JP2762952B2 - 示差型熱分析装置 - Google Patents

示差型熱分析装置

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JP2762952B2 JP7077196A JP7719695A JP2762952B2 JP 2762952 B2 JP2762952 B2 JP 2762952B2 JP 7077196 A JP7077196 A JP 7077196A JP 7719695 A JP7719695 A JP 7719695A JP 2762952 B2 JP2762952 B2 JP 2762952B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、測定試料と基準物質と
の間に生じる温度差を測定し、その温度差に基づいて測
定試料の温度依存性を測定する示差型熱分析装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】上記のような示差型熱分析装置として、
従来より、いわゆるDTA(Differential Thermal Ana
lysis :示差熱分析)装置や、DSC(Differential S
canning Calorimetry :示差走査熱量測定)装置等があ
ることは良く知られている。DTAというのは、測定試
料及び基準物質の温度を所定のプログラムに従って変化
させながら、測定試料と基準物質との間に生じる温度差
を温度又は時間の関数として測定する測定方法である。
また、DSCというのは、測定試料及び基準物質の温度
を所定のプログラムに従って変化させながら、測定試料
と基準物質に対するエネルギー入力の差を温度又は時間
の関数として測定する測定方法である。
【0003】DSCは測定方法の違いにより、熱補償型
DSCと熱流束型DSCの2種類が知られている。熱補
償型DSCは入力補償型DSCとも呼ばれることがあ
る。また、熱流束型DSCは定量DTAとも呼ばれるこ
とがある。
【0004】熱補償型DSCでは、測定試料及び基準物
質の温度を所定のプログラムに従って変化させ、そのと
きに生じる測定試料と基準物質との間の温度差が0(ゼ
ロ)になるように測定試料又は基準物質に熱量すなわち
エネルギーを供給し、そのエネルギーを温度又は時間に
対して測定する。一方、熱流束型DSCでは、測定試料
及び基準物質の温度を所定のプログラムに従って変化さ
せながら、測定試料と基準物質の表面温度を測定し、そ
の表面温度の温度差に基づいて、測定試料と基準物質と
の間の熱流束の差を求める。
【0005】熱補償型DSCと熱流束型DSCとの間で
は、熱補償型DSCが直接に熱量を測定するのに対し
て、熱流束型DSCが測定試料と基準物質との間に生じ
る表面温度差に基づいて間接的に熱量を測定するという
点において相違がある。また、一般的なDTAと熱流束
型DSC(すなわち、定量DTA)との間では、一般的
なDTAが熱電対等といった検温装置の測温点を試料等
の内部へ挿入して試料等の内部温度を直接測定するのに
対して、定量DTAが試料等の外部に測温点を置いて試
料等の表面温度を測定するという点において相違があ
る。
【0006】従来の熱流束型DSC(すなわち、定量D
TA)及び一般的なDTA(以下、熱流束型DSC等と
いう)は、通常、試料室を形成すると共に加熱されて昇
温するヒートシンクと、その試料室内に配置されていて
測定試料及び基準物質を載せると共にヒートシンクから
熱を受けて昇温する感熱板とを有する。そして、測定試
料と基準物質との間に生じる温度差に基づいて測定試料
の温度依存特性を測定する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
熱流束型DSC等では、(1)環境変化等の外来ノイズ
や、ヒートシンク(すなわち電気炉)の温度ムラ等が試
料室内へ伝わることを緩和するため、(2)ガス通路を
ヒートシンクの側壁内に埋設していたため、あるいは
