JP2769045B2 - マラリア処置 - Google Patents

マラリア処置

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明はマラリア及びある種の他の感染症の処置及び
予防、特にそのような処置及び予防で用いるための材料
に関する。
マラリアはプラスモジウム(Plasmodium)属の生物に
よって起こり、これは赤血球内に感染して増殖する。血
液段階感染(blood−stage infection)は通常重症の
発熱を特徴とし、貧血、低血糖、肺浮腫、腎不全又は肝
不全及び昏睡を伴うことがあり、時として致命傷とな
る。免疫を引き出して感染の重度を軽減することができ
るが多くの年数がかかり、風土病の地域に住む患者にお
いて寄生虫の完全な除去はほとんど行えない。それにも
かかわらずこれらの地域からの子供達は、寄生虫を重度
に保有しながら上記の感染の臨床的顕症に対する抵抗性
を発達させていると思われる。
マラリアの抑制のための従来の方法は: (a)蚊の媒介動物を除去することにより疾患の蔓延を
予防するか、又は (b)化学療法により寄生虫を殺すか、又は抑制するこ
とを目的としてきた。
耐性が急速に発達するために殺虫剤は蚊の抑制に有効で
なく、現在の環境的困難さがこの方法を不満足なものと
してきた。化学療法は比較的有効であったが高価であ
り、寄生虫が余りに急速に殺された場合に患者に危険が
あり、一般に例えばグルコースの投与により処置される
低血糖などの疾患の主要な影響を処置する支持的手段が
必要である。ある段階又は他の段階の寄生虫を除去する
ことを目的とした実験的ワクチンが試験中であるが、す
べての患者を保護するとは思われない。これらの抑制手
段のいずれも十分に成功せず、疾患は世界的に増加しつ
つある。風土病の地域を旅行する人々のために種々の薬
物による保護を与えることができるが、これは危険にさ
らされている集団全体への実際的な解答ではない。
種々の研究者が、マラリア病によって起こる主要な臨
床的問題は腫瘍壊死因子(TNF)及びおそらく他のサイ
トカインの過剰分泌に関連し、マクロファージによるサ
イトカインの分泌はマラリア抗原により試験管内で刺激
(または賦活という)できることを観察した。これは最
初に本発明者及び共同研究者を、マクロファージによる
サイトカイン放出を賦活する抗原がマラリアに対する抗
−疾患免疫を生成するのに特に有用であるという仮定に
導き[Playfair et al.Immunology Today,1990,11,2
5]、例えばPCT/DK90/00159(WO−A−90/15621)にお
いて公開された“抗原7"に関する研究を生じた。ここで
これらの抗原自身がマラリアに伴う臨床的問題の多くを
引き起こし、ヒトにおいて用いることを許容できないで
あろうということが認識された。他の研究者は、TNF及
び他のサイトカインの分泌がマクロファージを破壊する
又は無能にするために直接作用する種々の試薬により予
防され得ることを提案したり、あるいは例えば抗−TNF
抗体を用いて血流から循環サイトカインを除去すること
を試みたりした。しかし両方法とも、この疾患及び他の
疾患に対する患者の免疫応答の状況を危うくし得るとい
う点で欠点を有した。さらに患者のマクロファージ集団
は直接作用試薬の作用から急速に回復し、このためにこ
の方法でマラリアを処置するのは実際的とは思われな
い。
さらに別の研究に基づき、本発明者はTNF及び他のサ
イトカインが、マクロファージ上の特異的レセプターへ
のマラリア抗原の結合の直接の結果として感受性(sens
itive)マクロファージにより分泌されると考え、この
結合を妨害することによりマラリアの臨床的顕症を処置
又は予防することができると考える。戦略は他の研究者
が用いた、又は提案した方法の欠点を避け、患者の免疫
系が感染を抑制することを可能にしながら疾患の抑制を
与える。TNFが病原生物により誘導される唯一の、又は
主要なサイトカインでなければならないことは重要では
なく、生物が感受性マクロファージ上の関連レセプター
を賦活する抗原を与えることのみが重要である。
この理論に従い、発明者はサイトカイン−賦活抗原及
びレセプターのある特徴を同定し、(a)疾患に対して
予防的又は治療的に用いることができる結合阻害剤を製
造すること、及び(b)感染の危険のある、及び感染し
た患者において抗体生産を賦活し、疾患に対する臨床的
顕症に対して保護するために用いることができる免疫原
を選択することを可能にした。さらにこの洞察は発明者
を、同一のレセプターに対する抗原の結合及び対応する
サイトカインの分泌が、付随する臨床的顕症を起こすの
に主要な役割を果しているある種の他の疾患を同様の方
法で処置又は予防できるという考察に導いた。1つの例
はアフリカトリパノソーマによって起こる睡眠病であ
る。
グラム陰性菌もリポ多糖又はLPS抗原として知られるT
NF−誘導抗原を生産するが、これらは異なるレセプター
で作用し、本発明の阻害剤はこれらの細菌性の疾患の経
路に有意に影響を与えないと思われる。同様にLPS−誘
導TNF分泌の予防を目的とした試薬は、マラリア抗原に
よって誘導されるサイトカインの過剰分泌に含まれるレ
セプターにほとんど効果がない。従って本発明は、LPS
及びLPSレセプターを介してTNF及び/又は他のサイトカ
イン分泌を賦活する生物によって起こる疾患以外の、有
害な量のTNF及び/又は他のサイトカインを賦活する抗
原を発現する感染性生物によって起こる疾患の処置に関
する。従って以下の説明では処置するべき疾患を“非−
LPS疾患”と言い、関連のサイトカイン−誘導抗原を
“非−LPS抗原”と言う。用語の統一のために、関連す
る生物は後文で“非−LPS生物”と言うが、サイトカイ
ン過剰分泌の非−LPS媒介賦活により疾患を起こすある
種の非−LPS生物もLPS抗原を発現することに注意しなけ
ればならない。
発明者はさらに、抗原:レセプターの結合阻害剤はTN
F及び他のサイトカインの過剰分泌を予防するのみでな
く、マラリアの発作に通常伴う低血糖に対抗するのに急
速な効果を有することを観察した。低血糖へのこの効果
はインスリンに媒介されず、従って別の機構により達成
される。
添付図面の図を参照しながら本発明を下記に記載する
が、図面において、 図1は、P.ヨーリイ(P.yoelii)外部抗原(exoantig
en)によって誘導されるTNFの、解毒外部抗原による阻
害を示す。説明:マクロファージを1種類の濃度の活性
上澄み液と混合した解毒試料の順次希釈液と共にインキ
ュベートした。
A.HF処理により脱リン酸化した外部抗原 1ml当たり102,400UのTNFの生産を賦活する活性試料
の、解毒試料の存在下におけるインキュベーションによ
る阻害を示す代表的実験。
B.リパーゼ消化により解毒された外部抗原 1種類の解毒試料の存在下でインキュベートした3種
類の活性試料の場合に得た平均±SD。
図2は、P.ヨーリイ外部抗原によるTNFの誘導への、
ホスファチジルイノシトール、イノシトール一リン酸、
及びイノシトールの効果を示す。
説明:1ml当たり18〜36,000UのTNFの生産を誘導するP.ヨ
ーリイ外部抗原の試料を異なる濃度のPI(○)、IMP
(●)及びイノシトール(□)と共にインキュベートし
た。典型的実験の結果を示す。(用いたPI及びIMPの試
料のMWは非常に類似しているので、モル濃度によりプロ
ットすると図は差がないように見える。) 図3はイノシトール一リン酸の存在下及び不在下にお
けるP.ヨーリイ外部抗原の滴定を示す。
説明:培地(○)又は1ml当たり20μgのIMPを含む培地
(●)中で形成した活性上澄み液の順次希釈液と共にイ
ンキュベートしたマクロファージからのTNFの収量を決
定した。
図4はホスファチジルイノシトール又はイノシトール
一リン酸の存在下及び不在下でLPS又はP.ヨーリイ外部
抗原を用いて賦活したマクロファージから得たTNFの収
量を示す。
説明:黒−棒=LPS(1ml当たり0.1μg〜1μg)。斜
線棒=外部抗原。結果はLPSの場合3回の実験からの平
均、外部抗原の場合14回の実験からの平均である。
図5はヒト寄生虫の外部抗原によるTNF誘導の、解毒
P.ヨーリイ外部抗原を用いた交差−阻害を示す。
説明:P.ファルシパルム(P.falciparum)(●)及びP.
