JP2817683B2 - 大空間火災の消火放水条件設定方法 - Google Patents

大空間火災の消火放水条件設定方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴミピット等の大
空間における火災の消火に際し、任意の火災発生点に対
する放水条件の決定方法とそれを用いた大空間の自動消
火装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えばゴミピットにおいては、大空間内
に大量の可燃物が貯留されることになり、メタンガス等
の可燃性ガスの発生によって火災の発生頻度が比較的高
いのが現状である。従ってゴミピットの建設において
は、火災発生を迅速に発見しかつ確実に消火できるシス
テムの設置が望まれる。そして、このようなゴミピット
の消火装置については、特開平3−73172号等がそ
の代表例として既に提案されている。この特開平3−7
3172号に記載のものは、赤外線カメラによってゴミ
ピット内のゴミ表面を常時走査し、その一部に表面温度
の高い部分があると自動放水銃装置によってゴミ表面の
高温区域に向かって自動的に放水するものである。そし
て消火に当たっては、放水銃口を高温区域に向けて放水
を行うことを特徴としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のゴ
ミピットの消火装置については、その放水銃口の位置決
定の方法に起因する以下の問題点があった。具体的に
は、火災発生点に対して消火用水を放水する際の放水銃
制御に伴うデータ処理と、その精度の問題が挙げられ
る。すなわち、消火の際に図8に示しているように紙面
の前後・左右・上下方向の三次元座標(x,y,z)に
よって決まるゴミ表面50の火災発生点Fに向かって放
水銃52の銃口を向けて放水することに起因する問題で
ある。上記従来の消火装置は、火災発生点Fに放水銃5
2の銃口を向けて消火することを前提にしており、放水
銃52から発射された消火用水は、図のように直線の軌
跡Pを描いて火災発生点Fに到達することを前提にして
いると考えられる。しかしながら実際の消火用水は放物
線の軌跡を描くことは明らかであり、その結果として放
水銃52から火災発生点Fまでの距離が長くなるほど誤
差が大きくなるという点が問題となる。そこでこの誤差
を小さくするためには、火点検知対象領域全体を複数の
単位領域に分割し、個々の単位領域に消火用水が到達す
るような放水銃の位置を個々の単位領域それぞれに対し
て予めデータとして与えておくことも考えられるが、デ
ータの量が膨大になることからシステムが大掛かりにな
ったり、特定データの検索に時間が掛かったり、あるい
はコストアップを招いてしまうことになり、実現性は小
さい。従って、従来の消火装置においては消火用水の軌
跡を直線として扱わざるを得ない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した従来の
消火装置とその放水銃制御における問題点を解決し、自
動消火装置としての放水精度が高くかつ低コスト化が可
能な、大空間火災の消火放水条件設定方法を提供するも
のである。上記課題は、大空間の所定位置に設けられた
消火用放水銃から火災発生点に向けて放水を行う際の放
水銃の銃口位置を、火災発生点の座標に対する放水銃口
の水平方向位置を放水銃身の水平方向旋回角として、ま
た放水銃口の垂直方向位置を放水銃身の俯仰角としてそ
れぞれ設定するにあたり、予め設定された放水銃身の俯
仰角可変範囲の両端の俯仰角によって得られる2本の放
水曲線と、俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角
によって得られる1本の放水曲線から決まる2つの俯仰
角制御範囲から始まり、火災発生点が存在する側の俯仰
角制御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分
