JP2798967B2 - 生体微弱電位計測におけるハムノイズの除去法 - Google Patents

生体微弱電位計測におけるハムノイズの除去法

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JP2798967B2 JP1099670A JP9967089A JP2798967B2 JP 2798967 B2 JP2798967 B2 JP 2798967B2 JP 1099670 A JP1099670 A JP 1099670A JP 9967089 A JP9967089 A JP 9967089A JP 2798967 B2 JP2798967 B2 JP 2798967B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、生体微弱電位計測におけるハムノイズの除
去法に係り、特に生体に光刺激等の刺激を与えることに
よって発生する生体微弱電位を計測するに際して、かか
る生体微弱電位に混入するハムノイズを除去するための
波形処理方法に関するものである。
(背景技術) 近年、生体(人間または動物)の電気生理学的特性を
利用して、適当な刺激を生体に与えた時に発生乃至は変
動する微弱電位を計測し、それを検査、研究等に利用す
ることが広く行なわれている。例えば光刺激に対する網
膜電位の変動を、時間を横軸にして記録した、所謂ERG
(Electroretinogram:網膜電図)があり、網膜の活動電
位を捉えたものとして知られている。このERGは、網膜
或いは視覚の電気生理学的検査の中で最も普及している
ものであって、また眼球の電位変動は他覚反応であると
いう特徴を有しており、例えば中間透光体の混濁のため
に眼底が透視し得ない時のための網膜の機能検査や網脈
絡網疾患の診断等における有効な検査法として知られて
いる。なお、このERGとしては、単一に一度の光照射
(フラッシュ光)に対する網膜電位の変動を捉えたフラ
ッシュERGが広く普及しているが、また30Hz程度の高い
頻度の反復刺激光(フリッカー光)の照射に対応して得
られるフリッカーERGも、網膜の中でも錐体系機能を選
択的に検査することの出来る手段として注目を受けてい
る。更に、このような刺激に対応して発生する微弱電位
を計測する視覚電気生理分野においては、ERGの他に
も、VEP(Visually Evoked Potentials:視覚誘導電位)
の計測も行なわれている。
ところで、このような光刺激等の刺激を生体に与えた
時に発生する電位は著しく微弱なものであるところか
ら、そのような微弱電位を計測するに際しては、その電
源として用いられている交流電源や測定環境下に存在す
る交流電源等から交流電源周波数(以下、ハムと略称す
る)をノズルとして拾い易く、そのために測定値の信頼
性に欠けたり、或いは測定が不能となる場合があった。
このため、そのような交流電源周波数の混入によって
遭遇する障害を回避すべく、各種の対策が講じられてい
るのである。例えば、漏洩電流によるハム障害に対して
は、被検者用のベッドや椅子の足と床との間を絶縁した
り、シールドマットの上に被検者を置き、マットからア
ースに漏洩電流を落とす等の対策が講じられているので
あり、また静電誘導によるハム障害に対しては、シール
ドルーム内で検査をする等の対策が講じられている。即
ち、小室を金属板で覆って接地することにより、静電誘
導が被検者に入るのを防ぐようにしているのである。更
に、電流が流れる物体の周囲には磁束が生じることとな
るが、この磁束によって惹起される電磁誘導によるハム
障害に対しては、強い交流電流が流れる電気機器、例え
ばX線装置、エレベーター等やその配線からなるべく遠
く離れた位置で計測する等の対策が採られている。
また、このような対策を施しても、どうしてもハムノ
イズが充分に除去し得ないときには、50Hz若しくは60Hz
の電位変動を減衰させるフィルタを用いることがある
が、その場合には、用いたフィルタのために生体信号が
修飾されてしまうことがある問題がある。即ち、本来、
除去したい50Hz(60Hz)のハムノイズを含めて、その近
傍の周波数も、フィルタの影響を受けて除去されてしま
うのであり、その結果、本来の生体信号を歪めてしまう
問題を惹起すのである。
このように、計測される生体信号に混入するハムノイ
ズを除去するために、あらゆる工夫や努力が為されてい
るが、ハムノイズの除去の点からして、今一つ充分では
なかったのであり、また特殊な設備を要したり、更には
