JP2799758B2 - ベニヤ単板巻玉の巻戻し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、ベニヤレースによって切削され、巻取位置
にて巻取リールに巻取られたベニヤ単板の巻玉を、次段
工程へ円滑に巻戻す装置に関するものである。

「従来の技術」 従来より、第２図に示す如く、ベニヤレースによって
切削されたベニヤ単板１は、巻取位置において、サイド
ドライブロールと圧接回転する巻取リール２に適宜径の
巻玉３となるまで巻取られ、巻玉ストックエリヤ４にお
いて一旦保管した後、またはそのまま、巻玉ストックエ
リヤ４の終端まで移送架５で移送し、次いで巻戻し位置
６にて、巻取リール２の両軸部をリール支柱７に固着さ
れたリール受８に支承した後、巻玉３の上方外周に巻戻
しコンベヤ９を当接させて巻戻し、次段工程の切断装
置、或いはベニヤドライヤ10のネットコンベヤ11に連設
している搬送コンベヤ12へ移乗させている。

即ち、上段の巻玉ストックエリヤ４の巻戻し位置６で
は、通常、原板用の比較的薄いベニヤ単板１が、ベニヤ
ドライヤ10の上段のネットコンベヤ11へ巻戻され、移乗
されており、巻戻し後の空の巻取リール２は、上段の巻
戻し位置６から、斜め下方へ延びる返送架13よりリール
ストックエリヤ14へ返送され、また、下段の巻戻し位置
６では、通常、原板用のベニヤ単板１のほぼ倍の厚みを
有する中板用のベニヤ単板１が巻戻され、これを上段の
ネットコンベヤ11に比して搬送速度が遅い下段のネット
コンベヤ11へ移乗させるものであり、巻戻し後の空の巻
取リール２は、下段の巻戻し位置６から、斜め上方へ伸
びる返送架13よりリールストックエリヤ14へ返送される
ことになる。

「発明が解決しようとする課題」 通常、巻戻し位置６から巻戻されるベニヤ単板１を、
搬送コンベヤ12上へ移乗しながら安定的に搬送するに
は、巻戻しコンベヤ９の巻戻し速度と搬送コンベヤ12の
ベニヤ単板１の搬送速度を揃速制御させる必要がある。
しかしながら、巻戻しコンベヤ９を構成しているタッチ
ベルトを、巻玉３へ押し付けながらその摩擦力によって
ベニヤ単板１を繰り出す際、その摩擦力が巻玉３外周面
に確実に伝達できない場合、或いは搬送コンベヤ12上へ
巻戻されたベニヤ単板１の搬送時、搬送コンベヤ12との
スリップ等に起因する機械的な誤差によって、両者の揃
速制御が阻害されることがある。

さらには、ベニヤ単板１巻取時において、その両端近
傍位置に湿式のテープを貼着して端部の補強を施してい
るが、巻取られるベニヤ単板１の端部に割れ、欠け等が
存在していた場合、この割れ、欠け部分を通して巻玉３
外周に貼着し、巻戻し時に当該部分において引っ掛かる
ことによっても、両者の揃速制御が阻害されることにな
る。

この揃速誤差が発生すると、巻玉３から連続状に巻戻
されるベニヤ単板１は、搬送コンベヤ12上において、上
下何れかに変位する状態となる。即ち、巻戻し速度に対
して搬送コンベヤ12の周速が速くなると、ベニヤ単板１
は上方に変位する引っ張り状態となり、過度の引っ張り
状態においては、ベニヤ単板１はその繊維方向に裂断
し、また逆に遅くなると、ベニヤ単板１は下方に変位す
る弛み状態となり、過度の弛み状態においては、互いに
折れ重なったまま搬送される等、次段工程であるベニヤ
ドライヤ10、或いは切断装置における処理作業に支承を
来すものである。

このため、従来より上記揃速誤差を修正すべく、巻戻
されるベニヤ単板１の上下に亘る変位量を検出して、巻
戻しコンベヤ９の周速を調整していた。具体的には、搬
送コンベヤ９にリミットスイッチを配置し、このリミッ
トスイッチの先端に取着された揺動自在なレバーを搬送
面より突出させ、巻戻し途上のベニヤ単板１がレバーに
検出されるか否かによって、巻戻しコンベヤ９を増減速
し、揃速誤差の解消を図っていた。

