JP2789290B2 - 大深度地下排水施設及びその運用方法 - Google Patents

大深度地下排水施設及びその運用方法

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  • Sewage (AREA)
  • Control Of Non-Positive-Displacement Pumps (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小河川を含む水路に流
入する雨水等の流入水を地下に設けられた流入水路に集
め、この集めた流入水をポンプ機場に導いて放流先の河
川等に放流する大深度地下排水施設に係り、特に建設費
低減が可能な大深度地下排水施設及びその運用方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、地表や地表近くの放水路から排水
を流下させる各立坑から、その排水を集めてポンプ機場
に導く大深度地下に配設された地下水路に空間を保持し
ながら運用する開水路運用と、地下水路を満管にして運
用する閉水路運用の両方の運用方法がある。
【0003】図30は従来の開水路運用の構成を説明す
る説明図である。
【0004】開水路運用は地下水路1への急激な流入に
より立坑2から地上へ溢流するリスクを最小にする為、
地下水路1の径を例えば12.5mと大容量化をはかり
かつ出来るだけ水位を低く保持する。
【0005】また、本図に示すように地下水路1の終端
に設置するポンプ7の羽根車設置レベルは、地下水路1
が常に空になるように運転するため地下水路1の排水運
転の最低水位以下とする必要があり、通常最低水位L.
W.Lは地下水路1の底近傍レベルに設定する。そし
て、ポンプ7は角形ポンプ場に配置され、ポンプ7の起
動・停止は予め規定されたポンプ井6の水位にて行なっ
ている。
【0006】一方、閉水路運用は少なくとも地下水路1
を満水状態にし、更に図30の立坑2まで水位が上昇し
た状態でポンプを運転し、ポンプの排水能力を越えた流
入量がある時にそのような状態になる。
【0007】更に、ポンプ機場への流入量は降雨情報に
より降雨量を算出し、この降雨量と降った雨が河川に流
れる割合を表す係数である流出係数から立坑への流入量
を算出し、それぞれの立坑への流入量を集計して求めて
いる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の開水路運用を行
うポンプ機場のポンプはその設定位置を地下水路の底近
傍レベルとしているため、図30における吐出水槽8の
水位と最低水位L.W.L間の揚程Haが大きく、その
ためポンプ7の全揚程が大きくなりポンプ7及び駆動機
を含むポンプ機場設備費が高くなる。また、地下水路1
の水位を低く保持するので貯留効果が小さく、すぐ水位
が低下してポンプを停止し、短時間で水位が回復するの
で再起動しハンチングを起こすことが多い。
【0009】そして、数Kmの長さになる地下水路1の
径が大きいので大深度地下排水施設の建設費の殆どを占
める地下水路掘削工事費が高くなる。そしてポンプ7の
設置位置が地下大深度なのでポンプ機場の掘削工事費も
高くなる。
【0010】一方、閉水路運用では開水路運用に比較し
て地下水路の水位が高いのでポンプ7の全揚程が小さく
なりポンプ7及び駆動機を含むポンプ機場設備費が少な
くなるが立坑から地上へ溢流するリスクが大きい。
【0011】次に、従来の流出係数は流入量の予測演算
時に、降雨間隔が短いと雨が地中に浸透することなく排
水施設へ流入し、流入量が多くなることに配慮が無く、
降雨パターン間隔が変化することに対しての立坑への流
入量の推定精度が低くなり適切なポンプ機場の運転が行
われず立坑から溢流する恐れがある。
【0012】本発明の目的は、立坑などからの溢水を防
いで、大深度地下排水施設の安定運用を図ることにあ
る。
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【課題を解決するための手段】 上記目的は、降雨情報に
より降雨量を算出し、該降雨量と降雨パタンと降雨パタ
ンの時間間隔で定める流出係数から立坑への流入量を算
出し、該立坑への流入量からポンプ場への流入量を算出
し、該ポンプ場への流入量を排水するためのポンプ台数
と能力を定めることにより達成される。あるいは、降雨
情報により降雨量と降雨パタンを求め、該降雨パタンに
基づいて流出係数を定め、該流出係数と前記降雨量とか
ら立坑への流入量を算出し、該流入量に基づいて排水ポ
ンプの台数を定めるポンプ運用手段を備えることにより
達成することができる。この場合において、降雨情報と
して、雨量レーダの計測データに基づいて予測した降雨
量データと雨量計により実測した降雨量データを用いる
ことが好ましい。また、立坑への流入量の算出結果に基
づいて、立坑からポンプ井に至る地下水路の流量と水位
及びポンプ井への流入量と水位とを解析し、その解析結
果に基づいて排水ポンプの運転シミュレーションを行っ
て排水ポンプの運転台数、吐出量及び運転停止のタイミ
ングを決めるとともに、運転シミュレーション結果を地
下水路の流量と水位の解析にフィードバックすることが
好ましい。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【作用】 一般に降雨パターンは降雨量が時間の経過と共
に増加しピークを経て下降しゼロとなり、次の降り始め
迄の時間間隔により土中への浸透度が異なり、例えば時
間間隔が短いと土中へ浸透せず立坑への流入量が多くな
る。したがって、降雨パターンに基づいて流出係数を変
えて降雨量と演算して立坑への流入量を求め、これに基
づいて排水ポンプの運転台数を決めることにより、立坑
からの溢水を防ぐことができる。特に、降雨パタンと降
雨パタンの時間間隔で流出係数を変えて降雨量と演算し
て立坑への流入量を求め、ポンプ機場への流入量を精度
良く予測することにより、適切なポンプ機場の運転管理
を行い、立坑からの溢水を防いで、大深度地下排水施設
の安定運用が可能となる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の実施例を図により説明する。
【0032】先ず、大深度地下排水施設の基本的な構成
を説明する。
【0033】図1は本発明の大深度地下排水施設の基本
的な構成を示す斜視図である。
【0034】大深度地下排水施設は、図示のように地下
の深いところに地下水路1が埋設され、これに立坑2を
介して放水路、管渠等から雨水等が流入する。地下水路
1の下流端はポンプ機場に連通し、ポンプ機場に流入す
る流入水を、ポンプ7により放流先の河川に排水するよ
うに構成している。
【0035】次に、開水路・閉水路共存運用を行う大深
度地下排水施設の実施例の特徴部構成について説明す
る。
【0036】図2は本発明の開水路・閉水路共存運用を
行う実施例の構成を説明する説明図である。
【0037】図示のように、地下の深いところに地下水
路1が埋設され、これに立坑2を介して放水路3、管渠
4、河川5等から雨水等が流入する。地下水路1の下流
端はポンプ機場のポンプ井6に連通し、ポンプ井6に流
入する流入水を、ポンプ7により放流先の吐出水槽8に
排水する。
【0038】従来の開水路運用におけるポンプ設置レベ
ルは地下水路1の底部としているが、本実施例の開水路
運用ではポンプ7を地下水路1の中心部に設置し、排水
可能な最低水位L.W.Lが地下水路1の中心部とな
る。開水路・閉水路共存運用のうちの開水路運用では地
下水路1の水位を最低水位L.W.Lに保持し、地下水
路1はその中心部から天井迄に空間を有する開水路とな
る。一方閉水路運用では地下水路1を満管にして閉水路
とし、立坑2迄水位を上昇させることを許容する。 次
に開水路・閉水路共存運用の場合のポンプ全揚程Hにつ
いて説明する。
【0039】図3は本実施例の開水路・閉水路共存運用
を行う場合のポンプ起動水位を説明する説明図である。
【0040】図4は本実施例と従来技術のポンプ特性を
説明する図表である。
【0041】一般的にポンプ全揚程Hは、ポンプ実揚程
Haに吐出管路損失を加えた値であり、次の式で表すこ
とが出来る。
【0042】H=吐出水槽水位−ポンプ起動時の水位
W.L+吐出管路損失 例えば図4の実線で示すようにポンプ実揚程Haが57
m、吐出管路損失が3.5mとすれば全揚程Hは 60.5m=57m+3.5m となる。図4の点線で示すように従来の開水路運用では
この最低水位L.W.Lから揚水する全揚程Hで定格流
量が得られるように計画されている。しかし開水路・閉
水路共存運用の場合には地下水路1が満管になり立坑2
迄水位が上昇した閉水路の場合に定格流量での排水が要
求される。図3(a)に示すように閉水路の最高水位
H.W.Lからのポンプ実揚程Haを35.5mとすれ
ば吐出管路損失の3.5mは同じであるから全揚程Hは 39.0m=35.5m+3.5m となり、39.0/60.5=0.644で64.4%に
低減できる。
【0043】図3(b)に示す如く開水路・閉水路共存
運用の開水路の場合にポンプ起動時の水位W.Lは最低
水位L.W.Lとなりポンプ実揚程Haは大きくなる
が、水位が低くリスクが小さいから定格流量は必要が無
くその時の全揚程Hで得られる流量でポンプを運転すれ
ば良い。
【0044】そして、最低水位L.W.Lは地下水路1
の管径10m、ポンプ7の起動時の水位W.Lを管径の
30%〜90%とした場合、ポンプ設置位置を従来の3
mないし9m上方に設置でき掘削工事費が低減される。
【0045】このようにして本実施例では定格流量でポ
ンプを起動する時の水位W.Lが従来の最低水位L.
