JP2773046B2 - 半導体レーザの発振波長安定化方法および半導体レーザの発振波長安定化装置 - Google Patents

半導体レーザの発振波長安定化方法および半導体レーザの発振波長安定化装置

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、半導体レーザの発振波長を特定の波長に極
めて精密に安定化する方法およびその方法を実施するた
めの安定化装置に関するものである。
〔従来の技術〕
発振波長が特定の波長に安定化された半導体レーザ光
源は、光の波としての性質を利用する波長(周波数)多
重光通信や高感度な光計測において極めて重要な役割を
果たすものである。その役割は、論文、「ノス(K.Nosu
et al),アイ・イー・イー・イー(IEEE),光波工学
誌(J.Light wave Technology),LT−5巻,1301〜1308
頁,1987年」や文献「大越,菊池著,コヒーレント光通
信工学,オーム社,1989年」に記述されている。
半導体レーザの発振波長を安定化させる方法として
は、これまでに、ファブリペロー共振器を使用する方法
(文献「ソルバーガー(A.Sollberger et al),アイ・
イー・イー・イー(IEEE),光波工学誌(J.Light wave
Technology),LT−5巻,485〜491頁,1987年」等参照)
や、ルビジュウム(Rb)等の原子のエネルギー遷移に伴
う光吸収線を利用する方法(文献「土田他(H.Tsuchide
et al),日本応用物理学会誌(Japan J.Appl.Phy
s.),21巻,L1〜L3頁,1982年」等参照)などが知られて
いる。
しかしながら、これらの方法においては、安定化され
る波長の精度が良くないこと、長時間の波長の安定化を
確保するのが難しいこと、装置寸法が大きくなること等
の問題に加え、安定化を行なえる波長が0.8μm帯,1.3
μm帯に限られるという問題があった。この最後に述べ
た安定化可能な波長の問題は特に重要で、本発明の主要
な効果とも深く関係するので、ここで説明を追加する。
すなわち、現在電話事業やデータ通信において実用化さ
れている光通信技術あるいは現在開発中の光通信技術
(例えば前記の波長多重光通信等)において主として使
用されている波長は1.5μm帯,さらに厳密に言えば、
単一モード光ファイバの光損失が最小となる1.55μmを
中心とする波長である。この1.55μmにおいて単一モー
ド光ファイバが最小損失(逆に言えば最も高い透過率)
を示すため、光ファイバによって無中継で伝送する距離
を最も長くすることができ、陸上の長距離光通信や海底
光通信において有利となる。したがって、今後の光通信
技術の高度化に際して、1.5μm帯特に1.55μmに近い
波長において発振波長が安定化された半導体レーザ光源
の開発が是非必要とされている状況にある。同時に、こ
の光源については実用的観点から、小型化や高安定性が
要求されるものである。
1.5μm帯において、半導体レーザの発振波長を安定
化する方法としてはこれまでに次に述べる方法が知られ
ている。まず、1.5μm帯にいくつかの光吸収線を有す
るアンモニア(NH3)分子の光吸収線を利用する方法
(文献「大津(M.Ohtsu et al),日本応用物理学会誌
(Japan J.Appl.Phys.),22巻,1553〜1557頁,1983年」
あるいは文献「柳川ら(T.Yanagawa et al),アプライ
ド・フィジクス・レター(Appl.Phys.Lett.),45巻8号
826〜828頁,1984年」等参照)がある。この方法では、
波長1.519μmにおけるアンモニアの光吸収線(最も強
い光吸収線)を利用して、分布帰還型半導体レーザの発
振波長を安定化する訳であるが、この波長でさえアンモ
ニア分子の光吸収強度が弱いために、50cm〜1mの長さの
セルを必要とし、したがって装置寸法が大きくなること
や長時間の安定性に欠けること等の問題がある。また、
1.519μm以外の波長における光吸収線はさらに吸収強
度が小さいため、前に述べた1.55μmの波長に近い波長
において半導体レーザの発振波長を安定化することは極
めて困難な状況であった。
次に、クリプトン(Kr)を封入した放電管に1.533μ
mの光を照射すると電圧を発生する光ガルバノ効果を利
用して半導体レーザの発振波長を安定化する方法(文献
「チュン(Y.C.Chung et al),電子レター(Electonic
s Letters),24巻,1048〜1049頁,1988年」参照)が知ら
れているが、この方法では、放電管の寿命が500時間程
度に限られる問題があるほか、安定化できる波長が1.53
3μmに限定される問題もある。
さらに、最近、第3の方法として、1.56μmで発振す
る半導体レーザの光を光波長変換素子(たとえばLiNbO3
やKTP,LiIO3を素材とした素子)を用いて半分の波長
(0.78μm)に変換した後、リビジウム(Rb)の0.78μ
mにおける光吸収線を利用して1.56μmの分布帰還型半
導体レーザの波長を安定化する方法(文献「大津ら(M.
Ohtsu et al),レーザおよび電子光学に関する会議の
技術ダイジェスト(Technical Digest of Conference o
n Lasers and Electro−Optics),52頁,1989年」参照)
が考案された。しかしながら、この方法では、1.56μm
の半導体レーザの光を波長変換して得られる光出力が数
pW(1ワットの1012分の1)と極めて弱いため、超高感
度の受光器(たとえば光電子増倍管)を必要とし、実用
的な安定性,装置の小型化に問題があった。
こうした問題点を解決する最も有効な候補として、ア
セチレン分子(C2H2)の光吸収線を利用する方法が検討
されている、このことについては文献「衣川ら,第49回
応用物理学会学術講演会予稿集,815頁,1988年」があ
る。ただし、この文献は光吸収線の測定結果のみで、半
導体レーザの発振波長安定化は含まれていない。1.520
μmを中心とする1.510μm〜1.525μmの波長域と、1.
