JP2800629B2 - 電子放出素子 - Google Patents

電子放出素子

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JP2800629B2 JP12298093A JP12298093A JP2800629B2 JP 2800629 B2 JP2800629 B2 JP 2800629B2 JP 12298093 A JP12298093 A JP 12298093A JP 12298093 A JP12298093 A JP 12298093A JP 2800629 B2 JP2800629 B2 JP 2800629B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光素子等に利用され
る電界放出型の電子放出素子の構造に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】電子放出素子は、放出電子により蛍光物
質を励起して発光させる発光素子や、半導体中に比べ高
速に移動する真空中の電子を利用した半導体デバイスの
電子放出源となるものである。本発明は、特に陰極層の
エッジ部に高電界を集中させ、電子を放出する電界放出
型の電子放出素子の構造に関するものである。図5に基
づき電界放出型電子放出素子の従来例の構造を説明す
る。
【0003】図5で、(a)は略平板上の電子発光素子
の電子放出面の構造を示す平面図、(b)は断面図であ
る。1は平板状のガラス等の絶縁基板、2は絶縁基板1
の表面に形成されたAl2 3 層、3はベース電極とな
る下部Cr層、4は下部Cr層3の上部に形成され陰極
層となるMo層で、エッジ部4aを有する長尺状に形成
されている。5は下部Cr層3との間に電界をかけて電
子を引き出す制御電極となる上部Cr層で、陰極層であ
るMo層4に対して、サブミクロンオーダーの間隔を隔
てて、エッジ部4aと同程度の高さに形成されている。
6はベース電極である下部Cr層3と制御電極である上
部Cr層5間の絶縁層となるSiO2 層である。電子放
出素子は、以上のように構成され、真空封止されてい
る。
【0004】上記の電子放出素子は、ベース電極である
下部Cr層3に対して正電圧を制御電極である上部Cr
層5に印加すると、陰極層であるMo層4のエッジ部4
aに電界が集中するため、エッジ部4aより電子が真空
中に放出される。図5(b)に示すように、従来、絶縁
層は、SiO2 層6の一層で形成されていた。絶縁耐圧
の十分良好な絶縁層を形成するためには、化学的に安定
な平衡状態で形成するのが最良であるが、本発明の形式
の電子放出素子は、高度なリソグラフィー技術を用いず
に、陰極層と制御電極間にサブミクロンのギャップを形
成することを特徴とするものであるので、本発明の形式
の電子放出素子では、電子ビーム蒸着法による蒸発原子
の直進性を活用して絶縁層を生成している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
構成では、絶縁基板1の加熱時、絶縁層であるSiO2
層6と制御電極である上部Cr層5の熱膨張率の差に起
因しているとみられるクラック7が図5(a)に示すよ
うに上部Cr層5に発生したため、電子放出素子の使用
温度や、真空封止する際の温度を制限する必要があっ
た。
【0006】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、その目的とするところは、絶縁基板加熱時の上部C
r層のクラックの発生を抑えることができる電子放出素
子の構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明の電子放出素子は、絶縁基板と、この絶縁基板上
に形成されたベース電極と、このベース電極上に形成さ
れ、エッジ部分から電子を放出する陰極層と、この陰極
層の外側に所定の間隔を隔てて形成された絶縁層と、こ
の絶縁層の上部に、電子を引き出すための制御電極を備
えた電子放出素子において、前記絶縁層をSiO2 層、
