JP2803563B2 - 微小真空紫外分光装置 - Google Patents

微小真空紫外分光装置

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JP2803563B2
JP2803563B2 JP6044194A JP6044194A JP2803563B2 JP 2803563 B2 JP2803563 B2 JP 2803563B2 JP 6044194 A JP6044194 A JP 6044194A JP 6044194 A JP6044194 A JP 6044194A JP 2803563 B2 JP2803563 B2 JP 2803563B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、物質表面の計測に利用
される真空紫外光(2000オングストローム以下の波
長)分光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】波長が2000オングストローム以下の
短波長光は物質との相互作用が強いために物質表面の電
子状態を研究するのに適している。しかし、2000オ
ングストローム以下の光は空気中の酸素に強く吸収され
るために光の通路を真空にする必要がある。このため、
特に2000オングストロームから10オングストロー
ムまでの波長の光を真空紫外光と呼んでいる。真空紫外
光は現在SR(シンクロトロン放射)で発生する高帯域
の波長をもつ光を分光して取り出しているが、現在利用
されている装置には種々の欠点がある。以下、現在利用
されている装置の概要を述べる。
【0003】直線加速器(リニアック)によって高エネ
ルギーに加速された電子は、シンクロトロンリング内に
入射されて、さらに高エネルギー(1GeV程度)に加
速される。このとき、電子は断面が直径数センチメート
ルの中空構造をもつ金属円筒を直径数メートルから数キ
ロメートルの円状に配置したシンクロトロンリング内で
一定半径の円軌道を描く(現実的には、後に述べる理由
から完全な円ではなく多数の細分化された直線と曲線の
組み合わせによって円に似せた幾何学形状となる)。運
動する電子は、金属円筒の周りに設けられた磁石(ベン
ディング磁石)によって発生するローレンツ力により運
動の軌道が曲げられ、光の制御輻射によって円軌道の接
続方向に対して1〜10000オングストロームの広い
帯域をもった光を放射する。この光はシンクロトロンリ
ングの接続方向に延びる直線の中空金属内を直進して、
回折格子により真空紫外光が取り出される。また、光の
方向を変えるために種々のミラーが利用され、被測定物
質に照射される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この現在のシ
ステムには以下の欠点がある。(1)電子および光が進
行する中空の金属管内を非常に高い真空(10-11 To
rr以下)に保つことが必要であるために、多数の真空
ポンプが必要となる。(2)装置の保守や修理を行うた
めに装置を停止したときには、再稼働のために金属管内
のクリーニングと高真空を得るために長時間のクリーニ
ングプロセスが必要である。クリーニングには装置全体
を加熱して内部の側壁に付着した汚染物質を解離させ真
空ポンプによって除去するベーキングプロセスが一般的
である。加熱温度が高いほど汚染物質の解離が速く進行
するが、金属管の熱変形の制限から150℃程度の温度
が使用されており、クリーニングプロセスに要する時間
は非常に長いのが現状である。(3)シンクロトロンリ
ングの曲線部には磁石が設けられるが、シンクロトロン
リングが長いために非常に多くの磁石が必要とされる。
このため磁石の使用量を減らすために、直線部の一部に
曲線部を設ける構造が採用されている。なお、直線部は
制動輻射によって減衰した電子の運動エネルギーを増加
させるために利用されるが、直線部を少なくすることが
装置全体を小型化するのに必要である。そのためには、
多量の磁石を使用することからくる制限を除くことが必
要である。
【0005】一方、シリコンICプロセスの微細加工技
術を応用したシリコンマイクロマシーニング技術は、圧
