JP2776910B2 - シェンケル型昇圧装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明はシェンケル型昇圧装置に関する。

（従来の技術） 周知のようにこの種シェンケル型昇圧装置は、高周波
電圧を入力とし、高周波電極とコロナシールドとの間の
浮遊容量を、結合コンデンサとして使用し、これを向か
い合うコロナシールド間に接続されてある整流器を介し
て充電することにより、直流高電圧を発生するようにし
たものである。

第１図はその構成の一例を示し、１は高周波電源、２
は昇圧トランスで、2Aは高周波電源１によって励磁され
る１次コイル、2Bは同じく２次コイルである。２次コイ
ル2Bの高圧側は一対の高周波電極3,4のそれぞれに接続
される。

5,6は互いに対となっているリング状のコロナシール
ドで、複数段にわたって設けられてある。７は同じく複
数段にわたって配置されてある整流器である。コロナシ
ールド5,6と整流器７とによって直流昇圧部８が構成さ
れる。直流昇圧部８は高周波電極3,4の間に配置され
る。

高周波電極3,4と各コロナシールド5,6との間の浮遊容
量が、結合コンデンサとして利用される。９は最上段の
コロナシールドに接続される高圧ターミナル、11は絶縁
ガスを封入した圧力容器である。

一方のコロナシールド５にカソードが接続されている
整流器７は、そのアノードが他方のコロナシールド６に
接続される。そしてそのコロナシールド６に別の整流器
７のカソードが接続される。この別の整流器７のアノー
ドは、さきの整流器７のカソードが接続されているコロ
ナシールド６の上段にある他のコロナシールド６に接続
される。

以下同様にして各整流器７は順次反対側にある上段の
コロナシールド5,6に交互に接続されていくようにな
る。図の極性のように整流器７を接続した場合は、高圧
ターミナル９より正の直流高電圧が得られる。

（発明が解決しようとする課題） ところでこのように構成において、高周波電極3,4間
の中央に位置する直流昇圧部８に高周波成分が重畳する
ことを避けるためには、高周波電極3,4のそれぞれに、
正負対称で同一の波高値をもつ高周波電圧を課電すれば
よい。

しかし実際にはそれぞれの高周波電極3,4と直流昇圧
部８とを幾何学的に完全に対称に設置することは、機械
的寸法誤差により極めて困難である。

また高周波電極3,4に高周波電圧を課電する昇圧トラ
ンス２によって、正負逆位相でしかも同一の波高値の電
圧を与えるのには、昇圧トランス２のインダクタンスを
正負とも同一に製作する必要があるが、しかしこのよう
な製作も極めて困難である。

この発明は、高周波電極と直流昇圧部との幾何学的配
置のずれ、昇圧トランスにおけるインダクタンスの正逆
の誤差を補償し、直流昇圧部に対する高周波成分の重畳
を容易に低減させることを目的とする。

（課題を解決するための手段） この発明は、高周波電源によって１次コイルが励磁さ
れる昇圧トランスと、前記昇圧トランスの一対の２次コ
イルの高圧側が接続される高周波電極と、前記高周波電
極の間に設置される、コロナシールドと整流器とを多段
に接続してなる直流昇圧部とを圧力容器に収納してなる
シェンケル型昇圧装置において、前記昇圧トランスの２
次コイルの低圧部に、前記高周波電極の電圧のアンバラ
ンスを調整するための可変インダクタンス素子を接続す
るとともに、前記可変インダクタンス素子を前記圧力容
器外に設置してなることを特徴とする。

（作用） 可変インダクタンス素子を調整することによって、結
合コンデンサとによる共振条件が調整される。これによ
って高周波電極に課電される高周波電圧が調整されるよ
うになるので、両高周波電極の電圧のアンバランスを解
消させることができるようになり、またその調整は可変
インダクタンス素子が圧力容器外に設置しているので、
容易に行うことができる。

高周波電極と直流昇圧部との幾何学的配置のずれ、あ
るいは昇圧トランスにおけるインダクタンスの正逆の誤
差などによって直流昇圧部に対して、高周波成分が重畳
されると、直流高電圧出力にリップル電圧が多く含まれ
るようになる。したがって高周波電極の電圧がバランス
するようになれば、前記リップル分が少なくなる。

（実施例） この発明の実施例を図によって説明する。この発明に
したがい、昇圧トランス２の２次コイル2Bのそれぞれの
低圧部を、圧力容器11の外まで導出し、その先端を可変
インダクタンス素子12を介して接地する。

可変インダクタンス素子12を圧力容器11の内部に設置
しておくと、これを調整する都度、圧力容器11を開封し
なければならないが、図のように圧力容器11の外まで導
出しておけば、圧力容器11を開封しなくとも、調整が可
能となる。

高周波電極3,4の電圧にアンバランスがあるときは、
各可変インダクタンス素子12のインダクタンス値を適当
に調整することによって、そのアンバランスが解消され
るようになる。

可変インダクタンス素子12としては、第２図に示すよ
うにな構成であってもよい。すなわちインダクタンス値
がそれぞれ異なる複数のインダクタンス素子12A〜12Nを
用意し、その各端を切換スイッチ13によって選択的に切
換自在とするとともに、切換スイッチ13を２次コイル2B
に接続する。

インダクタンス素子12A〜12Nおよび切換スイッチ13
は、圧力容器11の外に配置してもよいが、これを内部に
設置し、外側から切換スイッチ13を操作できるようにし
てもよい。

（発明の効果） 以上詳述したようにこの発明によれば、単に昇圧トラ
ンスの２次コイルに、可変インダクタンス素子を設ける
ことによって、簡単に高周波電極の電圧のアンバランス
を解消することができ、もって直流高電圧に含まれるリ
ップル電圧を可及的に減少させることができる。また、
可変インダクタンス素子を昇圧トランス等を収納した圧
力容器外に設置しているので、可変インダクタンス素子
による調整は圧力容器を開封することなく行うことがで
き容易であるといった効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の実施例を示す回路図、第２図は一部
の変形回路図である。 １……高周波電源、２……昇圧トランス、2A……１次コ
イル、2B……２次コイル、3,4……高周波電極、5,6……
コロナシールド、７……整流器、８……直流昇圧部、11
……圧力容器、12……可変インダクタンス素子、

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩本 英司 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新ハイボルテージ株式会社内 (72)発明者 稲田 幸一郎 京都府京都市右京区梅津高畝町47番地 日新ハイボルテージ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−68925（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−9781（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭46−20981（ＪＰ，Ｙ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H02M 7/00 - 7/40 H02M 9/00 - 9/06

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高周波電源によって１次コイルが励磁され
   る昇圧トランスと、前記昇圧トランスの一対の２次コイ
   ルの高圧側が接続される高周波電極と、前記高周波電極
   の間に設置される、コロナシールドと整流器とを多段に
   接続してなる直流昇圧部とを圧力容器に収納してなるシ
   ェンケル型昇圧装置において、前記昇圧トランスの２次
   コイルの低圧部に、前記高周波電極の電圧のアンバラン
   スを調整するための可変インダクタンス素子を接続する
   とともに、前記可変インダクタンス素子を前記圧力容器
   外に設置してなるシェンケル型昇圧装置。