の1に分割する俯仰角から得られる放水曲線によって順
次俯仰角制御範囲を狭めていき、火災発生点に最も接近
するか又は一致する放水曲線を与える俯仰角として、放
水のための放水銃身の俯仰角を決定する、大空間火災の
消火放水条件設定方法とすることで解決できる。この方
法をさらに詳細に説明すると以下のようになる。放水銃
身の一つの俯仰角を与えると一つの放水曲線が決定さ
れ、一つの放水到達点が求まる。そして上記方法では、
火災発生点と一致、又は最も接近する放水到達点が得ら
れる俯仰角を求めるに当たり、放水銃身の俯仰角可動範
囲を先ず2分の1に分割する放水曲線の放水到達点が、
火災発生点と一致するか否か比較する。一致しなけれ
ば、次にこの俯仰角可動範囲を2分の1に分割した前記
放水曲線の放水到達点と、火災発生点が存在する側にお
ける放水銃身の俯仰角可動端との間を2分の1に分割す
る新たな放水曲線の放水到達点が、火災発生点と一致す
るか否か比較する。このようにして、2つの放水曲線に
挟まれた俯仰角制御範囲の両端に相当する俯仰角範囲
を、順次2分の1に分割して俯仰角制御範囲を狭めてい
き、最終的に火災発生点に最も接近するか又は、一致す
る放水到達点を与える俯仰角を、放水のための放水銃身
の俯仰角として決定する。
【0005】そしてより具体的には、予め設定された放
水銃身の俯仰角可変範囲を2分の1に分割する俯仰角に
よる放水曲線から、放水銃からの水平距離が火災発生点
と同一距離となる第1番目の放水到達点を求めて、この
第1番目の放水到達点と火災発生点との位置関係を比較
し、当該第1番目の放水到達点に対して火災発生点が存
在する側の前記俯仰角制御範囲において、当該俯仰角制
御範囲の両端の放水曲線を与える俯仰角範囲を2分の1
に分割する俯仰角から得られる放水曲線により、放水銃
からの水平距離が火災発生点と同一距離となる第2番目
の放水到達点を求め、これ以降同様に、火災発生点との
位置関係を比較して順次火災発生点の存在する側の俯仰
角制御範囲をその俯仰角範囲を2分の1に分割して狭め
ることにより、最終的に火災発生点と最も接近するか又
は、一致する最新の第n番目の放水到達点を与える俯仰
角を、放水のための放水銃身の俯仰角として決定する方
法を取ればよい。
【0006】そして俯仰角から放水曲線を求める際に
は、放水銃から放水された水の運動に基づいた、空気抵
抗のある放物運動の運動方程式として近似すると、誤差
を少なくすることができる。この運動方程式は、空気抵
抗成分に対応する定数を含むものであり、予め実際に対
象となる大空間とほぼ同一規模での放水実験を行い、放
水の軌跡からこの定数を求める方法等が例示できる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明による火災の検知から消火
までの流れは、概ね以下のような実施形態となる。ゴミ
ピット等の大空間の天井や壁面の適所に設けた固定赤外
線カメラにより、火点検知対象領域を監視する。この時
には後述するように火災発生点を三次元座標として特定
するため、必要に応じて赤外線カメラを複数台設置して
おく。そして火点検知対象領域内において火災発生の高
温に対応する赤外線の放射が認められると、画像データ
処理装置によって例えば2台の赤外線カメラからの画像
信号を演算処理して、火災発生点を三次元座標として特
定する。火災発生点の座標が特定されると、例えば特定
された火災発生点の座標と放水銃とを通る鉛直平面
(Y,Z成分)を想定する。そしてこの鉛直平面の基準
位置からの水平方向旋回角によって、放水銃口の水平方
向位置を設定する。さらに放水銃口の垂直方向位置につ
いては、この鉛直平面内で下記の方法によって放水銃身
の俯仰角として設定する。以下図1を参照し、この銃身
の俯仰角の設定について詳細に説明する。
【0008】図1は、放水銃と火災発生点を通る鉛直平
面1を表しており、図中A点は放水銃、F点は火災発生
点、Cx は、予め設定された、放水銃身の俯仰角可動範
囲の上方端の俯仰角から求まる放水曲線で、本例では最