計測が面倒となる等といった問題を内在するものであっ
た。
また、測定値に混入するノイズの影響を緩和するため
には、一般に、その測定を繰り返し、加算平均する手法
を採用することが考えられるが、このような手法ではハ
ムノイズを完全に除去することが出来ず、また多数回の
測定の繰り返しによって生体(被検者)に苦痛を与える
こととなって、不適当である。また、測定対象によって
は、そのような多数回の測定が困難である場合もある。
例えば、フラッシュERGにおいては、一般に数十分間の
暗順応の後、一回の光刺激によって測定されることとな
るが、そのような暗順応を多数回繰り返すことは極めて
困難なことである。
(解決課題) ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為
されたものであって、その解決課題とするところは、従
来のように被検者に対して誘電シートを敷いて検査した
り、シールドルームのような施設がなくても、更には特
別な測定環境を設けなくても、混入する有害なハムノイ
ズを除去して、簡便的に生体の微弱電位計測を可能なら
しめることにある。
(解決手段) そして、本発明は、かかる課題を解決するために、生
体微弱電位計測におけるハムノイズの除去法として、
(a1)生体に光刺激等の刺激を与えることによって発生
する生体微弱電位を計測するに際して、かかる生体微弱
電位に混入するハムノイズの位相θを検知する一方、
該位相θを起点とする、前記刺激を与えない時のハム
ノイズを含んだ生体信号H1を検出する工程と、(b1)前
記検知されたハムノイズの位相θより180゜遅れた若
しくは進んだを検知し、その位相θをトリガーとして
前記刺激を与え、該位相θを起点とする、ハムノイズ
を含んだ生体信号W1を検出する工程と、(c1)前記検出
された生体信号H1と生体信号W1とを加算することによ
り、ハムノイズ成分を除去せしめて、生体微弱電位の原
波形W0を抽出する工程とを含むことを特徴とする手法
を、採用したのである。
また、本発明は、(a2)生体に光刺激等の刺激を与え
ることによって発生する生体微弱電位を計測するに際し
て、かかる生体微弱電位に混入するハムノイズの位相θ
を検知し、その位相θをトリガーとして前記刺激を
与え、該位相θを起点とする、ハムノイズを含んだ生
体信号W1を検出する工程と、(b2)前記検知されたハム
ノイズの位相θより180゜遅れた若しくは進んだ位相
θを検知する一方、該位相θを起点とする、前記刺
激を与えない時のハムノイズを含んだ生体信号H1を検出
する工程と、(c2)前記検出された生体信号H1と生体信
号W1とを加算することにより、ハムノイズ成分を除去せ
しめて、生体微弱電位の原波形W0を抽出する工程とを含
むことを特徴とする生体微弱電位計測におけるハムノイ
ズの除去法も、その要旨とするものである。
さらに、本発明にあっては、生体微弱電位計測におけ
るハムノイズの除去法の他の手法として、(a3)生体に
光刺激等の刺激を与えることによって発生する生体微弱
電位を計測するに際して、かかる生体微弱電位に混入す
るハムノイズの位相θを検知する一方、該位相θ
起点とする、前記刺激を与えない時のハムノイズを含ん
だ生体信号H1を検出する工程と、(b3)前記検知された
ハムノイズの位相θと同位相を検知し、その位相をト
リガーとして前記刺激を与え、その位相を起点とする、
ハムノイズを含んだ生体信号W1を検出する工程と、
(c3)試検出された生体信号W1から前記検出された生体
信号H1を演算することにより、ハムノイズ成分を除去せ
しめて、生体微弱電位の原波形W0を抽出する工程とを含
むことを特徴とする手法を、採用するものである。
そしてまた、本発明は、(a4)生体に光刺激等の刺激
を与えることによって発生する生体微弱電位を計測する
に際して、かかる生体微弱電位に混入するハムノイズの
位相θを検知し、該位相θをトリガーとして前記刺
激を与え、該位相θを起点とする、ハムノイズを含ん
だ生体信号W1を検出する工程と、(b4)前記検知された
ハムノイズの位相θと同位相を検知し、その位相を起
点とする前記刺激を与えない時のハムノイズを含んだ生
体信号H1を検出する工程と、(c4)前記検出された生体
信号W1から該検出された生体信号H1を減算することによ
り、ハムノイズ成分を除去せしめて、生体微弱電位の原
波形W0を抽出する工程とを含むことを特徴とする生体微
弱電位計測におけるハムノイズの除去法をも、その要旨
とするものである。
