JP2768622B2 - 電気式空気清浄機 - Google Patents

電気式空気清浄機

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忠雄 宮本
隆義 遊津
明 金田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は易感染者などの病室など
に用いられる電気式空気清浄機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たとえば易感染者などに対する病
院内での感染防止の目的で浮遊菌を捕獲する電気式空気
清浄機は、図4に示すように、イオン化電極1とイオン
化極板2とからなるイオナイザー部で、コロナ放電電流
により菌などが付着した粉塵粒子5が帯電し、この帯電
粉塵粒子6を、正の電極板3と負の集塵電極板4からな
る集塵部でクーロン力により捕集し、ファンからなる送
風機7により清浄な空気として排出する構成となってい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の電気式空気清浄機の構成において、空気清浄機の効果
により室内の浮遊菌は減少するが、集塵電極部に捕獲さ
れた浮遊菌は集塵電極部に蓄積されて菌の種類によって
は集塵電極部で繁殖し、病室内へ再飛散を起こしたり、
メンテナンス時に作業者が菌に接触する可能性があり、
安全性の面での課題を有していた。
【0004】また、オゾンや紫外線などによる殺菌を併
用することも行われているが、紫外線では遮光などの安
全面での配慮が必要であり、また紫外線の照射されない
部分では殺菌効果がないと言う問題を有していた。
【0005】また、オゾンによる殺菌では0.5ppm
以上のオゾン濃度が必要と言われているが、一般的な電
気式空気清浄機の通常運転時の風量では、イオナイザー
から0.05ppm程度しかオゾンは発生せず、また、
大出力のオゾナイザーや紫外線によるオゾナイザーを併
用すれば0.5ppm以上のオゾンは発生可能となる
が、室内のオゾン濃度を環境基準値の0.1ppm以下
にするために、多量のオゾンを吸着させるオゾン吸着部
が不可欠になる。
【0006】しかしながら、オゾン吸着部の能力に限界
があるため、大型のオゾン吸着部が必要となり、また、
多量のオゾンを吸着するためオゾン吸着部の寿命が短く
なり、オゾン吸着部の交換が必要になると言う課題を有
していた。
【0007】本発明は上記課題を解決するものであり、
安全で、かつ安価で、しかもオゾン吸着部のメンテナン
スを必要としない電気式空気清浄機を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の電気式空気清浄機は、粉塵を帯電させるイ
オナイザー部と、帯電した粉塵を集塵する集塵部と、空
気を吸引して排出する送風手段とを備え、前記送風手段
からの通常の風量で運転する通常モードと、風量を前記
通常モード運転時の風量以下に減少または無くすことに
より、イオナイザー部のコロナ放電電流により発生する
オゾン濃度を前記通常モード運転時の濃度以上に高める
殺菌モードとを、交互に切り替える切替手段を設けた構
成とする。また、送風手段は送風機であり、切替手段は
前記送風機の回転数を制御する回転制御手段である構成
とする。また、切替手段は送風手段からの空気経路を遮
蔽または一時遮断する遮断手段である構成とする。ま
た、送風手段は粉塵を帯電させると同時に空気に経路方
向のイオン風を発生するイオナイザーと送風機であり、
切替手段は前記イオナイザーを作動させると同時に前記
送風機を停止する手段である構成とする。
【0009】
【作用】上記構成において、通常モード運転時には病室
内の浮遊菌を電気式空気清浄機が捕獲し集塵部に蓄積し
ていくが、電気式空気清浄機の殺菌モードで運転するこ
とにより、送風手段による風量を通常モード運転時の風
量以下にして、オゾン濃度を通常モード運転時の濃度以
上に高めて集塵された菌を殺菌するため、菌を死滅させ
たり菌を除くことになり、菌が集塵電極部で繁殖して病
室内へ再飛散することを防止したり、メンテナンス時に
