JP2772399B2 - 青果物類における熟度測定装置およびその測定方法 - Google Patents

青果物類における熟度測定装置およびその測定方法

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NORINSUISANSHO SHOKUHIN SOGO KENKYUSHOCHO
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は青果物類の熟度測定装置およびその測定方法
に係り、特に青果物類を破壊することなくその熟度を評
価できるようにした熟度測定装置およびその測定方法に
関する。
〔従来の技術〕
一般に、青果物類を破壊することなくその熟度を評価
することは困難であり、従来では熟度を青果物類の外
観、重量などで評価したり、あるいは叩いてその音色で
評価したりしている。しかしながら、これでは熟度の精
度のよい評価を行うことはできず、近年では非破壊によ
る評価方法として打音を解析することにより熟度を評価
する方法が提案されている。この方法は、青果物類の熟
度が進行するにつれて、打音のパワースペクトルのピー
クが低周波側に移行することを利用して評価しようとす
るものであり、いわば熟練者が西瓜を叩いてその音色で
熟度を判断することに相当し、かなり実用に近いものと
言える。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、パワースペクトルのピークが低周波側
に移行することを利用した従来の評価方法では、ピーク
周波数が複数ある場合において、種々の要因からパワー
スペクトルの形状が微妙に変化すると、該ピークの同定
が困難になり、測定に誤差が生じ易くなるという問題が
ある。また、演算に高速フーリエ変換などが必要にな
り、その計算のために多少時間がかかるという問題があ
る。さらに、この種の評価の方法では青果物の大きさ、
形状などが考慮されず、熟度を完全に評価することが困
難であるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有す
る問題点を解消し、青果物の大きさ、形状などを考慮し
た上で、極めて簡単に、かつ精度よく熟度を評価できる
ようにした青果物類における熟度測定装置およびその測
定方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明の装置は、青果物
類に打撃を与える打撃手段と、打撃により発生するイン
パルス波形の伝搬速度を測定する測定手段と、この測定
により求められた測定伝搬速度データと予め求められた
熟度に関する基準伝搬速度データとを比較する比較手段
とを備えたことを特徴とするものであり、また、本発明
の方法は、青果物類に打撃を与え、この打撃により発生
するインパルス波形の伝搬速度を測定し、この測定によ
り求められた測定伝搬速度データと予め求められた熟度
に関する基準伝搬速度データとを比較し、この比較され
た結果に基づいて青果物類の熟度を評価することを特徴
とするものである。
〔作 用〕
本発明によれば、打撃により生じるインパルス波形が
青果物の外周に沿って等速で伝搬し、しかもこの伝搬速
度が青果物の熟度が進行するにつれて遅れることに着目
したものであり、先ず、打撃により発生するインパルス
波形の伝搬速度を測定し、次いで、この測定により求め
られた測定伝搬速度データと、予め求められた熟度に関
する基準伝搬速度データとを比較し、この比較された結
果に基づいて青果物類の熟度を評価するようにしたもの
である。
〔実施例〕
以下、本発明による青果物類における熟度測定装置お
よびその測定方法の一実施例を添付図面を参照して説明
する。
第1図において符号1は置台を示し、この置台1の上
にはマスクメロンなどの青果物2が静置されている。こ
の置台1の前方には青果物2に打撃を与えるための振子
式の打撃手段3が配置され、この打撃手段3は上端を固
定部にヒンジ結合された打撃棒5と、この打撃棒5の先
端に止着された打撃球6とで構成されている。ただし、
打撃手段3としては振子式でなくともよく、青果物2に
振動を与えることができる手段であればよい。
また、打撃球6が青果物2に衝突したことは、光電ス
イッチ8により検出され、この衝突により生じて該青果
物2の胴部の外周に沿ってインパルス波形として伝搬さ
れる打音は、置台1の後方のマイク9により検出される
ようになっている。
このマイク9からの信号は、第2図に示すように、増