(具体的構成・実施例) このように、本発明に従う生体微弱電位計測における
ハムノイズの除去法には4つの形態があり、その何れか
1つを用いて、目的とするハムノイズを含んだ生体信号
から、かかるハムノイズを除去せしめて、刺激に対応し
た生体信号のみが抽出されることとなるが、それら本発
明に従う4つの形態(手法)は、何れも、生体に混入す
るハムノイズが比較的規則正しい周期を待ち、且つ振阻
も変動の少ないものである特徴を活かし、ハムノイズの
位相検出をしながら、生体信号計測を行ない、加算或い
は減産することによって、有害なハムノイズを除去し
て、以て刺激に対する生体反応のみを抽出するようにし
たものである。
ところで、かかる本発明に従う4つの態様の何れにお
いても、計測される生体微弱電位に混入するハムノイズ
の位相θ若しくはθを検知する必要があるが、その
ようなハムノイズの位相は、検出される、刺激を与えな
い時の生体信号H1から直接に求めることが可能である
が、かかる生体信号H1は微弱な信号であることから、一
般には、交流電源より公知の各種の手段にて検知される
こととなる。けだし、ハムノイズたる生体信号H1は交流
電源に同期しているからである。
そして、第1図には、そのようなハムノイズ位相検出
装置の一例が示されており、そこにおいて、トランス2
によって交流電源から交流信号,が取り出され、そ
してコンパレータ4にて、それら信号,の電圧が比
較されるようになっている。また、その比較において、
信号の電圧が信号の電圧よりも大なる時には、コン
パレータ4の出力は「High」となり、また信号の電
圧が信号の電圧よりも小なる時には「Low」となると
ころから、かかる出力の立上りエッジを検出すれば、
交流信号の位相が0゜となる時(立上りゼロクロスポ
イント)が判り、また出力の立下りエッジを検出すれ
ば、交流信号の位相が180゜となる時(立下りゼロク
ロスポイント)が判るのである。なお、6は、交流電源
に重畳したノイズによる誤動作を防ぐためのノイズ除去
フィルタであり、また8は、コンパレータ出力の立上
りエッジを検出し、0゜位相検出信号Q1を発生する立上
り信号検出装置であり、更に10は、コンパレータ出力
の立下りエッジを検出し、180゜位相検出信号Q2を発生
する立下り信号検出装置である。そして、それら検出装
置8,10にて出力される信号Q1,Q2を、後述の如く、マイ
クロコンピューター(CPU)が検知して、刺激タイミン
グ信号を刺激発生装置へ送り、データ取り込みを開始す
るようになっているのである。
なお、第2図は、上記の第1図の如き装置構成(回路
例)におけるタイムチャートを示しており、対称的な2
つの交流信号,のゼロクロスポイントに対応してコ
ンパレータ4からその出力が矩形波として出力され、
その立上りエッジにおいて0゜位相検出信号Q1が、また
その立下りエッジにおいて180゜位相検出信号Q2が、そ
れぞれ出力されるようになっているのである。
本発明は、このようにしてハムノイズの位相検出を行
なう一方、生体信号計測を行ない、そして加算若しくは
減算することにより、有害なハムノイズを除去しようと
するものであるが、この本発明に従う態様の理解を更に
容易とするために、フラッシュ光刺激に対する網膜電位
の変化を計測するフラッシュERGを例にとって、以下
に、本発明の各態様について、更に具体的に説明するこ
ととする。
先ず、第3図は、本発明に係る(a1)工程〜(c1)工
程からなる第一の形態を明らかにしており、そこにおい
て、1回目の測定として、第3図(a)に示される如
く、60Hzの0゜位相(ゼロクロス立上りポイント)θ
を検出し、生体からのノイズを計測して、光刺激を与え
ない時の生体信号H1を得る。その後、直ちに2回目の測
定として、かかる位相θより180゜遅れた或いは進ん
だ60Hzの180゜位相(ゼロクロス立下りポイント)θ
を検出し、それに基づいてフラッシュ光刺激を被検者に
与え、それによって得られる生体信号W1を計測して、第
3図(d)に示される如き波形を得るのである。なお、
この第3図(d)に示される生体信号W1の波形は、第3
図(b)に示されるフラッシュERG原波形W0と第3図
(c)に示されるハムノイズの波形H2との合成波であ
る。
そして、このような1回目と2回目の測定によって得
られた測定値、即ち光刺激を与えない時の生体信号H1
光刺激を与えた時の生体信号W1とが加算せしめられ、そ
れによって、2回目の測定値(W1)にハムが混入してい
ても、その有害なハムは除去されることとなり、以て第
3図(e)に示される如きフラッシュERG原波形W0を得
