2)(ネイチャー(Natur
e)、Vol.351、1991、PP.49-50)等が参照される。
【0042】また、これらの配向膜を単独で用いるほ
か、これらの配向膜を塗布、直線偏光で配向処理を行っ
た後、例えば文献(3)(リキッド クリスタルズ(Liqui
d Crystals),Vol.18、1995、PP.319-326)に記載され
ているような光重合基をもつ液晶性モノマーを塗布し、
偏光方向と垂直方向に液晶性モノマーを配向させた後、
光重合させ、配向膜として用いることにより、より安定
した配向状態が得られる。
【0043】なお、プレティルト角は、クリスタルロー
ション法等により測定することができる。
【0044】一方、スプレイ配列とは、図8に示した、
ノーマルティルト配列に対するものであり、その様子を
図4に示す。
【0045】スプレイ配列においても液晶分子の2つの
立上りが方向のエネルギーが小さく、2つの立上り領域
がほぼ等しい確率で発生するという、本発明に係る晶表
示装置が得られる。なお、スプレイ配列は、通常の配向
膜を用いて、そのラビング方向と基板の張り合わせ方に
より容易に得ることができる。
【0046】これらの方法においては、通常の液晶表示
装置と同様、それぞれの基板について、ラビング回数は
1回のみであり、本発明に係る液晶表示装置において
は、上記特開昭63−106624号公報に提案された
液晶表示装置のように、複数回のラビング工程、レジス
ト工程、さらに高精度の目合わせ工程のいずれも、必要
とされない。
【0047】本発明に係る液晶表示装置は、液晶のねじ
れ方向が同一であり、立上り方向が反対の2種の領域の
間に液晶のねじれ方向が反対の領域が存在することを特
徴としたものであるが、このような構造が発現する理由
は以下のように説明される。
【0048】液晶分子の立上り方向または液晶のねじれ
方向が反対の領域の境界部においては、境界部以外の領
域に比べ、液晶はひずんだ配向をしており、このひずみ
によりエネルギーの高い状態にある。
【0049】そして、立上り方向が反対の領域の境界部
とねじれ方向が反対の領域の境界部における液晶のひず
みは異なり、当然に、ひずみのエネルギーも異なる。
【0050】立上り方向が反対の領域の境界部のひずみ
エネルギーが、ねじれ方向が反対の領域の境界部のひず
みエネルギーよりも高い場合には、立上り方向が反対の
領域の境界部よりも、ねじれ方向が反対の領域の境界部
が、優先的に生成することが期待される。
【0051】本発明はこのような知見に基づいて為され
たものであって、液晶のねじれ方向が同一であり立上り
方向が反対の2種の領域の間に液晶のねじれ方向が反対
の領域が、例えば帯状に存在する液晶表示装置が製造可
能であることを見いだしたものである。以下、本発明に
係る液晶表示装置の実現方法について説明する。
【0052】前述の液晶材料、及び配向手段を備えた液
晶表示装置において、液晶のねじれ方向が同一、立上り
方向が反対の領域を、ほぼ等しい割合かつ微小領域とし
て得るためには、液晶層を一度等方相に加熱した後、液
晶相−等方相の相転移温度以下まで冷却する方法が望ま
しい。
【0053】液晶の等方相−液晶相転移点以上の温度か
ら転移点以下までの冷却過程において、等方相から多数
の液晶滴が発生し、これが室温まで冷却したときのそれ
ぞれの領域の核となる。
【0054】この方法において重要なことは、この冷却
操作を電圧印加下で行うことである。これにより液晶の
ねじれ方向が同一で立上り方向が反対の2つの領域の間
に液晶のねじれ方向が反対の領域が存在する本発明の液
晶表示装置が得られる。
【0055】このような条件下で本発明の液晶表示装置
が製造される理由を、さらに詳しく説明する。
【0056】電圧非印加の状態ではねじれ方向が同一、
立上り方向が反対の領域は実質的に同一である(図2
(a)参照)。従って、この領域の境界部ではひずみエ
ネルギーは生じない。
【0057】一方、ねじれ方向が反対の領域の境界部は
電圧非印加時においても存在し、ひずみエネルギーの高
い状態にある。この結果、電圧非印加で冷却操作を行う
とねじれ方向が同一、立上り方向が反対の2種の領域が
線で接している構造が生成し、本発明の高コントラスト
の液晶表示装置を得ることができない。
【0058】これに対して、電圧印加下では、ねじれ方
向が同一で立上がり方向が反対の領域の境界部において
は、境界部の液晶が電圧非印加の状態のままであるた
め、印加電圧の増加に伴って急速にひずみエネルギーが
増加していくものと考えられる(図2(b)参照)。
【0059】一方、ねじれ方向が反対の領域における液
晶分子は周囲の液晶分子と同様に電界方向に向きを変え
