JP2812512B2 - パルプ―山皮共リフアイニング材料及びこれを用いる補強水硬性無機質成形体の製造方法 - Google Patents

パルプ―山皮共リフアイニング材料及びこれを用いる補強水硬性無機質成形体の製造方法

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JP2812512B2 JP26593789A JP26593789A JP2812512B2 JP 2812512 B2 JP2812512 B2 JP 2812512B2 JP 26593789 A JP26593789 A JP 26593789A JP 26593789 A JP26593789 A JP 26593789A JP 2812512 B2 JP2812512 B2 JP 2812512B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、パルプ−山皮共リフアイニング材料及びこ
れを用いる補強水硬性無機質成形体の製造方法に関す
る。
従来の技術 例えば、ポルトランドセメントを水硬性無機質、即
ち、結合材とし、石綿を補強繊維とする所謂石綿スレー
ト板をはじめ、ケイ酸カルシウム板、スラグ石膏板等
は、代表的にはハチエツク法による抄造と、その後のオ
ートクレーブ養生方式にて大量生産し得ると共に、不燃
性であり、しかも、強度にすぐれるので、建築材料とし
て広く用いられている。しかしながら、近年、石綿は、
それを含む建築材料の製造環境のみならず、その使用環
境にも所謂石綿公害を引き起こすとして、その使用が制
限されつつある。
そこで、近年、石綿を用いない繊維補強水硬性無機質
成形体の製造が広く研究されている。例えば、特公昭63
−19465号には、パルプ及びポリビニルアルコール繊維
と共に、山皮の1種であるセピオライトを濾水性の調整
材として用いて水性スラリーとし、これを抄造し、養生
して、無機質成形体を製造する方法が提案されている。
また、特開昭61−31337号公報には、雲母、パルプ、
補強合成繊維及び水硬性無機物質と共に、繊維状又は針
状のセピオライトやアタパルジヤイト、ウオラストナイ
ト等を補強繊維の分散性と抄造用スラリーの濾水性を高
めるために用いて、抄造にて水硬性無機質成形体を製造
する方法が提案されている。
しかし、一般に、パルプを用いるときは、例えば、セ
メント板は多孔性を有し、耐寒性、耐候性等に劣り、他
方、ポリビニルアルコール繊維を用いても、耐熱性に劣
る。また、繊維補強水硬性無機質成形体の製造におい
て、山皮は、上述したように、スラリーの濾水性や補強
繊維の分散性を高めるために用いられているにすぎな
い。しかも、かかる山皮の利用においても、繊維長の長
い山皮を用いれば、スラリーをシートに抄造し得ても、
得られる硬化体は、表面に山皮の繊維からなる白色の筋
が残存して外観に劣り、他方、粉末状の山皮を用いると
きは、得られる硬化体において層間剥離が生じやすい
等、実用的な硬化体を得るには至つていない。
発明が解決しようとする課題 本発明者らは、補強繊維としてパルプを用いると共
に、山皮を原料の一つとして用いる水硬性無機質成形体
の製造における上記した問題を解決するために鋭意研究
した結果、パルプを予め山皮と共にリフアイニングする
ことによつて、両者が相互に分離不能に凝集し、複合化
したパルプ材料を得ることができ、しかも、これを水硬
性無機物質と共に抄造用スラリーとすることによつて、
補強繊維として石綿を用いる場合と同様に、濾水性よく
シートに抄造できるのみならず、得られる硬化体が強度
及び耐熱性にすぐれ、更に、層間剥離が生じないことを
見出して、本発明に至つたものである。
課題を解決するための手段 本発明によるパルプ−山皮共リフアイニング材料は、
パルプと山皮を共リフアイニングしてなる。
また、本発明による繊維補強水硬性無機質成形体の製
造方法は、パルプと山皮を予め共リフアイニングし、次
いで、これを水硬性無機物質と共に水性のスラリーと
し、抄造し、養生することを特徴とする。
本発明の方法において用いる山皮は、表面に多数の活
性水酸基を有する粘土性鉱物であつて、含水ケイ酸マグ
ネシウムであるセピオライト、含水ケイ酸マグネシウム
アルミニウムであるアタパルジヤイト又はパリゴルスカ
イトをいい、通常、マウンテン・コルク、マウンテン・
レザー、マウンテン・ウツド等と呼ばれている。海泡石
も山皮の1種である。本発明において用いる山皮は、そ
の形状において何ら限定されるものではなく、繊維状の
ほか、塊状、泥状、粉末状、いずれも用いることができ
る。また、本発明において用いる山皮には、母岩や間入
石としてのタルク、カルサイト、ドロマイト、マグネサ
イト、塩基性炭酸マグネシウム、ケイ酸成分等が含まれ
ていてもよい。
本発明においては、山皮は、パルプと共リフアイニン
グする前に、予め粗砕しておくことが好ましい。粗砕
は、任意の手段にて湿式にても乾式にても行なうことが
できるが、塊状の山皮を用いるときは、2〜3メツシユ
