JP2781650B2 - 結晶化ガラス - Google Patents

結晶化ガラス

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JP2781650B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は結晶化ガラスに関し、特に人工建材として適
用するのに好都合な結晶化ガラスに関する。
〔従来の技術〕
従来、大理石は外観の美しさのための建築構造用材料
として多く用いられている。しかしながら、このような
大理石は元来、産出地域や産出量が限られ非常に高価な
ものとなっている。このため、CaO−Al2O3−SiO2系の限
定された組成でβ−ウオルステナイト(SiO2・CaO)の
結晶を析出するガラスが人工大理石として商品化されて
いる。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかし、β−ウオルステナイト系の人工大理石は高温
強度が低い欠点をもっている。本来、大理石の特徴はそ
の優れた美観と共に、防火や防炎性能に優れていること
があげられている。β−ウオルステナイト系の人工大理
石は高温強度が低いため800℃前後の熱を受けると軟化
変形する危険性があり、火災時の取付部の弱化により脱
落する可能性がある。
本発明は従来の上述の欠点を解消し、天然大理石と同
等の美観を有し、かつ、高温強度の優れた結晶化ガラス
を提供しようとするものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明はSiO2:50wt%以上、Al2O3:10〜20wt%、CaO:5
〜15wt%、残部がZnO,BaO,Na2O及びK2Oからなる群のう
ちの少なくとも1種よりなる組成物を溶融してなるガラ
ス質物質を、結晶化条件で熱処理してアノルソサイト
(CaO・Al2O3・2SiO2)単相又はアノルソサイト相を主
体とする同相とβ−ウオルステナイト(CaO・SiO2)相
との複合相を析出させて結晶化ガラスである。
本発明の結晶化ガラスは、先ず上記成分を配合した原
料を溶融して均一化した後、急冷してフレーク状あるい
は粒状の非晶質材とすることより始まる。この非晶質材
は、昇温時900℃前後で前記結晶を析出すると共に、徐
々に、溶融が始まり、粘土が低くなってくる特性をもっ
ている。また、完全溶融した後の降温時は、TiO2やZrO2
等のような核生成剤を添加していないため、結晶が析出
しにくい特性をもっている。
従って、本発明では、前記非晶質材を棚板上の所定の
枠内に充填した後、温度を上げる。この時、900℃前後
で、結晶が析出するため、透明から不透明に変わる。こ
の後、更に温度を上げることにより軟化が進み、粒子間
の隙間が埋っていく。この温度が約1150℃である。この
後、冷却して結晶層を有する人工大理石を得るが、冷却
時、急冷すると結晶の成長が遅くなり良好な美観を呈す
るものが得られない。また熱歪による割れも生じやすく
なるため、900℃前後までは50℃/hr程度で除冷する。こ
の後は人工大理石に割れを生じない程度に冷却(約100
℃/hr以下)して人工大理石を得る。
〔作用〕
本発明における原料は、SiO2,Al2O3,CaO等のガラス原
料を適当な割合で調合し、これを高温のガラス窯等で一
旦溶融しフリット化することにより均一化し、これを急
冷して非晶質化したものである。このガラス原料の主成
分(50wt%以上)はSiO2であるが、これにAl2O3 10〜20
wt%、CaO 5〜15wt%を化合させて、本発明の特徴であ
るアノルソサイト(CaO・Al2O3・2SiO2)単相又はアノ
ルソサイト相を主体とする同相とβ−ウオルステナイト
(SiO2・CaO)相との複合相を析出させたものである。
この組成式から明らかなように、アノルソサイトを構
成するためのCaO,Al2O3,SiO2のモル比は1:1:2である。
従って、アノルソサイトを析出させるためには、このモ
ル比で配合すればよいのであるが、実際には気孔のない
美観の優れた人工大理石を作るためには、結晶化率を40
%以下程度の少ない範囲に抑える必要がある。この場
合、添加したAl2O3やCaOは非晶質部(ガラス)に固溶さ
れ易い傾向がある。そこで本発明はCaOやAl2O3の一部が
ガラスへ固溶してしまうことを考慮し、Al2O3とCaOの範
囲を特定するものである。すなわち、Al2O3については1
0wt%未満ではガラスに大部分が固溶し、アノルソサイ
ト相が析出せず、20wt%を超えると結晶化率が40%以上
と高くなりすぎて気孔の発生を防止できない。また、Ca
Oについても5wt%未満ではアノルソサイトの形成に必要
なCaO分が供給できず、15wt%を超えると結晶化率が前
述の如く高くなりすぎること及びアノルソサイトが生成
せずβ−ウオルステナイト相のみが析出してしまうため
である。
また、本発明では、ZnO,BaO,Na2O及びK2Oのうち1種
以上を配合するものであるが、これらの成分はいずれも
ガラスの融点を低げ、作業をしやすくすること及び気孔
のないガラスを得るためには不可欠の材料で、特に、ガ
ラス相を安定させるための成分であるが、本発明の特定
する結晶相の析出には特別な意味をもたないため、その
量的範囲は特定されるものではない。
〔実施例〕
以下、本発明の一実施例について説明する。
第1表はこの例で使用する原料ガラスの組成及び後述
する熱処理によって得られた材料をX線回折法によって
結晶相を同定した結果を示すものである。それぞれの組
成で配合した原料をガラス窯にて約1650℃で溶融後、室
温の鉄板上に流し、熱衝撃を与えることである程度の粗
流に破砕された非晶質の原料を得た。この原料を5〜2m
mの範囲で分級したものを試験材とした。
この試験材を所定の枠内に充填した後、電気炉で1150
℃で軟化溶融後、900℃までを50℃/Hr、室温までを100
℃/hrで除冷して結晶相を得た。結果から明らかなよう
に、この実施例によればアノルソサイトを主体とする結
晶を得ることができた。
第2表は第1表で得られた人工大理石の曲げ試験結果
を示すものである。試験片は巾4mm×厚3mm×40mmに加工
し、スパン30mmの3点曲げ試験で評価した。この方法は
JIS R 1601に準拠したものである。
結果から明らかなように、比較材である従来のβ−ウ
オルステナイトを主体とする比較材No.1は室温での強度
は高いものの800℃では自重で軟化してしまう。これに
対し、アノルソサイトを主体とする本発明品であるNo.2
〜No.4は高温でも高い強度を保っている。
〔発明の効果〕 本発明によれば、従来の人工大理石の欠点であった高
温強度を改善することが可能で、防火や防災性能に優
れ、かつ美観の優れた人工大理石を供給できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C03C 3/00 - 14/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SiO2:50wt%以上、Al2O3:10〜20wt%、Ca
    O:5〜15wt%、残部がZnO,BaO,Na2O及びK2Oからなる群の
    うちの少なくとも1種よりなる組成物を溶融してなるガ
    ラス質物質を、結晶化条件で熱処理してアノルソサイト
    単相又はアノルソサイト相を主体とする同相とβ−ウオ
    ルステナイト相との複合相を析出させてなることを特徴
    とする結晶化ガラス。
JP2269421A 1990-10-09 1990-10-09 結晶化ガラス Expired - Lifetime JP2781650B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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BE792457A (nl) * 1971-12-10 1973-03-30 Nippon Electric Glass Co Natuurlijk marmerachtig materiaal dat glas bevat
JPS5339884B2 (ja) * 1974-02-26 1978-10-24
JPS6287435A (ja) * 1985-10-14 1987-04-21 Sasaki Glass Kk 天然石様結晶化ガラス物品

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