幅器10、AD変換ボード11を介して、マイクロコンピュー
タ12の演算部13に入力され、AD変換ボード11にはスイッ
チ部11aとAD変換部11bとが設けられ、スイッチ部11aに
は光電スイッチ8からの信号がトリガ信号として入力さ
れるようになっている。このトリガ信号が入力される
と、スイッチ部11aが閉じ、マイク9からの信号がAD変
換部11bを介して演算部13に入力され、この演算部13で
は、トリガ信号の発生した時間と、マイク9からのピー
ク信号の発声した時間とから伝搬時間差を求め、この伝
搬時間差を、インパルス波形が伝搬される伝搬距離で除
し、伝搬速度を演算するようになっている。
この演算部13で演算された測定伝搬速度データは、マ
イクロコンピュータ12の比較部14に入力され、この比較
部14には、青果物2の熟度とインパルス波形の伝搬速度
との相関関係から求められた基準伝搬速度データがキー
ボードなどの設定器15を介して入力されるようになって
いる。そして、この比較部14においては、基準伝搬速度
データと上述の測定により求められた測定伝搬速度デー
タとが比較され、この比較の結果によって青果物2の熟
度が評価されるようになっている。
このように構成された装置において、上記の打撃手段
3により青果物2に打撃を与えると、打撃時のインパル
ス波形は、その胴部の外周に沿って波動時に等速で伝搬
される。
先ず、これを理論的に考察すると、波動の伝搬速度を
V、波動の変位を表す時空間関数をu(x,t)としたと
き、波動方程式(1)が成り立つ。
ここで、第3図に示すように、張力Tおよび線密度ρ
が一定の弦を考えた場合に、曲げやせん断に対する剛性
がなく、変位uが微少なものとすれば、微少要素dxに対
する張力のy成分は、 位置xにおいて、 位置(x+dx)において、 (2),(3)式を用いて微少要素dxに運動方程式を
あてはめると、 整理すると、 (1),(5)式を比較すると、 v2=T/ρ ……(6) つまり、伝搬速度Vの2乗は、張力Tおよび線密度ρ
の比によって定まることになる。ここで、青果物2の熟
度(硬度)は、張力Tの垂直成分の変化と等価であると
みなせるので、密度ρの変化が張力Tの変化に比べて相
対的に小さければ、伝搬速度Vは、熟度(硬度)に関す
る直接的な指標となり得ることになる。
次に、上記の装置により青果物2の熟度を実験的に測
定した結果を考察する。
第4図に示すように、青果物2の胴部の外周上を24等
分し、振子の打撃点付近の3か所を除く21か所((2)
〜(22))にそれぞれマイク9を近付け、それぞれの時
間領域における打音信号を採取し、これらの信号をデー
タ処理して鳥瞰図として表示した。すなわち、青果物2
の胴部の同一か所を21回に亘って打撃し、その都度、21
か所((2)〜(22))における打音信号を採取し、こ
れを基にして、第5図および第6図に示すように、時
間、空間(位置)、音圧の2次元表示により鳥瞰図とし
て表示した。
第5図を基にして考察すると、時間波形のうち音圧の
高くなるインパルス波形のピークは、測定位置((2)
〜(22))の方向に沿って等速で伝搬されること、すな
わち青果物2の胴部の外周に沿って等速で伝搬されるこ
とが判明した。また、第6図は同一試料における3日後
の測定データの3次元表示であるが、これによれば、青
果物2の胴部の外周に沿って伝搬されるインパルス波形
の伝搬速度は、3日後になると遅れることが判明した。
この結果は、青果物2の熟度が進行するとインパルス波
形の伝搬速度が遅れることを意味しており、正に上述の
理論的考察と一致した。
これらのことから明らかなように、青果物2の熟度
と、その時点における青果物2の胴部の外周に沿って伝
搬されるインパルス波形の伝搬速度との間には一定の相
関関係があることが判明した。
本実施例によれば、この一定の相関関係を利用して、
青果物2の熟度を精度よく評価しようとするものであ
り、予め、熟度と伝搬速度との間の相関関係を基準伝搬
速度データとして求め、これをマイクロコンピュータ12
に入力しておき、このデータと実際に測定した測定伝搬
速度データとを比較することにより、熟度を精度よく評
価しようとするものである。
上述の手段によれば、マイクロコンピュータ12の演算
部13において、光電スイッチ8からのトリガ信号の発生
した時間と、マイク9からのピーク信号の発生した時間
とから伝搬時間差を求め、この伝搬時間差を、インパル
ス波形が伝搬される伝搬距離で除し、伝搬速度を演算
し、これを熟度評価の対象としているので、伝搬距離す
なわち青果物2の胴部の外周寸法が、熟度評価に際して