ビバックス(P.vivax)(○)の外部抗原に応答するTNF
生産の、リパーゼ消化P.ヨーリイ上澄み液の順次希釈液
の添加による阻害。(P.ファルシパルムの場合は5回及
びP.ビバックスの場合は3回の実験の平均±SD)。
図6はヒト寄生虫の外部抗原によるTNF誘導への、ホ
スファチジルイノシトール及びイノシトール一リン酸の
阻害効果を示す。
説明:マクロファージを1種類の濃度の外部抗原及び阻
害剤の順次希釈液と共にインキュベートした。少なくと
も3回の実験の平均(±SD)。
A:P.ファルシパルム B:P.ビバックス ホスファチジルイノシトール(○)、イノシトール一リ
ン酸(●) 図7はP.ヨーリイ外部抗原によるTNF誘導に対するマ
クロファージの予備処理の効果を示す。
説明:マクロファージを示されている試薬で30分間予備
処理し、洗浄し、続いて異なる濃度の外部抗原を用いて
1時間賦活した。続いてそれらを再度洗浄し、終夜イン
キュベートし、TNF生産を検定した。PI及びIMPは1ml当
たり20μgで、PE及びPCは1ml当たり50μgで用いた。
解毒抗原の場合の結果は2回の実験の中の1回を示し、
リン脂質及びIMPの場合の結果は6回の平均(±SD)を
示す。
図8はP.ヨーリイ外部抗原及びLPSによるTNF誘導に対
するPAF阻害剤の阻害効果を示す。
説明:マクロファージを外部抗原試料の1/20希釈液、又
は1ml当たり0.2μgのLPS、及び異なる濃度の阻害剤と
共に終夜インキュベートした。1ml当たり50μgの阻害
剤を用いたマクロファージの予備処理は細胞に毒性でな
く、TNFの収量は影響されなかった。
図9〜16への説明に関しては実施例2を参照されたい。
図17〜19への説明に関しては実施例3を参照されたい。
阻害剤 1つの特徴において本発明はマラリア疾患及び他の非
−LPS疾患の臨床的顕症の処置又は予防に治療的に、又
は予防的に用いることができるTNF分泌の阻害剤、その
ような阻害剤の製造及び利用、ならびにそれらを含む製
薬学的組成物に関する。
本発明の阻害剤は、試験管内でリン脂質−含有TNF−
誘導非−LPS抗原を用いて賦活された後のヒト単球又は
マウス腹膜マクロファージによるTNF分泌を減少させる
か又は排除する、薬理学的に許容し得る物質(また、本
明細書では材料という場合あり)として定義される。
本発明の阻害剤は、病原生物により生産された非−LP
S抗原の関連レセプターへの結合を妨げるか、又は減少
させるので有効である。これは2つの方法の1つで、阻
害剤がレセプターに結合するか、又は抗原に結合するか
により行うことができる。いずれの場合も阻害剤が、レ
セプターの関連部分と抗原の間の結合を妨げる方法で結
合することが必要であり、これを行う最も簡単な方法は
抗原、又はレセプター結合部位の構造的特徴を模した材
料を用いることである。
本発明の1つの特定の種類の阻害剤は、抗原の一部を
模した材料を含み、従ってレセプターに結合できるが、
TNF又はサイトカイン分泌に必要な抗原の構造全体が欠
如している。これらの基準を満たす既知の化合物はイノ
シトール一リン酸(IMP)及びある種のホスファチジル
イノシトール(PI)脂質である。PI脂質は1つ又は2つ
の脂肪酸側鎖、例えばパルミトイル、ステアリル及びラ
ウリル基を有することができる。この方法で用いること
ができる他の化合物にはホスファチジルセリン(PS)及
びホスファチジルトレオニン(PThr)脂質、ならびにマ
ンノース、グルコース、ガラクトース及びフルクトース
などのリン酸化糖が含まれるがグルコサミンは含まれな
い。そのような阻害剤として用いるための候補である他
の材料には、そのTNF−誘導活性が排除された非−LPS
TNF−誘導マラリア抗原、又は他の寄生虫の非−LPS外部
抗原の分解産物が含まれる。問題の外部抗原はグリコシ
ルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー、又は
同様の膜−結合機能を満たす類似の構造を有する膜−結
合抗原に関連しているかも知れない。
GPIアンカーは多くのタンパク質又はポリ多糖抗原上
に見いだされ(マラリア及び他の原虫類寄生虫疾患に伴
うか否かにかかわらず)、抗原をグルコサミン基に結合
する炭水化物部分を含み、グルコサミン基が今度はPI脂
質分子のイノシトール炭素の1つに結合する。
試験管内でヒト単球又はマウス腹膜マクロファージに
よるTNF−分泌を誘導し、そのTNF−誘導活性が化学的又
は酵素的処理により低下することができるいずれの原虫
類非−LPS抗原も本発明の阻害剤の供給源として可能で
ある。阻害剤として用いる前に抗原はTNF−誘導活性を
低下させるか又は排除するように処理しなければなら
ず、それは例えば適した分解反応により行うことができ
る。用いることができる分解法には実施例1に記載する
ようなリパーゼ消化、脱アシル化、脱リン酸化及びホス
ホリパーゼC消化が含まれる。
外部抗原が由来する寄生虫の株又は種は特に重要では
なく、従って例えばマラリア抗原分解産物及びトリパノ
ソーマ抗原分解産物がそれぞれマラリア及び睡眠病の両
方の処置に用いることができることが考えられる。
本発明の阻害剤の他の種類にはレセプター上の結合部
位の一部を模し、従って抗原に結合できる材料が含まれ
る。そのような材料には合成、半合成又は組み換えレセ
プター分子、又は結合部位を有するそのフラグメント、
あるいは適した単球又は腹膜マクロファージから抽出及
び精製により得たレセプター分子又はそのフラグメント
が含まれる。そのような材料の製造法は当該技術分野に
おける熟練者の能力及び知識の範囲内である。
本発明の阻害剤の別の種類は抗体及びそのフラグメン
ト、例えばF(ab′)及びFabフラグメント、単ドメ
イン抗体(single domain antibodies)及び組み換え
抗体−様ポリペプチドが含まれる。これらの抗体及びそ
のフラグメントは、単球及び腹膜マクロファージ上の関
連レセプター分子、あるいは非−LPS病原体のTNF−誘導
抗原に、TNF−誘導抗原とレセプターの間の結合を妨害
又は減少させるように結合することができる適した抗原
−結合部位を有する。立体効果がレセプターへの抗原の
結合を減少させるので、抗体又はフラグメントが十分に
嵩高く、その結合部位の十分に近くで抗原又はレセプタ
ーに結合すれば、そのような抗体及びフラグメントはTN
F−誘導抗原又はそのレセプターの実際の結合部位に対
して誘起されている必要はないことに注意しなければな
らない。そのような抗体及びフラグメントの製造法は当
該技術分野における熟練者の能力及び知識の範囲内であ
る。
本発明の阻害剤のさらに別の種類には、β2−糖タン
パク質−1(アポタンパク質−Hとしても既知)ならび
に低及び高密度リポタンパク質(LDL及びHDL)ならびに
C−反応性タンパク質などの、リン脂質に結合すること
が知られている血清成分を含む。
本発明の阻害剤及び抗体又はそのフラグメントは、予
防薬又は治療薬として従来の方法で用いることができ
る。抗体又はそのフラグメントの投与は受動免疫化とみ
なすことができる。能動免疫化を本発明の免疫原に関連
して下記に記載する。
従って本発明は前記で定義した阻害剤の、TNF−誘導
非−LPS生物による感染に伴う臨床的顕症の処置又は予
防で用いるための薬剤の製造における利用を提供する。
本発明はさらに、前記で非−LPS生物感染に伴う臨床
的顕症の処置又は予防に十分であると定義した阻害剤を
無毒性量で投与することによる、非−LPS生物に感染し
た、又は感染の危険のある患者の処置法を提供する。
本発明はさらに、特に非−LPS生物への感染に伴う臨
床的顕症の処置又は予防のために、治療によりヒト又は
動物の体を処置する方法で用いるための、IMP及びPI脂
質以外の前記で定義された阻害剤を提供する。
本発明はさらに非−LPS生物のTNF−誘導非−LPS抗原
の分解産物である、前記で定義された阻害剤を提供す
る。
上記のいずれの場合も非−LPS生物は原虫類寄生虫、
例えばトリパノソーマ ガンビエンス(Trypanosoma g
ambiense)又はT.ローデシエンス(T.rhodesiense)、
あるいはプラスモジウム属寄生虫であることが好まし
く、プラスモジウム属寄生虫がより好ましく、プラスモ
ジウム ファルシパルム、P.ビバックス、P.マラリア
P.malaria)又はP.オバレ(P.ovale)が最も好まし
い。
処置又は予防される臨床的顕症は低血糖及び/又は貧
血及び/又は発熱を含むのが好ましい。本発明の好まし
い阻害剤には脱脂、脱アシル化、脱リン酸化、又は他の
方法で不活性化したリン脂質依存性TNF誘導マラリア抗
原の分解産物、IMPならびにジパルミトイル、ジラウリ
ル及びジステアリルホスファチジルイノシトールが含ま
れる。
本発明の阻害剤は純粋な化合物として用いることがで
きるが、製薬学的組成物の形態で投与するのが好まし
い。
従って本発明は前記で定義した阻害剤及び製薬学的に
許容し得るそのための担体又は希釈剤を含む、非−LPS
生物による感染の臨床的顕症の処置又は予防のための製
薬学的組成物を提供する。
適した担体及び希釈剤は選ばれた投与経路及び製薬学
者に周知の他の基準に依存する。錠剤及び粉末として投
与する場合、希釈剤又は担体はいずれの適した不活性結
合剤又は充填剤であることもできる。液体として投与す
る場合、希釈剤又は担体は注射用水、脱イオン水などの
液体、あるいは油などの非水液であることができる。組
成物は酸化防止剤、抗微生物剤、緩衝液及び特に注射用
組成物の場合組成物の張度を調節する試薬などの補助的
成分も含むことができる。
組成物は、経口的又は非経口的、例えば静脈内、鼻腔
内、筋肉内又は皮下注射又は輸液などのいずれの適した
経路によっても投与することができる。多くの場合患者
に全身的処置及び臨床的顕症の予防を与えねばならず、
疾患からの保護を維持するために実質的量の阻害剤の存
在が必要なので、継続的輸液による投与が必要であり、
デポ剤及び持続性放出組成物の使用を考慮しなければな
らない。
投与される投薬量は不利な副作用なしに非−LPS抗原
からの保護を維持するのに十分でなければならず、典型
的投薬量範囲決定実験により確定することができる。も
ちろん投薬量は受容者の大きさ、体重、年令及び健康状
態、ならびに阻害剤のクリアランス速度、阻害剤が体中
に分配される方法、ならびにその効果と対抗しなければ
ならない非−LPS抗原と比較したマクロファージレセプ
ターに関する阻害剤の相対的親和力及び結合力にも依存
する。しかし現在、IMPの場合1〜100mg/kgの範囲の投
薬量を数時間〜1日2回か1回の間隔で投与し、正常な
成人の場合の1日の平均投薬量は1〜100mg、例えば少
なくとも10mgであることが意図されている。
本発明の阻害剤を用いた処置は他の治療的又は予防的
手段と組み合わせることができる。例えば本発明の阻害
剤を、抗−寄生虫剤を用いた寄生虫の破壊から生ずる悪
影響の予防に用いることができる。別の場合、寄生虫感
染の急性の現象の最悪の影響の抑制に、低血糖及び貧血
の処置などの他の支持的手段と組み合わせて阻害剤を用
いることができる。
免疫原 本発明の阻害剤は非−LPS抗原の関連レセプターへの
結合の妨害に予防的又は治療的に用いられるが、免疫原
は危険にある患者において能動免疫を生ずるために用い
られる。本発明の免疫原は宿主動物において抗体を生成
し、かくして本発明の阻害剤として用いるためのポリク
ローナル、モノクローナル又は組み換え抗体及びそのフ
ラグメントを与えるのにも有用である。
本発明の免疫原は、リン脂質−含有TNF−誘導非−LPS
抗原を用いて賦活された後のヒト単球又はマウス腹膜マ
クロファージによるTNF又は他のサイトカインの試験管
内分泌を減少させるか、又は排除する抗体の生産を賦活
することができる、製薬学的に許容し得る材料である。
本発明の免疫原は適したB−細胞エピトープを含む。
これは危険にある患者又は宿主動物において循環抗体の
賦活を可能にし、非−LPS生物が風土性である地域を旅
行する患者の場合に短期の保護を与えるのに十分であ
り、上記で議論した阻害剤として、又はその製造に用い
ることができる抗体及び抗体−分泌細胞を宿主動物にお
いて生成するのに十分である。
本発明の免疫原は適したT−細胞エピトープも含むこ
とができ、この場合これらは免疫化した患者において記
憶細胞を賦活し、それにより非−LPS生物に繰り返しさ
らされることに対する長期間の保護を与える。
上記の阻害剤は、それらが自己の権利で免疫原性であ
るのに十分に大きな分子であれば、本発明の免疫原とし
て用いることができる。十分に大きくない阻害剤は、免
疫原として用いるために従来の方法で担体タンパク質に
結合することができる。そのままではレセプター−結合
部位を含まないTNF−誘導抗原のフラグメント、及びそ
のままでは抗原−結合部位を含まないレセプター分子の
フラグメントは、それらが抗原:レセプター結合を阻害
する抗体の生産を賦活すれば、免疫原として用いること
ができる。TNF−誘導抗原、又はレセプター結合部位を
含むそのフラグメントは、宿主動物において本発明の免
疫原として用いることができ、ヒトの処置にも用いるこ
とができ、少なくとも後者の場合、例えば上記の分解に
より適宜にTNF−誘導活性を低下させるか、又は排除す
る。レセプター分子及び抗原−結合部位を含むそのフラ
グメントは宿主動物において本発明の免疫原として用い
ることもでき、ヒトの処置に用いることもできるが、但
し少なくとも後者の場合、患者の細胞上の本来のレセプ
ター分子への望ましくない自己免疫の賦活を避けるため
の適した予備注意をする。
本発明の好ましい免疫原はPI、PSもしくはPThr脂質、
IMP、グルコサミン以外のリン酸化糖、例えばゴルコー
ス、ガラクトース、フルクトース及びマンノース、なら
びに上記の分解TNF−誘導抗原及び担体タンパク質、好