以下に粗砕することが好ましい。
本発明において用いるパルプとしては、通常、針葉樹
又は広葉樹の未晒しパルプが用いられるが、綿、木綿、
麻、パイナツプルの葉、芭蕉の葉、棕櫚の毛、藁、楮、
三椏等を用いられる。また、パルプの製法によつて、パ
ルプには、サルフアイトパルプ、クラフトパルプ、グラ
ンドパルプ、ケミカルパルプ、サーモメカニカルパル
プ、ケミサーモメカニカルパルプ等が知られているが、
いずれも用いることができる。
本発明において、パルプと山皮との共リフアイニング
は、パルプと山皮とを水中にて機械的処理によつて離
解、再砕、叩解又は精整することをいう。この共リフア
イニングにおいては、好ましくは、パルプ1重量部につ
いて山皮0.1〜10重量部が用いられ、また、共リフアイ
ニングにおいて、パルプと山皮とは、好ましくはその合
計量の水中での固形分濃度が3〜65%となるように用い
られる。
用いる山皮の量がパルプ1重量部当たりに0.1重量部
よりも少ないときは、山皮のパルプへの付着量が少なす
ぎる結果、後述するような複合体の形成が不十分となつ
て、例えば、ハチエツク法において濾水性に劣り、或い
は得られる硬化体において層間剥離を生じることがあ
る。他方、用いる山皮の量がパルプ1重量部当たりに10
重量部よりも多いときは、例えば、抄造工程において、
メーキングロール上での巻き上げが困難となつて、円滑
な生産に支障をきたすほか、得られる抄造シートの嵩比
重を高めることが困難となり、所要の嵩比重を有する製
品を得るためには、高圧プレス等を必要とするようにな
ることがあるので、好ましくない。更に、パルプによる
補強効果が低減されることもある。
共リフアイニングにおいて、水は、工業用水、上水、
地下水、河川水等を含む真水が好ましく用いられる。共
リフアイニングに用いた水は、再使用することができ
る。
抄造白水を用いて、共リフアイニングを行なうことも
できる。この場合には、パルプを予め叩解した後又は共
リフアイニングする前に、白水に酸又は硫酸アルミニウ
ム、粘土等を加えて処理することが望ましい。
パルプと山皮との共リフアイニングは、通常のリフア
イナーによることができる。かかるリフアイナーとして
は、例えば、フレツト・ミル、コニーダー、コンテイニ
ユアス・ニーダー、製紙用ビーターや、デイスク・リフ
アイナー、コーン・リフアイナー及びドラム・リフアイ
ナーを含む製紙用リフアイナー、ケデイ・ミル、スピー
ド・ライン・ミル、ダブル・デイスク・リフアイナー、
スタンプ・ミル等を挙げることができる。また、トツプ
・フアイナー、フアイブレーター等も、必要に応じて、
用いることができる。更に、本発明においては、必要に
応じて、異なる種類のリフアイナーを用いて、共リフア
イニングしてもよい。
共リフアイニングは、常温乃至100℃までの水中で行
なわれる。一般に、温度が高いほど、共リフアイニング
を速やかに行なうことができる。
共リフアイニングの程度は、用いるパルプ及び山皮に
依存し、必ずしも一律に規定することができないが、山
皮については、共リフアイニングの後、濃縮濾水にその
繊維が視認されない程度まで、パルプと共に共リフアイ
ニングすることが望ましい。
予め叩解した故紙パルプも、パルプとして用いること
ができる。この場合は、山皮も予め単独にて叩解してお
き、このように予め叩解した山皮と故紙とを混合し、必
要に応じて、更に叩解することによつても、本発明によ
る共リフアイニングパルプ材料を得ることができる。本
発明においては、上記のように、予め叩解した山皮と故
紙パルプとを混合することも、パルプ−山皮共リフアイ
ニングに含めるものとする。
更に、本発明においては、パルプと山皮との共リフア
イニングに際して、有機合成繊維を共存させてもよい。
このようにして、有機合成繊維を含む山皮−パルプ共リ
フアイニング材料は、得られる水硬性硬化体を一層、高
強度化し、また、より耐熱性とすることができる。
上記有機合成繊維としては、例えば、ポリビニルアル
コール繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリアミド繊
維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピ
レン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊
維、ポリテトラフルオロエチレン繊維等が用いられる。
これらのなかでは、ポリビニルアルコール繊維又はポリ
アクリロニトリル繊維が好ましく用いられる。かかる補
強繊維は、通常、繊維長約0.1〜25mm、繊維径約1μm
乃至0.2mmであるものが好適に用いられる。特に、ポリ
ビニルアルコール繊維は、パルプと山皮との共リフアイ
ニングにおいて、パルプと同様に山皮と分離不能な複合
体を形成し、非常に耐熱性にすぐれる水硬性硬化体を与
えることができる。
本発明においては、パルプと山皮との共リフアイニン
グに際して、必要に応じて、ウオラストナイト、ゾーノ
ライト等と呼ばれるケイ酸カルシウム繊維、トバモライ
