JP2781259B2 - 吸湿・吸水性コルゲート包装資材 - Google Patents

吸湿・吸水性コルゲート包装資材

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、包装資材に関し、より詳しくは、高吸水性
ポリマーを利用してなる吸水性にすぐれた包装資材に関
する。
(従来の技術) 包装資材の一つである段ボールは、通常紙製で中芯用
原紙をコルゲート形状に賦型し、これをアルカリ・でん
ぷん糊によってライナー用原紙に接着して作られてお
り、形状から見ると片面段ボール、両面段ボール、複両
面段ボール等に分けられる。また原料面から見ると、前
記原紙を熱可塑性プラスチックに代えて、これを押出し
成形して得るプラスチック段ボールも知られている。
ところで上記紙製の段ボールは、一般に耐水性に乏し
く、水に漏れたり、吸湿したりすると紙が軟化し、中芯
の弾力性も低下して、段ボール本来の形状、強度、緩衝
性能が失われ、包装資材としての用をなさなくなる。活
性炭を混抄した原紙を使用して段ボールを作ることも提
案されているが、この場合には多くの吸水量は期待でき
ず、原紙の吸水軟化も避け難い。またプラスチック段ボ
ールの使用は、耐水性において全く問題はないが、コス
ト面のから、繰り返し使用する用途にほぼ限定され、ま
たその剛性が高いから段ボール箱として用いるには適当
であるが、紙製段ボールの如く単なる緩衝材として使用
するには不向きで、代替物の提供が求められる。
(発明が解決すべき課題) 上述のように水に濡れたり吸湿したりする可能性の高
い場合には紙製の段ボールは使い得ず、これに代る緩衝
材料、包装材料が提供されることが好ましい。
一方、段ボール箱に吸水層を設ける技術の一つが特開
昭60−240679に開示されているが、これは箱の上蓋内面
に吸水ゲル化剤による水分ゲル化層を設けるもので、吸
水ゲル化剤の使用量は蓋の内面積による制約を受け、従
って箱の吸水量も同じく蓋の内面積により制約を受ける
という問題があった。
本発明は、上述の如き問題を有する紙製の段ボールお
よび段ボール箱に代えて使用することができ、水に濡れ
たり吸湿したりしても容易に緩衝性能を失うことがな
く、しかも吸水量がライナーの表面積によって直接制約
を受けることのない吸湿・吸水性能にすぐれたコルゲー
ト包装資材の提供を目的としている。
(課題を解決するための手段) 上記目的を達成するために本発明が要旨とするところ
は、少なくとも中芯と、該中芯がコルゲート形状で間欠
的に接合するライナーとからなり、前記中芯が高吸水性
ポリマーが固定された繊維状基材である吸湿・吸水性コ
ルゲート包装資材であって、前記繊維状基材が前記ポリ
マーの単量体を該基材に含ませ重合硬化させて得られた
ものであるとともに該ポリマーが該基材の個々の繊維を
包んでいることを特徴とする前記包装資材にある。
(作用と効果) 本発明においては、高吸水性ポリマーを固定した繊維
状基材を中芯として、これがライナーにコルゲート形状
で間欠的に接合する。前記繊維状基材をコルゲート形状
で接合すれば、前記ライナー面積に制約されない広い面
積での前記繊維状基材の使用が可能になり、それに伴い
前記面積に制約されない前記高吸水性ポリマー量の使用
が可能になる。
コルゲート形状での接合は、それ自体が本発明の包装
資材に緩衝性能を与えるが、それに加えて前記高吸水性
ポリマーは吸湿・吸水して膨潤ゲル化し、ゲル化した高
吸水性ポリマーは、柔軟でクッション性に富むから、本
発明包装資材の吸湿時における緩衝性能の一層の向上に
寄与する。
ライナーは、本発明の包装資材の用途に応じて選ぶこ
とができ、腰の強い厚手の紙やプラスチックシートであ
れば、箱を作るのに適し、腰の弱い薄手の紙やプラスチ
ックフィルムであれば、緩衝性能のある包装資材として
用いるのに適する。また、ライナーと中芯とを接合する
に当り、少なくともかかる接合部位においてライナーお
よび/または中芯に予め熱融着性を付与しておき、これ
を熱融着すれば、耐水性のある接合が容易に得られる。
特に、前記繊維状基材がポリマーの単量体を該基材に
含ませ重合硬化させて得られたものであるとともに該ポ
リマーが該基材の個々の繊維を包んでいるから、該ポリ
マーが該基材に確実に固定され、該基材から脱落するこ
とが極めて少ない。
(実施例) 次に本発明の詳細を実施例によって説明すると以下の
とおりである。