ることが出来るのである。けだし、第3図(a)の光刺
激を与えない時の生体信号H1を180゜ずらせた信号が、
第3図(c)に示されるハムノイズ信号H2となるところ
から、それらを加算すれば0となるからである(H1+H2
=0)。
また、本発明に係る(a2)工程〜(c2)工程からなる
第二の形態は、上記第一の形態における1回目と2回目
の計測の順序を逆にしたものである。即ち、先に、60Hz
の180位相(ゼロクロス立下りポイント)θを検出
し、この位相θをトリガーとしてフラッシュ光刺激を
与え、ERG原波形W0とハムノイズの波形H2の合成波とな
る第3図(d)に示される如き生体信号W1を得る。次い
で、かかる検知されたハムノイズの位相θより180゜
遅れた若しくは進んだ位相、即ち0゜位相(ゼロクロス
立上りポイント)θを検出し、生体からのノイズたる
光刺激を与えない時の生体信号H1を計測して、得られた
生体信号H1と前記生体信号W1とを加算することによっ
て、上記第一の形態の場合と同様に、有害なハムが除去
され得るのである。
このように、本発明に従う第一及び第二の形態は、加
算によって、ハムノイズ成分を除去せしめるものである
が、本発明では、また減算によって、ハムノイズ成分を
除去することも可能であり、それが、本発明に従う第三
及び第四の形態として示されている。
すなわち、(a3)工程〜(c3)工程からなる本発明の
第三の形態においては、第4図に示される如く、先ず、
1回目の測定が第3図の場合と同様に実施され、60Hzの
0゜位相(ゼロクロス立上りポイント)θを検出し、
生体からのノイズを計測して、第4図(a)に示される
如き光刺激を与えない時の生体信号H1を測定し、その
後、直ちに2回目として、前記検知された位相θと同
位相を検知し、それをトリガーとしてフラッシュ光刺激
を被検者に与えて、その時の生体信号W1を2回目の測定
として計測するのである。なお、こお2回目の測定にお
いて得られる生体信号W1は、第4図(b)に示されるフ
ラッシュERG原波形W0と光刺激を与えない時の生体信号H
1に相当する同位相のハムノイズの波形H1との合成波で
ある。
従って、第4図(d)において示される光刺激を与え
た時の生体信号W1から、第4図(a)に示される光刺激
を与えない時の生体信号H1を減算することにより、ハム
ノイズ成分が除去され、以て目的とするフラッシュERG
の原波形W0を得ることが出来るのである。
また、(a4)工程〜(c4)工程からなる本発明の第四
の形態は、上記第三の形態における1回目の測定と2回
目の測定との順序を逆にしたものである。即ち、先ず、
ハムノイズの位相(60Hzのゼロクロス立上りポイント)
θを検出し、それをトリガーとしてフラッシュ光刺激
を被検者に与えて、ハムノイズを含んだ生体信号W1を、
1回目の測定として検出した後、かかる位相θと同位
相を検知し、光刺激を与えない時の、生体からのノイズ
としての生体信号H1を検出し、そして前記得られた生体
信号W1から該光出刺激を与えない時の生体信号H1を減算
することにより、同様に、ハムノイズ成分が除去され、
フラッシュERGの原波形W0を取り出すことが出来るので
ある。
なお、上記の操作を施しても、未だ、ハム等の有害な
ノイズ除去が不完全な場合には、上記の如きノイズ除去
操作を複数サイクル繰り返すことによって、ノイズ除去
精度を上げることが可能である。但し、その場合におい
て、フラッシュ光刺激は最初の1回だけで、後はハムだ
けの加算若しくは減算を繰り返すことによって、ノイズ
除去が行なわれることとなる。
ところで、このような本発明は、例えば、第5図に示
される如き処理装置を用いて実施され得るものである。
そこにおいて、12は、第1図に示される如き構成を有す
るハムノイズ位相検出装置であり、そこで検出されるハ
ムノイズの位相θやθが、0゜位相検出信号Q1、18
0゜位相検出信号Q2として、マイクロコンピューター14
に入力せしめられるようになっている。マイクロコンピ
ューター14においては、入力されるハムノイズの位相を
識別し、信号データの加算起点若しくは減算起点を決め
る一方、かかるハムノイズ位相に従って刺激タイミング
信号を刺激制御装置16に出力する。刺激制御装置16にお
いては、かかる刺激タイミング信号を受けて、光刺激等
の刺激量の調整、制御を行なう。例えば、ERG測定にお
いて、被検者が白内障等で光の眼底への透過性が損なわ
れるような場合においては、刺激発生装置18の刺激量を
調整する必要があるからである。そして、刺激発生装置