530μmを中心とする1.525μm〜1.540μmの波長域に
数多くの強く鋭い光吸収線を有することが明らかになっ
た。第2図は、本願発明者が測定したC2H2分子の光吸収
特性を示したものである。このアセチレン分子の前記波
長域における光吸収線を利用して半導体レーザの発振波
長を安定化した技術については、本願発明者らによる特
許出願(特願平1−107600号および特願平1−112678
号)において詳細に開示されている。
しかしながら、このアセチレン分子は、第2図に示す
とおり、1.51μm〜1.54μmの波長域において強く鋭い
光吸収線を多数有するが、1.54μm以上の波長域では光
吸収線の吸収強度は弱くなり、先に述べた実用上重要な
1.55μmにおいて半導体レーザの発振波長を安定化させ
るのに必要な光吸収強度を確保することは極めて困難で
ある。たとえば、アセチレン気体分子を10Torrで封入し
たセルの場合、1.541μmで20%の光吸収強度を確保す
るためには、1mのセル長が必要となるため、装置の小型
化,高安定化が困難となる。したがって、アセチレン分
子の光吸収線を利用する方法においても、1.55μmに近
い波長で発振波長が安定化された実用的な半導体レーザ
光源を提供することは極めて困難であると結論せざるを
得ない。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明はこのような点に鑑みなされたものであり、そ
の目的とするところは、従来技術における諸問題を解決
し、光通信技術,光計測技術,光メモリ技術等において
重要な1.52〜1.57μmの波長域特に1.55μmを中心とす
る1.54μm〜1.56μmの波長域において高精度に半導体
レーザの発振波長を安定化する方法およびその方法を実
施するための安定化装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、小型で発振波長の安定化精度お
よび長時間の安定性に優れた実用的な発振波長安定化半
導体レーザ装置を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
このような目的を達成するために本発明は、気体分子
の有する光吸収線を利用して半導体レーザの発振波長の
時間変動を安定化する発振波長安定化方法において、前
記気体分子を同位体置換アセチレン分子となすようにし
たものである。
また、半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器と制御
回路とを有する半導体レーザの発振波長安定化装置にお
いて、前記光吸収用媒体は同位体置換アセチレン分子の
有する光吸収線を利用した光吸収特性を有するようにし
たものである。
〔作用〕
本発明においては、重要な1.52〜1.57μmの波長域に
おいて高精度に半導体レーザの発振波長が安定化され
る。
〔実施例〕
本発明による半導体レーザの発振波長安定化方法およ
び半導体レーザの発振波長安定化装置は、従来の半導体
レーザの発振波長安定化に使用していたNH3ガス分子あ
るいはC2H2ガス分子に替えて、13C2H2,C2HD,13C2HD等の
同位体置換アセチレン分子を含む気体を使用し、上記同
位体置換アセチレン分子の特定の波長における光吸収線
を利用して、半導体レーザの発振波長の時間変動を安定
化、低減化すること、並びに上記同位体置換アセチレン
分子の光吸収線を利用した光吸収特性を有する光吸収媒
体を装置の基本構成要素として具備することを最も主要
な特徴とするものであり、従来の技術とは、半導体レー
ザの発振波長の安定化において、ポイントとなる波長安
定化のための光吸収性ガスの種類において発明の本質を
異にするものである。
また、本発明を構成する同位体置換アセチレン分子
は、通常のアセチレン分子C2H2(この場合、Cは原子量
12の炭素原子12C、Hは原子量1の水素原子Hである)
の炭素原子Cあるいは水素原子Hを、その同位体原子す
なわち原子量13の13C原子、原子量14の14C原子あるいは
原子量2のD原子、原子量3のT原子で置換したもので
ある。この同位体置換によって、原子間の伸縮運動によ
って決まる気体分子の光吸収特性が異なったものとな
る。この光吸収特性の相異については後に詳細に記述す
るが、通常のアセチレン分子C2H2と同位体置換のアセチ
レン分子のうちの13C2H2との光吸収特性における相異に
ついて述べると次のようになる。なお、以降では、同位
体置換アセチレン分子として13C2H2を代用して説明す
る。
すなわち、C2H2型の分子の場合には、H−C=C−H
の分子構造を有し、その光吸収特性はH−C結合の伸縮
運動と分子の回転運動とによる光吸収で基本的に決まる
が、通常のアセチレン分子を構成する原子量12の12Cと
同位体の原子量13の13Cとでは質量が異なるため、H−
C結合の伸縮運動の共鳴周波数(光吸収を生じる波長)
が異なり、H−12C結合の光吸収波長に対して、H−13C
の光吸収波長はわずかに長波長に生じることとなる(12
Cに比べて13Cの質量が多い分だけ長波長になる)。こう
したことから、通常のアセチレン12C2H2分子と同位体置
換のアセチレン13C2H2分子とは、光吸収特性を異にする
異種の分子であると言える。同様に、他の同位体置換ア
セチレン分子においても通常のアセチレンC2H2分子(特
13Cと書かないかぎり、Cは12Cのみを意味することは
化学の定説であり、本願でも単にCと書いた場合、12C
を意味するものである)とは光吸収特性が異なるもので
ある。したがって、上記の同位体置換アセチレン分子を
半導体レーザの波長安定化に使用することは極めて特殊
化された技術であり、漠然とした技術内容の記述、たと
えば単に「アセチレン」を使用すると言うような記述の
発明に、同位体置換アセチレン分子を使用する本発明が
含まれないことは明白である。
本願発明の主要な新規性は、通常のアセチレン分子
(C2H2)の構成元素を同位体元素で置換することによっ
て、光吸収を生じる波長域を実用上重要な波長域の方向
へ移動させることに成功した点に由来する。この光吸収
波長域の移動は精密な光吸収特性の計算の結果、実現さ
れたものであり、後記するように、本発明によって通常
のアセチレン分子を使用した場合に生じた安定化波長の
問題点(記述済み)を解決するものとなった。
次に、同位体置換アセチレン分子の光吸収特性につい
て記述する。まず、前記したように、本願発明者独自の
検討の結果、第2図に示したC2H2ガス分子の光吸収特性
が明らかとなった。これに対して、第1図に本発明を構
成する同位体置換アセチレン分子の光吸収特性の例とし
て、13C2H2ガス分子の光吸収特性を示す。第1図に示す
同位体置換アセチレン分子の場合、波長1.52μm〜1.55
μmの範囲に強く鋭い多数の光吸収線を有するものであ
る。
第2図に示した通常のアセチレン12C2H2の光吸収特性
と第1図に示した同位体置換アセチレン分子の光吸収特
性とを比較して特に注目すべき点は、光吸収線の位置で
ある。すなわち、C2H2の場合、光吸収線は1.520μmを
ほぼ中心とした1.515μm〜1.525μmの一群の波長域の
光吸収線と1.530μmをほぼ中心とした1.525μm〜1.54
0μmの波長域の一群な光吸収線とから成っているが、
13C2H2の場合、光吸収線は1.527μmほぼ中心とした1.5
20μm〜1.533μmの波長域の一群の光吸収線と、1.540
μmをほぼ中心とした1.533μm〜1.550μmの波長域の
一群の光吸収線とから成っている。
このように、同位体置換アセチレンガス分子の場合、
通常のアセチレンガス分子とは明らかに相異した光波長
に光吸収線を生じ、この結果、12C2H2分子を利用した場
合とは異なった特定の波長において、半導体レーザの発
振波長を安定化することが可能となる。特に、第1図に
示した同位体置換の13C2H2ガス分子の場合、通常のアセ
チレンガス分子12C2H2では光吸収線が得られない1.540
μm〜1.55μmの波長域においても、強い光吸収線が得
