JP2788767B2 - 吹き込み成形用ナイロン66樹脂組成物 - Google Patents

吹き込み成形用ナイロン66樹脂組成物

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JP2788767B2 JP24607689A JP24607689A JP2788767B2 JP 2788767 B2 JP2788767 B2 JP 2788767B2 JP 24607689 A JP24607689 A JP 24607689A JP 24607689 A JP24607689 A JP 24607689A JP 2788767 B2 JP2788767 B2 JP 2788767B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は吹き込み成形性と耐衝撃性とが改良されたナ
イロン66樹脂組成物に関するものであり,さらに詳しく
は吹き込み成形において重要な溶融粘度特性と結晶化特
性とが共に改良された,吹き込み成形性と耐衝撃性と耐
熱性とにすぐれたナイロン66樹脂組成物に関するもので
ある。
(従来の技術) ナイロン66はすぐれた機械的性質,特に靱性,耐疲労
性を有し,また耐熱性や耐薬品性も良好であるため,繊
維,フィルム,プラスチック成形品など多くの分野で利
用されている。しかしナイロン66の吹き込み成形性は必
ずしもすぐれているとはいえない。中でも大型成形品の
吹き込み成形性については従来よりも問題点が指摘され
てきた。
すなわち,第一にナイロン66は高温下でいったん溶融
すると,その溶融粘度は吹き込み成形を行うには低すぎ
る値であり,いわゆるパリソンのドローダウンが大きく
満足な成形品が得られないばかりか,吹き込み成形その
ものがきわめて困難である。そのためナイロン66の溶融
粘度を高める目的で様々な提案がこれまでになされてい
る。たとえば多官能性エポキシ化合物をナイロン66に添
加混合し加熱溶融する方法(特公昭48−7509号公報),
ナイロン66の重合時にトリメシン酸のジアミン酸を添加
し重合を行いナイロン66分子中に分岐鎖を導入する方法
(特公昭50−2790号公報,特公昭50−2791号公報,特公
昭50−3193号公報および特公昭50−104297号公報な
ど),エチレン系アイオノマー樹脂およびエチレン.酢
酸ビニル共重合体などを分岐ナイロン66に配合する方
法,エチレン系アイオノマーあるいはカルボキシ変性ニ
トリルゴムをナイロン66に配合する方法などが知られて
いる。しかしこれらの方法ではナイロン66の吹き込み成
形時の溶融粘度は上昇するものの,吹き込み成形時の改
良効果は必ずしも充分ではなかった。わずかにε−カプ
ロラクタムを共重合する方法が知られているが,この方
法ではナイロン66樹脂の最も大きな特徴である融点に代
表される耐熱性が低下するので好ましくない。
このような事情によりナイロン66樹脂はエンジニアリ
ングプラスチックとして様々なすぐれた特性を有してい
るにもかかわらず,上述したような問題点のために吹き
込み成形法はほとんど適用されていなかったのが実状で
ある。
(発明が解決しようとする課題) かかる事情に鑑み,本発明の目的は吹き込み成形性が
改良され,かつ耐熱性と耐衝撃性とにすぐれたナイロン
66樹脂組成物を得ることにある。
また本発明の他の目的は,かかる吹き込み成形性の改
良されたナイロン66樹脂組成物を用いて耐熱性と耐衝撃
性にすぐれ,幅広い分野で使用し得る有用な吹き込み成
形品を得ることにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者はかかる目的で鋭意研究を重ねた結果,
(A)ナイロン66樹脂と,(B)非晶性ナイロンと,
(C)変性ポリレオフィンとからなり,特定の溶融粘度
と特定の過冷却度とを有する樹脂組成物が本発明の目的
をことごとく満足し,しかもナイロン66樹脂のすぐれた
