JP2775648B2 - Cvd方法 - Google Patents

Cvd方法

Info

Publication number
JP2775648B2
JP2775648B2 JP1332890A JP33289089A JP2775648B2 JP 2775648 B2 JP2775648 B2 JP 2775648B2 JP 1332890 A JP1332890 A JP 1332890A JP 33289089 A JP33289089 A JP 33289089A JP 2775648 B2 JP2775648 B2 JP 2775648B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gas
substrate
film
teos
reaction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1332890A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03177576A (ja
Inventor
直吉 細川
司 小林
敦 関口
信二 高城
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ANERUBA KK
Original Assignee
ANERUBA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ANERUBA KK filed Critical ANERUBA KK
Priority to JP1332890A priority Critical patent/JP2775648B2/ja
Publication of JPH03177576A publication Critical patent/JPH03177576A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2775648B2 publication Critical patent/JP2775648B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、反応気体を基板表面へ供給する方法を改
良したCVD方法に関する。
[従来の技術] シリコンモノリシックICの製造工程では層間絶縁膜と
してCVDによるケイ素酸化物薄膜が利用されている。そ
こで使用されているケイ素酸化物と総称される材料は、
純粋のSiO2以外にも、リン、ホウ素、ヒ素等の酸化物を
SiO2に添加したものも含まれることは当該分野に関連す
る技術者の広く知るところである。CVDによってケイ素
酸化物薄膜を形成する際の出発体ガスとしては、SiO2
形成するための無機あるいは有機のガス以外に、上記の
添加酸化物を形成するための出発体ガスを供給すること
も公知の技術であり、それらは例えば、 1987年、Noyes発行、A.Sherman著、“Chemical Vapor D
eposition for Microelectronics Principles,Technolo
gy,and Applications" 等に述べられている。
以後、この明細書では、内容をわかりやすくするため
に、ケイ素酸化物薄膜としてSiO2薄膜を形成するための
技術についてだけ述べるが、上述の添加酸化物をSiO2
加えることは自明の技術であり、これらの添加酸化物を
加えたケイ素酸化物についても同様の方法で形成するこ
とが可能である。
CVDによるケイ素酸化物薄膜形成の出発体ガスとして
は、無機物であるシラン系ガスを使う場合と、有機物で
あるTEOSガスを使う場合とが最も代表的である。このう
ちTEOSガスは1960年代に使用されていたが、成膜速度が
小さく、また膜中不純物として炭素が混入する危険性等
があるため、次第に無機物であるシラン系ガスが主流に
なってきた。
ところが、最近になってICの微細化高集積化の進展に
伴い、高アスペクト比形状のライン・アンド・スペー
ス、トレンチ、コンタクトホール、スルーホール等々の
上部に、できる限り平坦化された絶縁膜を形成する技術
が極めて切実に要求されるようになってきた。また一方
では、ICの製造工程における薄膜形成は従来よりも低い
温度で処理することが強く望まれている。このような技
術動向に対して、シラン系ガスを出発体とするCVD成膜
の代わりに、平坦化特性がすぐれているTEOSガスを再び
出発体ガスとしてとりあげる傾向がでてきた。
TEOSガスを出発体とする技術の代表はプラズマTEOS−
CVDとオゾンTEOS−CVDである。前者ではTEOSガスと、ア
ルゴンまたは窒素ガスと、酸素ガスとの混合低圧ガス雰
囲気中でRF放電を行い、300〜400℃に制御された基板上
にケイ素酸化物薄膜を形成する。後者ではTEOSガスとオ
ゾンを供給して300〜400℃に制御された基板上にケイ素
酸化物薄膜を形成する。一般に、プラズマTEOS−CVDに
よって得られる膜の特性は、シリコンウエハを熱酸化し
て得られるSiO2膜の特性に近く、かつシラン系ガスを出
発体とするCVDによって得られるケイ素酸化物薄膜より
も改良された平坦性が得られる。他方、オゾンTEOS−CV
Dでは、さらにすぐれた平坦性は得られるが、膜の内部
にはOH基、CH基およびCが含まれ、ICの層間絶縁膜とし
ての物理的特性としては、耐久性、不純物含有量、経時
変化特性等の面で不十分であると考えられている。
シラン系ガスを出発体とするCVDにくらべてTEOS−CVD
の方がケイ素酸化物薄膜の平坦性がすぐれている理由に
ついては十分明確な説明はなされていないが、TEOSガス
が基板表面に付着してから分解して酸化物の形態になる
までの間にシラン系ガスよりも基板表面を比較的長時間
移動するためであろうと推測されている。すなわち、TE
OSガス分子は、Si原子1個当たり4個のボンドにそれぞ
れ1個(合計で4個)のC2H2O基(エトキシ基)が結合
した形態をとっており、シランガス分子よりもSi単体原
子に分解するのに時間が長くかかる条件を作りやすいた
めであろう。このことは別の表現をすると、シラン系ガ
ス分子によるCVDでは出発体ガスの分解および酸化の反
応が空間反応になり易く、また表面反応があってもその
反応が生ずるまでの表面分子移動距離が小さいが、TEOS
ガス分子によるCVDでは空間反応よりも表面反応をおこ
し易く、かつ反応が生じるまでの表面分子移動距離が大
きいと言える。
しかし空間反応と表面反応は厳密にどちらか一方しか
発生しない訳ではなく、成膜条件によりその発生確率比
は異なってくると推定できる。恐らくプラズマTEOS−CV
Dでは空間におけるTEOSガスの分解と酸化は、オゾンTEO
S−CVDにくらべてより激しく起こっていると考えられ、
それゆえに、プラズマTEOS−CVDでは、平坦性はオゾンT
EOS−CVD膜には及ばないが膜のより完全に近い酸化をも
たらしていると思われる。またオゾンTEOS−CVDによる
膜がOH、CH、C等の不純物を含有する理由は次のように
推測される。オゾンTEOS−CVDでは、主要な分解・酸化
過程は表面反応によって生じるが、基板表面上に形成さ
れつつあるケイ素酸化物薄膜層の完全な分解・酸化反応
が生じないうちに、そのさらに上層部にTEOSガスあるい
はその部分的分解物ガス分子が入射して付着・堆積する
と考えられる。このような分解物ガス分子を十分に排除
して酸化過程を完全に行わせるには、基板表面へのTEOS
ガスの供給を一時的に停止してからオゾンを供給するな
どのような基板表面へのガス供給の間欠制御をすること
