JP2788592B2 - パイロット弁 - Google Patents

パイロット弁

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JP2788592B2 JP20338693A JP20338693A JP2788592B2 JP 2788592 B2 JP2788592 B2 JP 2788592B2 JP 20338693 A JP20338693 A JP 20338693A JP 20338693 A JP20338693 A JP 20338693A JP 2788592 B2 JP2788592 B2 JP 2788592B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、農機、建機等の作業機
における油圧作業装置の操作手段として好適なパイロッ
ト弁に係り、詳しくは、中立排油位置に復帰付勢されて
いるスプールの移動によるバランス作動によって制御弁
操作用のパイロット圧を発生する給排弁機構の対を備
え、これら各給排弁機構のスプールを操作体で背反的に
移動操作するように構成されたパイロット弁に関する。
【0002】
【従来の技術】この種のパイロット弁としては、例え
ば、実開平3−17386号公報に示された十字操作式
のものが一般的に良く知られている。つまり、弁ケース
の底面部に制御弁へ配管するための配管接続ポートを設
け、この接続ポートとケース内部に上下配置で形成され
たポンプ圧室とタンク圧室とに亘るスプールを上下摺動
移動させることでパイロット圧を発生させるものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】多数の部品が組み込ま
れる弁ケースは、その構造上高い精度が必要な加工部分
が多く、かつ、十分な支持強度が要求されるので、通常
は鋳物で構成されるようになる。そして、タンク圧室や
ポンプ圧室といった外部への連通路が狭くて奥拡がり状
の内部空間を有する形状のため、砂型を用いての鋳造と
なる。パイロット弁では、前記公報の図面でも示される
ように、操作レバーで押込み操作されるプッシュロッド
の摺動用孔が弁ケースの上部に開口配置され、その摺動
用孔にタンク圧室が連通する状態でケース内部に形成さ
れるから、タンク圧室形成用の中子は、比較的大径のプ
ッシュロッド摺動用孔から容易に抜き取ることができ
る。
【0004】これに対して、ポンプ圧室には小径のスプ
ール摺動用孔が上側のタンク圧室と下側の給排ポートに
連通するのみであり、その小径のスプール摺動用孔から
中子を抜き出さねばならないため、十分な砂抜き出しに
時間が掛かり、型抜出しの作業性に劣る面があった。
又、ポンプ圧室には高圧が作用する所であって確実な品
質を保証するべくポンプ圧室内面を研磨したい考えもあ
るが、その細いスプール摺動用孔のためにサンドブラス
ト処理を施すことが不可であり、ポンプ圧室の仕上げ工
程には改善の余地があった。本発明の目的は、弁ケース
の肥大化や加工方法の一部変更といったパイロット弁の
レイアウトに悪影響を与えることなく、ポンプ圧室の中
子を抜き易くできるように工夫する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成のために
本発明は、ポンプポートと給排ポートとを開通する供給
位置と、タンクポートと給排ポートとを開通する排油位
置との間で往復移動自在なスプールと、このスプールを
排油位置に復帰付勢させるための復帰バネと、この復帰
バネの付勢力に抗してスプールを供給位置に向けて押圧
移動するための押圧体とで成る給排弁機構の対を備える
とともに、これら各給排弁機構のスプールを背反的に移
動操作する操作体を備えてあるパイロット弁において、
押圧体に、スプールに外装される状態の復帰バネを囲繞
する中空円筒状のスカート部を備え、スカート部を摺動
自在に支持する摺動用穴部を外部に連通する状態で形成
してある弁ケース内に、タンクポートに連通したタンク
圧室を摺動穴部に連通する状態で形成するとともに、タ
ンク圧室にスプール摺動用穴部を介して連通される状態
でポンプポートに連通したポンプ圧室を弁ケース内に形
