JP2816157B2 - 核磁気共鳴を用いた検査装置 - Google Patents

核磁気共鳴を用いた検査装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、核磁気共鳴(以下、NMRと略す)を利用し
た検査装置において、傾斜磁場の発生に用いる傾斜磁場
コイルに関し、特に局所部位の撮影に好適な核磁気共鳴
を用いた検査装置に関する。
[従来の技術] 従来、人体の頭部、あるいは腹部等の内部構造を非破
壊的に検査する装置として、X線CTや超音波撮像装置が
広く利用されている。さらに、核磁気共鳴現象を用いて
同様の検査を行うことにより、X線CTや超音波撮像装置
では得られない情報を得ることが可能となっている。
この核磁気共鳴現象を利用した検査装置では、検査物
体からの信号を物体各部に対応させて分離・識別する必
要がある。
また、その方法としては、例えば検査物体に傾斜磁場
を印加し、物体各部での静磁場を互いに異ならせ、これ
によって各部の共鳴周波数、あるいはフェーズ・エンコ
ード量を互いに異ならせることにより、位置情報を得る
方法がある。
なお、この種の装置の基本原理に関連するものには、
例えば“ジャーナル・オブ・マグネティック・レゾナン
ス誌,第18巻(1975年),第69頁(J.Magn.Reson.,No.1
8,1975,p.p69)”あるいは、“フィジックス・イン・メ
ディシン・アンド・バイオロジー誌,第25巻(1980
年),第751頁(Phys.Med.& Biol.,No.25,1980,p.p75
1)”が挙げられる。
このような装置では、傾斜磁場を発生するコイルとし
て検査物体全体を囲む大きさのコイルが広く用いられて
いる。その具体的形状については“フィジィックス・オ
ブ・トランザクション・オン・ロイヤル・ソサィエティ
・オブ・ロンドン誌,第B289巻,第511頁(Phil.Trans.
R.Soc.Lond.,B289,1980,p.p511)”に述べられている。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術は傾斜磁場コイルの電流一磁場変換効率
について配慮がされておらず、高速撮影法において必要
な高速でスイッチングする強い傾斜磁場を発生するため
には、大容量の駆動電源が必要になるという問題があっ
た。
本発明の目的は、傾斜磁場コイルの電流−磁場変換効
率を高めることにより、駆動電源の容量を低減すること
にある。
[課題を解決するための手段] 上記目的は、傾斜磁場コイルを検査対象の特定部位の
専用コイルとして構成することにより達成される。
[作用] 傾斜磁場を発生する従来の代表的なコイルの1つは、
第3図(a)に示すように4個の鞍型コイルをボビン上
に巻いた構造を有し、矢印に示す向きに電流を流す。こ
の時発生する傾斜磁場はx軸方向を向いている。すなわ
ち、yz平面上ではほぼ同じ強さの磁場を有するが、x軸
方向には強さが直線状に変化する磁場である。同様に、
第3図(b)はz方向傾斜磁場を、第3図(c)はy方
向傾斜磁場を発生するコイルを表わす。従来、このよう
な傾斜磁場コイルは直径が60〜100cm程度の円筒ボビン
に巻かれており、被検体はこのコイルの巻かれるボビン
内に挿入されていた。
ところで、傾斜磁場コイルに電流Iを流した時発生す
る磁場は、電流Iに比例し、コイルの大きさに反比例す
る。従って検査物体全体を挿入できる大きさの傾斜磁場
コイルでは、所要の傾斜磁場を発生するのに、極めて大
きな電流が要求される。それに対し本発明では、傾斜磁
場コイルを特定部位専用とし、検査物体の表面近くに設
置するものである。これにより、同一の電流により発生
する傾斜磁場の強さは、従来形に比べ増大する。
その他にもコイルのインダクタンスおよび抵抗が減少
するため、コイルを駆動する電源に対する要求性能も緩
和されることになる。例えば、コイルのインダクタンス
をL,抵抗をRとすると、このコイルに電流I(t)を流
すために必要な電圧V(t)は次式で与えられる。
コイルを小型化することにより、RおよびLが1/n
(n>1)になったとすれば、上記電圧も1/nに減少す
る。このような理由により、傾斜磁場コイルを特定部位
の専用とすることにより大幅な効率向上を計れることが
分かる。
ここで述べたコイルは、高周波磁場の送受信に用いら
れるサーフェスコイルと同様の効果を有することは以上
の説明から分かる通りである。従来までは、このような
考えに基づいて構成した傾斜磁場発生コイルは知られて
いなかった。しかし、高速スイッチングの必要な強力傾
斜磁場の発生には、本発明のコイルは極めて有効である
ことが分かる。
[実施例] 第2図は本発明が適用されるNMRを用いる検査装置の
構成図である。図においては、1は制御装置、2は高周
波パルス発生器、3は電力増幅器、4は対象物17から生
ずる信号を検出するとともに高周波磁場を発生するコイ
ル、6は後述する信号検出系、7はA/D変換器、8は信
号処理装置を示している。
また、9,10,11は、それぞれ、z方向およびこれに直
角の方向の傾斜磁場を発生させるコイル、12,13,14は、
それぞれ上記コイル9,10,11を駆動する電源部を示して
