JP2777131B2 - 回転運動を直線運動に変換する機構 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、一般産業機械、搬送機械、事務機器、自動
装置、ロボット等、多方面にわたって適用される回転運
動を直線運動に変換する機構に関する。 〔従来の技術〕 直丸棒（以下丸棒と称す）を回転させ、その丸棒に貫
通された片体を丸棒に沿って相対運動させる機構で、従
来、一般に採用されているものは、丸棒と片体内丸孔に
同一のピッチのねじをきった所謂スクリュウ・ナット機
構、丸棒と片体内丸孔に同一ピッチの螺旋溝を穿ち、両
溝の間に片体に設けられた循環機構によって循環可能な
ボールを連ねた所謂リニヤーボールスクリュウ機構、あ
るいは、片体に取り付けられた傾斜したベアリングやロ
ーラーを丸棒に押し付けて作動させる方法等、種々の機
構が発明されてきた。いずれも、丸棒が片体のいずれか
一方を回転させ、他方の回転を拘束して置くと、片体と
丸棒とがそれらの軸に沿って相対直線運動するものであ
る。 近年、この種の機構の用途が急速に広がってきた。本
発明もまた、この種のものであるが、上例の諸機構にお
けるが如き、ねじや溝、あるいはベアリングやローラー
等の破損や摩耗、給油の必要、作動時の騒音が全く無
く、さらに、従動部に外部からある大きさ以上の力が事
故的に加わった時でも、なんら損傷を受けることなく作
動が止まるという安全性を兼ね備えた機構を提供するも
のである。 〔発明が解決しようとする課題〕 本発明の機構は、一般に精密作動の観点より考えれ
ば、スクリュウ・ナット機構やリニヤーボールスクリュ
ウ機構より劣る危険性は若干あるとしても、機械の簡素
性において優れており、製造コストの安い機構を提供す
るものである。 〔課題を解決するための手段〕 本発明は、磁石帯を螺旋状に一定ピッチで巻き付けた
所の非磁性体の丸棒と、上記と同様、磁石帯を螺旋状に
同じピッチで丸孔内面に巻き付けられた非磁性体の片体
とより成り、これら磁石帯は互いに吸引するような磁力
方向と磁力方位を持たせ、かつ、丸棒と片体とは相対直
線運動ができるような嵌め合い条件になっており、丸棒
を回転させ、その丸棒に貫通された片体が丸棒の回転に
従って回転することなく、丸棒の直線上に沿って相対運
動し、かつこの相対直線運動を妨害する外力に対抗しう
る限度が磁力帯の磁力を加減することによって設定され
た機構である。 本発明における嵌め合い条件とは、丸棒と片体との接
触、非接触のいずれをも含むものである。 〔発明の実施の形態〕 第１図は、本発明にかかわる機構例の部品図である。
丸棒（１）と片体（２）とからなり、非磁性体の丸棒
（１）には、ある一定ピッチの螺旋状に磁石帯（３）が
巻き付けてあり、また、非磁性体の片体（２）の丸孔内
面にも、同じ一定ピッチの螺旋状の磁石帯（４）が巻き
付けてある。磁石帯（３）と（４）の磁力方向は、帯の
厚さ方向、幅方向のいずれでも良いが、互いに逆向きと
して、吸引し合うように設定してある。 磁石帯（３）と（４）の幅は等しいのが好ましい。ま
た、丸棒（１）と片体（２）の丸孔とは、それが軸方向
に相対直線移動できるような嵌め合い条件に置かれてい
る。更に、前記相対直線運動を妨害する外力に対抗しう
る限度が磁力帯の磁力を加減することによって設定され
るので、機構の安全性に優れる。 第２図は、第１図に例示した部品等の組み立て立体図
である。図より判る如く、非磁性体の片体（２）に非磁
性体の丸棒（１）を挿入し、丸棒（１）を同軸配置のモ
ーター（５）によって回転させると、片体（２）は、そ
れに取り付けられたガイドレール（６）を貫通させる角
孔によって回転が拘束されているので、磁石帯（３）と
（４）の吸引効果によって、ガイドレール（６）で案内
されながら、丸棒（１）を貫くようにして移動する。丸
棒（１）の回転方向を交互に変更することにより、上記
移動は往復移動とすることができる。 なお、丸棒（１）とモータ（５）の伝達は必ずしもカ
ップリング等を用いた同軸配置のみならず、ベルト伝達
等でもよい。 第２図の例とは異なり、丸棒（１）が回転できないよ
うに拘束し、片体（２）を回転させることにより、丸棒
