JP2764706B2 - 小型閘門 - Google Patents

小型閘門

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JP2764706B2
JP2764706B2 JP32232795A JP32232795A JP2764706B2 JP 2764706 B2 JP2764706 B2 JP 2764706B2 JP 32232795 A JP32232795 A JP 32232795A JP 32232795 A JP32232795 A JP 32232795A JP 2764706 B2 JP2764706 B2 JP 2764706B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水位差の大きい河
川や運河等に船舶を通過させるために設けられる小型の
閘門に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大河川の下流部を形成する広大なデルタ
地帯には、農地や都市が存在しており、かかる地域での
交通手段として、大小の河川を利用する船舶輸送が重要
である。
【0003】この場合、河川と潮汐のために大きな水位
変動を生じる海との境界をなす河口部に、船舶を通過さ
せる閘門が設置され、船舶の通行が保証されるようにな
っている。従来の閘門は、河川側扉と、海側扉と、河川
側扉および海側扉の間に形成された閘室とを備えてお
り、操作人が配置され、河川側および海側からの船舶の
通行に際し、河川側扉および海側扉が交互に開閉される
ようになっている。そして、一般に、この閘門の扉の開
閉操作には電力等のエネルギーが用いられる。
【0004】従来の閘門においては、船舶の海側からの
通行および河川側からの通行のいずれに際しても、船舶
の通行毎に、閘室の容積に等しい量の海水が閘室底部を
通って河川上流側に逆流し、一方、同量の河川淡水が閘
室上部を通って海に放流されることを避けることはでき
ない。これを解決するため、これまで、閘門に防潮水門
を併設することが一般になされていたが、両者を合わせ
ると大規模施設となり、多額の建設費が必要となるとい
う欠点があった。
【0005】また、住民生活用小型船舶、特にレジャー
用ボートが増加した現在、従来の大型閘門がこれら多数
の小型船舶の通行のために頻繁に開閉されると、多量の
海水が上流側河川に逆流し、それによって河川水の海水
汚染という環境保全上の問題、さらには、閘門の開閉操
作に多大なコストがかかり極めて不経済であるという問
題を生じるに至っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
課題は、電気等のエネルギーを用いることなく人力で操
作することによって迅速に船舶を通行させることがで
き、河川上流側に逆流した海水を選択的に海に排水する
ことができる小型閘門を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、河川の河口部に設けられた小型閘門であ
って、河川側扉と、海側扉と、前記河川側扉および前記
海側扉の間に形成された閘室とを備えたものにおいて、
前記河川側扉のすぐ上流側の河床を掘り下げて形成され
た逆流海水貯水部と、前記河川側扉の下部に形成された
第1の通水口と、前記河川側扉の上流側に位置し、一端
が前記第1の通水口に接続され、他端が前記逆流海水貯
水部の上端に位置する下向き開口を形成する底層塩水排
水管と、前記河川側扉に、前記第1の通水口を開く位置
と、前記第1の通水口を閉じる位置の2つの位置の間に
おいてスライド運動可能に取り付けられた第1の開閉板
と、前記第1の開閉板をスライド運動させる手段と、前
記海側扉における最低潮位よりも低い位置に形成された
第2の通水口と、前記海側扉に、前記第2の通水口を開
く位置と、前記第2の通水口を閉じる位置の2つの位置
の間においてスライド運動可能に取り付けられた第2の
開閉板と、前記第2の開閉板をスライド運動させる手段
を備えていることを特徴とする小型閘門を構成したもの
である。
【0008】かかる構成において、河川側扉および海側
扉の開閉に際し、閘室の水位と河川水位または海水位と
に落差がある場合、第1または第2の開閉板を開放し、
扉の両側の水位を等しくして扉に作用する水圧を減殺す
ることにより、扉を人力によって容易に操作することが
できる。このとき、扉を、その見かけ上の比重ができる
