JP2770210B2 - 分析計の感度劣化予知方法 - Google Patents

分析計の感度劣化予知方法

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JP2770210B2 JP7895393A JP7895393A JP2770210B2 JP 2770210 B2 JP2770210 B2 JP 2770210B2 JP 7895393 A JP7895393 A JP 7895393A JP 7895393 A JP7895393 A JP 7895393A JP 2770210 B2 JP2770210 B2 JP 2770210B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は分析計の感度劣化予知
方法に関し、更に詳しくは、予め分折計の故障(校正不
能)時期を予測し、保守(修理、調整)作業によって、
光源の光量が低下したり、サンプルガスを導入するセル
が汚れたりフィルタが詰まって試料の流速が低下したり
すること等に起因する分析計の故障を事前に防止できる
新規な感度劣化予知方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来分析計の感度劣化に関しては、分析
計の感度劣化による測定値の誤差を一定周期で校正し
て、感度補正を行っていた。また、感度劣化がある決め
られた値以上になった時、校正不能とし、外部に警報を
出力し、修理、調整の対応が行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、警報が出力さ
れた時点では、既に、分析計の感度が分析計測定値の精
度で保証できる範囲外となり、修理、調整が完了するま
で、測定値の信頼性を失うおそれがあり、現状ユーザー
でのこの間の扱いは、測定値の欠落、分析計の故障であ
るとして処理されていた。しかも、校正不能が発生する
所まで感度劣化が起こると、S/N比が悪くなり、分析
計のノイズ、精度等が製品規格値に入らなくなり、製品
不良になるのを避け難い。
【0004】この発明は、上記問題に鑑みてなしたもの
で、その目的は、校正不能事態の発生時期を予測できる
ようにした分析計の感度劣化予知方法を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、請求項1に記載の発明では、分析計の校
正を一定周期で行い、各校正係数を分析計の稼動時間と
対応させて記憶させる一方、その稼働時間対応の校正係
数の変化率に基づいて、その分析計の校正係数が、予め
設定してある校正不能判定点に達するまでの時間を演算
することにより、校正不能事態の発生時期を予測するこ
とを特徴としている。
【0006】 請求項2に記載の発明では、請求項1に記
載の分析計の校正が、校正プログラムを用いて行われ、
校正係数の変化率が、コンピュータを用いて演算処理さ
れる。
【0007】 発明においては、例えば、まず、図1に
示すように、電源1のON/OFF信号aをコンピュー
タ2の演算処理部2aで読み取り、分析計3のトータル
稼働時間を校正が行われる毎に計算し、その結果を記憶
装置4に保存する。
【0008】 一方、ゼロ校時には、 ゼロガスボンベ5か
らゼロガスを、また、スパン校正時には、スパンガスボ
ンベ6からスパンガスをそれぞれ分析計3に流すことに
より、下記の表1に示すごとく、例えば、ゼロ校正係数
が0.10ppm、スパン校正係数が1.11(≒1/
0.9)であった場合、これら校正係数は日付とその
時点における前記トータル稼動時間(例えば、1960
時間)とともに記憶装 置4内に保存され
【0009】
【表1】
【0010】 ここにおいて、分析計の初期ゼロ校正係数
を0ppm、初期スパン校正係数を1.00とし、さら
に、校正不能の判定点を、例えば、ゼロガスでは±10
ppm、スパンガスでは1/0.7(最大校正係数)
1/1.3(最小校正係数)した場合、まず、ゼロガ
スにおいては、下記の表2の(1)式に前記校正不能判
定時点の濃度を代入して校正不能発生時期を予測する。
すなわち、(1)式より、 〔10(ppm)/0.10(ppm)〕×1960(時間)−1960(時 間)=194040(時間)…(7)を得る。 なお、(1)式は分析計が(+)へドリフトしたときの
校正不能発生予測時期を表し、ゼロガスにおける校正不
能判定点を(+)側校正不能判定濃度としている。ま
た、(2)式は逆に(−)へドリフトしたときを表し、
上記判定点を(−)側校正不能判定濃度としている。
【0011】
【表2】
【0012】 次いで、スパンガスにおいては、下記の表
3の(3)式に前記最大校正係数の値(1/0.7)を
代入して校正不能発生時期を予測する。すなわち、
(3)式より、 [〔1−1/(1/0.7)〕/〔1−1/(1/0.9)〕]×1960( 時間)−1960(時間)=3920(時間)…(8)を得る。なお、(3)式では、スパンガスにおける校正不能判定
点を最大校正係数とし、また、(4)式では最小校正係
数としている。
【0013】
【表3】
【0014】 上記(7),(8)の結果から、ゼロ校正
においては194040時間後に、また、スパン校正に
おいては3920時間後にそれぞれ校正不能事態が発生
することを予測できる。例えば校正不能が発生する10
日前に予備警報を発生させるようにしたい場合、
(7),(8)等により得られるいずれかの時間が10
