JP2779857B2

JP2779857B2 - 人工関節

Info

Publication number: JP2779857B2
Application number: JP1502290A
Authority: JP
Inventors: フォート、マーク・アール; ノイルス、ダグラス・ジー
Original assignee: Joint Medical Products Corp
Current assignee: Joint Medical Products Corp
Priority date: 1988-02-02
Filing date: 1989-01-31
Publication date: 1998-07-23
Anticipated expiration: 2013-07-23
Also published as: DE68922487D1; CA1290899C; EP0627203A3; WO1989006947A1; US4888021A; EP0400045B1; EP0627203A2; EP0400045A1; DE68922487T2; JPH03502291A; EP0400045A4; ATE121925T1

Description

【発明の詳細な説明】１本発明の背景本発明の技術分野本発明は、人工関節、より詳しく言えば人工膝関節に
関する。

２先行技術の説明普通人の膝の屈曲と伸展は、三つの骨すなわち、大腿
骨と、脛骨と、膝蓋骨との複雑な運動を含有している。
屈曲中に、大腿骨の遠端部と、脛骨の近端部とは相対移
動し、このとき該関節の回転中心は、大腿骨の骨頭上で
後方に移動する。伸展中には、脛骨と大腿骨は反対方向
の軌跡を描いて、回転中心は、該関節の伸展に従って前
方に移動する。大腿骨と脛骨との運動と同時に、膝蓋骨
が大腿骨頭の表面上に移動しながら、膝蓋骨を脛骨に結
ぶ膝蓋靱帯によって、脛骨結節から比較的一定の距離を
維持している。

膝関節の人工補装器として様々な提案が提出されてい
る。例えば、米国特許第3,996,624号、第4,219,893号、
第4,301,553号、第3,728,742号、第4,217,666号、第4,2
13,209号、第3,813,700号、西独特許第2,227,090号およ
び第2,501,128号、フランス特許第2,269,324号および第
2,478,462号を参照されたい。膝全体置換の場合には、
大腿骨の骨頭と脛骨頭とを外科的に切除して補装器部材
に置換する。球状ドーム形または円錐形プラスチックボ
タンなどの膝蓋骨補装器は、通常、膝蓋骨の後方面に固
着されて、膝蓋骨と大腿骨補装器の間の境界面としての
役目をする。

膝と類似の機能を有する人工関節を製造するために様
々な努力が行われている。特に、関節を屈曲させた際
に、脛骨部材に対して大腿骨部材の後方移動（脛骨上で
の大腿骨のロールバック）を生じる様々な装置が提案さ
れている。例えば、米国特許第4,209,861号では、大腿
骨部材と脛骨部材との案内面を用いて、膝を徐々に屈曲
させる際に、該部材間の接触部が脛骨部材上を後方移動
するように案内する人工膝関節を開示している。この後
方移動は該関節の屈曲の大部分に亘って行われる。米国
特許第4,298,992号では、大腿骨部材が、完全屈曲また
はその近辺において、脛骨部材に対して後方へ移動する
別の構成について開示している。また、米国特許第3,84
0,905号を参照されたい。

これらの先行技術の装置は、大腿骨と脛骨との支持面
間の接触面積が小さいという欠点を有している。また、
該関節を屈曲させた際に、接触面積がさらに減少するよ
うになる。屈曲中に、例えば、蹲ったり、階段を上った
り、椅子から立ち上がるなどの活動中に、該関節に高荷
重が加えられ、この荷重を該支持面間の接触面で支持す
る必要がある。接触面積が小さく、高荷重が加わると、
支持面同士が早期磨耗する結果となり、好ましくない。
米国特許第4,634,444号では、大面積の支持面を有する
膝関節を開示している。しかし、この関節の大腿骨部材
は、自然の膝の場合のように、屈曲時に、脛骨部材に対
して後方に移動しない。

また、膝蓋骨補装器の機能向上のために様々な努力が
行われている。例えば、米国特許第4,470,158号、第4,3
09,778号、および第4,340,978号を参照されたい。特
に、大腿骨部材の後方面は、該関節の完全伸展時または
その近辺で膝蓋骨補装器を受容する凹状くぼみを具備し
ている。例えば、米国特許第4,353,135号および第4,20
9,861号を参照されたい。同様に、大腿骨部材の遠方面
は、該関節の屈曲時に、膝蓋骨補装器を受容する軌道を
有している。注目すべきことは、これらの先行技術の軌
道上で膝蓋骨補装器と係合する表面が、凸状に形成され
ていることにある。実際に、該補装器の外表面の斜面に
おいて、不連続部が、前方面の凹状窪みと後方面の凸状
軌道間の交点に生じている。

凸状軌道を使用した補装器は様々な欠点を有してい
る。代表的な球状ドーム形または円錐形膝蓋骨補装器と
併用する場合に、該軌道と膝蓋骨補装器とは点接触する
のみである。前述したように、人工膝関節は、屈曲時、
すなわち、膝蓋骨補装器を遠方軌道と接触させたとき、
高荷重が加えられる。このように高荷重と点接触とが組
み合わされる結果、膝蓋骨補装器の早期磨耗が生じる。
事実、金属製支持プレート上に装着されたプラスチック
軸受を有する膝蓋骨補装器の場合、該軸受が完全磨耗し
て、金属製プレートと金属製大腿骨部材とが現場で互い
にこすり摩擦するのが観察されている。

点接触問題に加えて、大腿骨補装器の外表面における
凹状窪みと凸状軌道間の交点に生じる不連続部は、膝蓋
骨補装器の磨耗も促進して、該補装器全体の円滑な作動
を低下せしめる。

前掲米国特許第4,353,135号では、凸状軌道との線接
触を達成できる膝蓋骨補装器の構成を開示している。し
かし、この構成は、該方式の円滑に作動するために、外
科手術中に大腿骨補装器と正確に整合させる必要性があ
る、複雑な膝蓋骨ボタン形状を用いている。また、リビ
ジョン外科において、従来の膝蓋骨補装器は通常、置換
しない。大部分の従来型膝蓋骨補装器は円錐形あるいは
球状ドーム形ボタン型のものである。米国特許第4,353,
135号は、その他の先行技術の構成の場合と同様に、こ
の種の球状ドーム形または円錐形膝蓋骨補装器と併用し
た場合に、点接触が生じるのみである。

本発明の要約前述した技術の現状に鑑み、本発明の目的は、人工関
節、特に人工膝関節に関する。

より詳しく言えば、本発明の目的は、大腿骨部材と脛
骨部材などの２個の部材を具備する人工関節であって、
該関節が伸展位置から屈曲位置に移動する際に、第１部
材が第２部材に対して並進し、また第１部材と第２部材
の支持面間の接触面積が大きく、特に、該関節の屈曲時
に大きい人工関節を提供することにある。本発明の別の
目的は、その遠方面の形状が、通常、リビジョン外科で
使用される球状ドーム形および円錐形ボタン式補装器と
の線接触を含めて、膝蓋骨補装器と、点接触ではなく、
線接触し得るように形成してある、大腿骨補装器を提供
することにある。