遠方の放水到達点Lx を与えるもの、Cn は、同俯仰角
可動範囲の下方端の俯仰角から求まる放水曲線で、本例
では最至近の放水到達点Ln を与えるもの、Cm は、同
俯仰角可動範囲の中間点の俯仰角から求まる放水曲線
で、Lx とLn の間の放水到達点Lm を与えるもの、を
それぞれ表している。これより、先ず2つの俯仰角制御
範囲θ1 ,θ2 が構成される。そして、火災発生点を通
り放水銃からの水平距離(YA )が同一となる点線a−
b上に最終的な放水到達点が存在するとして、以下の方
法によって最終的な俯仰角が求められる。いまF点で発
火が確認されると、先ず俯仰角可動範囲を2分の1に分
割する中間点の俯仰角に基づいて、空気抵抗を考慮した
放物運動の運動方程式から、放水到達点Lm を求める。
ここで、放水用水の初速度V0 と放水銃身の俯仰角λは
それぞれ決まっているので、初速度のY成分VY0とZ成
分VZ0は、下式 VY0=V0 cosλ … (1) VZ0=V0 sinλ … (2) で与えられる。そして、これら2式により求められた初
速度V0 のY成分VY0とZ成分VZ0を基に、以下の放物
運動の運動方程式(3) ,(4) より、放水到達点Lm のZ
座標を求める。なお、YA とは、前述のように、想定さ
れた鉛直平面1内における放水銃口と火災発生点との間
のY方向距離を表すものである。またX,Y,Z座標の
取り方と特定方法については後述する。 YA =VY0(1−e-kt )/k … (3) Z=−gt/k+{(VZ0+g/k)(1−e-kt )}/k … (4) ここで、式中の定数kは空気抵抗成分に対応するもので
あるが、その詳細についても後述する。
【0009】以下、(3) ,(4) 式から一つの俯仰角に対
応するZ座標を求める方法について詳細に説明する。火
災発生点の座標(X,Y,Z)が後述の方法によって求
められると、放水銃身の水平方向旋回角tは、図2に示
すように、X,Yの座標より、下式(5) t=tan-1(X´/Y) …(5) で求められる。次に、図1、図2に示すように、鉛直平
面1内での放水銃口から火災発生点までの水平方向距離
A を求め、(3) ,(4) 式から放水銃身の俯仰角λに対
応する放水到達点のZ座標を求める。すなわち、放水銃
口から火災発生点までの水平方向距離YA は、図2よ
り、下式(6) YA =√{Y2 +(X´)2 } …(6) によって求められ、YA が求まると、式(3) をtの式に
変形した下式(7) t=−〔log{1−(YA k/V0 cosλ)}〕/k …(7) を、式(4) に代入し、下式(8) Z=〔log{1−(YA k/V0 cosλ)}g/k +sinλYA k/cosλ+YA g/V0 cosλ〕/k…(8) により、一つの俯仰角λに対応するZ座標が演算され
る。なお、前述のようにこのZ座標は、放水銃からの水
平距離が火災発生点と同一距離となっている。
【0010】このようにして、先ず俯仰角可動範囲の中
間点(2分の1に分割する点)の俯仰角から求まる放水
曲線Cm によって与えられる放水到達点Lm のZ座標を
演算し、火災発生点Fが2つの俯仰角制御範囲θ1 ,θ
2 のいずれに存在しているかを判定する。そして図示す
るように、仮に火災発生点Fが、俯仰角制御範囲θ1
に存在している場合は、次に上記放水到達点Lm を与え
るところの、俯仰角可動範囲の中間点の俯仰角と、同俯
仰角可動範囲の下方端(すなわち最至近の放水到達点L
n を与える俯仰角)との中間点の俯仰角から求まる放水
曲線Cm1から与えられる放水到達点Lm1のZ座標を演算
し、同様に2つの俯仰角制御範囲θ3 ,θ4 のいずれに
火災発生点Fが存在しているかを判定する。そして、火
災発生点Fがθ4 に存在しているとすると、今度は放水
到達点Lm と同Lm1をそれぞれ与える俯仰角制御範囲θ
4 を2分の1に分割する俯仰角から求まるところの、放
水到達点Lm2を与える放水曲線Cm2により、俯仰角制御
範囲θ4 を同θ5 ,θ6 に分割し、同様に火災発生点F