ましくは破傷風トキソイド又はキーホールリンペットヘ
モシアニン、より好ましくは非−LPS原虫類寄生虫の外
部抗原に結合したそのような材料である。
リン脂質リポソーム及びリン酸化糖、特に単糖類も非
−LPS抗原に結合できるリン酸基に対する抗体を生成で
きるので、本発明の免疫原として用いることができる。
いずれのリン脂質又は糖を用いるかは重要ではないが、
PI及びホスファチジルセリンリン脂質リポソームが好ま
しい。
本発明の免疫原は従来の方法で、好ましくはISCOMS又
はリポソームの場合のように適したアジュバント、例え
ばヒトの場合は水酸化アルミニウムゲル、あるいは宿主
動物の場合はフロイント完全又は不完全アジュバント又
はサポニンと組み合わせて用いられる。これらは皮内、
又は皮下、筋肉内又は静脈内、及び動物の場合は腹膜内
などのいずれの従来の経路によっても、適した製薬学的
組成物の形態で投与することができる。免疫原は注射用
水中の溶液又は懸濁液として、あるいは発熱物質−非含
有水又は注射用水を用いて再構築するための乾燥粉末と
して与えるのが好ましく、適した緩衝液、酸化防止剤、
防腐剤及び張度の調節のための試薬も含むことができ
る。
適した投薬管理は所望の免疫応答に依存するが、典型
的に数日、例えば1又は2週間、最高1、2、3又は6
カ月などの数カ月の間隔で少なくとも1回及びおそらく
数回の繰り返し注射を含み、おそらく1年かそれ以上、
例えば最高5年の間隔で二次感作を行う。
適した投薬量は投与される材料の免疫原性に依存する
が、典型的に成人のヒトの場合1〜1000mgの範囲であ
る。
以下の実施例により本発明をさらに例示するが、実施
例はいかようにも本発明の範囲を制限するものではな
い。
実施例1 マラリア寄生虫は、リン脂質成分を介して腫瘍壊死因
子(TNF)を分泌するようにマウスマクロファージを賦
活し、D−ガラクトサミン−感受性マウスに毒性であ
り、従って病理学に含まれ得る外部抗原を放出すること
が以前に示された。脱リン酸化又はリパーゼを用いた消
化により解毒したプラスモジウム ヨーリイ(Plasmodi
um yoelii)外部抗原は、TNF生産を誘導しない。しか
しこれらの部分的構造は、細菌のリポ多糖(LPS)に応
答する生産は阻害しないが外部抗原に応答するその生産
を阻害する。
純粋なリン脂質をマクロファージアッセイにおいて調
べると、いずれもTNFの生産を賦活しないが、ホスファ
チジルイノシトール(PI)はP.ヨーリイ外部抗原による
TNF誘導を阻害する。さらにイノシトール−リン酸(IM
P)は調べた多くの一リン酸化糖の中で唯一の阻害性で
あったものであり、イノシトールは阻害性でなかった。
PI、IMP又は解毒外部抗原で予備処理し、続いて寄生虫
外部抗原と共にインキュベートしたマクロファージも、
ずっと少量のTNFを与えた。PI、IMF及びP.−ヨーリイの
リパーゼ−消化外部抗原は、ヒト寄生虫であるP.ファル
シパルム及びP.ビバックスの外部抗原のTNF−誘導活性
も同様に阻害した。外部抗原及びLPS−誘導によるTNFの
生産の両方を阻害する血小板−活性化因子拮抗剤(1−
O−ヘキサデシル−2−アセチル−sn−グリセロ−3−
ホスホ(N,N,N−トリメチル)ヘキサノールアミン)と
対照的に、PI及びIMFのいずれもLPSに応答したTNF生産
を減じなかった。
寄生虫外部抗原によるTNF分泌の誘導には分子の少な
くとも2つの異なる部分が含まれることが結論され、1
つはイノシトールに結合したリン酸基の存在を必要と
し、1つは、脱リン酸化外部抗原も阻害性なのでそれを
必要としない。両者共、寄生虫−由来の外部抗原とマク
ロファージレセプターの間の相互作用に影響すると思わ
れる。
序論 腫瘍壊死因子(TNF)及びインターロイキン−1(IL
−1)などのサイトカインは発熱を引き起こすことが示
され(15)、TNFに対するモノクローナル抗体の最近の
臨床的試験の結果は、マラリアの発熱が実際にTNFによ
り媒介されることを示唆している(29)。さらにいくつ
かの研究は、TNFの循環量とプラスモジウム ファルシ
パルム感染の合併症の間に有意な関連性があることを示
した(19、24、28)。マラリアの疾患及び病理学にTNF
が含まれることは、Clark及び彼の共同研究者により十
分に考察された(14)。
ヒト及び齧歯類動物のマラリア寄生虫は外部抗原を放
出し、それは試験管内でマクロファージを賦活してTNF
を分泌させ(7,41)、TNFに対して感受性とするために
D−ガラクトサミンで予備処理したマウスに対して毒性
である(8)ことはすでに示された。抗原はシゾント分
割(schizont rupture)の時に放出されると思われ(2
7)、これにより発熱と寄生虫の発育サイクルのこの段
階の間の周知の関連性が説明される。外部抗原は高度に
免疫原性であり、試験管内でTNFを誘導するその能力を
阻害してD−ガラクトサミン−感受性マウスをその毒性
効果から保護する抗体を生ずる(5)。我々は、そのよ
うな抗体の存在がマラリアが風土的である地域に住む人
々が取得した“抗毒素”免疫を説明し得ることを提案
し、外部抗原が抗疾患ワクチンのための候補であり得る
ことを示唆した(34)。
数年前、Clarkはマラリアの多くの症状が内毒素血症
(endotoxaemia)の特徴と共通の特徴を有することを指
摘し(13)、内毒素血症がグラム陰性種に対応する細菌
から放出されるリポ多糖(LPS)により宿主において誘
導されるTNFを伴うことが現在認識されている(11)。
実際にTNFに対するモノクローナル抗体(43)及び、LPS
中のその毒性を含むLPSの生物学的活性の多くを媒介す
る部分である脂質Aに対するモノクローナル抗体は、致
命的菌血症に対して動物を保護することができる(3
5)。細菌性ショックを誘導するLPSの分子構造を特性化
するために、LPSの種々の部分的構造の活性が研究され
た。例えば脂質Xは脂質Aの生合成における無毒性の中
間体であり、その構造は脂質A分子の構造に半分類似し
ている。精製脂質XはTNFの生産を誘導しないが(2、2
6、30、31)、試験管内におけるLPSの種々の生物学的活
性及びマウスに対するその毒性を阻害する(30、36)。
別の部分的構造である脂質IVAは同様にTNFの生産を誘導
しないが、やはりLPSによるその誘導を阻害し、これら
の結果は標的細胞上のLPSレセプターに関する競争によ
り説明された(26)。
リン脂質−含有マラリア外部抗原は明らかにLPSと異
なり(40)、異なるレセプターを介してマクロファージ
を賦活すると思われるが(41)、いくつかの機能的類似
性がある。本実施例において、寄生虫外部抗原の種々の
“解毒”試料(すなわちマウスに対して毒性でなく、マ
クロファージによるTNF生産を誘導しないもの)を調
べ、寄生虫外部抗原の活性試料によるその誘導を阻害で
きるかどうかを観察した。我々は、分子が限定されたい
くつかのリン脂質及びいくつかの一リン酸化糖のTNFの
生産を誘導する能力、及び外部抗原のTNF−誘導活性を
阻害する能力の両方も調べた。齧歯類動物の寄生虫であ
るP.ヨーリイに由来する外部抗原の場合に得た結果を、
ヒトの寄生虫であるP.ファルシパルム及びP.ビバックス
からの試料を用いて確認した。外部抗原のTNF−誘導成
分は、外部抗原の活性がリパーゼによる消化のみでなく
ホスホリパーゼCによる消化によりさらに特異的に破壊
され、フッ化水素酸による脱リン酸化によっても不活性
化される点で、リン脂質であると思われる。この阻害の
特異性の研究のために、我々は外部抗原によるTNFの誘
導を阻害することが見いだされた種々の化合物の効果
を、LPSによる誘導への効果に関して比較した。最後に
我々は血小板−活性化因子(PAF)の拮抗剤がLPS及び外
部抗原の両方による誘導を阻害する能力を調べた。それ
自身リン脂質であるPAFは、ショックを引き起こす内因
性媒介物であり(21)、内毒素血症において放出され
(12)、PAF拮抗剤がTNFの放出を介してLPSにより誘導
される壊死を阻害できることが示された(38)。
材料及び方法 マウス 少なくとも6週令の異種交配された雌を用いた
(Tuck No1;A.Tuck & Sons,Battlesbridge,Esse
x)。
齧歯類動物の寄生虫 P.ヨーリイのYM致死変異株(D.Wa
lliker,Edinburgh Universityから入手)を用いた(1
8)。104の寄生虫感染赤血球をマウスに静脈内注射し、
Giemsaで染色した血液フィルムから寄生虫血症を決定し
た。
外部抗原の試料 TNF−誘導活性はタンパク質に伴わ
ず、その除去により増すので、すべての外部抗原試料は
1ml当たり10μgのプロナーゼE(Sigma)中の37℃で24
時間インキュベートし、煮沸し、PBSに対して透析し
た。その後BioRadアッセイによりタンパク質は検出でき
なかった(1ml当たり<1μg)。使用する前にこれら
をポリミクシンB−アガロース(polymyxin B−agaro
se)(Sigma)と混合して内毒素を除去し、500xgにおい
て10分間遠心し、0.2μm−孔径の膜フィルター(Flow
Laboratories,Irvine,Ayrshire,United Kingdom)を
通した濾過により滅菌し、4℃で保存した。
P.ヨーリイの外部抗原 前に記載された通り(39)、心
臓穿刺により放血した高度の寄生虫血症のマウスから外
部抗原を調製した。赤血球を無菌のリン酸塩−緩衝食塩
水(PBS)で2回洗浄し、続いてローラー上の37℃で懸
濁液1ml当たり108寄生細胞においてPBS中に24時間懸濁
させた。翌日懸濁液を500xgで10分間遠心した。続いて
上澄み液を5分間煮沸し、1,300xgで10分間遠心し、こ
れらの上澄み液をその後膜フィルターに通過させて4℃
で保存した。
P.ヨーリイ外部抗原の解毒 (1)リパーゼを用いた処
理により:PBS中の外部抗原試料を、アガロースに結合し
た1ml当たり2〜5Uのコムギ胚芽リパーゼ(Sigma)と共
に37℃で終夜インキュベートし、続いて500xgにおいて1
0分間遠心することによりコムギ胚芽リパーゼを除去し
た。上澄み液を濾過により滅菌し、40℃で保存した。
(2)脱リン酸化により:凍結乾燥試料を46%のHF中に
溶解し、ポリテン管中の0℃で22時間保ち、続いてそれ
をPBSで希釈し、NaOHで中和した。1,300xgにおける10分
間の遠心により沈澱を除去し、上澄み液を濾過により滅
菌して4℃で保存した。
P.ファルシパルムの外部抗原:これはOxford Universi
tyのDr.D.Kwiatkowskiにより親切に提供された。これは
血清を含まない最少必須培地中の連続培養系からのシゾ
ント−濃縮試料を37℃で24時間インキュベートすること
により調製された。続いて培養物を遠心し、上澄み液を
集め、5分間煮沸した。試料を再度遠心し、得られた上
澄み液を膜フィルターに通過させて4℃で保存した。
P.ビバックスの外部抗原:これらは、Prof.K.Mendis,Un
iversity of Colomboにより親切に提供された。P.ビ
バックスに感染した3人の患者から、寄生虫がシゾント
となった時期に得た赤血球を洗浄し、約80%の寄生虫血
に濃縮した。それらを血清を含まないPBSに1ml当たり1x
10感染赤血球で懸濁し、ローラー上の37℃で24時間イン
キュベートした。上澄み液を集め、0.2μmのMillipore
フィルターに通過させ、5分間煮沸し、再度遠心し、得
られた上澄み液を集めて4℃で保存した。
マウス腹膜細胞を用いた賦活アッセイ 以前に記載され
た通り(5)、3〜5日前にチオグリコレートを腹膜内
に与えられたマウスから、1ml当たり1Uのヘパリン及び5
mgのポリミクシンB(Sigma)を含むハンクス液(Flow
Laboratories)を用いて細胞を集めた。洗浄した細胞
をポリミクシンBを含むRPMI 1640(Flow Laboratori
es)中5%のウシ胎児血清中に懸濁し、1ml当たり107
生存細胞に調節し、続いて0.1mlを96−ウェルミクロタ
イタープレート(Nunc,Roskilde,Denmark)のウェルに
分配した。細胞を37℃で2〜3時間インキュベートして
マクロファージを接着させ、続いて1ml当たり2μgの
インドメタシン(Sigma)を含む等体積の培地を用いて3
0分間インキュベートした。非−接着細胞を除去し、培
地をポリミクシンB及び調べるべき賦活剤を含む0.2ml
のRPMI 1640で置換し、培養物を終夜インキュベートし
た。(投薬量−応答関連性を確立するために賦活剤の順
次希釈液を常に調べ、実験は少なくとも2回繰り返し
た)。翌日、上澄み液を集め、L929細胞に対する細胞毒
性によりTNFに関して分析した。1ml当たり5%のウシ胎
児血清及び1μgのエメチン(Sigma)を含む培地中で
それぞれの1/10希釈を作り、滴定を繰り返す必要がある
場合は−20℃で保存した。すべての実験において、LPS
の順次希釈液又は培地のみと共にインキュベートした培
養物を、マクロファージがTNFを与える能力に関する正
又は負の対照標準として含んだ。
阻害アッセイ 等体積の順次希釈液と1種類の濃度の外
部抗原試料又はLPSを混合してからマクロファージ培養
物に加えることにより、調べるべき試薬のTNFの誘導を
阻害する能力に関して滴定した。リン脂質は光−感受性
なので、プレートはアルミニウム箔で覆った。
TNFアッセイ 以前に記載されている通り(8)、前日
にウェル当たり2.5x104細胞で播種したL929細胞(Europ
ean Collection of Animal Cell Culture,Porton
Down,Salisbury,Wiltshireから入手)に対するその細
胞毒性によりTNFを比色測定で検定した。マクロファー
ジ上澄み液の順次希釈液を96−ウェルのウェル当たり0.
