JP2778555B2 - レーザダイオード励起固体レーザ装置 - Google Patents

レーザダイオード励起固体レーザ装置

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JP2778555B2 JP7268629A JP26862995A JP2778555B2 JP 2778555 B2 JP2778555 B2 JP 2778555B2 JP 7268629 A JP7268629 A JP 7268629A JP 26862995 A JP26862995 A JP 26862995A JP 2778555 B2 JP2778555 B2 JP 2778555B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザダイオードの
出力光を励起光源とする固体レーザ装置に関し、特に、
固体レーザ装置の冷却構造およびレーザ発振器の発振構
造に改良を行った固体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】YAG(イットリウムアルミニウムガー
ネット),チタン酸サファイア,ルビー等の固体レーザ
結晶を励起光源の出力光により励起状態としてレーザ発
振を行う固体レーザ装置では、全反射ミラーと出力ミラ
ーとの間に配置した円柱状もしくはスラブ状の固体レー
ザ結晶の端面に励起光を照射し、全反射ミラーと出力ミ
ラーとの間で光を増幅することによりレーザ光を得てい
る。
【0003】レーザ光を安定とするためには、全反射ミ
ラーと出力ミラーの位置関係を精度良く保つ必要があ
り、このため、これらの各ミラーは熱的、機械的に安定
であり、堅牢な構造で保持される。
【0004】米国特許4,730,335号には全反射
ミラー(本公報に開示される例では、固体レーザ結晶の
端面に直接全反射コーティングが施されている),固体
レーザ結晶,出力ミラーは、それぞれ異なる保持部に固
定され、各固定部を嵌め合わせ等により堅固に固定する
例が開示されている。
【0005】図2はレーザダイオードを励起用光源とし
て用いるレーザダイオード励起固体レーザ装置の従来例
の構造を示す断面図である。
【0006】発振器筺体103は、出力ミラー106、
固体レーザ結晶102、全反射ミラー105およびレー
ザダイオード集光光学系104を一体的に保持してい
る。固体レーザ結晶102には発振器筺体103に取り
付けられたレーザダイオード100が出射するレーザ光
がレーザダイオード集光光学系104を介して入射され
る。固体レーザ結晶102は、入射されたレーザダイオ
ードのレーザ光により励起状態となってレーザ光を放出
する。この放出されたレーザ光は該レーザ光に対してハ
ーフミラーに形成された出力ミラー106と全反射ミラ
ー105との間で共振し、出力ミラー105より外部
(図面左方向)に放出される。なお、全反射ミラー10
5はレーザダイオードー100の出力光に対しては透過
性を持つように形成されている。
【0007】発振器筺体103の材質としては、装置自
体が発熱することから熱膨張係数の小さなスーパーイン
バーが用いられる。熱膨張係数の小さな材質を用いるこ
とにより熱的影響を受けにくいものとし、発振器を構成
する各部材の配置に狂いが生じることを防止し、発振器
出力の安定化を図っている。また、さらなる熱的安定化
を図るために、図2中の右側部分に示されるような放熱
フィン110を形成することもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のレーザ
ダイオード励起固体レーザ装置においては、発振器を構
成する各部材をスーパーインバーにて形成された発振器
筺体により保持しているために、以下のような問題点が
発生する。
【0009】固体レーザ結晶をレーザダイオードにより
励起する場合、固体レーザ結晶はレーザダイオードの出
力光を吸収して発熱する。固体レーザ結晶を保持する発
振器筺体は熱膨張係数の小さなスーパーインバーが用い
られるが、スーパーインバーは熱膨張係数が小さいと同
時に熱伝導率も低いため、固体レーザ結晶内に発生した
熱は放出されることなく蓄積してしまい、固体レーザ結
晶に熱歪みが生じてその状態が変化してレーザ出力が不
安定になり、さらに蓄熱が大きくなった場合には破壊さ