成し、弁ケースにおける摺動用穴部と反対側の配管装着
側端に、給排ポートに連通した油圧配管取付け部を形成
するとともに、これら油圧配管取付け部間の弁ケース
に、ポンプ圧室と外部とを連通する中子取出し用の抜き
孔を形成し、この抜き孔を着脱自在なプラグで閉塞封止
してあることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】図1、図6、図8を参照して説明すると、タン
ク圧室6はスプール12に比べて大径なスカート部11
b摺動用孔1eを介して外部に連通しており、中子を取
出し易い。又、このタンク圧室6よりも下方の内部空間
であるポンプ圧室5には、小径のスプール12摺動用孔
1dを介して比較的大径の給排ポート7,8から外部に
連通している。弁ケース1の底面における給排ポート
7,8間には、給排弁機構3,4の並設配置構造上から
ある程度の間隔があり、その部分にポンプ圧室5に連通
する抜き孔19を形成してあるので、この抜き孔19は
ポンプ圧室5の中央部分に連通し、砂残りなく良好に中
子を取出せるようになる。そして、プラグ20で抜き孔
19を閉塞封止することで機能上の問題をなくせる。
【0007】抜き孔は比較的大径であってここからのサ
ンドブラスト処理が可能になり、凹凸のあるポンプ圧室
表面の鋳肌を円滑化して、バリが出るのを防止するとと
もに高圧の作用する部分の仕上げ精度向上に寄与できる
ようになる。又、ポンプ圧室に溜まった異物の抜き出し
口として、或いは、弁内の油のドレン路として抜き孔を
利用できるとともに、何らかの原因でポンプポートが使
えなくなった場合の非常用ポンプポートとして利用する
ことも可能である。
【0008】
【発明の効果】従って、一対の給排ポート間にポンプ圧
室に対する抜き孔を閉塞自在な状態で設ける工夫によ
り、鋳造成形能率や品質の向上に寄与するとともに、弁
内部の掃除用孔として、或いは非常時の臨時ポンプポー
トとして利用できる等、種々の利点を持つパイロット弁
が提供できた。
【0009】
【実施例】以下に、本発明の実施例をバックホウのパイ
ロット弁について図面に基づいて説明する。図1、図2
にブーム用制御弁V1 とバケット用制御弁V2 とを切換
操作する十字操作式のパイロット弁Aが示され、1は弁
ケース、2は操作レバー、3はブーム用の第1給排弁機
構、4はバケット用の第2給排弁機構、5はポンプ圧
室、6はタンク圧室、7はブーム用の給排ポート、8は
バケット用の給排ポート、9はポンプポート、10はタ
ンクポートである。参考に、このパイロット弁Aの油圧
回路中でのシンボル記号を図3に示しておく。
【0010】操作レバー(操作体に相当)2は、弁ケー
ス1に螺着される基部2aと、これに自在継手構造で連
結された作動部2bと、円板状の操作部2cと、連結筒
2dと、レバー部2eとで構成されており、レバー部2
eを握っての十字揺動操作自在である。尚、図面理解
上、図1は一対の第1給排弁機構3,3の片方を第2給
排弁機構4に置き換えて描いてある。
【0011】第1及び第2給排弁機構3,4は共に同構
造であり、プッシュロッド(押圧体に相当)11と、ス
プール12と、上側の第1バネ受け13と、下側の第2
バネ受け14と、プッシュロッド復帰用の第1巻きバネ
(復帰バネに相当)15と、パイロット圧調整用のバラ
ンスバネである第2巻きバネ16とで構成され、プラグ
17による抜け止め状態で弁ケース1に内装されてい
る。尚、計4個のプラグ17は、基部2aによって弁ケ
ース1上面に固定装着される蓋プレート18で抜止めさ
れている。
【0012】プッシュロッド11は、操作部2cで押圧
操作されるロッド部11aと弁ケース1に摺動自在に支
持される中空円筒状のスカート部11bとを一体形成し
て構成され、プラグ17とロッド部11aとによる摺動
部と、スカート部11bと弁ケース1のスカート摺動用
穴部1eとによる摺動部との双方によって円滑に上下摺
動自在である。ロッド部11aの下端部に形成された抜
き孔11cは、プッシュロッド11とプラグ17との間
に形成される空隙への油の流通路であり、第1巻きバネ
15によるプッシュロッド11の良好な戻り作動、及び
下方への軽快な押込み操作に寄与する。
【0013】スプール12の下部には、下端面12aと
