JP2769571B2 - 化学発光測定方法およびその装置 - Google Patents

化学発光測定方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は化学発光測定方法およびその装置、特にセル
構造の改良に関する。
[従来の技術] 近年、所定の化学反応に伴う化学発光強度を測定する
ことにより所望の物質の分析を行なう化学発光測定方法
が汎用されてきている。
ここで、化学発光とは、化学反応の結果生じたエネル
ギー状態の高い(励起状態)分子が、より低いエネルギ
ー状態(基底状態)に移る時に光を放射する現象を言
い、蛍光測定方法に比較し感度が100倍以上も高く、ま
た装置の構成が簡単であるため生化学、臨床化学、およ
び環境化学分析等の他、液体クロマトグラフ等の検出手
段にも利用されてきている。
このような化学発光分析に使用する装置は、所定の発
光反応を行なわせると反応部と、発光強度を測定するた
めの発光検出部と、を含み、前記発光検出部からの検出
信号を増幅し、反応量として表示するよう構成されてい
る。
また、化学発光測定方法を応用したものとしては、ヒ
ドロペルオキシドの検出法が挙げられる。
即ち、チトクロムCやミクロペルオキシダーゼ、フェ
リシアン化カリウム等の鉄イオンを含む化合物と、ルミ
ノールまたはイソルミノールとを溶解した塩基性緩衝液
(ホウ酸緩衝液等)を反応液とし、この反応液をヒドロ
ペルオキシドを含む試料液に添加することによって発生
する化学発光強度を検出する。
そして、化学発光強度はヒドロペルオキシドの濃度に
比例するところから、該ヒドロペルオキシドの測定を行
なうものである。
一方、同じく化学発光検出方法を用いる分析法とし
て、蛍光物質の化学発光を利用した検出法が挙げられ
る。
即ち、過酸化水素とTCPO(bis(2,4,6−trichlorophe
nyl)oxalate)あるいはTDPO(bis[4−nitro−2−
(3,6,9−trioxadecloxycarbonyl)phenyl]oxalate)
等のシュウ酸ジエステル化合物とを溶解したアセトニト
リル溶液またはアセトニトリル/酢酸エチル混合溶液を
反応液とし、この反応液を蛍光物質を含む試料液に加え
ることによって生成する化学発光量を検出するものであ
る。
ここで、化学発光は、過酸化水素と上記シュウ酸ジエ
ステルが反応して活性中間体を生成し、この活性中間体
によって蛍光物質が励起され基底状態に戻る時に発生す
る。
このように、従来においても化学発光測定方法ないし
測定装置は、各種の物質の微量分析に応用されている。
[発明が解決しようとする課題] ところが、従来の化学発光測定方法にあっては、発光
試薬が極めて高価であったり、発光試薬自体の寿命が短
く、測定が煩雑になるという課題があった。
即ち、前述したヒドロペルオキシドの検出では、チト
クロムC、ミクロペルオキシダーゼ、等の鉄イオンを含
む化合物を極めて高価であり、特に多くのサンプルにつ
いて分析を行なう場合には多くの費用がかかってしまう
という課題があった。
一方、蛍光物質の化学発光による分析を行なう際に
は、過酸化水素を加えた発光試薬を用いる必要がある
が、過酸化水素とシュウ酸ジエステルが反応して生成さ
れる活性中間体の寿命は極めて短く、この結果反応液の
寿命は数時間から半日程度であった。従って、測定の度
毎に反応液を調製しなければならず、測定が煩雑であっ
た。本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたもので
あり、その目的は高価な試薬を使わず、しかも煩雑な反
応液調製を必要としない化学発光測定方法およびその装
置を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 前記目的を達成するために、本出願の請求項1記載の
化学発光測定方法は、ルミノールおよび/またはイソル
ミノールを含む塩基性緩衝液よりなる反応液と、ヒドロ
ペルオキシドを含む試料液とを、電極を内在したセル中
に導入し、前記電極に電圧を印加することにより、ヒド
ロペルオキシドが変化し活性酸素を生成し、ルミノール
および/またはイソルミノールを酸化することにより発
生する化学発光を測定することを特徴とする。
請求項2記載の化学発光測定装置は、反応液および試
料液が導入されるチューブ状セルと、前記チューブ状セ
ルに対向配置された発光検出部と、を含む。
そして、前記チューブ状セルの端部より少なくとも一
方の細線状電極が挿入配置されることを特徴とする 請求項3記載の化学発光測定装置は、セルが螺旋状に