(3)感熱板が凹凸の無い単板によって形成されていて
熱の伝導速度が非常に速いため等といったいくつかの理
由により、ヒートシンクにある程度の体積すなわち熱容
量を持たせる必要があった。具体的には、49J/K程
度の熱容量を持たせてあった。そのため、測定試料及び
基準物質の温度を変化させるためにヒータの温度を変化
させるとき、そのヒータ温度の変化がヒートシンクの温
度変化に消費されてしまい、感熱板をヒータ温度に敏感
に追従させて温度変化させることができないという問
題、すなわち測定試料及び基準物質の温度応答性が悪い
という問題があった。
【0008】本発明は、上記の問題点に鑑みて成された
ものであって、測定試料及び基準物質の両方を載せる感
熱板を用いる構造の熱分析装置において、試料を収納す
る測定部の形状をできる限り小型に形成することにより
試料の温度応答性を向上した場合でも、測定試料及び基
準物質の両方をムラなく均一に温度制御できるようにす
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る示差型熱分析装置は、試料室を形成す
ると共に加熱されて昇温するヒートシンクと、上記試料
室内に配置されていて測定試料及び基準物質を載せると
共にヒートシンクから熱を受けて昇温する感熱板とを有
しており、測定試料と基準物質との間に生じる温度差に
基づいて測定試料の温度依存特性を測定する示差型熱分
析装置において、上記試料室の底壁となるヒートシン
ク壁に熱伝導率が低い材料から成る伝熱緩衝部材を配置
し、感熱板に折り曲げ形状を形成することによって固
定部及び試料載置部を形成し、その試料載置部は測定
試料載置部及び基準物質載置部を有し、上記固定部
は、その測定試料載置部とその基準物質載置部とを結ぶ
直線を中心としてその両側に設けられ、その測定試料
載置部とその基準物質載置部との間に1個又は複数個の
貫通穴を設け、上記感熱板の外周縁はほぼ全域で上記
試料室の内壁形状と同じ形状に形成され、上記感熱板
の固定部と上記伝熱緩衝部材との間に均熱ブロックを配
置し、その均熱ブロックの外周縁はほぼ全域で試料室
の内壁に接触又は近接することを特徴とする。
【0010】上記の示差型熱分析装置においては、上記
感熱板の固定部を挟んで上記均熱ブロックの反対側に別
の均熱ブロックを配設し、その感熱板の固定部をそれら
一対の均熱ブロックで挟むことが望ましい。
【0011】上記の示差型熱分析装置においては、伝熱
緩衝部材はマイカシートによって形成することが望まし
い。
【0012】上記の示差型熱分析装置に関して、試料室
内をガス置換するためのガス供給口をその試料室に設け
る場合には、その試料室の底壁に相当するヒートシンク
壁にそのガス供給口を設けることが望ましく、さらに
は、そのガス供給口は試料室底壁における上記均熱ブロ
ックの内側位置に開口することが望ましい。
【0013】本発明の示差型熱分析装置は、上記のよう
な構成を採用することにより、ヒートシンクの熱容量を
従来のものに比べて小型にしても、測定試料及び基準物
質の温度を外部環境等に影響されることなく安定に保持
できる。本発明者の実験によれば、ヒートシンクの熱容
量を16J/Kに設定した場合にも測定試料等の温度を
安定に保持できた。
【0014】
【作用】請求項1記載の示差型熱分析装置では、伝熱緩
衝部材、感熱板の折り曲げ形状、均熱ブロック並びに感
熱板及び均熱ブロックの所定形状といった各要素の組み
合わせ構造の働きにより、ヒートシンクに温度ムラが生
じる場合でも、その温度ムラが感熱板従って測定試料及
び基準物質に伝わることが阻止される。この結果、ヒー
トシンクの熱容量を小さくしても安定した測定ができ
る。ヒートシンクを小型にできるということは、ヒータ
からの熱量がヒートシンクに無駄に消費されずに感熱板
に伝えられるということであり、従って、測定試料等の
温度応答性が向上する。なお、感熱板に折り曲げ部を設
けることにより、ヒートシンクから測定試料に至る感熱
板の実質的な長さ及びヒートシンクから基準物質に至る