1mlの体積で、1ml当たり1μgのエメチンを含むRPMI
1640中において2重に調べた。1単位を50%の細胞破壊
を起こす量として定義する。
他の試薬 LPS(エシェリキア コリ(Escherichia co
li)からのフェノール抽出物(055:B5))、すべてのリ
ン脂質(ウシ肝臓からのホスファチジルイノシトール
(PI)、卵黄からのホスファチジルコリン(PC)、ウシ
脳からのホスファチジルセリン(PS)、ウシ脳からのホ
スファチジルエタノールアミン(PE)、ウシ心臓からの
ホスファチジン酸(PA)及びカルジオリピン(CL))及
び調べたすべての一リン酸化糖はSigmaから得た。PAF拮
抗剤、1−O−ヘキサデシル−2−アセチル−sn−グリ
セロ−3−ホスホ−(N,N,N−トリメチル)ヘキサノー
ルアミンはNovabiochemから得た。
結果 解毒外部抗原の阻害活性 寄生虫外部抗原の毒性及び
それらが試験管内でマクロファージにTNFを分泌するよ
うにトリガーする能力は、2相脂質抽出法(41)のクロ
ロホルム/メタノール相に堆積するリン脂質により媒介
され、穏やかなアルカリ処理による脱−O−アシル化及
びリパーゼ処理により、又脱リン酸化及びホスホリパー
ゼCによる消化により破壊される。従って我々は脱リン
酸化又はリパーゼ消化による脂肪酸の除去により解毒さ
れたP.ヨーリイの外部抗原がマクロファージを賦活して
TNFを分泌させる活性試料の能力を阻害できる構造を含
むか否かを調べた。TNFの収量を培地中で希釈した対照
標準と比較した。いずれかの方法で解毒された試料はTN
Fの生産量を投薬量依存的に減少させた。図1aは典型的
実験の結果を示し、この場合1ml当たり102,400UのTNFの
生産を賦活する活性試料と共に脱リン酸化試料を含ん
だ。図1bは3種類の活性試料に対して滴定した1種類の
リパーゼ消化試料を用いて行った実験の結果(平均±S
D)を示す。非感染マウス赤血球からのリパーゼ−消化
上澄み液は阻害性でなかった。(示されている結果は異
なる解毒外部抗原試料及び賦活試料の両方を用いて得た
ので、2つの方法により解毒された試料の阻害活性の直
接の比較はできない)。
TNF誘導の阻害は寄生虫外部抗原に特異的であった。
これらは通常1ml当たり約1μgのLPSの場合に得られる
量と同程度の量のTNFを誘導する(41)が、いずれかの
方法によって解毒された外部抗原試料のいずれも1ml当
たり0.1μgのLPSによるTNFの誘導を阻害しなかった
(表1)。
逆にLPSによるTNFの誘導を阻害するLPSの解毒試料
は、P.ヨーリイ外部抗原による誘導に影響を与えなかっ
た。例えばリパーゼにより1ml当たり10μgのLPSを消化
するとその活性全体が排除され、1ml当たり1μgのそ
のような解毒試料は未処理LPSによるTNFの誘導を阻害す
るが、1ml当たり10μgは寄生虫外部抗原に応答して生
産されるTNFの量に影響せず、1ml当たり1μgは希釈試
料の活性を低下させなかった。
リン脂質による阻害 これらの結果はP.ヨーリイ リン
脂質成分の活性が不活性化構造により競争的に阻害され
ることを示したので、我々は商業的に入手可能な多数の
異なるリン脂質を調べ、それらも阻害性であるか否かを
観察した。PIは一貫して外部抗原のTNF−誘導活性を阻
害した。PC、PS、PE、PA及びCLは同一投薬量で阻害しな
かった(表2)。
TNFの力価はマクロファージ上澄み液遊離塩(free s
alt)の最初の1/10希釈後のlog4である。
これらのリン脂質のいずれも1ml当たり最高100μgの
濃度でさえTNFを分泌するようにマクロファージを賦活
しなかった。
外部抗原阻害剤の構造的必要条件 P.ヨーリイ外部抗原
によるTNFの賦活の阻害に必要な最小の構造を調べるた
めに、マクロファージ培養物を1ml当たり12,8000UのTNF
の分泌を誘導する試料及び種々の濃度のPI、その誘導体
イノシトール一リン酸(IMP)又はイノシトールと共に
インキュベートした。PI及びIMPの両者はTNF生産の投薬
量依存性阻害を引き起こした。代表的実験の結果を示す
(図2)。イノシトール自身はTNFの収率に影響を与え
ず、イノシトール環に結合したリン酸基の存在が外部抗
原分子のマクロファージとの相互作用に必須であること
を示した。これは、他の一リン酸化糖を用いた試験によ
り確証された。かくして調べた最大濃度である1ml当た
り200μgにおいてさえグルコース−1−リン酸、ガラ
クトース−1−リン酸、マンノース−1−リン酸、フル
クトース−1−リン酸、ガラクトサミン−1−リン酸、
グルコサミン−1−リン酸又はアデノシン三リン酸(AT
P)(示されていない)の場合でも阻害は得られなかっ
た。血清学的交差反応がリン酸基−含有化合物、例えば
種々のリン脂質、脂質A、変性DNA及びリポテイコ酸の
間で起こることが既知である(1)。しかし我々の結果
はリン酸エステルの抗体認識と異なり、マクロファージ
レセプターはイノシトールに結合した場合にリン酸基を
認識できるが他の糖に結合した場合には認識できない部
位を有するので、それによる寄生虫外部抗原の活性部分
の認識は高度に特異的であることを示している。外部抗
原試料を1ml当たり20μgのIMPの存在下又は不在下で滴
定すると、TNFの収量はすべての希釈において約16分の
1に減少し、より高い濃度の賦活剤において阻害は克服
されず、それはプラトーに達すると思われ、このレセプ
ターへの阻害剤の結合は可逆的でないことを示唆した
(図3)。前記の通り、PI又はIMPは1ml当たり20μgの
濃度でもLPSによるTNF誘導を阻害しない点で外部抗原活
性の阻害は特異的であった(図4)。これらの結果及び
LPSにより賦活されるTNFの収量に解毒外部抗原が影響を
与えないという我々の発見は、観察された阻害がマクロ
ファージへの阻害剤の毒性効果のためであるという可能
性も排除した。
他のプラスモジウム種の外部抗原の阻害 齧歯類動物の
寄生虫P.ヨーリイならびにヒトの寄生虫P.ファルシパル
ム及びP.ビバックスのTNF−誘導外部抗原は血清学的に
交差反応をするので(5,6)、P.ヨーリイの外部抗原の
活性を阻害する試料がヒトの寄生虫の外部抗原の活性に
対しても活性であるか否かを観察する実験を行った。P.