がθ5 ,θ6 のどちらの俯仰角制御範囲に存在するかを
判定する。このように、順次俯仰角制御範囲を狭めてい
くと、最終的には、火災発生点Fに最も接近するか、又
は一致する放水曲線を与える最適俯仰角が見つかるの
で、この最適俯仰角を放水のための放水銃身の俯仰角
(放水銃口の垂直方向位置)として決定し、先に求めた
水平方向位置とともに放水銃の駆動制御データとして与
え、放水銃を当該火災発生点Fを狙えるよう制御し、放
水する。
【0011】この一連の演算フローを、図3にアルゴリ
ズムとして表している。図から明らかなように、常に最
新の放水到達点と火災発生点Fとの位置座標を比較し、
火災発生点側に俯仰角を繰り返し2分の1に分割してい
き、最終的な火災発生点に最も接近するか又は一致する
放水到達点を与える俯仰角を決定する。なお、図のアル
ゴリズムは、俯仰角可動範囲を水平に対して+10°の
仰角(上向き)から−90°の俯角(下向き)まで(1
00°の範囲)としたものである。
【0012】次に、定数kについて説明する。この定数
kは空気抵抗成分に対応するものであり、実際の放水実
験によって予め決定されるものである。この放水実験
は、図4に示すように、本発明の消火対象領域となる大
空間に相当する大きさを有する放水対象領域で実際に放
水を行い、その放水軌跡を写真撮影して理論式からのズ
レを測定し、kの値を決定した。図中3は放水銃5が先
端に設置される放水塔であり、C1 ,C2 …は放水銃身
7の俯仰角λ1 ,λ2 …に対応する放水軌跡を表してい
る。またGは地表面を表し、L1 ,L2 …は上記放水軌
跡C1 ,C2 …の地表到達点を表している。そしてkを
変化させ、地表到達点L1 ,L2 …と放水銃5との間の
水平距離Dを計算し、実際の放水実験から観測された水
平距離Dとの誤差を評価し、最適なkの値を決定した。
そして、kを最適化することで、放水銃5の高さ25
m、最遠到達点40m程度の規模において、±3m以内
の到達点誤差が得られた。この±3m程度の誤差であれ
ば、後述するように、放水時に放水銃口を振ることによ
って十分カバーすることができる。
【0013】また、図4で説明した放水実験の際には、
放水銃身7の俯仰角によっては、放水が地表(到達点)
に達する前に霧状に散乱してしまうという現象が見られ
た。これは空気抵抗の影響によるものと思われ、実際に
本発明による大空間の自動消火装置を設計する際の重要
な指針となる。すなわち、実際の大空間においては、放
水実験における放水塔3の高さに相当する放水銃5の取
り付け高さは分かっているので、当該高さから放水した
場合、どの程度の到達点距離までは霧状にならずに明確
な放水軌跡を描くかを、予め設計要素として考慮するこ
とができる。そして、大空間の大きさが、明確な放水軌
跡でカバーできないような大きさの場合は、放水銃5を
複数本設置しておけばよい。
【0014】以上に説明した放水曲線および放水到達点
の演算は、空気抵抗に基づくk値と放水の初速度V0
定数として扱っており、設置場所の環境や水圧が異なる
ことによってこれら2つの値が変化すると、精度の高い
放水ができなくなることが考えられる。すなわち、水圧
が変われば初速度V0 とkの値も変わるので、放水銃5
が決まると、予め放水実験から設定される各種の水圧に
対応する初速度V0 とk値の最適値を、放水銃5の設置
現場において選択するようにしておけばよい。また、放
水銃5を設置した後にも水圧をモニターしておき、火災
発生時にその水圧に基づいて初速度V0 とk値を決定
し、これに基づいて上述の一連の演算を行うことで、高
い精度を維持することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例として、本発明を用い
た大空間の自動消火装置について説明する。図5は、本
発明を用いたゴミピットの自動消火装置の概要図であ
る。図のようにゴミピット9の上部A点に設置した放水
銃より、貯留されているゴミ11の表面における火災発