限り1に近くなるように形成すれば、扉の水中重量を著
しく小さくすることができ、開閉操作がより容易となり
好ましい。また、閘門を通船させると、閘室容積に等し
い淡水が閘室上層から海に放流され、それと同時に同量
の海水が閘室底層から河川側に逆流する。このとき、海
水は淡水よりも密度が大きいから、河川側に逆流する海
水は逆流海水貯水部に貯水され、海水がそれ以上上流に
拡散することが防止される。さらに、引き潮で海水位が
河川水位より低下したとき、河川側扉は閉鎖されたま
ま、第1の通水口が開放されるとともに、海側扉が開放
される。これにより、逆流海水貯水部に溜まった海水
は、河川側扉の底層塩水排水管および第1の通水口を通
じて、閘室内へ、そしてそこから海に排水される。
【0009】本発明の好ましい実施例によれば、前記第
1および第2の開閉板は、それぞれ上下方向にスライド
運動可能になっており、前記第1の開閉板をスライド運
動させる手段は、前記第1の開閉板から上方に前記河川
側扉の上端を越えてのびる第1の垂直操作ロッドと、前
記第1の垂直操作ロッドに軸方向に沿って取り付けられ
たラックと、前記河川側扉の上面に軸のまわりに回転可
能に取り付けられ、一端に操作ハンドルが、他端に前記
第1の垂直操作ロッドのラックに係合する歯車が同軸に
取り付けられた第1の水平操作ロッドとからなってお
り、前記第2の開閉板をスライド運動させる手段は、前
記第2の開閉板から上方に前記海側扉の上端を越えての
びる第2の垂直操作ロッドと、前記第2の垂直操作ロッ
ドに軸方向に沿って取り付けられたラックと、前記海側
扉の上面に軸のまわりに回転可能に取り付けられ、一端
に操作ハンドルが、他端に前記第2の垂直操作ロッドの
ラックに係合する歯車が同軸に取り付けられた第2の水
平操作ロッドとからなっている。かかる構成とすること
により、非常に簡単な機構によって、しかも人力で容易
に第1および第2の開閉板を操作することが可能とな
る。
【0010】本発明の別の好ましい実施例によれば、底
面が開口した空洞の円錐形状をなし、頂点近傍を除いた
側面領域には母線方向に複数のスリットが形成された拡
散減勢手段を備えており、前記河川側扉の第1の開閉板
は、前記河川側扉の上流側において前記底層塩水排水管
を横切ってスライド運動可能に配置され、前記海側扉の
第2の開閉板は前記海側扉の海側に配置されており、前
記拡散減勢手段は、前記河川側扉の第1の通水口および
前記海側扉の第2の通水口に、底面開口が前記閘室を向
くような配置で固定されている。かかる構成とすること
により、河川側扉の第1の通水口または海側扉の第2の
通水口から閘室内に導水されたとき、水脈を拡散減勢さ
せて閘室内の水面の動揺を抑制し、閘室内の船舶の転覆
が防止される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明の好ましい実施例について説明する。図1は、本発
明の1実施例の平面図であり、図2は、図1のX−X線
に沿った縦断面図である。図1および図2に示したよう
に、本発明による小型閘門は、河川の河口部に設けら
れ、河川側扉1と、海側扉2と、河川側扉1および海側
扉2の間に形成された閘室3とを備えている。
【0012】河川側扉1および海側扉2は、それぞれ、
一側部を貫通してのびる、河床に固定された鉛直回動軸
のまわりに回動可能に取り付けられている。そして、こ
の回動をスムーズに行うため、河川側扉1および海側扉
2の鉛直回動軸側の側面は、半円筒面形状を有してい
る。さらに、河川側扉1および海側扉2のそれぞれの上
面であって鉛直回動軸上方には、扉を回動させるための
操作レバー4が設けられている。この場合、河川側扉1
および海側扉2を、見かけ上の比重ができる限り1に近
くなるように形成すれば、扉の水中重量を著しく小さく
することができ、開閉操作がより容易となり好ましい。
また、好ましくは、扉の開閉操作をより容易に行えるよ
うにするため、河川側扉1および海側扉2の底面にコロ
が取り付けられる。
【0013】河川側扉1および海側扉2のそれぞれの閘
室側には、扉の両側および底部に対する戸当たり5が設
けられ、扉の閘室側への回動が阻止されるようになって
いる。また、戸当たり5の扉が当接する面にはゴムが貼
り付けられ、扉が戸当たりに当接したときに扉の水密性
を高めるようになっている。こうして、河川側扉1は、
戸当たり5に当接して閉じる閉鎖位置と、閉鎖位置から
河川上流側に略90°回動して開く開放位置の2つの位
置をとり、海側扉2は、戸当たり5に当接して閉じる閉
