JP2773206B2 - 非線形光学素子用材料 - Google Patents

非線形光学素子用材料

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、非線形光学素子用材料、詳しくは、3−ア
ミノ−1,2−シクロブテンジオン誘導体からなる非線形
光学素子用材料に関する。
従来の技術 非線形光学素子用材料として、従来から最も広く使用
されているのは、KH2PO4(KDP)、LiNbO3、NH4H2PO4(A
DP)などの無機強誘電体結晶である。しかしながら、こ
れらの無機強誘電体結晶は、周波数変換効率(すなわ
ち、SHG或いはTHGの発生効率)が低いという欠点があ
り、実用に供するためには、非常に高価な単結晶を使用
して光路長の長い材料を作る必要があった。さらに、潮
解性が高いため、取扱が不便であった。
一方、有機非線形光学素子用材料は、無機強誘電体結
晶に比べ、より大きな非線形光学定数、より高速の非線
形応答、材料設計の多様性、経済性など、多くの利点を
有している。
発明が解決しようとする課題 2次の非線形光学効果を得るためには、結晶構造が反
転対称性を持たないことが必要である。2−メチル−4
−ニトロアニリン(MNA)や、さらに高効率のN,N−ジメ
チル−2−アセチルアミノ−4−ニトロアニリン及び2
−(2′−ヒドロキシメチルピリジノ)−5−ニトロピ
リジンは、水素結合性置換基の導入により、反転対称性
が抑制され、効果的である。しかしながら、π電子共役
系を拡大して、MNAより大きな非線形光学効果を発現で
きるものの例は少ない。
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたもので
ある。
本発明の目的は、対称中心を持たない単結晶であるこ
とによってSHG活性が大きく、室温で安定であり、か
つ、反転対称性の消滅した大きな単結晶が得られやすい
非線形光学素子用有機材料を提供することにある。
課題を解決するための手段 本発明の非線形光学素子用材料は、下記一般式(I)
で示される3−アミノ−1,2−シクロブテンジオン誘導
体からなる。
(式中、Arは、π電子共役系化合物残基を示し、Rは、
水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アセチル
基、フェニル基またはシアノエチル基を示し、Xはハロ
ゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルコキシ基また
は置換されてもよいアリールオキシ基を示す。) 本発明において使用される上記一般式(I)で示され
る3−アミノ−1,2−シクロブテンジオン誘導体におい
て、Arで示されるπ電子共役系化合物残基としては、芳
香族系、多環芳香族系、及び複素環系化合物の残基があ
げられる。好ましいπ電子共役系化合物残基は、ニトロ
基、シアノ基、ハロゲン原子、アルデヒド基、カルボキ
シル基、エステル基、アミド基などの電子供与基、及び
メチル基、メトキシ基、エトキシ基、ジメチルアミノ
基、ヒドロキシ基等の電子受容基を有するものであっ
て、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、
スチレン、スチルベン、アゾベンゼン、ビフェニル、ジ
フェニルアセチレン、又はベンゾフェノンなどの誘導体
の残基があげられる。
上記一般式(I)で示される化合物の具体的な例とし
ては、4−アリールアミノ−3−クロルシクロブテンジ
オン、4−アニリノ−3−クロルシクロブテンジオン、
4−(4′−ジメチルアニリノ)アミノ−3−クロルシ
クロブテンジオン、4−(4′−ニトロアニリノ)−3
−クロルシクロブテンジオン、4−(4′−シアノアニ
リノ)−3−クロルシクロブテンジオン、4−(4′−
ニトロ−3′−クロルアニリノ)−3−クロルシクロブ
テンジオン、4−(ビフェニルアミノ)−3−クロルシ
クロブテンジオン、4−(3′−メチルアニリノ)−3
−クロルシクロブテンジオン、4−(3′−メトキシア
ニリノ)−3−クロルシクロブテンジオン、4−(3′
−ヒドロキシアニリノ)−3−クロルシクロブテンジオ
ン、4−(1−スチルベン)アミノ−3−クロルシクロ
ブテンジオン、4−(4′−メトキシスチルベン)アミ
ノ−3−クロルシクロブテンジオンなどをあげることが
できる。
これらの化合物は、所定の置換基を有するアニリン誘
導体と3,4−ジクロルシクロブテンジオンとの脱塩酸反
応によって合成することができる。下記にその反応式の
一例を示す。
(式中、R′は、水素原子、アルキル基、アルコキシ
基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、スチリル基、
フェニル基を示す) 上記の反応についてより詳細に説明すると、ジクロル
