JP2819054B2 - 副燃焼室式断熱エンジン - Google Patents

副燃焼室式断熱エンジン

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JP2819054B2
JP2819054B2 JP17991590A JP17991590A JP2819054B2 JP 2819054 B2 JP2819054 B2 JP 2819054B2 JP 17991590 A JP17991590 A JP 17991590A JP 17991590 A JP17991590 A JP 17991590A JP 2819054 B2 JP2819054 B2 JP 2819054B2
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英男 河村
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株式会社いすゞセラミックス研究所
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、副燃焼室及び主燃焼室の内、少なくとも副
燃焼室の内壁が断熱材にて形成され、外部に対して断熱
されている副燃焼室式断熱エンジンに関する。
(従来の技術) 従来のエンジンでは、シリンダ内にて燃料の燃焼によ
り発生した熱エネルギの内の大半が、機械エネルギに変
換されることなく、排気ガス及び冷却水によって外部へ
排出されている。
該排出されるエネルギの内、排気ガスと共に排出され
るものは、ターボチャージャ等により回収し再生するこ
とができるが、冷却水によって排出されるものは、車内
暖房の熱源程度にしか利用されず、殆どの部分は大気中
へと放熱され、回収されていない。
そこで、燃焼室内壁を断熱材にて形成し、燃焼室内部
から外部へ伝達される熱エネルギ量を抑制し、冷却水に
より失われていた熱エネルギを排気ガスと共に排出し、
ターボチャージャ等により回収する熱エネルギ量を増加
させることにより、エンジンの熱効率を向上させる断熱
エンジンの提案が多数されており、例えば特願昭63−19
5717号として既に出願されている。
(発明が解決しようとする課題) 燃焼室内壁を断熱材にて形成していない、従来のいわ
ゆる冷却エンジンでは、燃料噴射ノズルから噴射された
燃料飛沫は液滴状態のまま燃焼室内の渦流中を移動し、
燃料は該移動中に液滴表面から徐々に蒸発するため、燃
料蒸気は渦流内に均一に分散し混合される。
ところが上記の、燃焼室内壁を断熱材にて形成した断
熱エンジンでは、燃焼室内部温度は冷却エンジンの燃焼
室内温度より数百度も高温となるため、燃焼噴射ノズル
から噴射された燃料は直ちに蒸発し気体となり、燃焼室
内を貫通する力を失い燃焼室内部の渦流速に支配される
回転流と同一速度となり、従って燃料蒸気が充分に拡散
せず、部分的に高濃度の混合気が生成されることにな
る。
更に、該不完全混合状態の混合気が主燃料室に噴出す
る際には噴孔が絞りとなり上記理由により副燃焼室内で
の燃焼が遅延し圧力上昇速度が低くなるため、副燃焼室
から主燃焼室への噴出速度が低速となり、主燃焼室内圧
力は急速に上昇することがなく、いわゆる等容燃焼の比
率が低下する。従って、副燃焼室内温度は高温状態が継
続され、主燃焼室での燃焼期間が長くなる。
すると、エンジンの性能が低下するばかりでなく排気
ガス中に含有される有害物質の排出量も増加するという
問題がある。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、断熱エ
ンジンの燃焼室内での燃料蒸気と空気との混合を良好に
行ない、かつ副燃焼室を含め燃焼室全体の温度を低温度
に抑制することのできる副燃焼室式断熱エンジンを提供
しようとするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明によれば、少なくとも副燃焼室の内壁が断熱材
にて形成されている副燃焼室式断熱エンジンにおいて、
シリンダの中心軸と平行で且つ同一の距離にある複数枚
の平面にて内周面が構成された副燃焼室と、該副燃焼室
に設けられ上記複数枚の平面のおのおのに対して所定角
度傾斜して燃料を噴射し該燃料の液滴をこれら平面に衝
突せしめる燃料噴射ノズルと、ピストンのヘッド面中央
部に設けられ該ピストンの上死点付近にて燃料噴射ノズ
ルから燃料が噴射され燃料が衝突拡散するまで上記副燃
焼室と主燃焼室との連絡口である噴孔の開口部と嵌合し