が提案されている。このようなガス供給制御をしながら
CVD成膜を行うことをパルスCVD法と呼んでいる。
パルスCVD法の大きな利点の一つに、微細な穴の内部
に膜を堆積する場合の段差被覆性の改善の効果がある。
一般にCVD法により作成した膜は段差被覆性が良いとい
われているが、反応が「表面反応律速」になっていない
場合は段差被覆性が劣化することが多い。このような場
合でもパルスCVD法を使えば段差被覆性を改善すること
ができる。段差被覆性が改善される理由を、アスペクト
比の大きな穴内部への配線膜形成技術として将来有望で
あるところのAl−CVDを例にあげて以下に説明する。一
般にAl−CVDでは、原料ガスとして、トリイソブチルア
ルミニウム((C4H93Al)(以下TIBAと呼ぶ。)を用
いて熱CVDをおこなう。この場合、加熱された基板の表
面で次のような反応が進行する。
(C4H9)C4H9Al→ Al+3C4H8+(3/2)H2 すなわち、1モルのTIBAから、3モルのC4H8ガスと(3/
2)モルのH2ガスが生じる。そのため、反応の進行して
いる基板表面からは供給した原料ガスの4.5倍程度の体
積の反応生成ガスが吹き出している。したがって、反応
を継続させるための原料ガスが基板表面に到達しにくく
なる。この傾向は、反応が多少なりとも拡散律速的な傾
向を有する場合、アスペクト比の大きな穴内部では顕著
になり、穴の内部への膜堆積がおこなわれにくくなる。
その結果、段差被覆性が劣化する。これを防ぐためには
原料ガスをパルス状に基板表面に供給した後、反応生成
ガスを十分排気するという方法を用いればよい。このよ
うな方法はSiCのCVD等で実際に行なわれており、0.2〜
0.5μmのポア分布をもつ黒鉛にSiCを目詰めすることが
可能になっている。
上述のパルスCVD法において、原料ガスを基板面に間
欠的に供給する方法としては、従来、反応室へのガス導
入口の弁を開閉する方法がとられていた。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら上述の従来のパルスCVD法におけるガス
導入法には次のような欠点が存在する。例えばTEOSとオ
ゾンによる熱CVD法においてTEOSを間欠供給することに
より膜中のSi−OH結合を低減するには次のような条件設
定が必要である。すなわち、TEOSを供給する期間を比較
的短くしてTEOSあるいはTEOS中間分解物の、膜表面への
1回の付着膜厚をできるだけ薄くし、その後のオゾンの
供給によって上述の1回の付着膜厚の全体にわたって均
一に酸化がおこなわれるようにしなければならない。と
ころが、TEOSは常温で液体のため、通常、不活性ガス等
のキャリヤガスでバブリングして気化してから反応室へ
導く方法が用いられるので、TEOSの気化ガスを数秒程度
の時間だけしかも流量の制御された状態でバルブ開閉に
よって供給することは不可能に近い。また、気体原料に
よるパルスCVD法においても、現在広く用いられている
マスフローコントローラを使用して数秒以内のパルス状
のガス流を得ることは極めて困難である。ちなみに、パ
ルス幅は長くして、一方で流量を小さくすることによっ
て1回の膜付着による膜厚を薄くする方法もあるが、こ
の方法は生産性が低下するため好ましくない。
さらに、従来のパルスCVD法には次の欠点もある。パ
ルス状にガス流を反応室内に導入すると、反応室内の全
圧力あるいは流速といったCVD法において重要なパラメ
ータが変化してしまう。これを防止するには、原料ガス
の供給を停止している間、全ガス流量が常時一定となる
ように代替ガスを導入する必要がある。あるいはTEOSと
オゾンを用いたCVD法のように、パルス供給するガス(T
EOS)と連続供給するガス(オゾン)とがある場合は、
パルス供給ガスを停止したときに、連続供給ガスの流量
を一時的に増加させればよい。しかし、いずれの場合も
複雑なガス供給系が必要となることは避けられない。
以上説明してきたように、IC製造プロセスにおける層
間絶縁膜形成のためのCVD成膜技術において、被覆形状
としての平坦性と、物理的特性としての耐電圧、耐湿、
経時変動特性とが双方満足できなかったのは、従来のパ
ルスCVD法では成膜反応空間が1箇所に限定されていて
空間反応と表面反応とを独立して制御することが困難で
あったためと言える。
この発明はこのような現状に鑑みて開発されたもので
あって、その目的とするところは、基板表面に非常に短
いパルス状の原料ガス流を供給することができて、しか
も複雑なガス供給系を必要としないCVD方法を提供する
ことである。
この発明の別の目的は、前述のTEOS−CVDの技術を発
展させて、平坦性が良好で、かつ酸化が充分行われ、不
純物としてのOH、CH、Cの含有量も少ない、優れた特性
のケイ素酸化物薄膜を得るためのCVD方法を提供するこ
とである。
[課題を解決するための手段と作用] この発明のCVD方法を実施するための装置は、真空室
とこの真空室を排気する排気系と、前記真空室に反応気
体を導入するガス導入系と、基板を保持する基板ホルダ
ーとを備えるCVD装置において、次の特徴を有する。す
なわち、前記ガス導入系の真空室へのガス導入口に対し
て基板が間欠的に繰り返して対向するように前記基板ホ
ルダーを移動可能に構成したことを特徴とする。基板ホ
ルダーは回転運動、並進往復運動などの運動をさせるこ
とになる。基板ホルダーは、ガス導入口に対向しながら
連続的に移動してもよいし、ガス導入口に対向するる位
置で一時的に静止してもよい。
この装置では、パルスCVD法を実施するために、ガス
導入系を工夫することなく基板の方を間欠的に移動可能
にしている。このCVD装置の動作を説明すると、真空室
を排気した後ガス導入系から反応気体を真空室に導入す
る。ガス導入口からは反応気体を連続的に真空室に供給
する。基板ホルダーの移動によって基板がガス導入口に
対向する位置にきたときは、基板表面で反応気体が活性
化されて基板上に膜が堆積する。短時間の成膜の後、基
板ホルダーを移動させて基板をガス導入口から離し、基
板上の反応生成ガスを十分に排気したり他の反応気体を
基板に供給したりする。そして、再び基板をガス導入口
に対向する位置にもってきて成膜をおこない、以下、こ
のような操作を繰り返す。これにより、ガス導入を連続
的に行いながらパルスCVD法が可能となる。ガス導入を
間欠的に行うことも可能であるが、その場合も反応後に
基板が移動してくれるので、ガス導入の間欠制御は従来
のパルスCVD法ほど厳密に行う必要はない。
なお、従来装置として、複数の真空室を有し、各真空
室を連結し、適当な基板搬送機構により基板を各真空室
に搬送して成膜をおこなうようなCVD装置があるが、こ
のような装置は基板の移動に時間がかかりすぎるので実
用性が低い。基板をこのような真空空間で交互に繰り返
して高速で移動させることはきわめて困難である。これ
に対して、この発明を実施するCVD装置では一つの真空
室内で基板を高速に移動させることができ、十分短い時
間だけ反応気体を基板表面に供給できることに特徴があ
る。これにより、簡単な装置構成で高い生産性を得るこ
とができる。
この発明を実施するCVD装置の一形態は、真空室の内
部を仕切り壁によって複数の空間に分割したことを特徴
としている。この場合、各空間を構成する壁面の一部は
基板ホルダーで構成され、この基板ホルダーと仕切り壁
とはわずかな隙間で隔てられる。そして、前記空間の少
なくとも一つにはガス導入口が開口している。この発明
における仕切り壁は、反応気体雰囲気の空間(ガス導入
口が開口している空間)と、それ以外の空間とを分離す
るためのものである。基板ホルダーの移動を可能にする