シクロブテンジオン10〜100mmolをハロゲン化溶剤、例
えば塩化メチレン、クロロホルム約50〜500mlと、ほぼ
等量のアニリン誘導体、例えばp−ニトロアニリンと共
に、室温で6〜48時間攪拌した後、沈澱した生成物を得
る。アルコール系溶剤、例えばエタノール、メタノー
ル、またはエーテル系溶剤、例えばTMF、エチルエーテ
ルなどを用い、再結晶して、一般式(II)で示されるモ
ノ置換アミノスクエアリン誘導体を得る。収率は一般に
20〜90%である。
本発明における上記一般式(I)で示される化合物
は、非線形光学素子の構成材料として使用される。非線
形光学素子としては、例えば、光波長変換素子、光シャ
ッター、高速光スイッチング素子、光理論ゲート、光ト
ランジスターなどがあげられる。
作用 本発明における上記一般式(I)で示される化合物
は、融点が高く、MNA(m.p.131〜133℃)に比べて熱的
に安定であり、また、アミノスクエアリリウム基は、ア
ミノ基を有し、水素結合性置換基により結晶の反転対称
性が抑え込まれ、対称中心を持たない単結晶となる。こ
れらの化合物は、SHG活性が大きい。例えば、粉末状態
でNd:YAGレーザー(波長:1.064nm、出力200mJ/パルス)
を照射した場合、入射光の1/2の波長(532nm)の緑色光
を高いSHG強度で発生し、優れた非線形効果を示す。
実施例 以下、実施例によって本発明を詳記する。
まず、モノ置換アミノスクエアリン誘電体の合成例を
示す。
窒素雰囲気下で、置換アニリン20mmolと塩化メチレン
100mlの混合物を、ジクロロシクロブテンジオン3.2g(2
0mmol)を塩化メチレン100mlに溶解した溶液に徐々に加
えた。その後、12時間ないし48時間激しく攪拌して反応
させた。反応終了後、濾過して沈澱物を回収し、アルコ
ール系溶剤またはエーテル系溶剤を用いて再結晶により
精製した。収率18〜90%の範囲でアミノスクエアリン誘
導体が得られた。得られた結晶について、IRスペクト
ル、NMRスペクトルでその化学構造を確認した。この様
にして、第1表に示されるアミノスクエアリン誘導体が
得られた。
各アミノスクエアリン誘導体は、乳鉢を用いてすりつ
ぶし、メッシュによって分級し、粒径20〜50μmの粉末
とし、試料として使用した。この試料について、第1図
に示す光学系を用いて粉末法でSHG強度を評価した。尿
素を標準試料としてSHG(第2高調波)を測定した結果
を第1表に示す。
なお、第1図は、粉末法でSHG強度を評価するのに用
いた光学系のブロック図である。図中、1はNd:YAGレー
ザー、2はガラスセル中に充填した粉末サンプル、3は
レンズ、4はフィルター、5はモノクロメーター、6は
光電子増倍管、7はボックスカーインテグレーター、8
はオシロスコープである、Nd:YGAレーザー1より波長1.
064μmの光をサンプル12に垂直に照射し、サンプルか
ら発生する波長532nmの緑色散乱光を光電子増倍管6で
検知し、その電気信号を計測することによりSHG強度を
測定した。
発明の効果 本発明の非線形光学素子用材料は、SHG強度が非常に
大きく、室温で安定であって、大きな単結晶が得られや
すものであり、優れた非線形効果を示す。また、その単
結晶は、対称中心を持たないことによって大きなSHG活
性を有する。したがって、本発明の非線形光学素子用材
料は、例えば、光波長変換素子、光シャッター、高速光
スイッチング素子、光理論ゲート、光トランジスターな
どの構成材料として非常に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
第1図、粉末法でSHG強度を評価するのに用いる光学系
のブロック図である。 1……Nd:YAGレーザー、2……サンプル、3……レン
ズ、4……フィルター、5……モノクロメーター、6…
…光電子倍増管、7……ボックスカーインテグレータ
ー、8……オシロスコープ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/01 G02F 1/35 - 7/00 CA(STN) JICSTファイル(JOIS)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示される3−アミノ−
    1,2−シクロブテンジオン誘導体からなる非線形光学素
    子用材料。 (式中、Arは、π電子共役系化合物残基を示し、Rは、
    水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、アセチル
    基、フェニル基またはシアノエチル基を示し、Xはハロ
    ゲン原子、水酸基、置換されてもよいアルコキシ基また
    は置換されてもよいアリールオキシ基を示す。)
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