感熱板の実質的な長さを長くできる。これにより、ヒー
トシンクに温度ムラが生じる場合でも、その温度ムラが
感熱板、従って測定試料及び基準物質に伝わることが防
止できる。この結果、ヒートシンクの熱容量を小さくし
ても安定した測定ができる。ヒートシンクを小型にでき
るということは、ヒータからの熱量がヒートシンクに無
駄に消費されずに感熱板に伝えられるということであ
り、従って、測定試料等の温度応答性が向上する。
【0015】ところで、最近のDSCでは、ダイナミッ
クDSCとか、モジュレーテッドDSC等と呼ばれる測
定方法が用いられるようになってきた。この測定方法
は、呼び方が異なるだけで同一の測定方法を意味するも
のであり、簡単に言えば、測定試料及び基準物質の温度
を非常に短い周期で高低に連続的に振動させながら、測
定試料と基準物質との間の温度変化を測定するというも
のである。この測定を行う際には、測定試料及び基準物
質の温度を非常に短い周期で高低に振動させることが必
須の条件であるが、従来の熱容量の大きいヒートシンク
を用いた示差型熱分析装置では、ヒータに対する測定試
料等の温度応答性が悪いのでそのような温度振動を得る
ことが難しかった。実用上は、ヒートシンクに冷却装置
を付設して、ヒートシンクをヒータによって加熱する一
方でそれを強制的に冷却する等といった処理が必要であ
った。
【0016】これに対し、小型で熱容量の小さいヒート
シンクを用いることを可能とした本発明によれば、ヒー
タに対する測定試料等の温度応答性が非常に速くなった
ので、冷却装置等の付属設備を使用することなく温度振
動を実現できる。よって本発明の示差型熱分析装置は、
特にダイナミックDSCその他の呼称で表される上記の
測定方法に対して好適に使用できる。
【0017】請求項4記載の示差型熱分析装置では、ガ
ス置換のためのガス供給口を試料室の底壁部分に相当す
るヒートシンク壁に設けたので、ヒートシンクの側壁内
部にガス通路を形成した従来のヒートシンクに比べて、
そのヒートシンクの熱容量を非常に小さくできる。ヒー
トシンクを小型にできるということは、ヒータからの熱
量がヒートシンクに無駄に消費されずに感熱板に伝えら
れるということであり、従って、測定試料等の温度応答
性が向上する。なお、従来のヒートシンクにおいてその
側壁内部にガス通路を形成したのは、ガスをヒートシン
クの側壁内部に流す間にガスの温度をできるだけ試料室
の温度に近づけるためである。このような観点からすれ
ば、本発明のように試料室内へガスを直接に導入する
と、試料室内の温度が乱れることも考えられる。しかし
ながら本発明者の実験によれば、ガスの供給口をヒート
シンクの底壁部分、すなわち試料室の底壁部分に設ける
ことにより、測定試料及び基準物質に関しては温度の乱
れが全く問題ないことが確認された。
【0018】
【0019】
【0020】
【実施例】図1は、本発明を熱流束型DSC装置に適用
した場合の実施例を示している。このDSC装置は、筐
体テーブル1の上面に固定されたベースブロック2と、
ベースブロック2の上に固定された測定部ユニット3
と、測定部ユニット3の全体を覆う断熱ケース4とを有
している。断熱ケース4は概ね円筒状に形成されてい
て、外側枠5と内側枠6との間に綿状の断熱材Dを満遍
なく充填することによって形成されている。断熱ケース
4は、ベースブロック2の上面に着脱可能に載せられ
る。
【0021】測定部ユニット3は、図3に示すように、
外周にヒータ線7が巻き回された円筒状のヒートシンク
8と、ヒートシンク8の外周を覆う円筒状のカバー9と
を有している。ヒートシンク8とカバー9とは、それら
の上端部において溶接などによって固着されて互いに一
体になっている。ヒートシンク8の内部には円柱状の空
間である試料室Rが形成されていて、ヒートシンクの底
壁8aがその試料室Rの底部となっている。ヒートシン
ク8は熱伝導性の高い材料、例えば銀などによって形成
される。また、カバー9も同様の熱伝導性の高い材料に
よって形成される。
【0022】試料室Rの底面、すなわちヒートシンクの