力センサ等の種々の微小機械デバイスの作製を可能とし
装置の小型化に役だつものである。例えば、特開平2−
290524「半導体ウェハー及びその形成法とトラン
スジューサ及びその製法」には、薄膜のダイアフラム構
造に加工されたシリコンウェハーが上下のガラス基板と
の間に設けられた空洞の中をダイアフラムに加わる圧力
の差に依存して上下に運動する三層構造の容量形圧力セ
ンサが述べられている。しかし、このようなシリコンデ
バイスは本発明が目的とする高真空中で使用することを
目的としなかったために空洞内が汚染されたときのクリ
ーニングを考慮していなかった。汚染物質は高エネルギ
ー荷電粒子の運動や短波長光が空洞内の側壁に衝突する
ことによっても発生するために、定期的にクリーニング
を行う必要があり材料および構造において特別の工夫が
必要である。
【0006】本発明は、以上の欠点を解決するためのも
のであり、装置の小型化と高温のベーキングプロセスを
可能としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、荷電粒
子発生源および電極を中空のシリコン基板内に設け、シ
リコン基板の上下に配置された磁石の磁界と電極に印加
する電圧を制御することによって荷電粒子をシリコン基
板内に設けた中空の中を加速運動させることによって短
波長光を発生させる光源と、短波長光の進路を変更する
ミラーおよび波長を選択する回折格子等の光学部品をシ
リコン基板内に設け、真空ポンプによって中空のシリコ
ン基板の内部を真空にしたことを特徴とする微小真空紫
外分光装置がえられる。
【0008】 また、本発明によれば、シリコン基板の
側面に短波長光の光取り出し窓を設け、荷電粒子発生
源、電極、光学部品および中空からなるシリコン基板内
部を外界雰囲気から隔離して封入して真空にした微小真
空紫外分光装置、あるいは、シリコン基板内の一方の中
空に荷電粒子発生源および電極を設け外部磁石の磁界と
当該電極に印加される電圧によって荷電粒子を加速させ
ると共に、シリコン基板内に前記中空と接続する溝をも
つ他方の同心円状の中空を設け、同心円状中空に設けら
れた電極に印加される電圧と外部磁石の磁界によって荷
電粒子を一定の直径の円周上に回転させ円周の接線方向
にミラーと回折格子等の光学部品を設けた微小真空紫外
分光装置、あるいは、シリコン基板の外側表面に当該シ
リコン基板を加熱する加熱構造体を設けた微小真空紫外
分光装置が得られる。
【0009】さらに、上記の微小真空紫外分光装置の荷
電粒子発生源は、絶縁膜上に設けたポリシリコンヒータ
とポリシリコンヒータの近くに設けたグリッド電極から
構成し、あるいは、先端が凸の単結晶電極あるいはポリ
シリコン電極とこの横に設けたグリッド電極から構成す
る。また、微小真空紫外分光装置の回折格子およびミラ
ーを、少なくとも一方から梁によって支持すると同時に
梁の周りに回転できるシリコン単結晶構造体から構成す
る。
【0010】
【作用】本発明の微小真空紫外分光装置では、シリコン
基板の中に荷電粒子と真空紫外光の通過する微小な空洞
が作製されるとともに、この空洞内に荷電粒子源、加速
電極、回折格子、ミラー等の光学部品が作製される。こ
のため、装置全体が非常に小型化され磁石や真空ポンプ
の数を低減することができる。荷電粒子の加速のために
必要とされる大きな電界と磁界は、装置の小型化により
電極間および磁石間の距離を小さくできるために容易に
実現可能である。また、シリコンからなる空洞は従来の
金属管に比べて清浄であるので汚染物質の発生を少なく
することができる。さらに、シリコン基板内部に作製さ
れた装置は500℃以上に加熱することが可能であるた
め、容易に汚染物質の解離を進行させることが可能であ
る。この結果、クリーニングプロセスの時間を短くする
ことができる。シリコン基板内に分光器を作製すること
の他の大きな特長は、真空紫外光の強い吸収源である酸
素をシリコン基板と化学反応させて二酸化シリコンの形
でシリコン基板内部に取り込むことが可能となることで
ある。このため、真空封止した分光器のクリーニングに
おいて分光器に真空ポンプを接続することなしにベーキ
ングのみによって高真空を再びつくることが可能とな