W.Lから最高水位H.W.Lになったことにより、ポ
ンプの能力を低減でき、ポンプを駆動するディゼルエン
ジンの出力も低減でき燃料消費も少なくなる。
【0046】地下水路1は長大な距離により大容量の一
時貯留効果を有し、例えば管径10m、路長10kmで
78万m3の容積を持ち、能力200m3/Secのポ
ンプで約60分間の貯留時間を有し、この時間の余裕が
ポンプ7の排水開始水位を上方に設定可能に、またポン
プ7の設置位置を上方にできることになる。つまり、閉
水路運用によれば、地下水路1の管径を従来の12.5
mから10mに縮小することができ、地下水路1の管径
の縮小により大深度地下排水施設の建設費の殆どを占め
る地下水路1の掘削工事費を低減できる。また、貯留効
果によりポンプ7の頻繁な発停が発生するハンチングを
防止できる。
【0047】次に開水路・閉水路共存運用に適したポン
プについて説明する。
【0048】図5は本実施例の開水路・閉水路共存運用
に適したポンプ特性を説明する図表である。
【0049】本図の実線で示す曲線のように開水路・閉
水路共存運用に適したポンプは、閉水路運用の場合10
0%の定格流量で最高水位H.W.Lからの揚水が可能
な全揚程Aと、例えば40%の最少流量で開水路水位か
らの揚水が可能な全揚程Bとなる全揚程H−吐出量Q特
性を具備したことにより、低い全揚程で定格流量の揚水
が要求される閉水路水位時と、高い全揚程で最少流量の
揚水で十分な開水路水位時の双方を同じポンプで運用で
き、ポンプ設置台数の増加を抑制することが可能とな
る。
【0050】また、本図の点線で示す曲線のように従来
の開水路運用をおこな行うポンプは定格流量で最低水位
L.W.Lからの揚水が可能な全揚程Cが得られる場合
に最高効率となるように計画されているが、本実施例の
ポンプの効率を閉水路時と開水路時との中間の吐出流量
例えば80%で最高となるように定めたことにより開水
路・閉水路中間運用を行うポンプ及び駆動機の設備費を
低減できる。
【0051】そして、上記ポンプに定格流量で閉水路水
位からの揚水が可能な全揚程と、最少流量で開水路水位
からの揚水が可能な全揚程とを翼のピッチを可変する型
を用いることにより、閉水路水位時と開水路水位時の双
方を同じポンプで運用でき、ポンプ設置台数の増加を抑
制することが可能となる。
【0052】更に、上記ポンプに定格流量で閉水路水位
からの揚水が可能な全揚程と、最少流量で開水路水位か
らの揚水が可能な全揚程のそれぞれに対応した翼を備え
た2段翼型を用いることにより、閉水路水位時と開水路
水位時の双方を同じポンプで運用でき、ポンプ設置台数
の増加を抑制することが可能となる。
【0053】このようにして地下水路が閉水路の時にポ
ンプを定格流量で運転し、地下水路が開水路の時ポンプ
を最少流量で運転する閉水路・開水路共存運転を行うこ
とにより、地下水路の状態に拘らず大深度地下排水施設
の安定運用が可能となる。
【0054】次に、閉水路運用を行う大深度地下排水施
設の実施例について説明する。
【0055】図6は本発明の閉水路運用を行う実施例の
構成を説明する説明図である。
【0056】本図に示すように閉水路運用を行う大深度
地下排水施設のポンプ井6とポンプの7間に大容量吸水
槽61を設けたことにより、その貯留効果から地下水路
1より地上へ溢流するリスクが低減され、地下水路1の
径を縮小できる。また、大容量吸水槽61の貯留効果に
より閉水路運用における大深度地下排水施設の安定運用
が可能となる。
【0057】ポンプ機場の建設にあたり敷地取得が困難
な場合は大容量吸水槽61を必要としない開水路・閉水
路共存型を選択し、大容量吸水槽61設置のための敷地
取得が容易な場合はポンプ揚程が小さい閉水路型を選択
することにより、最少建設費の大深度地下排水施設を選
択できる。
【0058】次にポンプ機場への流入量を正確に予測及
び制御する技術について説明する。
【0059】上述した地下水路の一時貯留効果もポンプ
機場への流入量を正確に予測及び制御を行い、ポンプ機
場への流入量に見合った安定運用を行なうことが前提で
あり、その前提が成立しないと立坑及びポンプ井から溢
流が発生する。
【0060】図7は本発明のポンプ機場への流入量を正
確に予測及び制御する実施例の構成を説明する説明図で
ある。
【0061】本図に示すように雨量レーダ71からのデ
ータにより降雨量を予測し、各ポイントに配置した雨量
計から降雨量データを収集し、降雨量予測値と降雨量デ
ータから地中に浸透せず立坑2に流入する流出量解析を
行って流出量を算出する。各立坑2に流入する流量を集
計し地下水路1管内の流れ解析を行い地下水路1の流量
と水位を算出する。地下水路1の流量からポンプ井流入
量解析を行いポンプ井6への流入量と水位を算出する。
ポンプ井6への流入量と水位からポンプの運転シュミレ
ーションを行いポンプの運転台数、吐出量、発停のタイ
ミングを決めポンプを制御すると共に地下水路1管内の
流れ解析ステップへフィードバックする。 次にポンプ
機場への流入量を正確に予測する方法のうち、降雨情報
すなわち降雨量の時間変化に対し、立坑への流入量を正
確に予測する実施例を説明する。
【0062】図8は降雨からポンプ排水決定に到る手順
のフローチャートを示す。
【0063】図9は時間と降雨量、時間と流入量の関係
を示す図表である。
【0064】排水の対象となる地域に降雨が有った場
合、ステップ1で降雨情報例えば1時間当り何mmとい
った値から時間の変化に対する降雨量を求め、降雨と降
雨の時間間隔ΔTにより土中への水の浸透度が大幅に異
なるため立坑への流入量が変化するから流出係数を降雨
パターンにより変更する。例えば、図9のΔTにより流
出係数を0.3〜0.9に変化させる。ステップ2でこの
流出係数と降雨量から立坑への流入量を求め、ステップ
3でこの立坑への流入量からポンプ機場への流入量予測
手段によりポンプ機場への流入量求め、ステップ4でこ
のポンプ機場への流入量とポンプ運転方案とによりポン
プ排水量、即ち運転するポンプ台数と吐出量を決める。
図9に示すようにそれぞれの時間の変化に対する流入量
の変化パターンは遅れて行くからその予測も同じに行
う。
【0065】一般に降雨パターンは降雨量が時間の経過
と共に増加しピークを経て下降しゼロとなり、次の降り
始め迄の時間間隔により土中への浸透度が異なり、例え
ば時間間隔が短いと土中へ浸透せず立坑への流入量が多
くなる。この降雨パタンと降雨パタンの時間間隔で流出
係数を変えて降雨量と演算して立坑への流入量を求め、
ポンプ機場への流入量を精度良く予測することにより、
適切なポンプ機場の運転管理を行い大深度地下排水施設
の安定運用が可能となる。
【0066】そしてポンプ場への流入量の予測手段とし
て次の手段が挙げられる。
【0067】1.物理的シミュレーションによる。
【0068】2.上流側立坑の水位変化による。
【0069】3.上流において鉄砲水を検知する。
【0070】4.学習機能を有するニューロにより予測
する。
【0071】このうち上流において鉄砲水を検知する手
段について詳細に説明する。
【0072】図10は本実施例の排水システムの鉄砲水
検知と到達時間の予測の手順を示すフローチャートであ
る。
【0073】図11は本実施例の排水システムの全体構
成図を示す。
