JP2778439B2 - 図形認識装置 - Google Patents

図形認識装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は線図形を認識する図形
認識装置に関するものであり、特にデジタイザやタブレ
ットを用いた手書き図形の認識装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、光学的手段で図面を読みとる図
面読みとり装置や、デジタイザやタブレットを用いた対
話的図面入力装置において、図形を認識する場合に、図
形を構成する線を直線や円弧といった基本的な線種の区
間に分割する点(特徴点と呼ぶ)で細分化し、その区間
の線種や特徴点の位置を特定する事によって図形認識を
行うようにしている。
【0003】そのためには、特徴点に挟まれた区間の線
種を判別する必要がある。
【0004】従来、線種を判定するために、次のような
手段がとられている。
【0005】例えば、特開昭63−276182号公報
に記載されているように、点列化された各点を結ぶベク
トル間のなす仰角を移動平均法により平滑化処理を施し
た全曲率関数において、傾きのある直線区間を円弧と
し、水平な直線区間を直線として判別するものがある。
この公報に記載された図形近似装置では、屈曲点付近や
直線と円弧の接続点の付近を補正する事により、平均化
処理の影響による丸まりを軽減をはかっている。この公
報には図形の近似を行う実施例が示されているが、特徴
点や線分の種類と所定の辞書データとの整合性を計算す
る手段を追加する事により図形認識も行う事ができる。
【0006】以降は図形認識を行う動作例について説明
する。
【0007】図を用いて説明する。図3は、従来例の一
実施例を示すブロック図である。
【0008】図3を参照すると、この実施例は、光学的
手段などにより図形を読みとる図形入力手段101と、
読みとられた図形の点列化を行う点列読みだし手段10
2と、点列読みだし手段102から入力される点データ
のうち、所定距離以上離れた点毎にサンプル点として出
力する間引き手段103と、所定の個数分のサンプル点
データを順次記憶する点データ記憶手段104と、点デ
ータ記憶手段104中の点データから屈曲点や変曲点を
抽出する特徴点抽出手段105と、点データ記憶手段1
04中の連続する点データを結ぶ方向と一定の基準方向
とのなす角(全曲率と呼ぶ)をもとめる全曲率算出手段
151と、特徴点抽出手段105の出力する連続した特
徴点間の各サンプル点に対応する全曲率から線種を判定
する線種判定手段152と、特徴点抽出手段105の出
力する特徴点位置と、線種判定手段152の出力する線
種に基づき図形の形状を認識する図形形状判定手段10
8と、図形形状判定手段108の出力する認識結果をデ
ィスプレイなどに表示する認識結果表示手段109から
構成される。
【0009】次に、図3を参照して、従来例の動作につ
いて説明する。
【0010】光学的手段で図面を読みとる図面読みとり
装置の場合と、デジタイザやタブレットを用いた対話的
図面入力装置の場合は、図形入力手段101と、点列読
みだし手段102の処理内容が多少異なるため、それぞ
れに説明する。
【0011】光学的手段で図面を読みとる図面読みとり
装置の場合は、図形入力手段101は、例えばCCDセ
ンサにより図面をイメージデータに変換して、点列読み
だし手段102に供給する。例えばプログラム制御によ
り動作する点列読みだし手段102は、細線化処理を行
うことにより図面のイメージデータを連続する点列デー
タに変換する。
【0012】一方、デジタイザやタブレットを用いた対
話的図面入力装置の場合は、図形入力手段101は、例
えば抵抗皮膜センサにより人間の筆跡を座標値などを含
む点データに変換して、点列読みだし手段102に供給
する。この場合、点列読みだし手段102は、一定時間
毎に図形入力手段101から点データを読みだす。
【0013】これ以降の部分については、ほとんど同じ
処理となるので一括して説明する。なお、これ以降の手
段は記述のある場合をのぞき、プログラム制御により構
成されているものとする。
【0014】間引き手段103は、点列読みだし手段1