18においては、刺激制御装置16からの出力によって光刺
激等の所定の刺激が発生せしめられて、以てそれが被検
者(生体)に作用せしめられるのである。
一方、被検者(生体)の所定の部位に設けられて、生
体微弱電位を測定する入力電極20は、前記刺激発生装置
18から発生せしめられた刺激に対する発生の応答信号W1
や、そのような刺激を与えない時の生体信号H1、還元す
ればノイズ信号を検出するようになっている。そして、
かかる入力電極20にて検出された生体信号W1若しくはH1
は極めて微弱なものであるところから、信号増幅器22に
て像幅され、そしてその像幅された信号はA/D変換装置2
4にてデジタルデータに変換された後、マイクロコンピ
ューター14に入力せしめられるようになっている。
そして、マイクロコンピューター14においては、かか
る入力される、デジタル化された信号を記憶し、以て入
力される、生体信号W1とH1との間において信号データの
加算処理や減算処理を行ない、以て目的とするハムノイ
ズ成分の除去された原波形W0を得るのである。
因みに、第6図及び第7図には、フラッシュERGにお
ける人眼臨床例の二つが示されており、それらの図にお
いて、(a)は従来のフラッシュERG波形であり、
(b)は本発明に従ってハムノイズ成分の除去されたフ
ラッシュERG波形を示している。第6図(a)の従来の
フラッシュERG波形においては、ハムノイズにてERG波形
が歪み、正確なフラッシュERG波形を得ることが出来
ず、また第7図(a)では、ハムノイズによりフラッシ
ュERG波形を得ることが全く出来ないことは明らかであ
る。
これに対して、本発明に従って、かかるハムノイズを
除去する波形処理を行なうと、第6図(b)に示される
如く、良好なフラッシュERG波形が得られ、また従来で
はハムノイズにより測定困難である場合にあっても、第
7図(b)に示される如く、良好なフラッシュERG波形
を得ることが出来るのである。
以上、本発明の具体的構成や実施例について詳細に説
明してきたが、本発明が、それら例示のもののみに限定
して解釈されるものでないことは言うまでもなく、本発
明が、その要旨を逸脱しない限りにおいて、種々なる変
更、修正、改良等を加えた形態において実施されるもの
であって、本発明が、そのような実施形態のものをも含
むものであることが、理解されるべきである。
例えば、前述の説明においては、主としてフラッシュ
ERGを例にとって、本発明の構成を明らかにしたが、本
発明が、そのようなフラッシュERGの他に、フリッカーE
RGやVEP等の視覚電気生理分野の各種測定に好適に適用
され得るものであることは勿論、光刺激以外の他の刺激
に対する生体の電位測定にも、有利に用いられ得るもの
である。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明は、生体に混
入するハムノイズの位相検出を行なう一方、生体信号の
計測を行ない、得られる生体信号を加算或いは減産する
ことにより、有害なハムノイズ成分を除去せしめ、刺激
に対する生体反応のみを抽出するようにしたものであっ
て、それにより、従来は測定が不正確となったり、困難
である場合においても、ハムノイズ成分の影響を回避し
て、刺激に対する生体反応の原波形を正確に計測するこ
とが出来ることとなったのである。
また、本発明によれば、従来の如く、被検者に対して
導電性シートを敷いて検査してあり、またシールドルー
ムのような施設がなくても、更には特殊な測定環境を設
定、維持しなくても、簡便に、生体の微弱電位計測が出
来ることとなり、そこに、また、本発明の大きな技術的
意義が存するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、ハムノイズ位相検出装置の一例を示す回路構
成図であり、第2図は、そのようなハムノイズ位相検出
装置における各種信号の形態を示すタイムチャートであ
り、第3図及び第4図は、それぞれ、フラッシュERGに
おいて、本発明の異なる態様に従って得られる各種波形
を示すものであって、それらのうちの(a)は光刺激を
与えない時の生体信号を示す波形、(b)はフラッシュ
ERGの原波形、(c)はハムノイズの波形、(d)は光
刺激を与えた時に得られる生体信号の波形(フラッシュ
ERG波形)、e)は測定されたフラッシュERG波形からの
ハムノイズ成分の除去されてなる波形(フラッシュERG
原波形)を示す図である。第5図は、本発明を実施する