れてしまうという問題点がある。
【0010】上記のような問題点を解決するためには、
発振器筺体を熱伝導率の高い材質にて形成することが考
えられる。熱伝導率の高い材質としては金、銀、銅等の
純金属があるが、純金属は一般に熱膨張係数が大きなた
め、筺体全体を形成する材質としては使用することがで
きない。
【0011】本発明は上述したような従来の技術が有す
る問題点に鑑みてなされたものであって、発振器を構成
する各部材を、熱的、機械的に安定な状態に置くことに
より出力安定性が向上されたレーザダイオード励起固体
レーザ装置を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明のレーザダイオー
ドが出力する励起光を共振器内に設置された固体レーザ
結晶に照射してこれを励起状態とすることにより発振を
行うレーザダイオード励起固体レーザ装置において、前
記固体レーザ結晶および共振器を構成する全反射ミラー
および出力ミラーのそれぞれが異なる保持部材によって
保持され、前記固体レーザ結晶の保持部材は全反射ミラ
ーおよび出力ミラーの保持部材よりも熱伝導率の高い材
質にて形成され、全反射ミラーおよび出力ミラーの保持
部材は前記固体レーザ結晶の保持部材よりも熱膨張係数
の小さな材質にて形成されていることを特徴とする。
【0013】この場合、前記固体レーザ結晶、全反射ミ
ラーおよび出力ミラーの各保持部材には、これらを組み
合せたときの位置決め機構が嵌合により形成されると
てもよい。
【0014】「作用」上記のように構成される本発明の
レーザダイオード励起固体レーザ装置においては、励起
光により発熱する固体レーザ結晶の保持部材については
熱伝導率が高い材質とされているので、放熱が良好とな
り固体レーザ結晶に熱が蓄積することはない。
【0015】また、共振器を構成する出力ミラーと全反
射ミラーについては熱膨張係数が小さな材質とされてい
るので、固体レーザ結晶の発熱により各ミラーの位置に
狂いが生じることはない。
【0016】位置決め機構を設けたものにおいては、固
体レーザ結晶を含む共振器の配置を精度良く位置決めす
ることが可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例について図
面を参照して説明する。
【0018】図1は本発明によるレーザダイオード励起
固体レーザ装置の一実施例の構造を示す断面図である。
【0019】本実施例においては、発振器を構成する出
力ミラー6、全反射ミラー5および発振器内に設置され
る固体レーザ結晶2のそれぞれは、独立に形成された出
力ミラー保持部8、全反射ミラー保持部7および結晶保
持部3に保持され、レーザダイオード1およびレーザダ
イオード集光光学系4はレーザダイオード固定ホルダ9
によって保持されており、これらの各保持部およびホル
ダと放熱用の放熱フィン10を不図示の組み合せ用部材
により一体的に組み合わせることにより装置が構成され
る。図1には組み合わされる前の状態を示している。
【0020】発振器を構成する各部材の保持部のうち、
固体レーザ結晶2を保持する固体レーザ結晶保持部3の
みが熱伝導率が高い銅により形成され、出力ミラー保持
部8、全反射ミラー保持部7およびレーザダイオード固
定ホルダ9は熱膨張率の小さなスーパーインバーにて形
成されている。また、発振器を構成する各部材には高い
位置決め精度が要求されるため、各保持部には位置決め
機構が設けられている。
【0021】上記の位置決め機構として全反射ミラー保
持部7には複数の支柱11(図1には2本示されてい
る)が設けられ、結晶保持部3には該支柱11を通すた
めの貫通孔が設けられ、出力ミラー保持部8には結晶保
持部3の貫通孔から突出した支柱11の先端部と嵌合す
る嵌合穴が設けられている。このような位置決め機構を
設けることにより固体レーザ結晶を含む共振器の配置を
精度良く位置決めすることが可能となり、組立が容易な
ものとなっている。
【0022】上記のように構成された本実施例の動作に
ついて説明する。
【0023】レーザダイオード1が出射するレーザ光は
レーザダイオード集光光学系4および全反射ミラー5を
透過して固体レーザ結晶2に集光する。これにより励起
状態となった固体レーザ結晶2はレーザ光を放出し、該