巻回されたフローセルよりなり、電極は前記螺旋状フロ
ーセルに挿入された白金線よりなることを特徴とする。
[作用] 本発明にかかる化学発光測定方法および装置によれ
ば、反応液および試料液が電圧印加状態で反応するの
で、電解状態下で反応が行なわれ、電極近傍には反応液
ないし試料液の活性中間体が生成される。
即ち、請求項1記載の化学発光測定方法では、電極に
ヒドロペルオキシドが達すると、ヒドロペルオキシドが
変化して活性酸素を生成し、この活性酸素がルミノール
および/またはイソルミノールを酸化する。
そして、酸化されたルミノールおよび/またはイソル
ミノールは化学発光を生じ、この化学発光強度を測定す
ることによってヒドロペルオキシドを定量的に分析する
ことができる。
従って、化学発光強度を測定することにより、蛍光物
質の定量的分析が可能となる。
以上のように、ヒドロペルオキシドの測定に当って
は、チトクロムC、ミクロペルオキシダーゼ、等の鉄を
含む化合物が不用となり、安価に且つ正確なペルオキシ
ド分析を行なうことが可能となる。
尚、セルを螺旋状に形成することにより、フロー法に
よる連続分析が可能となり、また電極として白金線を用
いれば耐腐食性が極めて良好となる。
[実施例] 以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例を説明す
る。
第1図には本発明の一実施例にかかる化学発光測定装
置に用いられるセルが示されており、また第2図には化
学発光測定装置の概略が示されている。
第2図において、化学発光測定装置10は、フローセル
12と、発光検出器14と、を含む。
そして、フローセル12へは、移動相タンク16からポン
プ18およびインジェクタ20を介して移動相が供給される
と共に、反応液タンク22からはポンプ24を介して反応液
が供給される。
そして、インジェクタ20から試料液が一定量注入され
ると該試料液は移動相と共に送られ、反応液と混合され
た後フローセル12へ供給される。
ここで、フローセル12は第1図に拡大して示される。
同図に示すフローセル12は、テフロンチューブを螺旋
状に巻回して構成され、同図表面に対向して発光検出器
14が配置される。
また、フローセル12の中心部より該フローセル12の流
入端12aが裏面に突出し、最外縁より流出端12bが同じく
裏面へ向け突出している。
本発明において特徴的なことは、フローセル12内に電
極を配したことであり、本実施例においては流入端12a
より白金線電極26が挿入され、螺旋状フローセル12の略
中央にまで至っている。
尚、前記白金線電極26は図示を省略した電源の+端子
に接続されている。
一方、フローセル12の流出端12bには、ステンレスパ
イプ28が接続され、該ステンレスパイプは電源の−端子
に接続されている。
従って、フローセル12の流入端12aより流入された反
応液は、白金電極26およびステンレスパイプ28の間で電
解状態に置かれることとなる。
この結果、流入液にヒドロペルオキシドが存在すれ
ば、白金線電極26近傍でヒドロペルオキシドが変化して
活性酸素を生成し、この活性酸素が反応液中のルミノー
ルまたはイソルミノールを酸化する。酸化されたルミノ
ールまたはイソルミノールは化学発光を生じ、この化学
発光強度を測定することによって前記ヒドロペルオキシ
ドを定量的に検出することができる。
また、流入液に蛍光物質を含む場合には、白金線電極
において流入液から活性酸素が生成され、この活性酸素
とTCPOあるいはTDPO等のシュウ酸ジエステルとが反応し
て活性中間体が常時形成されている。
従って、蛍光物質がフローセル中の白金線電極26に至
ると、前記活性中間体によって励起された蛍光物質から
化学発光が生じる。
以上のようなフローセル12を用いた化学発光測定装置
の要部が第3図に示されている。
同図において、フローセル12の前面にその受光面を対
向させた発光検出部としての光電子増倍管14が配置され
ている。
一方、フローセル12の裏面は円盤状の平面鏡32に接し
ている。該平面鏡32の中央にはセル固定棒34の一端部が
螺着され、該セル固定棒34の先端の突起34aが反射鏡32
の反射面32aより突出している、この突起34aには前記第
1図に示すようにフローセル12が渦巻き状に巻回されて
いる。
前記フローセル12の流入端12aは、平面鏡32に設けら
れた引出孔を介して電極導入部材36に接続されている。
そして、白金線電極26は前記電極導入部材36を介してフ
ローセル12内へ挿通される。
また、セル固定棒34の中間部には中継板40が固定さ
