JP2797381B2 - ダイヤモンド膜 - Google Patents

ダイヤモンド膜

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JP2797381B2 JP1066822A JP6682289A JP2797381B2 JP 2797381 B2 JP2797381 B2 JP 2797381B2 JP 1066822 A JP1066822 A JP 1066822A JP 6682289 A JP6682289 A JP 6682289A JP 2797381 B2 JP2797381 B2 JP 2797381B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 化学気相成長法により形成するダイヤモンド膜に関
し、 接合金属との密着力が優れたダイヤモンド膜を形成す
ることを目的とし、 化学気相成長法により形成するダイヤモンド膜の表
面、底面あるいは該膜全体を、該ダイヤモンド膜と接合
する金属の構成元素からなる混合相で構成する。
〔産業上の利用分野〕 本発明は接合金属との密着力が優れたダイヤモンド膜
に関する。
ダイヤモンドは炭素(C)の同素体であり、所謂るダ
イヤモンド構造を示し、モース(Mohs)硬度10と大き
く、また熱伝導度は2000W/mKと他の物質に較べて格段に
優れている。
そこで、この特性を利用して各種の用途が開発されて
いる。
すなわち、熱伝導度の高いのを利用してLSI,VLSIある
いはレーザなど半導体素子のヒートシンク(Heat−sin
k)の構成材として着目されている。また、硬度の高い
のを利用してドリルの刃やバイトに使用することが考え
られており、タングステン・カーバイト(WC)など高硬
度な焼結合金からなるこれら工具の上に被覆して使用す
ることが試みられている。
〔従来の技術〕
先に記したように、ダイヤモンドは高い熱伝導度を示
すことから、半導体素子のヒートシンクとして着目さ
れ、実用化が進められている。
第2図は冷却構造体の斜視図であって、銅(Cu)など
からなる母材(サブキャリア)1の上にダイヤモンドか
らなるヒートシンク2が金鑞付けされており、このヒー
トシンク2の上に半導体レーザなどの半導体チップ3が
金・錫(Au−Sn)半田などを用いて熔着されている。
第3図はこのヒートシンク2の断面構造を示すもの
で、ダイヤモンド膜4を中心とし、この上にそれぞれ20
00Å程度の厚さにチタン(Ti)膜5,白金(Pt)膜6,金
(Au)膜7と順々に層形成されている。
こゝで、Ti膜5を用いる理由はダイヤモンド膜4との
間でチタンカーバイト(TiC)を生じ、密着性が良いた
めである。
また、Pt膜6を介在する理由はTi膜5とAu膜7との濡
れ性が悪いのを補正するためである。
然し、このようなヒートシング2は構造が複雑な割に
はこれを包む金属膜を熱伝導度の影響が大きく、また、
接合作用は高温を要するため半導体チップの劣化を生じ
易く、また接合には特殊な技術を必要とするため高価格
化の原因となっていた。
発明者等は第4図に示すようなプラズマジェット化学
気相成長装置(略してプラズマジェットCVD装置)を使
用してダイヤモンド膜の化学気相成長(略してCVD成
長)に成功している。
いま、簡単にこの装置の構成と動作を説明すると次の
ようになる。
銅(Cu)のようにカーバイドを作らない金属板9を冷
却水10によって水冷された基板ホルダ11の上に載置す
る。
こゝで、反応室12の上部にはプラズマジェット13を形
成するための陽極14と陰極15があり、この間を通って原
料ガス16が供給され、また金属層の形成を可能とするた
めに粉末供給パイプ17が陽極14の先端に開口している。
また、陽極14と陰極15を繋いで直流電極18があり、反
応室12の下部には排気口19がある。
ダイヤモンドのCVD成長を行うには陽極14と陰極15の
間から水素(H2)と炭化水素、例えばメタン(CH4)と
の混合ガスを反応室12の中に供給すると共に、排気系を
動作して排気口19より排気し、反応室12の中に低真空に
保持した状態で陽陰極間にアーク放電20を生じさせ、こ
の熱により原料ガス16を分解させてプラズマ化させる
と、炭素プラズマを含むプラズマジェット13は金属板9
に当たり、微結晶からなるダイヤモンド膜21が金属板9
の上に成長する。
また、金属とダイヤモンドとの混合膜を成長させるに
は粉末供給パイプ17を通じて金属粉をアーク放電20の中
に供給すればよく、金属膜のみを成長させるには原料ガ
ス16としてH2を用い、粉末供給パイプ17を通じて金属粉
をアーク放電20の中に供給すればよい。
このように第4図に示すようなCVD装置を使用する
と、ダイヤモンド膜21は勿論、金属膜や金属とダイヤモ