放出光は出力ミラー6を全反射ミラー7との間で増幅さ
れてレーザ発振がなされる。
【0024】上記のレーザ発振仮定において、レーザダ
イオード1より出射され、固体レーザ結晶2に集光され
た励起光は固体レーザ結晶2に吸収される。吸収された
励起光は約30%が固体レーザ発振光となり出力ミラー
6より外部へ放出される。励起光の残りの約70%が固
体レーザ結晶2内で熱となり、結晶保持部3を介して外
部に放熱される。結晶保持部3には、図示するようにそ
の周囲に放熱を良好とするためにフィンが形成されてい
る。
【0025】本実施例においては、結晶保持部3は熱伝
導率が高い銅により形成されているため、放熱を良好に
行うことができ、固体レーザ結晶2に蓄熱による歪みの
発生および破壊の発生を防止することができた。また、
発振器を構成するうえで最も重要となる出力ミラー6と
全反射ミラー5については熱膨張率が小さく、熱的変動
にも形状が安定したスーパーインバーにて形成された出
力ミラー保持部8と全反射ミラー保持部7にそれぞれ保
持されるためその出力光が安定したものとなった。
【0026】なお、上述した実施例においては結晶保持
部3を形成する熱伝導率の高い部材として銅を用いるも
のとして説明したが、これに限定されることはなく、例
えば、金、銀等の金属やセラミック等の材質にて形成し
てもよい。また、出力ミラー保持部8と全反射ミラー保
持部7を形成する熱膨張率が小さな部材としてはスーパ
ーインバーの他にSUS等を用いることができ、これに
ついても特に限定されるものではない。
【0027】また、発振器に対して励起光を出射するレ
ーザダイオードについて、その固定ホルダが共振器と組
み合わされて一体とされる例について示したが、励起用
光源については特に一体とする必要はなく、全体構成は
本実施例に限定されるものではない。
【0028】
【発明の効果】本発明は以上説明したように構成されて
いるので、以下に記載するような効果を奏する。
【0029】請求項1に記載のものにおいては、固体レ
ーザ結晶の放熱が良好となり、熱が蓄積することが無く
なるうえに固体レーザ結晶の発熱により発振器を構成す
る出力ミラーおよび全反射ミラーの位置に狂いが生じる
ことが無くなるため、出力安定性を向上することができ
る効果がある。
【0030】請求項2に記載のものにおいては、上記効
果に加えて、生産性を向上することができる効果があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す断面図である。
【図2】従来例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 レーザダイオード 2 固体レーザ結晶 3 結晶保持部 4 レーザダイオード集光光学系 5 全反射ミラー 6 出力ミラー 7 全反射ミラー保持部 8 出力ミラー保持部 9 レーザダイオード固定ホルダ 10 放熱フィン 11 支柱

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザダイオードが出力する励起光を共
    振器内に設置された固体レーザ結晶に照射してこれを励
    起状態とすることにより発振を行うレーザダイオード励
    起固体レーザ装置において、 前記固体レーザ結晶および共振器を構成する全反射ミラ
    ーおよび出力ミラーのそれぞれが異なる保持部材によっ
    て保持され、 前記固体レーザ結晶の保持部材は全反射ミラーおよび出
    力ミラーの保持部材よりも熱伝導率の高い材質にて形成
    され、 全反射ミラーおよび出力ミラーの保持部材は前記固体レ
    ーザ結晶の保持部材よりも熱膨張係数の小さな材質にて
    形成されていることを特徴とするレーザダイオード励起
    固体レーザ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のレーザダイオード励起固
    体レーザ装置において、 前記固体レーザ結晶、全反射ミラーおよび出力ミラーの
    各保持部材には、これらを組み合せたときの位置決め機
    構が嵌合により形成されていることを特徴とするレーザ
    ダイオード励起固体レーザ装置。
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