考慮されることになる。したがって従来のものと比較し
て、青果物の大きさ、形状などを考慮した上での、精度
のよい熟度の評価を行うことができる。
また、第5図からも明らかなように、時間領域波形の
うちの音圧の高くなるインパルス波形のピークを検出し
て伝搬時間差を求めているので、時間領域の信号のみを
取扱うことになり、従来のものと比較して、高速フーリ
エ変換の演算が必要なく、さらにパワースペクトルのピ
ーク周波数を検出するような困難さはなくなり、精度の
よい測定を迅速に行うことができる。
以上、伝搬速度Vのみを基準として熟度の評価を行う
ことを説明したが、(6)式からも明らかなように、密
度ρの変化が比較的大きい場合には、密度ρも評価の対
象にすることが好ましく、さらにはまた伝搬速度Vの2
乗を評価の対象とすることも好ましい。
一実施例に基づいて本発明を説明したが、本発明によ
れば、これに限定されるものではないことは明らかであ
る。
例えば、上記マイク9の代りに、振動検出用の加速度
計や変位計などを使用してもよく、また、上記の打撃手
段3に加速度計を取付けており、打撃の瞬間をトリガと
して、衝撃による打音をマイクに収得し、これによって
伝搬時間差を取出すようにすることもできる。
さらに、光電スイッチ8とマイク9の組合わせでな
く、周方向に一定の距離を隔てて2個のマイクを配置し
ておき、これらマイクによって打音信号を同時に測定し
て伝搬時間差を取出すようにすることもできる。この
時、できるだけ2個のマイクは接近させて配置すること
が望ましく、マスクメロン程度の大きさのものにあって
は、マイク間距離で約2cm程度が望ましい。これによれ
ば青果物2の胴部の外周に沿って伝搬されるインパルス
波形の伝搬距離を直線的に捕えられることができ、伝搬
時間差を除する伝搬距離を定数にしても誤差は少なく、
演算部13における演算を単純化させることができる。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、イ
ンパルス波形が青果物の外周に沿って等速で伝搬し、し
かもこの伝搬速度が青果物の熟度が進行するにつれて遅
れることに着目し、青果物類に打撃を与え、この打撃に
より発生するインパルス波形の伝搬速度を測定し、この
測定により求められた測定伝搬速度データと予め求めら
れた熟度に関する基準伝搬速度データとを比較し、この
比較された結果に基づいて青果物類の熟度を評価するよ
うにしたから、従来のものと比較して、青果物の大き
さ、形状などを考慮した上での、精度のよい熟度評価を
行うことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による熟度測定装置の一実施例を示す
図、第2図は同じくブロック図、第3図は張力および線
密度が一定の弦の振動を示す図、第4図は第1図に示す
装置の平面図、第5図はインパルス波形の伝搬を3次元
表示で示す図、第6図は同じくインパルス波形の伝搬を
3次元表示で示す図である。 1……置台、2……青果物、3……打撃手段、8……光
電スイッチ、9……マイク、12……マイクロコンピュー
タ。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 29/00 - 29/28

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】青果物類に打撃を与える打撃手段と、打撃
    により発生し、青果物類の外周を伝搬するインパルス波
    形の伝搬速度を測定する測定手段と、この測定により求
    められた測定伝搬速度データと予め求められた熟度に関
    する基準伝搬速度データとを比較する比較手段とを備え
    たことを特徴とする青果物類における熟度測定装置。
  2. 【請求項2】青果物類に打撃を与え、この打撃により発
    生し、青果物類の外周を伝搬するインパルス波形の伝搬
    速度を測定し、この測定により求められた測定伝搬速度
    データと予め求められた熟度に関する基準伝搬速度デー
    タとを比較し、この比較された結果に基づいて青果物類
    の熟度を評価することを特徴とする青果物類における熟
    度測定方法。
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佐賀大学農学彙報,47,pp.1−10(1979)

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