て該噴孔の開口面積を狭窄する突起とを有することを特
徴とする副燃焼室式断熱エンジンを提供できる。
(作用) 本発明の副燃焼室式断熱エンジンでは、断熱材にて形
成されている副燃焼室の内壁に、噴霧された燃料の飛沫
を衝突拡散させる。そして、該衝突拡散が充分に行われ
るまで、ピストンヘッド部に設けられた突起にて噴孔を
閉鎖し、不完全混合状態の混合気が主燃焼室側へ噴出す
ることを防止する。更には、均一に混合された混合気が
主燃焼室へと噴出する際には、一気に噴孔を開放し絞り
抵抗なしに混合気を噴出させ、該混合気と主燃焼室内部
の空気との混合、すなわち二次混合を良好に行なうと共
に、副燃焼室内の圧力を急速に低下させ燃焼温度を抑制
する。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に従って詳細に説明す
る。
第1図は、本発明によるエンジンの構造を示す断面図
である。
1はシリンダブロックであり、該シリンダブロック1
の内周面にはシリンダスリーブ11が嵌合されている。
該シリンダブロック1の上部には、シリンダヘッド2
が配設されており、該シリンダヘッド2の主燃焼室側内
壁は断熱性を有するセラミック等により形成された断熱
層21で被覆されている。
尚、該断熱層21とシリンダブロック1との間に空隙層
を設けた断熱構造とすることにより断熱性を向上させる
ことが可能である。
また、主燃焼室と外部とを連通する吸気管路及び排気
管路には、各々吸気バルブ(図示せず)及び排気バルブ
(図示せず)が配されており、該吸気管路及び排気管路
と主燃焼室との間を開閉制御している。
該シリンダヘッド2には、更に上記断熱層21と同様の
セラミック材等により形成された副燃焼室3が設けられ
ている。
尚、該副燃焼室3も上記断熱層21と同様に断熱構造を
採用することが可能である。
そして、該副燃焼室3には該副燃焼室3内部に燃料を
噴射する燃料噴射ノズル31が配設されている。尚、該燃
料噴射ノズル31の先端部からの実線矢印は燃料の噴射方
向を示すものであり、該図より明らかなごとく、燃料噴
射ノズル31から噴射される燃料は副燃焼室3の内壁面に
衝突するように設定されている。
また、該副燃焼室3には上記主燃焼室と連通する噴孔
32が設けられており、上記シリンダスリーブ11内を摺動
するピストン4のピストンヘッド部に設けられた突起41
が、該ピストン4の上死点近傍位置にて、上記噴孔32内
部に侵入し、該噴孔32の開口部面積を狭窄する。尚、鎖
線矢印にて示す流れは、該狭窄された噴孔32から副燃焼
室3へと流入する空気流を示している。
また、ピストンヘッド面上には更に該突起41の突出部
に凹溝42が周設されている。
次に、副燃焼室3の形状について説明する。
第2図は、II−II断面を示す断面図である。
該第2図に示すごとく、副燃焼室3の断面形状は矩形
に形成されており、燃料噴射ノズル31から噴射される燃
料は、噴孔32から副燃焼室3内へと流入した空気による
渦流の回転方向に所定角度傾斜して副燃焼室3内壁の平
面部分に衝突されるので、燃料の一部が該内壁面から反
射し副燃焼室3の中心部へと拡散させるので、該燃料は
内壁面近傍部分に停留することなく、副燃焼室3内部全
体に良好に拡散される。
次に、上記構成によるエンジンの作動について説明す
る。
第3図は、上死点後の副燃焼室近傍部分の拡大断面図
である。
尚、本図(a)は上死点経過後約30度位相角が進行し
た状態を示し、本図(b)は、更に位相角が進行した膨
張行程途中状態を示している。
圧縮行程の進行に伴ないピストン4が上昇すると、主
燃焼室内部の空気は噴孔32を介して副燃焼室3へと流入
し副燃焼室3内部にて渦流を形成する。
ピストン4が更に上昇すると、上死点近傍位置にて突
起41が噴孔32に侵入し、該噴孔32の開口面積を狭窄し閉
鎖する。
該状態にて、燃料噴射ノズル31から副燃焼室3の内壁
面へと燃料が噴射される。該内壁面に衝突した燃料の一
部は該内壁面に沿って反射し、他の燃料は内壁面に付着
し、高温状態にある該内壁面からの熱伝達を受け、共に
直ちに気化し副燃焼室3内にて燃料蒸気と空気との混合
が完了する。
該混合された混合気の一部は燃焼を開始するため、副
燃焼室3内部の圧力は上昇する。
すると、混合気の残りの部分は噴孔32と突起1との隙
間から徐々に主燃焼室へと噴出する。該噴出する混合気
は凹溝42内に残留している空気により燃焼し、主燃焼室
各部へと拡散する。
ピストン4が更に下降し、本図(b)に示すように突