【0074】図11に示すように、本実施例の排水シス
テムは、放流先河川の近傍に排水ポンプ機場2を配置
し、排水対象地域に配設された小河川を含む排水路4に
よって雨水等の排水を集め、この排水を排水ポンプ機場
2に導き、ここから河川に放流するようにしている。排
水路4は、幹線管路6と複数の枝管路8−i(図ではi
=1〜4)から形成されている。排水ポンプ機場2は、
図示のように、幹線水路4から流入される排水を貯留す
る図示せざるポンプ井6と、そのポンプ井6の排水を汲
み上げて放流先の河川等に放流する排水ポンプ12と、
この排水ポンプ12の運転を制御するポンプ制御装置1
4を含んで構成されている。
【0075】枝管路8−1の上流地点aとその地点より
も下流の地点bに、それぞれ水位検出器16(a,b)
が、また枝管路8−2の上流地点eとその下流地点f
に、それぞれ水位検出器16(e,f)が設置されてい
る。これらの水位検出器16は、枝管路内の水位を検出
するものであり、静電容量式や超音波式等の周知の構成
のものが適用できる。水位検出器16により検出された
各地点の水位検出値は、図示していない通信設備により
前記ポンプ制御装置14に伝送されるようになってい
る。なお、他の枝管路8−3,8−4には水位検出器を
設けていないが、必要に応じて設けてもよい。すなわ
ち、流量の大きい鉄砲水で、かつ最も早く排水ポンプ機
場2に到達する鉄砲水を検知し、その到達時間を予測で
きればよいことから、本実施例は排水系の全体構成や地
形等を考慮し、排水ポンプ機場2に近く、大きな排水対
象地域をカバーする枝管路を対象とし、その枝管路にて
鉄砲水を検知するようにしたのである。
【0076】このように構成される排水システムにおい
て、通常は、ポンプ制御装置14の働きにより、排水ポ
ンプ機場2の内水位を基準に、排水ポンプP1,P2,P
3の運転台数と回転数などの排水能力を自動的に制御し
て排水量を調整する。また、周知の流入量予測に基づい
て自動制御するようにする。
【0077】ここで、図10を用い、本実施例の鉄砲水
の検知と、鉄砲水のポンプ地点への到達時間の予測に係
る詳細構成について、動作と共に説明する。
【0078】基本的に、鉄砲水の検知と到達時間の予測
は、水位検出器16aとb,16eとfにより検出され
た水位データに基づき、ポンプ制御装置14にて実行さ
れる。ポンプ制御装置14はコンピュータを含んで構成
され、水位検出器16a〜fから伝送される水位データ
を所定のサンプリング周期ごとに取り込み、通常の入力
信号処理を施した後、メモリのデータテーブルに格納
し、この格納された水位データを適宜読み出して、図1
0に示すような処理を実行するようになっている。
【0079】図10に、枝管路8−1に発生した鉄砲水
にかかる処理を示す。なお、枝管路8−2についても同
様の処理になるので、ここでは枝管路8−1についての
み説明する。鉄砲水の発生(流下)はステップ31と3
2の処理で検出する。鉄砲水の場合の水位の変化パター
ンは、急激に増大するパターンである。そこで、本実施
例では、上流地点aの水位検出値ha(t)をサンプリング
し、数式1により1周期前の水位検出値ha(t+1)との差
を演算して、水位の増加率Δha(t)を求める(ステップ
31)。
【0080】
【数1】Δha(t)=ha(t)−ha(t+1) 次に、増加率Δha(t)が予め定めた鉄砲水判定基準の設
定値k以上か否かにより鉄砲水の発生を検知する(ステ
ップ32)。この判定が否定のときはステップ31に戻
って次のデータに対して同一の処理を繰り返す。肯定の
ときは、ステップ33にて、鉄砲水の最高水位hmを検
出する。この検出は、前記データテーブルの水位検出値
ha(t)の変化を監視し、極大値を示した検出値を最高水
位として特定することにより行う。最高水位を検出した
ときタイミングにタイマをセットして、その鉄砲水が下
流の地点bに到達する時間の実測を開始する(ステップ
34)。なお、鉄砲水を検知したとき、その検知信号に
より警報などを発したり、グラフィックパネル等の表示
装置にその旨と発生地点とを表示するようにしてもよ
い。また、鉄砲水の検知は、上記の水位増加率のほか、
水位そのものが所定の設定値を超えたこと、又は排水の
濁度が異常に高くなったことを条件として検出できる。
次のステップ35からステップ43までは、水理計算
による鉄砲水の到達時間の予測の精度を上げるための補
正係数αを求めるステップである。到達時間の予測に用
いる原理として、周知の水理モデルから種々の方法が考
えられるが、本実施例では予測の処理時間を考慮して簡
便な段波モデルによる方法を適用した。この段波モデル
による鉄砲水の伝播速度(流下速度)ωは数式2によっ
て表される。なお、このモデルは、長方形管路の場合で
あるが、円形管路の場合はそれに合わせて変数を変形し
て適用すればよい。
【0081】
【数2】
【0082】ここで、hoは鉄砲水前面の初期水位であ
り、Vは初期水位hoのときの初期流速で、数式3によ
り求める。また、gは重力加速度である。
【0083】
【数3】
【0084】ここで、nは管路の粗度係数であり、Iは
管路の勾配である。従って、流下速度ωを求めれば、同
一排水管の下流地点に到達する到達時間は、そこまでの
距離をωで割算すれば求められる。
【0085】上記の水理理論に従い、ステップ35で地
点aにおける初期流速Vaを数式3により求める。次
に、ステップ36で数式2により流下速度ωaを求め
る。そして、ステップ37において、数式4により、距
離Labだけ離れた下流の地点bまでの到達時間の予測値
T'abを演算する。
【0086】
【数4】T'ab=Lab/ωa 次のステップ38から40においては、地点bにおける
鉄砲水検知と、最高水位hmを検出する。この処理内容
は前記ステップ31から33と同一であるから説明を省
略する。ステップ40で地点bに鉄砲水の最高水位が到
達したことを検知したタイミングで、前記タイマを停止
させ(ステップ41)、地点aからbまでの到達時間の実
測値Tabを求める(ステップ42)。そして、ステップ4
3にて、次式5により、予測時間の補正係数αを演算す
る。
【0087】
【数5】α=T'ab/Tab 通常、理論による予測値よりも実測値の方が大きいか
ら、α≦1.0である。
【0088】次に、地点bからポンプ地点dに鉄砲水が
到達する予測時間T'bdを、数式6により演算する。
【0089】
【数6】T'bd=α(T'bc+T'cd) の式におけるT'bcとT'cdの予測は、それぞれ基本的に
数式2,3,4を用いる。但し、幹線管路6は枝管路8
−1と管径などの管路条件が異なるので、初期水位ho
と最高水位hmは、地点aの検出値に基づき、比例計算
により推定する。この場合、初期水位hoには、他の枝
管路8−2,8−3,8−4等から合流点cに流入して
いる排水量をも考慮する必要がある。したがって、合流
点cに水位検出器を設置して、初期水位hoを検出する
のが好ましい。しかし、枝管路8−1の鉄砲水が最も早
く合流点cに到達する場合は、他の枝管路から合流点c
に流入する量は、通常時の流量であるから、過去の各枝
管路の流量割合の実績データ等に基づく相関係数を設定
しておき、地点aの初期水位にその相関係数を乗じて、
合流点cの初期水位を推定することができる。本実施例