るためにひずみエネルギーはあまり増加しない(図3
(b)参照)。従って、電圧印加下で冷却操作を行った
場合には、ねじれ方向が同一で立上がり方向が反対の領
域簡にねじれ方向が反対の領域が存在する広視野角で高
コントラストの液晶表示装置が得られる。
【0060】液晶のねじれ方向が反対の領域が境界部に
適切に生成する(例えば帯状に)最適の条件は、冷却過
程における冷却速度や印加電圧を実験的に変化させるこ
とにより容易に求めることができる。
【0061】最適の条件は、液晶の特性やカイラル剤の
添加量に依存する。液晶のねじれ方向が反対の領域を効
率よく帯状に発生させるために印加する電圧としては、
一定の電圧あるいは液晶分子が応答できない高周波数の
交流波電圧とすることもできるが、特に液晶分子が応答
するような低周波数の三角波、正弦波、矩形派等を用い
るほうが、効率的である。
【0062】これは、印加電圧が大きくなるにつれて、
液晶のねじれ方向の判定の領域の境界部が優先的に生成
するようになるが、同時に、液晶ねじれ力が弱まること
による液晶のねじれ方向が反対の領域が多く生成するよ
うになる。従って、液晶分子の立上りの程度が経時的に
変化する状態で冷却すると、液晶のねじれ方向が反対の
領域の境界部が優先的に生成しつつ、ねじれ領域が反対
の領域があまり大きくならず、帯状となる理想的な構造
が得られやすい。
【0063】本発明の液晶表示装置においては、液晶の
ねじれ方向が同一で、液晶分子の立上り方向が反対の2
種の領域がランダムに生成していてもよい。以下、基板
全面に電極がある場合にはこのような構造が生成する。
このような場合には、2つの立上り方向の個々の領域を
1画素に比べて十分に小さくしなければならない。
【0064】一方、本発明の液晶表示装置においては、
立上り方向が反対の領域の形状を制御することもでき
る。
【0065】このような方法として、例えば不均一電界
を利用する方法が考えられる。不均一電界としては、例
えば、上側基板33の電極32を下側基板23の電極2
2(図3参照)より大きくするなど、2つの基板上の電
極を異なる形状とする方法や、少なくともいずれか一方
の基板上の電極に開口部を設ける方法によることができ
る。
【0066】そして、この開口部の形状としては、十字
型(「+」)、X形状「×」、斜線「/」等の形状のほ
か、直線、円形、多角形等適宜用いることができる。
【0067】このようにそれぞれの領域の形状を制御す
るときは、冷却時にどのような電圧を印加するかが特に
重要である。
【0068】本発明における「電極を有する基板」と
は、反射型の液晶表示装置で使用される金属基板のよう
にそれ自身が電極を兼ねているものであってもよい。
【0069】上述した本発明の液晶表示装置は広視野
角、高コントラストという優れた特性を有するが、全く
課題がないわけではない。
【0070】1つには、間にある液晶のねじれ方向の反
対の領域が十分に安定でない場合があることであり、特
に電圧のON−OFFの繰り返し中で、この領域が変形
し、さらには消失してしまう場合がある。
【0071】また、他の課題としては電圧印加直後の液
晶分子の立上り方向が、十分な時間が経過した後の安定
な立上り方向と反対になる場合があることである。この
結果、電圧印加直後には液晶のねじれ方向が同一であり
立上り方向が反対の2領域が直接接し、その境界部から
光漏れが生じるとともに、このような境界部が秒オーダ
の遅い速度で安定状態に向かって移動するため、応答速
度が遅くなるとともに、斜め方向の特性が2つの領域の
変動に伴い変化する。
【0072】さらに、本発明の液晶表示装置の微小領域
は液晶層を等方相にまで加熱すると消失するという問題
があり、液晶層が等方相まで加熱された場合には、再
度、不均一電界下等で所定の領域を生成させることが必
要となるという課題もある。
【0073】これらの課題を解決するため、本発明にお
いては、好ましくは、液晶層中に0.02wt%以上4
wt%以下の高分子が存在している液晶表示装置を提案
する。
【0074】このような液晶表示装置として、図5に示
すように、液晶中には少量の高分子12が、例えばネッ
トワーク状に分散しているものを挙げることができる。
【0075】この高分子12の存在により、それぞれの
領域が安定化され、電圧ON−OFFの繰り返しによっ
ても液晶のねじれ方向の異なる領域が移動、消失しない
液晶表示装置が得られる。この場合に、必要とされるの
は、液晶分子の立上り方向の異なる領域の固定であるか
ら、高分子12の量はかなり少量でも十分な効果が得ら
れる。
【0076】また、高分子12の存在により電圧印加直
後の液晶分子の立上り方向が、十分な時間が経過した後