られ、先に述べたとおり光通信技術等において実用上重
要な波長域1.54μm〜1.55μmにおいて、半導体レーザ
の発振波長を安定化することができるものである。
また、第3図は同位体置換アセチレン分子のうちの12
C2HDの光吸収特性である。この12C2HDガス分子の場合に
も、第2図に示した通常のアセチレン12C2H2とは異なっ
た光吸収特性を示すものであり、したがって、通常のア
セチレンとは異なった特定の波長において半導体レーザ
の発振波長を安定化できるものである。
さらに、炭素原子を13Cとし、水素原子1個を重水素
Dで置換した13C2HDガス分子の場合にも、通常のアセチ
レンガス分子とは異なった波長に光吸収線を有し、半導
体レーザの発振波長を13C2HDガス分子特有の光吸収線の
波長において安定化できるものである。
また、14C2H2の場合には、1.53μm〜1.57μmの波長
域に光吸収線を生じるため、この波長域において半導体
レーザの発振波長を安定化できるものである。
本発明を構成する同位体置換アセチレンガス分子の光
吸収線を利用した半導体レーザの発振波長安定化方法お
よび発振波長安定化装置の詳細については実施例におい
て記述する。
上記光吸収特性の測定は、アンリツ社製スペクトルア
ナライザMA9001Sによって行なったものであり、波長の
絶対値については0.001μm程度の誤差を含むものであ
るが、各ガス分子の光吸収特性の相対比較にはなんら影
響を与えるものではない。
第1の実施例 第4図は、本発明の第1の実施例を説明するための系
統図である。第4図において、11は半導体レーザ、12は
同位体置換アセチレンガス分子である13C2H2を含む気体
を封入し、光吸収用媒体として使用する光吸収用ガスセ
ル、13は光検出器、14は発振波長安定化用制御回路(以
下「制御回路」という)、15は半導体レーザ駆動用電流
端子、16は半導体レーザからの出射光、17は光吸収用ガ
スセル12を通過後の出射光、18は半導体レーザ11の主要
な出射光である。本発明による半導体レーザの発振波長
安定化装置の一実施例の基本構成は第4図において明ら
かであるが、上記装置上のポイントは同位体置換アセチ
レンガス分子13C2H2を含む気体を封入した光吸収用ガス
セル12である。
次に、本発明の第1の実施例を第4図に従って説明す
る。まず、半導体レーザ11より出射した出射光16を13C2
H2ガス分子を含む気体を封入した光吸収用ガスセル12中
を通過させ、1.52μm〜1.55μmの波長域の特定の波長
における鋭い光吸収線を生じさせる。次に、光吸収用ガ
スセル12からの出射光17を光検出器によって検出して電
気信号とした後、制御回路14に送信し、最後に半導体レ
ーザ11の駆動用電流端子15に駆動電流(注入電流)の変
化として導入して、半導体レーザ11の発振波長をわずか
に変化し、13C2H2ガス分子を含む気体を封入した光吸収
用ガスセル12による特定の波長における鋭い光吸収線に
発振波長を同調させて、発振波長を安定化するものであ
る。
たとえば、第4図の装置構成において、半導体レーザ
11として、1.541μm帯で発振するInGaAsP系の分布帰還
型(DFB型)半導体レーザを使用し、光吸収用ガスセル1
2として、長さ2cmで13C2H2ガス分子を20Torrの圧力で封
入したガスセルを使用して、13C2H2ガス分子の1.54117
μmの光吸収線を利用して、上記DFB型半導体レーザの
発振波長を安定化することができる。すなわち、1.541
μm帯で発振する上記半導体レーザ11からの出射光16を
前記条件で13C2H2ガス分子を封入した光吸収用ガスセル
12に入射すると、第5図に示した光吸収線を生じる。
第5図において、横軸は半導体レーザ11の駆動電流
(注入電流)並びに発振波長に対応するものであり、縦
軸は受光器(光検出器)13の受光量並びに光吸収用ガス
セル12の光吸収率に対応するものである。もし、半導体
レーザ11の発振波長が第5図に示した13C2H2ガスセル
(長さ2cm、封入圧力20Torr)の光吸収線のピーク波長
λ0:1.54117μmからずれると、受光器13の受光量は増
加し、大きな出力信号が制御回路14に送られ、この結
果、制御回路14から半導体レーザ11に供給される駆動電
流が変化し、発振波長が変化することとなる。この手順
によって、受光器13の受光量が最小になる波長すなわち
光吸収用ガスセルの光吸収率が最大になる波長λにDF
B型半導体レーザ11の発振波長が同調され、一定値に保
たれる。また、上記駆動電流に微小な変調をかけ、受光
器13の出力の変化が零になる波長、すなわち光吸収線の
ピーク波長λに半導体レーザ11の発振波長を同調させ
る方法等の工夫を加えることによって、より容易に発振
波長の安定化を行なうことができる。
第6図は、本実施例において実施された安定化操作前
後の発振波長の時間変動の測定結果である。前記のよう
は本実施例の安定化方法によって、安定化操作前には約
200MHzの波長変動幅であったが、安定化後には0.5MHz以
下に低減化できた。1.5μmの波長域では0.1μmの波長
幅が1GHzの周波数幅に対応する。したがって、0.5MHzは
5×10-5μmの波長変動幅となる。
同様の安定化操作は、第1図に示した13C2H2ガス分子
の他の特定の波長の光吸収線を使用しても行なえるもの
である。たとえば、前記1.54117μmの光吸収線に替え
て波長1.54949μmの光吸収線を使用しても同様の安定
化操作を行なうことができた。この1.54949μmの光吸
収線の場合、第1図の光吸収特性から明らかなように、
光吸収強度が1.54117μmの光吸収線に比べて弱いため
に、セル長を10cm程度にする必要があった。典型的に
は、13C2H2ガスを20Torrで封入した10cm長のセルを使用
して安定化操作を実施した結果、0.5MHz以下の波長安定
度を達成できた。同様にして、第1図に示されている13
C2H2分子の光吸収線および1.52μmより短波長側にある
13C2H2分子の光吸収線あるいは1.55μmより長波長側に
ある13C2H2の光吸収線すべてを使用して半導体レーザの
発振波長を安定化することができる。
第2の実施例 続いて、この第2の実施例では、13C2H2ガスを封入し
たガスセルの長さと光吸収用率の関係、13C2H2ガスの封
入圧力と光吸収線の線幅の関係、また光吸収線の温度依
存性について明らかにする。まず、第7図は、13C2H2
スを20Torrで封入したガスセルの長さ(mm)と波長1.54
117μmにおける光吸収率(%)との関係を明らかにし
たものである。光吸収率としては10%以上あれば、制御
回路14を中心とする帰還系の制御精度としては十分でで
あることが確認されている。第7図では、10mmのセル長
でも40%程度の吸収率が確保でき、安定化操作には十分
強い吸収率を得ることができる。もちろん、13C2H2ガス
の封入圧力を50Torrあるいは100Torrと高い値にすれ
ば、同じセル長での光吸収率は大きさ値となる。事実、
13C2H2ガス100Torr封入のセルでは5mm長で50%の吸収率
であった。
第7図のセル長と光吸収率の関係は波長1.54117μm
の光吸収線について得たものであるが、第1図に見られ
13C2H2の他の光吸収線の場合は少し異なった値とな
る。即ち、1.54117μmより強い吸収強度の光吸収線、
たとえば1.53745μmあるいは1.52935μmの光吸収線の
場合には、より短いセル長で強い光吸収率を実現でき
る。一方、1.54117μmより弱い光吸収線の場合には、
1.54117μmと同じ光吸収率を得るには、より長いセル
長が必要となる。したがって、光吸収強度の大きな吸収
線の波長では、短くかつ低圧力で13C2H2ガスを封入した
セルで十分大きな光吸収率を確保できるが、光吸収強度
の小さな吸収線の波長で安定化操作に必要な光吸収率を
確保するためには、セル長を長くするか、封入圧力を高
くする必要がある。
第8図は、13C2H2ガスの封入圧力(Torr)と光吸収線
(中心波長1.54117μm)の線幅(GHz)の関係を示した