ト、マスコバイト、バーミキユライト等の板状雲母、ガ
ラス繊維、ロツクウール、種々のセラミツク繊維等を共
存させてもよい。また、パルプと山皮との共リフアイニ
ングの後に、これら繊維を加えてもよい。これら無機質
繊維も、得られる硬化体の耐候性、耐収縮性、耐熱性等
の向上に役立つと共に、パルプや補強合成繊維の使用量
を低減させるのにも役立つ。
以上のように、パルプと山皮とを共リフアイニングし
た後、必要に応じて凝集剤を用いて、生成した複合体を
凝集させ、遠心分離、フイルタープレス、布製高圧スラ
リー絞り機等、適宜手段によつて、スラリーを濃縮し、
分離すれば、本発明によるパルプ−山皮共リフアイニン
グ材料を水スラリーとして得ることができる。必要に応
じて、乾燥させ、実質的に固体としてもよい。
本発明においては、上記凝集剤としては、従来より知
られている無機凝集剤及び有機高分子凝集剤のいずれを
も用いることができる。従つて、無機凝集剤としては、
例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸第一鉄、硫酸第二
鉄、塩化第二鉄、硫酸バン土、アルミン酸ナトリウム、
ポリ硫酸アルミニウム等を用いることができる。このよ
うな無機凝集剤を用いる場合、消石灰、ソーダ灰、ケイ
酸ナトリウム、ベントナイト、フライアツシユ等の凝集
助剤を併用してもよい。
また、有機高分子凝集剤としては、天然凝集剤及び合
成凝集剤のいずれをも用いることができる。天然有機高
分子凝集剤としては、例えば、グアーガム、アルギン酸
ナトリウム、デンプン、ゼラチン、キトサン、トロロア
オイやオクラの根汁、納豆の粘液、卵白、ウツキの水溶
汁、昆布や食酢の水溶液、サイカケの水溶汁、プルラ
ン、カードラン等のポリサツカライド等の非イオン性及
び陰イオン性凝集剤を挙げることができる。
合成有機高分子凝集剤も、所謂中重合度(分子量数千
乃至数万)及び高重合度(分子量数十万乃至千万)のい
ずれも用いることができる。具体例として、例えば、ポ
リアクリル酸ナトリウム、その部分加水分解物、ポリア
クリルアミド部分加水分解物、アクリルアミド・アクリ
ル酸ナトリウム共重合体等の陰イオン性凝集剤、ポリビ
ニルイミダゾリン、ポリアルキルアミノアクリレート、
ポリアルキルアミノメタクリレート、ポリアクリルアミ
ドのマンニツヒ変成物等のカチオン性凝集剤、ポリアク
リルアミド、ポリエチレンオキサイド等の非イオン性凝
集剤等を挙げることができる。しかし、これらのなかで
は、特に、高重合度のポリアクリルアミド、ポリエチレ
ンオキサイド等の非イオン性凝集剤等が好ましい。
パルプや有機合成繊維のみをそれぞれ単独にて叩解し
た後、これに適用しても、例えば、ポリエチレンオキサ
イドは、上記繊維を凝集させることができない。しか
し、山皮と共に共リフアイニングしたパルプや有機合成
繊維は、ポリエチレンオキサイドにて凝集沈降する。従
つて、本発明による共リフアイニング材料は、かかる性
質からも、パルプや合成繊維と山皮との複合体であるこ
とが確認される。
また、パルプ−山皮共リフアイニングを凝集させるに
際して、糊料を併用してもよい。かかる糊料としては、
カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒド
ロキシルメチルセルロース等のようなデンプンを主体と
する糊料、ふのり、ゼラチン、にかわ、可溶性ケラチ
ン、タンマン、こんにやく、ポリサツカロイド類、ポリ
ビニルアルコール、酢酸ビニルエマルジヨン、スチレン
・ブタジエンゴムラテツクス等を挙げることができる。
特に、ケイ酸カルシウム板を製造する場合には、エマル
ジヨンバインダーを併用することは、得られるケイ酸カ
ルシウム板の加工性を高める等のために有利である。
このように、パルプと山皮とを水中にて共リフアイニ
ングすることによつて、山皮はパルプ繊維の表面に付着
し、或いは絡みついて、相互に分離不能に凝集した1種
の複合体を形成する。従つて、このようにして得られる
パルプ−山皮共リフアイニング材料は、これを極めて低
濃度、例えば、約0.1重量%程度の水スラリーとして
も、パルプと山皮とは相互に分離しない。また、かかる
複合体においては、粘土鉱物である山皮がパルプ繊維の
表面に付着し、繊維を保護しているので、後述するよう
に、これを用いて抄造され、硬化された硬化体は、耐熱
性にすぐれると共に、強度にもすぐれる。
更に、かかる補強繊維−山皮複合体は、後述する水硬
性無機物質と水中で撹拌混合することによつて、水硬性
無機物質を吸着し、特に、凝集剤の存在下によく凝集
し、かくして、通常、20メツシユ程度の金網で濾水性よ
く容易に濾過することができ、従来の通常のハチエツク
法による抄造を効率よく行なうことができる。
また、パルプは、一般に、塩基性染料によつては染色
されない。しかし、山皮には、産地による差異が幾らか
あるものの、通常、固体酸性を有するので、塩基性染料
によつて染色される。ここに、本発明によるパルプ−山
皮共リフアイニング材料は、相互に分離不能な複合体で