（１）が、軸方向に直線移動することも可能である。な
お、磁石帯（３）と（４）の磁力方位を同じとして、双
方が反発できるようにしても、本機構の作動は可能であ
る。回転速度と直線移動速度との関係は磁石のピッチに
より定まる。 第３図は、さらに改良された部品の例示である。図に
於いて、符号（１），（２），（３），（４）は、第１
図に於けるものと同じであるが、磁石帯（３）と（４）
の磁力方向はそれらの厚さ方向としておかなければなら
ない。磁石帯（３）と（４）のピッチ間隔に、磁力方位
を逆にした磁石帯（３′）（４′）を巻き付けてある。
磁石帯（３′）（４′）の全ての関係は、磁石帯（３）
と（４）との関係と全く同様である。 第３図に示した非磁性体の丸棒（１）と非磁性体の片
体（２）とを組み立てた場合、磁石帯（３）と
（４′）、ならびに磁石帯（４）と（３′）の反発作用
によって、磁石帯（３）と（４）との吸引が確実とな
り、第１図、第２図の例の場合より、より正確に作動す
る。 また、たとえ磁石帯（３′）は巻かれているが磁石帯
（４′）が無い場合や、その逆の場合でも、第１図、第
２図に例示した場合よりも、なお正確に作動する。 第４図は、上述した機構例の部品図である。図に於い
て符号（１），（３），（４），（３′），（４′）
は、第３図に於けるのと同じであるが、片体（2a）は、
その丸孔と共にその軸方向の面で切断されており、その
結果、磁石帯（４），（４′）も切断されている。 第５図は、第４図に例示した部品等の組み立て実施例
の立体図である。図に於いて、符号（１），（2a），
（５）は、第２図と第４図に於けるのと同じである。こ
の図に於いて、片体（2a）は、レール（７）によって、
丸棒（１）の軸方向に移動案内される車輪（８）に支え
られ、かつ、車輪（８）によって回転を拘束されてい
る。 第５図に例示した組み立て構造では、丸棒（１）の周
辺の片側を広く空けられ、また、組み立て据え付け後で
も、片体（2a）を取外すことが極めて容易である。 丸棒（１）、片体（２）や（2a）の材質は非磁性体を
用いるが、18−８ステンレス鋼、アルミニュウム、合成
樹脂等の非磁性体が一般的である。 本発明にかかる機構の適用は、一般産業機械、搬送機
械、事務機器、自動装置、ロボット等、多様にわたる
が、以下2,3例示する。 第６図は、シリンダーロッドへの適用例の立体図であ
る。ケース（９）の中には丸棒（10）と片体（11）が格
納されている。片体（11）は、歯車（12）を介してモー
タ（13）によって回転する。丸棒（10）は、その一端が
ケースより突き出ている。他端は、支え板（14）によっ
て支えられている。支え板（14）が平板ガイド（15）上
を摺動するので、丸棒（10）は回転できない。 片体（11）の回転方向を変えることにより、丸棒（1
0）が往復作動する。なお、丸棒（10）を回転させるこ
とにより、ケース（９）内で片体（11）が直線運動を行
なうこともでき、片体（11）に適当な付属片をつけ、そ
の付属片をケース（９）の外に突き出しながら直線運動
ができるようにすると、所謂ロッドレスシリンダーと成
る。このシリンダーロッドまたはロッドレスシリンダー
は、保全が容易で、安全かつ騒音がほとんど無いという
利点をもっている。 第７図は、搬送車に適用した立体図例である。搬送車
（16）の下に、丸棒（17）にかぶさるようにして片体
（18）がついている。この片体（18）は、第４図や第５
図に例示した半丸孔構造のものである。搬送車（16）は
２本のレール（19）で支えられているので、片体（18）
は回転しない。丸棒（17）がモータ（20）により回転す
ると、片体（18）に固定された搬送車（16）がレール
（19）上に移動する。 この搬送車は構造が簡単で、安全である。また、搬送
車の取り外しは、置くか持ち上げるだけでことがすみ、
至って簡単という利点をもっている。 第８図は、自動扉への適用例の立体図である。扉懸架
レール（21）下枠レール（22）の間に填め込まれた扉
（23）の上部に、片体（24）が取り付けられている。こ
の片体（24）は、第４図や第５図に例示の半丸孔構造の
ものである。片体（24）の上に丸棒（25）が扉懸架レー