ンドとの混合膜を形成することも可能となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
先に記したように、ダイヤモンドは熱伝導度が2000W/
mKと格段に優れていることから、ヒートシンクの構成材
として実用化が進められているが、第3図に示すよう
に、ダイヤモンド膜の上にTi/Pt/Auと金属膜を層形成し
て構成されている。
そのために、ダイヤモンドの熱伝導性が損なわれてお
り、また高価格化の原因となっていることが問題であ
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記の課題はプラスマジェットCVD法より形成される
ダイヤモンド膜の表面もしくは底面に隣接する領域また
は該膜全体に、単体金属の微粒を混合させることにより
解決することができる。
〔作用〕
本発明は本発明者等が先にダイヤモンドの製造に成功
したCVD装置を用いてダイヤモンド膜の表面,底面ある
いは膜全体をヂヤモンドと接合する金属元素との混合相
を形成するものである。
第1図は半導体素子のヒートシンクとして用いる場合
のダイヤモンド膜の断面構造図を示すもので、ダイヤモ
ンド膜22の下面23でCuからなる母材(サブキャリア)1
に接する下面と、半導体チップ3に接する上面24とにダ
イヤモンドとCuとの混合相25を形成する。ここで混合す
る金属としてCuを選択したのは、Cuがプラズマ状の炭素
と接触してもカーバイドを作らない金属であり、ダイヤ
モンド膜中に単体で存在し得るからである。
また、ダイヤモンドの硬度を利用する機械的な用途に
対して、対象物と接合する下面にのみ混合相を形成して
もよく、また膜全体の混合相で形成してもよい。
この理由は、CVD法で形成されるダイヤモンド膜は多
結晶からなり、そのため結晶粒界での劈開が生じ易く、
比較的もろいが、混合相では金属が粒界に介在するた
め、機械的強度が優れている。
すなわち、ダイヤモンド膜を熱伝導体として使用する
場合には混合相には接合部のみに限るのがよく、また硬
度を利用する用途に対しては膜全体を混合相で形成して
劈開性を成組して使用すると良い。
〔実施例〕
第4図に示すCVD装置を用い、原料ガス16として水素
(H2)ガスの流量を0〜50/分,メタン(CH4)ガス
の流量を0.05〜1/分の範囲で変えて供給し、また金
属粉としては粒径が1〜5μmのCu粉を粉末供給パイプ
17を用いて0.01〜0.1cc/時の割合で供給した。
こゝで、原料ガス16としてCH4ガスとH2ガスを用いる
場合にはダイヤモンド膜が合成され、これにCuの微粉末
を混合する場合にはダイヤモンドと単体Cuとの混合相が
形成される。
次に、CVD成長に行わせる条件は反応室12の真空度は1
k Pa〜10k Pa,アーク電流値は10〜70Aまたアーク電圧値
は50〜150Vである。
このようにして厚さが50μmで上面と下面に組成比が
略5:1の1μm厚のCuの混合相をもつダイヤモンド膜を
形成した。
次に、このダイヤモンド膜をヒートシンクとし、融点
が250℃の半田を用いて母材(サブキャリア)に接合
し、また、この上にレーザダイオードを接合したが、充
分な接合強度のある半田付けを行うことができた。
〔発明の効果〕
本発明のダイヤモンド膜のように、膜中に単体金属の
微粒が分散した構造であると、ダイヤモンド固有の特性
である良好な熱伝導性が維持されると共に、膜の表面領
域に金属粒が存在することによって接着性が改善され、
或いは膜中に分散する金属粒によって膜の機械的強度が
向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を適用したヒートシンクの断面構造図、 第2図は冷却構造体の斜視図、 第3図はヒートシンクの断面図、 第4図は本発明に使用したプラズマジェットCVD装置の
構成図、である。 図において、 1は母材、2はヒートシンク、 3は半導体チップ、 4,21,22はダイヤモンド膜、 13はプラズマジェット、14は陽極、 15は陰極、16は原料ガス、 17は粉末供給パイプ、 である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C30B 1/00 - 35/00 C23C 16/00 - 16/30

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プラズマジェットCVD法により形成される
    ダイヤモンド膜であって、該膜の表面もしくは底面に隣
    接する領域または該膜全体に、単体金属が混合されて成
    ることを特徴とするダイヤモンド膜。
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