あるために、アルカリ染料によつて一様に染色される。
パルプと山皮との共リフアイニングに際しては、必要
に応じて、界面活性剤を併用してもよい。界面活性剤と
しては、水溶性の非イオン系又は陰イオン系界面活性剤
が好ましく用いられる。
次に、本発明によるパルプ補強水硬性無機硬化耐の製
造について説明する。
本発明の方法においては、以上に説明したパルプ−山
皮共リフアイニング材料を水スラリーとし、石綿スレー
ト板の抄造法による製造の場合と同様に、これに水硬性
無機物質、必要に応じて、凝集剤や無機質充填剤等を加
えて、撹拌混合し、抄造用の水性スラリーを調製し、濾
水抄造する。この抄造用スラリーの調製には、所謂白水
を用いても、何ら支障はない。
本発明の方法において用いる水硬性無機物質は、例え
ば、ポルトランドセメントにて代表される種々のセメン
ト、ケイ石、ケイ藻土、高炉スラグ、フライアツシユ、
石灰、石膏等を挙げることができる。例えば、水硬性無
機物質としてポルトランドセメントを用いればセメント
スレート板を、水硬性無機物質としてケイ酸カルシウム
を主成分とするケイ石、ケイ藻土、石灰等を用いればケ
イ酸カルシウム板を、また、スラグ、石膏、石灰等を用
いればスラグ石膏板をそれぞれ得ることができる。この
ほかにも、水硬性無機物質を適宜に選ぶことによつて、
石膏板、炭酸マグネシウム板、炭酸カルシウム板等を得
ることもできることは、いうまでもない。
かかる凝集剤は、本発明の方法においては、抄造法に
よつて成形体を製造する場合に、抄造用スラリーにおけ
る固形分の3〜300ppm程度が用いられる。
本発明においては、抄造用スラリーを調製するとき
に、必要に応じて、前述したようなウオラストナイト、
ゾーノライト等と呼ばれるケイ酸カルシウム繊維、トバ
モライト、マスコバイト、バーミキユライト等の板状雲
母、ガラス繊維、ロツクウール、種々のセラミツク繊維
等をスラリーに加えてもよい。また、前述したような有
機合成繊維を加えてもよい。
パルプは、得られる成形体の不燃性を確保するため
に、通常、抄造用スラリーの固形分中、2〜5重量%の
範囲で用いられるが、しかし、必要に応じて、5重量%
を越えて用いることもできる。
更に、本発明の方法においては、無機質充填材が併用
されてもよい。かかる無機質充填材としては、例えば、
ウオラストナイト、エトリンガイド、ゾーノトライト、
水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム等の繊維
状無機物質、薄片雲母、バーミキユライト、パーライ
ト、シラスバルーン、ガラス繊維、スラツグウール等を
挙げることができる。かかる無機質充填剤は、通常、ス
ラリーの固形分中、1〜20重量%、好ましくは、2〜10
重量%の範囲で用いられる。
また、本発明の方法においては、抄造用スラリーを調
製する際に、更に、前述したような糊料を用いてもよ
い。特に、ケイ酸カルシウム板を製造する場合には、エ
マルジヨンバインダーを併用することは、得られるケイ
酸カルシウム板の加工性を高める等のために有利であ
る。糊料は、通常、スラリーの固形分中、0.1〜5重量
%の範囲で用いられる。
本発明の方法において、抄造用スラリーにおける固形
分濃度は、通常、2〜30重量%の範囲にあり、好ましく
は、3〜15重量%の範囲にある。
以上のようにして得られる抄造用スラリーは、石綿ス
レートの製造と同様の抄造法によつて、シートとした
後、養生することによつて、無機質成形体を得ることが
できる。抄造方式としては、ハチエツク法(丸網抄造
法)や長網抄造法を用いることができるが、通常は、ハ
チエツク法が用いられる。
即ち、本発明によるパルプと山皮、必要に応じて、有
機合成繊維からなる共リフアイニング材料と水硬性無機
物質をチエスターに送り込み、白水にて希釈した後、必
要に応じて、凝集剤を加えて、フロツクを形成させつ
つ、ハチエツク機に移送する。バツト数は特に限定され
ないが、通常、3〜4バツトが用いられる。丸網のメツ
シユは、通常、60メツシユが用いられるが、スラリーの
性情によつては、より粗いメツシユのものを用いること
もできる。
シートへの抄造後、プレスにて圧縮してもよいし、表
面に図柄模様を付してもよい。
本発明においては、抄造したシートは、自然養生させ
てもよいが、オートクレーブ養生することもできる。オ
ートクレーブ養生は、抄造したシートをオートクレーブ
内にて高温高圧の飽和水蒸気にて加熱し、シートを構成
する水硬性無機物質を水熱反応によつて硬化させる処理
をいう。特に、石膏スラグ板の製造においては、オート
クレーブ養生は、繊維状のエトリンガイトをよく発達さ
せるので、好ましく採用される。
本発明においては、養生温度は、用いる水硬性無機物
質にもよるが、通常、100℃以上、好ましくは、110〜18
0℃の範囲であり、特に、好ましくは130〜160℃の範囲
である。オートクレーブ養生において、圧力は、通常、
1〜10kg/cm2の範囲である。また、養生時間は、通常、
4〜24時間の範囲である。