生点Fに向かって、放水曲線13として示す軌跡で消火
用水が放水される。この時は、火災発生点Fの座標と放
水銃、すなわちA点とを通る鉛直平面1を想定する。そ
してこの鉛直平面1をどの方向に向けるかについてが、
鉛直平面1と基準方向Bとの間の角度t、すなわち放水
銃の旋回角として決定される。一方、鉛直平面1内の各
座標に対する放水曲線13の決定も、前述のようにA点
に設置される放水銃の俯仰角によって与えられる。なお
図1も含め、本図例では、鉛直平面1にマス目が入って
いるが、これは放水銃身の俯仰角の決定に要する時間を
より短縮する場合のために設定される単位領域15を表
している。すなわち、自動消火装置を構成する際のハー
ド上の制約等により、前記図1〜図3で示した演算過程
で位置の特定に時間を要する場合、火災発生点が含まれ
る単位領域15を通過する放水曲線を与える俯仰角をも
って、放水のための俯仰角として決定することで、俯仰
角の決定に要する演算回数が少なくなり、一層の時間短
縮となる。そして実際の放水時においては、この単位領
域全体をカバーできるように放水銃を振れば、確実に消
火することができる。ここで、この単位領域15の大き
さは、少なくとも従来のように放水銃口を火災発生点に
向けて放水する場合の誤差範囲より、小さくしておく必
要があることは言うまでもない。
【0016】ここで上記図5の例は放水銃を一か所に設
置した例であるが、図例では一つの鉛直平面1でゴミピ
ット9内の全領域をカバーすることはできないし、また
前述のように、ゴミピットの大きさが、放水到達点で霧
状になってしまう距離以上の場合もあるので、ゴミピッ
ト9の形状や大きさによっては2か所またはそれ以上の
設置数とすればよい。そして放水銃を複数箇所に設置す
ると、ゴミ11の表面凹凸によって放水銃からの放水が
妨げられる場合でも、凹凸の陰にならない側の放水銃か
ら放水すると確実な消火が可能になるという効果もあ
る。そして複数箇所に設置する場合でも、一つの放水銃
に対しては一つの鉛直平面1が想定されることになる。
また図1では放水銃をゴミピット9の最上部に取り付け
た例を用いているが、ゴミ11の最大貯留レベルを考慮
してゴミピット9の最上部ではなく高さ方向適所に設置
することもできる。
【0017】またゴミピット9内においては、メタンガ
ス等の可燃性ガスの存在により、火災発生に伴う赤外線
の検出から消火用水の放水までの短時間の間に火が周囲
に広がることが予想され、しかも火の広がる方向も予想
しづらいのが現状である。従って、前述の誤差の吸収と
併せ、消火時に放水銃を前後左右に振ったり、円運動さ
せれば良い。
【0018】次に、赤外線カメラによる火災発生点の座
標の特定について説明する。ここでは、赤外線カメラの
駆動トラブルの防止とコストダウンを図るため、火点検
知対象領域全体がおさまる全視野を有する固定赤外線カ
メラによって赤外線を検出する構成が提案される。これ
には例えば広角レンズを用いればよいが、一般に視野角
が広角になる程、視野の上下左右端の歪みが増加してし
まう。そこで、赤外線カメラから得られる赤外線画像デ
ータの各画素と、実際の視野における各画素との関係を
予め調査して補正する方法が採用されうる。そして火災
発生点の三次元座標の決定に当たっては、1台の固定赤
外線カメラから得られる2次元画像とゴミピット上部に
設置されるゴミピットクレーンのゴミ高さ情報を用いて
もよいし、2台の固定赤外線カメラを用いて演算処理し
てもよい。ここで、2台の固定赤外線カメラを用いた演
算処理は、およそ以下のようになる。図6には、2台の
固定赤外線カメラを用いて火災発生点の3次元座標を求
める場合の原理図を、図5に基づいて表している。図例
のものは、図5にも示すようにゴミピット9の相対向す
る短辺の中央に1台ずつ計2台の固定赤外線カメラD、
Eを設置し、F点で示される火災発生点を検出すること
を想定している。そして本図は、図5における矢印イ方
向から見た平面図を(イ)として、また矢印ロ方向から
見た側面図を(ロ)としたものである。いま仮に図5に