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明について図面を用いて詳しく説
明する。図1は、本発明の第1の実施例を示す平面図で
ある。中空のシリコン基板1の中に設けられた荷電粒子
源2から放出された荷電粒子は、同図に示すように螺旋
状の荷電粒子の軌跡5を描いて加速される。荷電粒子の
軌跡5が最も大きな半径をもつ円軌道に接する接線上に
光学部品10と光取り出し窓3が置かれる。荷電粒子
は、軌道を曲げる毎に制動輻射によって波長の短い光を
放射するので、光学部品10により反射された放射光4
が光取り出し窓3を通してシリコン基板1から外に取り
出される。
【0012】図2は図1の構造のA−A′線の断面を示
すものである。シリコン基板1の中に荷電粒子が動くた
めの中空71の構造が設けられている。この中空構造7
1の中にシリコン基板1の酸化膜21を介して電気的に
絶縁された電極22が上下に設けられている。この構造
は以下のようにして作製することができる。最初に、2
枚のシリコン基板のそれぞれを基板途中までエッチング
して溝を作り、溝の底面を酸化した後、パターニングし
て酸化膜21を、またその上にポリシリコンあるいはタ
ングステン、モリブデン等の高融点金属を堆積させてパ
ターニングすることによって電極22を作製する。続い
て2枚のシリコン基板をシリコン直接接合技術を利用し
て互いに目合わせして接着する。一方、シリコン基板1
の外側の上下には磁石23が設けられている。荷電粒子
源2から放出された荷電粒子は、この電極22と磁石2
3によって形成された電磁界により運動エネルギーを増
加させ(加速され)、図1に示した螺旋軌道を描く。こ
のように電磁界の中で荷電粒子の運動エネルギーを増大
させる方法はサイクロトロンの原理として良く知られた
方法である。
【0013】図3に図1に示した光学部品10および光
取り出し窓3の構造断面図を示す。シリコン基板1の左
から入射した放射光4はスリット31によって絞り込ま
れ反射鏡33により反射し再びスリット32により絞り
込まれて光取り出し窓3を通して外に出ていく。反射鏡
33は放射光4の進路を変えるとともに反射鏡の表面に
作製された回折格子(図4で説明する)によって一定の
波長をもった光のみを外側に取り出す機能をもってい
る。スリット31および32は2枚のシリコン基板のそ
れぞれをエッチングして互いに接着することによって作
製される。光取り出し窓3の放射光が透過する薄い領域
は真空紫外光の吸収が少ないアルカリハライド弗化物
(LiF、MgF2 、CaF2 、SrF2 、Ba
2 )、サファイア、あるいは合成溶融石英等を用いて
作製される。また、金等の薄膜を用いても良い。これら
材料を堆積あるいは接着によってシリコン基板上に作製
した後にシリコン基板をエッチングするか、あるいはシ
リコン基板を先にエッチングした後に前記材料を接着す
るかの方法によって図3に示すような形状を作製する。
続いて光取り出し窓3をシリコン基板1の側面にシリコ
ン直接接合技術を利用して接着する。
【0014】図4は図3に示した反射鏡33の構造を示
したものである。反射面43がアーム42を介して支持
台41に取り付けられている。支持台41は図3のシリ
コン基板1と一体に作製されている。反射面43の下側
にはシリコン基板1上に設けられた電極44および45
が作製されており、反射面43と電極44および45と
の間に加えられた電圧によって反射面43をアーム42
を軸にねじることができる。このねじれの角度によって
放射光4の反射角を変化させることができる。図4の反
射鏡は、反射面43の上側面を鏡面にするとき放射光を
反射させるミラーとして使用される。また、凹面状にす
ると凹面の焦点に光を収束させる凹面鏡としての機能を
もたせることができる。さらに、反射面43の上側面に
回折格子パターンを形成するとき図4の反射面は放射光
の波長を選択する回折格子として使用することができ
る。反射面43から反射する放射光の波長は反射面43
のねじる角度に依存しているために図4の構造の回折格
子は外に取り出す真空紫外光の波長を変化させることが
可能である。回折格子パターンは高融点金属あるいはシ