グラフである。封入圧力760Torr(1気圧)で線幅は13G
Hz(約1.3Å)程度、封入圧100Torrで3GHz程度、10Torr
以下ではほぼ一定で1GHz程度となる。検討の結果明らか
となったことは、1気圧以下に減圧すれば効果上は十分
であると思われるが、半導体レーザの発振波長の時間変
動幅を数MHz以下に安定するためには光吸収線の線幅は
数GHz以下であれば良いことである。従って、13C2H2
スの封入圧力が100Torr以下であれば、数MHz以下の波長
安定性が保証される。しかしながら、13C2H2ガス圧力を
1Torr以下としても、吸収線幅は1GHz程度より大幅に小
さくなることはない。この1GHz程度の線幅は気体分子の
運動に伴うドップラ効果によるものが主で、ガスセルの
温度を低下することにより線幅を狭くすることができ
る。上記の値はすべて室温(20℃)での測定結果であ
る。したがって、半導体レーザの発振波長安定化装置に
使用するガスセル中の13C2H2ガスの封入圧力としては、
1Torr〜100Torrが妥当であることが明らかである。
第9図は、13C2H2を20Torrの圧力で封入したガスセル
の温度と、1.54117μmの光吸収線の線幅との関係を示
したものである。先に言及したように、ドップラ効果に
よる1GHz程度の線幅は、13C2H2ガスの封入圧力を低下し
ても、大幅に低下することは難しいが、ガスセルの温度
を低下すると第9図のように線幅を小さくすることがで
きる。この検討では、ガスセル温度を−35℃まで低下し
たところ、線幅は0.65GHzとなった。吸収線の線幅を狭
くすることは、第1の実施例で示した半導体レーザの発
振波長安定化に際して安定化の精度を高くできることを
意味し、事実、この−35℃の時に得られた0.65GHzの光
吸収線(波長1.54117μm)を用いて安定化操作を行な
ったところ、0.3MHz(第1の実施例では線幅約1GHzで安
定度0.5MHz)の波長安定度を達成できた。波長1.54117
μmの吸収線に限らず、13C2H2分子の他のすべての光吸
収線についても、第9図と同様な線幅の温度依存性は観
測されているため、安定化の精度を高めるために、ガス
セル温度を低下することを有効である。
また、本実施例では、ガスセルの温度を−35℃から70
℃まで変えて、1.54117μmの光吸収線の線幅を測定し
た際に、併せて光吸収線のピーク波長(第5図のλ
の温度による変化を測定した。測定は精度を高めるため
に、温度を一定に保持したガスセルの光吸収線と比較し
ながら行なった。その結果、温度を−35℃から70℃まで
変えても、ピーク波長の値は変化せず、測定精度10MHz
以内で一定であることも明らかとなった。この結果よ
り、13C2H2分子の光吸収線のピーク波長の温度変化率は
1℃当たり0.1MHz以下であることが明らかとなった。
第3の実施例 前記の記述において、13C2H2ガスの封入圧力という表
現を用いたが、これらはすべて13C2H2ガスの封入分圧と
言い換えることができる。すなわち、ガスセル中に13C2
H2ガス以外のガスが混入していてもガスセル中での13C2
H2ガスの分圧が前記の値であれば、光吸収線の線幅を実
質的に小さくでき、安定化操作に供し得るものとなる。
即ち、1気圧でガスセル中に封入された13C2H2気体分子
の示す吸収線幅は、該気体分子同士の衝突、該気体
分子のセル内壁への衝突、該気体分子の運動によるド
ップラ効果の以上3つの要因によて主に決まる。封入圧
力を低下した場合、,の要因の低下することによっ
て、線幅は狭くなる訳ではあるが、ガスセル内に13C2H2
分子以外の分子を混合し、該13C2H2分子の分圧(即ち分
子の数)を低下することによっても,の要因による
線幅広がりを小さくできる、ただし、この場合、混合す
る気体分子は13C2H2分子より分子量が小さい気体分子が
良い。
本実施例では、まずヘリウム(He)ガスと13C2H2ガス
分子を99対1で混合したガス(13C2H2ガス分子の分圧は
約7.6Torrで、7.6Torrに減圧したガスセルとほぼ同じ条
件)を作製し、1.54117μmにおける光吸収線の線幅を
測定したところ、約3GHzであった。この値は7.6Torrで
13C2H2分子を減圧封入したガスセルの場合(第8図)の
値、約1GHzより約3倍大きな値であった。(He分子と13
C2H2分子の衝突効果があるため)。しかしながら、3GHz
の吸収線幅は安定化操作に供し得るものであり、この混
合ガス(13C2H21%,He99%のガス)セルを用いて、第1
の実施例と同様の安定化操作を行なった結果、2MHzの波
長安定度が得られた。
ヘリウムガスに替えて、アルゴン(Ar),ネオン(N
e),酵素(O2),窒素(N2),水素(H2)等の分子量
13C2H2よりも小さなガス分子を13C2H2ガスと混合した
混合ガスの場合にも上記ヘリウムガスの場合と同様な線
幅の低下が見られ、半導体レーザの発振波長安定化に使
用することができた。
第4の実施例 本発明では、装置構成上、特に13C2H2分子の光吸収線
を利用した光吸収媒体について様々な工夫を加えてい
る。第10図および第11図を参照して本発明の第4の実施
例を説明する。第10図は第4の実施例の半導体レーザの
発振波長安定化装置の全体構成を示す。
半導体レーザ41の出射光47は、一体化された集光レン
ズ42,光吸収用ガスセル43,受光部45に入射される。ここ
で集光レンズ42は、ガスセル43の一端部である入射面に
取り付けられており、レーザ41の出射光47をガスセル43
の他端部である光出射面に向けて集光させる機能を有す
るものである。
光入射面に集光レンズ42を取り付けられたガスセル43
は、同位体置換アセチレンガスが所定の圧力で封入され
ている。ガスセル43の他端部である光出射面には、受光
部45が取り付けられており、ガスセル43にて特定波長が
吸収されたレーザ光の受光光量を電気信号48に変換する
光電変換部を含む光検出器が備えられている。
第10図に示す例においては、集光レンズ42,受光部45
がガスセル43の両端部に固着されて一体化した構造を示
しており、いわば集光レンズ42,受光部45自体がガスセ
ル43の気密封入栓となっている構成となっていても良
い。したがって、集光レンズ42,ガスセル43,受光部45が
相互の位置ずれがなく、光学的に極めて安定な構造であ
る。
第10図は、この一体構造のものとして第11図(a)に
示すように集光レンズ42につき球面レンズを用いた例を
示している。
しかし、その他の第11図(b)に示すように半球面レ
ンズとか第11図(c)に示すようにロッドレンズを用い
る応用もできる。
第10図,第11図(a),(b),(c)では、受光部
45をガスセル43の光の出射面に取り付けた構成としてい
るが、この光の出射面付近に受光部45が取り付けられれ
ば、換言すれば出射面に隣接して受光部45が取り付けら
れれば、取付け位置の限定は特別要しない。
第10図に戻り、受光部45の光検出器による光電変換後
の電気信号48は、発振波長安定化用帰還回路46(第4図
の制御回路14と同じ)に送られ、半導体レーザ41の注入
電流が調整され処理される。
この結果、半導体レーザ41の発振波長がガスセル43内
の同位体置換アセチレン分子の光吸収線に同期され、そ
の特定の波長での安定化が図られる。なお、49は安定光
である。
例えば、第10図の装置構成において、前記した第1の
実施例と同様に半導体レーザ41として波長1.541μmで
発振するInGaAsP系の分布帰還型半導体レーザを使用
し、また、セル長2cmのガスセル43に、13C2H2ガス分子
を20Torr封入した場合、この13C2H2分子の1.54117μm
の光吸収線(半値全幅1GHz、吸収強度光60%)を利用し
て前記半導体レーザ41を該光吸収線に波長同期させた。
この構成系を使い半導体レーザの中心発振波長の変動を
0.5×10-14Å(光周波数にして0.5MHz)以下に抑えるこ
とができた。
第5の実施例 続いて、光吸収用媒体に工夫を加えた第5の実施例を