底壁8aの上面には、熱伝導率が低い材料から成る伝熱
緩衝部材としてのマイカシート10が置かれている。こ
のマイカシート10は、図4に示すように、試料室Rの
内径寸法とほぼ等しい直径を有する円形状の板として形
成され、その中心部に碍子管挿入用の穴11が開けら
れ、その横にガス管挿入用の穴12が開けられ、さらに
外周縁側の適所には止めネジ13を挿入するための4個
のネジ穴14が開けられる。
【0023】図3に戻って、マイカシート10の上には
ヒートシンク8の側壁に接触又は近接するように2個の
下均熱ブロック15が互いに対向して配置される。そし
て、これらの下均熱ブロック15の上に感熱板16が載
せられ、さらにその感熱板16の上に下均熱ブロック1
5に対向して上均熱ブロック17が載せられる。そし
て、それらの上均熱ブロック17、感熱板16及び下均
熱ブロック15は、止めネジ13によってヒートシンク
8の底壁8aに締め付け固着されている。上均熱ブロッ
ク17及び下均熱ブロック15は、熱伝導率の高い材
料、例えば銀などによって形成され、図5に示すよう
に、円弧状の側面を有する部分円盤形状に形成されてい
る。また、これらの均熱ブロック15,17には、止め
ネジ13を挿入するためのネジ穴20が開けられる。均
熱ブロック15,17の円弧状側面の円弧形状は、試料
室Rの内周側面の円弧面に合致するようになっている。
【0024】感熱板16は、熱伝導率の高い材料、例え
ば白金、白金ロジウムなど、若しくは起電力の高い材
料、例えばコンスタンタンなどによって形成され、図5
に示すように、概ね円形状に形成されている。この感熱
板16の外径直径は試料室Rの内径とほぼ等しく設定さ
れる。感熱板16は、折り曲げ加工を受けることによ
り、固定部16b及び固定部16bの上方へ突出する試
料載置部16aを有するように構成される。なお、試料
載置部16aと固定部16bの折り曲げ形状は、折り曲
げ加工に限られず切削加工その他の任意の加工によって
も加工できる。感熱板16の各固定部16bには止めネ
ジ13を挿入するためのネジ穴18が開けられる。ま
た、試料載置部16aには、測定試料及び基準物質を載
置するための領域Sa 及びSb が設けられ、さらに両領
域の間に2個の貫通穴19a及び19bが開けられる。
【0025】図3において、ヒートシンク8の上端には
蓋21が着脱可能に載せられ、これにより試料室Rが外
部から気密に遮蔽されている。図2は蓋21を外した状
態で試料室Rの内部を示している。この図に示すよう
に、測定試料22及び基準物質23は容器24に収容さ
れた状態で感熱板16の試料載置部16aの上に載せら
れる。図3において、ヒートシンク8の底壁8aの中心
部に碍子管25が設けられ、その碍子管25の中に熱電
対束26が挿入されている。熱電対束26は、図6に示
すように4本の熱電対線によって構成され、一対の熱電
対の測温点P1及びP2は、それぞれ、測定試料22及
び基準試料23に対応する位置の感熱板16の下面にス
ポット溶接その他の固着処理により固着されている。こ
れらの熱電対束26は、温度差測定回路29に導かれ
る。この温度差測定回路29の出力は熱量演算回路30
に導かれ、さらにその熱量演算回路30の出力結果はC
RTなどの映像表示装置31に映像表示されたり、プリ
ンタ32によってハードコピーされる。
【0026】図3に戻って、ヒートシンク8の右側面に
は別の碍子管27が設けられ、その碍子管27の中に一
対の熱電対線28が挿入されている。この熱電対線28
の測温点P3は、図6に示すようにヒートシンク8、特
にその底壁8aの適所に設定される。この熱電対線28
の出力端子側は温度測定回路33へ導かれ、この温度測
定回路33の出力はヒータ温度制御回路34へ送られ
る。ヒータ温度制御回路34の出力信号は給電回路37
へ送られ、この給電回路37は、ヒートシンク8のまわ
りに配設されたヒータ線7への給電電流量をその送られ
た信号に基づいて制御する。給電回路37からの給電線
35は、図3に示すように、ヒートシンク8の左側面に