本発明によれば、伸展位置と、屈曲位置の間で運動可
能な人工関節であって、上記運動が、伸展位置と中間位
置間に亘る小セグメントと、該中間位置と屈曲位置間に
亘る大セグメントとを含有している人工関節であって、第１カム装置と、第１部分と第２部分とを具備してい
て、該第１部分の曲率が第２部分の曲率よりも小さい凸
状当接面とを有する第１要素と、第２カム装置と、第１部分と第２部分とを具備してい
て、該第１部分の曲率が第２部分の曲率よりも小さい凹
状当接面とを有する第２要素とを具備していて、上記関節運動の小セグメント時に、上記凸状当接面の
第１部分を上記凸状当接面の第１部分に係合させ、上記関節運動の大セグメント時に、上記凹状当接面の
第２部分を上記凸状当接面の第２部分に係合させ、かつ
上記第２部分同士が係合中に、上記関節が屈曲運動の固
定軸線の回りを移動し、さらに上記屈曲運動が、上記第
２部分間の転動を伴わない相対滑動によって発生し、上記第１および第２カム装置が、上記関節運動の小セ
グメント中に相互作用を行い、上記関節が伸展位置と中
間位置の間で移動する際に、上記相互作用に伴って上記
凸状当接面および上記凹状当接面が実質的に滑動するこ
となく相対転動するので、上記両当接面間の接触線が上
記当接面の第２部分に向かって移動することを特徴とす
る人工関節が与えられる。

更に本発明によれば、１）第１当接区域と、上記第
１当接区域から延長する第２当接区域を有する凸状当接
要素であって、上記第２当接区域が、第１軸線の回りの
回転面であり、かつその曲率半径が、第１当接区域の曲
率半径よりも小さい凸状当接要素と、２）上記第１当接区域と係合可能な第３当接区域と、
上記第３当接区域から延長し上記第２当接区域と係合す
る第４当接区域とを有する凹状当接要素であって、上記
第４当接区域が、第２軸線の回りの回転面であり、かつ
その曲率半径が、上記第３当接区域の曲率半径よりも小
さい凹状当接要素とを有する、二つの骨の間で屈曲運動
を付与する人工関節であって、上記第２当接区域の曲率半径が上記第４当接区域の曲
率半径と実質的に同一であるので、上記第２当接区域と
上記第４当接区域とが互いに一致して係合し、さらに上記第２当接区域と上記第４当接区域とを係合した際
に、上記関節の屈曲軸線が上記第１軸線と第２軸線に一
致することを特徴とする人工関節が与えられる。

更に本発明によれば、１）第１当接区域と、上記第
１当接区域から延長する第２当接区域を有する屈曲当接
面を有する大腿骨部であって、上記第２当接区域が、第
１軸線の回りの回転面であり、かつその曲率半径が、第
１当接区域の曲率半径よりも小さい大腿骨部と、２）第１当接区域と係合可能な第３当接区域と、第２
当接区域と係合可能であって上記第３当接区域から延長
する第４当接区域とを有する屈曲当接面を含有する脛骨
部であって、上記第４当接区域が、第２軸線の回りの回
転面であり、かつその曲率半径が、第３当接区域の曲率
半径よりも小さい脛骨部とを含有する人工膝関節であっ
て、上記大腿骨部の上記第２当接区域の曲率半径が上記脛
骨部の上記第４当接区域の曲率半径と実質的に同一であ
るので、上記脛骨部の上記第４当接区域の回転面が、上
記大腿骨部の上記第２当接区域の回転面と一致して係合
し、さらに上記第２当接区域と上記第４当接区域とを係合した際
に、上記関節の屈曲軸線が第１軸線と第２軸線に一致す
ることを特徴とする人工膝関節が与えられる。

更に本発明によれば、伸展位置と、屈曲位置の間で運
動可能な人工関節にして、凸状当接面と第１カム装置を有する第１要素にして、
上記凸状当接面は第１部分と第２部分を有し、上記第１
部分の湾曲率は上記第２部分の湾曲率よりも小さい第１
要素、凹状当接面と第２カム装置を具えた第２要素を有する
人工関節において、上記第２要素の凹状当接面は第１部分と第２部分を有
し、上記第１部分の湾曲率は上記第２部分の湾曲率より
も小さくなっており、上記人工関節の運動は上記伸展位置と中間位置間で延
長する小セグメント、及び上記中間位置と屈曲位置間で
延長する大セグメントからなり、上記第１要素の凸状当接面の第１部分は、上記人工関
節が小セグメントの運動を行う間に、上記第２要素の凹
状当接面の第１部分に当接するようになっており、上記第１要素の凸状当接面の第２部分は、上記人工関
節が大セグメントの運動を行う間に、上記第２要素の凹
状当接面の第２部分に当接するようになっていて、上記
第２部分が係合する場合に上記人工関節は固定軸線を中
心に回転し、この回転は上記第２部分相互が転動するの
ではなく、滑動することによって生じ、第１カム装置と第２カム装置は上記人工関節が小セグ
メントの運動を行う間に相互作用をし、この相互作用に
よって上記凸状当接面と凹状当接面は、上記人工関節が
その伸展位置と中間位置間で運動する場合に実質的に滑
動することなく相互に転動し、もって上記凸状当接面と
凹状当接面間の接触線は当接面の上記第２部分に向けて
移動することを特徴とする人工関節が与えられる。

更に本発明によれば、２本の骨の間で屈曲運動を行わ
せる人工関節にして、（１）第１当接区域と上記第１当接区域につながる第
２当接区域を有する凸状当接要素であって、上記第２当
接区域は第１軸線を中心にして回転する回転面であり、
上記回転面は上記第１当接区域の曲率半径R2よりも小さ
い曲率半径R3をもった凸状当接要素、及び（２）上記第１当接区域に当接する第３当接区域と、
上記第３当接区域から延長して上記第２当接区域に係合
する第４当接区域を具えた凹状当接要素を有し、上記第
４当接区域は第２軸線を中心にして回転する回転面であ
り、上記回転面は上記第３当接区域の曲率半径よりも小
さい曲率半径R3をもっている人工関節において、上記第２当接区域の曲率半径R3は上記第４当接区域の
曲率半径R3と実質的に同一なので、上記第２当接区域と
第４当接区域は相互に密着して係合し、上記人工関節の屈曲軸線は、上記第２当接区域と第４
当接区域が係合した場合には、上記第１軸線と第２軸線
に一致することを特徴とする人工関節が与えられる。

