JP2762331B2

JP2762331B2 - 誘電体フィルタ

Info

Publication number: JP2762331B2
Application number: JP30831392A
Authority: JP
Inventors: 英樹山中; 照登菅野; 将伸御手洗; 久夫佐藤
Original assignee: FDK Corp
Current assignee: FDK Corp
Priority date: 1992-10-22
Filing date: 1992-10-22
Publication date: 1998-06-04
Anticipated expiration: 2013-06-04
Also published as: JPH06140803A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、１／４波長共振型のス
トリップ線路を形成した複数の誘電体共振器を、外周部
分が接するように結合用の無電極部分を介して縦積みし
た構造の誘電体フィルタに関するものである。この誘電
体フィルタは、例えばマイクロ波用の各種無線機器など
に好適である。

【０００２】

【従来の技術】マイクロ波用フィルタとして共振器をス
トリップ線路で構成する形式がある。例えば１／４波長
共振器の場合、誘電体基板上に直線状のストリップ線路
型の共振器導体を設け、その一端が開放となり、他端が
外部電極に短絡されるようにする。ここで共振器導体
は、共振波長の１／４波長の奇数倍の長さに設定する。
実際のフィルタを構成する場合には、複数の上記共振器
導体を誘電体基板上に並べて短絡側を共通に接続し、隣
接する共振器導体の間隔はフィルタ特性に対応した結合
強度となる所定の距離に定める。

【０００３】このようなストリップ線路型フィルタで
は、各共振器導体を平面的に配置している。例えば、誘
電体基板上にスクリーン印刷法によって所定形状に導電
ペーストを付着させるか、あるいは誘電体基板の表面に
所定形状となるように電極形成部をやや窪ませる加工を
施し、その内部に導電ペーストを充填する。その後、誘
電体基板を加熱処理して導電ペーストを焼き付け、所望
の電極パターンを形成する。また別の例としては、２枚
の誘電体基板の間に、予め打抜きあるいはエッチングな
どにより所定の形状に成形した薄肉導電板（共振器導
体）を挾み込むトリプレート構造もある。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】これら従来のストリッ
プ線路型フィルタは、いずれにしても共振器導体が誘電
体基板上で平面的に配置されるため、面積的にはあまり
小形化できない。特に共振器導体を多段に接続してフィ
ルタを構成する場合は、高さ寸法は増大しなくても、ど
うしても平面的には大きくならざるを得ない。また同一
の誘電体基板上に共振器導体を形成する構成であり、フ
ィルタの帯域は共振器導体の間隔による結合状態で決ま
るため、特にフィルタを小形化する場合に所望の帯域を
制御することが難しい。

【０００５】スクリーン印刷による共振器パターンの形
成は、一般に印刷精度が悪く、周波数及び結合が変化す
るため、トリミングが必要となる。また誘電体基板に凹
部を形成して導電材料を充填する場合は、不必要な部分
にまで導電材料が付着してしまうため、それを除去しな
ければならず、煩雑な作業が要求される。更にトリプレ
ート構造の場合は、導電板の存在によって、その厚み分
だけ両誘電体基板の間に隙間が生じるため、等価誘電率
が低下し、寸法をさほど小さくできない。また導電板の
厚みの部分の遮蔽対策も必要となる。誘電体基板を重ね
合わせるときに寸法的なずれが発生し易く、所望の特性
が得られ難い。

【０００６】本発明の目的は、上記のような従来技術の
欠点、即ちスクリーン印刷による電極寸法のばらつきの
問題、凹部への導電ペーストの塗布の困難性、及びトリ
プレート構造における導電板電極の厚みによる不具合、
重ね合わせ時の寸法のずれ等を解決でき、且つ多段フィ
ルタを構成する場合でも全体を小形化でき、帯域幅の制
御及びフィルタ特性の調整が容易で、実装基板に組み込
み易い構造にできる誘電体フィルタを提供することであ
る。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、基本的には１
／４波長共振ストリップ線路型の複数の誘電体共振器を
縦積みして一体化する形式の誘電体フィルタである。こ
こで誘電体共振器は、短冊状の誘電体基板の内部中央長
手方向に内部電極を形成し、一端面を除いた外周部分に
外部電極を形成した構造である。そして、その誘電体共
振器を複数、それらの外周部分に設けた結合用の無電極
部分を介して縦積みし、それらの厚み方向の両側に外側
基板を配置して一体化する。外側基板は外側主表面と外
周部に電極を有しており、両端に位置する誘電体共振器
の外周部分に独立した島状電極を形成して入出力結合電
極とする。