鎖位置と、閉鎖位置から海側に略90°回動して開く開
放位置の2つの位置をとるようになっている。
【0014】河川側扉1の直ぐ上流側には、河床を掘り
下げて形成された逆流海水貯水部6が設けられている。
逆流海水貯水部6の幅は略河川の幅に等しく、長さは、
1日2回の潮汐があるため、半日〜1日の全逆流海水量
に等しい容積を与える長さとなるように設計されてい
る。
【0015】図3は、河川側扉1を上流側から見た平面
図である。図1〜図3から容易にわかるように、河川側
扉1の下部中央には、第1の通水口7が形成されてい
る。また、河川側扉1の上流側には底層塩水排水管8が
配置されており、一端が第1の通水口7に接続され、他
端が逆流海水貯水部6の上端に位置する下向き開口を形
成している。底層塩水排水管8は、第1の通水口7に対
する接合部が四角形断面をもった拡張部分8aとして形
成されている。この拡張部分8aは、内部が空洞になっ
ており、また上面が開口している。すなわち、底層塩水
排水管8は、拡張部分8aに上端が開口したチャンバを
有している。
【0016】そして、このチャンバ内には第1の開閉板
9が収容され、第1の通水口7が閉鎖され得るようにな
っている。第1の開閉板9が第1の通水口7を閉鎖した
ときの水密性を確保するため、拡張部分8aの内面に
は、図示はしない適当なパッキン部材が配置されてい
る。図3に示したように、河川側扉1には、底層塩水排
水管8の拡張部分8aの上面両側から上方に、L字断面
を有するガイド部材10a、10bが平行にかつ互いに
開口部が内側を向くように取り付けられている。そし
て、第1の開閉板9は、ガイド部材10a、10bによ
って上下にスライド運動可能に案内され、第1の通水口
7を閉じる位置と、開く位置の2つの位置をとるように
なっている。
【0017】第1の垂直操作ロッド11の下端が第1の
開閉板9に固定され、上端は河川側扉1の上面を越えて
のびている。第1の垂直操作ロッド11の上端にはラッ
ク12が、ロッド11に沿って取り付けられている。第
1の垂直操作ロッド11は、河川側扉1に固定されたガ
イド13によって上下方向に運動可能に案内されてい
る。河川側扉1の上面には、第1の水平操作ロッド14
が軸のまわりに回転可能に配置されている。第1の水平
操作ロッド14の操作レバー側の一端にはハンドル15
が、他端には歯車16が同軸に取り付けられている。歯
車16は、第1の垂直操作ロッド11のラック12に係
合している。そして、ラック・アンド・ピニオン機構の
作用により、ハンドル15の回転によって、第1の開閉
板9が上下運動し、第1の通水口7が開閉されるように
なっている。
【0018】さらに、河川側扉1の上流側であって河川
側扉1の回動軸側の閘壁には、鉛直方向にのびる凹部3
4が形成されており、河川側扉1から河川上流側に突出
する部分、すなわち、底層塩水排水管8、第1の開閉板
9、ガイド部材10a、10bおよび第1の垂直操作ロ
ッド11およびガイド13が、河川側扉1の開放位置に
おいてこの凹部34に収容されるようになっている。
【0019】河川側扉1の第1の通水口7には、拡散減
勢コーン17が図示はしない適当な固定手段によって固
定されている。拡散減勢コーン17は、図4に示したよ
うに、底面が開口した中空円錐形状を有し、側面には、
複数のスリット18が母線に沿って形成されており、第
1の通水口7の略中央から閘室3に向かって側面が放射
状に発散するような向きに配置されている。拡散減勢コ
ーン17は、第1の通水口7から閘室3内に導水された
とき、水脈を拡散減勢させて閘室内の水面の動揺を抑制
し、閘室内の船舶の転覆を防止するためのものである。
【0020】さらに、河川側扉1の上面には、扉係止ロ
ッド29が、軸のまわりに回転可能にかつ軸方向に運動
可能に配置されている。扉係止ロッド29の先端にはネ
ジが切られており、後端にはハンドル30が同軸に取り
付けられている。そして、河川側扉1が閉鎖位置にある
とき、扉係止ロッド29の先端のネジを閘壁に設けられ
た固定部31の雌ネジに係合させることにより、河川側
扉1を閉鎖位置に固定できるようになっている。また、
河川側扉1の上面の先端部分には、図示はしないフック
が固定されている。そして、河川側扉1が開放位置にあ
るとき、フックを、閘壁に設けられた図示はしない留め
金に引っ掛けることによって河川側扉1を開放位置に固
定できるようになっている。
【0021】図5は、海側扉2を海側から見た平面図で