ためには、静止している仕切り壁との間に、わずかな隙
間を設けておく必要がある。この発明によれば、反応気
体雰囲気空間とそれ以外の空間とが区分けされるので、
反応気体が拡散することがなく、パルスCVD法が効果的
に実施できる。
この発明を実施するCVD装置の別の形態は、二つ以上
の前記空間にガス導入口をそれぞれ設けたことを特徴と
している。この発明は、区分けされたそれぞれの空間に
ガス導入口を設けたもので、2種類以上の反応気体(例
えばTEOSとオゾン)を利用する場合、あるいは反応気体
のほかに生成ガスをパージするための気体を利用する場
合に用いる。
この発明を実施するCVD装置のさらに別の形態は、前
記複数の空間のそれぞれに別個の排気口を設けたことを
特徴とする。これにより、仕切り壁で区分けされた空間
を独立に排気できて、各空間の圧力を独立に制御でき
る。また、各空間内の気体が他の空間を通って排気され
るようなことがなくなり、基板には必要な気体だけが触
れることになって、理想的なパルスCVD法が可能とな
る。
この発明を実施するCVD装置のさらに別の形態は、基
板が複数空間を交互に移動できるように回転平板形の基
板ホルダーを採用したものである。
この発明を実施するCVD装置のさらに別の形態は、基
板が複数空間を交互に移動できるように回転ドラム形の
基板ホルダーを採用したものである。回転ドラムの、回
転軸に垂直な断面の形状は、基板を取り付けやすいよう
に多角形にするのが好ましい。基板の保持方法を工夫す
れば円柱ドラムであってもよい。
この発明のCVD方法は、真空室に複数種類の反応気体
を導入してこれらの反応気体を活性化させることによっ
て基板上に膜を堆積させるCVD方法において、次の特徴
を有する。すなわち、種類の異なる反応気体雰囲気とな
っている複数空間の間で基板を交互に繰り返し移動させ
て基板上に膜を堆積させることを特徴とする。この発明
によれば、基板が最初の反応気体雰囲気空間にあるとき
は、基板表面で最初の反応気体が活性化されて基板上に
中間生成膜が堆積し、基板が次の反応気体雰囲気空間に
あるときは、上記中間生成膜と次の反応気体とが反応し
て基板上に最終膜が形成される。そして、基板がこれら
二つの空間を交互に移動することによって所定の厚さに
なるまで成膜がおこなわれる。この発明は多層膜を形成
する場合にも利用できる。この発明によれば、異なる反
応気体が供給される複数の反応空間の間で基板を交互に
移動させることによって、望ましくない早すぎる空間反
応を抑制するとともに、反応分子の基板表面における表
面拡散移動距離を充分大きく保ち、かつ基板表面におけ
る出発体ガスの分解・酸化が完全に行われるようにして
いる。
この発明はさらに一つの反応気体としてTEOSガスを用
い、他の反応気体として誘導結合高周波放電によって発
生させた原子状酸素を用いることによって、基板上にケ
イ素酸化物の薄膜を形成することを特徴としている。す
なわち、一方の反応空間では、ケイ素の出発体のTEOSガ
スを基板に供給するようにして、空間における望ましく
ない分解・酸化反応を促進する危険性のあるガスの混入
を抑制する。また別の反応空間では基板表面における酸
化反応を完全に行うために酸化作用の強い原子状酸素を
供給する。
TEOSガスの供給に際しては、基板に入射する前の段階
のTEOSガス分子はあらかじめ加熱しておく。加熱温度は
TEOSガスが完全に分解しない程度の温度に選ばれる。
原子状酸素を得るためには誘導結合高周波放電を利用
する。この発明で使用する誘導結合高周波放電の放電装
置の構造と放電の特徴については、例えば、 (1)1986年発行,Journal of Vacuum Sience and Tech
nology,A4巻,第475〜479頁,H.Mito及びA.Sekiguchi
著,“Induction heated plasma assisted chemical va
pour deposition of SiN" (2)1988年発行,真空,第31巻,第271〜278頁,水戸
英夫、関口敦著,「高温非平衡プラズマの特性と応用」 に記載されており、これらの文献には分子状ガスの原子
への解離度についても述べられている。また、この種の
放電を酸化反応へ応用した例については (3)1989年発行,Japanese of Applied Phisics,第28
巻,第L952〜L954頁,Shinji Takagi,Atsushi Sekiguch
i,Naokichi Hosokawa,Norio Terada,Masatoshi Jo及びH
ideo Ihara著,“Ba2Y1Cu3O7-Y Oxidation by Thermody
namic Nonequilibrium High−Temperature(TNH)Plasm
a" に述べられている。また、誘導結合高周波放電の放電装
置とその応用に関しては本願出願人の出願に係る下記の
ような技術が知られている。
(4)特開昭61−65420号 (5)特開昭61−91377号 (6)特開昭62−45018号 (7)特開昭62−227089号 (8)特開昭63−166971号 さらに、この種の技術に関しては本願出願人の出願に係
る下記のような出願もある。
(9)特願昭63−163350号 (10)特願昭63−278218号 (11)特願昭63−318147号 (12)特願平1−13567号 (13)特願平1−57699号 (14)特願平1−66331号 この発明は、以上の先行発明による誘導結合高周波放
電による原子状酸素を、CVDによるケイ素酸化物薄膜の
形成に応用するものであり、パルスCVDの具体的手段を
提供する。
TEOSガスを出発体としてケイ素酸化物薄膜を形成する
場合に、基板に入射して付着するガス分子が、TEOSガス
の原形であるSi(OC2H5の分子形態をとるのが最も
好ましいか、あるいは何らかの分解中間生成物の形態を
とることが好ましいのか、明確なことは現在わかってい
ない。この点について、発明者らは、基底状態であるSi
(OC2H5の分子形態よりもむしろ、ある程度活性化
されているか、あるいは分解されている方が最終的には
良好な特性の層間絶縁膜を形成しやすいと考えている。
TEOSガスを200〜400℃に加熱制御すると、完全な分解は
起こさないがTEOSガスを好ましい形態の中間生成物に変
えることができる。この中間生成物は一つの反応空間に
おいて、適切な温度に制御された基板に入射して付着
し、膜面で拡散運動をする。
一方、もう一つの反応気体である原子状酸素は次のよ
うにして供給する。すなわち、酸素ガス分子を流しなが
ら高周波誘電放電を行い、適切なRF電力、酸素ガス流
量、圧力を設定することにより、酸素ガスの大部分を原
子状酸素に変換して、酸化反応空間に送り込む。酸化反
応空間では原子状酸素が基板に入射して、基板表面に付
着したTEOSガス分子の中間生成物と反応して完全な酸化
反応を行う。
そして、基板ホルダーを回転中心軸のまわりに回転さ
せることにより、同一の基板をTEOSガスの中間反応生成
物が入射する反応空間と、原子状酸素を入射させて強力
な酸化反応を行う反応空間とに交互に入れることによ
り、形状的平坦性と物理的特性の両方がすぐれたケイ素
酸化物薄膜を形成することができる。
[実施例] (参考例1) 第1図はこの発明に関連するCVD装置の一形態の垂直
断面図である。この装置はTEOSとオゾンとを利用して基
板上にSiO2膜を形成するためのCVD装置である。1は真
空室、2は基板ホルダーであってその内部にはヒータ3
が埋め込まれており、基板ホルダー上に設置した基板4
を約500℃程度まで加熱することが可能となっている。