菌が残存しないこととなる。
【0010】また、大量のオゾンを発生させるオゾナイ
ザーを用いずに通常の電気式空気清浄機と同量のオゾン
発生で集塵部分だけのオゾン殺菌を行うため、オゾン吸
着部を用いなくても室内のオゾン濃度を上げることがな
い。
【0011】
【実施例】以下本発明の一実施例について、図面を参照
しながら説明する。図1は本発明の第1の実施例の電気
式空気清浄機の要部の断面図である。なお前記従来例と
して示したものと同一構成部には同じ符号を用いる。図
示のようにこの電気式空気清浄機の主要部は、正の高電
圧を印加した直径100μmのタングステン線からなる
イオン化電極1と負の電圧を印加したイオン化極板2か
らなるイオナイザー部と、負の集塵電極板4と正の電極
板3からなる正負集塵電極群と、ファンからなる送風機
7と、その回転制御装置8を備えた構成となっている。
本実施例の特徴は風量を低減制御する手段、すなわち回
転制御装置8を備えたことにある。なお、矢印は風の流
れを示している。
【0012】上記構成において次にその動作を説明す
る。通常モードとして、送風機7により発生した風量3
3 /分の風により運ばれた菌などが付着した粉塵粒子
5は、イオン化電極1で構成されたイオン化極板2に対
する500μAのコロナ放電電流により帯電されて帯電
粉塵粒子6となり、正の電極板3からの電界によるクー
ロン力で負の集塵電極板4に付着する。このように浮遊
菌は集塵電極部に集塵され堆積していくが、この際、風
量3m3 /分、コロナ放電電流500μAで発生したオ
ゾン濃度は0.05ppmのため、集塵電極部にブドウ
状球菌、大腸菌などの菌が認められた。
【0013】次に、オゾン殺菌モードとして回転制御装
置8により送風機7の回転数だけを低下させ、1時間の
間、風量を10分の1以下の0.3m3 /分以下とする
ことにより、同様に500μAのコロナ放電電流により
発生したオゾン濃度は10倍以上の0.5ppm以上と
なり、集塵電極部に集塵されたブドウ状球菌、大腸菌な
どの菌に対して90%の殺菌効果が認められた。
【0014】図2は本発明の第2の実施例の電気式空気
清浄機の要部断面図であり、このものは集塵部側に金網
状のイオン化極板9を設けたイオナイザーを備えてイオ
ン風を発生させることを特徴としている。このイオナイ
ザーを用いて、送風機7だけを1時間の間停止させる
と、500μAのコロナ放電電流により通常運転時の1
0分の1以下の風量0.3m3 /分以下のイオン風が発
生し、第1の実施例と同様にオゾン濃度は通常運転時の
10倍以上の0.5ppm以上となり、集塵電極部に集
塵されたブドウ状球菌、大腸菌などの菌に対して90%
の殺菌効果が認められた。
【0015】図3は本発明の第3の実施例の電気式空気
清浄機の要部断面図であり、この実施例のものは空気の
排出側にオゾン吸着触媒10の設けたことを特徴として
いる。この構成において、第1の実施例と同様に通常運
転で風量3m3 /分、500μAのコロナ放電電流によ
り発生したオゾン濃度は0.05ppmと少量であるた
め、排出側のオゾン吸着触媒10でオゾンは吸着され
て、排出オゾン濃度は0ppmとなった。
【0016】次に、オゾン殺菌モードとして回転制御装
置8で送風機7の回転数だけを低下させ、1時間の間、
風量を10分の1の0.3m3 /分とすることにより、
同様に500μAのコロナ放電電流により発生したオゾ
ン濃度は10倍の0.5ppmとなり、集塵電極部に集
塵されたブドウ状球菌、大腸菌などの菌に対して90%
の殺菌効果が認められた。
【0017】また、このときのオゾン発生量は通常モー
ドと同じため、排出側のオゾン吸着触媒10でオゾンは
吸着されて、排出オゾン濃度は0ppmであった。な
お、本実施例はイオン化電極として線電極を用いたが針
状電極を用いても同様に有効である。また、イオナイザ
ー部として正放電を用いたが、負放電を用いてもよく、
金網状のイオン化極板を用いてイオン風を発生させてい
るが、平行極板、その他の方法を用いてイオン風を発生
させても有効である。また、集塵部として電気集塵方式