ある。図5に示したように、海側扉2の中央の最低潮位
より低い位置には第2の通水口19が形成されている。
海側扉2の壁面上であって第2の通水口19の両側に
は、L字断面を有するガイド部材20a、20bが平行
にかつ互いに開口部が向き合うように取り付けられ、第
2の通水口19の下側には、L字断面を有するガイド部
材20cが、2本のガイド部材20a、20bに対して
直角に、開口部を内側に向けて取り付けられている。そ
して、第2の開閉板21が、これらのガイド部材によっ
て上下にスライド運動可能に案内され、第2の通水口1
7を閉じる位置と、開放する位置の2つの位置をとるよ
うになっている。
【0022】第2の垂直操作ロッド22の下端が第2の
開閉板21に固定され、上端は海側扉2の上面を越えて
のびている。第2の垂直操作ロッド22の上端にはラッ
ク23が、ロッド22に沿って取り付けられている。第
2の垂直操作ロッド22は、海側扉2に固定されたガイ
ド24によって上下方向に運動可能に案内されている。
海側扉2の上面には、第2の水平操作ロッド25が軸の
まわりに回転可能に配置されている。第2の水平操作ロ
ッド25の操作レバー側の一端にはハンドル26が、他
端には歯車27が同軸に取り付けられている。歯車27
は、第2の垂直操作ロッド22のラック23に係合して
いる。そして、河川側扉1の場合と同様、ラック・アン
ド・ピニオン機構の作用により、ハンドル26の回転に
よって、第2の開閉板21が上下運動し、第2の通水口
19が開閉されるようになっている。
【0023】さらに、海側扉2の海側であって海側扉2
の回動軸側の閘壁には、鉛直方向にのびる凹部35が形
成されており、海側扉2から海側に突出する部分、すな
わち、第2の開閉板21、ガイド部材20a、20b、
20cおよび第2の垂直操作ロッド22およびガイド2
4が、海側扉2の開放位置において、この凹部35に収
容されるようになっている。
【0024】海側扉2の第2の通水口19には、拡散減
勢コーン28が図示はしない適当な固定手段によって固
定されている。拡散減勢コーン28は、河川側扉1の第
1の通水口7に取り付けられたものと同一の形状を有し
ており、第2の通水口19の略中央から閘室3に向かっ
て側面が放射状に発散するような向きに配置されてい
る。拡散減勢コーン28によって、第2の通水口19か
ら閘室3内に導水されたとき、水脈が拡散減勢されて閘
室内の水面の動揺が抑制され、閘室内の船舶の転覆が防
止される。
【0025】さらに、海側扉2の上面には、扉係止ロッ
ド32が、軸のまわりに回転可能にかつ軸方向に運動可
能に配置されている。扉係止ロッド32の先端にはネジ
が切られており、後端にはハンドル33が同軸に取り付
けられている。そして、海側扉2が閉鎖位置にあると
き、扉係止ロッド32の先端のネジを閘壁に設けられた
固定部34の雌ネジに係合させることにより、海側扉2
を閉鎖位置に固定できるようになっている。また、海側
扉2の上面の先端部分には、図示はしないフックが固定
されており、海側扉2が開放位置にあるとき、フック
を、閘壁に設けられた図示はしない留め金に引っ掛ける
ことによって海側扉2を開放位置に固定できるようにな
っている。
【0026】次に、本発明による小型閘門の操作方法に
ついて説明する。今、満潮時に海側から河川側に船舶が
通行する場合を仮定する。船舶は、閘門の海側扉前方の
海側待機区域に一時係留される。次に、乗船者または管
理人は、閘門壁上に上がり、河川側扉1および第1の通
水口7が完全に閉鎖されていることを確認し、開いてい
れば閉鎖する。そして、第2の水平操作ロッド25のハ
ンドル26を回転して海側扉2の第2の通水口19を開
き、閘室3内に海水を導入する。閘室3内の水位と海水
位が等しくなったとき、海側扉2の扉係止ロッド32の
ハンドル33を回転し、扉係止ロッド32を閘壁の固定
部34からはずすとともに、レバー4を手で持ち、海側
扉2を開放位置まで回転し、海側扉2のフックを閘壁の
留め金に引っ掛ける。その後、船舶を閘室3の内部に誘
導する。第2の通水口19を閉鎖するとともに、フック
をはずして海側扉2を再び閉鎖位置まで回転し、扉係止
ロッド32を閘壁の固定部に係合させる。
【0027】次に、第1の水平操作ロッド14のハンド
ル15を回転して河川側扉1の第1の通水口7を開く。
閘室3内の水位と河川水位とが等しくなったとき、河川
側扉1の扉係止ロッド29を閘壁の固定部31からはず
す。そして、レバー4を手で持ち、河川側扉1を開放位
置まで回転し、河川側扉1のフックを閘壁の留め金に引