基板ホルダー2全体は真空室外部に設置されたモータ5
と動力伝達部6により、回転可能である。基板4は基板
ホルダー2上に設けられた凹所内にその上端面を接触さ
せて設置されている。真空室1内は、ゲートバルブ7、
可変コンダクタンスバルブ8を介して接続されたターボ
分子ポンプ9および油回転ポンプ10により高真空に排気
可能である。11はTEOS容器であり、ボンベ12、減圧弁1
3、マスフローコントローラ14を通して流量制御された
アルゴン(Ar)キャリヤガスでTEOSをバブリングするこ
とにより気化したTEOSガスをガス供給口52から真空室1
内に輸送する。15はTEOSガスを真空室に導入する導入口
であり、多数の孔のあいた数枚のガス分配板16とその周
囲のヒータ部17より構成されている。これによりTEOSガ
スの予備加熱が可能となる。この部分の構造は、特開平
1−119674号公報と特開平1−198475号に開示されてい
る。ガス導入口15の上端には筒状の仕切り壁18が設けて
あり、仕切り壁18の上端と基板ホルダー2の下面とは2m
m程度のわずかな隙間で隔てられている。また、真空室
内には、TEOSガス導入口15と同様の構造を有する仕切り
壁18の無いオゾンガス導入口19が設置されており、ガス
分配板20とヒータ部21で構成されている。オゾンガスは
酸素(O2)ボンベ22から減圧弁23を介して、無声放電を
利用したオゾン発生器24に酸素ガスを導入することによ
って発生可能である。ここで発生した8%程度の濃度の
オゾンガスと酸素ガスの混合ガスはマスフロ−コントロ
ーラ25により流量制御され、ガス供給口53からガス導入
口19を介して真空室1に導入される。
以上のような空間構成により、ガス導入口15側の空間
の上部境界は、回転可能な基板ホルダー2の下面で形成
され、同様に、ガス導入口19側の空間の上部境界も、回
転可能な基板ホルダー2の下面で形成されることにな
る。これにより、基板ホルダー2が回転すれば、基板ホ
ルダー2の下面に配置された基板が二つの空間の間で移
動できることになる。
第2図は第1図の装置の真空室を上から見た平面配置
図であり、基板4およびガス導入口15、19の真空室内に
おける相対的位置関係を示したものである。この実施例
においては基板4は基板ホルダー2上に四枚設置可能と
なっている。また、ガス排気は図中の矢印30の方向にお
こなわれ、排気口はオゾンガスの導入口19よりもTEOSの
ガス導入口15に近接して配置される。基板ホルダー2全
体を回転させることにより基板4は第2図の矢印31で示
すように動き、順番に繰り返してTEOSガス導入口15とオ
ゾンガス導入口19とに対向する。
次に、この装置を用いて基板上にSiO2膜を形成する手
順を述べる。第1図において、まず、真空室1内をター
ボ分子ポンプ9を用いて高真空に排気する。次に基板4
を約400℃に昇温して基板ホルダー2全体を60rpm程度の
回転速度で回転させる。次に60℃に温度制御されたTEOS
容器11中を約100sccmの流量のArガスでバブリングする
ことによりTEOSガスを真空室内に導入する。TEOSガスは
基板に到達するまでにガス導入部15で100〜200℃に加熱
される。TEOSガスの導入と同時にオゾン発生器24で発生
したオゾンと酸素の混合ガスを3〜5SLMの流量で真空室
1に導入する。ガス導入口19は構造としては加熱可能と
なっているが、この部分の温度を上げすぎるとオゾンが
分解してしまい、成膜が十分におこなわれなくなる。し
たがって、オゾンを利用するこの実施例ではヒータ21は
使用していない。真空室内の圧力は圧力計26と可変コン
ダクタンスバルブ8とを利用して自動的に100〜500Torr
程度に調節される。一つの基板4は、基板ホルダー2が
一回転する間(以下、周期という)に、約3分の1周期
の期間だけは円筒状の仕切り壁18の中に入ってガス導入
口15に対向する。このときは基板4は主にTEOSガスにさ
らされ、TEOSの中間生成物の層が形成される。残りの約
3分の2周期の期間は基板4はガス導入口19の側の空間
にあって主にオゾンガスにさらされ、上記中間生成物の
層が酸化されてSiO2膜が形成される。このようにして作
成した膜の特性を赤外吸収測定により評価した結果、静
止基板にガス流を連続的に供給して作成した従来の膜に
比べて膜内のSi−OH基が約8分の1に減少し、パルスCV
Dの効果が十分にあることがわかった。仕切り壁18はガ
スの切り替わりの急峻性を確保する役割を果たしてお
り、これが無い場合にはSi−OH基の減少の効果が非常に
小さかった。
(参考例2) 第3図はこの発明に関連するCVD装置の別の形態の垂
直断面図である。真空排気系、ガス導入系は第1図と同
様であるので図示していない。また真空室1、基板ホル
ダー2、ヒータ3、基板4、モータ5、動力伝達部6、
ガス導入口15、19等も第1図と同様であり、第1図と同
じ部分には同じ符号を付けてある。第4図は第3図の装
置を上から見た平面配置図である。この装置が第1図の
装置と異なる点は、真空室1を排気するための排気口が
TEOSガス用の排気口50とオゾンガス用の排気口51という
ように別々に設置されていることである。この実施例に
おいては第4図に示すように二つの排気口50、51は真空
室1の外部で合流しており、一台の真空排気装置で両方
の排気ができるようになっている。また、排気口を別個
に設けたことに伴い、真空室を区分けする仕切り壁の構
造も第1図のものと異なっている。この実施例の仕切り
壁は、二つのガス導入口15、19を仕切るための垂直な仕
切り壁40と、基板ホルダー2の側面の周囲に設けられた
環状の水平な仕切り壁41とからなる。いずれの仕切り壁
40、41も基板ホルダー2とわずかな間隙を保つように設
置されている。もし、水平の仕切り壁41がなければ基板
ホルダー2の背面側で二つの空間が連通してしまうこと
になる。以上の構成により、それぞれのガス専用の空間
が真空室内に形成される。ガス供給口52からTEOSガス
を、またガス供給口53からオゾンガスを供給し、前述と
同様の手順を踏むことにより基板上に良質のSiO2を作成
できた。膜質は実施例1の場合と同様にSi−OH結合が少
ない良好なものであった。
この参考例は、TEOSガス用の空間とオゾンガス用の空
間とを別個の排気口で排気できるので、第1図の装置と
比較してTEOSガスがオゾンガス用の空間を通って排気さ
れるようなことがなく、オゾンガスによる酸化反応を純
粋におこなうことができる。また、排気口50と51に可変
コンダクタンスバルブを設ければ、各空間の圧力を独立
して制御することも可能になる。
(参考例3) この参考例は、第1図に示したものと同様な装置を用
いて、基板上にA1−Si合金膜を形成する例である。この
実施例では、第1図のガス供給口52にトリイソブチルア
ルミニウム(TIBA)を、また第1図のガス供給口53にジ
シラン(Si2H6)を導入する。成膜条件は次の通りであ
る。約40℃に保温したTIBAを約100sccmの流量のArガス
でバブリングしてガス導入口15に供給する。TIBAはガス
導入口15で約230℃に加熱されて、この部分を通過するT
IBAガスは熱的な変化を受ける。さらにこのガスは、約4
00℃に加熱された基板上に到達し最終的な熱変化により
基板上にA1が析出する。一方、ガス導入口19は約20℃に
加熱されている。そして、このガス導入口19にジシラン
を供給することにより、A1の場合と同様な熱変化により
基板上にSiが析出する。基板ホルダーの回転は次のよう
におこなう。第1図の参考例では基板を四枚同時に基板
ホルダーに装着したが、この参考例では基板は1ヶ所の