耐熱性を全く損なうことがないという驚くべき効果を見
いだし,本発明に到達したものである。
すなわち本発明は,(A)ナイロン66樹脂30〜98重量
%と,(B)ガラス転移温度が100℃以上である非晶性
ナイロン1〜50重量%と,(C)カルボン酸基,カルボ
ン酸金属塩基,酸無水物基,エステル基およびエポキシ
基よりなる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有
する変性ポリオレフィン1〜50重量%とからなり,280℃
における溶融粘度が式〔I〕および〔II〕を満足し,か
つ降温結晶化時の過冷却度が式〔III〕を満足する吹き
込み成形用ナイロン66樹脂組成物 ここで▲η10 280▼は温度280℃,剪断速度10sec-1
おける溶融粘度を示し,▲η100 280▼は温度280℃,剪
断速度100sec-1における溶融粘度を示す。△Tは結晶の
溶解温度Tmと,降温速度20℃/分で冷却したときの降温
結晶化温度Tccとの差で定義される過冷却度Tm−Tccで表
わされる樹脂組成物に関するものである。
本発明の樹脂組成物の溶融粘度は,JIS K7210の参考試
験として記載されている方法,すなわち,高化式フロー
テスターを用いて測定することができる。その場合,ノ
ズル径は一般に0.6mmと1mmとが用いられ,ノズル長さは
一般に2mmあるいは10mmが用いられる。吹き込み成形に
おいて被成形体が受ける剪断速度は比較的低く,10sec-1
から100sec-1の程度である。したがって吹き込み成形に
おいては,10sec-1から100sec-1剪断速度における溶融粘
度が重要である。
本発明の樹脂組成物において式〔I〕および〔II〕を
満足する溶融粘度を有するものは最もすぐれた吹き込み
成形を示す。結晶の融解温度Tmは,樹脂組成物を示差熱
分析計を用いて昇温速度20℃/分で昇温した時の結晶の
融解ピークの温度で定義される。また降温結晶化温度Tc
cは,樹脂組成物をいったん280℃で溶解させたのち降温
速度20℃/分で冷却したときの降温結晶化ピークの温度
で定義される。
本発明において用いられるナイロン66樹脂とは,ヘキ
サメチレンジアミンとアジピン酸およびそれらの機能誘
導体からなるポリアミドをおもな構成単位とするもので
あるが,このアジピン酸成分またはヘキサメチレンジア
ミン成分の一部を他の共重合成分で置き換えたものでも
よい。共重合成分は特に制限がなく,公知のアミド基形
成成分を用いることができる。
共重合成分の代表例として,6−アミノカプロン酸,11
−アミノウンデカン酸,12−アミノドデカン酸,パラア
ミノメチル安息香酸などのアミノ酸,ε−カプロラクタ
ム,ω−ラウリルラクタムなどのラクタム,テトラメチ
レンジアミン,ウンデカメチレンジアミン,ドデカメチ
レンジアミン,2,2,4−/2,4,4,−トリメチルヘキサメチ
レンジアミン,5−メチルノナメチレンジアミン,メタキ
シリレンジアミン,パラキシリレンジアミン,1,3−ビス
(アミノメチル)シクロヘキサン,1,4−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン,1−アミノ−3−アミノメチル−
3,5,5−トリメチルシクロヘキサン,ビス(4−アミノ
シクロヘキシル)メタン,ビス(3−メチル−4−アミ
ノシクロヘキシル)メタン,2,2−ビス(4−アミノシク
ロヘキシル)プロパン,ビス(アミノプロピル)ピペラ
ジン,ビス(アミノエチル)ピペラジンなどのジアミン
と,スベリン酸,アゼライン酸,セバシン酸,ドデカン
二酸,テレフタル酸,イソフタル酸,2−クロロテレフタ
ル酸,2−メチルテレフタル酸,5−メチルイソフタル酸,5
−ナトリウムスルホイソフタル酸,ヘキサヒドロテレフ
タル酸,ヘキサヒドロイソフタル酸,シグリコール酸な
どのジカルボン酸などをあげることができる。
本発明で用いられるナイロン66樹脂の製造方法は任意
である。たとえば溶融重合,界面重合,溶液重合,塊状