設けたチューブ36を通ってヒータ線7に接続される。
【0027】図3において、熱電対碍子管25の右側に
ガス管38が配設される。このガス管38の上端はヒー
トシンク8の底壁8aに嵌合し、その下端は図1に示す
ように、ベースブロック2の右側面に設けたガス導入端
子39に接続される。
【0028】以下、上記構成より成る示差型熱分析装
置、特に熱流束型DSC装置についてその動作を説明す
る。まず、図1において、断熱ケース4を取り外しさら
に蓋21を取り外して、試料室R内の感熱板16の上、
特に試料載置部16aの上に容器24に入れられた測定
試料22及び基準物質23を置く。その後、蓋21をヒ
ートシンク8の上にかぶせ、さらに断熱ケース4を測定
部ユニット3の上にかぶせる。
【0029】その後、ヒータ線7が所定のプログラムに
従って給電されて発熱し、その発熱によりヒートシンク
8が昇温する。例えば、いわゆるダイナミックDSCの
測定が行われる場合には、非常に短い周期且つ比較的小
さな振幅で高電流側と低電流側に連続的に振動する振動
電流がヒータ線7へ供給される。昇温するヒートシンク
8の温度は、特にその底壁8aから下均熱ブロック15
を通して感熱板16へ伝達されてその感熱板16が昇温
する。そして、その感熱板16の温度が容器24を通し
て測定試料22及び基準物質23へ伝えられ、これによ
り、測定試料2及び基準物質23の温度が所定プログラ
ムに従って昇温又は降温する。
【0030】基準物質23は熱的に安定な材料によって
形成されており、温度が変化しても融解、蒸発などの物
性変化は生じない。これに対して、測定試料22が自ら
の特性に従って温度変化に対応して物性変化を生じる
と、測定試料22と基準物質との間に温度差が生じる。
測定試料22及び基準物質23の温度、特に表面温度
は、熱電対26(図6)によって検出されて温度信号と
して温度差測定回路29へ送られる。温度差測定回路2
9は送られた温度信号に基づいて測定試料22と基準物
質23との間の温度差ΔTを算出し、その算出結果を熱
量演算回路30へ送る。熱量演算回路30は、温度差Δ
Tに基づいて測定試料22に流れ込む熱流束、従って熱
量を演算する。演算された熱量は測定時間又は試料室R
内の温度の関数として映像表示装置31に映像表示され
たり、あるいはプリンタ32によってハードコピーされ
る。
【0031】上記のような測定が行われる間、図1にお
いて、ガス導入端子39から不活性ガス、例えば窒素ガ
スなどが導入され、その導入されたガスは、図3におい
て、試料室Rの底部から試料室Rの中へ進入し、試料室
Rの中をガス置換して試料22を不活性化する。このと
きガスは、試料室Rの底部、すなわち感熱板16の下方
から試料室R内へ入り込み、そして徐々に測定試料22
などのまわりに至るので、試料22のまわりの温度状態
がガスの流れによって乱されることはほとんどない。ま
た、ガスをヒートシンク8の底壁8aから試料室Rの中
へ導入するようにしたので、ヒートシンクの側壁内部に
ガス通路を形成した従来装置に比べて、ヒートシンク8
の体積、すなわち熱容量を非常に小さくできる。
【0032】また、本実施例では、熱伝導率の低いマイ
カシート10を感熱板16とヒートシンク8との間に配
置し、さらに熱伝導率の高い均熱ブロック15及び17
によって感熱板16を挟み付けるようにしたので、ヒー
トシンク8の外部に温度的な環境変化が生じるときで
も、感熱板16の温度を安定に保持できる。従来の示差
型熱分析装置では、ヒートシンクの熱容量を故意に大き
くしてそのような環境変化が感熱板に伝わるのを防止し
ていたが、本実施例では、ヒートシンクの熱容量を小さ
くしても感熱板の温度を安定に保持できる。
【0033】また、本実施例では、感熱板16を折れ曲
がり形状に形成することによりヒートシンク8から測定
試料22及び基準物質23へ至る実質的な距離を長く
し、さらに感熱板の測定試料載置領域と基準物質載置領
域との間に貫通穴19a及び19bを設けたので、この
観点からも感熱板16がヒートシンクの外部の環境変化