Al2 3 層の複合層とし、その複合層の少なくとも最
上部の層をAl2 3 層としたことを特徴とするもので
ある。
【0008】
【作用】絶縁層を2層構造とし、SiO2 層の上部にA
2 3 層を積層した場合、原因は明確ではないが、実
験の結果より、金属(Cr)の熱膨張によるクラックの
発生を抑制する効果がみられた。図6は、電子放出素子
の構成材料の線膨張係数を示したものであるが、この表
に示すとおり、Al2 3 の熱膨張率は、金属(Cr)
に近く、SiO2 のそれと比べると一桁大きいものであ
る。Al2 3 とSiO2 は、自由にその組成比を変え
て混じり合うことが知られているが、SiO2 とAl2
3 の界面は、熱応力を緩和する作用があると推測され
る。以上より、上部Cr層5とSiO2 層6の界面だけ
でなく、下部Cr層3とSiO2 層6の界面にもAl2
3 層を挿入することで、より大きな効果があるものと
予測される。下部Cr層3とSiO2 層6の界面では、
クラックが発生しなかったが、これは、その界面付近で
は、SiO2 、または、Crがアモルファス状態となっ
て、この熱応力を緩和していると推測されるが、実証は
されていない。
【0009】
【実施例】本発明の電子放出素子の一実施例の構造を、
図1の断面図に示す。従来例と同等構成については、同
符号を付すこととする。図で、1は平板状のガラス等の
絶縁基板、2は絶縁基板1の表面に形成されたAl2
3 層である。但し、この層は、エッチング工程時、絶縁
基板を保護するものであり、絶縁基板の材料によって
は、設けなくてもよいものである。3はベース電極とな
る下部Cr層、4はベース電極である下部Cr層3の上
部に形成され、陰極層となるMo層で、エッジ部4aを
有する長尺状に形成されている。5は下部Cr層3との
間に電界をかけて電子を引き出す制御電極となる上部C
r層で、陰極層であるMo層4に対して、サブミクロン
オーダーの間隔を隔てて、エッジ部4aと同程度の高さ
に形成されている。6aは絶縁層の下層となるSiO2
層、6bは絶縁層の上層となる上部Al2 3 層であ
り、SiO2 層6aと上部Al2 3 層6bの複合層と
して構成されている絶縁層6は、ベース電極である下部
Cr層3と制御電極である上部Cr層5を絶縁するため
に形成されている。
【0010】図2に異なる実施例を示す。この実施例
は、上述したように、熱応力を緩和するため、Al2
3 層を、上部Cr層とSiO2 層の界面だけでなく、下
部Cr層とSiO2 層の界面にも挿入したことを特徴と
するものである。図1の従来例と同等構成については、
同符号を付すこととし、詳細な説明を省略する。図で、
絶縁層は、上部Al2 3 層6b、SiO2 層6a、下
部Al2 3 層6cの三層構造となっている。
【0011】次に、図1に示した実施例の製造方法を、
図3に基づき説明する。(a)に示すように、ガラス等
の絶縁基板1の上部にAl2 3 層2、ベース電極とな
る下部Cr層3、陰極層となるMo層4及びMo層4の
エッチングマスクとなるAl層8を蒸着により形成す
る。
【0012】Al層8をエッチングするため、(b)に
示すように、Al層8の上部にレジスト9を形成しパタ
ーニングを行った後、(c)に示すようにAl層8をエ
ッチングする。この時、レジスト9の幅は、形成しよう
とする陰極層の幅に、陰極層両側のギャップ幅を加えた
寸法とする。
【0013】今度は、陰極層を形成するため、(d)に
示すように、Al層8をマスクとしてMo層4をエッチ
ングする。この時、上部のAl層8の幅より陰極層両側
のギャップ幅だけ細くなるようにサイドエッチングを行
う。
【0014】(e)に示すように、絶縁基板1上に、下
部絶縁層となるSiO2 層6aと上部絶縁層となる上部
Al2 3 層6bを堆積させた後、制御電極を形成する
ためCrを蒸着させる。
【0015】最後に、Al層8をリフトオフすると、
(f)に示すように、陰極層であるMo層4と制御電極
である上部Cr層5の間にサブミクロンオーダーのギャ