示す。先の第4の実施例と同様、第5の実施例で示す13
C2H2ガスを封入した光吸収用媒体の構造は主として、装
置の光学系の安定度を高めるため、装置の寸法を小型化
するため、半導体レーザとの光結合を高めるため、ある
いは光吸収用媒体の温度を制御し易くするために行なわ
れた工夫である。以下、第5の実施例を図面に基づいて
詳細に説明する。
第12図(a),(b)および(c)はそれぞれ第5の
実施例に示す半導体レーザの発振波長安定化装置に使用
する光吸収用ガスセルの構造である、第12図(a)にお
いて、51は同位体置換アセチレンガスを封入するための
中空ガラス管、52は光が入射するための光ファイバ、53
は受光器、54は光ファイバ52の支持のための中空ガラス
管、55は同位体置換アセチレンガスを封入するための管
で、封入後不通にしてある。なお、この管55を取り付け
ることなく、ガラス管51を加工してガスの封入口を取り
付けてもよい。56は中空ガラス管54と55を固定するため
に接着剤等で固めた封着部材である。
すなわち、第12図(a)の光吸収用ガスセル50は中空
のガラス管51から成り、その入射側の開口端部に光ファ
イバ支持用の中空ガラス管54と光吸収性ガス封入用の管
55をそれぞれ封着して取り付けると共に、対向する側の
開口端部に受光器53を取り付ける。そして、前記中空ガ
ラス管54内に光ファイバ52を支持させて該光ファイバ52
にてセル内部に光を入射させる構造とし、前記管55より
同位体置換アセチレンガスを封入して充填させるように
構成されている。
第12図(b)は第12図(a)の光吸収用ガスセルに加
えて受光器53にガラス棒57を付加したものである。光吸
収強度を強くするためにセル長を長くした場合、光ファ
イバ52から出射した光が広がってしまう。しかるに、ガ
ラス棒57を付加することによってその広がった光を集光
し、効率よく受光器53に送ることができる。このとき、
第13図のようにガラス棒57に屈折率分布をもたせてやる
と、さらに効率よく光を伝搬することができる。
第13図(a)は屈折率分布を持ったガラス棒57の断面
図であり、このガラス棒57は、光が導波するコア部571
とクラッド部572との同心円状の二重構造から構成され
ている。ここで、直径比(a1/a2)として例えばコア部5
71とクラッド部572を1:3の割合にする。部材としては光
ファイバを作るときの部材をそのまま活用してもよい。
第13図(b)はコア部571とクラッド部572の屈折率分布
を示したものである。また、第13図(c)はコア部571
の屈折率分布を放物線状にしたものである。
第12図(c)は第12図(b)のガラス棒にファイバの
部材を使いその片端を引き延ばしファイバ58にしたもの
で、光の出射についても光ファイアで取り出すことを可
能にしたものである。なお、59はファイバ57を固定する
ために接着剤で固めた封着部分である。このセル構造で
は、ファイバ入力で光吸収用ガスセル50を通過した光を
ファイバ出力で得ることができ、光学系をすべてファイ
バで構成することができる。
第14図は第5の実施例に係る半導体レーザの発振波長
安定化装置の構成ブロック図である。この第5の実施例
は、第14図(a)に示すように、第12図(a)の光吸収
用ガスセル50と、光ファイバ33の出力で光が取り出せる
半導体レーザモジュール31と、発振波長安定化用帰還回
路32と、前記ガスセル50の入力光ファイバ52と前記光フ
ァイバ33とを結ぶ光カップラ34とから構成され、これら
入力光ファイバ52と光ファイバ33が光カップラ34で結合
されてその出力の片方が取り出せるようになっている。
なお第14図において第12図と同一部分又は相当部分には
同一符号が付してある。
次に、第5の実施例の光吸収用ガスセル50を用いた半
導体レーザの発振波長安定化装置の動作を第14図(a)
に従って説明する。
まず、半導体レーザモジュール31より出射した出射光
を光カップラ34を介して光ファイバ52より光吸収用ガス
セル50に入射し、ある特定の周波数における光吸収を生
じさせる。このとき、同位体置換アセチレンガスを透過
した光強度は第5図のような特性を示す。また、その吸
収ピーク波長λにレーザ光の発振周波数を同期させ
る。しかして、その透過光をガスセル50内の受光器53で
光電変換した信号36は発振波長安定化用帰還回路32)第
4図の制御回路14と同じ)に送信された後、その信号に
基づき半導体レーザモジュール31への注入電流を調整す
ることにより、該半導体レーザモジュール31の発振波長
が吸収セル50中の封入気体の吸収線ピークに同期され、
この波長に安定化される。そして、この安定光は光ファ
イバ35の出力として得られる。
また、第12図(c)のファイバ出力型光吸収用ガスセ
ル50を用いた場合の構成ブロックを第14図(b)に示
す。この第14図(b)においては第14図(a)と異なる
点は、前記吸収セル50の出力端の光ファイバ58からの出
力を光電変換するためにファイバ入力型の受光器531を
設け、この受光器531の入力ファイバ37と前記吸収セル5
0の出力ファイバ58とが光コネクタ38で結ばれているこ
とである。
例えば、第14図の装置構成において、前記第1の実施
例と同様に半導体レーザモジュール31として波長1.5421
で発振するInGaAsP系の分布帰還型半導体レーザを使用
し、また、セル長2cmのガスセル50に13C2H2ガス分子を2
0取り付けで封入した場合、1.54117μmの吸収線(半値
全幅1GHz,吸収強度60%)を利用して前記半導体レーザ
を吸収線に波長同期させた。その結果、この構成系を使
い半導体レーザの中心発振波長の変動を0.5×10-14
(光周波数にして0.5MHz)以下に抑えることができた。
第6の実施例 さらに、光吸収用媒体に工夫を加えた第6の実施例を
示す、第15図は第6の実施例の半導体レーザの発振波長
安定化装置を説明するための説明図である。第15図にお
いて、61は半導体レーザであり、62は第16図に構造を示
す光吸収性ファイバである。63は光検知器、64は発振波
長安定化用帰還回路(以下単に「帰還回路」という、第
4図の制御回路1と同じ回路)、65は半導体レーザ駆動
用電極端子、66は半導体レーザ61からの出射光、67は光
吸収性ファイバ62を通過後の出射光、68は半導体レーザ
11の主要な出射光である。
第16図(a)および(b)において、612はクラッ
ド、613はコア614に隣接あるいはコア614内に設けられ
た中空部である、中空部613の中には、同位体置換アセ
チレンガス分子が封入されている。
次に、第6の実施例の半導体レーザの発振波長安定化
装置の動作を第15図および第16図に従って説明する。
まず、半導体レーザ61より出射した出射光66を光吸収
性ファイバ62の一端より入射し、光吸収性ファイバ62の
コア614を通過させると同時に、通過中に中空部613に封
入した同位体置換アセチレン分子と相互作用させて、あ
る特定の波長における光吸収を生じさせる。次に、前記
光吸収性ファイバ62の他端からの出射光67を光検知器63
によって検知し、電気信号とした後、帰還回路64に送信
し、最後に、半導体レーザ61の駆動用電流端子65に導入
して、発振波長を前記中空部614に封入されている同位
体置換アセチレン分子の光吸収線の特定の一本に同調さ
せ、この同調波長に安定化させるものである。
例えば、第15図および第16図の装置構成において、半
導体レーザ61として、中心波長1.541μmで発振するInG
aAsP系の分布帰還型半導体レーザを使用し、また同位体
置換アセチレンガス分子として13C2H2を、コア614の直
径8μm、中空部613の直径3μm、クラッド612の直径
125μmの光ファイバ(構造は第16図(a)のもの)内
に封入して得られる光吸収性ファイバ62を使用した場
合、13C2H2分子の1.54117μmの吸収線を利用して、発
振波長の安定化を図れるものである。安定化操作の方法
は前記各実施例で示したものと全く同様であるため省略
するが、第15図,第16図の装置構成によって5MHzの発振