等によって影響を受けることを防止できる。従ってこの
観点からも、ヒートシンク8を小型に形成しても感熱板
16の温度を外乱に左右されずに安定に保持できる。
【0034】以上のような理由により、本実施例によれ
ば、測定試料22及び基準物質23の温度を安定に保持
できる上に、ヒートシンク8の熱容量を著しく小さくで
きた。実験によれば、ヒートシンク8の熱容量を16J
/K程度に小さくしても、測定試料22などの温度を安
定に保持できた。ヒートシンク8の熱容量を小さくでき
たので、ヒータ線7の発熱温度が変化するときには、そ
の温度変化がヒートシンク8に無駄に消費されることな
く迅速に感熱板16へ伝えられる。つまり、感熱板16
の温度応答性が非常に向上した。
【0035】感熱板16に関する温度応答性が向上した
ことにより、測定試料22などを急速に昇温、例えば1
00K/min程度の速度で昇温させることができる。
また、消費電力を従来装置に比べて40%程度削減でき
た。さらに、いわゆるダイナミックDSCの測定のよう
に、測定試料22などのまわりの温度を小刻みに振動さ
せる必要があるときには非常に有利である。従来装置で
はヒートシンクなどに冷却装置を付設しなければそのよ
うな温度振動を実現できなかったが、本実施例では、ヒ
ートシンクの自然冷却効率が非常に高いので、そのよう
な冷却装置も必要ない。
【0036】なお、感熱板16の試料載置面16aに貫
通穴19a及び19bを設けたので、測定試料載置領域
a と基準物質載置領域Sb との間の感熱板16の断面
積は実質的に小さくなっている。この断面積の減少は、
測定試料22と基準物質23との間で熱が流れることに
関して抵抗となり、よって、測定試料22に温度変化が
生じたときにそれに起因する熱量の移動が瞬時に完了し
てしまうことを防止する。この結果、測定試料22と基
準物質23との間に生じる温度差を敏感に検出でき、よ
って高感度な測定が可能となる。
【0037】以上、好ましい実施例を挙げて本発明を説
明したが、本発明はその実施例に限定されるものではな
く、特許請求の範囲に記載した技術的範囲内で種々に改
変できる。例えば、本発明は熱流束型DSC装置、すな
わち定量DTA装置に限られず、一般的なDTA装置に
も適用できる。
【0038】
【発明の効果】請求項1記載の示差型熱分析装置によれ
ば、伝熱緩衝部材を設けること、感熱板を所定形状に折
り曲げること、均熱ブロックを設けること並びに感熱板
及び均熱ブロックの外周縁を所定形状にすること等とい
った各要件を組み合わせることにより、感熱板を用いる
形式の熱分析装置において、測定試料及び基準物質を収
納する試料室を極めて小さい容量に形成でき、試料室を
そのように小さく形成した場合でも測定試料及び基準物
質に温度ムラが発生することを防止でき、しかもヒート
シンクの温度変化に対して測定試料等の温度応答性を高
くすることができる。
【0039】請求項2記載の示差型熱分析装置によれ
ば、感熱板を一対の均熱ブロックで挟むことにより、感
熱板の全体をより一層均一に且つ迅速に昇温させること
ができる。
【0040】請求項4記載の示差型熱分析装置によれ
ば、ガス供給口をヒートシンクの側壁内部に形成した従
来装置に比べて、質量室内の温度の乱れを防止しつつ、
ヒートシンクの熱容量を小さくできる。ヒートシンクの
熱容量を小さくしたことにより、感熱板、従って測定試
料及び基準物質の温度応答性を向上できた。
【0041】
【0042】
【0043】請求項5記載の示差型熱分析装置によれ
ば、測定試料及び基準物質の温度応答性を確実に高速化
でき、しかも試料室のまわりの形状を非常に小型に形成
できる。
【0044】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る示差型熱分析装置の一実施例を示
す側面断面図である。
【図2】同示差型熱分析装置の要部、特に測定部ユニッ
トを示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線に従った断面図であ
る。