みに設置している。まず、基板をTIBAガス導入口15に対
向する位置で約十秒間静止させる。これにより、基板上
に約1000ÅのAl膜を析出する。次に、基板ホルダーを回
転させ、基板をジシラン導入口19に対向静止させる。清
浄なAl膜の付着した基板上ではジシランが容易に分解し
約五秒間で約20ÅのSi膜が析出する。析出したSiはAl中
に容易に拡散しAl−Si合金膜が形成される。この過程を
十回繰り返すことにより、均質なAl−Si合金膜が形成さ
れる。この膜中のSi濃度をSIMS(二次イオン質量分析装
置)により分析したところ、約0.5%のSiが膜中に均質
に存在することが確認された。この膜はIC配線として良
好な特性を有する。
(参考例4) 参考例3のジシランの代わりに塩化チタニウム(TiCl
4)を導入することにより、同様な方法で基板上にAl−T
i合金膜を形成できる。ただしTiCl4は常温で液体である
ため、TEOSやTIBAと同様なガス供給系をガス導入口19の
上流側にも設置した。この場合には一回の成膜過程で形
成するAl、Tiの膜厚はそれぞれ500Å、10Åとした。こ
の成膜過程を交互に繰り返すことにより基板上に均質な
Al−Ti合金膜が形成された。またAl−の膜厚を約3000Å
とし、Tiの膜厚を200Åとしてこの過程を約三回繰り返
すことにより、Al−Tiの多層積層膜も作成可能である。
このような膜はIC配線材料としてヒロック(熱サイクル
により発生する膜表面上の突起)等が発生しにくいとい
う大きな利点を有する。
(参考例5) 上述の参考例1〜4の応用として、真空室内を三つ以
上に区分けしてそのそれぞれにガス導入口を設けること
により、三元、四元といった多元の元素から成る薄膜を
作成することも可能である。このような方法で形成でき
る膜として、例えばY−Ba−Cu−O系、Bi−Sr−Ca−Cu
−O系等の酸化物超電導体薄膜、SrTiO3等の誘電体膜等
があげられる。
(参考例6) この発明に関連するCVD装置を用いてパルスCVD法によ
りAl膜の段差被覆性を改善した例を示す。
第1図と同様の装置を用いてガス供給口52からTIBAを
上述のようにArガスでバブリングして導入し、またガス
供給口53からはArガスを導入した。基板4は基板ホルダ
ー2上に第2図のように四枚設置した。約40℃に加熱し
たTIBAを約60sccmの流量のArでバブリングし気化したガ
スをガス導入口15に供給する。ガス導入口15は約230℃
に加熱されており、ここでTIBAガスは部分的な熱変化を
生じる。基板の温度は約400℃に設定されており、ここ
でTIBAガスにさらなる熱変化が生じ、基板上にAl膜が堆
積する。基板ホルダー2は約30rpmの速度で連続的に回
転させた。基板がガス導入口15と対向している間はAlの
成膜がおこなわれる。一回の成膜時のAl膜厚は約100〜2
00Åとする。基板がガス導入口15と対向しない間はガス
導入口19から導入された約50sccmの流量のArにより基板
表面がパージされる。これによりTIBAの分解により生じ
た生成ガスが十分に基板表面より除かれる。そのため、
基板4が再びガス導入口15と対向した際には、TIBAガス
が微細な穴の底部にまで十分に到達でき、段差被覆特性
の良い成膜が行なわれる。以上のようにして径が0.8μ
m、深さが1μmのコンタクトホールへのAlの成膜を試
み、その被覆率(基板の平坦部に堆積する膜の厚さに対
する、コンタクトホール底部に堆積する膜の厚さの比と
して定義される。)を評価した。基板をガス導入口15に
静止対向させたままで成膜をおこなった場合はその被覆
率は0.68であったのに対し、上記のパルスCVD法で成膜
した場合はその被覆率は0.91に向上した。
この参考例によれば、段差被覆特性を大幅に向上させ
ることができ、IC配線プロセス等においては特に利用価
値が大きい。また、簡易的にガス導入口19を取り除いて
も同様の効果が期待でき、この場合はガス導入口19を取
り除いた分、装置の構造を簡素化できる。
(実施例1) 第5図はケイ素酸化物薄膜を作製するためのTEOSガス
供給系と原子状酸素ガス供給系とを備えるCVD装置の実
施例の垂直断面図である。第1〜4図に示した参考例に
対応する部分には同一の符号を付けてある。
1は真空室で内部に1式の基板ホルダー2が取り付け
られている。基板ホルダー2は加熱ヒータ3を内蔵して
おり、その表面に取り付けられた基板4を300〜400℃の
適切な温度に保持することができる。基板ホルダー2は
全体としてその回転中心軸αの回りに回転できる。基板
ホルダー2は、真空外に設けられたモータ5と動力伝達
部6により連続回転あるいはステップ回転が可能であ
る。基板4は止め具401を介して基板ホルダー2に取り
付けられ、基板4は回転中心軸αに対して垂直に配置さ
れる。真空室1は図示されていないポンプにより排気さ
れる。真空室1には2系統のガス供給系100、200により
反応ガスが供給される。一方のガス供給系100はTEOS容
器110を備えていて、矢印120に示される方向から流量制
御されたアルゴンガスを流してバブリングを行うことに
よりTEOSガスを供給する。TEOSは常温で液体であるため
に加熱槽130に矢印131、132に示すような循環温媒を流
しながら一定温度に加熱して蒸気圧を高くする。TEOSガ
スはバルブ111とガス供給口52を経由してTEOSガス導入
口15から基板4に向けて矢印151で示される方向に輸送
される。ガス導入口15の内部には3枚のガス分配板16が
設けられている。またガス導入口15の外周壁部にはヒー
タ17が組み込まれ、導入口全体の温度が、図示されてい
ない制御機構により適切な温度に保持される。ガス分配
板16は厚み約1mmの金属製の板で直径0.3mm程度の寸法の
小孔が多数、金属板を貫通するように設けられている。
TEOSガス導入口15とその内部のガス分配板16とで包囲さ
れた空間に導かれ、小孔161を通過する間に所定の温度
に加熱されて、基板4の表面に入射するときには最も好
ましい中間生成物の形態をとるように制御される。真空
室の中央には仕切り壁18が設けられている。TEOSガス導
入口15から吹き出したガスは真空容器内の壁面101、基
板ホルダー2の基板面、TEOSガス導入口15、及び仕切り
壁18の包囲する反応空間150にほぼ閉じ込められて、最
終的には排気口50を経由して、図示されていないポンプ
により矢印501の方向に排気されていく。
真空室1に結合されたもう一方のガス供給系200は石
英製の放電管210とこれに結合された導管220を備えてい
る。石英放電管210はその内部を真空にできる内筒と、
この内筒をその周囲から冷却する外筒で構成されてい
る。外筒には冷却水導入端子212と排出端子213が設けら
れており、矢印2121及び2131に示す方法に冷却水を流し
ながら動作させる。石英放電管210の周囲にはさらに、
冷却可能な銅製のRF誘電コイル211が設けられており、
図示されていないRF電源にインピーダンス整合回路を介
して接続されている。また石英放電管210には酸素ガス
導入管214が設けられており、図示されていないボンベ
から矢印215の方向に、流量制御された酸素ガスが供給
される。あらかじめカットバルブ221を閉じ、カットバ
ルブ222を開いて、石英放電管210内を真空に排気した
後、酸素ガスを流してRF電源から適切な電力を供給する
ことにより、供給する酸素分子の大部分を原子状に解離
することができる。原子状酸素はバルブ221とガス供給
口53を経由して原子状酸素導入口19から基板4に向けて
矢印191で示す方向に輸送される。原子状酸素導入口19
の構造は、先に説明したTEOSガス導入口15とほとんど同