ファルシパルム及びP.ビバックスの両者の外部抗原によ
り誘導されるTNFの量は、この場合リパーゼ消化により
生産されたP.ヨーリイ外部抗原の部分的構造の存在下で
投薬量依存的に減少した(図5)。さらにPI及びIMPと
共にインキュベートしてもP.ファルシパルム及びP.ビバ
ックスの外部抗原によるTNFの誘導が阻害された(図
6)。
阻害剤で予備処理したマクロファージによるTNF生産
上記の阻害効果はすべてマクロファージを賦活剤及び阻
害剤の両者の存在下で終夜インキュベートする実験で観
察された。可能性のある外部抗原自身への阻害剤の効果
を細胞への効果と区別し、阻害剤が細胞レセプターの遮
蔽により作用する可能性を調べるために、マクロファー
ジを種々の濃度の阻害剤で予備処理し、洗浄し、その後
通常通り外部抗原に終夜暴露した。おそらく新しいレセ
プターの発現のために、パイロット実験では小さい阻害
効果しか検出されなかったので、その後の実験の場合は
1時間後に予備処理マクロファージから外部抗原を除去
し、新しい培地で終夜インキュベートする前に細胞を洗
浄した。
解毒P.ヨーリイ上澄み液の1/5希釈液、PI又はIMP(両
者共1ml当たり20μgにおいて)で予備処理し、P.ヨー
リイ外部抗原と共にインキュベートしたマクロファージ
から得たTNFの収量は非常に減少したが、1ml当たり50μ
gのPE又はPCで予備処理した対照標準培養は影響を受け
なかった(図7)。この場合も外部抗原の場合の結果と
対照的に、細胞をリパーゼ−消化外部抗原で予備処理し
てもLPS(1ml当たり1μg)に応答して生産されるTNF
の量は減少しなかった(示されていない)。
血小板活性化因子阻害剤 PAF拮抗剤SRI 63−119はLPS
のTNF−媒介効果を阻害することが示されているので(3
8)、我々は拮抗剤、1−O−ヘキサデシル−2−アセ
チル−sn−グリセロ−3−ホスホ(N,N,N−トリメチ
ル)ヘキサノールアミンの、P.ヨーリイ外部抗原により
誘導されるTNF生産への効果をLPSの場合と比較して調べ
た。拮抗剤は両賦活剤に応答して得られるTNFの収量の
投薬量依存性阻害を引き起こしたので、差異は見いださ
れなかった(図8)。さらに、それらを50μg/mlの阻害
剤で予備処理して洗浄したマクロファージと共にインキ
ュベートした場合、どちらに対しても有意な阻害が起こ
らなかった。これらの発見は拮抗剤がマクロファージへ
の毒性効果を有していないことも示した。
議論 我々の最も衝撃的な発見は、P.ヨーリイ又はヒトの寄
生虫であるP.ファルシパルム及びP.ビバックスに感染し
た赤血球により培地に放出される分子のTNF−誘導活性
を、単純で化学的に限定された分子であるホスファチジ
ルイノシトール及びイノシトール一リン酸、ならびに改
変されて無毒性とされた寄生虫外部抗原により明らか
に、及び再現性良く阻害できることである。これらの結
果はP.ヨーリイの外部抗原の活性成分がリン脂質に依存
しているという以前の結論を支持し、このリン脂質の性
質に関してより多くの情報を与える。
PIの阻害活性はそのジアシルグリセロール成分により
媒介されていないということを2つの系列の証拠が示し
ている。第1にジアシルグリセロールは調べて阻害効果
を有していなかったすべてのリン脂質に存在し、第2に
リパーゼ消化によりそれが除去された外部抗原が依然と
して阻害性である。さらにPIの非アシル化形態であるIM
Pも阻害性である。そのような阻害は、共有結合したリ
ン酸基及びイノシトールが存在する場合に起こった。イ
ノシトール自身も多数の他の一リン酸化糖も有効でなか
った。この阻害の特異性は、イノシトールリン酸基が外
部抗原の活性構造の必須部分でなければならないことを
示唆している。
プラスモジウムの異なる種の脂質の化学が顕著に類似
しており、赤血球の化学とかなり異なり(3)、寄生虫
液胞(parasitophorous vacuole)のリン脂質(3)及
びメロゾイトのロープツリー(rhoptries)のリン脂質
が侵入の時期に排出されることが言及されている(3
7)。ホスファチジルイノシトールへのイノシチドの挿
入は初期シゾゴニーの間に促進されることが示された
(44)。ホスファチジルイノシトールは、例えばメロゾ
イト表面抗原を含む寄生虫の数種の抗原の成分であり
(20)、いくつかのタンパク質を表面膜に結合するグリ
コシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの
必須部分を形成している(17及び42にて考察)。外部抗
原のイノシトールリン酸−含有部分が特定のタンパク質
抗原に共有結合しているのか、あるいは単にその疎水性
によりタンパク質と会合しているのかは知られていない
が、それがGPIアンカーでないと考える理由はある。か
くしてこれらのアンカーを含む分子の亜硝酸脱アミノ化
は遊離のPIを放出し(17,42)、我々はPIがTNF生産を誘
導しないこと、及び外部抗原のTNF−誘導活性が脱アミ
ノ化により影響されないことの両方を示した。さらにグ
ルコサミンの存在はGPIアンカーに特徴的であり、それ
らは一般にマンノースを含む。我々がグルコサミン−1
−リン酸又はマンノース−1−リン酸(あるいはグルコ
サミン又はマンノースを用いて、データは示していな
い)のどちらかを用いて外部抗原の活性を阻害できなか
ったことは、もし存在してもこれらの糖は抗原リガンド
の必要部分ではないことを示唆している。我々は又、糖
部分がTNFの外部抗原誘導に必要でないことも示した
(データは示していない)。イノシトール一リン酸はお
そらくレセプターに関する競争により、脂肪細胞上のイ
ンスリンの作用を模したホスファチジルイノシトールグ
リカン(PI−Gs)の活性も阻害する(32)。しかし寄生
虫外部抗原と対照的にグルコサミン及びマンノースもPI
−Gsの活性を阻害し、亜硝酸による脱アミノ化によりイ
ンスリン−模倣効果は排除される(17)。
外部抗原のTNF−誘導活性へのPI、IMP及び解毒外部抗
原の阻害効果は2通りの方法で説明することができるか
も知れない。阻害剤は細胞膜を直接通過し、かくして第
2メッセンジャー系を阻害し得るが、この方法は外部抗
原により賦活されるマクロファージにおいて活性化され
るがLPSにより賦活される場合は活性化されない方法で
はないことを我々の発見が示している。別の場合、阻害
剤はマクロファージ上の特定のレセプターに関して競争
することにより作用し得る。脱リン酸化された場合でも
リパーゼ消化により脱−O−アシル化された場合でも、
解毒外部抗原が阻害性であるという事実は、リンの存在
に依存した1つ及び依存していない1つの少なくとも2
つの結合部位がマクロファージレセプター上にあり、そ
の占有が阻害に導き得ることを示唆している。しかし外
部抗原がTNFの生産を誘導するためにはエステル結合ア
シル鎖も存在しなければならない(データは示していな
い)。われわれはそれらがレセプター上の第3の部位に
結合するのか、又は他の道順でTNFの合成に導く経路に
作用するのかを推測できるのみである。
LPSによるサイトカイン生産も脱アシル化により排除
され、不活性内毒素誘導体は活性分子によるTNF生産(2
6)及びB細胞細胞分裂誘起(16)を阻害する。解毒外
部抗原、PI及びIMPがLPSによるTNFの誘導を阻害しない
ことは注目に値し、外部抗原及びLPSが異なるレセプタ
ーを介してマクロファージを賦活するという我々の示唆
(41)を確証している。PAF拮抗剤は両賦活剤によるTNF
誘導を、それと一緒にインキュベートすると阻害する
が、賦活剤の添加の前のマクロファージの予備処理に用
いると阻害せず、PAFが共通の第2メッセンジャーとし
て生成されることを示唆している。
マクロファージは数種の掃去剤レセプターを有し、そ
れは酸化及びアシル化低密度リポタンパク質(LDL)に
対して親和性を有し、広範囲の結合特異性を有する(1
0,25)。マウスマクロファージへの酸化LDLの結合はP
E、PS及びPIなどの酸性リン脂質を含むリポソームによ
り阻害され、少なくとも2つの掃去剤レセプターがこれ
らの分子を認識すると思われる(33)。これはイノシト
ールリン酸−含有外部抗原がこれらのレセプターに結合
し得ることを我々に示唆した。我々は、外部抗原−誘導
TNF分泌が実際に酸化されたLDLにより阻害されるが、本
来のLDLにより阻害されないことを見いだした。Hamilto
n et al.(22)と同様に、酸化LDL自身は腹膜マクロ
ファージをTNFの分泌に誘導せず、それはLPSのTNF−誘
導活性を阻害しないことを我々は見いだした。しかし以
前の実験で我々はフコイダン、デキストランサルフェー
ト及びポリイノシン酸などのそのような掃去剤レセプタ
ーリガンドによる外部抗原活性の有意な阻害を検出でき
ず、さらに酸化LDLで予備処理したマクロファージは依
然として外部抗原による賦活に応答した。そのような発
見は用いられた実験条件に大きく依存するが、酸化LDL
が外部抗原と複合体を形成する故に阻害性であったとい
う可能性を考慮しなければならない。内毒素を用いた研
究によりLPS誘導体である脂質IVAのマウスマクロファー
ジ細胞系への結合は、それがアセチル化LDLにより阻害
されるので、掃去剤レセプターに媒介されることが示さ
れた(23)。このレセプターへの結合はマクロファージ
をTNFの分泌に賦活しなかったが、他の研究者は非常に
高濃度でアセチル化LDLがヒト単球を賦活して短期間TNF
を分泌させたがそれは24時間までに培地から消失したと
報告した(4)。掃去剤レセプターリガンドはマウスに
おいて脂質IVAの肝臓吸収を阻害したので、そのような
レセプターが生体内の内毒素のクリアランス及び無毒化
に含まれる得ることが示唆された。
外部抗原の毒性によりマラリアの臨床的合併症のいく
つかを説明することができ、もしそうならば改変外部抗
原は抗−疾患ワクチンの基礎を形成し得る(34)。本明
細書に報告した発見はマラリアの管理に対する他の方法
を提供する。感染の毒性は外部抗原部分構造又は他のも
っと単純な阻害剤の投与により、特異的に減少させ得
る。かくしてサイトカインの有害な影響に対抗するよう
に設計された手段、例えばモノクローナル抗体又はサイ
トカイン阻害剤の投与の他に、毒素生産経路に初期に作
用しなければならないこの種の治療は過剰のTNF及びお
そらく他のサイトカインの生産又はこれらの寄生虫外部
抗原により活性化される損傷過程を予防することができ
る。
実施例2 概略 マラリア寄生虫のリン脂質−含有抗原は腫瘍壊死因子
(TNF)を分泌するようにマクロファージを賦活し、低
血糖を引き起こし、マウスに対して毒性である。このTN
F誘導は抗原に対して作られた抗血清により阻害され、
その阻害活性はホスフアチジルイノシトール(PI)リポ
ソームへの吸着により特異的に除去することができる。
PIに対して作られた抗血清の場合も同一であるが、他の
いくつかのリン脂質に対して作られた抗血清の阻害活性
は共通の決定基、おそらくリン酸エステルの頭部に対し
て向けられていると思われる。我々は以前にすべての抗
血清の活性が主にIgMに伴い、抗原の繰り返し注射によ
り二次感作されないことを示した。無毒性分子を用いて
寄生虫抗原に対する二次的応答を誘導することを試みる
ために、マウスをキーホールリンペットヘモシアニン
(KLH)に共役させた種々のリン酸化化合物を用いて免
疫化した。PI−KLH又はKLHと共役させたホスファチジル
セリン(PS)を3回注射すると、1回より有意に高い阻
害抗体の力価を誘導した。さらに阻害活性は主にIgG画
分にあった。抗血清はLPS又はリポテイコ酸によるTNF誘
導を阻害しない。しかしPS−KLHに対する抗血清はリン
脂質、血小板−活性化因子(PAF)によるTNFの誘導を阻
害したが、PI−KLHは阻害しなかった。これらの抗血
清、及びKLHに共役させたホスホトレオニン又はガラク