日(240時間)より少なくなった時点で警報を発生さ
せればよい。なお、上記(7),(8)で得た各校正不
能発生時期の予測から、現時点では分析計3は安定して
おり、保守(修理、調整),点検等は不要であると判断
できる。
【0015】 また発明は、水分検出器を備えた水分
干渉補償機能を有する赤外線分析計(AS)にも下記の
表4に示された(5)、(6)式を用いることで適用可
能である。すなわち、分析計において、ゼロガス中に水
分が含まれている場合、ゼロガス濃度に水分量が加算
された測定信号b(図1参照)が出力されることにな
る。したがって、その水分量を測定信号bから差し引く
必要がある。上記(5)、(6)各式は、この点を考慮
した上で校正不能発生時間を求めることができるように
したものである。
【0016】
【表4】
【0017】 ここにおいて、初期の水分干渉影響を補正
をした場合の校正係数を初期値2.50、最校正係数
(校正不能の判定点での校正係数)1.00、校正ガス
として水分が含まれたゼロガスを流したときの校正係数
例えば、1.5である場合、これらを表4の(6)式
に代入する。
【0018】 〔(2.50−1.00)/(2.50−1.5)〕×1960(時間)−1 960(時間)=980(時間)…(9)を得る。つまり、校正不能発生時期は 980時間後となる。
【0019】 以上のように、本発明は、稼働時間対応の
校正係数の変化率に基づいて、分析 計の校正係数が、予
め設定してある校正不能判定点に達するまでの時間を演
算することにより、校正不能事態の発生時期を予測する
ことができる。
【0020】
【実施例】以下、この発明に係る分析計の感度劣化予知
方法の実施例について説明する。なお、それによってこ
の発明は限定を受けるものではない。
【0021】 図1は感度劣化予知装置の構成を示し、分
析計3の感度劣化予知は、コンピュータ2に設定・記憶
されている校正プログラム(制御プログラム)7によ
り、稼働時間対応の校正係数の変化率に基づいて演算さ
れる。 まず、電源1のON/OFF信号a演算処理部
2aに入力される一方、コンピュータ2から校正をおこ
なうための制御信号fが電磁弁sに送出され、前記ON
/OFF信号aにより分析計3の稼働時間が求められ、
その稼働時間が分析計3からの校正係数と共に記憶部4
に記憶され、感度の劣化、すなわち校正不能事態の発生
時期が演算され、予備警報信号gが出力されるようにな
っている。なお、図1において、符号Hで示すパイプラ
インは試料ガス導入管である。
【0022】(実施例1) 100時間稼動の分析計において、初期のゼロ校正係数
が0ppm、ゼロガスのゼロ校正係数が10ppm、校
正不能の判定点の濃度を±30ppmとすると、これら
の値を表2の(1)式に代入して、 (30/10)×
100−100=200(時間)を得る。
【0023】(実施例2) 100時間稼動の分析計において、初期スパン校正係数
が1.00で最大校正係数を1.3に設定してある場合
に、校正時のスパン校正係数が1.1であると、これら
の値を表3の(3)式に代入して、 〔1−(1/1.3)〕/〔(1−(1/1.1)〕×100(時間)−10 0(時間)≒153(時間)を得る。
【0024】(実施例3) 100時間稼動の水分干渉補償型の分析計において、初
期値2.0、最大校正係数(校正不能の判定点での係
数)2.6に設定してある場合に、その校正時の校正係
数が2.2であると、これらを表4の(5)式に代入
、 〔(2.6−2.0)/(2.2−2.0)〕×100(時間)−100(時 間)=200(時間)を得る。
【0025】このように本実施例では、校正不能事態が
発生するまでの時間を予測して予備警報を出力するよう
にしたので、分析計の故障を事前に防止できて長期安定
的に測定を行うことができる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の分析計
の感度劣化予知方法は、稼働時間対応の校正係数の変化
率に基づいて、予め設定してある校正不能判定点に達す
るまでの時間を演算することにより、事前に校正不能事
態の発生を予測するので、測定値の欠落期間を最短にす
ることができて長期安定的に測定を行うことができる効
果がある。また、分析計を制御するコンピュータに上述
の予測演算をおこなうためのプログラムを設定・記憶さ
せるだけで感度劣化を予知できる装置を安価に提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る分析計の感度劣化予知方法の一
実施例における装置を示す構成説明図である。
【符号の説明】 2…コンピュータ、3…分析計。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分析計の校正を一定周期で行い、各校正
    係数分析計稼動時間と対応させて記憶させる一方、
    その稼働時間対応の校正係数の変化率に基づいて、その
    分析計の校正係数が、予め設定してある校正不能判定点
    に達するまでの時間を演算することにより、校正不能事
    態の発生時期を予測することを特徴とする分析計の感度
    劣化予知方法。
  2. 【請求項2】 分析計の校正が、校正プログラムを用
    て行われ、校正係数の変化率が、コンピュータを用いて
    演算処理される請求項1に記載の分析計の感度劣化予知
    方法。
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