ップを設けた電子放出素子を形成することができる。
【0016】絶縁層を多層構造とした電子放出素子と従
来例の絶縁耐圧特性を図4に示す。図4のグラフの横軸
は、ベース電極である下部Cr層3と制御電極である上
部Cr層5間に印加する電圧V、縦軸は漏れ電流Iで、
(a)は従来例の場合、(b)は絶縁層を多層構造とし
た例の場合を示している。絶縁層がSiO2 層のみの従
来のものでは、漏れ電流は電圧60V 付近より発生し次第
に大きくなり、電圧120V付近から異常な電流が検出され
るようになる。一方、絶縁層を多層構造とした例では、
漏れ電流も少なく、従来のような異常電流も発生せず、
500 ℃まで加熱しても制御電極である上部Cr層には全
くクラックの発生は見られなかった。このように、絶縁
層を多層構造とした例では、絶縁耐圧性能も向上した。
この原因は、明らかではないが、絶縁層を多層構造とし
た場合、Al2 3 層がサイドエッチングされて、絶縁
層の側面が凹凸状になるという現象がみられたことよ
り、絶縁層側面の沿面絶縁距離が長くなったためとも考
えられる。また、絶縁耐圧が向上し、耐熱性が向上した
ことで、脱ガスベーキングが可能となり、均一で安定し
た電子放出を得ることもできた。
【0017】尚、陰極層、制御電極の形状は、実施例に
限定されるものではない。絶縁層は、Al2 3 層とS
iO2 層を交互に形成して4層以上の構成としてもよ
い。電極材料は、Crに限定されず、Mo、W、Nb等
を用いてもよい。
【0018】(関連発明1)従来、電界放射型の電子放
出素子では、ベース電極として導電性の金属薄膜が用い
られてきた。金属薄膜は不透明であるため、このような
電子放出素子で発光素子を構成する場合、電子放出素子
の電子放出面と対峙させた発光体層に電子を高速に衝突
させ、発光体層の表面付近で発光させて、その光を発光
体層を透過させて取り出さなければならなかった。この
場合、光が発光体層に吸収されるので、発光した光を効
率良く外部に取り出すことができず、発光効率が低くな
るという問題点があった。
【0019】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、発光効率の向
上が図れる電子放出素子の構造を提供することにある。
【0020】上記の問題点を解決するため本発明の電子
放出素子は、透明な絶縁基板と、この絶縁基板上に形成
されたベース電極と、このベース電極上に形成され、エ
ッジ部分から電子を放出する陰極層と、この陰極層の外
側に所定の間隔を隔てて形成された絶縁層と、その絶縁
層の上部に、電子を引き出すための制御電極を備えた電
子放出素子において、前記ベース電極、または、前記制
御電極を透明な導電層で構成したことを特徴とするもの
である。
【0021】図7は、このように構成した電子放出素子
の一実施例を示すもので、図5に示した従来例に対し
て、ベース電極及び制御電極を透明な導電材料で構成し
たものである。図7で、1は平板状のガラス等の透明な
絶縁基板、2は絶縁基板1の表面に形成されたAl2
3 層、10はベース電極となる透明導電層、4は透明導
電層10の上部に形成され陰極層となるMo層で、エッ
ジ部4aを有する長尺状に形成されている。11は透明
導電層10との間に電界をかけて電子を引き出す透明制
御電極で、陰極層であるMo層4に対して、サブミクロ
ンオーダーの間隔を隔てて、エッジ部4aと同程度の高
さに形成されている。6は透明導電層10と透明制御電
極11間の絶縁層となるSiO2 層である。電子放出素
子の製造方法は、図3に示した製造方法と同様である。
【0022】上記のように構成された電子放出素子の電
子放出面に、発光体層を、真空中で向かい合わせて配置
し、透明導電層10と透明制御電極11間に、透明制御
電極11側が高電位になるように電圧を印加することに
よって、陰極電極であるMo層4から透明制御電極11
によって引き出された電子が、発光体層の表面に衝突
し、表面から数10Åの厚さの範囲で光が放出される。い
わゆる、電子線励起発光が起こる。放出された光は、透
明制御電極11、SiO2 層6、透明導電層10、Al