しかしながら、この従来方式においても、巻玉３がリ
ール受８を支承部分として巻戻されており、巻玉３径の
減少に伴って変位量の検出位置が移動するので、確実な
検出が期し得ず、依然として上記不都合を完全に払拭す
ることは不可能であった。

「課題を解決するための手段」 本発明は叙上に鑑み、リール支柱のベニヤ単板巻戻し
位置において、巻玉を捲装した状態の巻取リールの両端
転子部分を前記支柱部にて遊転自在に支承し、また巻玉
の搬出側上部に巻戻しコンベヤを当接させると共に、こ
の巻玉下方に搬送コンベヤを配設し、一方、この搬送コ
ンベヤの上方適宜位置まで前記支柱から横梁を突出配置
し、この横梁上に巻戻し単板の変位量を検出する変位量
検出器を摺動自在に配置して、変位検出量に応じて前記
巻戻しコンベヤの可変速モータに増減速指令を指示する
と共に、巻玉径検出器によって検出される巻玉径の減少
量に応じて、前記変位量検出器を横梁上を追従摺動させ
るものである。

「作用」 巻戻しコンベヤを駆動させることによってベニヤ単板
は巻玉から巻戻され、搬送コンベヤ上へ移乗される。こ
の移乗時、変位量検出器によってベニヤ単板の弛み状態
が検出され、この検出結果に基づき巻戻しコンベヤの可
変速モータに増減速を指示し、また、巻戻しの進行に伴
って減少する巻玉径に応じて、変位量検出器を横梁上を
追従摺動させて、変位量検出器と巻玉外周間の相対的距
離を一定に保持させるので、ベニヤ単板は常態において
適度の弛みを形成されながら、搬送コンベヤ上を搬送さ
れることになる。

「実施例」 以下、本発明の一実施例を添付図面に基づいて、まず
構成より説明する。尚、既に説明した部品については同
一番号を付し、重複説明は省略している。

前記一対のリール支柱７の内側には、両端転子部分を
遊転自在に支承するリール受８が設置され、このリール
受８の上方位置には、転子部分の上部に対して揺動自在
としたリール押えを設置して巻戻し位置６が構成されて
いる。また一方、前記リール支柱７の上部間に支承され
た軸には、任意間隔を置いて複数個のプーリが嵌着さ
れ、タッチベルト15が懸回された巻戻しコンベヤ９が構
成されている。

この巻戻しコンベヤ９を構成する駆動軸16には可変速
モータ17が接続され、また、前記搬送コンベヤ12の駆動
軸18にも可変速モータ19を接続し、両者のコンベヤ速度
は各々演算器20敗へフィードバックされ、搬送コンベヤ
12の速度に基づいて巻戻しコンベヤ９の速度を揃速制御
している。

次に、前記リール支柱７の一側より、ベニヤ単板１の
巻戻し方向へ突出させた横梁21上に支持体22を載架し、
この横梁21を摺動面としてラック・ピニオン、ボール螺
子、ロッドレスシリンダ等の摺動装置23を介して支持体
22に超音波、光電管等の非接触式の変位量検出器24を接
続する。この変位量検出器24を、例えば発信部と受信部
を有する超音波式の検出器とした場合、発信部から巻戻
し途上のベニヤ単板１面に到達する発信波と、受信部ま
で反射する受信波に要する時間から、ベニヤ単板１の位
置を検出信号によって得るものである。

この検出信号は一旦電圧に変換されて比例制御器25に
入力され、この比例制御器25においてベニヤ単板１の位
置、即ちベニヤ単板１の上下に亘る変位量に対する電圧
の変化を、比例特性として捉えるものである。具体的に
は、ベニヤ単板１の巻戻し速度は搬送コンベヤ12の周速
に基づいて揃速同調されており、ベニヤ単板１が適度の
弛みを形成しながら、最も安定した常態で搬送されるよ
うに比例制御すべく、揃速誤差に起因するベニヤ単板１
の上下に亘る変位量を、電圧の増減として捉えるもので
ある。