一であるが、TEOSガスを好ましい中間生成物の形態にす
るのとは異なり原子状酸素の加熱の効果は実用上あまり
大きな意味はないので、原子状酸素は加熱をしなくても
よい。原子状酸素導入口19のガス分配板192(第6図参
照)に設けられた多数の小孔193から吹出したガスは、
真空容器の壁面102、基板ホルダー2の基板面、原子状
酸素導入口19及び仕切り壁18の包囲する反応空間190に
ほぼ閉じ込められて、最終的には排気口51を経由して、
図示されていないポンプにより矢印511の方向に排気さ
れていく。
第6図は第5図の矢視VI−VIから見たときの真空容器
内の2式のガス導入口15、19と仕切り壁18の配置を示す
縮小平面図である。第5図と第6図に示したような構成
のCVD装置を使用してケイ素酸化物薄膜を形成する場合
に、TEOSガスと原子状酸素を供給する方法としては、こ
れらを同時に連続的に流す方法と、時間的に交互に流す
方法の2種類がある。以下に最初に後者の方法を、続い
て前者の方法を説明する。
まず基板ホルダー2上の未処理基板4をTEOSガス導入
口15に対向させて、所定の基板温度で一定時間、TEOSガ
スの中間生成物を基板4で入射させる。次にバルブ111
を閉じてTEOSガスの供給を停止し、基板ホルダー2を回
転中心軸αのまわりに180゜回転して、中間生成物が表
面に付着した基板4を、原子状酸素導入口19に対向する
位置に移す。そしてバルブ221を開いて原子状酸素を供
給しながら基板表面における酸化を行う。酸化が完了し
た後、バルブ221を閉じて再び回転中心軸のまわりに基
板ホルダー2を180゜回転して最初の位置に戻す。以上
がTEOSガス中間生成物の基板面への付着とその酸化反応
からなる1サイクルである。このサイクルを繰り返すこ
とによりケイ素酸化物薄膜を所望の厚みまで堆積するこ
とができる。
以上述べた方法では1サイクルの中でTEOSガスが供給
されている時間と原子状酸素が供給されている時間とが
完全に区別されている。これに対してもう少し効率のよ
いケイ素酸化物の堆積方法は、基板ホルダー1に2枚の
基板4を取り付けて、反応空間150と190には常時TEOSガ
スと原子状酸素を供給しながら上述のサイクルを繰り返
せば、2箇所で同時に反応を進行することができる。し
たがって、生産性が向上する。ただし、この後者の方法
では、基板4が一方の反応空間150にある時間と他方の
反応空間190にある時間とが同じでなければならないの
で、ある時間内に基板に付着したTEOSガスの中間生成物
が、同時間内で完全に酸化されるように、TEOSガスの供
給流量と原子状酸素の供給流量の組合わせを適切に選ぶ
必要があり、精密な制御が必要となる。また反応空間15
0、190にそれぞれ他の反応空間のガスが流入するのを防
いで空間反応が激しく生じないようにする対策を充分考
慮した構造も必要である。
後者の同時反応方式の考え方をさらに発展させれば、
基板ホルダー2をステップ回転ではなく連続回転にする
方法が考えられる。この場合にはTEOSガス、酸素ガスの
各流量と基板ホルダーの回転速度との組み合わせを適切
に選ぶことにより、厚さ方向に均質に酸化された膜を形
成することができる。第7図は基板ホルダーを連続回転
させながら成膜するのに適した、真空容器内の2式のガ
ス導入口15、19と仕切り壁18の配置を示す縮小平面図で
ある。この場合は、各ガス導入口15、19の横断面形状が
ほぼ半円形となっていて、基板ホルダーが連続回転する
間、基板が常にガス導入口に対向するようになってい
る。
(実施例2) 第8図は、ケイ素酸化物薄膜を作製するためにTEOSガ
ス供給系と原子状酸素ガス供給系とを備えるCVD装置の
別の例の垂直断面図である。この実施例は、第5図に示
した実施例と次の点で異なる。まず基板ホルダー2は正
六角柱の形状をしている(第9図、第10図も参照)。ま
た1つの真空容器1に対してそれぞれ3式のTEOSガス供
給系と原子状酸素ガス供給系が組み込まれている(第10
図参照)。
第9図は基板ホルダー2の斜視図である。基板ホルダ
ー2には、その回転中心軸αに平行な基板取付面201が
六面あり、それぞれの面に基板4が止め具401によって
固定される。
第10図は第8図の矢視X−Xからみた平面図であり、
真空容器1と基板ホルダー2と、6式のガス導入口の配
置を示す。6式のガス導入口は、TEOSガス導入口15A、1
5B、15Cと原子状酸素導入口19A、19B、19Cが交互に隣り
合うように配置されている。各ガス導入口の間は6枚の
仕切り壁8によって空間的に仕切られ、わずかな隙間に
よってつながっている。これにより、TEOSの中間生成物
が基板に入射する反応空間150A、150B、150Cと、原子状
酸素が基板に入射して酸化反応を行う空間190A、190B、
190Cがそれぞれ相互に干渉反応しない程度に区分されて
いる。
実施例1(第5図)の場合と同様に、この実施例2で
もTEOSガスと酸素ガスの供給を同時に行う方法と、時間
的に交互にガス供給を行う方法とが可能であり、またそ
れぞれのガス供給方法について、基板ホルダーをその回
転中心軸のまわりに約60゜づつステップ回転する方法
と、連続回転する方法とが可能である。いずれの場合に
ついても、この実施例2は実施例1に比較して多数の基
板を一度に処理できるために格段に生産性を上げること
ができる。
基板ホルダーは、上述の六角柱のほかに八角柱などの
他の多角柱の形状にしてもよいことはもちろんである。
以上、各種の実施例と参考例を述べてきたが、この発
明に関連するCVD装置は多層積層膜の形成にも応用で
き、その応用分野として超格子デバイス、組成変調磁性
膜、磁気ヘッド用軟磁性膜等が考えられる。
[発明の効果] この発明のCVD方法は、複数種類の反応気体を真空室
に導入して、種類の異なる反応気体雰囲気となっている
複数空間の間で基板を交互に繰り返し移動させて基板上
に膜を堆積させるようなパルスCVD法において、TEOSガ
スと原子状酸素を用いることによってケイ素酸化物薄膜
を作製しており、次の効果がある。ケイ素の出発体ガス
を最も好ましい中間生成物として基板に入射する過程
と、基板表面における分解・酸化の過程とを独立して制
御することができる。また、望ましくない空間反応を抑
制することができる。これらの結果、膜の平坦性と物理
的特性の両方が優れたケイ素酸化物薄膜を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1参考例の垂直断面図、 第2図は第1参考例の平面配置図、 第3図は第2参考例の垂直断面図、 第4図は第2参考例の平面配置図、 第5図は第1実施例の垂直断面図、 第6図は第5図の矢視VI−VIから見た縮小平面図、 第7図は第1実施例の変更例の第6図と同様の縮小平面
図、 第8図は第2実施例の垂直断面図、 第9図は第2実施例の基板ホルダーの斜視図、 第10図は第8図の矢視X−Xから見た平面図である。 1……真空室 2……基板ホルダー 4……基板 15、19……ガス導入口 18……仕切り壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高城 信二 東京都府中市四谷5―8―1 日電アネ ルバ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−312978(JP,A) 特開 昭62−120475(JP,A) 特開 昭62−166352(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 16/00 - 16/56 H01L 21/205 H01L 21/31