2 3 層2及び絶縁基板1を透過して、外部に放出され
る。
【0023】このように発光体層の表面から放射された
光を電子放出素子側に透過させて外部に取り出すように
構成したので、従来のように発光体層を透過させなけれ
ば光を取り出せなかった方法に比べ、光の損失が少なく
なるという効果を奏するものである。
【0024】尚、不透明な制御電極を陰極近傍にのみ配
置し、制御電極の面積を減らせば、制御電極に吸収され
る光の量を少なくできるので、ベース電極のみ透明な材
料で構成してもよい。また、ベース電極を不透明な材料
で構成する場合でも、その形成位置を陰極層の下部に限
定してやれば、ベース電極に吸収される光の量は少なく
なるので、制御電極のみ、透明な材料で構成してもよ
い。
【0025】(関連発明2)従来から、電子線発光型の
発光素子には、電子源から放射される電子を高速に加速
し発光体層に衝突させ、高効率に発光した光を電子源側
に取り出す形式のものがある。このような発光素子で、
発光体層が絶縁物である場合、発光体層の電子線照射面
と反対側の面にアノードバックと呼ばれる導電性の金属
膜を形成し、このアノードバックに、正電圧を印加して
電子を発光体層側に加速していた。このアノードバック
は、反射板として作用すると共に、発光体層の放熱板と
して作用し、発光体層の焼け等の劣化を防止していた。
また、電子源として、細いタングステンフィラメントを
配置し、蛍光体を導電性のものにして低電圧で発光する
ように構成した蛍光表示管の場合も、蛍光体表面から放
出された光を、フィラメント側から取り出すことによっ
て、効率よく光を取り出すことができた。
【0026】しかし、上記のように、発光体層が絶縁物
である場合には、発光体層に電子を侵入させるため、電
子を高速に加速する必要があり、そのために25KV程度の
高電圧を印加する必要があった。また、上記のように構
成した蛍光表示管の場合は、線状のフィラメントを用い
るために、構造上の制限があり、薄型化しにくく、振動
に弱いという問題点があり、フィラメントや、電子制御
用のメッシュグリッドが外部から見えるという欠点もあ
った。
【0027】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、高電圧を印加
する必要がなく、薄型化、耐振動性能の向上が図れる発
光素子の構造を提供することにある。
【0028】上記の問題点を解決するため本発明の発光
素子は、真空容器内に、透明な絶縁基板と、この絶縁基
板上に形成されたベース電極と、このベース電極上に形
成され、エッジ部分から電子を放出する陰極層と、この
陰極層の外側に所定の間隔を隔てて形成された絶縁層
と、その絶縁層の上部の電子を引き出すための制御電極
により構成された電子放出素子と、前記真空容器内に塗
布された蛍光体を有することを特徴とするものである。
また、上記構成の発光素子において、ベース電極、また
は、制御電極を透明な導電層で構成したことを特徴とす
るものである。
【0029】図8は、このように構成した発光素子の一
実施例を示すもので、図7に示したベース電極及び制御
電極が透明な電子放出素子を用いて、発光素子を構成し
たものである。図8で、1は平板状のガラス等の透明な
絶縁基板、2は絶縁基板1の表面に形成されたAl2
3 層、10はベース電極となる透明導電層、4はベース
電極である透明導電層10の上部に形成され陰極層とな
るMo層で、エッジ部4aを有する長尺状に形成されて
いる。11はベース電極である透明導電層10との間に
電界をかけて電子を引き出す制御電極となる透明制御電
極で、陰極層であるMo層4に対して、サブミクロンオ
ーダーの間隔を隔てて、エッジ部4aと同程度の高さに
形成されている。6はベース電極である透明導電層10
と透明制御電極11間の絶縁層となるSiO2 層であ
る。12はAl等の金属製のメタルバック13と、蛍光
体14の層を表面に形成したガラス板で、電子放出素子
の電子放出面と蛍光体14の層が向き合うように配置さ
れている。絶縁基板1とガラス板12間は真空封止され