っ掛ける。船舶を河川側に出した後、第1の通水口7を
閉鎖するとともに、フックをはずして河川側扉1を再び
閉鎖位置まで回転し、扉係止ロッド29を固定部31に
係合させる。船舶が河川側から海側に通行する場合も、
上で述べたのと同様にして閘門の開閉操作がなされる。
【0028】こうして、河川側扉1および海側扉2の開
閉に際し、閘室3の水位と河川水位または海水位とに落
差がある場合、第1または第2の開閉板を開放し、扉の
両側の水位を等しくして扉に作用する水圧を減殺するこ
とにより、扉を人力によって容易に操作することができ
る。また、この場合、第1および第2の開閉板を扉に沿
ってスライド運動させるようにしたので、わずかな力で
(海)水圧に対してこれら開閉板の開閉操作を行うこと
ができる。
【0029】このように閘門を通船させると、閘室容積
に等しい淡水が閘室上層から海に放流され、それと同時
に同量の海水が閘室底層から河川側に逆流する。このと
き、海水は淡水よりも密度が大きいから、河川側に逆流
する海水は逆流海水貯水部に貯水され、海水がそれ以上
上流に拡散することが防止される。
【0030】逆流海水貯水部6に溜められた海水は、引
き潮で海水位が河川水位より低下したときを利用して海
に排出される。この海水排出操作について述べると、海
水位が河川水位より低い引き潮時であることを確認す
る。河川側扉1を閉鎖に固定する一方、海側扉2を開放
位置に固定する。そして、河川側扉1の第1の通水口7
を開く。これにより、逆流海水貯水部6に溜められた海
水は、河川側扉1の底層塩水排水管8および第1の通水
口7を通じて、閘室3内に流入し、さらにそこから海に
排出される。海水位が上昇し、閘室内の水位に等しくな
るのを確認して海側扉2を閉鎖し、操作を停止する。
【0031】ここで、この底層塩水排水管8による海水
排水作用について、もう少し詳しく説明することにす
る。まず最初、閘門操作によって逆流する海水量は以下
のとおり計算される。今、1日の入船回数Ni回、出船
回数No 回、閘室容積Vm3 とすると、1日の逆流海水
量は、 VT=V×(Ni+No )(m3 /日) となる。また、底層塩水排水管および第1の通水口の流
速は、 U=√(2g×(Hf −Hs)) (m/秒) となる。ここで、Hf は河川の水深、Hs は海の水深、
gは重力加速度である。そして、1日の海水排水操作時
間をTo 、底層塩水排水管(第1の通水口)の断面積を
Aとすれば、1日の排水量(=1日の逆流海水量)は、 Ve =A×U×To (m3 /日) となり、 A=Ve /(U×To )(m2) となる。このとき、逆流海水貯水部の上端から下方に DH=ρf /(ρs −ρf )×U2 /g で規定される距離までの範囲にある海水が、底層塩水排
水管を通じて選択的に吸い上げられ海に排水され得る。
【0032】今、例えば、最高潮位が1.1m、最低潮
位が−0.8m、平均潮位が0.15mとし、また、閘
門の幅が3m、長さが12m、高さが3.3mであると
する。そして、1日の通船回数を80回と仮定する。こ
のとき、閘室容積は、3×12×3.3=148.5m
3 であり、1日の逆流海水量は、148.5×80=1
1880m3 となる。したがって、逆流海水貯水部の容
積は、少なくとも11880m3 としなければならな
い。これを満たすため、逆流海水貯水部の深さを2m、
幅を25m、長さを237.6mとする。さらに、平均
水位差を、河川と海面の潮差の半分0.95mのさらに
半分0.475mとし、その継続時間を6時間(216
00秒)と仮定すると、底層塩水排水管(第1の通水
口)の流速Uは、 U=√(2×9.8×0.475) =3.05(m/
秒) と、底層塩水排水管(第1の通水口)の断面積Aは、 A=11880/(3.05×21600)=0.18
(m2 ) となる。そして、河川水の比重ρs =1.0、海水の比
重ρf =1.03として、 DH=1.0/(1.03−1.0)×3.052 /(2×9.8) =15.8(m) と求まり、逆流海水貯水部の上端から下方に15.8m
までの範囲にある海水が、底層塩水排水管を通じて選択
的に吸い上げられ海に排水され得る。この場合、逆流海
水貯水部の深さは2mであるから、逆流海水貯水部の底
層まで海水が吸い上げられ、逆流海水貯水部の海水は完
全に排出され得る。
【0033】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、小型で