れ、セル固定棒34の他端部はネジ42によりセルパネル44
が固定されている。
前記中継板40には管継手46,48が固定され、またセル
パネル44には遮光パイプ50,52,53が貫通固定されてい
る。
そして、前記電極導入部材36には、配管54が遮光パイ
プ50、管継手46チューブ55を介して接続され、フローセ
ル12への流入液を供給する。
一方、フローセル12の流出端12bは、管継手48により
配管56に接続され、該配管56は遮光パイプ52を介して外
部へ引出される。
尚、前記配管56はステンレスパイプよりなり、電源の
−端子に接続されている。
又、白金線電極26はチューブ57内に挿通され、遮光パ
イプ53を介して外部に引出され、電源の+端子に接続さ
れている。
前記電極導入部材36の詳細な構成が第4図に示されて
いる。
同図より明らかなように、電極導入部材36は略T字型
接続パイプよりなり、フローセル12の流入端12aはチュ
ーブ固定部材58により、また配管54に接続されたチュー
ブ55はチューブ固定部材62により、白金線電極26を挿通
したチューブ57はチューブ固定部材66により、それぞれ
電極導入部材36の各導入孔36a,36b,36cにパッキングを
介して螺合されている。
そして、チューブ57を介して引き入れられた白金線電
極26は、該チューブ57と対抗したフローセルの流入端12
a内に挿通されている。
一方、チューブ55よりの流入液は、フローセル流入端
12aと白金線電極26の間隙より、フローセル12内へ流入
する。
尚、チューブ57は先端部が白金線電極26と密着してお
り、チューブ55より流入する流入液がチューブ57を介し
て外部に漏れないようになっている。
本実施例にかかる化学発光測定装置は以上のように構
成され、次に該装置を用いた実際の分析結果について説
明する。
第5図(A),(B)には前記化学発光測定装置10を
用いたヒドロペルオキシドの分析例が示されている。
ここで、同図(A)はヒドロペルオキシドを添加して
いないブランクの分析結果を示し、同図(B)はヒドロ
ペルオキシドとして過酸化水素20ng(注入容量:2μ,
試料溶媒:水)を添加したサンプルの分析結果を示す。
尚、測定条件は以下の通りである。
移動相:水 移動相流量:0.5ml/min 反応液:2×10-4Mルミノール/0.1Mホウ酸緩衝液,pH10.
5 反応液流量:0.5ml/min フローセル:フッ素樹脂性チューブ,内径0.5mm,外径
1.5mm,長さ470mm 白金線電極:外径0.3mm,長さ250mm 印加電圧:3V アッテネーション:16 ゲイン:×10 使用機器:日本分光工業株式会社製 化学発光分析装
置825−CL型のセル部を改造したもの 第5図(A),(B)から明らかなように、反応液に
何等チトクロムCあるいはミクロペルオキシダーゼ、等
の鉄イオンを含む化合物など高価な試薬を含まないにも
かかわらず、極めて明瞭な分析結果が示されている。
このように、本実施例にかかる装置によれば、比較的
安価な試薬のみを用いてヒドロペルオキシドの正確な定
量測定を行なうことが可能となる。
尚、電極への印加電圧については、0V〜6Vまで1.5V単
位で変化させ最適値を3Vと判定した。
即ち、印加電圧を上げていくにつれて、ピークの高さ
とベースラインの位置が両者共高くなり、同時にベース
ラインのノイズも大きくなった。
S/N(シグナル/ノイズ)比が最も良かったのは3Vで
あり、0Vではピークは得られなかった。
第5図(C),(D)には前記同様の化学発光測定装
置を用いて蛍光物質を測定した例が示されている。即
ち、同図(C)はブランクとして2μlのアセトニトリ
ルを添加した分析結果が示され、同図(D)は蛍光物質
としてダンシルアスパラギン酸(Dns−Asp)を200ng
(注入容量:2μl,試料溶媒:アセトニトリル)を注入し
て分析した結果が示されている。
尚、測定条件は以下の通りである。
移動相:50mM イミダゾール緩衝液,pH6.0/アセトニト
リル(75/25) 移動相流量:0.5ml/min 反応液:0.5mM TCPO/アセトニトリル 反応液流量:0.5ml/min フローセル:フッ素樹脂性チューブ,内径0.5mm,外径
1.5mm,長さ470mm 白金線電極:外径0.3mm,長さ250mm 印加電圧:6V アッテネーション:8 ゲイン:×100 使用機器:日本分光工業株式会社製 化学発光分析装
置825−CL型のセル部を改造したもの 以上の分析結果から明らかなように、発光試薬に何等
過酸化水素を含むことなく極めて良好な蛍光物質の分析
を行なうことが可能となる。
従って、発光試薬の寿命を従来の数時間から数か月程