はこの方法によっている。なお、本実施例は基本的に最
も早く排水ポンプ地点に到達する鉄砲水についての到達
時間を予測すればよいから、枝管路8−1よりも枝管路
8−2に発生した鉄砲水が最も早く合流点cに到達する
場合は、枝管路8−2の鉄砲水について到達時間T'fd
を予測する。
【0090】このようにして予測した到達時間T'bdに
基づいて、ステップ45において、排水ポンプの運転台
数とその運転開始タイミングについて決定すると共に、
その決定にしたがって鉄砲水に対する先行待機運転の制
御を行う。通常、排水ポンプは複数台設けられているか
ら、鉄砲水の強さに応じて運転する台数を決める。
【0091】上述したように、本実施例によれば、排水
路の上流地点aにて排水路の水位を検出し、その増加率
が急激であるか否かを判断していることから、鉄砲水が
発生を素早く検知できる。これにより、排水ポンプの対
応運転を余裕を持って行うことができる。
【0092】また、鉄砲水の程度(水位又は増加率)
と、鉄砲水の検知地点から排水ポンプ地点までの距離
と、排水路条件とに基づき、水理理論に従って排水ポン
プ地点までの鉄砲水の到達時間を予測演算していること
から、更に余裕を持って排水ポンプの対応運転を行うこ
とができる。
【0093】そして、その予測結果に基づいて排水ポン
プを先行して運転する台数や運転開始タイミングを決定
していることから、鉄砲水の到来に容易に対応できる。
【0094】また、排水ポンプを先行待機運転できる時
間は、ポンプ軸受の冷却システム等により制限を受ける
が、上記予測により先行待機運転時間を最適化でき、ポ
ンプ軸受の損傷を防止できる。立坑及びポンプ機場への
流入量制御手段として下記の手段が挙げられる。
【0095】1)複数排水路から立坑への流入量制御。
【0096】2)可動堰によるポンプ機場への流入量制
御。
【0097】3)開水路、閉水路の排水。
【0098】4)複数機場の統合管理。
【0099】5)ポンプ吐出側の越流堰による流量制
御。
【0100】先ず、1)複数排水路から立坑への流入量
制御手段について詳細に説明する。図12地下排水シス
テムの一実施例を示し、本図に示すように、河川や排水
路から流入立坑1,2,3への導水路に可動の流入量調
整装置8を設けた。これにより、各河川や排水路から地
下放水路4への流入量を調整し、各河川や排水路の水位
や流入量に応じて各河川や排水路から流入立坑1,2,
3への流入量を別々に調節することができる。
【0101】次に2)可動堰によるポンプ機場への流入
量制御について説明する。
【0102】図13は、図12における可動の流入量調
整装置8を可動堰9で構成したものである。可動堰9と
しては、図13に示すように上下に堰高さを調節しうる
ものや、スウィング式のものが考えられるが、大規模な
システムでは、制御動力を小さくでき、しかも異物のひ
っかかりにくい図13のほうが良い。
【0103】図14は、河川や排水路から流入立坑1,
2,3への導水路を管路とし、図12における流量調整
装置8をバルブとしたものである。この場合バルブとし
ては、流量調節可能であり、比較的大形のものも製作可
能なバタフライバルブが適している。
【0104】次に、上記のように構成された地下排水シ
ステムの運用方法について説明する。すなわち、ポンプ
7の運転状態、地下放水路4の水位、全体の流入量、あ
るいはその予測結果と各河川や排水路の水位から、当該
河川や排水路からの最適な流入量を決定し、流量調整装
置8により最適値に調整する。例えば、気象条件などに
より、ある特定の河川や排水路への流入が多く冠水の恐
れが生じた場合には、ポンプ7の運転状態、地下放水路
4の水位及び全体の流入量の許す限り、優先的に当該河
川や排水路から排水することにより、冠水被害を防止す
ることができ、排水システムとして最大限の能力を発揮
させることができる。
【0105】図15は本実施例の河川や排水路からの最
適な流入量を決定し、最適値に調整する流量調整装置の
ブロック図である。
【0106】本図に示すように、地下排水施設によって
複数の河川A、排水路B及び管渠Cを制御している状態
を想定する。制御装置12は、河川A、排水路B及び管
渠Cの水位、流入立坑1,2,3への流入量Q、地下放
水路4の水位、排水ポンプの排水量ΣQなどが常時監視
できるものとする。
【0107】いま、河川Aの流域の降雨量が大きく、水
位が上昇している場合には、地下放水路4の水位、排水
ポンプ7の排水量などからポンプの運転状態を把握し、
ポンプの容量に余裕がある場合には、河川Aの流量調節
装置8に制御信号を送り、河川Aからの流入量Qaを増
加させる。この時、仮に排水ポンプ7の容量に余裕がな
い場合でも、河川Aの水位上昇速度が大きく、冠水の恐
れがある場合には、他の排水路B,管渠Cの水位に余裕
がある場合には、それらの流量制御装置8に制御信号を
送り流入量Qb,Qcを減少させ、しかる後に河川Aか
らの流入量Qaを増加させるように制御装置12を構成
しておけば、当該排水システムの機能を最大限に発揮さ
せ、排水システムとしての信頼性を向上させることがで
きる。
【0108】また、河川や排水路からの雨水の流入量或
いは、その予測結果をもとに、急激な流入が予想される
河川、排水路から予め優先的に地下放水路4に導き、ポ
ンプの運転可能最低水位まで水位を上昇させ、しかる後
にポンプを起動し、排水運転を行い、当該河川や排水路
の水位を最低水位付近まで下げておけば、河川や排水路
自体の貯留効果を利用し、急激な流入に備えてポンプの
待機運転を行うことができる。
【0109】また、この際、ポンプ7を可動翼ポンプ或
いは回転数制御可能なポンプで構成し、低流量排水運転
とすれば、当該河川や排水路の自然流下による排水能力
を最大限に利用でき、効率的な待機運転が可能となる。
【0110】図16は、他の実施例を示すものであり、
ポンプ機場上流側の地下放水路4に可動の堰11を設け
たものである。このように構成することにより、流入初
期における初期汚水がポンプ井6に流入するのも防止で
き、ポンプ7の信頼性をさらに向上することができる。
【0111】また、この排水システムが開水路の状態で
運用される場合には、地下放水路4の勾配θにもよる
が、例えばポンプ7の不具合などでポンプ7の立上りが
遅れた場合には、可動堰11を閉じて地下放水路4の貯
留効果を最大限に利用できる。
【0112】さらに、このような構成とすれば、河川や
排水路からの流入量或いは、その予測結果に応じて可動
堰11の高さを調節することにより、ポンプ井6の水位
を安定化させ、従ってポンプ7の運転を安定化させるこ
とができるので、特に大規模ポンプシステム場合には、
ポンプ7の信頼性を高めることができる。
【0113】次に3)地下放水路が開水路、閉水路の状
態に有る時の排水について説明する。流入水路が閉水路
の状態で計画水量を排水可能とし、開水路においても締
切運転にならないポンプをポンプ井に配置する。このポ
ンプは可動翼ポンプとし、翼角最小付近で排水待機運転
し、ポンプ井の水位上昇又はその水位上昇速度に応じて
ポンプの翼角を調整し、排水量調整を行なう。また、こ
のポンプを回転数制御型とし、低速回転で排水待機運転
し、ポンプ井の水位上昇又はその水位上昇速度に応じて
回転数を調整し、排水量調整を行なっても良い。また、
ポンプ井に、地下流入水路が開水路の状態で計画水量を