リコンのエッチングによって鋸歯状あるいは矩形状にし
て作製する。
【0015】図5は図2の荷電粒子源2の構造の一実施
例を示したものである。シリコン基板1と一体に作製さ
れた支持台51の上にシリコン酸化膜あるいはシリコン
窒化膜等による絶縁膜52を形成し、この絶縁膜52上
にポリシリコンあるいは高融点金属からなるヒータ53
を作製する。このヒータ53をポリシリコンから作製す
るとき1000℃以上に加熱しても材料特性の変化が少
ないという特長がある。ヒータ53に電流を流すと熱電
子が放出される。この熱電子を近くに設けられたグリッ
ド電極54に加えられた電圧によって加速し同図の左か
ら右方向に取り出す。スリット55を通過した電子56
は方向がそろえられている。図5の構造を作製する方法
を以下に述べる。2枚のシリコン基板の一方に絶縁膜5
2を作製しその上にポリシリコンパターンを作製してヒ
ータ53を作製する。絶縁膜52とシリコン基板とのエ
ッチング速度が異なるエッチング液(例えばKOH等の
アルカリ液、あるいは硝酸・弗酸混合液等)か、あるい
はCF3 等の反応性気体を使って絶縁膜52の下のシリ
コンをエッチング除去する。スリット55およびグリッ
ド電極54はシリコンの等方性エッチングと異方性エッ
チングを組み合わせて作製する。この後、二つのシリコ
ン基板をシリコン直接接合技術を用いて接着する。
【0016】図6は荷電粒子源の他の一実施例を示した
ものである。先端が凸形状をもつ電子源62を支持台6
1を介してシリコン基板1上に作製する。この電子源6
2はシリコン単結晶基板をエッチングすることによって
作製できる。また、シリコン基板の上にポリシリコンを
堆積してパターニングし、シリコン基板を除去すること
によっても作製することが可能である。この電子源62
に対向してグリッド電極63を形成する。支持台61と
グリッド電極63との間に電圧65を加えるとき電子源
の先端から電子64が放射される。この実施例は図5の
実施例に対してヒータを必要としないことから低い温度
で動作させることが可能であるために、表面に付着した
物質がシリコン基板内の真空を汚染することが少ないと
いう特徴をもっている。
【0017】以上述べた本発明の第1の実施例ではシリ
コン基板内に作製された中空は高真空になっている。こ
れは、2枚のシリコン基板を真空中で接合するととも
に、接合後にシリコン基板を500℃以上の温度でアニ
ールすることによって中空内の水素および酸素をシリコ
ンと反応させることによってシリコン基板の中に取り込
むことによって実現できる。光取り出し窓3の薄膜(図
3)として数mm厚のLiFを用いるとき機械的に十分
な剛性があるために、分光器を大気中に置いても薄膜が
破損することがない。また、この薄膜を50μm角の大
きさで1μm厚のシリコンから作製するにしても、3気
圧以上の圧力差に耐えることができるために通常の大気
圧の下に分光器をおくことが可能である。
【0018】図7(a)あるいは(b)は、真空封止さ
れたシリコン基板内の電極に外側から電圧を加えられる
ようにした構造の断面をしめす図である。同図(a)で
は、シリコン基板1上に設けられた絶縁膜102にコン
タクトホール104を設け、これを介して電極101と
拡散電極103を電気的に接続する構造が示されてい
る。拡散電極103はシリコン基板1と不純物の型が異
なる材料をシリコン基板1に拡散することによって作製
できる。拡散電極の設けられた表面は平坦であるために
シリコン直接接合を行うことが可能であり、この接合領
域の外側に作製されたコンタクトホール105に電圧を
印加することによってシリコン基板1の内部の電極10
1に電圧を与えることが可能となる。また、同図(b)
では、コンタクトホール106がシリコン基板1を貫通
して作製されている。このコンタクトホール106を高
融点金属によって埋め込むことにより電極101とシリ
コン基板1の裏面に作製された金属電極107を電気的
に接続することができる。
【0019】本実施例から取り出された真空紫外光は光
取り出し窓3を通して物質表面に照射される。このと
き、光取り出し窓3の外側に置かれた真空紫外光の通過
する領域を高真空に保つ必要がある。このため、光取り