上記およびそれ以外の諸目的を達成するために、本発
明は、伸展位置と、中間位置と、屈曲位置とを有する人
工関節を提供する。該関節の運動は、伸展位置と中間位
置間の移動を含有する小セグメントと、中間位置と屈曲
位置の移動を含有する大セグメントとを含有している。

該関節は、２個の部材、例えば、膝補装器の場合、大
腿骨部材と脛骨部材とを具備している。各部材は、支持
面とカム部材とを含有している。各支持面は、第１部分
と第２部分とを有しており、第１部分同士は該関節運動
の小セグメント中に係合するのに対して、第２部分同士
は該関節運動の大セグメント中に係合する。特定の好ま
しい実施態様では、第２部分が、前掲米国特許第4,634,
444号（その関連部分は本仕様書に引例として包含して
ある）中に開示された型式の大面積で、段付き支持面を
有している。

該関節運動の大セグメント中に、該関節運動は、屈曲
軸線の回りの回転運動を含有している。この回転運動
は、第２部分同士の支持面の相対滑動によって生じる。
第１部材と第２部材とのカム部材同士は、該関節運動の
小セグメント中に互いに相互作用する。特に、該関節が
伸展位置と中間位置間で移動する際に、カム部材によっ
て、支持面の第１部分同士が相対転動せしめられる。

該関節の好ましい構成では、支持面の第２部分間の接
触面積が、第１部分間の接触面積よりも大きい。この構
成は、前述したように、該関節運動の大セグメント中
に、第２支持面同士が係合するので、該関節の作動支持
接触部が最大になる。さらに、膝関節の場合、この構成
は該関節の屈曲時、すなわち該関節が高荷重を受けてい
る際に、大きな接触面積を提供する。

本発明の別の特徴は、その外表面が前方部分と遠方部
分とを有する大腿骨補装器を提供することにある。該前
方部分は、膝蓋骨補装器と係合するくぼみを有してお
り、また遠方部分は同じ目的のための軌道を有してい
る。該軌道はくぼみと交差する２本のレールを有してい
る。該各レールの表面は、該レールの縦軸線に直角な方
向の断面形状が、１）直線または凹形曲線のいずれかで
あり、２）該レールの全長に沿って一定であり、また
３）該レールと該くぼみ間の交点における該くぼみの表
面輪郭に整合するようにしてある。

このような構成を用いることによって、該膝蓋骨補装
器が、大腿骨補装器の前方面と遠方面間の転移を含め
て、これら両表面上を円滑に移動する。また、該膝蓋骨
補装器は、該大腿骨補装器の遠方面と線接触する。特
に、レールの輪郭が直線の一部分である場合には、円錐
形膝蓋骨ボタンとの線接触が達成され、また、該レール
の輪郭が凹形曲線であるとき、球状ドーム形膝蓋骨補装
器との線接触が達成される。

添付図面は、本仕様書の一部を構成し、本発明の好ま
しい実施態様を例示しており、かつ発明の詳細な説明と
共に、本発明の原理を説明する役目を果たしている。該
図面と説明が、本発明の説明を目的にするもので限定す
るものではないことは、当然理解すべきであろう。特
に、説明の便宜上、下記の説明は人工膝関節に関するも
のであるが、本発明の様々な特徴は、人工肘関節など他
の型式の人工関節にも適用できることは、理解すべきで
ある。

図面の簡単な説明第１図は、本発明に係わる半拘束式人工膝関節を示す
分解透視図である。

第２図は、第１図に示す関節の脛骨面部材を示す側面
図である。

第３図は、第１図に示す関節の大腿骨部材の前方面に
おいて、第１図に示す関節の膝蓋骨部材と該前方面との
係合を示す図面である。

第４図は、第１図に示す関節の大腿骨部材の前方面に
おいて、膝蓋骨部材と、該大腿骨部材の遠方面との係合
を示す図面である。

第５図は、第１図に示す関節の大腿骨部材の遠方面に
おいて、膝蓋骨部材と、該前方面との係合を示す図面で
ある。

第６図は、第４図の線６−６についての断面図であ
る。

第７図ないし第10図は、第１図に示す関節において、
屈曲角度が０°、16°、45°および120°の場合を示す
側面図である。

第11図は、第１図に示す関節において、伸展過度角度
が−６°の場合を示す側面図である。

第12図と第13図とは、本発明の膝蓋骨部材と大腿骨部
材間の係合（第13図）と、先行技術に基づく補装器で達
成される係合（第12図）とを比較したものである。

第14図は、本発明の膝蓋骨軌道装置を用いた拘束型人
工膝関節を示す分解透視図である。

第15図は、第14図に示す関節において、該補装器の中
心線についての断面図である。

第16図は、第14図に示す関節における大腿骨部材と膝
蓋骨部材とを示す側面図である。

第17図は、第14図に示す関節の大腿骨部材の遠方面に
おいて、膝蓋骨部材と該遠方面との係合を示す図面であ
る。

第18図は、サドル形表面を有する膝蓋骨部材を示す透
視図である。

第19図と第20図とは、第14図に示す関節の大腿骨部材
を、球状ドーム形膝蓋骨ボタンと係合した場合（第20
図）と、第18図に示す膝蓋骨補装器と係合した場合（第
19図）とを比較した矢状面についての断面図である。

好ましい実施態様の説明これらの図面を参照すると、第１図は、本発明に係わ
る半拘束型人工膝関節の分解図である。この関節は、第
１要素、すなわち大腿骨部（10）と、脛骨面部（12）お
よび脛骨スリーブ（14）を有する第２要素、すなわち脛
骨部（13）からなる。後述するように、該関節は、膝蓋
骨補装器（80）との相互作用を円滑に行うように設計さ
れている。

大腿骨部（10）と脛骨面部（12）とは、互いに嵌合す
る連結部、すなわち凸状当接面（20）と、今一つの連結
部、すなわち凹状当接持面（34）とをそれぞれ担持して
いる（第１図参照）。第６図に示されるように、大腿骨
の凸状当接面（20）は、半径Ｒ₁で示される部分（20a）
と、半径Ｒ₂で示す部分（20b）と、半径Ｒ₃で示される
部分（20c）とを含有している。また、大腿骨の凸状面
（20）は、半径Ｒ₄で示す部分（20d）を含有している。
半径Ｒ₄は半径Ｒ₃と同一中心を有するので、部分（20
d）は部分（20c）と同心である。また、部分（20b）は
本明細書中では凸状当接面（20）の第１部分と呼ばれる
のに対して、部分（20c,20d）の組み合わせが、凸状当
接面（20）の第２部分と呼ばれる。