従って、仮にベニヤ単板１が上方へ変位して引っ引り
状態となる時、電圧量は負の方向として捉えられて減速
信号となり、また逆に、ベニヤ単板１が下方へ変位して
過度の弛み状態となる時には、電圧量は正の方向として
捉えらえて増速信号となる。

この比例制御器25における前記電圧量による増減速信
号は、演算器20に付設された比較器26へその都度入力さ
れ、この比較器26内において前記演算器20の演算結果に
対して増速、或いは減速信号が比較され、前記巻戻しコ
ンベヤ９の可変速モータ17へ追随制御させ、ベニヤ単板
１を安定的に搬送させるものである。

一方、巻玉３から適宜距離離隔した位置に、巻玉３径
を検出するため、前記記載のような超音波、光電管等の
非接触式の巻玉径検出器27を配置し、前記支持体22の位
置検出信号が入力されている制御器28内へ、ベニヤ単板
１の巻戻しによって減少する巻玉３径を逐次検出し、こ
の減少量を前記記載のように検出信号に変換して、前記
摺動装置23を作動させ、支持体22を巻玉３側へ等距離摺
動させ、変位量検出器24と巻玉３外周間の相対的距離を
一定に保持させるものである。

尚、上記実施例においては、巻玉３径を検出するに際
して、巻玉３より一定距離離隔した位置に巻玉径検出器
27を配置しているが、これに代替して、巻戻しコンベヤ
９を構成する一端の軸に角度検出用のエンコーダを付設
して、角度を検出することによって巻玉３の減少分を算
出する場合もある。

また、変位量検出器24は巻戻されるベニヤ単板１の上
方に限らず、その背面側に位置させることも可能であ
り、この場合、変位量検出器24を摺動させる横梁21は搬
送コンベヤ12の近傍位置に設置されることになる。

「効果」 以上のように本発明によれば、リール支柱のベニヤ単
板巻戻し位置において、巻玉を捲装した状態の巻取リー
ルの両端転子部分を前記支柱部にて遊転自在に支承し、
また巻玉の搬出側上部に巻戻しコンベヤを当接させると
共に、この巻玉下方に搬送コンベヤを配設し、一方、こ
の搬送コンベヤの上方適宜位置まで前記支柱から横梁を
突出配置し、この横梁上に巻戻し単板の変位量を検出す
る変位量検出器を摺動自在に配置して、変位検出量に応
じて前記巻戻しコンベヤの可変速モータに増減速指令を
指示すると共に、巻玉径検出器によって検出される巻玉
径の減少量に応じて、前記変位量検出器を横梁上を追従
摺動させることにより、変位量検出器と巻玉外周間の相
対的距離を一定に保持させるので、巻玉径に応じた最適
の検出位置が確保でき、巻戻されるベニヤ単板を常時適
度な弛み状態で搬送できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すブロック線図、第２図
は従来装置を示す側面図である。 １……ベニヤ単板、３……巻玉、 ６……巻戻し位置、12……搬送コンベヤ、 21……横梁、23……摺動装置、 24……変位量検出装置、17,19……可変速モータ、 27……巻玉径検出装置、

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リール支柱のベニヤ単板巻戻し位置におい
   て、巻玉を捲装した状態の巻取リールの両端転子部分を
   前記支柱部にて遊転自在に支承し、また巻玉の搬出側上
   部に巻戻しコンベヤを当接させると共に、この巻玉下方
   に搬送コンベヤを配設し、一方、この搬送コンベヤの上
   方適宜位置まで前記支柱から横梁を突出配置し、この横
   梁上に巻戻し単板の変位量を検出する変位量検出器を摺
   動自在に配置して、変位検出量に応じて前記巻戻しコン
   ベヤの可変速モータに増減速指令を指示すると共に、巻
   玉径検出器によって検出される巻玉径の減少量に応じ
   て、前記変位量検出器を横梁上を追従摺動させることを
   特徴とするベニヤ単板の巻戻し装置。