他方、シートの抄造によつて生成する濾水は、例えば
アニオン性凝集にて固形分を沈降させ、凝集物はセメン
ト類と共に回収し、再使用に供することができる。ま
た、白水は、セメント混合時の希釈水として再使用する
ことができる。
本発明の方法においては、抄造効率は、抄造機、抄造
速度、金網のメツシユ度、用いる充填剤等にもよるが、
通常、70〜97%を得ることができる。
発明の効果 以上のように、本発明によれば、パルプと山皮とを共
リフアイニングすることによつて、山皮がパルプ繊維の
表面に付着し、或いは絡みついて、相互に分離不能に凝
集した1種の複合体を形成している。かかる複合体にお
いては、粘土鉱物である山皮がパルプ繊維の表面に付着
し、繊維を保護しており、従来の補強繊維として石綿を
用いる硬化体の製造と同様にして、パルプ補強水硬性無
機硬化体を製造することができる。
即ち、かかる複合体は、水硬性無機物質と水中で撹拌
混合することによつて、水硬性無機物質を吸着し、特
に、凝集剤の存在下によく凝集するので、濾水性よく容
易に濾過することができ、従来の通常のハチエツク法に
よる抄造を効率よく行なうことができる。
更に、本発明に従つて、かかる複合体を用いて抄造さ
れ、硬化された硬化体には層間剥離がなく、そのうえ、
耐熱性や強度にすぐれる。
また、抄造シートは、オートクレーブ養生することも
できる。
実施例 以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は
これら実施例により何ら限定されるものではない。
実施例1 (パルプ−山皮共リフアイニング材料の製造) 未叩解の針葉樹パルプ45gを水1.5kgに加え、実験用の
製紙用ビーターにて約3時間粗叩解して、叩解度約40゜
SRの叩解パルプを得た。
一方、中国産セピオライトを綿状に解綿し、その45g
を水1.5kgに加え、約30分間粗叩解した後、更に、水1.5
kgを加えて、不純物のドロマイトやカルサイトの粗い未
粉砕物を沈降させ、除去した。
上記叩解パルプと解綿セピオライトのそれぞれのスラ
リーを大型バツトにとり、ハンドミキサーにて均一に撹
拌混合した後、再び、製紙用ビーターにて30分間叩解し
て、叩解度約60の高叩解スラリー4.6kgを得た。
次いで、別に用意した1.5%ポリエチレンオキサイド
と0.2%ヒドロキシルエチルセルロースを含む水溶液10m
lを上記スラリーに加えて、共リフアイニング物を凝集
させた。上澄み液をデカンテーシヨンした後、上記凝集
物をポリエチレン製の約40メツシユの袋に充填し、家庭
用洗濯機の脱水機にて脱水して、本発明によるパルプ−
山皮共リフアイニング材料を得た。
この含水パルプ−山皮共リフアイニング材料5gを100
℃で乾燥した後、600℃で焼成することによつて、成分
組成を求めたところ、乾燥焼成前は、水分61重量%、セ
ピオライト1.49g、パルプ1.52gであつた。
(セメント硬化体の製造) 水50mlにポリビニルアルコール繊維(ユニチカ化成
(株)製AA−1.6D×6mm)1.0gを予め分散させた分散液
を上記パルプ−山皮共リフアイニング材料5gに加え、白
水1を加えて、均一になるまで、家庭用ミキサーを用
いて、撹拌混合した。次いで、得られたスラリーにポル
トランドセメント60g、ウオラストナイト粉末3g及び白
水500mlを加え、家庭用ミキサーにて2分間撹拌混合し
た後、濾過試験機(16メツシユ及び40メツシユの半径約
15cmの金網)にて自然濾過させて、当初の体積の1/2に
なるまでに要した時間を求めたところ、約80秒であつ
た。
この後、アスピレーターを用いて減圧濾過し、得られ
たシートを濾紙上に反転載置して、自然養生させて、厚
み4mmの硬化板を得た。抄造率は96%であつた。また、
得られた硬化板の曲げ強度は313kg/cm2であつた。
実施例2 予め叩解度約60゜SRに叩解した針葉樹パルプ100g(固
形分30%)と、予め水を加えて押出ししたセピオライト
(武田薬品工業(株)製エードプラスPMCW)成形体60g
(水分50%)に水道水を加えて、全量1200gとした後、
業務用のジユース・ミキサーにて均一に撹拌混合した。
この撹拌混合操作に際して、泡立ちはなかつた。
次いで、別に用意した1.5%ポリエチレンオキサイド
と0.2%ヒドロキシルエチルセルロースを含む水溶液2ml
を上記スラリーに加えて、共リフアイニング物を凝集さ
せ、数分間静置した後、上澄み液をデカンテーシヨンし
た。得られた凝集した共リフアイニング物をポリエチレ
ン製の約40メツシユの袋に充填し、家庭用洗濯機の脱水
機にて脱水して、本発明によるパルプ−山皮共リフアイ
ニング材料を得た。水分は約65%であつた。
比較のために、上記と同じ叩解した針葉樹パルプ100g
(固形分30%)とセピオライト成形体60g(水分50%)
に白水を加えて、全量1200gとした後、業務用のジユー
ス・ミキサーにて撹拌したところ、泡立ちが著しく、均
一に混合することができなかつた。
(セメント硬化体の製造) 水20mlにポリビニルアルコール繊維(ユニチカ化成