ている。電子放出素子の製造方法は、図3に示した製造
方法と同様である。
【0030】上記のように構成された発光素子は、ベー
ス電極である透明導電層10に対する正の電圧を透明制
御電極11に印加すると共に、透明制御電極11に対す
る正の電圧を金属の導電層であるメタルバック13に印
加することによって、陰極電極であるMo層4から透明
制御電極11によって引き出された電子が、メタルバッ
ク13に印加した電圧によって加速され、蛍光体14の
表面に衝突し、表面から数10Åの厚さの範囲で光が放出
される。いわゆる、電子線励起発光が起こる。この時、
使用される蛍光体14は、導電性のものを使用し、低電
圧(20〜150V)で発光するようにしておく。放出された
光は、透明制御電極11、SiO2 層6、透明導電層1
0、Al2 3 層2及び絶縁基板1を透過して、外部に
放出される。メタルバック13は、蛍光体14との密着
性に問題があれば、ガラス板12の蛍光体14の層を形
成する面と反対側の面に形成してもよい。
【0031】このように蛍光体表面から放射された光を
電子放出素子側に透過させて外部に取り出すように構成
したので、従来のように蛍光体を透過させて光を取り出
していた場合に比べて、光の損失が少なくなるという効
果を奏するものである。この場合の透過率は、絶縁基板
の透過率にもよるが、80%程度は確保することができ
る。
【0032】(関連発明3)図5に示した従来の電界放
出型の電子放出素子では、制御電極は絶縁層の上面全体
にわたって、平板状に形成されていた。このような構成
の場合、絶縁層を挟んで、ベース電極と制御電極により
コンデンサが形成され、そのコンデンサの電極面積は、
略制御電極の面積と等しいものであるため、かなり大き
な容量を有していた。例えば、図5に示した電子放出素
子を同一基板上に複数形成し、アレイ状に接続した場
合、1個の電子放出素子が壊れると、その大容量のコン
デンサに蓄積された電気エネルギーのため、アレイ状の
素子全体の受けるダメージが大きくなっていた。また、
素子入力容量が大きくなるため、動作周波数も低くなる
という問題点があった。電子放出素子は、電子線励起発
光を利用した発光素子以外にも、真空中の高速な電子を
利用した半導体デバイス等の電子源として応用できるの
で、その動作周波数の上限を高めることは重要な課題で
ある。
【0033】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、破壊時のダメ
ージを減少させると共に、動作周波数の上限を高くでき
る電子放出素子の構造を提供することにある。
【0034】上記の問題点を解決するため本発明の電子
放出素子は、絶縁基板と、この絶縁基板上に形成された
ベース電極と、このベース電極上に形成され、エッジ部
分から電子を放出する陰極層と、この陰極層の外側に所
定の間隔を隔てて形成された絶縁層と、その絶縁層の上
部に、電子を引き出すための制御電極を備えた電子放出
素子において、前記制御電極を、陰極近傍に局所的に配
置され、前記陰極から電子を引き出すための能動部と、
その能動部同士、または、前記能動部とその外部回路を
接続する線状の配線部により構成したことを特徴とする
ものである。
【0035】図9は、このように構成した電子放出素子
の一実施例を示すもので、(a)は断面図、(b)は電
子放出面の構造を示す平面図である。(a)で、1は平
板状のガラス等の絶縁基板、2は絶縁基板1の表面に形
成されたAl2 3 層、3はベース電極となる下部Cr
層、4はベース電極である下部Cr層3の上部に形成さ
れ、陰極層となるMo層で、エッジ部4aを有する長尺
状に形成されている。5aは、制御電極となる上部Cr
層5の一部分で、陰極層4の近傍に局所的に配置され、
陰極層4から電子を引き出す能動部である。能動部5a
は、陰極層であるMo層4に対して、サブミクロンオー
ダーの間隔を隔てて、エッジ部4aと同程度の高さに形
成されている。6は絶縁層となるSiO2 層で、ベース
電極である下部Cr層3と制御電極である上部Cr層5