おけるS点を3次元座標の原点とすると、火災発生点F
の座標(X,Y,Z)は、以下の式で与えられる。 X=Y/tanθD … (9) Y=btanθD /{1+(tanθD /tanθE )}…(10) Z=XtanθJ …(11) なおこれら式(9) 〜(11)による演算は、固定赤外線カメ
ラに接続した画像データ処理装置によって行えばよい。
【0019】続いて図7には、本発明による自動消火装
置の実施例を、ブロック図として表している。図例のも
のは前述のZ座標に相当するゴミの高さ情報を、ゴミバ
ケットクレーン20の情報からゴミクレーンコンピュー
タ22を通して得るものである。図中21は広角赤外線
カメラを用いた固定赤外線カメラ、23は固定赤外線カ
メラ21からの情報に基づいて、火災を検知とその座標
を特定する画像データ処理装置、25は放水銃制御手段
をそれぞれ表している。ここで、固定赤外線カメラ21
は赤外線受光素子を用いるので、この素子はペルチェ効
果等を用いた電子冷却によって冷却すればよい。また、
ゴミピット9内には腐食性ガスが存在しているので、一
例として固定赤外線カメラ21をゴミピット9の天井付
近に設置し、カメラ21の収容空間からゴミピット9の
天井の外部に配管を貫通し、外気が前記収容空間内を循
環するようにしておけばよい。このようにすることでカ
メラパージを簡便な構造で行うことができる。また本例
では現場作業者による手動火災操作も兼用できるよう、
この放水銃制御手段25を、図示するように「放水銃制
御操作部」として放水銃駆動手段を一体的に構成する
(内部機能的には分離されている)一方、放水銃26の
手動操作のための指示を現場操作盤28に出力できるよ
うな構成となっている。その他ポンプ27、ポンプ自動
制御部29、CO検出器31、建築火災報知器33、シ
ステム監視部35等の付帯装置は、ゴミピット9の火災
検知、消火を円滑に行うためのものであり、本図例に何
ら限定されるものではない。
【0020】
【発明の効果】以上のように本発明は、火災発生点への
放水条件の設定に当たり、放水銃口の垂直方向位置を、
放水銃身の俯仰角を変えてその場で放水到達点を演算
し、火災発生点に最も接近するか又は、一致する放水到
達点を与える俯仰角として設定するものである。具体的
には、従来のように火災発生点に放水銃口を向けて放水
するものではなく、空気抵抗を考慮にいれた放物運動の
運動方程式から放水曲線を近似する。さらにこの時に
は、実際の放水実験から空気抵抗に関する定数kが決定
され、この定数kの項を含めた運動方程式が用いられ
る。従って、消火用水の放水軌跡を、従来のような直線
として考えるのではなく、実放水に極めて近似する放物
線として捕らえているため、精度が大幅に向上する。特
に本実施例で取り上げたゴミピットの場合、最終的には
焼却することから消火用水をできるだけ少なくしたい
為、本発明は極めて有用である。これは、従来のように
大きな誤差を含んでいる場合には、確実に消火するため
に放水銃を振り、火災発生点の周囲のより広範囲に消火
用水を放水する必要があるところ、本発明ではこの誤差
が非常に小さいため、放水銃を振る範囲が従来に比べて
大幅に小さくなるからである。このように本発明では、
従来のようにコンピュータ処理において膨大な座標デー
タから特定のデータを検索する方法と異なり、俯仰角が
演算によって決定されるため、その処理速度が極めて速
くなるとともに、データファイル等に要する周辺機器も
少なくなり、機器の小型化、低コスト化も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における俯仰角の決定方法を表すための
説明用図。
【図2】本発明における俯仰角の決定方法を表すための
説明用図。
【図3】本発明における演算フローを表す説明用アルゴ
リズム。
【図4】定数kを決定するための放水実験の実施態様を
表す説明図。
【図5】本発明を用いたゴミピットの自動消火装置の概
要図。
【図6】二台の固定赤外線カメラを用いて火災発生点の