重合およびこれらを組み合わせた方法が適用されるが,
溶融重合が最も一般的である。
本発明で用いられるナイロン66樹脂の重合度について
は特に制限はないが,相対粘度を96%硫酸を用い,濃度
1g/dl,25℃で測定したとき1.5〜5.5さらには2.0〜4.5の
範囲にあるナイロン66樹脂が好ましい。相対粘度5.5を
越えると組成物の流動性が悪くなるだけでなく,その機
械的,熱的性質のばらつきが大きくなるので好ましくな
い。相対粘度が1.5よりも低いと組成物の機械的強度が
低くなるという欠点が生じる。ナイロン66樹脂の配合量
が30重量%未満の場合には樹脂組成物の耐熱性が大きく
低下するので好ましくない。
本発明でいう非晶性ナイロンとは示差熱分析計を用い
て20℃/分の昇温速度で測定したとき,1cal/g以上の結
晶融解熱を示さないナイロンをいう。
本発明で用いられる非晶性ナイロンは,絶乾状態でガ
ラス転移温度が100℃以上にあるものである。ガラス移
温度は同じく示差熱分析計を用いて20℃/分の昇温速度
で測定することにより求めることができる。ガラス転移
温度が100℃未満の非晶性ナイロンでは樹脂組成物の結
晶化抑制効果が少なく好ましくない。
本発明で用いられる非晶性ナイロンを構成するジアミ
ンの代表例としては,テトラメチレンジアミン,ヘキサ
メチレンジアミン,ウンデカメチレンジアミン,ドデカ
メチレンジアミン,2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミン,5−メチルノナメチレンジアミン,メチ
キシリレンジアミン,パラキシリレンジアミン,1,3−ビ
ス(アミノメチル)シクロヘキサン,1,4−ビス(アミノ
メチル)シクロヘキサン,ビス(4−アミノシクロヘキ
シル)メタン,1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5,−
トリメチルシクロヘキサン,ビス(3メチル−4−アミ
ノシクロエキシル)メタン,2,2,−ビス(4−アミノシ
クロヘキシル)プロパン,ビス(アミノプロピル)ピペ
ラジン,ビス(アミノエチル)ピペラジンなどがある。
本発明で用いられる非晶性ナイロンを構成するジカル
ボン酸の代表例としては,アジピン酸,スベリン酸,ア
ゼライン酸,セバシン酸,ドデカン二酸,テレフタル
酸,イソフタル酸,2−クロロテレフタル酸,2−メチルテ
レフタル酸,5−メチルイソフタル酸,5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸,ヘキサヒドロテレフタル酸,ヘキサヒ
ドロイソフタル酸,ジグリコール酸などをあげることが
できる。
本発明で用いられる非晶性ナイロンを構成するアミノ
酸およびラクタムの代表例としては,6−アミノカプロン
酸,11−アミノウンデカン酸,12−アミノドデカン酸,パ
ラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸,ε−カプロラ
クタム,ω−ラウリルラクタムなどのラクタムを挙げる
ことができる。
本発明に用いる最も好適な非晶性ナイロンの具体例と
しては,2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミン・テレフタル酸/および/またはイソフタル酸の重
縮合物,ヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸および
イソフタル酸の重縮合物,ヘキサメチレンジアミン・ビ
ス(4−アミノシクロヘキシル)メタン・テレフタル酸
および/またはイソフタル酸の重縮合物,ヘキサメチレ
ンジアミン・ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキ
シル)メタン・テレフタル酸および/またはイソフタル
酸の重縮合物,ε−カプロラクタム・ビス(4−アミノ
シクロヘキシル)メタン・テレフタル酸および/または