出し窓3にステンレスあるいは石英等の中空チューブを
直接接続し、このチューブに真空ポンプを接続する方法
が用いられる。またこの他に、本発明の分光器の構造が
小さい特徴を利用して、分光器全体をこれとは別のステ
ンレスあるいは石英等の真空容器の中に入れ、真空容器
に真空紫外光通過のためのチューブを接続する方法も使
用される。
【0020】本発明の第2の実施例は、図3に示した光
取り出し窓3を除去してこれを上に述べた中空チューブ
に直接接続するか、あるいは真空容器の中に配置した構
造である(図示せず)。また、光取り出し窓3の有無に
関わらず、シリコン基板1の内部に外界と通ずる穴を設
け、この穴を通して真空ポンプによってシリコン基板1
内部の中空を真空にした構造も含まれる。この第2の実
施例の構造では、(a)2枚のシリコン基板の接合を大
気中で行うことができること、(b)シリコン基板内部
に設けられた電極に電圧を印加するための配線をシリコ
ン基板の横に設けられた穴を介してシリコン基板の外部
に引き出すことができること等のために分光器の作製が
容易になるという利点がある。また、分光器が作製され
たシリコン基板を500℃程度に加熱して側壁に付着し
た汚染物質を表面から速やかに離脱させ真空ポンプによ
って除去するという使い方が可能となる。この使用方法
は、シリコン基板の中空内部で放射光の反応によって生
成した物質をシリコン内部に固定化するという方法を用
いる第1の実施例と異なり低いベーク温度が利用できる
ために、電極や配線に比較的融点の低い種々の金属等の
材料を採用することが可能である一方、従来のベーク温
度に対しては高温であるためにベーク時間が著しく短い
という特徴がある。
【0021】図8は本発明の第3の実施例の構造を示す
平面図である。シリコン基板1の内部に図2に示したと
同様な構造をもつ中空71と同心円状の中空72(図9
に詳細を示す)が作製されている。これら二つの中空7
1と72は荷電粒子転送溝73によって互いに結ばれて
いる。また、中空72の接線方向に直線的に放射光進行
溝74が設けられており、この中に図3に示したと同様
のミラーと回折格子等をもつ光学部品10が作製されて
いる。また、放射光進行溝74は図3に示したと同様の
光取り出し窓3につながっている。荷電粒子源2から放
射された荷電粒子は中空71の中をサイクロトロン運動
を行い加速されるに従い運動半径が増大する。最大の半
径をもったときに磁界をゼロにすると荷電粒子は直線運
動を始め荷電粒子転送溝73の中を進み中空72の中に
進入する。この荷電粒子は、中空72の中の電磁界の力
によって曲げられ一定の半径をもった円軌道を描き、こ
の円に接する接線方向に放射光を放射する。放射光は放
射光進行溝74を進み途中に設けられた光学部品10に
よって反射され、方向が変化されると共に波長の選択が
行われ光取り出し窓3を通して外部に取り出される。図
8には放射光進行溝74、光学部品10、および光取り
出し窓3を二組描いているが、この数は一つでもさらに
多数でも良いことは言うまでもない。
【0022】図9に図8の中空72の構造の断面図を示
す。シリコン基板1の中に設けられた同心円状の中空7
2内部の上下に酸化膜21を介して電極22が作製され
ている。さらに、シリコン基板1の外側の上下に磁石2
3が配置されている。この例では、磁石の磁界を大きく
するためにシリコン基板1の外側の上下にニッケル、フ
ェライト等の磁性体膜82が設けられている。磁性体膜
82は図8の中空71が設けられた領域にも同時に形成
すると磁界を有効に利用できて都合が良い。図9の構造
による荷電粒子は、シンクロトロンとして公知の方法を
利用して電極22に加える電圧の電界と磁石23の磁界
を適当に同期させることによって運動エネルギーを増大
させることが可能である。図8の中空71では荷電粒子
はサイクロトロンの原理によって運動エネルギーを増大
させたが、この方法では運動エネルギーが増大するに従
って運動半径が大きくなるためにシリコン基板1の中に
設けられた中空71を大きくする必要があった。一方、
シンクロトロンの原理を用いた運動エネルギーを増大さ
せる方法は荷電粒子の運動半径が一定であるために中空
72の大きさが運動エネルギーの大きさに無関係に一定