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】真空室に複数種類の反応気体を導入してこ
    れらの反応気体を活性化させることによって基板上に膜
    を堆積させるCVD方法において、 種類の異なる反応気体雰囲気となっている複数空間の間
    で基板を交互に繰り返し移動させて基板上に膜を堆積さ
    せる方法であって、 一つの反応気体としてTEOSガスを用い、他の反応気体と
    して誘導結合高周波放電によって発生させた原子状酸素
    を用いることによって、基板上にケイ素酸化物の薄膜を
    形成することを特徴とするCVD方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載のCVD方法において、基板を
    保持する基板ホルダーを回転中心軸の回りに回転させ、
    前記回転中心軸に対して垂直となるように基板を基板ホ
    ルダーに取り付け、この基板ホルダーの回転によって基
    板が前記複数空間を交互に通過するようにしたことを特
    徴とするCVD方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載のCVD方法において、基板を
    保持する基板ホルダーを回転中心軸の回りに回転させ、
    前記回転中心軸に対して平行となるように基板を基板ホ
    ルダーに取り付け、この基板ホルダーの回転によって基
    板が前記複数空間を交互に通過するようにしたことを特
    徴とするCVD方法。
JP1332890A 1989-08-10 1989-12-25 Cvd方法 Expired - Lifetime JP2775648B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1332890A JP2775648B2 (ja) 1989-08-10 1989-12-25 Cvd方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP20560489 1989-08-10
JP1-205604 1989-08-10
JP1332890A JP2775648B2 (ja) 1989-08-10 1989-12-25 Cvd方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03177576A JPH03177576A (ja) 1991-08-01
JP2775648B2 true JP2775648B2 (ja) 1998-07-16