を絶縁するために形成されている。
【0036】(b)の平面図に示すように、本実施例
は、絶縁基板1上に、陰極層であるMo層4が平面視略
正方形状に複数形成されたものである。そのMo層4の
周囲には、サブミクロンオーダーの間隔を隔てて、上部
Cr層5の能動部5aが、略ロ字状に形成され、その能
動部5a間及び能動部5aからさらに外側部分に線状の
配線部5bが形成されている。従来、制御電極である上
部Cr層5は、絶縁層であるSiO2 層6の上面で、陰
極部分以外の全面にわたって略平板状に形成されていた
のに対し、本発明の制御電極(上部Cr層)は、陰極で
あるMo層4から電子を引き出すという制御電極の機能
に寄与する主要部分として、陰極近傍に局所的に能動部
5aを設けると共に、能動部5a同士及び能動部5aと
外部回路を接続するために、線状の配線部5bを設けた
ものである。本実施例の電子放出素子は、図3に示した
方法と同様の方法で製造されるが、図3の(e)に示し
た工程の、制御電極5を蒸着させる段階で、能動部5a
及び配線部5bを開孔した蒸着マスクをかけて制御電極
の蒸着を行わせて形成する。
【0037】このように、制御電極の電極面積を減少さ
せることによって、電子放出素子の機能を損なうことな
く、ベース電極と制御電極により構成されるコンデンサ
の容量を大幅に減少させることができるため、破壊時の
ダメージを少なくし、動作周波数の上限を高めることが
できるという効果を奏する。
【0038】尚、陰極層、制御電極の形状は、実施例に
限定されない。また、ベース電極や制御電極を透明な材
料で構成してもよい。
【0039】
【発明の効果】以上のように、本発明の電子放出素子
は、絶縁層の最上部をAl2 3 層とすることによっ
て、加熱時、上部Cr層にクラックが発生するのを抑え
ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の異なる実施例の構造を示す断面図であ
る。
【図3】本発明の一実施例の製造方法を示す工程図であ
る。
【図4】本発明に係る電子放出素子と従来例の絶縁耐圧
特性を示す線図で、(a)は本発明に係る電子放出素子
の場合、(b)は従来の電子放出素子の場合を示すもの
である。
【図5】従来例の構造を示す図で、(a)は平面図、
(b)は断面図である。
【図6】各種材料の線膨張係数を示す表である。
【図7】関連発明1に係る断面図である。
【図8】関連発明2に係る断面図である。
【図9】関連発明3に係る構造図で、(a)は断面図、
(b)は平面図である。
【符号の説明】
1 絶縁基板 2 Al2 3 層 3 下部Cr層 4 Mo層 4a エッジ部 5 上部Cr層 5a 能動部 5b 配線部 6 SiO2 層 6a SiO2 層 6b 上部Al2 3 層 6c 下部Al2 3 層 7 クラック 8 Al層 9 レジスト 10 透明導電層 11 透明制御電極 12 ガラス板 13 メタルバック 14 蛍光体
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−167324(JP,A) 特開 平5−94760(JP,A) 特開 平4−65048(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 1/30,9/02

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板と、この絶縁基板上に形成され
    たベース電極と、このベース電極上に形成され、エッジ
    部分から電子を放出する陰極層と、この陰極層の外側に
    所定の間隔を隔てて形成された絶縁層と、その絶縁層の
    上部に、電子を引き出すための制御電極を備えた電子放
    出素子において、前記絶縁層をSiO 2 層、Al2 3
    層の複合層とし、その複合層の少なくとも最上部の層を
    Al23 層としたことを特徴とする電子放出素子。
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