波長安定度が達成された。
次に、第6の実施例で示した光吸収性ファイバについ
ての説明を付加する。第16図(a),(b)に示した光
吸収性ファイバの場合、コア614内の伝搬光と中空部613
内に封入された同位体置換アセチレンガス分子が相互作
用することによって光吸収特性を示すため、伝搬光の中
空部内へのしみ出しが相互作用の大きさ、すなわち光吸
収強度の大きさを左右することとなる。たとえば、第16
図(a)の構造においては、次式で定まるV値を小さく
し、単一モードと呼ばれる光の伝搬状態を実現した時
に、大きな相互作用が得られる。
ここで、kは伝搬光の波数、n1はコアの屈折率、aは
コア半径、Δは(n1−n2)/n1である。n2はクラッドの
屈折率である。上記実施例の中で示したコア直径8μm,
中空部直径3μmは(1)式を基本として定めたもので
ある。この値は典型的な値であり、相互作用を高め、大
きな光吸収強度を得る観点から値は任意に定めることが
できる。
こうした第16図の光吸収性ファイバの中空部に、たと
えば13C2H2ガス分子を封入した場合、第1図に示したも
のと同様の光吸収線が得られ、上記のとおり半導体レー
ザの発振波長安定化に使用された訳であるが、ガスセル
の場合と比較して問題となるのは封入圧力である。即
ち、該光吸収性ファイバの中空部613はガスセルに比べ
て寸法が極めて小さく、かつファイバ長が1m〜10mと長
いために圧力を精密に調整することが難しい。そこで、
発明者らは、第3の実施例で示した同位体置換アセチレ
ンとヘリウム等の混合ガスを使用し、同位体置換アセチ
レン分子の分圧を低下し、減圧の場合と同じ効果を実現
し、光吸収線幅を小さくする方法を考え出した。例え
ば、13C2H21%、He99%の混合ガスを作製して該光吸収
性ファイバの中空部内に封入した場合、波長1.54117μ
mの光吸収線幅は3GHz程度となった。このように、光吸
収性ファイバの場合、単に減圧して同位体置換アセチレ
ンガスを封入するだけでなく、混合ガスの手法が有効で
ある。
続いて、光吸収用媒体として上記光吸収性ファイバを
使用した場合の装置構造についての実施例を追加する。
光吸収性ファイバの場合、自由に曲げられるため、ガス
セルを使用した場合とは異なった装置構成が可能とな
る。第17図はその一例である。第17図(a)では、半導
体レーザ61より出射した出射光66を光ファイバカップラ
610に入射し、出射光66を分岐して、主要な出射光69と
発振波長安定化用出射光611とを作製する。光ファイバ
カップラ610による光分岐の強度比は、該カップラの特
性によって決まるが、典型的には、主出射光69の発振波
長安定化用出射光611の強度比は10:1である。次に、こ
の発振波長安定化用出射光611を光吸収性ファイバ62内
へ入射し、鋭い光吸収特性を実現した後、光検知器63に
より受光する。帰還回路64および駆動用電流端子65の動
作については、前記各実施例において詳細に示した通り
である。本実施例によれば、発振波長安定化用出射光61
1を半導体レーザ61の主要な出射光66と同一方向から分
岐できるため、光吸収性ファイバへの光結合の調整等光
学上のアライメントを簡便にすることができる。
また、第17図(b)においては、ピッグテール(出射
光用ファイバ)622を備えており、半導体レーザ61から
の出射光は、前記ピッグテール622を通して、直接光フ
ァイバカップラ610に入射される。光ファイバカップラ6
10による分岐比は、第17図(a)の場合と同様に典型的
には10:1であり、主要な出射光69に対して約1/10の光量
のレーザ光が光吸収性ファイバ62内へ入射される。この
光吸収性ファイバ62を通過し、光吸収を生じたレーザ光
は光検知器63によって受光された後、電気信号として結
合線623によって帰還回路64に送られ、さらには結合線6
25によって半導体レーザ61に制御用信号が送られる。半
導体レーザ61の発振波長安定化の動作は前記各実施例に
述べた通りである。
本実施例によれば、半導体レーザ61,光検知器63およ
び帰還回路64が基板624上に設置されているので、装置
全体が小型にすることができる。また、この特徴は、光
ファイバ型の光吸収セルを採用したことにより、レーザ
光を自由に曲げられることによって生じたものである。
また、ピッグテール612付きの半導体レーザを使用する
ことにより、光学系上のアライメントを更に簡便かつ安
定にすることができる。
第7の実施例 光吸収用媒体および装置構成に関する工夫をさらに追
記する。第18図は第7の実施例の半導体レーザの発振波
長安定化装置の基本構成図で、71は同位体置換アセチレ
ンガスを封入したガスセル、72は半導体レーザ、73は受
光器、74は発振波長安定化用復帰回路である。すなわ
ち、本実施例の半導体レーザ装置は、同位体置換アセチ
レンガスを封入したガスセル71内に半導体レーザ72と受
光器74を入れて一体的に配設し、この半導体レーザ72よ
りも出射光76を該ガスセル71中の同位体置換アセチレン
ガスを透過させる際に生じる特定の周波数における光吸
収を利用して、その透過光を受光器73で光電変換した
後、この電気信号を帰還回路(第4図の制御回路14と同
じ回路)74で処理して半導体レーザ72に帰還させること
により、該半導体レーザの発振波長を安定化させるよう
に構成されている。
第19図は本実施例に係る半導体レーザの発振波長安定
化装置の一例を説明するための概略図であり、第19図
(a)はその立体的な内部構造図、第19図(b)は同じ
くその断面図である。第19図において、711は第18図と
同様の半導体レーザ、712は同じく第18図と同様の受光
器、713はレーザ光を受光器712に集光するための半球レ
ンズ、714は半導体レーザ711と装置内の光吸収性ガスの
温度を制御するためのペルチェ素子であり、このペルチ
ェ素子714の検出信号は信号線を介して温度制御装置
(図示せず)に送信されてその温度を一定に制御するも
のとなっている。また、715は安定化された光を取り出
すための光ファイバ、716,717はそれぞれ半導体レーザ7
11と光ファイバ715を固定するための台であり、これら
の構成部品が、光吸収性ガスで気密したガラスまたは金
属等で作られた吸収セルとしての箱718に入られて一体
化されている。
次に、本実施例の光波長基準用吸収セルを用いた発振
波長安定化半導体レーザ装置の動作を第19図に従って説
明する。
まず、半導体レーザ711より出射した出射光716は装置
内に充満した同位体置換アセチレンガスを透過し、ある
特定の周波数における光吸収が生じる。このとき、同位
体置換アセチレンガスを透過した光強度は第5図と同様
の特性を示す。また、その吸収ピークに波長λにレー
ザ光の発振周波数を同期させる。しかして、その透過光
を半球レンズ713で集光し受光器712で光電変換すると、
該受光器712で光電変換した信号77が発振波長安定化用
帰還回路74(第18図参照)に送信されて処理された後、
この制御信号78は半導体レーザ711への注入電流を調整
することにより、半導体レーザ711の発振波長がガスセ
ル中の同位体置換アセチレンガスの吸収線ピーク波長に
同期され、この波長に安定化される。そして、この安定
光は光ファイバ715の出力として得られる。
たとえば、第19図の装置構成において、半導体レーザ
711として波長1.5410μmで発振するInGaAsP系の分布帰
還型半導体レーザを使用し、また、レーザ光が同位体置
換アセチレンガスを透過する距離つまり半導体レーザ71
1と半球レンズ713間を2cmとし、同位体置換アセチレン
ガスとして13C2H2ガスを20Torrで封入した場合、1.5411
7μmの吸収線(半値全幅1GHz,吸収強度60%)を利用し
て前記半導体レーザ711を吸収線に波長同期させた。そ
の結果、この構成系を使い半導体レーザの中心発振波長
の変動を0.5×10-14Å(光周波数にして0.5MHz)以下に
抑えることができた。
第8の実施例 13C2H2分子は第1図に開示したとおり、1.52μm〜1.