の安定な立上り方向と同一となり、境界部から光漏れが
なく、また応答速度が遅くなることもない。
【0077】さらに、高分子の量が多い場合には、液晶
層を等方相に加熱した後、冷却した場合にも、初期状態
に回復する液晶表示装置を得ることもできる。
【0078】本発明の液晶層中に少量存在する高分子
は、液晶のねじれ方向、液晶分子の立上り方向が反対の
領域を安定させるためのものであるから、そのような機
能を有すれば特にネットワーク形状等に限定されない。
【0079】従って、基板上に突起状に高分子が存在し
てもよいし、微小なビーズ等を配向膜に分散させて凹凸
をつける方法によってもよい。
【0080】一方、高分子の量が多すぎる場合には、こ
の高分子により液晶分子の配向が乱れ、90°ツイスト
を生じなくなる場合や、高分子により散乱が生じコント
ラストを低下させる原因となる。従って、高分子の量
は、高分子の種類、液晶分子との相互作用にもよるが、
4wt%以下であることが望ましい。
【0081】本発明に係る液晶表示装置において、液晶
層に分散する高分子12としては、高分子を液晶中に分
散したものを基板間に導入することもできるし、モノマ
ー等を溶解した液晶を基板間に導入した後に、モノマー
またはオリゴマーを反応して高分子とすることもでき
る。
【0082】しかし、注入の容易さ、初期配向の安定化
の点より、液晶相中でモノマー等を反応させることが好
ましい。また、この方法においては電圧印加下でモノマ
ー等を反応させることにより、液晶分子の初期配向にプ
レティルトをつけ、駆動電圧や、応答速度を改善できる
という利点もある。
【0083】本発明に係る液晶表示装置において用いら
れるモノマー、オリゴマーとしては、光硬化性モノマ
ー、熱硬化性モノマー、あるいはこれらのオリゴマー等
のいずれを用いることもでき、またはこれらを含むもの
であれば他の成分を含んでいてもよい。
【0084】本発明に好適に用いられる「光硬化性モノ
マー又はオリゴマー」とは、可視光線により反応するも
のだけでなく、紫外線により反応する紫外線硬化モノマ
ー等を含み、操作の容易性からは特に後者が好ましい。
【0085】また、本発明に係る液晶表示装置におい
て、用いられる高分子は、好ましくは、液晶分子と類似
の構造を有するものでもよいが、必ずしも液晶を配向さ
せる目的で用いられるものではないため、アルキレン鎖
を有するような柔軟性のあるものであってもよい。ま
た、単官能性のものであってもよいし、2官能性のも
の、3官能性以上の多官能性を有するモノマー等でもよ
い。
【0086】本発明において、好適に用いられる、光ま
たは紫外線硬化モノマーとしては、例えば、2-エチルヘ
キシルアクリレート、ブチルエチルアクリレート、ブト
キシエチルアクリレート、2-シアノエチルアクリレー
ト、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレー
ト、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-エトキシエ
チルアクリレート、N-ジエチルアミノエチルアクリレー
ト、N-ジメチルアミノエチルアクリレート、ジシクロペ
ンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレー
ト、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリル
アクリレート、イソボニルアクリレート、イソデシルア
クリレート、ラウリルアクリレート、モルホリンアクリ
レート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジ
エチレングリコールアクリレート、2,2,2-トリフルオロ
エチルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピ
ルアクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルアク
リレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレ
ート等の単官能アクリレート化合物、2-エチルヘキシル
メタクリレート、ブチルエチルメタクリレート、ブトキ
シエチルメタクリレート、2-シアノエチルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-エト
キシメチルアクリレート、N-ジエチルアミノエチルメタ
クリレート、N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、
ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニ
ルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、テトラ
ヒドロフルフリルメタクリレート、イソボニルメタクリ
レート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリ
レート、モルホリンメタクリレート、フェノキシエチル
メタクリレート、フェノキシジエチレングリコールメタ
クリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレー
ト、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、
2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート等の
単官能メタクリレート化合物、4,4'-ビフェニルジアク
リレート、ジエチルスチルベストロールジアクリレー
ト、1,4-ビスアクリロイルオキシベンゼン、4,4'-ビス
アクリロイルオキシジフェニルエーテル、4,4'-ビスア
クリロイルオキシジフェニルメタン、3,9-ビス[1,1-ジ
メチル-2-アクリロイルオキシエチル]-2,4,8,10-テト
ラスピロ[5,5]ウンデカン、α、α'-ビス[4-アクリ
ロイルオキシフェニル]-1,4-ジイソプロピルベンゼ
ン、1,4-ビスアクリロイルオキシテトラフルオロベンゼ
ン、4,4'-ビスアクリロイルオキシオクタフルオロビフ
ェニル、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4-ブ
タンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコール
ジアクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、
グリセロールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ
アクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレー
ト、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメ
チロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリア
クリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレ
ート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジ
ペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレー
ト、4,4'-ジアクリロイルオキシスチルベン、4,4'-ジア
クリロイルオキシジメチルスチルベン、4,4'-ジアクリ
ロイルオキシジエチルスチルベン、4,4'-ジアクリロイ
ルオキシジプロピルスチルベン、4,4'-ジアクリロイル
オキシジブチルスチルベン、4,4'-ジアクリロイルオキ
シジペンチルスチルベン、4,4'-ジアクリロイルオキシ
ジヘキシルスチルベン、4,4'-ジアクリロイルオキシジ
フルオロスチルベン、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロペン
タンジオール1,5-ジアクリレート、1,1,2,2,3,3-ヘキサ
フルオロプロピル-1,3-ジアクリレート、ウレタンアク
リレートオリゴマー等の多官能アクリレート化合物、ジ
エチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオ
ールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタ
クリレート、ジシクロペンタニルジメタクリレートグリ
セロールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメ
タクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレー
ト、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリ
メチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリス
リトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトール
トリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペン
タメタクリレート、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロペンタ
ンジオール1,5-ジメタクリレート、ウレタンメタクリレ
ートオリゴマー等の多官能メタクリレート化合物、スチ
レン、アミノスチレン、酢酸ビニル等があるが、本発明
は、これらに限定されるものではない。
【0087】また、本発明の液晶表示装置の駆動電圧は
高分子材料と液晶材料の界面相互作用にも影響されるた
め、フッ素元素を含む高分子であってもよい。
【0088】このような高分子として、2,2,3,3,4,4-ヘ
キサフロオロペンタンジオール、1,5-ジアクリレート、
1,1,2,2,3,3-ヘキサフロオロプロピル-1,3-ジアクリレ
ート、2,2,2-トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,
3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3-テ
トラフロオロプロピルアクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキ
サフルオロブチルアクリレート、2,2,2-トリフルオロエ
チルメタクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル
メタクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメ
タクリレート、ウレタンアクリレートオリゴマー等を含
む化合物から合成された高分子が挙げられるが、本発明
は、これらに限定されるものではない。
【0089】本発明に係る液晶表示装置において用いら
れる高分子として、光または紫外線硬化モノマーを用い
る場合には、一般に光または紫外線用の開始剤を用い
る。この開始剤としては、種々のものが使用可能であ
り、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロ
キシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、1-(4-イソプロピ
ルフェニル-)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オ
ン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル
プロパン-1-オン等のアセトフェノン系、ベンゾインメ
チルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジ
メチルケタール等のベンゾイン系、ベンゾフェノン、ベ
ンゾイル安息香酸、4-フェニルベンゾフェノン、3,3-ジ
メチル-4-メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン
系、チオキサンソン、2-クロルチオキサンソン、2-メチ
ルチオキサンソン等のチオキサンソン系、ジアゾニウム
塩系、スルホニウム塩系、ヨードニウム塩系、セレニウ
ム塩系等を用いることができる。
【0090】本発明に係る液晶光学素子をTFT等の能
動素子として駆動させるためには、液晶は電気抵抗が大
きく、電荷保持率の大きいことが要求される。従って、
フッ素系、塩素系等の高抵抗の液晶材料が好ましく、ま
た可視光線、紫外線照射により電荷保持率特性の低下し
ないものが好ましい。
【0091】また、本発明の液晶光学素子においては、
液晶セルと偏光膜の間に補償フィルムを用いることによ
り、さらに視角特性を改善することができる。
【0092】このための補償フィルムとしては、正の屈
折率異方性を有する液晶を補償するものであるために、
負の屈折率異方性を有する補償フィルムが好ましい。
【0093】特に、液晶分子の立上り方向が斜めである
ため光学軸が斜めに傾いた補償フィルムや、立上り方向
が異なる領域ごとに光学軸の方向の異なる補償フィルム
が好ましい。
【0094】以上のように、本発明により、従来のTN
形液晶表示装置と同様の簡易な方法で製造可能であり、
遮光層を設けることなく高コントラストかつ広視野の液
晶表示装置を得ることができる。
【0095】
【発明の実施の形態】本発明を実施の形態を図面を参照
して以下に詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施
形態に限定されるものではないことは勿論である。
【0096】