ための装置の一例を示す配置図であり、また第6図及び
第7図は、それぞれ、フラッシュERG波形の異なる臨床
例を示すものであって、それらのうちの(a)は従来の
手法に従って得られた図であり、(b)は本発明に従っ
てハムノイズ成分を除去して得られた図である。 2:トランス、4:コンパレータ 6:ノイズ除去フィルタ 8:立上り信号検出装置 10:立下り信号検出装置 12:ハムノイズ位相検出装置 14:マイクロコンピューター 16:刺激制御装置、18:刺激発生装置 20:入力電極、22:信号増幅器 24:A/D変換装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭58−203744(JP,A) 実開 昭61−15858(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 5/0484

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生体に光刺激等の刺激を与えることによっ
    て発生する生体微弱電位を計測するに際して、かかる生
    体微弱電位に混入するハムノイズの位相θを検知する
    一方、該位相θを起点とする、前記刺激を与えない時
    のハムノイズを含んだ生体信号H1を検出する工程と、 前記検知されたハムノイズの位相θより180゜遅れた
    若しくは進んだ位相θを検知し、その位相θをトリ
    ガーとして前記刺激を与え、該位相θを起点とする、
    ハムノイズを含んだ生体信号W1を検出する工程と、 前記検出された生体信号H1と生体信号W1とを加算するこ
    とにより、ハムノイズ成分を除去せしめて、生体微弱電
    位の原波形W0を抽出する工程とを、 含むことを特徴とする生体微弱電位計測におけるハムノ
    イズの除去法。
  2. 【請求項2】生体に光刺激等の刺激を与えることによっ
    て発生する生体微弱電位を計測するに際して、かかる生
    体微弱電位に混入するハムノイズの位相θを検知し、
    その位相θをトリガーとして前記刺激を与え、該位相
    θを起点とする、ハムノイズを含んだ生体信号W1を検
    出する工程と、 前記検出されたハムノイズの位相θより180゜遅れた
    若しくは進んだ位相θを検知する一方、該位相θ
    起点とすると、前記刺激を与えない時のハムノイズを含
    んだ生体信号H1を検出する工程と、 前記検出された生体信号H1と生体信号W1とを加算するこ
    とにより、ハムノイズ成分を除去せしめて、生体微弱電
    位の原波形W0を抽出する工程とを、含むことを特徴とす
    る生体微弱電位計測におけるハムノイズの除去法。
  3. 【請求項3】生体に光刺激等の刺激を与えることによっ
    て発生する生体微弱電位を計測するに際して、かかる生
    体微弱電位に混入するハムノイズの位相θを検知する
    一方、該位相θを起点とすると、前記刺激を与えない
    時のハムノイズを含んだ生体信号H1を検出する工程と、 前記検知されたハムノイズの位相θと同位相を検知
    し、その位相をトリガーとして前記刺激を与え、その位
    相を起点とする、ハムノイズを含んだ生体信号W1を検出
    する工程と、 該検出された生体信号W1から前記検出された生体信号H1
    を減算することにより、ハムノイズ成分を除去せしめ
    て、生体微弱電位の原波形W0を抽出する工程とを、 含むことを特徴とする生体微弱電位計測におけるハムノ
    イズの除去法。
  4. 【請求項4】生体に光刺激等の刺激を与えることによっ
    て発生する生体微弱電位を計測するに際して、かかる生
    体微弱電位に混入するハムノイズの位相θを検知し、
    該位相θをトリガーとして前記刺激を与え、該位相θ
    を起点とする、ハムノイズを含んだ生体信号W1を検出
    する工程と、 前記検知されたハムノイズの位相θに同位相を検知
    し、その位相を起点とする前記刺激を与えない時のハム
    ノイズを含んだ生体信号H1を検出する工程と、 前記検出された生体信号W1から該検出された生体信号H1
    を減算することにより、ハムノイズ成分を除去せしめ
    て、生体微弱電位の原波形W0を抽出する工程とを、 含むことを特徴とする生体微弱電位計測におけるハムノ
    イズの除去法。
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