とできる。これは、運動エネルギーの大きな荷電粒子の
加速に都合の良い方法であるため、本発明では図8に示
すように二段階の加速方法を採用した。
【0023】図10は、図9の構造の他の実施例の構造
の断面を示したものである。本発明の荷電粒子を加速す
る方法では強い磁場を必要とするために磁界を有効に利
用できるようにすることが装置の小型化とコストの上か
ら要求される。図10の構造ではシリコン基板1の中心
を貫通する穴を設けここに磁性体膜92が挿入されてい
る。さらにシリコン基板1の側面および上下面にも磁性
体膜92が作製された。これら磁性体膜92はシリコン
基板1表面に設けられた絶縁膜91の上にメッキ等の方
法によって堆積されたものである。なお、この実施例に
おいて磁性体膜92に代えて磁石を使用する例も本発明
に含まれる。本発明の図9の実施例に示すシンクロトロ
ン原理の加速器を用いるとき、超伝導磁石の最大磁束4
Teslaの下で0.12GeVの運動エネルギーをも
つ電子加速を半径10cmの円軌道で達成可能である。
このとき、77オングストロームに最大強度をもつ広帯
域の光が放射される。半径10cmの加速器は従来の数
m〜数kmの加速器に比べて著しく小さいことが注目さ
れる。
【0024】図11は本発明の第4の実施例の構造の断
面を示す図である。同図で図2と同じ番号をもつ構成要
素は図2の構成要素と同じものを示している。本実施例
はシリコン基板1の外側表面の上下に酸化膜112を介
してヒータ111を設けたことが図2の構造と異なる。
ヒータ111は高抵抗のポリシリコンあるいは高抵抗の
高融点金属によって作製される。ヒータ111の抵抗が
大きいために電流を流すとヒータ111が発熱してシリ
コン基板1の温度が上昇する。この温度上昇によって分
光器が作製されたシリコン基板1のベークが行われるた
めに、この分光器に接続した真空紫外光取り出し用の中
空チューブや真空容器の配置を変更する必要がないとい
う利点がある。
【0025】以上、図1〜図11の実施例では磁石を用
いて磁界を発生させていたが、コイルを用いて磁界を発
生させるものも本発明に含まれる。特に、図11の構造
と似たもので、ヒータ111の代わりに低抵抗のコイル
電極をシリコン基板上に作製することによって著しく小
型の分光器を作製することが可能である。また、本実施
例では荷電粒子の例として電子を説明したが、加速した
電子を金等の金属膜等に衝突させることによってイオン
を発生させることが可能である。このイオンを荷電粒子
として利用する例も本発明に含まれる。
【0026】
【発明の効果】以上記述した本発明の構造をもつ真空紫
外分光器は寸法が著しく小さいことと高温ベークが可能
であるという特徴から従来のものに比べて著しい利点が
ある。以下、本発明の効果を述べる。(1)分光器内部
の中空領域が小さいために小型の真空ポンプを用いて急
速に高真空にできる。(2)分光器全体の寸法が小さい
ために熱容量が小さくなり、このためにベーク時間が著
しく短くなる。(3)荷電粒子を加速する電極間の距離
が小さいために小さな電圧で大きな電界を発生させるこ
とができる。(4)磁界が作用する距離が小さいため
に、小さな電流をコイルに流すだけで大きな磁界を発生
させることができる。(5)分光器を測定系から切り離
すことが容易であるため、分光器のみをベークしたり、
他の分光器と交換したりすることが容易である。(6)
500℃以上のベーク温度が使用できるためベーク時間
が減少する。(7)高温ベークにより中空のシリコン側
壁に酸素や水素を反応させることが可能であるため、真
空紫外光の吸収の少ない高真空を容易に作製することが
できる、等である。さらに、ミラーや回折格子の角度が
容易に変更できるために光軸調整や利用できる真空紫外
光の波長の選択が非常に容易になる。以上述べた効果は
著しいものであり、本発明は従来例に比べて非常に有効
なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す平面図である。
【図2】図1のA−A′線断面図である。
【図3】図1の光学部品および光取り出し窓の断面図で
ある。
【図4】図3の反射鏡の一例を示す図である。