三次元座標を求める場合の原理図。
【図7】本発明による自動消火装置の実施例を表す説明
用ブロック図。
【図8】従来の放水銃制御を説明するための概略図。
【符号の説明】
1 鉛直平面 3 放水塔 5,26,52 放水銃 7 放水銃身 9 ゴミピット 11 ゴミ 13 放水曲線 15 単位領域 20 ゴミバケットクレーン 21 固定赤外線カメラ 22 ゴミクレーンコンピュータ 23 画像データ処理装置 25 放水銃制御手段 27 ポンプ 28 現場操作盤 29 ポンプ自動制御部 31 CO検出器 33 建築火災報知器 35 システム監視部 50 ゴミ表面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 篤 愛知県名古屋市中村区名駅四丁目8番10 号 サンテクノ株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−186274(JP,A) 実開 昭60−190347(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A62C 3/00 A62C 35/00 - 39/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大空間の所定位置に設けられた消火用放水
    銃から火災発生点に向けて放水を行う際の放水銃の銃口
    位置を、 火災発生点の座標に対する放水銃口の水平方向位置を放
    水銃身の水平方向旋回角として、また放水銃口の垂直方
    向位置を放水銃身の俯仰角としてそれぞれ設定するにあ
    たり、 予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲の両端の俯仰
    角によって得られる2本の放水曲線と、俯仰角可変範囲
    を2分の1に分割する俯仰角によって得られる1本の放
    水曲線から決まる2つの俯仰角制御範囲から始まり、火
    災発生点が存在する側の俯仰角制御範囲の両端の放水曲
    線を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から
    得られる放水曲線によって順次俯仰角制御範囲を狭めて
    いき、火災発生点に最も接近するか又は一致する放水曲
    線を与える俯仰角として、放水のための放水銃身の俯仰
    角を決定する、大空間火災の消火放水条件設定方法。
  2. 【請求項2】予め設定された放水銃身の俯仰角可変範囲
    を2分の1に分割する俯仰角による放水曲線から、放水
    銃からの水平距離が火災発生点と同一距離となる第1番
    目の放水到達点を求めて、この第1番目の放水到達点と
    火災発生点との位置関係を比較し、当該第1番目の放水
    到達点に対して火災発生点が存在する側の前記俯仰角制
    御範囲において、当該俯仰角制御範囲の両端の放水曲線
    を与える俯仰角範囲を2分の1に分割する俯仰角から得
    られる放水曲線により、放水銃からの水平距離が火災発
    生点と同一距離となる第2番目の放水到達点を求め、こ
    れ以降同様に、火災発生点との位置関係を比較して順次
    火災発生点の存在する側の俯仰角制御範囲をその俯仰角
    範囲を2分の1に分割して狭めることにより、最終的に
    火災発生点と最も接近するか又は、一致する最新の第n
    番目の放水到達点を与える俯仰角を、放水のための放水
    銃身の俯仰角として決定する、請求項1記載の大空間火
    災の消火放水条件設定方法。
  3. 【請求項3】放水曲線を、放水銃から放水された水の運
    動に基づいた、空気抵抗のある放物運動の運動方程式と
    して近似する請求項1または2記載の大空間火災の消火
    放水条件設定方法。
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