トサミン−1リン酸を用いて免疫化したマウスからの抗
血清は、異なる特異性の阻害抗体を含んだ。PI−KLH、P
S−KLH又はホスホトレオニン−KLHを用いて免疫化した
マウスは、寄生虫毒性抗原で攻撃した場合に低血糖を発
現しなかった。これらの結果は無毒性類似体の抗原性を
タンパク質担体への共役により劇的に強化できることを
示す。
序論 腫瘍壊死因子(TNF)は細菌性ショックにおいて重要
な役割を果していることが広く受け入れられているが
(1)、マラリアの疾患及び病理学にそれが含まれる可
能性は最近になって初めて認識され、その主題はClark
及び彼の共同研究者により十分に考察された(2)。プ
ラスモジウム ファルシパルムに感染した患者におい
て、循環TNFの量の増加は疾患の重度(3,4)、及び特に
脳性マラリア(cerebral malaria)からの死亡と関連
している(5)。その多くの性質の中で、TNFは血管内
皮において種々の変化を起こすことができる。例えばそ
れは脳毛細血管の内皮への寄生虫感染赤血球の付着に関
連し得る分子の1つであるICAM−1(7)などの接着分
子の発現を増加させることができる(6)。それは又、
内皮細胞からの酸化窒素の生産も増加させ(8)、それ
は脳毛細血管で起こると下にある神経細胞の活性を変化
させ得る(9)。
齧歯類動物及びヒトの両方のマラリア寄生虫によって
放出される物質はマウスマクロファージ(10)及びヒト
単球(11,12)を賦活してTNFを分泌させる。さらに齧歯
類動物の寄生虫及びP.ファルシパルムの両方からの物質
は、D−ガラクトサミン処理によりTNFに対して感受性
となったマウスを殺す点で毒性であり、それらが感染の
病理学に含まれ得ることを示唆している。我々は、これ
らの寄生虫抗原によるTNFの誘導がリン脂質成分に依存
しており(14)、この活性をホスファチジルイノシトー
ル(PI)又はイノシトール一リン酸(IMP)の添加によ
り阻害することができ、活性部分がPIを含むことを示唆
していること(15)、さらにこれらの抗原に対する抗体
の阻害活性がPIを含むリポソームにより特異的に吸着さ
れることを示した(16)。
我々は以前にこれらのTNF−誘導リン脂質−含有抗原
を、それがP.ファルシパルムの培養培地中及び37℃で終
夜インキュベートした齧歯類動物マラリア寄生虫からの
上澄み液中に存在するので、“外部抗原”と呼んだ。こ
れらは本来の、ならびにライシスされた寄生虫感染赤血
球中にも存在するので(14)、これらを毒性抗原と呼ぶ
方がより正しいと思われる。
P.ヨーリイの毒性抗原で免疫化すると、抗原の攻撃の
前にD−ガラクトサミンで処理したマウスの群において
死亡を予防することができ、保護には試験管内の抗原−
誘導TNF分泌を阻害する抗体が関連する(13)。従って
我々はこれらの抗原が抗−疾患ワクチンの基礎を形成し
得ると提案した(17)。異なる齧歯類動物の寄生虫及び
P.ファルシパルム及びP.ビバックスからのTNF−誘導抗
原が血清学的に関連しているという我々の発見は(18,1
9)、これらが保存されていることを示唆している。し
かしこれらが毒性であるのみでなく、主にIgMであるT
−非依存性抗体を主に生ずるので、選ばれる抗原はおそ
らく無毒性とし、免疫学的記憶を生ずるように改変する
必要があるだろう。
我々は、いずれもマクロファージによるTNF分泌を賦
活しないPI及びその誘導体であるIMPならびにホスファ
チジルセリン(PS)(リポソームの形態で)を含む多く
の化合物も阻害抗体の生産を誘導し、この場合もこれら
は主にIgMであり、その力価は繰り返し注射により強化
されないことを見いだした(16)。しかし記憶応答はキ
ーホールリンペットヘモシアニン(KLH)に共役させた
有機リン神経毒細胞(organophosphorus neurotoxin
soman)に誘導された(20)。従って無毒性リン脂質を
免疫原として用い、高力価の阻害抗体及び免疫学的記憶
の誘導を試みるために、我々はPI、PS及び他のいくつか
のリン酸化化合物をKLHに共役させ、それを用いてマウ
スを免疫化し、それらの抗体応答を研究した。
低血糖は重度のマラリアに伴うことが知られ、我々は
血液段階P.ヨーリイからの上澄み液がマウスにおいて、
インスリンの注射の後に見られる経過と異なる時間経過
で低血糖を誘導することを示した(22)。生体内で血糖
値の低下を促進する抗原は、試験管内で多数の方法でTN
Fの生産を誘導する抗原と類似しており、それらもPI−
含有リン脂質であり得ることを示唆している(22)。し
かしネズミTNFの活性を中和するモノクローナル抗体は
毒性抗原に対する低血糖応答を阻害しない。抗原で免疫
化したマウスは抗原−誘導低血糖に対して保護されるの
で、我々はいくつかのKLH共役体で免疫化したマウスも
調べ、それらも保護されるか否かを観察した。
材料及び方法 マウス 抗血清は少なくとも6週令の異種交配した雌のマウス
において生成した(Tuck No1:A.Tuck & Sons,Battl
esbridge,Essex及びMF−1:Harlan Olac,Bicester,Oxo
n)。低血糖実験は少なくとも10週令のF1の雌において
行った(C57 B1 x Balb/c)。
毒性抗原 P.ヨーリイYM(D.Walliker,Edinburgh University,Edi
nburgh,UKから入手)から:これらは以前に記載されて
いる通り(14)、高寄生虫血症のマウスから得て洗浄し
た寄生虫感染赤血球をPBS中で1ml当たり108寄生虫にお
いて、37℃のローラー上で終夜インキュベートすること
により調製した。翌日上澄み液を集め、遠心し、5分間
煮沸し、再度遠心した。続いて、TNF−誘導活性はタン
パク質に伴わずにその除去により強化されるので、1ml
当たり10μgのプロナーゼE(Sigma)中の37℃で24時
間インキュベートした。続いてタンパク質がBioRadアッ
セイにより検出されない場合に(1ml当たり<1μg)
それを煮沸し、PBSに対して透析した。使用前にそれを
5μg/mlのポリミクシンB−アガロース(Sigma)と混
合して内毒素を除去し、遠心し、0.2μmのフィルター
に通過させ、4℃で保存した。
P.ファルシパルムから: これらは10%のA-ヒト血清を含むRPMI 1640中のO型
赤血球中に保持したP.ファルシパルムの培養から得た。
原形質ゲルによりシゾントを濃縮し、3回洗浄し、血清
−非含有RPMI 1640に1ml当たり5x108で再懸濁し、37℃
で終夜インキュベートした。翌日培養を30秒間渦動さ
せ、10,000xgで10分間遠心し、上澄み液を集め、使用す
るために4℃で保存した。
賦活アッセイ:(i)マウス腹膜マクロファージを用い
て 細胞は記載の通りに(14)調製した。簡単に言うとそ
れらは、あらかじめ4%チオグリコレート(Difco)を1
ml腹膜内に与えられたマウスから、1U/mlのヘパリン及
び5μg/mlのポリミクシンB(Sigma)を含むハンクスB
SS(Flow Laboratories)を用いて集めた。洗浄した細
胞を5μg/mlのポリミクシンBを含むRPMI 1640中の5
%のウシ胎児血清(FCS)中に1ml当たり1x10 生存細胞
において懸濁し、0.1mlの体積を96−ウェルミクロタイ
タープレート(Nunc)のウェルに分配し、1〜2時間イ
ンキュベートした。
接着細胞を2μg/mlのインドメタシン(Sigma)を含
む等体積の培地と共に30分間インキュベートし、続いて
インドメタシンをポリミクシンBを含む[リポポリ多糖
(LPS)対照標準の場合を除いて)RPMI 1640中で作っ
た調べるべき賦活剤の順次希釈液0.2mlと置換し、培養
物を終夜インキュベートした。翌日、TNFのアッセイ用
に上澄み液を集め、それを5%のFCS及び1μg/mlのエ
メチ(Sigma)を含む培地中の−20℃で保存した。すべ
ての実験にLPS(エシェリキア コリ 055:B5のフェノ
ール抽出物、Sigma)の順次希釈液と共に、及び培地の
みと共にインキュベートした培養物を、TNFを与えるマ
クロファージの容量のための正及び負の対照標準として
含んだ。
(ii)ヒト末消血単核細胞(PBMNC)を用いて ヘパリン血を等体積の食塩水と混合し、Lymphprep(N
yegaard,Oslo,Norway)上に単核細胞を単離した。それ
を2回洗浄し、血清非含有MEM中に1ml当たり1x105細胞
で再懸濁し、平底96ウェルミクロタイタープレートに10
0μlの体積で分配した。続いてウェル当たり100μlの
MEM又はMEM中で形成した抗血清希釈液を加え、その後10
0μlの賦活剤を加えた。プレートを37℃で終夜インキ
ュべートし、続いて上澄み液を収穫し、TNFに関して検
定した。
抗血清 ヒト単球及びマウスマクロファージの両者について調
べたP.ファルシパルム及びP.ヨーリイの両者の毒性抗原
に対する抗血清の阻害活性をIMPと比較するとめに、マ
ウスのグループに200μgのIMP(Sigma)を腹膜内注射
し、12日後に放血させ、その血清を集めた。二次応答の
誘導のために種々のリン酸化化合物を、氷上でpH5.0のP
BS中の400μg/mlを400μg/mlのKLH(Calbiochem)と混
合することによりタンパク質に共役させた。それらはPI
(大豆又はウシ肝臓から、Sigma)、PS(ウシ脳から、S
igma)、O−ホスホ−DL−トレオニン(Sigma)及びD
−ガラクトサミン−1−リン酸(Sigma)であった。続
いてそれらを等体積の氷冷した150mM 1−エチル−3
(3−ジメチルアミノプロピル)−カーボジイミド(ED
C:Sigma)と混合し、渦動し、氷上に1時間放置し、そ
の時点でリシン(Sigma)を1mg/mlまで加えることによ
り過剰のEDCをクエンチし、続いてそれらを透析した。
マウスのグループに2週間間隔で0.5ml(すべてがKLHに
共役していたら100μgのリン酸化化合物を含む)を腹
膜内注射し、最後の注射の12日後にそれを放血させた。
他のグループのマウスも200μgのPI又は0.5mlのP.ファ
ルシパルム毒性抗原の3回の注射により同様に免疫化し
た。抗血清を56℃で熱−不活化し、ヒトPBMNC系で使用
する前にそれらをヒト赤血球を用いて吸着した。それら
を、血清非含有培地中で形成した等体積の順次希釈液
を、投薬量応答曲線の直線部分にあるように選んだ抗原
試料の1種類の希釈液と混合してからマクロファージに
加えることにより寄生虫毒性抗原によるTNFの誘導の阻
害の能力に関して滴定した。血清非含有培地中で洗浄し
た細胞を用いて滴定を行うのが重要であることが見いだ
された。力価は生産されるTNFの量を50パーセント減少
させる希釈の逆数として定義する。(しかし共役の効率
が決定されず、応答の強さの差は免疫原性ではなく免疫
原の濃度を反映するので、異なる化合物に対する抗血清
の阻害力価の間の直接の比較はできない)。
Ig同位体の決定 同位体特異的アガロース(Sigam)上で抗血清のIgG又
はIgMを枯渇させ、pH2.5の0.1M グリシンHClを用いて
抗体をpH8の1.0M Tris緩衝液中に溶離し、PBSに対して
透析し、最初の体積に戻した。
リポソームによる吸着 多重ラメラ脱水−再水和小胞(16)はProf.G.Gregori
adis(School of Pharmacy,London University)に
より親切に供給された。RPMI中で1/50に希釈した抗血清
を2mg/mlのリポソームと共に室温で1時間インキュベー
トし、続いてそれを遠心により沈澱させ、これを2回繰
り返した。
ネズミTNFに関する細胞毒性アッセイ 以前に記載されている通り(14)、L929細胞に対する
その細胞毒性により、試料を比色測定を用いて検定し
た。1μg/mlのエメチンを含むRPMI中の順次希釈液を0.