排水可能でありかつ排水待機運転される小容量高揚程ポ
ンプと、閉水路の状態で計画水量を排水可能な大容量低
揚程ポンプとを組合せても良い。ポンプ吐出側にバルブ
を設置せず越流堰又はサイホンを形成して流量制御を行
うこともできる。
【0114】次に大深度地下排水施設(ポンプ機場)の
安定運用について下記の手段が挙げられる。
【0115】(1)ポンプ翼角・回転数制御による排水
待機運転。
【0116】(2)ポンプの先行待機運転。
【0117】(3)小容量・高揚程、大容量・低揚程ポ
ンプの組合せ。
【0118】(4)排水優先運転アルゴリズムの適用。
【0119】(5)ポンプ井水位の上昇・下降速度によ
るポンプのオン、オフ水位補正。
【0120】(6)一時貯留・事前放流の為のポンプ近
傍に設けたサージ防止用貯水池。
【0121】(1)ポンプ翼角・回転数制御による排水
待機運転の詳細は上述のとおりであるが、ポンプ機場の
安定運用にも有効である。
【0122】(2)ポンプの先行待機運転とは吸水槽へ
の流入水の流入予測に従って流入水が吸水槽に到達する
前に放流路の弁を開き、ポンプの運転を始める操作を指
す。
【0123】図17は本実施例の排水施設の構成を示す
縦断面図である。
【0124】本図に示すように貯水池10から流入主管
路1に連通させた放流路13に弁14が挿入されてい
る。流入主管路1の終端に吸水槽5が設けられ、吸水槽
5内にポンプ4が浸漬されている。ポンプ4の吐出管6
の吐出弁7よりも上流側から分岐して貯水池10に連通
させた還流路15が設けられ、この還流路15に弁16
が挿入されている。降雨があると吸水槽5への流入予測
が行われ、流入水が吸水槽5に到達する前に放流路13
の弁14を開き吸水槽5へ貯水池10の貯留水を供給す
る。一定時間遅れて放流水が吸水槽5へ到着し吸水槽5
の水位がポンプ4の運転可能な値に上昇した時ポンプ4
の運転を開始する。このようにして放流水が流入し始め
た段階で本格的な放流水の流入に先行して待機運転を行
うことができる。
【0125】(3)小容量・高揚程、大容量・低揚程ポ
ンプの組合せについて説明する。
【0126】図18は本実施例の排水施設の構成を示す
縦断面図である。
【0127】一般に、地下水路1の埋設深さが深くなる
と、ポンプ井7の低水位LWLと高水位HWLの差が大
きくなる。また、地下排水施設ではポンプ井7の水位が
低い場合は排水量は少なくてよく、水位が高くなるにつ
れて排水利用を増大すればよい。そこで、図18に示す
ように、必要排水量を賄う排水ポンプを分割して階層状
に設置し、下の階層に高揚程ポンプ8aを、上の階層に
低揚程ポンプ8bを設置することが望ましい。この場
合、低揚程ポンプ8bは少なくとも地下貯留池10の底
面よりも下のレベルに設ける。
【0128】このように構成することにより、上層階の
排水ポンプ8bは設置レベルが高い分だけ放流先河川9
の水位Hoとの差が小さくなるから、その分だけ必要揚
程が小さくなるので、排水動力を節減できることにな
る。特に、上階層の排水ポンプ8bの定格を低揚程・大
容量のものにし、水位の上昇に応じて運転を開始するよ
うにすれば、低揚程大容量のポンプは広い範囲にわたっ
てポンプ効率が高いので、排水動力の節減効果が著し
い。また、ポンプ井7の水位が低いときはそれほど速や
かに排水する必要はないから、低い階層の排水ポンプ8
aは高揚程ではあるが、小容量でよい。
【0129】また、複数の排水ポンプを少なくとも2階
の階層状に設置したことから、必要な地下ポンプ建家の
建築面積を小さくすることができる。これにより、地下
掘削作業を含む作業量を低減でき、建設費の増大を抑え
ることができる。
【0130】次に(5)ポンプ井水位の上昇・下降速度
によるポンプのオン、オフ水位補正について説明する。
【0131】図19は本実施例のポンプ井水位上昇速度
を示したものである。実線は水位上昇速度大、点線は通
常の速度、一点鎖線は水位上昇速度小の場合を示す。
【0132】図20は本実施例のポンプ井水位上昇速度
が大きい場合の起動パタンを示したものである。
【0133】起動水位は従来に比較しB2低い水位で起
動する。又、全台(今回の例は3台)起動する迄の水位
差はA2であり従来(A1)に対し小さくなる。すなわ
ち、水位上昇速度が大きい場合、低い水位で1台目が立
ち上がり、かつ全台立ち上がる水位も低く急激な水位上
昇に対し早く対応が出来る。
【0134】図21は本実施例のポンプ井水位上昇速度
が遅い場合の起動パタンを示したものである。
【0135】1台目起動の水位はB3だけ高く、停止時
も低水位で停止するようにする。すなわち、起動と停止
の水位差を従来(C1)に比較し、大きく(C3)出来
るのでハンチング防止に効果がある。
【0136】次に(6)一時貯留・事前放流の為のポン
プ近傍に設けたサージ防止用貯水池について説明する。
【0137】図22は本実施例の地下排水施設の概念構
成を示す縦断面図である。
【0138】本図のように、地下水路1の比較的下流側
に、地表と地下水路1の中間に位置させて、一定の容積
を有する地下貯留池10が埋設されている。この地下貯
留池10は連通立坑11を介して地下水路1に連結され
ている。この連通立坑11の地下貯留池10との連通部
のレベル(入口レベル)は、貯留池底面よりも高いレベ
ルの側面部に位置されている。地下貯留池10の底部は
貯留水の放流管路12を介して連通立坑11に連結され
ている。この放流管路12には管路を開閉する開閉弁又
はゲート弁(以下、開閉弁と総称する)13が設けられ
ている。ここで、放流管路12は地下水路1に直接連結
することも可能である。また、地下貯留池10の底部に
連通させて揚水ポンプ15が設けられ、貯留水を地上に
汲み揚げ可能になっており、これにより必要に応じてそ
の貯留水を消防用水、道路や公園の散水用等に有効利用
できるようにしている。一方、地下貯留池10の上部は
空気孔14を介して大気に開口され、地下貯留池10に
対応する地表面には公園17や運動場等の公共施設が、
更に地表と地下貯留池10との間のスペースを利用して
地下駐車場16などの施設が設けられている。
【0139】また、地下貯留池10の容量は、流入量予
測と排水ポンプの排水能力等の排水システムの条件から
要求される貯留能力から、地下水路1の貯留能力を差し
引いた量以上に設定する。
【0140】このように構成される実施例の動作及び運
転方法を次に説明する。
【0141】雨が降って河川3等の水位が上昇すると地
下水路1に流入する水量が増加し、雨量の程度に応じて
地下水路1の水位が上昇する。集中豪雨などのような流
入水の急激な増大が生ずると、地下水路1が満水状態に
なり、地下貯留池10の連通立坑11の水位が急激に上
昇し、図22に示した動水勾配20に従って、水位が地
下貯留池10の入口レベルに達する。水位がこのレベル
に達すると、地下貯留池10の貯留効果が発揮されるた
め、それ以降の急激な水位の上昇が緩和される。したが
って、流下水がポンプ井7に到達してから、排水ポンプ
8の運転を開始するまでの時間を十分にとることができ
る。つまり、地下貯留池10の入口レベルに水位が到達
してから排水ポンプ8を運転開始しても、上流側水路の
河川3、管渠4、放水路5又は空気孔6から流入水が逆
流して生ずる冠水を防止できる。