【実施形態1】直径10mm電極を有する試料セル用の
基板(20mm×30mm)を上下基板として使用し
た。これらの基板を洗浄後、ポリイミド配向剤JALS
−428(日本合成ゴム)をスピンコートで塗布し、9
0℃及び220℃の焼成を行った。
【0097】この後、レーヨンからなるバフ布によりラ
ビング処理を施した。ラビング方向は基板の斜め方向で
あり、上側基板と下側基板のラビング方向は90°の角
をなすようになっている。
【0098】基板の周辺部に接着剤を塗布し、スペーサ
として径6μmのラテックス球を散布した。続いて、両
基板を加圧しながら張り合わせた。
【0099】張り合わせた基板を真空漕内に置き、真空
排気後、ネマチック液晶(メルク社製ZLI4792、
相転移温度:92℃)、紫外線硬化モノマー(KAYA
RAD PET−30(日本化薬製)0.25wt
%)、開始剤(イルガノックス907、モノマーに対し
て5wt%)からなる液晶溶液を注入した。用いた液晶
にはカイラルピッチが90μmとなるようにカイラル剤
(S811)が添加されている。
【0100】得られたパネルを110℃まで加熱し、そ
の温度で紫外線(0.1mW/cm2)を30分照射し
た。その後、3V、10Hzの三角波を印加しつつ、4
0℃/分で基板を冷却した。
【0101】得られたセルの偏光顕微鏡写真を図12に
示す(基板を傾けて観察)。
【0102】図12の偏光顕微鏡写真を参照して、不定
形の2種の領域(2種の濃淡のある色の薄い領域)が存
在し、それら2種の領域の境界部に他の領域(色の濃い
領域)が帯状に存在していることが確認できた。
【0103】また、クロスニコル下において光漏れを生
じるディスクリネーションの存在は認められなかった。
セルを傾けた状態で、偏光板の向きを変化させたときの
明るさの変化から、写真で淡色に見える2種の領域は液
晶のねじれ方向が同一で立上り方向が反対の領域であ
り、その間に存在する黒く見える領域が液晶のねじれ方
向が反対の領域であることが確認できた。
【0104】また、電圧印加直後における液晶の立上り
方向と十分な時間が経過した後の液晶の立上り方向とは
同一であり、電圧印加直後においても光漏れが生じる領
域は認められなかった。さらに、長時間、電圧のON−
OFFを繰り返しても液晶のねじれ方向が反対の帯状の
領域が消失することはなかった。
【0105】作製したセルにクロスニコルに偏光板を取
り付けた後、液晶評価装置(大塚電子社製 LCD−5
000)セルの電気光学特性を測定した。基板垂直方向
での透過率−電圧曲線およびコントラストを図6
(a)、図6(b)に示す。
【0106】透過率−電圧曲線は駆動電圧が通常のTN
モードに比べわずかに増加している以外、ほとんど同等
であった。セルには遮光層がないにもかかわらず、コン
トラストは5Vで185:1と高コントラストであっ
た。
【0107】また、方位角90°毎に測定した視角特性
を図7に示す。図7は、階調表示時の視角特性を示し、
横軸は視角、縦軸は透過率である。図7より、液晶層中
央の液晶分子の大半は135°−315°方向に配向し
ていると考えられ、これはラビング方向から予測される
方法と一致していた。
【0108】また、図7で得られた視角特性は、1値画
素を液晶のねじれ方向が同一で立上り方向の反対の2領
域に分割した画素分割型の液晶表示装置の視角特性に近
いものである。
【0109】電極を有しない基板(30mm×40m
m)上に同様に配向膜を作製し、50μmスペーサを用
いてセルを作製し、クリスタルローテーション法でプレ
ティルト角を計ると0.05°であった。
【0110】
【実施形態2】全面電極に、「/」型の幅5μmの開口
部が多数配置された電極付き基板と、1画素の大きさが
100μm×100μmの電極が10μm間隔で多数配
置された電極付き基板を、上下基板として用いた。
【0111】前記第1の実施形態と同様の手順により、
基板上に配向膜を作製し、ラビング処理を行った。ラビ
ング方向は、上側基板と下側基板のラビング方向が90
°の角をなすようにし、かつ基板中央の液晶分子が開口
部と直交する方向となるようにした。前記第1の実施形
態と同様の方法で、上下基板を張り合わせた。この際、
電極開口部が100μm×100μmの電極の中央に対
角上に来るように張り合わせた。
【0112】モノマー量を0.3wt%とした以外は前
記第1の実施形態と同様に、液晶を注入し、紫外線を照
射した。その後、110℃から、5V、20Hzの正弦
波を印加しつつ、20℃/分で冷却した。
【0113】得られたセルを偏光顕微鏡で観察すると、
各画素が開口部を境に、液晶のねじれ方向が同一で立上
り方向が反対の2領域に等分されていた。また、開口部