度に延すことが可能となり、分析操作を容易とすること
ができる。
尚、電極への印加電圧については、0V〜6Vまで1.5V単
位で変化させ最適値を6Vと判定した。
即ち、印加電圧を上げていくにつれて、ピークの高さ
とベースラインの位置が両者共高くなり、同時にベース
ラインのノイズも大きくなった。
S/N(シグナル/ノイズ)比が最も良かったのは6Vで
あり、0Vではピークは得られなかった。
尚、前記各実施例においてはフローセル内に挿入配置
する電極を白金線電極とした例について説明したが、こ
れに限られるものではなく、移動相溶媒や試料に腐食さ
れない材料を選択することが可能である。
例えば金、銀、チタンも使用可能であり、また銅や鉄
の基材に白金あるいは金をメッキしたものでもよい。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明にかかる化学発光測定方
法および測定装置によれば、以下のような効果を得るこ
とができる。
請求項1記載の化学発光測定方法によれば、高価な鉄
イオンを含む化合物等を用いることなくヒドロペルオキ
シドの検出が可能となったので、分析に要する費用を大
幅に低減することが可能となる。
請求項2ないし3記載の化学発光測定装置によればチ
ューブ状セルの端部より、前記チューブ状セル内に少な
くとも一方の細線状電極を挿入配置することとしたの
で、セル内に電解状態を形成することが可能となり、化
学発光に必要な活性物質を別途添加する必要がなくな
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明にかかる化学発光測定装置に用いられる
フローセルの説明図、 第2図は本発明にかかる化学発光測定装置の概略構成の
説明図、 第3図は第1図に示したフローセルを用いた化学発光測
定装置の要部説明図、 第4図は第3図に示した化学発光測定装置に用いられる
電極導入部材の説明図、 第5図は本発明にかかる化学発光測定装置を用いた分析
結果の説明図である。 10……化学発光測定装置 12……フローセル 14……発光検出器 26……白金線電極 28……ステンレスパイプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−6162(JP,A) 特開 昭63−23337(JP,A) 特表 昭58−500084(JP,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ルミノールおよび/またはイソルミノール
    を含む塩基性緩衝液よりなる反応液と、ヒドロペルオキ
    シドを含み、遷移金属イオンを実質的に含まない試料液
    とを、電極を内在したセル中に導入し、前記電極に電圧
    を印加することにより、ヒドロペルオキシドが変化し活
    性酸素を生成し、ルミノールおよび/またはイソルミノ
    ールを酸化することにより発生する化学発光を測定する
    ことを特徴とする化学発光測定方法。
  2. 【請求項2】反応液および試料液が導入されるチューブ
    状セルと、 前記チューブ状セルに対向配置された発光検出部と、 を含み、前記チューブ状セルの端部より少なくとも一方
    の細線状電極が挿入配置されることを特徴とする化学発
    光測定装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の装置において、セルが螺旋
    状に巻回されたフローセルよりなり、電極は前記螺旋状
    フローセルに挿入された白金線よりなることを特徴とす
    る化学発光測定装置。
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US4280815A (en) * 1979-06-18 1981-07-28 Technicon Instruments Corporation Electrochemiluminescent immunoassay and apparatus therefor
JPS58500084A (ja) * 1981-02-10 1983-01-13 エレクトロ−ヌクレオニツクス,インコ−ポレ−テツド 免疫化学のための化学ルミネセンス増巾基質システム
JPS63233374A (ja) * 1987-03-20 1988-09-29 Tohoku Denshi Sangyo Kk 過酸化脂質の測定方法およびその測定装置

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