ル（21）に平行に取り付けられている。丸棒（25）がモ
ータ（26）によって回転すると、片体（24）が丸棒（2
5）に沿って移動することにより、扉（23）の開閉が行
なわれる。 なお、引分けの扉にこの構造を適用する場合には、丸
棒（25）の中央から、磁石帯の螺旋巻きを逆向きとし
（第８図にはこの状態を画いている）、左右の扉の片体
（24）をあてがえばよい。一本の丸棒（25）の回転で左
右の扉が同時に開閉することは、容易に理解されよう。
また、片体（24）の長さは、扉の全長にわたり取り付け
も可能であり、磁力の効果を大きく利用することもでき
る。 以上の適用例では、丸棒及び片体はいずれも非磁性体
とした。 〔発明の効果〕 以上の説明より、本発明にかかる回転運動を直線運動
に変換する機構が前述の利点を持つことが明らかであ
る。同時に、本機構が直線運動を回転運動に変換するこ
とも可能であることも、容易に理解されよう。 また本発明では、従動部に外部からある大きさ以上の
力が事故的に加わったときでも作動が止まるので、機構
の安全性を有する。 磁石は、永久磁石を用いれば簡単であり、軟磁石でも
よい。また、強力な作動を必要とする場合は電磁石とし
ても良い。更に、磁石帯（３）（４）（３′）（４′）
は、必ずしも連続している必要はなく、実質的に連なっ
ていれば良い。 本発明による自動扉は、器具の取り付けが簡単で騒音
も低く、安全であるのみでなく、汎用の扉と同じ要領
で、容易に取り外しができる利点を持っている。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明にかかわる機構例の部品図、第２図は第
１図に例示した部品等の組立て立体図例、第３図は改良
された部品の図例、第４図は本発明にかかる機構の応用
機構例の部品図、第５図は第４図に例示した部品等の組
立て立体図例、第６図は本発明にかかる機構のシリンダ
ーロットへの適用立体図例、第７図は搬送車への適用立
体図例、第８図は自動扉への適用立体図例である。 1,10,17,25:非磁性体の直丸棒 2,2a,11,18,24:非磁性体の片体 3:丸棒に螺旋状に巻き付けられた磁石帯 ３′:3と厚さ方向で逆向きの磁力方位を持ち、３の螺旋
ピッチ間隔に巻き付けられた磁石帯 4:片体の丸孔（または半丸孔）の内面に螺旋状に巻き付
けられた磁石帯 ４′:4と厚さ方向で逆向きの磁力方位を持ち、４の螺旋
ピッチ間隔に巻き付けられた磁石帯 5,13,20,26:モータ 6,15:平板ガイドレール ７、19:レール 8:車輪 9:ケース 12:歯車 14:支え板 16:搬送車 21:扉懸架レール 22:下枠レール 23:扉

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．磁石帯を一定のピッチの螺旋状に巻き付けた状態の
   非磁性体の直丸棒と、磁石帯を上記ピッチと同じピッチ
   の螺旋状に内面に巻き付けた状態の丸孔を持った非磁性
   体の片体とより成り、上記２種の磁石帯には、互いに吸
   引するような磁力方向と磁力方位を持たせ、かつ、直丸
   棒と片体とが、それ等の軸に沿って相対直線運動できる
   ような嵌め合い条件で、直丸棒か片体のいずれか一方を
   軸を中心として回転させた時、他の一方がこの回転に従
   わないように拘束されて、上記相対直線運動がなされ、
   かつ、この相対直線運動を妨害する外力に対抗しうる限
   度が磁力帯の磁力を加減することによって設定されたこ
   とを特徴とする回転運動を直線運動に変換する機構。 ２．直丸棒と片体丸孔内面からなる２種の磁石帯には、
   互いに反発するような磁力方位を持たせた特許請求の範
   囲第１項に記載の機構。 ３．直丸棒と片体丸孔内面に巻き付けた磁石帯の磁力方
   向を帯の厚さ方向とした場合に、直丸棒と片体の磁石帯
   の両者、あるいはいずれか一方のピッチ間隔に、磁力方
   位の逆の別の磁石体を巻き付けた特許請求の範囲第１項
   記載の機構。 ４．片体を、その丸孔を含んで、その軸方向の面で切断
   された形状とした特許請求の範囲第１項記載の機構。