イソフタル酸の重縮合物,ε−カプロラクタム・ビス
(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン・テ
レフタル酸および/またはイソフタル酸の重縮合物,ω
−ラウリルラクタム・ビス(4−アミノシクロヘキシ
ル)メタン・テレフタル酸および/またはイソフタル酸
の重縮合物,ω−ラウリルラクタム・ビス(3−メチル
−4−アミノシクロヘキシル)メタン・テレフタル酸お
よび/またはイソフタル酸の重縮合物が挙げられる。
非晶性ナイロンは,本発明の樹脂組成物において溶融
粘度の上昇効果とその結晶化素度を抑制する効果とを発
揮する。しかし,その配合量が1重量%未満では結晶化
抑制効果は顕著でない。逆にその配合量が50重量%を越
える場合には樹脂組成物の結晶性の低下が著しくなり,
それと共に耐熱性も低下するので好ましくない。
本発明に用いられる変性ポリオレフィンとはカルボン
酸基,カルボン酸金属塩基,酸無水物基,エステル基お
よびエポキシ基よりなる群から選ばれた少なくとも1種
の官能基を有する変性ポリオレフィンである。
本発明に用いられる変性ポリオレフィンの具体例とし
ては,エチレン・アクリル酸共重合体,エチレン・メタ
クリル酸共重合体,エチレン・フマル共重合体,エチレ
ン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体,エチルレ
ン・無水マレイン酸共重合,スチレン・無水マレイン酸
共重合体,エチレン・プロピレン・無水マレイン酸共重
合体,エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体,
エチレン・酢酸ビニル・グリシジルメタクリレート共重
合体などに代表されるところの,オレフィン系単量体と
カルボン酸基,カルボン酸金属塩基(カルボン酸金属塩
基を含む変性ポリオレフィンはカルボン酸基を含む粘性
ポリオレフィンとNaOHやKOHに代表されるアルカリとを
反応させることにより得ることができる。),酸無水物
基,エステル基およびエポキシ基を有するるビニル系単
量体との共重合がある。
さらに,エチレン−g−無水マレイン酸共重合体は
(gはグラフトを表わす。以下同じ。),エチレン・プ
ロピレン−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン・プ
ロピレン−g−アクリル酸共重合体,エチレン・1−ブ
テン−g−フマル酸共重合体,エチレン・1−ヘキセン
−g−イタコン酸共重合体,エチレン・プロピレン・1,
4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体,エチ
レン・プロピレン・ジシクロペンタジエン−g−フマル
酸共重合体,エチルン・プロピレン・5−エチリデン−
ノルボルネン−g−無水マレイン酸共重合体,エチレン
・酢酸ビニル−g−アクリル酸共重合体,スチレン・ブ
タジエン−g−無水マレイン酸共重合体およびこれらの
誘導体などに代表されるところの,ポリオレフィンにカ
ルボン酸基または酸無水物基を有するビニル系単量体を
グラフトした変性ポリオレフィンが挙げられる。
変性ポリオレフィンは通常公知の方法で製造すること
ができる。たとえば特公昭59−8299号公報,特公昭56−
9925号公報などに示された方法で製造することができ
る。変性ポリオレフィンは本発明の樹脂組成物の溶融粘
度上昇させ,調製する作用をなす。その配合量が1重量
%未満の場合には樹脂組成物において溶融粘度の顕著な
上昇がみられず,吹き込み成形時のドローダウンが大き
い。逆にその配合量が50重量%を越える場合には,樹脂
組成物の耐熱性の低下が大きくなる。
本発明の樹脂組成物において,ナイロン66樹脂の配合
量は30〜98重量%である。
本発明の樹脂組成物において,変性ポリオレフィンの
配合量は1〜50重量%である。
本発明の樹脂組成物においてはその特性を大きく損な