第２図に示されるように、脛骨部の凹状当接面（34）
は、半径Ｒ₁で示される部分（34a）と、その半径が、大
腿骨部（10）の半径Ｒ₂より大きい、平坦または凹形の
部分（34b）と、半径Ｒ₃で示される部分（34c）とを含
有している。また、脛骨部の凹状当接面（34）は、半径
Ｒ₄で示す部分（34d）を含有している。半径Ｒ₄は半径
Ｒ₃と同一中心を有するので、部分（34d）は部分（34
c）と同心である。また、部分（34b）は、本明細書中で
凹状当接面（34）の第１部分と呼ばれるのに対して、部
分（34c,34d）の組み合わせが、凹状当接面（34）の第
２部分と呼ばれている。

第１図と第５図に示すように、部分（20a,20b,20c）
と部分（34a,34b,34c）の各々は、２個の離隔部分を含
有している。部分（20c,34c）の離隔部分を、それぞれ
部分（20d,34d）と組み合わせることによって、前掲米
国特許第4,634,444号に開示された型式の段付き連結部
が形成される。これらの図面に示すように、これらの段
付き連結部は該補装器の全幅に亘って延出して、該関節
の屈曲運動のための大きな対磨耗性当接面を提供する。
好ましくは、部分（20c,20d）、すなわち凸状当接面（2
0）の第２部分と、部分（34c,34d）、すなわち凹状当接
面（34）の第２部分とが、回転面、すなわち円形状であ
る。ただし、他の輪郭の当接面も本発明の実施のために
使用することができる。

これらの当接面がその回転軸線に垂直な方向に離脱で
きるように、凹状当接面（34）の第２部分が、凸状当接
面（20）の第２部分の半分未満を包囲している。特に、
第９図に示すように、第２部分同士は、角度Ａで係合
し、該角度は図示の実施態様の場合には約15°である。

部分（34c）の離隔部分は、壁部（44）によって部分
（34d）に連結されている。同様に、部分（20c）の離隔
部分は、壁部（28）によって部分（20d）に連結されて
いる。これらの壁部を設けることによって、関節組立体
が当接面（20,34）の第２部分の回転軸線に沿って転位
するのを防止できる。特に、これらの壁部を係合せしめ
ることによって、当接面（20,34）が相対横運動するの
が制限される。注目すべきことは、このような安定化
が、２個の横方向に離隔した当接面間にポストなどを使
用するような当業界で周知の他の横方向安定化方法に見
られるように、当接面の全幅を犠牲にしないで達成され
ることである。

これらの図面に示すように、部分（20c,34c）の外表
面は同一の曲率半径を有しており、これらの曲率半径
は、部分（20d,34d）の曲率半径よりも大きい。これら
の当接面は図示以外の曲率半径を有することができる
が、その場合の曲率半径は、該関節が横方向に転位する
のを防止する程度の高さを有する壁部（28,44）を提供
するように、設定することを理解すべきである。

第２図中に最も良く見られるように、脛骨面部（12）
は、当接面（34）に加えて、カム装置（41）を具備して
いる。同様に、第６図に示すように、大腿骨部（10）は
カム装置（43）を含有している。カム装置（41）は、部
分（34b）の離隔部分間に配置してあり、かつ部分（34
d）の延長部分を有している。カム装置（43）は、部分
（20b）の離隔部分間に配置してあり、かつ部分（20d）
の延長部分を有している。カム装置（41）は、壁部（4
4）の延長部分によって部分（34b）に連結してある。同
様に、カム装置（43）は、壁部（28）の延長部分によっ
て部分（20b）に連結してある。また、これらの延長部
分を互いに係合させることによって、該関節が様々な屈
曲角度でも転位するのを規制することができる。

カム装置（41,43）の作動は、第７図ないし第10図に
示されている。第７図は、該関節の伸展位置を、第８図
は、該関節の中間位置を、第９図および第10図は、屈曲
角が45°と120°の該関節を示している。

これらの図面に示すように、部分（20b,34b）すなわ
ち当接面（20,34）の第１部分は、該関節の伸展位置の
際に係合し（第７図）、かつ該関節が伸展位置から中間
位置へ移動するとき、互いに相対転動する（第８図）。
この転動中の部分（20b,34b）間の理論的接触は、線接
触である。カム装置（41,43）は、該関節運動のこの時
点で相互作用するので、これら当接面間の転動が許容、
規制される。膝での自然力が、関節運動の小セグメント
を通じて、カム装置の接触を維持する傾向がある。

部分（20c,34c）は、部分（20d,34d）と同様に、中間
位置で係合し始め、残りの該関節の屈曲にわたって、係
合を維持している（第９図および第10図）。当接面（2
0,34）のこれらの第２部分が係合している際の該関節運
動は、半径Ｒ₃とＲ₄の共通中心で画成される、軸線の回
りの該関節の単純回転を含有している。これらの第２部
分は、この回転中に互いに滑動する。

前述したように、理論的には線接触に過ぎない、第１
部分の係合から第２部分の係合への移行によって、これ
らの当接面間の接触面積が増大する。特に、部分（20
c）と部分（34c）との噛合および部分（20d）と部分（3
4d）との噛合によって、接触面積が増大する。中間位置
を超える屈曲運動は、増大した屈曲角での重量支持に伴
う高度の大腿骨対脛骨荷重に抵抗する、相当な接触当接
面積によって達成される。第１図に示す関節の場合、こ
の噛合支持面積は約6.452cm²（1in²）の程度である。

該関節運動の大セグメントにわたって、当接面間の接
触面積を最大にするために、これら当接面の第１部分と
第２部分の間の転位が、該関節の屈曲の初期に行われ
る。第７図ないし第10図では、この転位は、屈曲角が、
該関節の伸展位置から約16°で生じる。従って、該関節
運動は、０°から約16°までの小セグメントと、約16°
から該関節の屈曲位置、例えば、100°ないし120°まで
の大セグメントを含有し、この場合、大セグメントは小
セグメントの約５倍大きくなる。

これら当接面の第１部分と第２部分間の転位点は、屈
曲角が16°以上または以下のいずれの場合にでも設定で
きるのは当然である。一般に、転位点は、これら第２部
分の係合に伴う支持面接触面積の増大という利点をフル
に活かすために、屈曲角が約30°以下の所に設定すべき
である。

伸展位置と屈曲位置の間の移動に加えて、第１図に示
す関節を伸展過度にすることができる。伸展過度の許容
量は、大腿骨部（10）上の表面（72）（第６図参照）
を、脛骨面部（12）の表面（70）（第２図参照）と係合
することによって決定される。また、大腿骨の表面（20
a）の半径Ｒ₁が、脛骨の表面（34a）の半径Ｒ₁と接触す
るので、伸展過度が抑制される。第11図は、完全伸展過
度状態の関節を示している。図示の関節の場合、伸展過
度は−６°に制限されている。それ以上またはそれ以下
の伸展過度量は所望により許容することができる。