[実施例1] 第1図は本発明による包装資材の実施例である片面段
ボール1の斜視図である。段ボール1は、ライナー2
と、接合手段4であるアルカリ・でんぷん糊によってコ
ルゲート形状でライナー2に接合している中芯3とから
構成されている。
第2図および第3図は、中芯3として用いるための、
高吸水性ポリマー5を固定した繊維状基材6の端面を示
す。繊維状基材6としては、繊維7からなる二次元もし
くは三次元のネットワーク構造を有する基材、および同
様にネットワーク構造を有する発泡ウレタンシートの如
き発泡プラスチックシート基材がある。さらに言えば、
繊維7からなるカードウエブ、不織布、織布等を好まし
いものの例としてあげることができる。繊維7は短繊
維、長繊維を問わず、レーヨン繊維等の天然繊維、ポリ
エチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル等
の熱可塑性合成繊維、およびそれらの混合物を使うこと
ができる。繊維7は、後述するように繊維状基材6のラ
イナー2に対する熱融着を可能にするため、熱可塑性合
成繊維を含むことが好ましいものである。
高吸水性ポリマー5としては、公知の高吸水性ポリマ
ーを利用できるが、高吸水性ポリマー粒子や粉末を利用
する場合はそれらを繊維状基材6に対して散布する。さ
らに好ましくは、ポリマー5の若干量の吸水下に基材6
とポリマー5とをエンボスローラー等で加圧一体化し、
ポリマー5を繊維7に対しより強固に固定し、第2図の
如き繊維状基材6とする。さらに好ましくはかかる加圧
一体化の前に基材6の少なくとも片面、好ましくは両面
に通気透水性の被覆8を施して、第3図の如き繊維状基
材6とする。第1図ではこのような基材6を用いてい
る。
高吸水性ポリマー5を固定する他の有力な方法は、基
材6に対し、ポリマー5の単量体をローラーコーティン
グ、スプレーコーティング等によってコーティングした
後、加熱、電子線照射等によって重合させることであ
る。この方法であるとポリマー5は個々の繊維7を包む
ようにして重合硬化し、基材6において極めて強く固定
されるので、ポリマー5が基材6から脱落する可能性を
著しく抑えることができる。しかし、この場合において
も基材6には被覆8を圧着、接着等の適宜の接合手段に
よって設け、ポリマー5の基材6からの脱落防止を図る
ことがより好ましい。被覆8は、繊維7やライナー2に
対する熱融着を可能にするための熱可塑性合成繊維、好
ましくは親水化処理した熱可塑性合成繊維を含む不織布
やティシュペーパー等を用いることができる。
接合手段4としては、ライナー2、繊維状基材6、被
覆8等の素材の性質を考慮して適宜選ぶことができる
が、好ましい具体例としては段ボール製造において周知
のアルカリ・でんぷん糊による接着のほかにホットメル
ト接着、熱融着等の手段がある。前記熱融着を可能にす
るためには繊維7、被覆8は熱可塑性合成繊維を含むこ
とが好ましいことは前述のとおりであり、ライナー2は
熱可塑性合成樹脂フィルムをラミネートしておくことが
できる。
第4図は、第1図に示した片面段ボール1を公知の段
ボール製造工程によって製造する場合の例を示してい
る。ロールに巻き取ってある繊維状基材6を一対の歯型
状ロール10,11の間に供給し、コルゲート形状に形成し
ながら糊付ロール12を介して、糊付けし、圧力ロール13
において基材6がライナー2に加圧下に接着されて中芯
3となり、片面段ボール1ができ上る。
得られた片面段ボール1は、中芯3のコルゲートの高
さによって繊維状基材6の使用量を調節し、それに伴っ
て片面段ボール1の最大吸水量を調節でき、また紙製の
段ボールと同様に緩衝性能の高い包装資材として使用で
きる。この場合に高吸水性ポリマー5が吸湿・吸水して
膨潤した時の一例を第1図において鎖線14で示してあ
る。中芯3である繊維状基材6は、矢印A、Bの方向に
膨らむが、特にAの方向には障害物がなく自由な膨潤が
可能である。
[実施例2] 第5A、5B、および6図は、繊維状基材6において、高
吸水性ポリマー6が偏在して固定されている場合の例を
示す。第5A図では、繊維状基材6の長手方向において固
定したポリマー5の量が変化する場合を示す。区域15は
ポリマー5の量が多い部分、区域16はポリマー5がない
部分である。第5B図は、第5A図の基材6を中芯にした段
ボール1であって、中芯3は区域16がコルゲートの一方