わない限り,必要に応じて他の重合体を配合してもよ
い。この場合その配合量は30重量%以下であることが望
ましい。かかる他の重合体としては,ポリカーボネー
ト,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフ
タレート,ポリアリレート,ポリカプロラクトン,ポリ
スルホン,ポリエーテルスルホン,ポリエーテルケト
ン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリエーテルイミ
ド,ナイロン6,ナイロン46,ナイロン11,ナイロン12,ナ
イロン610,ポリフェニレンオキシド,ポリフェニレンス
ルフィド,ABS,PMMA,ポリプロピレン,ポリエチレン,フ
ェノキシ樹脂,液晶ポリマーなどがある。
さらに,本発明の樹脂組成物にはその成形性および物
性を損なわない限りにおいて,顔料,熱安定剤,酸化防
止剤,耐候剤,難燃剤,可塑剤,離型剤,強化材などを
添加することが可能である。強化材としてはガラス繊
維,金属繊維,チタン酸カリウムウイスカー,炭素繊
維,アラミド繊維などのような繊維状強化材,タルク,
炭酸カルシウム,マイカ,ガラスフレーク,金属フレー
クのようなフィラー系補強材がある。特に直径が3〜20
μmのガラス繊維は樹脂組成物の溶融粘度を安定化し,
その強度,弾性率,耐熱性がさらに向上するので好まし
い。
(実施例) 実施例および比較例における測定方法,使用原料は以
下の通りである。
溶融粘度 測定器 :高化式フローテスター(島津製作所製,CFT
−500A) ノズル :直径0.5mm,長さ2mm 温 度 :280℃ 剪断速度:荷重を変化させることにより剪断速度を広
い範囲に調節した。
溶融粘度:剪断速度と溶融粘度とをプロットし,剪断
速度が10sec-1と100sec-1における溶融粘度を求めた。
過冷却度 測定器 :パーキンエルマー社製,DSC−2C型示差熱分
析計 条 件 :昇温,降温速度20℃/分 アイゾット衝撃速度 ASTM D256,ノッチ付,試験片厚み3.2mm 熱変形温度 ASTM D648,荷重4.6Kg/cm2 吹き込み成形品の耐衝撃性 吹き込み成形して得た内容積1リットル,平均肉厚約
1.5mmの容器に水を充填し,口部を密栓して底が下方に
向けて2.5mの高さから水平なコンクリート床面に繰り返
し落下させ,容器の破損に至るまでの落下回数を調べ
た。この試験は一定条件で成形した容器5個について行
い,その破損に至るまでの平均落下回数で評価した。
吹き込み成形品の耐熱性 同じ容器を用い,空のまま容器の口部を支持して容器
を水平に保持し,250℃の熱風恒温槽中に1時間処理した
後の容器の変形の度合をもって耐熱性を評価した。
使用原料 ナイロン66:ICI社製,A125,相対粘度3.0 非晶性ナイロン PA−1:参考例,ガラス転移温度150℃ トロガミドT:ダイナマイトノーベル社製,ガラス転移
温度148℃,2,2,4−/2,4,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミン・テレフタル酸重縮合物 X−21:三菱化成社製,ガラス転移温度125℃ ヘキサメチレンジアミン・テレフタル酸・イソフタル酸
重縮合物 TR55:EMS社製,ガラス転移温度152℃, ω−ラウリルラクタム・ビス(3−メチル−4−アミノ
シクロヘキシル)メタン・イソフタル酸の重縮合物 変性ポリオレフィン タフマーMC206:三井石油化学社製,エチレン・α−オ
レフィン・無水マレイン酸共重合体 ボンダインAX8390:住友化学社製,エチレン・エチル
アクリレート・無水マレイン酸共重合体 サーリン1650:三井ポリケミカル社製,エチレン・メ
タクリル酸共重合体のZn塩 参考例:非晶性ナイロン イソフタル酸45モル%,テレフタル酸5モル%,ヘキ
サメチレンジアミン45モル%,ビス(4−アミノ−3−
メチルシクロヘキシル)メタン5モル%の割合の原料10
Kgを8Kgの純水とともに反応槽に仕込み,窒素で数回反