凸状当接面（20）とカム装置（43）に加えて、大腿骨
部（10）は、標準外科技術を用いて患者の大腿骨内に移
植可能な固定シャンク（16）を含有している。同様に、
凹状当接面（34）とカム装置（41）に加えて、脛骨面部
（12）が垂下軸（54）と、スラスト連結面（52）とを含
有している。第２図に示すように、垂下軸（54）はオプ
ションとして金属製補強棒（74）を具備することができ
る。

関節組立体では、脛骨面部（12）の底部の支持面（5
2）が、支持面（58）すなわち脛骨スリーブ（14）の上
面と接触しており、かつ垂下軸（54）は、脛骨スリーブ
の本体に形成された穴（56）に受容される。その関連部
分が本明細書中に引例として包含された前掲米国特許第
4,219,893号および第4,301,553号中に詳述されるよう
に、これらの部材の配置によって、大腿骨と脛骨とが完
全伸展位置から屈曲位置へ移動する際に、脛骨スリーブ
（14）が脛骨面部（12）に対して相対回転する。屈曲運
動時に、脛骨のその縦軸線の回りの回転は通常、10°な
いし15°である。

脛骨スリーブ（14）は、脛骨の上方部分に移植可能で
ある。この移植では、様々な方法を使用することができ
る。この種の一方法は、本出願の譲受人に譲渡された、
“人工補装器を骨に固定する装置”という名称を有す
る、特許協力条約の国際公開第W085/03426号に記載され
ている。要するに、この方法は、脛骨の上端部の硬骨の
内表面の一部分と嵌合する形状を有する外表面（60）を
脛骨スリーブ（14）に設けることが含有されている。解
剖学的な輪郭形成に加えて、この表面はくさび剪断荷重
を、脛骨内の圧縮荷重に変化させる形状（62）を有して
いる。この方法の詳細は、上記国際公開に記載されてい
る。

また、大腿骨部（10）は、脛骨部（13）と係合するほ
か、膝蓋骨補装器（80）と係合する。この目的のため
に、該大腿骨部の前方面は、凹部（82）を具備してお
り、また、遠方面は、該くぼみと交差する軌道（84）を
有している。軌道（84）は、レール（88）を含有してお
り、各レール（88）は、該レールの縦軸線に直角な方向
に沿った断面形状が、１）直線または凹形曲線のいずれ
かであり、２）該レールの全長に亘って一定であり、か
つ３）該レールと該凹部の間の交点での凹部（82）の表
面の形状に合わせられている。

本発明に係わるレール（88）を製造する利点は、第12
図および第13図中に示されている。第12図は、先行技術
で用いられる構成であって、膝蓋骨補装器（80）と係合
する、大腿骨補装器（92）の遠方面が凸状に形成されて
いるものを示している。この図面に示されているよう
に、これらの補装器は、点（90）において点接触するに
過ぎない。このような点接触の結果、該膝蓋骨補装器の
磨耗率が増大する。また、この種の先行技術に係わる補
装器では、該凸状表面と、該膝蓋骨補装器を受容する該
補装器の前方面に形成された凹部間の交点に、明瞭な勾
配の変化が存在する。

第12図と対照的に、第13図に示すように、本発明に基
づく形状のレール（88）を設ける場合、膝蓋骨補装器
と、大腿骨補装器の間に曲線（94）に沿って線接触が達
成される。第４図中に示されるように、この線接触を球
状ドーム形膝蓋骨ボタンで達成するために、曲線（94）
は、該膝蓋骨補装器のドーム形表面と同一の曲率半径Ｒ
₅を有する円の一部分である。代表的な補装器寸法の場
合、各曲線（94）の長さは該レール幅に相当するもの
で、５ないし6mmの程度である。

該膝蓋骨補装器と、該大腿骨補装器の遠方面の間に線
接触が達成された場合の磨耗率は、点接触の場合の磨耗
率と比べて大幅に低下する。また、例えば、第１図に見
られるように、レール（88）の凹状輪郭によって、該レ
ールと凹部（82）の間の転位が完全に円滑になる。

円錐形膝蓋骨ボタンの場合、レール（88）は、凹状で
はなく、直線の一部分である。このような場合には、凹
部（82）は、該レールと該くぼみ間の転位を円滑にする
ために、Ｖ字形、すなわち２個の内向傾斜平面を具備す
ることが好ましい。

大腿骨補装器の遠方面との接触がさらに増大する、本
発明と併用可能な膝蓋骨補装器（96）が、第18図に示し
てある。この補装器の前方面は、該補装器を患者の膝蓋
骨の遠方部に固定する合釘（98）を具備している。関節
組立体において該大腿骨補装器と係合する、該補装器の
遠方面はサドル形に形成されている。

第18図に示すように、該サドルは正中線・横方向に沿
って、曲率半径Ｒ₅を有している。この曲率はレール（8
8）の正中線・横方向の曲率半径（第４図および第13図
参照）に合わせてあるので、球状ドーム形膝蓋骨補装器
の場合のような接触がこの方向に沿って達成される。こ
のサドルは、線100および102についてそれぞれ曲率半径
Ｒ₂およびＲ₂′を有している。第６図に見られるよう
に、Ｒ₂は、レール（88）の外端縁の曲率半径であり、
Ｒ₂′は、該レールの内端縁の曲率半径である。従っ
て、膝蓋骨補装器（96）は、膝蓋骨ボタンを軌道（84）
のＲ₂部分と接触させ、屈曲と重量支持とに伴う高度の
接触力が作用する際に、該大腿骨補装器のレール（88）
と区域（104）に亘って表面接触するのである。

このような接触増加が、第19図および第20図の断面図
中に示されている。第20図に示されるように、凹状レー
ル（88）を用いることによって、球状ドーム形ボタン
は、線（138）に沿って線接触することができる。しか
し、第19図に示すように、凹状レール（88）と、第18図
に示すサドル形輪郭を有するボタンを使用することによ
って、区域（140）に亘る接触が達成される。

第14図ないし第20図は、球状ドーム形膝蓋骨補装器
（80）またはサドル形膝蓋骨補装器（96）と係合可能な
凹状レール（88）を用いた、拘束型（蝶番式）人工膝関
節を示している。この補装器の場合、脛骨面部（12）は
ヒンジポスト（106）を担持している。この目的のため
に、該脛骨面部は、側壁（122）を有するスロット（12
0）を有している。該ヒンジポストは、側壁（122）に形
成されたビード（108）の下部にフランジ（110）をスナ
ップ嵌めすることによって、該脛骨面部に対して装着さ
れる。