の位置および各画素の周辺部には、液晶のねじれ方向の
反対の領域が存在し、立上り方向の異なる領域が直接接
している部分は認められなかった。クロスニコル下で観
察すると電圧印加持に光漏れが生じる部分は認められな
かった。また、電圧印加直後においても液晶の立上り方
向に乱れた部分は認められなかった。
【0114】前記第1の実施形態と同様に、正面コント
ラストを測定すると5Vで、200:1であった。同様
のセルをクロスニコルに偏光板を取り付け後、回転ステ
ージに設置、その正面に色彩輝度計(トプコン社製 B
M−5A)を設置し、液晶表示装置の視角依存性を調べ
た。液晶表示画面に8階調表示させ、方位角45°間隔
で、各階調表示時の視角依存性を測定した。
【0115】本実施形態においても、図7と同様な視角
特性が得られ、視角の広い方向では60°以内で階調反
転が認められず、視角の最も狭い方向においても40°
以内で階調反転は認められなかった。
【0116】
【比較例1】冷却時に電圧を印加しない以外は、前記第
1の実施形態と同様に液晶表示装置を作製した。冷却後
には均一の領域のみが認められた。電圧を印加するとね
じれ方向が同一で、立上り方向が反対の2種の領域のみ
が生成され、その境界部からは光漏れが認められた。
【0117】
【実施形態3】配向膜としてポリイミド配向膜(日本合
成ゴム製 AL1051)を用い、スプレイ配列となる
ように基板を張り合わせた以外は、前記第1の実施形態
と同様に素子を作製した。セルを110℃まで加熱後、
4V、10Hzの三角波を印加しつつ、40℃/分で基
板を冷却した。
【0118】偏光顕微鏡下で観察すると、図12と同様
の構造が認められた、また電圧印加時においても構造は
安定であり、境界部における光漏れも認められなかっ
た。
【0119】
【実施形態4】注入する液晶として、ZLI4792と
4,4′−ジアクリロイルオキシビフェニルアクリレー
ト(液晶に対して0.3wt%)、ベンゾインメチルエ
ーテル(モノマーに対して1wt%)の混合溶液を使用
した以外は、前記第1の実施形態と同様に素子を作製し
た。
【0120】前記第1の実施形態と同様の方法で素子特
性を測定すると正面コントラスト180:1であり、視
角50°以内の範囲で階調間の輝度の順位関係が反転す
ることはなかった。
【0121】
【実施形態5】紫外線モノマーの濃度をそれぞれ0wt
%、0.02wt%、0.05wt%、0.1wt%と
した以外は、前記第1の実施形態と同様に液晶セルを作
製した。冷却直後においてはいずれのセルにおいても図
12と同様の構造が認められた。
【0122】しかし、電圧のON−OFFを繰り返す
と、紫外線モノマー濃度が0wt%の液晶セルにおいて
は液晶のねじれ方向の異なる境界部が消失した。
【0123】
【実施形態6】紫外線モノマーの濃度をそれぞれ2wt
%、4wt%、10wt%とし、紫外線照射時間を5分
間とした以外は、前記第1の実施形態と同様に液晶セル
を作製した。モノマー濃度2wt%、4wt%のセルに
おいては、図12と類似の構造が生成していたが、モノ
マー濃度10wt%のセルにおいては、液晶の配向が乱
れ、90°ねじれとなっていない領域が多く認められ、
電圧非印加時においても散乱が認められた。
【0124】
【実施形態7】前記第2の実施形態と同様にして、配向
膜のみ、Aldrich社製ポリビニルシンナメートのクロロ
ベンゼン/メチレンクロライドの1/1混合溶液(2w
t%)に変え、焼成温度を90℃にし、ラビングのかわ
りに紫外光の直線偏光を照射した。直線偏光の方向はラ
ビングと同様の方向とした。
【0125】前記第1の実施形態と同様に液晶パネルを
作製した。画素と開口部に対応した2分割型の構造が認
められ、視角60°以内の範囲で順位が反転することは
なかった。コントラスト比も200:1であった。
【0126】クリスタルローション法で直線偏光の偏光
方向と垂直な方向のプレティルト角を測定したところ、
ほぼ0°であった。
【0127】
【実施形態8】前記第2の実施形態と同様にして、ポリ
ビニルシンナメートを塗布、直線偏光を露光した後、1
wt%の光重合開始剤(Irgacure651)を混合した1,4-
di-(4-(6-acryloyloxyhexyloxy)benzoloxy)benzeneを塗
布し、50℃に加熱しながら、紫外光を照射し、室温に
戻した。これによりネマチック液晶相で、配向したまま
の状態が基板表面で固定された。このことはテスト用の
ガラス基板を用いて全く同様の処理を行った偏光顕微鏡
観察により確認できた。
【0128】上記の配向膜を用いて、前記第2の実施形
態と同様にしてセルを作成した。冷却後、前記第7の実