02より入力された点データと、点データ記憶手段10
4に対して最後に出力したサンプル点との距離を求め、
その距離が所定の閾値以下の時はその点を破棄し、所定
の閾値以上の時はその点をサンプル点として、点データ
記憶手段104に出力する。
【0015】点データ記憶手段104は、例えばRAM
で構成されたFIFOであり、所定個数分の点データを
順次記憶する事ができる。所定個数を越えた点データを
入力された場合は、古い点データから順に捨てられる。
【0016】特徴点抽出手段105における特徴点の判
断方法は、全曲率算出手段151の出力について、反復
端点あてはめ法により特徴点を抽出している。
【0017】全曲率抽出手段151は、点データ記憶手
段104中の連続する点データを結ぶ方向と一定の基準
方向とのなす角θ(全曲率と呼ぶ)をもとめ、前後n個
の以内の点における全曲率θとの算術平均、すなわち移
動平均法による平滑化処理が行われる。このようにして
得られる全曲率Ε(θ)を線種判別手段152に出力す
る。
【0018】線種判別手段152では、特徴点抽出手段
105の出力する連続した特徴点間の各サンプル点に対
応する全曲率算出手段151の出力する全曲率の平均的
な傾きを求め、この平均的な傾きの絶対値が一定の範囲
内の時はその特徴点に挟まれた区間を円弧と判断し、傾
きの絶対値が殆ど0である時はその特徴点に挟まれた区
間を直線と判断する。
【0019】図形形状判定手段108は、特徴点抽出手
段105で特徴点と判定された特徴点位置と、線種判別
手段152で判別された線分の種類に基づき、認識対象
の図形カテゴリ毎に予め定義してある認識辞書データと
の整合を求め、その整合の度合いにより図形の形状を認
識し、その結果を認識結果表示手段109に供給する。
【0020】認識結果表示手段109は、認識結果の図
形を表示する。なお、この認識結果を元に図形の形状や
線種などを修正するなどして清書させる事も可能であ
る。
【0021】特徴点の抽出方法に関しては、ほかにも特
公平4−62107号公報のように、点データ記憶手段
104中のサンプル点を結ぶベクトルのなす仰角に基づ
き特徴点らしさを算出する方法がある。仰角の大きさが
所定の閾値以上の時に特徴点と判断しても良いし、隣合
う仰角の差が大きいときに特徴点と判断しても良い。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】図形入力手段101に
おいて、光学的読みとり装置を使う場合は、CCDセン
サの出力するアナログ波形を2値化するときにエッジノ
イズと呼ばれるランダムノイズが発生する。
【0023】また、タブレットなどの人間の手書きの軌
跡を読みとる装置を使う場合も、手ぶれなどのランダム
ノイズが発生する。さらに、特にLCDとタブレットを
一体化した表示一体型のタブレットの場合には、LCD
の出す電磁波の影響などでバーストノイズが発生する。
【0024】ここで、ランダムノイズとバーストノイズ
の含まれた図形入力手段101の出力結果の例を、模式
的に図4(a)に示す。
【0025】そこで上述した従来の図形認識装置では、
間引き判定手段103において図形入力時のノイズによ
る影響を排除するのに十分な長さの距離を閾値として用
いたり、全曲率算出手段152において移動平均法で用
いる点の個数(n)を調整するなど、ノイズの状態に合
わせて調節を行っている。
【0026】しかしながら、かかる方法では調整が難し
く、十分にノイズの影響が除去できない事がある。
【0027】すなわち、間引き処理での調節の場合は、
ノイズ除去能力を大きくするために、間引き距離を大き
くしすぎると、線種判定に用いる事のできるサンプル点
数が減少し、そのため線種判定の信頼性が減少する。ま
た、真の特徴点の付近の点が間引かれ、特徴点の位置が
ずれて正しく形状の補正をした清書ができなかったり、
特徴点らしさが低く算出され特徴点数や線種を誤る原因
ともなる。
【0028】図4(b)に示すように、ランダムノイズ
だけを除去するような長さの距離を閾値として設定する
と、間引き判定手段でバーストノイズを除去できず、そ
の位置を特徴点と誤認識する。