ヒンジポスト（106）は、片側１個づつ計２個のフラ
ンジ付き軸受（114）を受容する穴（112）を具備してい
る。関節の組み立て手順は、先ず大腿骨部（10）をヒン
ジポスト上に嵌め込んで、該大腿骨部上の支持面（13
0）を、脛骨面部上の支持面（132）と接触させる。次い
で、ヒンジピン（116）を大腿骨部と軸受（114）との穴
（126）に挿通させることによって、ヒンジが組み立て
られる。ヒンジピン（116）は、溝（128）内に受容され
るスナップリング（118）によって、適所に保持され
る。

第１図ないし第11図に示す関節の場合のように、第14
図ないし第20図に示す関節は、事実上、該関節の全幅に
亘って延出する大きな当接面を有している。すなわち、
該関節の大腿骨側に関連する当接面は、表面（130）
と、ヒンジピン（116）の下部外表面（134）とを含有し
ている。脛骨側の相当する同心当接面は、表面（132）
と、軸受（114）の下部内表面とを有している。

ヒンジピン（116）と、大腿骨部（10）とは、例え
ば、チタン合金またはコバルト・クロム合金などの類似
の対磨耗性を有する材料から製造される。同様に、軸受
（114）と、脛骨面部（12）とは超高分子量ポリエチレ
ンなどの類似の対磨耗性を有する材料から製造される。
このようにして、これらの支持面が磨耗しても、これら
の表面の同心性が維持される。これは、磨耗性部材、す
なわち、プラスチック部材のすべてが、例えば、脛骨側
などの該関節の一側に関連しているのに対し、非磨耗性
部材、すなわち、金属製部材のすべてが、大腿骨側など
の該関節の他側に関連しており、かつこれらのプラスチ
ック部材と同一の中心線の回りの回転面であるためであ
る。従って、プラスチック部材の磨耗に伴って、共通中
心線が、例えば、脛骨側に向かって移行するが、これら
の金属製支持面と、プラスチック製支持面の各々は、そ
の合わせ面に対して同心性を維持するのである。

当接面（130）は、蝶番関節に通常、使用される支持
面よりも、該関節の正中面から遠方に配置してある。こ
のような変更によって。レール（88）を、膝蓋骨補装器
と安定係合できる程度に、互いに離隔させることができ
る。該関節の組立て時には、レール（88）を壁部（12
2）の内部に嵌入させて、スロット（120）内に受容させ
る。大腿骨部（10）の外表面は、該関節の伸展限界時に
は、突起（144）と係合する窪み（142）を具備してい
る。

大腿骨部（10）と、脛骨部（13）と、膝蓋骨部（80,9
6）とは、様々な生体親和性があり、外科的に移植可能
な材料で製造することができる。例えば、米国試験・材
料協会（ASTM）規格F75に記載のコバルト・クロム・モ
リブデン合金を、大腿骨部（10）に、米国試験・材料協
会（ASTM）規格F136に記載のチタン・アルミニウム・バ
ナジウム合金を、脛骨スリーブ（14）に、さらに、超高
分子量ポリエチレン（UHMWPE）を、脛骨面部（12）、軸
受（114）および膝蓋骨補装器とに使用することができ
る。同様に、ヒンジポスト（106）、ヒンジピン（116）
およびスナップリング（118）とは、コバルト・クロム
合金またはチタン合金で製造することができる。本発明
の人工関節に適用可能な他の形式の材料または組合わせ
は、当業者に自明であろう。

本発明の特定の実施態様について説明したが、本発明
の精神と範囲とにそむくことなく様々な変更を実行でき
ることは当業者によって了承されよう。例えば、関連運
動の小セグメント時に、支持面同士の相対転動を許容せ
しめるために、上記以外に様々なカム装置を使用するこ
とができる。