55μmの波長域において(もちろん1.55μmより長い波
長域においても)、多数の光吸収線を有する。前記各実
施例に詳細に示したとおり、それぞれの吸収線を利用し
て、各吸収線の波長において、半導体レーザの発振波長
を安定化することができる。加えて、これら多数の吸収
線を利用して、異なった波長で発振する複数の半導体レ
ーザを安定化することができる。第20図は第8の実施例
を説明するための構成ブロック図である。発振波長が異
なった3つの半導体レーザ811,812及び813が並んだ半導
体レーザアレイ81からの出射光86,87及び88を、球レン
ズ82を入射面に有し、同位体置換アセチレンガスを所定
の圧力で封した光吸収用ガスセル83内に入射して光吸収
を生じさせた後、受光器84で光電変換して制御回路85へ
入力する。制御回路85内では、半導体レーザの駆動電流
にそれぞれ異なった周波数ω1およびωで微小に
振幅変調した電流を一定値の直流駆動電流に印加し、半
導体レーザ811,812および813に供給する、この際、ω
の変調電流を印加した駆動電流は半導体レーザ811に供
給し、ωは半導体レーザ812、ωは半導体レーザ813
にそれぞれ供給する。この操作の結果、1つの受光器84
で光電変換した信号中から、各半導体レーザに対応した
制御用信号を同期増幅器(ロックインアンプ)で分離、
増幅することが可能となり、前記第1の実施例等に示し
た方法により、発振波長の異なる半導体レーザ811,812
および813がそれぞれ同位体置換アセチレンガスの特定
の波長に安定化されるものである。この結果、半導体レ
ーザアレイ81からの主出力光89中には3つの特定の波長
で安定化された光が含まれることとなる。
たとえば、第20図の装置構成において、波長1.539μ
m,1.541μmおよび1.542μmでそれぞれ発振する3つの
半導体レーザを含む半導体レーザアレイ81を使用し、光
吸収用ガスセル83として13C2H2ガスを20Torrで封入した
長さ2cmとガスセルを使用して該3つの半導体レーザの
発振波長をそれぞれ1.53959μm,1.54117μmおよび1.54
255μmの各波長に安定化することができた。制御回路
内で各半導体レーザの制御信号を区別するための周波数
としてはω=1kH、ω=10kHz,ω=100kHzを使用
した。
上記実施例の記述では3つの半導体レーザを有するア
レイを使用した例を示したが、2つの半導体レーザのア
レイや4つ以上の半導体レーザのアレイを用いることも
当然できるし、同時あるいは個別に安定化することもで
きる、即ち、同位体置換アセチレン分子の光吸収線の数
だけの半導体レーザを同時にまたは個別に安定化するこ
とができる。
また、上記実施例の記述では、装置構成として球レン
ズを付加したガスセルを使用した例を示したが、複数の
半導体レーザを安定化する際に第1の実施例で示した集
光機能のないガスセルや第5の実施例で示した光ファイ
バ付きガスセル、あるいは第6の実施例で示した光吸収
性ファイバ、さらには第7の実施例で示したハーメチッ
クシール型の構成を用いることも容易にできる。
また、光吸収用媒体中に、同位体置換アセチレン分子
に加えて、アセチレン分子やアンモニア分子,同位体置
換アンモニア分子を封入することにより、さらに多くの
波長において、半導体レーザの発振波長を安定化するこ
とが可能である。
第9の実施例 これまでの実施例で開示した半導体レーザの発振波長
安定化方法あるいは安定化装置においては、半導体レー
ザの駆動電流に微細な変調電流を付加することによっ
て、半導体レーザの発振波長を同位体置換アセチレン分
子の特定の光吸収線のピーク波長の前後で数十MHz程度
振動させ、この結果得られる信号を利用して、半導体レ
ーザの中心発振波長を該光吸収線のピーク波長λに精
度良く同調させるものである。
本実施例では、光周波数変調器を利用して、半導体レ
ーザの波長を数十MHz程度振動させることによって、半
導体レーザの発振波長を安定化させる装置構成を記述す
る。第21図は、第9の実施例を説明するための装置構成
図である。第21図で、91は同位体置換アセチレンガスを
封入した光吸収用媒体、92は半導体レーザ、93は制御回
路、94,95は光ファイバ、96は光ファイバカップラ、97
は信号線、98は受光器、99は光周波数変調器、910は主
出力光である。この装置の特徴は、光ファイバ付き光周
波数変調器99に加え、同位体置換アセチレンガスを封入
した光吸収用媒体として、第6の実施例で開示した光フ
ァイバ付きガスセル91を使用することによって、光ファ
イバ94,95で、半導体レーザ92と光周波数変調器99およ
び該光吸収用媒体91が結合されていることである。
第21図で、半導体レーザ92よりの出射光は光ファイバ
95を通過した後、光ファイバカップラ96で、主出力光91
0と光ファイバ94へ入る光とに分岐される。分岐比はお
よそ10対1である。光ファイバ94へ入った光は光周波数
変調器99によって光周波数の変調(たとえば数十MHz)
を受けた後、光ファイバ94を通過して同位体置換アセチ
レンガスを封入した光吸収用媒体91に入る。光吸収用媒
体91で同位体置換アセチレンガスの有する特定の波長で
吸収を受けた光は、受光器98によって光電変換された
後、信号線97によって電気信号として制御回路93に送信
される。この電気信号は制御回路93内で増幅された後、
直流の駆動電流変化として半導体レーザ92に帰還され
る。こうした一巡の帰還回路によって半導体レーザ92の
発振波長は光吸収用媒体91内に封入された同位体置換ア
セチレン分子の特定の光吸収線に同調されるものであ
る。
たとえば、上記半導体レーザ92として1.541μmで発
振する分布帰還型半導体レーザを使用し、光周波数変調
器99としてLiNbO3の高変調器、また光吸収用媒体91中の
同位体置換アセチレンガスとして13C2H2を使用して、半
導体レーザの光をLiNbO3光変調器によって、50MHzの幅,
10kHzの繰り返し速さで周波数変調した後、13C2H2分子
によって波長1.54117μmの光吸収を生じさせた場合、
上記動作によって、該半導体レーザの発振波長を0.5MHz
以下の精度で安定させることができた。光周波数変調器
を使用した装置構成の場合、半導体レーザの主出力光91
0の中に周波数変調に伴う雑音が含まれない特徴があ
る。
上記と同様な方法によって、第8の実施例で示した複
数の半導体レーザ(アレイ状に並んだものを含める)を
1つあるいは複数の光周波数変調器と1つあるいは複数
の光吸収用媒体を使用して、同時にあるいは個別に安定
化することも容易に可能である。
また、本実施例の装置構成では、同位体置換アセチレ
ン分子を封入した光吸収用媒体の温度を低下させ、狭い
光吸収線を得ることも容易である。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明による半導体レーザの発振
波長安定化方法および安定化装置は、同位体置換アセチ
レン分子を光吸収用媒体として使用することにより、1.