【0029】また、図4(c)に示すように、バースト
ノイズをも除去するような長さの距離を閾値として設定
すると、真の特徴点付近の点を間引いてしまうことがあ
るため、点データ記憶手段104中の隣合うサンプル点
を結ぶベクトル間のなす仰角が小さくなり、特徴点抽出
手段105において、特徴点らしさを低く算出してしま
う。特に、鈍角の特徴点の場合は特徴点として認識でき
ない事もある。
【0030】また、移動平均法での調節の場合は、ノイ
ズ除去能力を大きくするために、平滑化に用いる点の個
数(n)を多くしすぎると、平滑化されすぎて円弧以外
の曲線を円弧と誤認識したり、短い線分の線種判定が困
難になったりする。
【0031】移動平均法によって得られる全曲率関数
は、ノイズの少ない場合には、例えば図5(a)に示す
ようになり、入力した図形の直線部に対応する部分は水
平な線になり、入力した図形の円弧状の曲線部に対応す
る部分は傾きのある直線になる。
【0032】さらに、入力した図形の円弧以外の曲線部
に対応する部分は、曲線もしくは折れ線状になる。
【0033】しかしながら、バーストノイズなどが除去
できないほど発生した場合には、例えば図5(b)に示
すように、入力した図形の線種と全曲率関数の特徴の上
記した関係が抽出困難になったり、失われたりしてしま
う。
【0034】
【課題を解決するための手段】上述した問題点を解決す
るための、本発明による図形認識装置は、2つの特徴点
に挟まれた区間の点列を順に着目点とし、一方の特徴点
からその着目点を経て他方の特徴点に到る2つの線分の
なす仰角の値を求めて記憶する離間仰角記憶手段と、前
記離間仰角記憶手段中の前記仰角の最頻値と分散とを求
めて、前記分散が所定の第1の閾値以下でかつ前記最頻
値の絶対値が所定の第2の閾値以下の時にはその区分を
直線とし、前記分散が前記第1の閾値以下でかつ前記最
頻値の絶対値が前記第2の閾値より大きい時にはその区
間を円弧とし、前記分散が前記第1の閾値より大きい時
にはその区間を円弧以外の曲線と判定する線種判別手
段、もしくは、前記離間仰角記憶手段中の両特徴点近傍
を除く点に対応する前記仰角の最頻値と分散とを求め
て、前記分散が前記第1の閾値以下でかつ前記最頻値の
絶対値が前記第2の閾値以下の時にはその区間を直線と
し、前記分散が前記第1の閾値以下でかつ前記最頻値の
絶対値が前記第2の閾値より大きい時にはその区間を円
弧とし、前記分散が前記第1の閾値より大きい時にはそ
の区間を円弧以外の曲線と判定する線種化判別手段とを
備える。
【0035】
【実施例】本発明について図面を参照して、説明する。
【0036】図1は、本発明の実施例を示すブロック図
である。
【0037】図1を参照すると、本発明の実施例は、図
3に示した従来例と以下の点が異なる構成をしている。
【0038】この実施例は、点データ記憶手段104の
出力する点データを入力される従来の全曲率算出手段1
51に代わり、点データ記憶手段104の出力する点デ
ータと特徴点抽出手段105の出力する特徴点を入力さ
れる離間仰角記憶手段106を備え、特徴点抽出手段1
05の出力する特徴点と全曲率算出手段151の出力す
る全曲率を入力される従来の線種判別手段152に代わ
り、離間仰角記憶手段106の出力を入力される線種判
別手段107を備える。
【0039】なお、離間仰角記憶手段106と、線種判
別手段107は、例えばプログラム制御により動作す
る。
【0040】次に、図1と図2を参照して、この実施例
の動作のうち前記した従来例と異なる部分に関係する動
作について説明する。
【0041】離間仰角記憶手段106は、図形認識装置
に入力された点列の軌跡に従って連続する1組の特徴点
を特徴点抽出手段105から入力され、その2つの特徴
点に挟まれた点列を点列データ記憶手段104から入力
される。
【0042】そして、図2に示すように2つの特徴点に
挟まれた各点について、一方の特徴点Bから各点列a〜
kを経て、他方の特徴点Cに到る線分のなす仰角(以
下、離間仰角と呼ぶ)を求める。さらに、離間仰角は0
〜180°に正規化されたのち記憶される。
【0043】線種判別手段107は、離間仰角記憶手段
106に記憶されている特徴点近傍に対応する離間仰角