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A61F 2/38

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】伸展位置と、屈曲位置の間で運動可能な人
工関節であって、上記運動が、伸展位置と中間位置間に亘る小セグメントと、該中間位
置と屈曲位置間に亘る大セグメントとを含有している人
工関節であって、第１カム装置と、第１部分と第２部分とを具備してい
て、該第１部分の曲率が第２部分の曲率よりも小さい凸
状当接面とを有する第１要素と、第２カム装置と、第１部分と第２部分とを具備してい
て、該第１部分の曲率が第２部分の曲率よりも小さい凹
状当接面とを有する第２要素とを具備していて、上記関節運動の小セグメント時に、上記凸状当接面の第
１部分を上記凸状当接面の第１部分に係合させ、上記関節運動の大セグメント時に、上記凹状当接面の第
２部分を上記凸状当接面の第２部分に係合させ、かつ上
記第２部分同士が係合中に、上記関節が屈曲運動の固定
軸線の回りを移動し、さらに上記屈曲運動が、上記第２
部分間の転動を伴わない相対滑動によって発生し、上記第１および第２カム装置が、上記関節運動の小セグ
メント中に相互作用を行い、上記関節が伸展位置と中間
位置の間で移動する際に、上記相互作用に伴って上記凸
状当接面および上記凹状当接面が実質的に滑動すること
なく相対転動するので、上記両当接面間の接触線が上記
当接面の第２部分に向かって移動することを特徴とする
人工関節。
【請求項２】請求項１記載の人工関節において、上記凸
状当接面と凹状当接面の間の接触面積が、第１部分同士
の係合時よりも、第２部分同士の係合時に大きくなるこ
とを特徴とする人工関節。
【請求項３】請求項１記載の人工関節において、上記関
節運動の大セグメント中に、上記凹状および凸状当接面
の第２部分同士が係合することを特徴とする人工関節。
【請求項４】請求項３記載の人工関節において、上記凸
状および凹状当接面の第２部分の各々が段差面を形成し
ていることを特徴とする人工関節。
【請求項５】請求項４記載の人工関節において、上記凸
状および凹状当接面の第２部分が、実質的に上記関節の
全幅に亘る回転面であることを特徴とする人工関節。
【請求項６】請求項１記載の人工関節において、上記関
節運動の小セグメントが30°以下であることを特徴とす
る人工関節。
【請求項７】請求項１記載の人工関節において、上記第
１要素が、人工膝関節の大腿骨部を含有し、かつ上記大
腿骨部が外表面を有する本体を具備しており、上記外表
面が、上記補装器を大腿骨に移植した際に、前方に配置
される第１部分と、遠方に配置される第２部分とを有し
ており、上記外表面の第１部分が膝蓋骨補装器と係合可
能な凹部を具備しており、上記外表面の第２部分が上記
膝蓋骨補装器と係合可能な軌道を具備しており、上記軌
道が２本のレールを含有し、上記各レールの表面であっ
て、上記レールの縦軸線に直角な方向の断面形状が直線
または凹状曲線のいずれかであり、上記断面形状がレー
ルの全長に亘って一定であり、上記レールが上記凹部か
ら延出するとともに、上記各レール表面の断面形状が上
記レールと上記凹部との交点における上記凹部の表面の
断面形状に整合させてあるので、各レールの表面と上記
凹部の表面とが連接するようになることを特徴とする人
工関節。
【請求項８】請求項７記載の人工関節において、上記各
レールの断面形状が凹状であり、かつ円の一部分を構成
することを特徴とする人工関節。
【請求項９】請求項７記載の人工関節において、上記各
レールに対して、上記レールの縦軸線に直角な線に沿っ
て接触する膝蓋骨補装器を具備することを特徴とする人
工関節。
【請求項１０】請求項８記載の人工関節において、サド
ル形表面を有しており、かつ少なくとも軌道の一部分に
ついて、上記各レールで該レールの全長に亘って延出す
る区域と接触する膝蓋骨補装器を具備することを特徴と
する人工関節。
【請求項１１】請求項１記載の人工関節において、上記
第１要素が、人工膝関節の大腿骨部を含有しており、上
記第１要素が外表面を有する本体を含有しており、上記
外表面の一部分が、上記人工関節を大腿骨内に移植させ
た際に、遠方に配置されており、上記部分が、２本のレ
ールを有していてかつ膝蓋骨補装器と係合可能な軌道を
含有しており、さらに上記各レール表面の断面形状が、
上記レールの縦軸線と直角な方向に沿って、１）直線ま
たは凹形曲線のいずれか、および２）上記レールの全長
に沿って一定にしてあることを特徴とする人工関節。
【請求項１２】請求項11記載の人工関節において、上記
各レールの断面形状が凹状であり、かつ円の一部分を構
成することを特徴とする人工関節。
【請求項１３】請求項11記載の人工関節において、上記
各レールに対して、上記レールの縦軸線に直角な方向に
沿って接触する膝蓋骨補装器を合わせもつことを特徴と
する人工関節。
【請求項１４】請求項12記載の人工関節において、サド
ル形表面を有しており、かつ少なくとも軌道の一部分に
ついて、上記各レールで該レールの全長に亘って延出す
る区域と接触する膝蓋骨補装器を具備することを特徴と
する人工関節。
【請求項１５】１）第１当接区域と、上記第１当接区
域から延長する第２当接区域を有する凸状当接要素であ
って、上記第２当接区域が、第１軸線の回りの回転面で
あり、かつその曲率半径が、第１当接区域の曲率半径よ
りも小さい凸状当接要素と、２）上記第１当接区域と係合可能な第３当接区域と、
上記第３当接区域から延長し上記第２当接区域と係合す
る第４当接区域とを有する凹状当接要素であって、上記
第４当接区域が、第２軸線の回りの回転面であり、かつ
その曲率半径が、上記第３当接区域の曲率半径よりも小
さい凹状当接要素とを有する、二つの骨の間で屈曲運動
を付与する人工関節であって、上記第２当接区域の曲率半径が上記第４当接区域の曲率
半径と実質的に同一であるので、上記第２当接区域と上
記第４当接区域とが互いに一致して係合し、さらに上記第２当接区域と上記第４当接区域とを係合した際
に、上記関節の屈曲軸線が上記第１軸線と第２軸線に一
致することを特徴とする人工関節。
【請求項１６】１）第１当接区域と、上記第１当接区
域から延長する第２当接区域を有する屈曲当接面を有す
る大腿骨部であって、上記第２当接区域が、第１軸線の
回りの回転面であり、かつその曲率半径が、第１当接区
域の曲率半径よりも小さい大腿骨部と、２）第１当接区域と係合可能な第３当接区域と、第２
当接区域と係合可能であって上記第３当接区域から延長
する第４当接区域とを有する屈曲当接面を含有する脛骨
部であって、上記第４当接区域が、第２軸線の回りの回
転面であり、かつその曲率半径が、第３当接区域の曲率
半径よりも小さい脛骨部とを含有する人工膝関節であっ
て、上記大腿骨部の上記第２当接区域の曲率半径が上記脛骨
部の上記第４当接区域の曲率半径と実質的に同一である
ので、上記脛骨部の上記第４当接区域の回転面が、上記
大腿骨部の上記第２当接区域の回転面と一致して係合
し、さらに上記第２当接区域と上記第４当接区域とを係合した際
に、上記関節の屈曲軸線が第１軸線と第２軸線に一致す
ることを特徴とする人工膝関節。
【請求項１７】請求項15記載の人工関節において、上記
凸状当接要素と凹状当接要素の間の接触面積が、上記第
１当接区域と上記第３当接区域が係合した場合に比べ
て、上記第２当接区域と上記第４当接区域とを係合した
場合よりも大きくなることを特徴とする人工関節。
【請求項１８】請求項16記載の人工関節において、上記
大腿骨部と脛骨部との屈曲当接面間の接触面積が、上記
第１当接区域と上記第３当接区域とを係合した場合に比
べて、上記第２当接区域と上記第４当接区域が係合した
場合よりも大きくなることを特徴とする人工関節。
【請求項１９】伸展位置と、屈曲位置の間で運動可能な
人工関節にして、凸状当接面20と第１カム装置43を有する第１要素10にし
て、上記凸状当接面20は第１部分20bと第２部分20cを有
し、上記第１部分の湾曲率は上記第２部分の湾曲率より