52μm〜1.57μmの波長範囲に強く鋭い多数の光吸収線
を得ることができるので、光通信技術、光測定技術等に
おいて極めて重要な1.54μm〜1.56μmの波長域におい
て半導体レーザの発振波長を安定化する方法および装置
を提供できる利点がある。
また、同位体置換アセチレン分子の1.52μm〜1.57μ
mにおける光吸収線は強く鋭いため、小型の装置におい
て極めて高精度な波長の安定化を実現できると共に、上
記波長域における複数の光吸収線を利用して複数の半導
体レーザを同時に又は個別に安定化する利点も有する。
さらに、光ファイバ付き光周波数変調器と光ファイバ
付き光吸収媒体を基本とした装置構成に本発明を適用す
れば、周波数雑音の少ない波長安定化光を光学的に安定
な系によって得られる利点もある。
さらに、本発明による半導体レーザを発振波長安定化
装置は、強い光吸収線を有する同位体置換アセチレン分
子を使用したことにより、ガスセルを短くでき、光学系
が簡単な構成となり、簡便で小型化が容易となる利点が
ある。また、ガスセルが短いことで光路の安定化が図ら
れ、電気回路の集積化を進めることなどにより、極めて
小型で安定性に優れた実用的装置を提供できる利点があ
る。
こうして、小型化された発振波長安定化半導体レーザ
装置は、電気技術における水晶式周波数基準装置と同
様、光技術における光周波数(光波長)基準装置として
幅広く摘用することができ、光技術全般の高度化や電話
を中心とする通信サービスを高度化、経済化に極めて有
効に作用すると言える。
【図面の簡単な説明】
第1図は同位体置換アセチレン分子の1つである13C2H2
気体分子の光吸収線を示す特性図、第2図は従来のC2H2
気体分子の光吸収線を示す特性図、第3図は同位体置換
アセチレン分子の1つであるC2HD気体分子の光吸収線を
示す特性図、第4図は本発明の第1の実施例の説明図、
第5図は13C2H2気体分子を20Torrで封入した2cmのガス
セルの1.54117μm付近の光吸収線を示す特性図、第6
図は第1の実施例において得られた安定化操作前後の発
振波長の時間変動の測定結果を示すタイムチャート、第
7図は13C2H2ガスを20Torrで封入したガスセルの長さと
1.54117μmにおける光吸収率の関係を示すグラフ、第
8図は13C2H2ガスの封入圧力と1.54117μmにおける光
吸収線の線幅との関係を示すグラフ、第9図は13C2H2
スを20Torrで封入したガスセルの温度と1.54117μmの
光吸収線の線幅との関係を示すグラフ、第10図と第11図
を第4の実施例の説明図、第12図,第13図および第14図
は第5の実施例の説明図、第15図,第16図および第17図
は第6の実施例の説明図、第18図と第19図は第7の実施
例の説明図、第20図は第8の実施例の説明図、第21図は
第9の実施例の説明図である。 11……半導体レーザ、12……光吸収用ガスセル、13……
光検出器、14……制御回路、15……電流端子。
フロントページの続き (72)発明者 池上 徹彦 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 ▲吉▼国 裕三 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 横浜 至 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 久保寺 憲一 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−216880(JP,A) 特開 平2−214801(JP,A) IEEE J.Quantum El ectron 28[1] (1992) P.75−81 電子情報通信学会全国大会講演集 V ol.1989,No.Autumn P t.4(1989) P.4.78 応用物理 65[1] (1996) P. 54−57 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/00 - 4/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】気体分子の有する光吸収線を利用して半導
    体レーザの発振波長の時間変動を安定化する発振波長安
    定化方法において、前記気体分子をアセチレン分子を構
    成する炭素または水素のうち1つ以上の元素を質量数が
    14以上の炭素の同位体元素または質量数が2以上の水素
    の同位体元素で置き換えた同位体置換アセチレン分子と
    なすことを特徴とする半導体レーザの発振波長安定化方
    法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の半導体レーザの発振波長安
    定化方法において、同位体置換アセチレン分子の有する
    複数の光吸収線を利用して、同時あるいは個別に発振波
    長の異なった複数の半導体レーザの発振波長を安定化さ
    せることを特徴とする半導体レーザの発振波長安定化方
    法。
  3. 【請求項3】半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器と
    制御回路とを基本として構成される半導体レーザの発振
    波長安定化装置において、前記光吸収用媒体が、アセチ
    レン分子を構成する炭素または水素のうち1つ以上の元
    素を質量数が14以上の炭素の同位体元素または質量数が
    2以上の水素の同位体元素で置き換えた同位体置換アセ
    チレン分子の有する光吸収線を利用した光吸収特性を有
    することを特徴とする半導体レーザの発振波長安定化装
    置。
  4. 【請求項4】請求項3記載の半導体レーザの発振波長安
    定化装置において、光吸収用媒体が、1気圧以下に減圧
    した同位体置換アセチレン気体分子の有する光吸収線を
    利用した光吸収特性を有することを特徴とする半導体レ
    ーザの発振波長安定化装置。
  5. 【請求項5】半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器と
    制御回路とを基本として構成される半導体レーザの発振
    波長安定化装置において、前記光吸収用媒体が、アセチ
    レン分子を構成する炭素または水素のうち1つ以上の元
    素を質量数が13以上の炭素の同位体元素または質量数が
    2以上の水素の同位体元素で置き換えた同位体置換アセ
    チレン分子の有する光吸収線を利用した光吸収特性を有
    し、かつ、前記光吸収用媒体が、同位体置換アセチレン
    気体分子とヘリウム,ネオン,アルゴン,酸素,窒素,
    水素のうち一種以上の気体分子との混合気体を基本とし
    て構成されることを特徴とする半導体レーザの発振波長
    安定化装置。
  6. 【請求項6】請求項3記載の半導体レーザの発振波長安
    定化装置において、光吸収用媒体が、同位体置換アセチ
    レン分子を含む気体を所定の圧力で封入したセルを基本
    として構成されていることを特徴とする半導体レーザの
    発振波長安定化装置。
  7. 【請求項7】半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器と
    制御回路とを基本として構成される半導体レーザの発振
    波長安定化装置において、前記光吸収用媒体が、アセチ
    レン分子を構成する炭素または水素のうち1つ以上の元
    素を質量数が13以上の炭素の同位体元素または質量数が
    2以上の水素の同位体元素で置き換えた同位体置換アセ
    チレン分子の有する光吸収線を利用した光吸収特性を有
    し、かつ前記光吸収用媒体が、前記同位体置換アセチレ
    ン分子を含む気体を所定の圧力でコア内あるいはコア近
    傍に設けた中空部に封入した光吸収性ファイバであるこ
    とを特徴とする半導体レーザの発振波長安定化装置。
  8. 【請求項8】半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器と
    制御回路とを基本として構成される半導体レーザの発振
    波長安定化装置において、前記光吸収用媒体が、アセチ
    レン分子を構成する炭素または水素のうち1つ以上の元
    素を質量数が13以上の炭素の同位体元素または質量数が
    2以上の水素の同位体元素で置き換えた同位体置換アセ
    チレン分子の有する光吸収線を利用した光吸収特性を有
    し、かつ前記吸収用媒体の中に、少なくとも半導体レー
    ザおよび受光器を備えたことを特徴とする半導体レーザ
    の発振波長安定化装置。
  9. 【請求項9】半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器と
    制御回路とを基本として構成される半導体レーザの発振
    波長安定化装置において、前記光吸収用媒体が、アセチ
    レン分子を構成する炭素または水素のうち1つ以上の元
    素を質量数が13以上の炭素の同位体元素または質量数が
    2以上の水素の同位体元素で置き換えた同位体置換アセ
    チレン分子の有する光吸収線を利用した光吸収特性を有
    し、前記光吸収用媒体が、前記同位体置換アセチレン分
    子を含む気体を所定の圧力で封入したセルを基本として
    構成され、前記セルは光の入射面に集光レンズを有しか
    つ光の出射面に直接または隣接して受光器を有すること
    を特徴とする半導体レーザの発振波長安定化装置。
  10. 【請求項10】半導体レーザと光吸収用媒体と光検出器
    と制御回路とを基本として構成される半導体レーザの発
    振波長安定化装置において、前記光吸収用媒体が、アセ
    チレン分子を構成する炭素または水素のうち1つ以上の
    元素を質量数が13以上の炭素の同位体元素または質量数
    が2以上の水素の同位体元素で置き換えた同位体置換ア
    セチレン分子の有する光吸収線を利用した光吸収特性を
    有し、前記光吸収用媒体が、前記同位体置換アセチレン
    分子を含む気体を所定の圧力で封入したセルを基本とし
    て構成され、前記セル内部に光を入射させるために光フ
    ァイバをセルの光の入射面に接続したことを特徴とする
    半導体レーザの発振波長安定化装置。
  11. 【請求項11】請求項8記載の半導体レーザの発振波長
    安定化装置において、同位体置換アセチレン分子を含む
    気体が、同位体置換アセチレン分子とアルゴンあるいは
    ヘリウムとの混合ガスを主成分とすることを特徴とする
    半導体レーザの発振波長安定化装置。
  12. 【請求項12】半導体レーザと光周波数変調器と光吸収
    用媒体と光検出器と制御回路とを基本として構成される
    半導体レーザの発振波長安定化装置において、前記光吸
    収用媒体がアセチレン分子を構成する炭素または水素の
    うち1つ以上の元素を質量数が13以上の炭素の同位体元
    素または質量数が2以上の水素の同位体元素で置き換え
    た同位体置換アセチレン分子の有する光吸収線を利用し
    た光吸収特性を有し、かつ、前記半導体レーザ、前記光
    周波数変調器および前記光吸収用媒体がそれぞれ光ファ
    イバによる光出力端子あるいは光入力端子のいずれかを
    1つ有し、光ファイバによって接続されることを特徴と
    する半導体レーザの発振波長安定化装置。
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