【0142】なお、排水ポンプ8の総排水能力は、流入
量予測に基づいて定められるが、通常は、単位時間当た
りの流入量に応じた総排水能力に設定される。従って、
地下貯留池10に水位が達してから排水ポンプ8を運転
開始すれば、水位の上昇を抑えられるのである。
【0143】本発明はポンプの全揚程を低減してポンプ
そのものの小型化、原動機の小型化により、ポンプ機場
の省スペース化を図っているが他に下記のような手段が
挙げられる。
【0144】イ.ポンプ機場の階層化。
【0145】ロ.円形に配置したポンプ機場。
【0146】ハ.鉛直方向に配置したポンプ機場。
【0147】イ.のポンプ機場を階層化し、かつ円形に
配置した例について説明する。
【0148】図23は本実施例の排水ポンプ機場の概念
構成を示す縦断面図である。
【0149】図24は図23の部分詳細図である。
【0150】排水対象区域に配設された地下水路1によ
り集められた雨水などの流入水はポンプ井2に流入され
る、ポンプ井2内の流入水は排水ポンプ群3によって汲
み揚げられ、集合吐出管路4と排水路5を介して放流先
の河川6に排出されるようになっている。排水ポンプ群
3は設置レベルを異ならせて2階層状に配置された複数
の排水ポンプPL1〜n(nは自然数)とPH1〜nか
ら構成されている。ここで、排水ポンプPHには低揚程
・大容量のポンプが適用され、排水ポンプPLには高揚
程・小容量のポンプが適用されている。これらの排水ポ
ンプPH,PLは階層別にそれぞれ円形状に設置されて
いる。各排水ポンプPH,PLの吸込管路7,8は環状
の集合吸込管路9,10を介してそれぞれポンプ井2に
連通されている。集合吸込管路7、8は排水ポンプの円
形配置に合わせてそれぞれ環状に形成されている。各ポ
ンプの吸込管路7,8にはそれぞれ吸込仕切り弁11,
12が設けられている。集合吐出管路4は排水ポンプ群
3の中心に縦型に設けられ、各排水ポンプPH,PLの
吐出管路13,14が連結されている。集合吐出管路4
の上部は排水路5によって河川6に連通されている。ま
た、集合吐出管路4の管径は階層ごとの排水ポンプの排
水量に合わせ、下層に行くほど細く形成されている。上
記の排水ポンプ群3が設置される地下ポンプ建家20の
外形は、上方に広がる円錐台状に形成されている。この
ような形状にしたのは、下層の階に設置される高揚程・
小容量の排水ポンプPLは、上層の階に設置される低揚
程・大容量の排水ポンプPHに比べて設置面積が小さく
て済むからである。なお、地下ポンプ建家20は図24
のように下層部のみ円錐台状にし、上層部は円柱状にし
てもよい。また、地下ポンプ建家20内には排水ポンプ
PH,PLおよび電動機15,16などを保守するため
の保守エリア17,18が設けられている。なお、図に
示すように、集合吐出管路4の上端を地上に露出させ、
その部分に例えば噴水又は滝21を設けたり、地下ポン
プ建家20の地上部分を公園22等として利用できるよ
うにしてもよい。
【0151】このように構成されることから、本実施例
によれば、上層階の排水ポンプPHは設置レベルが高い
分だけ放流先河川6の水位Hoとの差が小さくなるか
ら、その分だけ必要揚程が小さくなるので、排水動力を
節減できることになる。特に、高い階層の排水ポンプP
Hの定格を低揚程・大容量のものにすれば、低揚程大容
量のポンプは広い範囲にわたってポンプ効率が高いの
で、排水動力の節減効果が著しい。
【0152】また、排水システムではポンプ井2の水位
が低い場合は排水量は少なくてよく、ポンプ井の水位が
高くなるにつれて排水量を増大させればよいから、例え
ば図23に示すようにLWL(例えば、Ho−60m)
とHWL(例えば、Ho−15m)の中間に運転台数制
御用の中間水位MWL1,2(例えば、Ho−45m,
Ho−30m)を設定し、水位が上昇するにつれて順次
高い階層の排水ポンプを運転するようにすれば、排水動
力を効果的に節減できる。
【0153】また、複数の排水ポンプを少なくとも2階
の階層状に設置したことから、必要な地下ポンプ建家の
建築面積を小さくすることができる。これにより、地下
掘削作業を含む作業量を低減でき、建設費の増大を抑え
ることができる。特に、排水ポンプを円形に配置したの
で地下ポンプ建家20の外形も円形にすることができ、
建設費低減の効果が著しい。
【0154】また、ポンプ井2の水位が低いときはそれ
ほど速やかに排水する必要はないから、低い階層の排水
ポンプPLは高揚程ではあるが、小容量でよい。従っ
て、地下建家の各階層の面積は下層になるほど小面積で
よく、少なくとも下部外形が上に広がる円錐台状に形成
すれば、特に深いところにおける掘削量を低減できるの
で、建設費等の低減効果が著しい。
【0155】次にハ.鉛直方向に配置したポンプ機場に
ついて説明する。
【0156】図25は本実施例の立軸駆動多重ポンプを
配置したポンプ機場を示す縦断面図である。
【0157】本図に示すように、1はポンプ羽根車(図
示せず)の駆動源となる駆動機であり、その主軸17は
鉛直方向にある。2は大容量で低揚程のポンプであり、
3は小容量で高揚程のポンプで、鉛直方向に配設されて
いる。4は、回転トルクの伝達・不伝達が可能な継手で
あり、前記駆動機1の主軸17は、継手4によって鉛直
方向に配設した2台のポンプ2,3の各主軸18と連結
している。すなわち、駆動機1は、鉛直方向に配設した
2台のポンプ2,3の間に位置し、詳細は図示しない
が、両掛駆動構成となっている。
【0158】9は地下導水路、10は、地下導水路9に
接続して設けられた取水縦坑、13は、吐出流路に係る
吐出管である。前記取水縦坑10と吐出管13との間
に、鉛直方向に配設された2台以上(図25では2台)
のポンプからなる立軸駆動多重ポンプが配置されてい
る。上方側のポンプ2の吸込管7−1は仕切弁8−1を
介して取水縦坑10の上部に接続し、下方側のポンプ3
の吸込管7−2は仕切弁8−2を介して取水縦坑10の
下部に接続している。また、前記ポンプ2,3の吐出側
は仕切弁6−1,6−2を介して吐出管13に接続して
いる。
【0159】地下導水路9から取水縦坑10に流入し溜
った水は、仕切弁8(8−1,8−2の総称)が開のと
き吸込管7(7−1,7−2の総称)に流入し、ポンプ
によって吐出管13に吐出される。吐出管13は大容量
で低揚程のポンプ2の吐出流が合流する位置から断面積
が拡大している。吐出側の仕切弁6(6−1,6−2の
総称)はポンプ停止時には閉となり、吐出流の逆流を防
止する。また、14,15は水流方向であり、11,1
2は水位を示す。
【0160】本実施例は以上のように構成されているの
で、地下の排水ポンプ機場の平面スペースを、従来のポ
ンプの水平方向配置の場合よりも必要としない。
【0161】また、駆動機1の主軸17とポンプ2,3
の主軸18とは回転トルクの伝達・不伝達が可能な継手
4によって連結されているので、必要なポンプ羽根車の
みを回転させることができ、エネルギーの浪費を防止で
きる。
【0162】さらに、鉛直方向に配設される2台のポン
プ2,3は、上方側が大容量で低揚程のポンプ2、下方
側が小容量で高揚程のポンプ3という構成にしたので、
取水縦坑10の水位が低い水位11のときには高揚程の
ポンプ3を運転し、取水縦坑10の水位が高い水位12
のときには低揚程のポンプ2を運転することができる。