1ml体積/ウェルで2重に調べた。1単位は50%の細胞
破壊を起こす単位として定義する。
ヒトTNFに関するELISAアッセイ ミクロタイタープレート(Nunc Immunoplate Maxis
orp)に5μg/mlのヒトTNFに対するモノクローナル抗体
(CB0006;Celltech,UKから親切に寄贈)を含む5μl/ウ
ェルの炭酸塩緩衝液pH9.0を37℃で終夜塗布した。プレ
ートを0.02%のTween 20を含むPBS中で洗浄し、続いて
50μl/ウェルの調べるべき試料と共に37℃で2時間イン
キュベートした。続いてそれらを再度洗浄し、2%の正
常なヤギ血清を含むPBS/Tween中で1μg/mlに希釈した5
0μl/ウェルのヒトTNFに対するウサギ抗血清(Endoge
n)と共に37℃で1時間インキュベートした。その後そ
れらを洗浄し、アルカリ性ホスファターゼに共役させた
ヤギ抗−ウサギIg(Sigma)と共に37℃で1時間インキ
ュベートし、その時点でそれらを洗浄し、ジエタノール
アミン緩衝液pH10.5中のp−ニトロフェニルホスフェー
ト錠剤(Sigma)を1mg/mlで用いて発色させ、Dynatech
Microelisa AutoreaderでOD405nmを読み取った。
血液グルコースの測定 グルコース濃度は、Glucostix及びAmes Glucometer
(Miles Ltd,Stoke Poges,Slough,UK)を用い、製造
者の指示(22)に従ってマウスからの1滴の尾血から決
定した。結果は少なくとも3マウスのグループの平均
(±SD)として表した。
他の試薬: スタフィロコックス アウレウス(Staph.aureus)か
らのリポテイコ酸はSigmaから入手し、血小板活性化因
子(PAF)はCalbiochemから入手した。
結果 マウスマクロファージ及びヒト単球は、齧歯類動物及
びヒトの両方の寄生虫からの毒性マラリア抗原に応答し
てTNFを分泌し(11)、このTNF生産は、両者が交差反応
する故に両供給源からの毒性抗原に対する抗血清により
(18,19)、ならびにPI及びIMPに対して形成された抗血
清により(16)阻害することができる。それぞれヒト又
はマウス細胞においてP.ファルシパルム又はP.ヨーリイ
の試料を用いて多数回滴定したIMPに対する5バッチの
抗血清の阻害活性を比較すると、阻害力価に有意な差が
ないことが見いだされた(図5)。従って下記に記載す
る研究において、我々は2つの系から得た結果を集め
た。
KLHに共役させたPIに対する抗血清の阻害活性 PI−KLHの3回の注射の後に得た抗血清は、毒性抗原
によるTNFの誘導の阻害において、1回の注射の後に得
た抗血清より約100倍有効であった(図10a)。活性が主
にIgMに伴っているP.ヨーリイ、P.ファルシパルム及び
P.ビバックスの毒性抗原に対する抗血清の場合(18,1
9)、ならびにIMP(16)及び非共役PI(非公開の研究)
に対する抗血清の場合の我々の発見と対照的に、この場
合のほとんどの活性はIgG画分中に存在するが、依然と
してIgM抗体も検出されることが見いだされた(図10
b)。
以前に我々は、リポソーム形態のPIを特異的に認識す
る寄生虫毒性抗原、あるいはPI又はIMPに応答して生成
される1種、及び特異性が比較的低く、広範囲のリン脂
質を認識すると思われる他の1種の少なくとも2種の阻
害抗体があることを見いだした(16)。PI−KLHの3回
の注射の後に存在する抗体の特異性を調べるために、種
々のリポソームを用いて抗血清を吸着した(図10c)。
阻害活性はPCにより吸着されず、PSにより減少し、PIリ
ポソームと共にインキュベートした後は完全に失われ
た。
KLHに共役させたPSに対する抗血清の阻害活性 PI−KLHに対する抗血清の阻害活性がPSを含むリポソ
ームを用いた吸着により部分的に除去されるという発見
は、酸性リン脂質に結合するが中性リン脂質であるPCに
結合しない阻害抗体が存在することを示唆した。従って
我々はPS−KLHに対して誘起した抗血清の毒性抗原によ
るTNFの誘導を阻害する能力を調べた。この場合も1回
の注射の後に得た抗血清の力価と比較して3回の注射の
後に力価が非常に向上した(図11a)。PIと対照的に非
共役PSを用いた免疫化はそれがリポソーム形態でないと
阻害性抗血清の生産を誘導しないことが以前に見いださ
れていた(16)点で、この活性は驚くべきことであっ
た。この場合もほとんどの活性はIgM画分ではなくIgG中
にあった(図11b)。しかし阻害活性がPSを用いた吸着
により大部分除去されたがPI、リポソームにより有意な
影響を受けない(11c)点で、抗血清はPI−KLHに対する
抗血清と異なる特異性を示した。抗血清を用いたマクロ
ファージの予備処理は、その後それが寄生虫抗原に応答
する能力に影響を与えず、阻害が細胞上のレセプターへ
の抗体の結合のためではないことを意味する。我々はPS
−KLHがPI−KLHとは異なるB細胞の集団を賦活するが、
両集団が寄生虫抗原のTNF−賦活活性を阻害する抗体を
分泌すると結論した。
抗体生産の持続 我々は以前に、P.ヨーリイ毒性抗原の1回の注射によ
り賦活された阻害抗体は30日後にもはや検出されないこ
とを見いだした(19)。共役リン脂質を用いた免疫化に
よりその生産が持続されるか否かを観察するために、マ
ウスのグループをPI−KLH又はPS−KLHの3回目の注射の
後最高2カ月の間隔で放血させ、それらの血清を阻害活
性に関して検定し、非共役PI又はP.ファルシパルム抗原
の3回の注射の後に得た抗血清の滴定の結果と比較した
(図12)。毒性抗原又は非共役PIを与えられたマウスか
らの血清のピーク活性程の強い活性が3日以内に存在し
た。さらにその活性は著しく持続し、60日後も存在し
た。そのピーク時に力価は10倍以上高かった。
KLHに共役させた他のリン酸化化合物に対する抗血清 以前に我々は、他の多くのリン酸化化合物も阻害性抗
体の生産を賦活することを見いだした(非公開の研
究)。阻害抗体の生産を誘導する能力に対するKLHへの
結合の効果を決定するために、アミノ基を含む故に結合
のために選ばれたそれらの中の2つ、すなわちホスホ−
トレオニン(P−Thr)及びガラクトサミン−1−リン
酸(Gal−1−P)を用いてマウスを免疫化し、それら
の血清の阻害活性をPI−KLH及びPS−KLHで免疫化したマ
ウスの血清の阻害活性と比較した(図13)。リシン−KL
Hを注射したマウスのグループからの血清では活性が検
出されず、阻害活性がリン酸化分子により誘導され、KL
H担体によって(又はEDCによっても)誘導されないこと
を示した。Gal−1−P−KLH抗血清の力価はPI−KLH及
びPS−KLHの場合に得た力価と同様であったが、P−Yhr
−KLH抗血清の力価は約10分の1であった。この場合も
力価は1回の注射の後より3回の注射の後の方が有意に
高かった(データは示していない)。しかし抗血清の特
異性は異なっていた。かくしてP−Thr−KLH抗血清の阻
害活性はPC又はPIリポソームへの吸着により除去された
が(図14a)、PCリポソームはGal−1−P−KLHに対す
る抗血清に影響を与えず、PIリポソームは活性のいくら
かを除去し、PSリポソームはほとんどを除去した(図14
b)。P−Thr−KLHに対する抗体は多くのリン脂質によ
り共有されているコメントエピトープ(comment epito
pe)、おそらくリン酸エステル頭部に結合すると思われ
る。対照的にGal−1−P−KLHに対する阻害抗体が2つ
の酸性リン脂質、PS及びPIを含むリポソームにより吸着
されるという事実は、電荷がその結合に影響を与える因
子であり得ることを示唆している(23)。
他の賦活剤により誘導されるTNF分泌 リン脂質はすべての細胞膜の必須成分なので、これら
の抗リン脂質抗体が宿主細胞に結合することが可能であ
った。しかし我々の抗血清の阻害活性は正常なマウス又
はヒト赤血球への吸着により低下しなかった。プラスモ
ジウム毒性抗原に対する抗体はLPSによるTNF誘導を阻害
せず(19)、PI、IMP及び寄生虫抗原によるTNF誘導を阻
害する種々のリン脂質リポソームに対する抗体は同様に
LPSに対して活性でないので(16)、TNFの生産を誘導す
ることが知られている他のいくつかの賦活剤、すなわち
リポテイコ酸(24)及び血小板活性化因子(PAF)(2
5)と共にPBMNCを、PI−KLH又はPS−KLHに対する抗血清
の1/1500希釈液の存在下及び不在下でインキュベートし
た(図15)。この希釈において両抗血清はP.ヨーリイ及
びP.ファルシパルム抗原に応答して生産されるTNFの量
を有意に減少させる。これらはLPS又はリポテイコ酸に
応答した収量を減少させなかった。しかしPI−KLH抗血
清もPAFへの応答に影響を与えなかったが、PS−KLH抗血
清はこのリン脂質がTNFの分泌にPBMNCを誘導する能力を
有意に阻害した。
免疫化マウスにおける低血糖の誘導 P.ヨーリイ毒性抗原で免疫化したマウスは毒性抗原の
攻撃後4時間において対照標準マウスと同様の血液グル
コースの低下を示さない(22)。従って我々はいくつか
のKLH共役体で免疫化したマウスに関して同様に試し、
種々の時間でその血液グルコースを測定し、それらも保
護されたか否かを観察した(図16)。非免疫化マウス及
びリシン−KLHで免疫化したマウスのグループの血液グ
ルコースの量は2、4及び8時間において有意に低かっ
たが、PI−KLHで免疫化したマウスの場合はいずれの時
間においても正常以下に低下しなかった。PS−KLH及び
P−Thr−KLHで免疫化したマウスの血液グルコースの量
は4時間においてわずかな低下を示したが、いずれの時
間においても対照標準グループより有意に高いままであ
った。
議論 KLHに共役させたリン酸化化合物PI、PS及びGal−1−
Pの3回の注射は、毒性マラリア抗原によるTNF誘導を
阻害する高力価の抗体の生産を誘導した。これらは主に
IgGであると思われ、寄生虫リン脂質抗原に対して形成
された主にIgMであるものより長寿命であった。例えばP
I−KLHの3回の注射の後に得た平均力価は、非共役PI又
は寄生虫抗原の繰り返し注射により誘起される8〜10,0
00の力価と比較して2〜300,000であった。TNFの生産を
誘導する寄生虫抗原の能力はプロテアーゼで処理するこ
とにより向上する(14)点で、寄生虫抗原は通常タンパ
ク質と会合しているという証拠がある。かくして担体に
結合せずに二次IgG応答を誘導できることが予測された
が、これはそうでないことが見いだされた(19)。
用いた免疫原は多くの理由で選ばれた:PIはTNF−トリ
ガー寄生虫分子の決定的部分を形成すると思われる故に
(15,16);PSはこれも負に帯電したリン脂質である故
に;P−ThrはPS及びGal−1−Pと同様にKLHが共役でき
るアミノ基を含む故に;Gal−1−Pは200μgの1回の
注射の後に阻害抗体を誘導するマンノース、グルコー
ス、ガラクトース及びフルクトースを含む(しかし不思
議なことにグルコサミンは含まない)多くのリン酸化糖
の1つである故に(非公開の研究)。
4つの化合物の中でP−Thr−KLHは最低の力価を生じ
たが、それらは非共役P−Thrの注射の後に得た力価よ
り有意に高く(非公開の研究)、最も特異性の低い抗体
を生じた。PS−KLHは異なる種類のリポソームを用いた
吸着実験の結果により判断して最も特異的な抗体を生じ
た。以前に議論した通り、PIは寄生虫抗原によるTNF誘
導を阻害し(15)、寄生虫抗原及びイノシトール一リン
酸の両方に対して形成された抗血清の阻害活性はPIリポ
ソームにより特異的に除去されるので(16)、抗原の活
性部分はPIを含むと思われる。しかしPI−KLHに対する
抗体はPSリポソームにも吸着されたので、非共役PIに対
して得た抗体より特異性が低かった(16)。これは、い
くつかの阻害抗体の結合が電荷の影響を受けるために生
ずる。中性であるPC又はカルジオリピンを含むリポソー
ムと対照的に、PI及びPSを挿入したリポソームは負に帯
電した表面を現す(23)。電荷によりPSに対する抗血清
の特異性も説明することができるが、PSも活性部分の一
部を形成していることもあり得る。
我々の以前の発見(19,16)を見ると、これらの抗血
清がLPSによるTNF誘導を阻害しないことは驚くべきこと
ではなかった。さらにこれらはグラム陽性菌の細胞壁の
成分であり、ポリ(グリセロホスフェート)鎖を含むリ
ポテイコ酸に対しても不活性であった。我々の実験でス
タフィロコックス アウレウスからのリポテイコ酸はヒ