いる。これらのコイルにより発生する傾斜磁場により検
査対象の置かれる空間の磁場分布を所望の傾斜を有する
分布とするものである。
制御装置1は、各装置に種々の命令を一定のタイミン
グで出力する機能を有するものである。高周波パルス発
生器2の出力は、電力増幅器3で増幅され、上記コイル
4を励振する。コイル4で受信された信号成分は、信号
検出系6を通り、A/D変換器7でA/D変換された後、信号
処理装置8で画像に変換される。静磁場は電源16により
駆動されるコイル15により発生する。コイル15が超伝導
磁石である場合には、電源16は磁石を励磁する時必要で
あるが、その他の場合には必要ではない。検査物体であ
る人体17は、ベット18上に載置され、上記ベッド18は支
持台19上を移動可能に構成されている。
第1図a,b,cは本発明の実施例の1つとして長円形の
ボビン上に巻いた傾斜磁場コイルの外観を示す。第1図
a,b,cは各々x,z,y方向の傾斜磁場を発生するコイルを示
す。コイル(a),(c)は2組の鞍型コイルを用いて
おり、コイル(b)は1対の円線輪を用いている。図中
矢印は電流の向きを示す。
これらのコイルのボビンは、検査対象物が長円形に近
いことから、それに合わせて長円形にするのが望まし
い。さらに、検査対象物中の特定の部位のみを撮影する
ため、径方向の長さに比べ軸方向の長さを短かくし、電
流−磁場変換効率を高めることが望ましい。
第4図は、本発明の他の実施例を示すもので、傾斜磁
場発生コイルが軸方向に移動可能な構造となっている。
すなわち、ボビンの支持具20には静磁場発生用磁石15の
ボア上を滑ることができるように、先端にローラー21が
付いている。これにより、撮影すべき部位が傾斜磁場コ
イルの中心にくるように、傾斜磁場コイルを任意の位置
に動かすことができる。なお、このローラにはロック機
構が付いており、所定の位置で固定可能となっている。
第5図は本発明の他の実施例を示すもので、静磁場発
生用磁石15の開口部22の一部に突出部23を設けこの中に
傾斜磁場コイル9,10,11を配置した構造となっている。
第6図は第5図に示す装置をz軸方向から見た図を示
す。このコイルは第1図に示す実施例の構造あるいはボ
ビンとして円形を用いた構造でもよい。この突出部は開
口部に沿って移動させることも可能である。
第7図は本発明の他の実施例を示すもので、z軸方向
に傾斜磁場を発生するコイルである。z方向傾斜磁場発
生には従来までは互いに向い合った1対の円線輪を用い
ていた。第1図には本発明の実施例として、同じく互い
に向い合った1対の長円線輪を示したが、いずれも軸方
向に垂直な面内で閉じた曲線となっていた。第7図に示
すコイルは、サーフェス傾斜磁場コイルにより近い形状
として、1個の鞍型コイルを示す。このコイルにより発
生する傾斜磁場はz方向成分の他y方向成分も有する
が、狭い領域に限定すればy方向成分は無視できる。ま
た第8図はこのy方向成分の減少を計るため、第7図に
示したコイルを対で用いた場合を示す。このコイルは従
来コイルおよび第1図に示すコイルとは異なり面ABCDを
境に上下に分割できるので、検査物体をコイル内に挿入
するのに便利である。
[発明の効果] 本発明によれば、電流−磁場交換効率の高い傾斜磁場
を発生できるので、心臓など高速で撮影する場合など、
強い傾斜磁場を高速でスイッチングする必要のある場合
に著しい効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図,第4図,第5図,第6図,第7図及び第8図は
本発明の実施例を示すコイルの斜視図及び断面図、第2
図,第3図は従来例を示すブロック図及びコイルの斜視
図である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 5/055

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静磁場、傾斜磁場および高周波磁場の各磁
    場発生手段と、検査対象からの核磁気共鳴信号を検出す
    る信号検出手段と、該信号検出手段による検出信号の演
    算処理を行なう信号処理手段とを有する核磁気共鳴を用
    いた検査装置において、前記傾斜磁場を発生するコイル
    として、前記検査対象の長軸方向で対向する2つの曲線
    導体部分と、前記長軸方向と直交する方向で対向する2
    つの直線導体部分とからなり、前記2つの曲線導体部分
    と前記2つの直線導体部分とが導電ループを形成する1
    個の鞍型コイルを有し、該鞍型コイルは前記長軸方向に
    傾斜磁場を発生し、前記検査対象の表面近傍に配置され
    ることを特徴とする核磁気共鳴を用いた検査装置。
  2. 【請求項2】前記鞍型コイルが、前記検査対象をはさみ
    対向して前記検査対象の表面近傍に配置されることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項に記載の核磁気共鳴を用
    いた検査装置。
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