(株)製AA−1.6D×6mm)1.0gを予め分散させた分散液
を上記パルプ−山皮共リフアイニング材料7gに加え、白
水1を加えて、均一になるまで、業務用ミキサーを用
いて、撹拌混合した。泡立ちは起こらなかつた。
次いで、得られたスラリーにポルトランドセメント60
g、ウオラストナイト粉末3g及び白水500mlを加え、家庭
用ミキサーにて2分間撹拌混合した後、実施例1と同様
にして、厚み4mmの硬化板を得た。抄造率は92%であつ
た。また、得られた硬化板の曲げ強度は301kg/cm2であ
つた。
実施例3 エードプラスPMC150g、予め叩解度約70に叩解した段
ボール故紙パルプ(固形分30%)500g及び水15kgをナイ
ヤガラ型試験用ビーター(三栄測器(株)製、容量23
、回転数500rpm、標準錐5500g)に入れ、約30分間叩
解した。
得られたスラリーに水30kgを加え、混合しつつ、1.5
%ポリエチレンオキサイド水溶液11gを加えて、共リフ
アイニング材料を凝集沈降させた。スラリーから上澄み
を除去した後、連続式遠心分離機(国産遠心機(株)製
H−1205、容量5、濾布直径約30cm、高さ約16cm、回
転数3000rpm)に約120/分の割合で、上記スラリーを
送液して、脱水した。送液終了後、約25分間遠心分離機
を稼働させ、脱水を完了して、固形分22重量%、厚み約
3mmのケーキ状の共リフアイニング材料を得た。
比較のために、段ボール故紙パルプのみを上記と同様
に叩解した後、得られたスラリーに同量のポリエチレン
オキサイド水溶液を加えたが、パルプは凝集沈降しなか
つた。
実施例4〜13 第1表に示す仕込み量にて山皮、パルプ、場合によつ
てはポリビニルアルコール繊維、及び水を実施例3と同
様にして、ビーターにて叩解し、この後、実施例3と同
様にして、共リフアイニング材料を得た。第1表にその
固形分を示す。
実施例14 実施例3〜13にて得たそれぞれの共リフアイニング材
料を固形分として15g、白水1を家庭用ミキサーに仕
込み、1分間撹拌混合した。この後、得られたスラリー
にポルトランドセメント60g及び白水1を加えて、撹
拌混合しつつ、アニオン界面活性剤(三洋化成工業
(株)製サンフロツクAH−330P、1重量%水溶液)3滴
を加えて、固形分を凝集沈降させた。
上記の含水した凝集沈降物1を直径13cmの32メツシ
ユ金網を備えた円筒型濾過器を用いて自然濾過し、濾水
500mlを得るまでの時間から濾過線速を測定して、それ
ぞれの共リフアイニング材料の濾水性を比較した。結果
を第2表に示す。
このようにして得られたケーキ状シートを減圧脱水
し、これを2枚重ねて積層シートとし、その直後、5日
及び28日後に積層シートを折り曲げて、シート間の合わ
せ目での剥離を目視にて調べたが、いずれも、シート間
の合わせ目での剥離は認められなかつた。
実施例15 製紙用パルパーに針葉樹の未晒しクラフトパルプ(NU
KP)300kgと水約6m3投入し、約15分間回流させて、パル
プをほぐした。次いで、製紙用リフアイナーであるダブ
ル・デイスク・リフアイナーにてシヨツパー・リーグラ
ー法による叩解度を60゜SRに叩解した後、製紙用ビータ
ーに移した。
次いで、粉末状精製セピオライト(武田薬品工業
(株)製エードプラスPMCW)600kg(水分50%)を上記
ビーターに投入し、叩解パルプと混合して、無負荷にて
回流させながら、約15分間パルプとセピオライトとを共
リフアイニングした。
このスラリーに更に繊維長6mmのポリビニルアルコー
ル繊維(ユニチカ(株)製ビニロンAA)4.0kgを投入
し、約15分間回流させて、ポリビニルアルコール繊維と
の共リフアイニング材料を得た。
0.1重量%ポリエチレンオキサイド水溶液1.5(固形
分0.3重量%)を上で得たスラリーに加え、約5分間回
流させて、共リフアイニング材料を凝集沈降させた。こ
の凝集沈降物を傾斜金網機にて処理して、遊離水分を一
次脱水し、次いで、スクリユー・プレスにて二次脱水し
て、水分65%、パルプ−ポリビニルアルコール繊維−セ
ピオライト共リフアイニング材料を得た。
実施例16 製紙用パルパーに針葉樹/広葉樹混合(重量比25/7
5)ケミサーモケミカルパルプ(CTMP)250kgと水約5m3
投入し、約15分間、予備混合した。次いで、製紙用ビー
ター(容量8m3)に移送した後、セピオライト(武田薬
品工業(株)製エードプラスML−100W)を固形分にて75
0kgを上記ビーターに投入し、約30分間、軽負荷にて回
流させて、共リフアイニング材料を含むスラリーを得
た。
このスラリーのシヨツパー・リーグラー法による濾水
度を測定した結果、見掛け叩解度は約58゜SRであつた。
次いで、上記スラリーに繊維長6mmのポリビニルアル
コール繊維(ユニチカ(株)製ビニロンAA)3.2kgと繊
維長6mmの耐アルカリ性ガラス長繊維(日東紡績(株)
製)4kgを前記ビーターに投入し、更に30分間、無負荷
にて回流して、これら繊維をスラリー中に分散させて、
ポリビニルアルコール繊維及びガラス繊維を含む共リフ