非常に簡単な構造の閘門を提供することができ、しか
も、閘門の開閉操作を、電気等のエネルギーを用いるこ
となく人力で容易かつ迅速に行うことができる。したが
って、あまりコストをかけることなく閘門を設置するこ
とが可能となる。また、本発明によれば、閘門の開閉操
作によって河川上流側に海水が逆流することを防止する
ことができ、河川水の海水汚染という環境保全上の問題
も解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例の平面図である。
【図2】図1のX−X線に沿った縦断面図である。
【図3】図1の河川側扉を河川上流側から見た平面図で
ある。
【図4】図1の拡散減勢コーンの斜視図である。
【図5】図1の海側扉を海側から見た平面図である。
【符号の説明】
1 河川側扉 2 海側扉 3 閘室 6 逆流海水貯水部 7 第1の通水口 8 底層塩水排水管 9 第1の開閉板 10a、10b ガイド部材 11 第1の垂直操作ロッド 12 ラック 14 第1の水平操作ロッド 16 歯車 19 第2の通水口 21 第2の開閉板 22 第2の垂直操作ロッド 23 ラック 25 第2の水平操作ロッド 27 歯車

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 河川の河口部に設けられた小型閘門であ
    って、河川側扉と、海側扉と、前記河川側扉および前記
    海側扉の間に形成された閘室とを備えたものにおいて、 前記河川側扉のすぐ上流側の河床を掘り下げて形成され
    た逆流海水貯水部と、 前記河川側扉の下部に形成された第1の通水口と、 前記河川側扉の上流側に位置し、一端が前記第1の通水
    口に接続され、他端が前記逆流海水貯水部の上端に位置
    する下向き開口を形成する底層塩水排水管と、 前記河川側扉に、前記第1の通水口を開く位置と、前記
    第1の通水口を閉じる位置の2つの位置の間においてス
    ライド運動可能に取り付けられた第1の開閉板と、 前記第1の開閉板をスライド運動させる手段と、 前記海側扉における最低潮位よりも低い位置に形成され
    た第2の通水口と、 前記海側扉に、前記第2の通水口を開く位置と、前記第
    2の通水口を閉じる位置の2つの位置の間においてスラ
    イド運動可能に取り付けられた第2の開閉板と、 前記第2の開閉板をスライド運動させる手段を備えてい
    ることを特徴とする小型閘門。
  2. 【請求項2】 前記第1および第2の開閉板は、それぞ
    れ上下方向にスライド運動可能になっており、前記第1
    の開閉板をスライド運動させる手段は、前記第1の開閉
    板から上方に前記河川側扉の上端を越えてのびる第1の
    垂直操作ロッドと、前記第1の垂直操作ロッドに軸方向
    に沿って取り付けられたラックと、前記河川側扉の上面
    に軸のまわりに回転可能に取り付けられ、一端に操作ハ
    ンドルが、他端に前記第1の垂直操作ロッドのラックに
    係合する歯車が同軸に取り付けられた第1の水平操作ロ
    ッドとからなっており、前記第2の開閉板をスライド運
    動させる手段は、前記第2の開閉板から上方に前記海側
    扉の上端を越えてのびる第2の垂直操作ロッドと、前記
    第2の垂直操作ロッドに軸方向に沿って取り付けられた
    ラックと、前記海側扉の上面に軸のまわりに回転可能に
    取り付けられ、一端に操作ハンドルが、他端に前記第2
    の垂直操作ロッドのラックに係合する歯車が同軸に取り
    付けられた第2の水平操作ロッドとからなっていること
    を特徴とする請求項1に記載の小型閘門。
  3. 【請求項3】 底面が開口した空洞の円錐形状をなし、
    頂点近傍を除いた側面領域には母線方向に複数のスリッ
    トが形成された拡散減勢手段を備えており、前記河川側
    扉の第1の開閉板は、前記河川側扉の上流側において前
    記底層塩水排水管を横切ってスライド運動可能に配置さ
    れ、前記海側扉の第2の開閉板は前記海側扉の海側に配
    置されており、前記拡散減勢手段は、前記河川側扉の第
    1の通水口および前記海側扉の第2の通水口に、底面開
    口が前記閘室を向くようにして固定されていることを特
    徴とする請求項1または請求項2に記載の小型閘門。
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