を用いたが、静電フィルター、ろ過式フィルターなどを
用いても有効である。また、オゾン吸着部として、オゾ
ン吸着触媒を用いたが、活性炭、酸化マンガンなどの触
媒を用いても同様に有効である。
【0018】以上のように各実施例において、通常の運
転では集塵電極部に集塵された浮遊菌はオゾン濃度が
0.05ppmと低いためオゾン殺菌されずに集塵電極
部で蓄積されるが、処理風量を一定時間、通常運転時の
10分の1以下にすることにより、オゾン濃度を0.5
ppm以上に高め、蓄積された菌をオゾン殺菌できるた
め、電極部で繁殖し室内への再飛散、または、メンテナ
ンス時に菌に作業者が接触する可能性が無くなり、安全
性の高い電気式空気清浄機が可能となる。また、オゾン
吸着部を使用することにより、オゾンを全く放出しない
状態で集塵電極部のオゾン殺菌が可能となる。
【0019】
【発明の効果】以上のように本発明は、切替手段によっ
て通常モードと殺菌モードとを切り替えるため、手動で
殺菌モードにする必要がなく、また殺菌モードでは通常
モード運転時以下の風量にしてオゾン濃度を通常モード
運転時の濃度以上に高めるので特別なオゾン発生器が必
要なく、構造を小型化かつ簡略化できる。また集塵され
た菌をオゾン殺菌するため、集塵された菌が集塵電極部
で繁殖せず、たとえば病室内へ再飛散したり、メンテナ
ンス時に菌に作業者が接触したりする可能性が無く高い
安全性が得られ、特に夜間時にも人手を煩わさずに運転
モードを自動的に切り替えできるので、夜間を含めて2
4時間中常時運転される病院内での使用に対して大きな
効果が得られる空気清浄機の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の電気式空気清浄機の要部断
面図
【図2】本発明の実施例2の電気式空気清浄機の要部断
面図
【図3】本発明の実施例3の電気式空気清浄機の要部断
面図
【図4】従来の電気式空気清浄機の要部断面図
【符号の説明】
1 イオン化電極 2 イオン化極板 3 正の電極板 4 負の集塵電極板 5 粉塵粒子 6 帯電粉塵粒子 7 送風機 8 回転制御装置 9 金網状のイオン化極板 10 オゾン吸着触媒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金田 明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 佐々木 敏宏 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−193150(JP,A) 実開 平2−66248(JP,U) 実開 平2−8551(JP,U) 実公 昭51−4137(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B03C 3/00 - 3/88

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉塵を帯電させるイオナイザー部と、帯
    電した粉塵を集塵する集塵部と、空気を吸引し排出する
    送風手段とを備え、通常の風量で運転する通常モード
    と、前記通常モードを中断して前記風量以下に減少また
    は停止してイオナイザー部のコロナ放電電流により発生
    するオゾン濃度を前記通常モードの濃度以上に高める殺
    菌モードとを交互に切り換える切替手段を設けた電気式
    空気清浄機。
  2. 【請求項2】 送風手段は送風機であり、切替手段は送
    風機の回転制御手段である請求項1記載の電気式空気清
    浄機。
  3. 【請求項3】 切替手段は空気経路の遮蔽または一時遮
    断を行う遮断手段である請求項1記載の電気式空気清浄
    機。
  4. 【請求項4】 送風手段は粉塵を帯電させると同時に空
    気に経路方向にイオン風を発生するイオナイザーと送風
    機であり、切替手段は送風機を停止する手段である請求
    項1記載の電気式空気清浄機。
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