応槽内の空気をパージした。温度を90℃まで上昇させ約
5時間反応させたのち,加圧下(18バール)に槽内を撹
拌しつつ,反応温度を徐々に10時間かけて280℃まで上
昇させた。
ついで放圧し大気圧まで圧力が下げたのちに同じ温度
で6時間重合を行った。反応終了後ポリマーを反応槽か
ら払い出して切断しペレットを得た。この共重合ナイロ
ンは融点を示さず,そのガラス転移温度は150℃であっ
た。この非晶性ナイロンをPA−1とする。
実施例1〜4,比較例1,2 表1に示した配合比でそれぞれの原料をタンブラーで
混合した後,90℃で16時間真空乾燥を行った。ついで2
軸押出機(池貝鉄工社製,PCM45)を用いて280℃で溶融
混練し,これを切断してナイロン66樹脂組成物のペレッ
トを得た。このペレットを射出成形機(日鋼社製J100
S)によって280℃で成形しテストピースを得た。テスト
ピースは各種物性測定に供した。また得られたペレット
を用いて吹き込み成形機(日鋼社製65mm吹き込み成形
機)により内容積1リットル,平均肉厚1.5mmの容器を2
80℃のシリンダー温度でダイレクトブローにより成形し
測定に供した。実例例1〜4は問題なく吹き込み成形が
できた。比較例1はドローダウンが大きく連続して安定
的に吹き込み成形ができず肉厚変動の大きい容器しか得
られなかった。比較例2ではドローダウンは比較的少な
かったがパリソンの固化が速く,表面が荒れたものや空
気の吹き込みが不完全となった物が多かった。
テストピースおよび吹き込み成形品によるによる樹脂
組成物の性能評価を表1に掲げた。表1に具体的に示し
たように,本発明のナイロン66樹脂組成物は改良された
吹き込み成形性とすぐれた耐熱性と耐衝撃性とをあわせ
持っている。
実例例5〜10 実施例1〜4と全く同様にして表2に掲げた組成でナ
イロン66樹脂組成物のペレットを得て,これを用いてテ
ストピースおよび吹き込み成形品を成形した。それらの
性能評価の結果を表2に掲げた。いずれもすぐれた吹き
込み成形性,耐熱性,耐衝撃性をあわせ持っている。
(発明の効果) 本発明のナイロン66樹脂組成物は,(A)ナイロン66
樹脂と,(B)非晶性ナイロンと,(C)変性ポリオレ
フィンとからなり,特定の溶融粘度の特定の過冷却度と
を有することにより,ナイロン66の吹き込み成形性が顕
著に改良され,しかもナイロン66樹脂のすぐれた耐熱性
を全く損なうことがない。その上耐衝撃性も著しく向上
しているという驚くべき効果を有している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 77/00 - 77/12 C08L 23/26 - 23/36 B29C 49/00 - 49/80

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ナイロン66樹脂30〜98重量%と,
    (B)ガラス転移温度が100℃以上である非晶性ナイロ
    ン1〜50重量%と,(C)カルボン酸基,カルボン酸金
    属塩基,酸無水物基,エステル基およびエポキシ基より
    なる群から選ばれた少なくとも1種の官能基を有する変
    性ボリオレフィン1〜50重量%とからなり,280℃におけ
    る溶融粘度が式〔I〕および〔II〕を満足し,かつ降温
    結晶化時の過冷却度が式〔III〕を満足する吹き込み成
    形用ナイロン66樹脂組成物。 ここで▲η10 280▼は温度280℃,剪断速度10sec-1にお
    ける溶融粘度を示し,▲η100 280▼は温度280℃,剪断
    速度100sec-1における溶融粘度を示す。△Tは結晶の溶
    解温度Tmと,降温速度20℃/分で冷却したときの降温結
    晶化温度Tccとの差で定義される過冷却度Tm−Tccを表わ
    す。
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