アイニング材料のスラリーを得た。
このスラリーに0.1重量%ポリエチレンオキサイド水
溶液2(固形分0.5重量%)を加え、約5分間回流さ
せて、ポリビニルアルコール繊維及びガラス繊維を含む
共リフアイニング材料を凝集沈降させた。この凝集沈降
物をエンドレス金網とキヤタピラーとを組合わせてなる
プレス機にて圧縮脱水を行なつて、水分67%、パルプ−
ポリビニルアルコール繊維−セピオライト共リフアイニ
ング材料を得た。
実施例17 製紙用故紙パルパーに段ボール故紙400kgと水約5m3
入し、約30分間、撹拌して、故紙を離解した。次いで、
予め粉砕したアタパルジヤイト600kgを投入し、約15分
間撹拌混合した。次いで、製紙用リフアイナーの1種で
あるスーパーフアイブレーターにて上記故紙とアタパル
ジヤイトとを共叩解した。これによつて、パルパー中に
残存していた故紙の未離解物やアタパルジヤイトの粗砕
物等は完全に叩解された。
別に、針葉樹未晒しクラフトパルプ100kgを実施例15
と同様にして、製紙用ダブル・デイスク・リフアイナー
にて、シヨツパー・リーグラー法による叩解度55゜SRに
叩解した。これを製紙用ナギナタビーターに投入し、更
に、実施例15と同じポリビニルアルコール繊維3kgを投
入し、約15分間混合して、スラリー中に分散させた。
尚、ここに、スラリーの少量を1容量のメス・シリン
ダーに入れ、水を約700ml加えて振とうし、目視にて観
察することによつて、結束繊維がないことを観察して、
よく分散されていることを確認した。
このようにして得られた叩解パルプとポリビニルアル
コール繊維との共叩解物と前記した故紙パルプとアタパ
ルジヤイトとの共叩解物を容量20m3のスクリユー撹拌器
付きチエスト内にて約10分間撹拌混合した。次いで、こ
れに前記と同じポリエチレンオキサイド水溶液5(固
形分1.0重量%)を投入し、約5分間、回流させて、段
ボール故紙、アタパルジヤイト、叩解パルプ及びポリビ
ニルアルコール繊維からなる共リフアイニング材料を凝
集沈降させた。
この凝集沈降物を連続式遠心脱水装置によつて脱水し
て、水分60%の共リフアイニング材料を得た。
実施例18 実施例15と同様にして予め叩解度約60゜SRに叩解した
針葉樹の未晒しクラフトパルプ(NUKP)250kg(固形
分)を含む水約5m3を製紙用パルパーに投入した。
一方、スペイン産セピオライトを水と共に混練し、押
出しした成形物(武田薬品工業(株)製エードプラスPM
CW)500kg(水分50%)を上記パルパーに投入し、十分
に撹拌混合して、パルプ−セピオライト共叩解物を含む
スラリーを得た。
次いで、このスラリーに繊維長5mmのポリアクリロニ
トリル繊維(旭化成工業(株)製カシミロン)40kgを投
入し、約10分間撹拌して、パルプ、セピオライト及びポ
リアクリロニトリル繊維からなる共リフアイニング材料
を含むスラリーを得た。
0.1重量%ポリエチレンオキサイド水溶液5をこの
スラリーに加え、約3分間撹拌して、共リフアイニング
材料を凝集沈降させた。この凝集沈降物を回転している
エンドレス金網上にほぼ均一な厚みになるように流し出
し、遊離水分を一次脱水した後、金網の下にサクシヨン
・ボツクスを設けて、吸引濾過しつつ、金網を巻いたロ
ールにて圧縮脱水して、水分70%の共リフアイニング材
料を得た。
実施例19 叩解度50゜SR、含水率70重量%の叩解パルプ100kg、
エードプラスPMC30kg、前記と同じ繊維長6mmのポリビニ
ルアルコール繊維10kg及び水3tをパルパーに投入し、15
分間共叩解して、スラリーを得た。
このスラリーに水6tを加え、攪拌混合しつつ、1.5重
量%ポリオキシエチレンオキサイド水溶液2kgを加え、
凝集沈降させた後、脱水して、含水率70重量%の共リフ
アイニング材料を得た。収量は164kgであつた。
この共リフアイニング材料の全量と白水1.5tをパルパ
ーに投入し、15分間撹拌混合し、共リフアイニング材料
を白水に分散させた後、抄造スラツジとウオラストナイ
トの混合物130kg、ポルトランドセメント800kg及び白水
1.5tを加え、5分間撹拌混合した。
次いで、チエストを経て、スラリーの全量に対して、
凝集剤(三洋化成工業(株)製サンフロツクAH−330P、
1重量%水溶液)500gを加え、凝集させ、ハチエツク機
にて抄造し、その抄造特性を調べた。結果を第3表に示
す。
比較のために、上記と同じ叩解度50゜SR、含水率70重
量%の叩解パルプ100kg、エードプラスPMC30kg及び前記
と同じ繊維長6mmのポリビニルアルコール繊維10kgを白
水1.5tを仕込んだパルパーに投入し、15分間撹拌混合さ
せた。この撹拌混合操作においては、著しく気泡が発生
したので、少量の消泡剤を加え、消泡して、撹拌混合を
行なつた。
次いで、このスラリーに白水1.5tと共に、抄造スラツ
ジとウオラストナイトの混合物130kgとポルトランドセ
メント800kgを加え、5分間撹拌混合した。
この後、上記と同様に処理して、ハチエツク機にて抄