トPBMNCからのTNFの分泌を誘導したが、他の研究者はそ
れが不活性であると報告した(24)。しかし彼らが観察
した種内変異が我々の相違を説明できる。PAFは試験管
内でヒト単球をTNFの分泌に賦活すると報告された(2
5)。PAF拮抗剤である1−O−ヘキサデシル−2−アセ
チル−sn−グリセロ−3−ホスホ(N,N,N−トリメチ
ル)ヘキサノールアミンはLPS及びP.ヨーリイの毒性抗
原の両方によるTNFの誘導を阻害し、両方の場合にPAFが
第2メッセンジャーとして生成され得ることを意味して
いる(15)。PS−KLHに対する抗血清はPBMNCによるPAF
−誘導TNF分泌を阻害するがPI−KLHに対する抗血清が阻
害しないことは、驚くべきことであった。サイトカイン
により賦活されたマクロファージは培養上澄み液中にPA
Fを放出することが知られているので(26)、それが細
胞外PAFと反応した可能性があるが、この抗血清はLPS−
誘導TNF分泌も阻害することはないのでこの説明は当た
らない。さらにPAFは改変PCであるが、PS−KLHに対する
抗体はPCリポソームを用いた吸着により除去されなかっ
た。PCリポソーム上で発現されない異なるエピトープが
PAF上に存在するか(27)、又はPCと反応する阻害抗体
がリポソーム形態でそれと反応しないという可能性があ
る。
いくつかの抗−リン脂質抗体はDNAと交差反応し(2
8)、感染の間に放出される寄生虫毒性抗原によるその
ような抗体の誘起は、マラリア患者の血清中でなぜDNA
−結合抗体が見いだされるのか(29)を説明し得る。DN
A−結合抗体は全身性エリテマトーデスなどの自己免疫
疾患とも関連し、リン脂質を用いた免疫化が有害な自己
免疫反応を誘導し得る可能性を生ずる。しかし薬物−含
有リポソームのI期及びII期試験(phase I and II
trials)で病的結果は報告されておらず(30)、リン
脂質を繰り返し注射された実験動物は自己免疫疾患を発
病していない。さらに最近、自己免疫疾患と関連する抗
リン脂質抗体とマラリアを含む感染と関連する抗体の間
に差があることが示された(31)。
我々の毒性寄生虫抗原はTNF分泌を誘導すると同様に
低血糖を引き起こすことが観察された。TNFに対するモ
ノクローナル抗体でマウスを予備処理しても寄生虫の毒
性抗原により攻撃された時にマウスが低血糖を発病する
のを予防しないので(22)、これはTNF自身の低血糖を
誘導する能力(32)の故とは思われない。KLHに共役さ
せたPI、PS及びP−Thrを用いた免疫化が抗原−誘導低
血糖を予防するという発見は、これらの低血糖−誘導分
子もリン脂質であるという我々の考察をさらに支持す
る。我々は以前に、適当に解毒され、IgG及び記憶を誘
導するように改変されたマラリアの毒性抗原が抗−疾患
ワクチンの基礎を形成し(17)、それはサイトカインの
誘導に媒介されるか又は他の機構に媒介されるマラリア
の毒性に対して患者を保護することを示唆した。本明細
書に記載の結果はそのような目的を達成することができ
る1つの方法を示している。
図の説明 図9 それぞれヒトPBMNC(●)及びマウス腹膜マクロファー
ジ(○)を用いて検定した、IMPに対する抗血清による
P.ファルシパルム及びP.ヨーリイからの毒性抗原による
TNF誘導の阻害。それぞれP.ファルシパルムに対して2
回調べた2バッチの抗血清、ならびにP.ヨーリイに対し
てその中の2バッチを3回及び1バッチを1回調べた3
バッチ(上記の1つを含む)の平均(±SD)。
図10 PI−KLHに対する抗血清による、寄生虫抗原によるTNF誘
導の阻害 A:PI−KLHの1回(○)又は3回(●)の注射の後に得
た抗血清の比較滴定。それぞれP.ヨーリイ及びP.ファル
シパルム抗原に対して2回滴定した3種類の抗血清のバ
ッチからの平均(±SD)。
B:PI−KLHの3回の注射の後に得た抗血清からのアフィ
ニティー精製IgG及びIgMの比較滴定。マウスマクロファ
ージから38,956U/mlのTNFを誘導するP.ヨーリイに対す
る2つの試料の滴定の平均。最初の抗血清(○)IgG
(●);IgM(■) C:PI−KLHの3回の注射の後に得た抗血清の、種々のリ
ポソームを用いた吸着の前及び後の滴定。マウスマクロ
ファージからの56,000U/mlのTNFの生産を賦活するP.ヨ
ーリイ抗原に対する2つの血清試料の滴定の平均。
吸着に用いたリポソーム:なし(○);PC(●);PS
(■);PI(□); 図11 PS−KLHに対する抗血清による、寄生虫抗原によるTNF誘
導の阻害 A:PS−KLHの1回(○)又は3回(●)の注射の後に得
た抗血清の比較滴定。それぞれP.ヨーリイ及びP.ファル
シパルム抗原に対して滴定した5種類の抗血清のバッチ
からの平均(±SD)。
B:PS−KLHの3回の注射の後に得た抗血清からのアフィ
ニティー精製IgG及びIgMの比較滴定。同位体特異的アガ
ロースに吸着する前に3種類の異なるバッチの血清を集
めた。それらをP.ヨーリイ抗原で賦活されたマウスマク
ロファージからのTNF分泌を阻害する能力に関して調べ
た。最初の抗血清(○)IgG(●);IgM(■) C:PS−KLHの3回の注射の後に得た抗血清の、種々のリ
ポソームを用いた吸着の前及び後の滴定。マウスマクロ
ファージからの13,975U/mlのTNFの生産を誘導するP.ヨ
ーリイ抗原に対する2つの血清試料の滴定の平均。吸着
に用いたリポソーム:なし(○);PC(●);PS(■);P
I(□); 図12 PI−KLH又はPS−KLHを用いた免疫化による阻害抗体の生
産の持続。PI−KLH、PS−KLH、非共役PI又はP.ファルシ
パルム抗原の3回の注射の後の異なる間隔で放血させた
3マウスのグループから集めた血清を、ヒトPBMNCから
の1,000pg/mlの程度の生産を誘導するP.ファルシパルム
抗原に対して滴定した。PI−KLH(●);PS−KLH(○);
PI(□);P.ファルシパルム抗原(■)。
図13 PI−KLH及びPS−KLHに対する抗血清と比較した、KLHに
共役させたホスホ−トレオニン及びガラクトサミン−1
−リン酸に対する抗血清による、寄生虫抗原によるTNF
誘導の阻害。マウスはいずれの場合も3回の注射の後12
日で放血させ、KLHに共役させたリシンで免疫化した1
グループを対照標準として含んだ。滴定はP.ファルシパ
ルム又はP.ヨーリイ抗原に対して行い、ホスホ−トレオ
ニン−KLH及びガラクトサミン−1−リン酸−KLHのそれ
ぞれの2つの試料、PI−KLHの3つの試料、PS−KLHの5
つの試料及びリシン−KLHの3つの試料に対して誘起し
た抗血清を用いて得た結果の平均である。P−トレオニ
ン−KLH(■);ガラクトサミン−1−P−KLH(□);P
I/KLH(●);PS−KLH(○);リシン−KLH(△) 図14 ホスホ−トレオニン−KLH及びガラクトサミン−1−リ
ン酸−KLHに対する抗血清の、種々のリポソームを用い
た吸着の前及び後の滴定。
A:ホスホ−トレオニン−KLH;B:ガラクトサミン−1−リ
ン酸−KLH。P.ヨーリイ抗原を用いて賦活したマウス腹
膜細胞によるTNFの誘導を阻害する能力に関して滴定し
た、いずれの場合も2つの異なる抗血清の平均。吸着に
用いたリポソーム:なし(●);PC(○);PI(□);PS
(■) 図15 他の賦活剤によるTNF分泌の誘導への、KLH共役体に対す
る抗血清の効果。種々の賦活剤を1/1500に希釈したPI−
KLH(黒棒)又はPS−KLH(斜線棒)に対する抗血清の存
在下又は不在下でインキュベートし、PBMNCにより分泌
されるTNFの量を測定した。結果は少なくとも4回の試
験の平均(±SD)であり、抗体を含まない対照標準のパ
ーセントとして表してある。
図16 種々のKLH共役体で免疫化したマウスに注射した寄生虫
毒性抗原による低血糖の誘導。免疫原の3回の注射の12
日後に0.5mlのP.ヨーリイ抗原の試料を腹膜内注射した
3マウスのグループ(PS/KLHの場合は6マウス)の血液
グルコースの平均(±SD)。非免疫化(■);リシン−
KH(□);PI−KLH(○);PS−KLH(●);P−Thr−KLH
(△)。各グループの数は小さいが、リン酸化化合物を
注射された合計12のマウスは4及び8時間において6つ
の対照標準と有意に異なる結果を与えた(Students T
テストによりp=<0.0001)。BSAに共役させたPI、P
S−BSA及びGal−1−P−BSAを用いて免疫化した異種交
配マウスを用いた他の実験において類似の結果を得た。
実施例3 免疫化によるマウスの保護。図17〜19は、対照標準マウ
スをすべて殺した致死のP.ヨーリイを用いて行った実験
の結果を示す。
図17は、我々が興味を持つ抗−疾患保護に対抗する抗
−寄生虫保護を与える有力な免疫化ライセートと比較し
た、未処理寄生虫培養上澄み液によって誘導される保護
を示す。これはPmmunology Today 1990,11,25の我々
の論文に公開された。図は約4マウスに基づいた。この
種の免疫化は、生存するマウスは非常に高い寄生虫血症
を持って長期間生存するという点で抗−寄生虫ワクチン
と異なることが重要点となることが示された。
図18は、最初に煮沸し、続いてプロテアーゼ処理し、
その後脱アミノ化(亜硝酸で)した寄生虫上澄み液でマ
ウスを免疫化した実験で得た生存の持続を示す。これら
の試料はすべて、TNFを分泌させるようにマクロファー
ジを賦活するその能力の点でまだ試験管内で活性であっ
た。マウスを腹膜内の0.5mlの上澄み液で免疫化し、10
日後に感染させた。図が1グループ当たり少なくとも20
マウスを示すように数回の実験の結果を集めた。異常な
1つが死亡したが、マウスが18日後に死亡するのはまれ
である。
図19はイノシトール一リン酸(200μg腹膜内)又は
種々の2mgのリポソームの試料で免疫化したマウスの場
合に得られた生存の持続を示す。この場合も1グループ
当たりの数を引き上げるために結果を集め、やはり18日
後に異常なマウスが死亡したのみであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 タバーン, ジヤニス イギリス国ロンドン ダブリユー1ピー 9ピージー・トツテナムストリート40 ―50・アーサースタンレイハウス・ユー シーエルメデイカルスクール・デパート メントオブイミユノロジー内 (72)発明者 ベイト, クライブ・アラン・ウインス トン イギリス国オツクスフオード オーエツ クス3 9デイユー・ヘデイントン(番 地なし)・ジヨンラドクリフホスピタ ル・インステイテユートオブモレキユラ ーメデイシン・デパートメントオブペデ イアテイクス内 (56)参考文献 国際公開91/15201(WO,A1) Immunol.,Vol.70 (1990)P.315−320 Immunol.Lett.,Vo l.25(1990)P.207−212 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 39/00 A61K 31/66 A61K 37/22 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】イノシトール一リン酸又はホスファチジル
    イノシトールを含み、かつ試験管内でリポ多糖以外のリ
    ン脂質−含有腫瘍壊死因子−誘導抗原で刺激された後の
    ヒト単球及びマウス腹膜マクロファージの少なくとも1
    つによる腫瘍壊死因子の分泌を減少させるか又は排除す
    る抗体の生産を刺激する、薬理学的に許容し得る物質で
    ある免疫原を含んでなる、患者において有害な量の少な
    くとも1種類のサイトカインの分泌を刺激する抗原を発
    現する感染性生物によって引き起こされ、リポ多糖の発
    現のみによってサイトカインの分泌を刺激する生物によ
    って引き起こされる疾患以外の疾患に伴う臨床的顕症を
    処置又は予防するための医薬製剤。
  2. 【請求項2】免疫原がさらにT−細胞エピトープも含む
    ことを特徴とする請求項1記載の医薬製剤。
  3. 【請求項3】免疫原がさらに担体タンパク質も含むこと
    を特徴とする請求項1または2に記載の医薬製剤。
  4. 【請求項4】疾患がマラリアであることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれか1つに記載の医薬製剤。
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