Family

ID=26515156

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1332890A Expired - Lifetime JP2775648B2 (ja) 1989-08-10 1989-12-25 Cvd方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2775648B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2781299B2 (ja) * 1991-12-13 1998-07-30 シャープ株式会社 薄膜製造方法及び薄膜製造装置
US6083321A (en) * 1997-07-11 2000-07-04 Applied Materials, Inc. Fluid delivery system and method
JP4879509B2 (ja) * 2004-05-21 2012-02-22 株式会社アルバック 真空成膜装置
JP4515227B2 (ja) * 2004-11-15 2010-07-28 古河機械金属株式会社 気相成長装置
JP2007113041A (ja) * 2005-10-19 2007-05-10 Hitachi Kokusai Electric Inc 基板処理装置
JP5131240B2 (ja) * 2009-04-09 2013-01-30 東京エレクトロン株式会社 成膜装置、成膜方法及び記憶媒体
JP5181100B2 (ja) * 2009-04-09 2013-04-10 東京エレクトロン株式会社 基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
JP5876398B2 (ja) * 2012-10-18 2016-03-02 東京エレクトロン株式会社 成膜方法及び成膜装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH066791B2 (ja) * 1985-11-20 1994-01-26 日電アネルバ株式会社 減圧気相成長装置
JP2524106B2 (ja) * 1986-01-18 1996-08-14 キヤノン株式会社 超薄膜積層構造層を有する光受容部材
JPS63312978A (ja) * 1987-06-16 1988-12-21 Mitsubishi Electric Corp 薄膜形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03177576A (ja) 1991-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6797340B2 (en) Method for depositing refractory metal layers employing sequential deposition techniques
US8071478B2 (en) Method of depositing tungsten film with reduced resistivity and improved surface morphology
US5953634A (en) Method of manufacturing semiconductor device
US7211144B2 (en) Pulsed nucleation deposition of tungsten layers
JP4879509B2 (ja) 真空成膜装置
US20060193983A1 (en) Apparatus and methods for plasma vapor deposition processes
JPS634632B2 (ja)
KR20010110746A (ko) 연속 화학 증착
JP2008244298A (ja) 金属膜の成膜方法、多層配線構造の形成方法、半導体装置の製造方法、成膜装置
JP2006057162A (ja) バリア膜の形成方法
JP2775648B2 (ja) Cvd方法
US20070207611A1 (en) Noble metal precursors for copper barrier and seed layer
JP2762367B2 (ja) Cvd方法
JP3052278B2 (ja) 配線用銅薄膜の形成方法とそれを用いた半導体装置の製造方法
US7223707B1 (en) Dynamic rapid vapor deposition process for conformal silica laminates
WO2022080153A1 (ja) 基板処理方法および基板処理装置
WO2014194199A1 (en) Methods for manganese nitride integration
JP2776807B2 (ja) 半導体装置の製造方法
US5512515A (en) Process for forming aluminum alloy thin film
TWI833804B (zh) 含鋁膜的間隙填充
JP3058053B2 (ja) アルミニウム薄膜の形成方法
TW201615879A (zh) 高溫二氧化矽原子層沉積技術
TW202305162A (zh) 形成鉬觸點之方法
JPH11256335A (ja) 金属窒化物膜の化学的気相成長方法およびこれを用いた電子装置の製造方法
WO2022245641A1 (en) Flowable cvd film defect reduction

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080501

Year of fee payment: 10

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080501

Year of fee payment: 10

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090501

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100501

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100501

Year of fee payment: 12