造し、その抄造特性を調べた。結果を第3表に示す。
本発明の方法によれば、濾水効率が高く、バツト水位
も安定しており、メーキングロールでの巻取も良好であ
つて、抄造シートに層間剥離は生じない。これに対し
て、比較例によれば、抄造特性が悪く、得られるシート
にも層間剥離が生じている。
実施例20 抄造白水1tに針葉樹の生パルプ(UKP)30kgを入れ、
ダブル・デイスク・リフアイナーで約45分間、パルプを
叩解して、叩解度(シヨツパー水度)50mlの叩解パルプ
を得た。これに硫酸アルミニウム約250gを加えたとこ
ろ、白濁し、パルプ液のpHはやや低減した。
このパルプ液に山皮としてエードプラスML−50DとPMC
(いずれも武田薬品工業(株)製)とをそれぞれ15kgず
つ、合計量にて30kgを加え、更に、15分間にわたつて共
叩解した。この共叩解の後、溜めタンクに2重量%ポリ
エチレンオキサイド3を加え、緩慢に撹拌して、共リ
フアイニング物を凝集させた。これをスクリユー・プレ
スで脱水して、固形分35重量%の共リフアイニング物の
濃縮物を得た。
次いで、パルパーに白水1tを入れ、固形分にて60kgの
上記共リフアイニング材料を加え、均一に撹拌した後、
セメント800kg、ウオラストナイト130kg、前記と同じポ
リビニルアルコール繊維10kgを投入して、再び、均一に
なるまで撹拌混合し、これをチエスターを経て、一定量
ずつ4バツト方式のハチエツク機で抄造した。メーキン
グロールでの巻取も良好であつて、層間剥離なしに、石
綿5%を用いたスレート板の製造におけるとほぼ同じ時
間にて、抄造率92%で抄造することができた。
このようにして得られた生セメント板を蒸気で養生し
て、不燃規格に合格するスレート板を得た。
実施例21 水1tに針葉樹の生パルプ(UKP)30kgを入れ、ダブル
・デイスク・リフアイナーで約45分間、叩解した。これ
に山皮としてエードプラスPMCとML−50Dとをそれぞれ20
kg及び10kg加え、更に、15分間にわたつて共叩解した。
別に、溜めタンクに前記と同じポリビニルアルコール
繊維10kgを仕込み、溜めタンク内で上記繊維が均一に分
散するまで撹拌した。
2重量%ポリエチレンオキサイド水溶液にポリビニル
アルコール1重量%を加えた水溶液3を上記溜めタン
クに加えて、共叩解物を凝集させた。これをポンプにて
スクリユー・プレスに送り、脱水して、固形分35重量%
の共リフアイニング材料を得た。
これを用いて、実施例20と同様にして抄造したとこ
ろ、抄造率92%であつた。得られた生セメント板を蒸気
で養生して、ポリビニルアルコール繊維が均一に分散さ
れた表面が平滑なスレート板を得た。
実施例22 水1tに針葉樹の生パルプ(UKP)40kgを入れ、ダブル
・デイスク・リフアイナーで約45分間、叩解した。これ
をそのまま、スクリユー・プレスにて脱水して、固形分
35重量%の高叩解パルプを得た。
別に、山皮としてエードプラスPMCとML−50Dとをそれ
ぞれ30kg及び20kgを混合し、これに水50kgを混合して、
陶土用押出土練機で押出して、山皮抽出混合物を調製し
た。
前記高叩解パルプを固形分にて40kgと上記山皮抽出混
合物を固形分にて40kgと前記と同じポリビニルアルコー
ル繊維5kgにポリエチレンオキサイド粉末50gを加え、ニ
ーダーにて撹拌混合した後、土練機で混合押出したとこ
ろ、水分のみが幾分遊離した混練物約180kgを得た。こ
の混練物の固形分は46重量%であつた。
実施例20と同じ組成となるように、上記混練物に少量
のポリビニルアルコール繊維をパルパー内で加え、これ
を用いて、実施例20と同様にして抄造したところ、抄造
率92%であつた。得られた生セメント板を蒸気で養生し
て、ポリビニルアルコール繊維が均一に分散された表面
が平滑なスレート板を得た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 光夫 大阪府吹田市千里山星が丘3番303号 (72)発明者 上條 正泰 静岡県富士市富士見台3―7―16 (72)発明者 粟屋 信彦 滋賀県草津市東矢倉3丁目2番1号 (56)参考文献 特開 昭60−5049(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C04B 16/02 C04B 14/10 C04B 28/02 C04B 16:02 C04B 14:10 C04B 111:12

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】パルプと山皮を共リフアイニングしてなる
    パルプ−山皮共リフアイニング材料。
  2. 【請求項2】パルプと山皮を予め共リフアイニングし、
    次いで、これを水硬性無機物質と共に水性のスラリーと
    し、抄造し、養生することを特徴とする補強水硬性無機
    質成形体の製造方法。
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