また、それらの同時運転もできる。
【0163】さらに、駆動機1は、両ポンプ駆動として
構成を簡単化した。
【0164】また、流路断面積が下流方向に増加する吐
出管を配備しているので、効率の良い運転を可能として
いる。さらに、複数台のポンプに対して1本の吐出管1
3の併用が可能なのでポンプ装置の構成が簡単となると
いう効果もある。
【0165】本実施例によれば、大容量で低揚程のポン
プ2を運転しないとき、ポンプ2の前後の仕切弁6−
1,8−1を閉にして抜水し、ポンプ2をフライホィー
ルとして作動させることができ、省エネルギーと水撃防
止の効果もある。
【0166】更に、他の実施例を図26を参照して説明
する。
【0167】図26は他の実施例の立軸駆動多重ポンプ
を配置したポンプ機場を示す縦断面図である。
【0168】図中、図25と同一符号のものは、先の実
施例と同等部であるから、その説明を省略する。
【0169】本図に示す実施例では、鉛直方向に配設さ
れた3台のポンプ20の羽根車回転軸は水平方向にあ
り、さらに、3台のポンプ20は同一構造のものであ
る。
【0170】本図において、1Aは、ポンプ(或いはポ
ンプ羽根車)の駆動源となる駆動機、17Aは、駆動機
1の主軸、20は、鉛直方向に配設された2台以上(図
26の例では3台)の軸流ポンプ、17Bは、これら軸
流ポンプ20を鉛直方向に連結する連結軸、21は、駆
動機1の主軸17Aと前記軸流ポンプ20の各連結軸1
7Bとを連結する軸継手である。軸流ポンプ20は、軸
流形の羽根車19と案内羽根22,23を備えている。
18Aは、羽根車19の回転軸で水平方向にある。 2
4は、連結軸17Bのトルクを上記各羽根車の回転軸1
8Aに伝達する直交伝達機構に係る傘歯車、25は、軸
流ポンプのケーシングに設けた軸貫通用開口部である。
【0171】各羽根車の回転軸18Aと傘歯車24と
は、回転トルクの伝達・不伝達が可能な継手4によって
連結されている。
【0172】地下導水路9に接続した取水縦坑10と吐
出管13との間に、ポンプ室があり、鉛直方向に配設さ
れた2台以上(図26では3台)の軸流ポンプ20から
なる立軸駆動多重軸流ポンプが配置されている。各軸流
ポンプ20の上流側は仕切弁8を介して取水縦坑10
に、下流側は仕切弁6を介して吐出管13に通じてい
る。 本実施例の場合は、先の図25に示した実施例と
同様、経済的なポンプ機場構成およびポンプの効率的運
転を可能とするほか、各ポンプの羽根車19の回転軸1
8Aを水平に配置しているので、ポンプ羽根車として軸
流形羽根車に限らず、斜流形羽根車を組み込むことも可
能である。
【0173】本実施例では、吐出管13出口の排水口の
高さは一定であり、さらに、取水縦坑10の水は押し込
みとして作用するので、水位がどの高さにあっても上下
方向の各軸流ポンプ20に要求される揚程は同じであ
り、ポンプを同一構造とすることができる。また、各ポ
ンプが同一構造であるので、パッケージ式という考え方
ができ、ポンプの増設を容易にし、さらに、製品コスト
の低減が可能という本実施例特有の効果がある。
【0174】ポンプ機場に配置されるポンプは容量が大
きいことから大型になり、振動が大きいとポンプ本体、
配管系の疲労破壊の原因となり、振動は騒音の発生原因
でもあるから作業環境にも影響を与える。従って振動を
低減するために脈動を低減したポンプについて説明す
る。
【0175】図27〜図29に本実施例の片吸込遠心型
のディフューザポンプを示す。
【0176】図27はポンプ回転軸と直交する方向の断
面図である。
【0177】図28は図27のII−IIから見た断面図で
ある。
【0178】図29は図27のIII−IIIから見た断面図
である。
【0179】それぞれの図に示すように、片吸込遠心型
の羽根車1の外側にディフューザ3が設けられ、さらに
その外側にボリュートケーシング10が設けられてい
る。このボリュートケーシング10にはポンプ吐出口1
1が一体に形成されている。また、このボリュートケー
シング10に接続して、ポンプ吸込口15を有する吸込
ケーシング16が設けられ、これらによりディフューザ
ポンプの流水部が構成されている。
【0180】ディフューザ3の側壁4A,4Bの中間に
隔壁5が設けられている。そして、隔壁5によりディフ
ューザ3内の流路は、軸方向に独立した2つの流路6
A,6Bに分割されている。この2つの流路6A,6B
にそれぞれディフューザ羽根7A,7Bが配設されてい
る。これらの羽根7A,7Bは互いに回転角方向の位置
をずらして配置されている。本実施例では、一方の流路
のディフューザ羽根の入口端の中間に、他方の流路のデ
ィフューザ羽根の入口端が位置するように位置をずらし
てある。図27の例では、羽根7Bの入口端7B’は羽
根7Aの入口7A’に対し、羽根車の回転方向に角度ζ
°だけずらしている。
【0181】このように構成される本実施例の動作につ
いて次に説明する。
【0182】ポンプ吸込口15から流入した流れは、羽
根車1の回転により流速が高まり、ディフューザ3へ吐
出される。ここで流れは減速し、静圧を回復した流れは
さらにボリュートケーシング10を通り、ポンプ吐出口
11から吐出される。
【0183】羽根車1の出口部の流れは、前述したよう
に、羽根の厚み、羽根車1内の羽根面に沿う流れの境界
層の発達等の影響を受けて、羽根車1の羽根間隔を1ピ
ッチとする不均一な流速分布になっている。そして、こ
の不均一な流れがディフューザ羽根7A,7Bの入口を
通過する際に、この1ピッチの回転に要する時間を基本
周期とする圧力脈動が生ずる。発生した圧力脈動はボリ
ュート出口に伝達され、それらの合成された圧力脈動波
が吐出配管に伝達することになる。また、一部は羽根車
内を通って吸込配管へ伝達することになる。
【0184】しかし、本実施例によれば、ディフューザ
流路を隔壁5により独立した流路6A,6Bに分割し、
かつそれらの流路のディフューザ羽根入口端7A’,7
B’の位置を、羽根車の回転方向に対し、互いにずれた
位置にしている。従って、羽根車流路から流出する流体
は、そのずれ量に応じた回転角の位相角度ζ°がずれた
関係で、2つのディフューザ流路6A,6Bに流入し
て、流出することになる。従って、2つのディフューザ
流路6A,6Bの入り口部で発生した圧力脈動は、その
位相ずれに応じて出口部で互いに打消され、ディフュー
ザ流路出口部における圧力脈動が低減される。
【0185】特に、各ディフューザ流路6A,6Bの羽
根の入口端7A’,7B’を、ほぼ羽根車の羽根ピッチ
の半分の角度だけずらせた場合は、各ディフューザ流路
6A,6Bで交互に発生する圧力脈動の位相が、互いに
1/2波長ずれるので、両流路の圧力脈動が打消しあっ
て圧力脈動を大幅に減少することになる。即ち、羽根車
の羽根枚数をZi、ディフューザの羽根枚数をZdと
し、前記角度ζ°について、下記の関係に設定した場
合、 ζ°=1/2×360°/Zi あるいは 360°/Zd−ζ°=1/2×360°/Zi 両流路6A,6Bから交互に発生する脈動は、互いに位
相が1/2波長ずれるため、両流路を伝わる圧力脈動が
干渉し、圧力脈動は著しく減少する。
【0186】なお、両流路6A,6Bの羽根入口端7
A’,7B’の位置をずらせたことにより、これらの位