施形態と同様の構造ができているのが確認できた。
【0129】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来のTN形の液晶表示装置と同様の簡易な方法で製造
可能な広視野角かつ高コントラストの液晶表示装置を実
現するという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶表示装置の構成原理を説明す
るための断面図である。
【図2】液晶のツイスト方向が同一で、立上り方向が反
対の領域の境界部を説明するための断面図である。
【図3】本発明に係る液晶表示装置における、液晶のツ
イスト方向が反対の領域の境界部を説明するための断面
図である。
【図4】スプレイ配列を示す図である。
【図5】本発明に係る液晶表示装置の液晶層を説明する
ための断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置におけ
る、透過率、コントラスト比と電圧の関係を示す図であ
る。
【図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置におけ
る、視野特性を示す図である。
【図8】従来の液晶表示装置の断面図である(電圧非印
加)。
【図9】従来の液晶表示装置の問題点を説明するための
断面図である(電圧印加)。
【図10】従来の液晶表示装置の斜視図である。
【図11】従来の液晶表示装置の断面図である。
【図12】従来の液晶表示装置の偏光顕微鏡写真であ
る。
【符号の説明】
11 液晶分子 12 高分子 13 プレティルト角 21、31 配向膜 22、32 透明電極 23、33 ガラス基板 34 遮光層 41、42 光線 A、B 液晶のねじれ方向が同一で立上がり方向が反対
の領域 C 液晶のねじれ方向が反対の領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/1337 505

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電極を有する2つの基板間に、液晶の配向
    ベクトルのねじれ方向が同一で電圧印加時の液晶分子の
    立上り方向が反対の2種の領域が共存してなる液晶層が
    挾持された液晶表示装置において、2種の領域の間に、
    液晶の配向ベクトルのねじれ方向が、前記2種の領域と
    異なる領域を前記2種の領域より細く帯状に設けたこ
    とを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】前記液晶層中に0.02wt%以上且つ4
    wt%以下の範囲で高分子が存在していることを特徴と
    する請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】それぞれの基板表面が1方向に配向処理さ
    れている2枚の基板間に、ねじれ特性を有する液晶を注
    入し、 その後、電圧印加下で、液晶相−等方相の相転移温度以
    上の温度から相転移温度以下の温度まで液晶層を冷却す
    ることにより、前記液晶の配向ベクトルのねじれ方向が
    同一で、且つ電圧印加時の液晶分子の立上り方向が反対
    の2種の領域の間に、液晶の配向ベクトルのねじれ方向
    が前記2種の領域と異なる領域を生成させる、ことを特
    徴とする液晶表示装置の製造方法。
  4. 【請求項4】前記液晶のねじれ特性により定まるねじれ
    方向に対する2つの液晶の立上り方向がほぼ等しい確率
    で生じるようにした配向手段を用いてなることを特徴と
    する請求項3記載の液晶表示装置の製造方法。
  5. 【請求項5】前記液晶層の配向膜としてプレティルト角
    が小さい配向膜を用いてなることを特徴とする請求項4
    記載の液晶表示装置の製造方法。
  6. 【請求項6】前記液晶がスプレイ配列とされたことを特
    徴とする請求項4記載の液晶表示装置の製造方法。
  7. 【請求項7】前記2つの基板上の前記電極を異なる形状
    とするか、少なくともいずれか一方の基板上の前記電極
    に所定の開口部を設け、不均一電界を印加して前記領域
    のそれぞれの形状を制御するようにしたことを特徴とす
    る請求項3記載の液晶表示装置の製造方法。
  8. 【請求項8】前記液晶が0.02wt%以上且つ4wt
    %以下の範囲で高分子を含むことを特徴とする請求項3
    記載の液晶表示装置の製造方法。
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