の頂部であってライナー2に接合し、区域15がコルゲー
トのもう一方の頂部である。
第6図は、繊維状基材6の外表面近くに高吸水性ポリ
マー5を偏在させて固定し、中芯3に用いた例を示す。
本実施例は、いずれも中芯3において高吸水性ポリマ
ー5の分布密度に変化を持たせたものと言うべきである
が、特に第6図のごとき例にあっては中芯3のライナー
2との対向面側においてポリマー5が低密度に分布し、
もう一方の外表面側において高密度に分布している。こ
のようにするとポリマー5の経済的な利用、吸湿・吸水
効率の向上および中芯3とライナー2との確実な熱融着
等をより効果的に行うことができる。
[実施例3] 第7図は、中芯3の外表面の一部に、ライナー2への
接合4の線に沿って撥水性のコーティング17を施した例
を示す。接合4が耐水性の乏しい接着剤によってなされ
ている場合には、かかるコーティング17によって接合4
を水漏れから保護することが好ましい。
[実施例4] 第8図および第9図は、本発明を両面段ボール20とし
て実施した例を示す。このような段ボール20は、本発明
によって吸水性の段ボール箱を作る場合に好都合なもの
である。段ボール20はライナー2、21と中芯3とを有す
るが、例えばライナー21には、通気性、透水性を持たせ
ることが好ましく、それを実現するために第9図では、
第8図におけるライナー21に多数の貫通孔22を設けた例
を示した。
[実施例5] 第10図は、本発明を複両面段ボール25として実施した
例を示す。ここでは二層の中芯3,3′と三層のライナー
2,26,27が使用されている。本実施例であれば、実施例
4に比し段ボール強度をさらに向上させることができ、
ライナー2,26,27に適宜の貫通孔(図示せず)を設ける
ことで段ボール25の吸水等を大幅に増やすことができ
る。
[実施例6] 第11図は、ライナー2の両面に中芯3,3′を設けた実
施例であり、実施例1に比し吸水量と緩衝性能が一段と
すぐれている包装資材30として利用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例を示す片面段ボールの斜視図、
第2図および第3図は繊維状基材の例を示す端面図と斜
視図、第4図は片面段ボールの製造工程概略図、第5A、
5B図は他の実施例を示す繊維状基材の平面図と片面段ボ
ールの端面図、第6図、第7図はさらに他の実施例を示
す片面段ボールの端面図、第8図、第9図は両面段ボー
ルでの実施例を示す端面図と斜視図、第10図は複両面段
ボールでの実施例を示す端面図、第11図はさらに他の実
施例を示す端面図である。 1……片面段ボール(吸湿・吸水性コルゲート包装資
材) 2,21,26,27……ライナー 3,3′……中芯、4……接合 5……高吸水性ポリマー、6……繊維状基材 7……繊維、8……被覆 20……両面段ボール、22……貫通孔

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも中芯と、該中芯がコルゲート形
    状で間欠的に接合するライナーとからなり、前記中芯が
    高吸水性ポリマーが固定された繊維状基材である吸湿・
    吸水性コルゲート包装資材であって、前記繊維状基材が
    前記ポリマーの単量体を該基材に含ませ重合硬化させて
    得られたものであるとともに該ポリマーが該基材の個々
    の繊維を包んでいることを特徴とする前記包装資材。
  2. 【請求項2】前記中芯は、前記繊維状基材の少なくとも
    片面に被覆シートを接合したものである請求項1記載の
    吸湿・吸水性コルゲート包装資材。
  3. 【請求項3】前記中芯と前記ライナーとの接合は、前記
    中芯および/またはライナーを熱溶融して行う請求項1
    記載の吸湿・吸水性コルゲート包装資材。
  4. 【請求項4】前記高吸水性ポリマーは、前記繊維状基材
    に偏在して固定されている請求項1記載の吸湿・吸水性
    コルゲート包装資材。
  5. 【請求項5】前記ライナーは、その表面に通気性の貫通
    孔を有する請求項1記載の吸湿・吸水性コルゲート包装
    資材。
  6. 【請求項6】前記ライナーは、その両表面の各々に前記
    中芯が接合している請求項1記載の吸湿・吸水性コルゲ
    ート包装資材。
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