軸途中に形成されたランド部12cとを連通する連通孔
12bとが形成され、上部にはプッシュロッド11に摺
動自在に内嵌される摺動部12dと、第1バネ受け13
を装着するための小径の座金嵌合軸部分12eとが形成
され、中間部には第2バネ受け14受止め用段差を形成
するための中径軸部分12fが形成されている。
【0014】図2に示すように、弁ケース1の底面部1
aには、ブーム用の一対の給排ポート7,7とバケット
用の一対の給排ポート8,8との4箇所の給排ポートが
正方形を形作るよう周状に配置され、両サイドにポンプ
ポート9及びタンクポート10が配置され、各ポートに
は配管を接続するための加工面である座面(油圧配管取
付け部に相当)Zが形成されている。ポンプポート9と
偏平形状のポンプ圧室5とは、図6に示すように、ポン
プ圧室5の横側面に連通する屈曲した供給路22を介し
て連通接続され、タンクポート10とタンク圧室6と
は、図7に示すように、タンク圧室6の横側面に連通す
る屈曲した排出路23を介して連通接続され、この排出
路23はポンプ圧室5の外側を迂回して形成されてい
る。そして、ケース底面部1aとポンプ圧室5とに亘る
抜き孔19が、4箇所の給排ポート7,7,8,8に対
する中心部に形成され、砂型鋳造によるポンプ圧室5部
分の中子を該ポンプ圧室5の中央部から効率良く取出せ
るようにしてあるとともに、中子を取出した後に、プラ
グ20で抜き孔19を閉塞封止してある。
【0015】例えば、抜き孔19の代わりにポンプポー
ト9を設けて、専用の抜き孔なしで良好にポンプ圧室5
の中子を取出す兼用手段が考えられるが、このパイロッ
ト弁Aにおける給排弁機構3,4どうしの横方向間隔
と、座面Zの径との関係による寸法上、前記兼用手段を
採ることが不可である。そこで、その兼用手段を採るべ
く給排弁機構3,4どうしの横方向間隔を広げると、今
度はパイロット弁全体が不必要に肥大化してしまうので
あり、結局、専用の抜き孔19を設けるのが得策であ
る。
【0016】このパイロット弁Aの概略作用を第1給排
弁機構3で説明すると、図1に示す自由状態では、ラン
ド部12cがタンク圧室6に面し、かつ、スプール12
下端が給排ポート7に夫々面して、給排ポート7とタン
クポート10とが開通した排油位置にあり、このとき制
御弁V1 は中立状態である。操作レバー2を傾倒してプ
ッシュロッド11を第1巻きバネ15に抗して押込む
と、第2巻きバネ16を介してスプール12も下方に摺
動移動し、ランド部12cのタンク圧室6への露出部分
が減って排油面積が次第に小さくなり、所定ストローク
されるとランド部12cが弁ケース1の支承部分1dで
囲繞された油路閉塞状態になる。
【0017】引続き操作レバー2を傾倒すると、第2巻
きバネ16を介してさらにスプール12が下方に摺動
し、ランド部12cがポンプ圧室5に面し、給排ポート
7とポンプポート9とが開通した供給位置になって、パ
イロット圧がブーム用制御弁V 1 に供給されるようにな
る。このとき、図5に示すように、ランド部12cの段
部12gとスプール下端面12aとの面積差によってス
プール12を押上げようとする力が発生し、その押上げ
力とそれによって圧縮された第2巻きバネ16の弾性力
とがバランスする所までスプール12を押上げるように
なる。つまり、操作レバー2によるプッシュロッド11
の押下げ量に応じて第2巻きバネ16が圧縮され、その
弾性力によるスプール押下げ力と面積差による前記押上
げ力とがバランスする位置でスプール12が停止するの
である。従って、操作レバー2の傾倒角を増すに連れ
て、すなわちプッシュロッド11の押下げ量が増すに連
れて第2巻きバネ16の圧縮量も増え、レバー操作量に
応じたパイロット圧を発生できるのである。
【0018】図4に示すように、操作レバー2を前後方
向に揺動すると第1給排弁機構3が、左右方向に揺動す
ると第2給排弁機構4が操作されるのであるが、前後方
向に比べて左右方向に手首が移動し難いことや、バケッ
ト用制御弁V2 の開度をブーム用制御弁V1 の開度より
も少なくすることから、スプール12の最大移動量を第
1給排弁機構3と第2給排弁機構4とで異ならせてあ
る。同一の制御弁を用いながらその最大開度を絞る目的