【図5】図1の荷電粒子源の一例を示す断面図である。
【図6】図1の荷電粒子源の他の例を示す図である。
【図7】(a),(b)は真空封止内の電極に電圧を加
えるための配線方法を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例を示す平面図である。
【図9】図8のシンクロトロン原理を利用する中空72
の構造の一例を示す断面図である。
【図10】図8のシンクロトロン原理を利用する中空7
2の構造の他の例を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリコン基板 2 荷電粒子源 3 光取り出し窓 4 放射光 5 荷電粒子の軌跡 10 光学部品 21,112 酸化膜 22,44,45,101 電極 23 磁石 31,32,55 スリット 33 反射鏡 41,51,61 支持台 42 アーム 43 反射面 52,91,102 絶縁膜 53,111 ヒータ 54,63 グリッド電極 56,64 電子 62 電子源 65 印加電圧 71,72 中空 73 荷電粒子転送溝 74 放射光進行溝 81,82,92 磁性体膜 103 拡散電極 104,105,106 コンタクトホール 107 金属電極

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 荷電粒子発生源および電極を中空のシリ
    コン基板内に設け、シリコン基板の上下に配置された磁
    石の磁界と当該電極に印加する電圧を制御することによ
    って当該荷電粒子をシリコン基板内に設けた中空の中を
    加速運動させることにより短波長光を発生させる光源
    と、当該短波長光の進路を変更するミラーおよび波長を
    選択する回折格子等の光学部品をシリコン基板内に設
    け、真空ポンプによって当該シリコン基板の内部を真空
    にしたことを特徴とする微小真空紫外分光装置。
  2. 【請求項2】 シリコン基板の側面に短波長光の光取り
    出し窓を設け、荷電粒子発生源、電極、光学部品および
    中空からなるシリコン基板内部を外界雰囲気から隔離し
    て真空封止したことを特徴とする請求項1記載の微小真
    空紫外分光装置。
  3. 【請求項3】 シリコン基板内の一方の中空に荷電粒子
    発生源および電極を設け外部磁石の磁界と当該電極に印
    加される電圧によって荷電粒子を加速させると共に、当
    該シリコン基板内に前記中空と接続する溝をもつ他方の
    同心円状の中空を設け、当該同心円状中空に設けられた
    電極に印加される電圧と外部磁石の磁界によって荷電粒
    子を一定の直径の円周上に回転させる手段と当該円周の
    接線方向にミラーと回折格子等の光学部品を設けたこと
    を特徴とする微小真空紫外分光装置。
  4. 【請求項4】 前記シリコン基板の外側表面に当該シリ
    コン基板を加熱する加熱構造体を設けたことを特徴とす
    る請求項1,2または3記載の微小真空紫外分光装置。
  5. 【請求項5】 前記荷電粒子発生源を絶縁膜上に設けた
    ポリシリコンヒータと当該ポリシリコンヒータの近くに
    設けたグリッド電極から構成したことを特徴とする請求
    項1,2または3記載の微小真空紫外分光装置。
  6. 【請求項6】 前記荷電粒子発生源を先端が凸の単結晶
    電極あるいはポリシリコン電極とこの横に設けたグリッ
    ド電極から構成したことを特徴とする請求項1,2また
    は3記載の微小真空紫外分光装置。
  7. 【請求項7】 前記回折格子およびミラーを少なくとも
    一方から梁によって支持すると同時に、当該梁の周りに
    回転できるシリコン単結晶構造体から構成したことを特
    徴とする請求項1,2または3記載の微小真空紫外分光
    装置。
  8. 【請求項8】 前記加熱構造体が前記シリコン基板の外
    側表面の上下に絶縁膜を介して設置したヒータであるこ
    とを特徴とする請求項4記載の微小真空紫外分光装置。
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