置とポンプ吐出口までの距離が異なってくる。しかし、
この距離の違いは、一般に圧力脈動の波長にくらべ著し
く小さいので、前記位相のずれに与える影響は無視でき
る。従って、上記式を満足するζ°だけずらせればよ
い。 上述したように、本実施例は、ディフューザ部の
形状の工夫により脈動低減を図ったのである。そして、
隔壁5は円板状となり、ディフューザの羽根も通常2次
元形状になる。これに対し、羽根車内の流路を隔壁によ
り仕切り、この隔壁の両側の羽根をずらして圧力脈動を
減少させる従来技術によれば、片吸込遠心型羽根車の場
合の隔壁は流線に沿った曲面形状となり、かつ羽根車の
羽根は通常3次元曲面に形成することが多い。従って、
従来技術にくらべ本実施例によればポンプの製作が容易
となる。
【0187】また、本実施例によれば、羽根車入口部に
隔壁を設けていないので、キャビテーション性能の悪化
を生じない。
【0188】また、羽根車内の中央流線に沿った隔壁が
ないため、ポンプを小流量で運転するとき、羽根車内の
遠心流れおよび逆流の発生が抑制されず、ポンプ揚程曲
線の不安定化等の特性悪化を生ずることがない。
【0189】今迄に述べた開水路・閉水路共存運用を行
う大深度地下排水施設には下記のような効果がある。
【0190】A.ポンプ全揚程の低減が顕著で、ポンプ
及び駆動機を含むポンプ機場の設備備費が小さくなる。
【0191】B.地下水路の掘削工事費が低減される。
【0192】C.長大な地下水路の貯留効果により地上
へ溢流するリスクが小さくなる。
【0193】D.上記の貯留効果により大容量吸水槽を
必要としないから土地の取得が困難な都心にポンプ機場
の建設ができる。
【0194】以上大深度地下排水施設に関し、種々の実
施例を説明したが、本発明は上記実施例に記載された各
技術を適宜組み合わせて実施する態様も含むものであ
る。
【0195】
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
【発明の効果】 本発明によれば、立坑などからの溢水を
防いで、 大深度地下排水施設の安定運用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大深度地下排水施設の基本的な構成を
示す斜視図である。
【図2】本発明の開水路・閉水路共存運用を行う実施例
の構成を説明する説明図である。
【図3】本発明の実施例の開水路・閉水路共存運用を行
う場合のポンプ起動水位を説明する説明図である。
【図4】本発明の実施例のポンプ特性を説明する図表で
ある。
【図5】本発明の実施例の開水路・閉水路共存運用に適
したポンプ特性を説明する図表である。
【図6】本発明の実施例の閉水路運用を行う実施例の構
成を説明する説明図である。
【図7】本発明のポンプ機場への流入量を正確に予測及
び制御する実施例の構成を説明する説明図である。
【図8】本発明の実施例の降雨からポンプ排水決定に到
る手順のフローチャートを示す。
【図9】本発明の実施例の時間と降雨量、時間と流入量
の関係を示す図表である。
【図10】本発明の本実施例の排水システムの鉄砲水検
知と到達時間の予測の手順を示すフローチャートであ
る。
【図11】本発明の実施例の排水システムの全体構成図
を示す。
【図12】本発明の実施例の地下排水施設の構成を示す
縦断面図である。
【図13】図12における可動の流入量調整装置を可動
堰で構成した縦断面図である。
【図14】図12における可動の流入量調整装置をバル
ブで構成した縦断面図である。
【図15】本発明の実施例の河川や排水路からの最適な
流入量を決定し、最適値に調整する流量調整装置のブロ
ック図である。
【図16】本発明の実施例のポンプ機場上流側の地下放
水路に可動の堰を設けた縦断面図である。
【図17】本発明の実施例の排水施設の構成を示す縦断
面図である。
【図18】本発明の実施例の排水施設の構成を示す縦断
面図である。
【図19】本発明の実施例のポンプ井水位上昇速度を示
した図表である。
【図20】本発明の実施例のポンプ井水位上昇速度が大
きい場合の起動パタンを示したものである。
【図21】本発明の実施例のポンプ井水位上昇速度が遅
い場合の起動パタンを示したものである。
【図22】本発明の実施例の地下排水施設の概念構成を
示す縦断面図である。
【図23】本発明の実施例の排水ポンプ機場の概念構成
を示す縦断面図である。
【図24】図23の部分詳細図である。
【図25】本発明の実施例の立軸駆動多重ポンプを配置
したポンプ機場を示す縦断面図である。
【図26】本発明の他の実施例の立軸駆動多重ポンプを
配置したポンプ機場を示す縦断面図である。
【図27】本発明の実施例の片吸込遠心型のディフュー
ザポンプ回転軸と直交する方向の断面図である。
【図28】図27のII−IIから見た断面図である。
【図29】図27のIII−IIIから見た断面図である。
【図30】従来の開水路運用の構成を説明する説明図で
ある。
【符号の説明】 1 地下水路 2 立坑 3 放水路 4 管渠 5 河川 6 ポンプ井 7 ポンプ 8 吐出水槽 61 大容量吸水槽 71 雨量レーダ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E03F 1/00 E03F 5/22 F04D 15/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 降雨情報により降雨量を算出し、該降雨
    量と降雨パタンと降雨パタンの時間間隔で定める流出係
    数から立坑への流入量を算出し、該立坑への流入量から
    ポンプ場への流入量を算出し、該ポンプ場への流入量を
    排水するためのポンプ台数と能力を定めることを特徴と
    する大深度地下排水施設の運用方法。
  2. 【請求項2】 降雨情報により降雨量と降雨量の時間経
    過を示す降雨パタンを求め、該降雨パタンに基づいて流
    出係数を定め、該流出係数と前記降雨量とから立坑への
    流入量を算出し、該流入量に基づいて排水ポンプの台数
    を定めるポンプ運用手段を備えた大深度地下排水施設。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の大深度地下排水施設に
    おいて、前記降雨情報は、雨量レーダの計測データに基
    づいて予測した降雨量データと雨量計により実測した降
    雨量データであることを特徴とする大深度地下排水施
    設。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載の大深度地下排水施設に
    おいて、前記ポンプ運用手段は、前記立坑への流入量の
    算出結果に基づいて、前記立坑からポンプ井に至る地下
    水路の流量と水位及びポンプ井への流入量と水位とを解
    析し、該解析結果に基づいて前記排水ポンプの運転シミ
    ュレーションを行って排水ポンプの運転台数、吐出量及
    び運転停止のタイミングを決めるとともに、該運転シミ
    ュレーション結果を前記地下水路の流量と水位の解析に
    フィードバックすることを特徴とする大深度地下排水施
    設。
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