【図4】図3に示した測定部ユニットに用いられる要部
部品、特にマイカシートを示す斜視図である。
【図5】図3に示した測定部ユニットに用いられる要部
部品、特に感熱板及び均熱ブロックを示す斜視図であ
る。
【図6】図3に示した測定部ユニットを模式的に示すと
共にそれに接続される電気制御系をブロック的に示す図
である。
【符号の説明】
1 筐体テーブル 2 ベースブロック 3 測定部ユニット 4 断熱ケース 7 ヒータ線 8 ヒートシンク 8a 底壁 9 カバー 10 マイカシート(伝熱緩衝部材) 13 止めネジ 15 下均熱ブロック 16 感熱板 16a 感熱板の試料載置部 16b 感熱板の固定部 17 上均熱ブロック 21 蓋 22 測定試料 23 基準物質 24 容器 25,27 碍子管 26,28 熱電対線 R 試料室 P1,P2,P3 測温点
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−223764(JP,A) 特開 昭62−231148(JP,A) 特開 平4−278447(JP,A) 特開 昭63−81253(JP,A) 実開 平2−89352(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 25/20

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料室を形成すると共に加熱されて昇温
    するヒートシンクと、上記試料室内に配置されていて測
    定試料及び基準物質を載せると共にヒートシンクから熱
    を受けて昇温する感熱板とを有しており、測定試料と基
    準物質との間に生じる温度差に基づいて測定試料の温度
    依存特性を測定する示差型熱分析装置において、上記試料室の底壁となるヒートシンク壁に 熱伝導率が低
    い材料から成る伝熱緩衝部材を配置し、 感熱板に折り曲げ形状を形成することによって固定部及
    び試料載置部を形成し、 その試料載置部は測定試料載置部及び基準物質載置部を
    有し、 上記固定部は、その測定試料載置部とその基準物質載置
    部とを結ぶ直線を中心としてその両側に設けられ、 その測定試料載置部とその基準物質載置部との間の感熱
    板に1個又は複数個の貫通穴を設け、 上記感熱板の外周縁はほぼ全域で上記試料室の内壁形状
    と同じ形状に形成され、 上記感熱板の固定部と上記伝熱緩衝部材との間に均熱ブ
    ロックを配置し、 その均熱ブロックの外周縁はほぼ全域で試料室の内壁に
    接触又は近接することを特徴とする示差型熱分析装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の示差型熱分析装置におい
    て、上記感熱板の固定部を挟んで上記均熱ブロックの反
    対側に別の均熱ブロックを配設し、その感熱板の固定部
    をそれら一対の均熱ブロックで挟むことを特徴とする示
    差型熱分析装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2記載の示差型熱分
    析装置において、伝熱緩衝部材はマイカシートであるこ
    とを特徴とする示差型熱分析装置。
  4. 【請求項4】 請求項1から請求項3のうちの少なくと
    もいずれか1つに記載の示差型熱分析装置において、
    料室内をガス置換するためのガス供給口を試料室の底壁
    に相当するヒートシンク壁に設け、そのガス供給口は試
    料室底壁にお ける上記均熱ブロックの内側位置に開口す
    ことを特徴とする示差型熱分析装置。
  5. 【請求項5】 請求項1から請求項4のうちの少なくと
    もいずれか1つに記載の示差型熱分析装置において、ヒ
    ートシンクの熱容量は16J/K以下であることを特徴
    とする示差型熱分析装置。
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