起41が噴孔32から離脱すると、副燃焼室3内の未燃焼混
合気は該噴孔32から主燃焼室へと一気に噴出する。
よって、燃焼の大部分は、初期においては濃混合気で
ある副燃焼室内で、そして後期においては主燃焼室内に
て行われると共に、ピストン4は下降中であるため主燃
焼室の内部圧力は余り上昇せず、よって燃焼温度を低温
度に抑制することができる。
以上から明らかなように、本発明によるエンジンで
は、副燃焼室3という小空間にて燃料の衝突拡散により
混合気を生成し、壁面から伝達される熱エネルギにより
混合気の気化を促進し、また混合気が副燃焼室内に滞留
する時間を延長することにより均一な混合気を生成し、
更に主燃焼室への噴出を一気に行うことにより燃焼温度
を抑制し、かつ燃焼の大部分を主燃焼室内にて行うとい
う特徴を有している。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、本
発明の精神から逸れないかぎりで、種々の異なる実施例
は容易に構成できるから、本発明は前記特許請求の範囲
において記載した限定以外、特定の実施例に制約される
ものではない。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、断熱材にて形
成されている副燃焼室の内壁に、噴霧された燃料の飛沫
を衝突拡散させ、該衝突拡散が充分に行なわれるまで、
ピストンヘッド部に設けられた突起にて噴孔を閉鎖する
ので、副燃焼室内での混合を促進し不完全混合状態の混
合気が主燃焼室側へ噴出することを防止する。
更には、均一に混合された混合気が主燃焼室へと噴出
する際には、一気に噴孔を開放し絞り抵抗なしに混合気
を噴出させ、該混合気と主燃焼室内部の空気との混合、
すなわち二次混合を良好に行なうと共に、副燃焼室内の
圧力を急速に低下させ燃焼温度を抑制するので、窒素酸
化物等の生成を減少させることができる。
更には、燃焼の大部分が主燃焼室内にて行われるた
め、エンジン効率等の性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明によるエンジンの構造を示す断面図、
第2図は、II−II断面を示す断面図、第3図は、上死点
後の副燃焼室近傍部分の拡大断面図である。 1……シリンダブロック、2……シリンダヘッド、3…
…副燃焼室、4……ピストン。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも副燃焼室の内壁が断熱材にて形
    成されている副燃焼室式断熱エンジンにおいて、シリン
    ダの中心軸と平行で且つ同一の距離にある複数枚の平面
    にて内周面が構成された副燃焼室と、該副燃焼室に設け
    られ上記複数枚の平面のおのおのに対して所定角度傾斜
    して燃料を噴射し該燃料の液滴をこれら平面に衝突せし
    める燃料噴射ノズルと、ピストンのヘッド面中央部に設
    けられ該ピストンの上死点付近にて燃料噴射ノズルから
    燃料が噴射され燃料が衝突拡散するまで上記副燃焼室と
    主燃焼室との連絡口である噴孔の開口部と嵌合して該噴
    孔の開口面積を狭窄する突起とを有することを特徴とす
    る副燃焼室式断熱エンジン。
  2. 【請求項2】上記ピストンのヘッド面上の突起突出部周
    囲に設けられた凹溝を有することを特徴とする請求項1
    に記載の副燃焼室式断熱エンジン。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018187811A1 (en) * 2017-04-07 2018-10-11 Nautilus Engineering, Llc Improved systems and methods of compression ignition engines
US10125666B2 (en) 2016-01-14 2018-11-13 Nautilus Engineering, Llc Systems and methods of compression ignition engines
US10927750B2 (en) 2016-01-14 2021-02-23 Nautilus Engineering, Llc Systems and methods of compression ignition engines

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