のために、スプール12の最大移動量を規制する場合で
も有効である。
【0019】すなわち、図1に示すように、プッシュロ
ッド11の最大押込み量は、スカート部11b下端(押
圧体先端に相当)と弁ケース1の第1及び第2段差部
(押圧体接当面に相当)1b,1cとの接当によって決
定してあるが、第2給排弁機構4での第2段差部1cの
高さを第1段差部1bより距離dだけ高くしてあり、そ
の結果、第1給排弁機構3のプッシュロッド最大移動量
1 が9.2mm であるに対し、第2給排弁機構4のプッシ
ュロッド最大移動量D2 が7.0mm に設定されている。こ
れにより、操作レバー2の前後方向の操作ストロークは
左右方向の操作ストロークよりも若干大きくなる。
【0020】〔別実施例〕本発明は、ON−OFFの2
位置切換型パイロット弁に適用可能であり、又、一対の
給排弁機構3,3のみを備えた一字操作式のパイロット
弁Aに適用しても良い。
【0021】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】パイロット弁の展開断面図
【図2】パイロット弁の底面図
【図3】パイロット弁のシンボルマークを示す記号図
【図4】操作レバーの操作形態を示す平面図
【図5】パイロット圧供給状態におけるスプール下部付
近を示す拡大断面図
【図6】ポンプポートとポンプ圧室との連通構造を示す
断面図
【図7】タンクポートとタンク圧室との連通構造を示す
断面図
【図8】弁室の形状を示す弁ケースの断面図
【符号の説明】
1 弁ケース 1e スカート摺動用穴部 1d スプール摺動用穴部 2 操作体 3 給排弁機構 5 ポンプ圧室 6 タンク圧室 7 給排ポート 9 ポンプポート 10 タンクポート 11 押圧体 11b スカート部 12 スプール 15 復帰バネ 19 抜き孔 20 プラグ Z 油圧配管取付け部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16K 27/00 F16K 3/24 F16K 31/44

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポンプポート(9)と給排ポート(7)
    とを開通する供給位置と、タンクポート(10)と前記
    給排ポート(7)とを開通する排油位置との間で往復移
    動自在なスプール(12)と、このスプール(12)を
    前記排油位置に復帰付勢させるための復帰バネ(15)
    と、この復帰バネ(15)の付勢力に抗して前記スプー
    ル(12)を前記供給位置に向けて押圧移動するための
    押圧体(11)とで成る給排弁機構(3)の対を備える
    とともに、これら各給排弁機構(3),(3)の前記ス
    プール(12)を背反的に移動操作する操作体(2)を
    備えてあるパイロット弁であって、 前記押圧体(11)に、前記スプール(12)に外装さ
    れる状態の前記復帰バネ(15)を囲繞する中空円筒状
    のスカート部(11b)を備え、該スカート部(11
    b)を摺動自在に支持するスカート摺動用穴部(1e)
    を外部に連通する状態で形成してある弁ケース(1)内
    に、前記タンクポート(10)に連通したタンク圧室
    (6)を前記スカート摺動用穴部(1e)に連通する状
    態で形成するとともに、該タンク圧室(6)にスプール
    摺動用穴部(1d)を介して連通される状態で前記ポン
    プポート(9)に連通したポンプ圧室(5)を前記弁ケ
    ース(1)内に形成し、 前記弁ケース(1)における前記スカート摺動用穴部
    (1e)と反対側の配管装着側端に、前記給排ポート
    (7),(7)に油圧配管取付け部(Z),(Z)を形
    成するとともに、これら油圧配管取付け部(Z),
    (Z)間の弁ケース(1)に、前記ポンプ圧室(5)と
    外部とを連通する中子取出し用の抜き孔(19)を形成
    し、この抜き孔(19)を着脱自在なプラグ(20)で
    閉塞封止してあるパイロット弁。
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