を除く各離間仰角の分散と最頻値を求める。
【0044】そして、離間仰角の分散が所定の第1の閾
値以下でかつ最頻値の絶対値が所定の第2の閾値以下の
時には、その2つの特徴点に挟まれた区間を直線と判断
する。また、離間仰角の分散が所定の第1の閾値以下で
かつ最頻値の絶対値が所定の第2の閾値より大きい時に
は、その2つの特徴点に挟まれた区間を円弧以外の曲線
と判断する。
【0045】そのようにして判定した線種を図形形状判
定手段108に出力する。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による図形
認識装置では、2つの特徴点に挟まれたサンプル点と両
特徴点とを結ぶ2つのベクトルのなす仰角を元に線種判
別を行う。特徴点間のサンプル点と特徴点とを結ぶベク
トルは、隣合うサンプル点を結ぶベクトルに比べて非常
に長いので、サンプル点の位置変動があっても仰角の変
動は小さい。すなわち、ランダムノイズの影響を比較的
受けない。
【0047】さらに同じ理由から、同じ解像度の入力図
形から仰角を高精度に求めることができる。
【0048】また、これらの仰角の分散と最頻値をとる
ことにより線種判定を行うので、発生頻度の少ないバー
ストノイズの影響を比較的受けない。
【0049】このためランダムノイズやバーストノイズ
に比較的影響されない、良好な線種判定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による図形認識装置の実施例を示すブロ
ック図である。
【図2】図1に示す離間仰角記憶手段106を説明する
ための図である。
【図3】従来の図形認識装置の例を示すブロック図であ
る。
【図4】図3に示す間引き手段103の出力の例を示す
図である。
【図5】図3に示す全曲率算出手段152の出力の例を
示す図である。
【符号の説明】
101 図形入力手段 102 点列読みだし手段 103 間引き手段 104 点データ記憶手段 105 特徴点抽出手段 106 本発明による離間仰角記憶手段 107 本発明による線種判別手段 108 図形形状判定手段 109 認識結果表示手段 151 従来例による全曲率算出手段 152 従来例による線種判別手段

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力された線図形を点データの並びに変
    換し、前記点データの並びから特徴点を算出し、基本的
    な線種と見なせる区間に前記特徴点を境に前記線図形を
    分割し、前記特徴点の位置関係や前記区間の線種を補正
    することにより前記線図形を近似する、あるいは前記特
    徴点や前記区間の線種と所定の辞書データとの整合性を
    計算することにより前記線図形の種類を認識する図形認
    識装置において、 前記区間の1つを着目区間、前記着目区間の点列を順に
    着目点とし、前記着目区間を挟む2つの特徴点から前記
    着目点へ向かう2つの線分のなす仰角の値を求めて記憶
    する離間仰角記憶手段と、 前記離間仰角記憶手段中の前記仰角の代表値と散布度と
    を求めて、散布度が所定の第1の閾値以下でかつ代表値
    の絶対値が所定の第2の閾値以下の時には着目区間を直
    線とし、散布度が所定の第1の閾値以下でかつ代表値の
    絶対値が所定の第2の閾値2より大きい時には着目区間
    を円弧とし、散布度が所定の第1の閾値より大きい時に
    は着目区間を円弧以外の曲線と判定する線種判別手段
    と、 を備える事を特徴とする図形認識装置。
  2. 【請求項2】 前記線種判別手段が、前記着目区間に対
    応する前記代表値と前記散布度を求める時に、前記着目
    区間を挟む前記両特徴点近傍を除く点を前記着目点とし
    て使用する事を特徴とする請求項1記載の図形認識装
    置。
  3. 【請求項3】 前記線種判別手段が、前記代表値として
    最頻値を、前記散布度として分散を使用する事を特徴と
    する請求項1ないし2記載の図形認識装置。
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