も小さい第１要素10、凹状当接面34と第２カム装置41を具えた第２要素13を有
する人工関節において、上記第２要素13の凹状当接面34は第１部分34bと第２部
分34cを有し、上記第１部分34bの湾曲率は上記第２部分
34cの湾曲率よりも小さくなっており、上記人工関節の運動は上記伸展位置と中間位置間で延長
する小セグメント、及び上記中間位置と屈曲位置間で延
長する大セグメントからなり、上記第１要素10の凸状当接面20の第１部分20bは、上記
人工関節が小セグメントの運動を行う間に、上記第２要
素13の凹状当接面34の第１部分34bに当接するようにな
っており、上記第１要素10の凸状当接面20の第２部分20cは、上記
人工関節が大セグメントの運動を行う間に、上記第２要
素13の凹状当接面34の第２部分34cに当接するようにな
っていて、上記第２部分20c、34cが係合する場合に上記
人工関節は固定軸線を中心に回転し、この回転は上記第
２部分20c、34c相互が転動するのではなく、滑動するこ
とによって生じ、第１カム装置43と第２カム装置41は上記人工関節が小セ
グメントの運動を行う間に相互作用をし、この相互作用
によって上記凸状当接面20と凹状当接面34は、上記人工
関節がその伸展位置と中間位置間で運動する場合に実質
的に滑動することなく相互に転動し、もって上記凸状当
接面20と凹状当接面34間の接触線は当接面の上記第２部
分20c、34cに向けて移動することを特徴とする人工関
節。
【請求項２０】請求の範囲19記載の人工関節において、
上記第１要素10は人工膝関節の大腿骨部を、上記第２要
素13は人工膝関節の脛骨部を有し、上記第２要素13を脛骨内に移植した場合、上記第２要素
13の凹状当接面34の第１部分34bは前方に位置し、上記
凹状当接面34の第２部分34cは後方に位置することを特
徴とする人工関節。
【請求項２１】請求の範囲19、又は20記載の人工関節に
おいて、上記凸状当接面20と凹状当接面34間の接触区域
は上記第１部分20b、34bが係合しているときよりも、上
記第２部分20c、34cが係合している場合の方が大きいこ
とを特徴とする人工関節。
【請求項２２】請求の範囲19、20、又は21記載の人工関
節において、上記人工関節が大セグメントの運動を行う
間に上記凸状当接面20と凹状当接面34の上記第２部分20
c、34cは係合し続けることを特徴とする人工関節。
【請求項２３】請求の範囲19、20、21、又は22記載の人
工関節において、上記人工関節の大セグメント運動の角
度範囲は30°以下であることを特徴とする人工関節。
【請求項２４】請求の範囲19、20、21、22、又は23記載
の人工関節において、上記第１要素10の凸状当接面20は第３部分20dを有し、上記第２要素13の凹状当接面34は第３部分34dを有し、上記第３部分20d、34dは、上記人工関節が大セグメント
の運動を行う間は係合し続けることを特徴とする人工関
節。
【請求項２５】請求の範囲24記載の人工関節において、
上記第１要素10の凸状当接面20の第２部分20cと第３部
分20dは段差面を形成し、上記第２要素13の凹状当接面34の上記の第２部分34cと
第３部分34dは段差面を形成することを特徴とする人工
関節。
【請求項２６】請求の範囲24、又は25記載の人工関節に
おいて、上記第１要素10の凸状当接面20の第２部分20c
と第３部分20dは実質的に上記人工関節の幅一杯に延長
し、上記第２要素13の凹状当接面34の第２部分34cと第
３部分34dは実質的に上記人工関節の幅一杯に延長する
ことを特徴とする人工関節。
【請求項２７】請求の範囲19、20、21、22、23、24、2
5、又は26記載の人工関節において、上記第１要素10は
膝関節の大腿骨部を有し、上記第１要素10は同要素大腿
骨内に移植したときに一部分が遠方に位置する外表面を
具えた本体を有し、上記一部分は膝蓋骨補装器80、96に
係合する軌道84を有し、同軌道84は２個のレール88から
なり、上記レール88の長手方向軸線に関して横方向に見
た上記各レール88の表面の断面形状は、１）直線か凹状
曲線のいずれでもよく、そして２）上記レール88の長さ
に沿って一定であることを特徴とする人工関節。
【請求項２８】請求の範囲19、20、21、22、23、24、2
5、又は26記載の人工関節において、上記第１要素10は
人工膝関節の大腿骨部を具えており、上記第１要素10は
外面をもった本体を有し、同外面は第１部分と第２部分
をもっており、上記第１要素10を大腿骨内に移植したと
きに上記第１部分は前方に、上記第２部分は遠方に位置
するようになっており、上記外面の第１部分は上記膝蓋
骨補装器80、96と係合する凹部82を有し、上記外面の第
２部分は上記膝蓋骨補装器80、96と係合する軌道84を有
し、同軌道84は２個のレール88からなり、上記レール88
の長手方向軸線に関して横方向に見た上記各レール88の
表面の断面形状は、直線か凹状曲線のいずれでもよく、
そして上記レール88の断面形状は同レール88の長さに沿
って一定であり、同レール88は上記凹部82から延長し、
各レール88の表面の断面形状は同レール88と上記凹部82
が接する部分での上記凹部82の表面の断面形状に一致
し、もって上記各レール88の表面が上記凹部82の表面に
連続的に移行することを特徴とする人工関節。
【請求項２９】請求の範囲27、又は28記載の人工関節に
おいて、上記各レール88の断面形状凹状であって円の一
部分を構成することを特徴とする人工関節。
【請求項３０】請求の範囲27、28、又は29記載の人工関
節において、上記人工関節には膝蓋骨補装器80が設けら
れ、上記膝蓋骨補装器80は上記レール88の長手方向軸線
に関して横方向の線138に沿って上記各レール88に接触
することを特徴とする人工関節。
【請求項３１】請求の範囲29記載の人工関節において、
上記人工関節には膝蓋骨補装器96が設けられ、上記膝蓋
骨補装器96はサドル状の表面を有し、上記膝蓋骨補装器
96は上記軌道84の少なくとも一部分であって、上記レー
ル88の長さに沿って延長する区域140で上記各レール88
と接触することを特徴とする人工関節。
【請求項３２】２本の骨の間で屈曲運動を行わせる人工
関節にして、１）第１当接区域20bと上記第１当接区域20bにつながる
第２当接区域20cを有する凸状当接要素10であって、上
記第２当接区域20cは第１軸線を中心にして回転する回
転面であり、上記回転面は上記第１当接区域20bの曲率
半径R2よりも小さい曲率半径R3をもった凸状当接要素1
0、及び（２）上記第１当接区域20bに当接する第３当接
区域34bと、上記第３当接区域34bから延長して上記第２
当接区域20cに係合する第４当接区域34cを具えた凹状当
接要素13を有し、上記第４当接区域34cは第２軸線を中
心にして回転する回転面であり、上記回転面は上記第３
当接区域34bの曲率半径よりも小さい曲率半径R3をもっ
ている人工関節において、上記第２当接区域20cの曲率半径R3は上記第４当接区域3
4cの曲率半径R3と実質的に同一なので、上記第２当接区
域20cと第４当接区域34cは相互に密着して係合し、上記人工関節の屈曲軸線は、上記第２当接区域20cと第
４当接区域34cが係合した場合には、上記第１軸線と第
２軸線に一致することを特徴とする人工関節。
【請求項３３】請求の範囲32記載の人工関節において、
上記凸状当接要素10と上記凹状当接要素13間の接触区域
は、上記第１当接区域20bと第３当接区域34bが係合して
いる場合よりも上記第２当接区域20cと第４当接区域34c
が係合している場合の方が大であることを特徴とする人
工関節。
【請求項３４】請求の範囲32、又は33記載の人工関節に
おいて、上記第３当接区域34bの曲率半径は上記第１当
接区域の曲率半径R2よりも大であることを特徴とする人
工関節。
【請求項３５】請求の範囲32、33、又は34記載の人工関
節において、上記人工関節は膝関節であり上記凸状当接
要素10は大腿骨部であり、上記凹状当接要素13は脛骨部
であることを特徴とする人工関節。