【０００８】誘電体共振器の外周面に形成する結合用の
無電極部分を介して、隣接する誘電体共振器間を結合
し、且つそれら無電極部分の大きさや形成位置によって
結合度やフィルタ特性を調整する。実際には、一方の外
側基板に、誘電体共振器の島状電極と導通する入出力用
電極を設けて、該入出力用電極の部分で回路基板に接続
するのがよい。また通常、誘電体共振器の開放面側は、
例えば金属ケースや金属板、導体を被覆した誘電体基板
等の遮蔽体で覆う。

【０００９】

【作用】各誘電体共振器は、内部及び外周面の電極によ
って１／４波長共振型のストリップ線路形式の共振器と
なる。そして、その外周面の一端の無電極部分（電極を
形成していない方）が開放面、他端の電極を形成してい
る方が短絡面となる。誘電体共振器同士の接合面に存在
している結合用の無電極部分によって隣接する誘電体共
振器間での結合が生じることになる。

【００１０】上記の誘電体共振器を複数個、その縦方向
に積み重ねる（外周面同士が接するように縦積みする）
ことにより、所望段数の誘電体フィルタが得られる。そ
のフィルタ特性は、隣接する誘電体共振器間の結合用の
無電極部分の位置や形状で決まる。

【００１１】

【実施例】図１は本発明に係る誘電体フィルタの一実施
例を示す分解斜視図、図２はその組立斜視図である。こ
れは３段フィルタの場合である。この誘電体フィルタ
は、１／４波長共振ストリップ線路型の３個の誘電体共
振器１０ａ，１０ｂ，１０ｃを縦積みする形式である。
更に、それらの外側に外側基板１２ａ，１２ｂを配置
し、接着剤などで結合し一体化する。両端に位置する誘
電体共振器１０ａ，１０ｃの外周部分には独立した島状
電極１４ａ，１４ｂを設けて、それを入出力結合電極と
する。

【００１２】全誘電体共振器１０ａ，…，１０ｃは、基
本的にはほぼ同様の形状であり、短冊状の誘電体基板２
０の内部中央長手方向に内部電極２２を形成すると共
に、一方の端面（図１において手前側の端面）を除く外
周部分に外部電極２４を形成した構造である。ここで無
電極側の端面が開放面、電極形成側の端面（図１におい
て奥側の端面）が短絡面となる。また両端の誘電体共振
器１０ａ，１０ｃには島状電極１４ａ，１４ｂを設ける
が、その場合は誘電体共振器の開放面近傍の外周部分に
外部電極から分離するように形成し、それぞれ外向きに
（島状電極の部分で誘電体共振器同士が接しないよう
に）配置する。各誘電体共振器の互いに接する外周面に
は、それぞれ相対応するように結合用の無電極部分２６
を設ける。この実施例では、開放面側で外部電極を矩形
に切除したような形状となっている。各誘電体共振器１
０ａ，…，１０ｃは、その外部電極２４あるいは島状電
極１４ａ，１４ｂをトリミングすることにより、それぞ
れ共振周波数あるいは入出力結合を微調整することがで
きる。

【００１３】誘電体基板は、例えばチタン酸バリウム系
など、通常マイクロ波用フィルタに使用しているマイク
ロ波用高誘電率材料の焼結体である。誘電体共振器１０
ａ，…，１０ｃの組立体は、例えば図３のＡ〜Ｃに示す
ような方法で形成する。所定の厚みと幅を有するマイク
ロ波用高誘電率材料からなる焼結体基板を用意する。最
上層の焼結体基板３０ａには下面全体、片側端面、及び
それに連続する上面の大部分に銀ペースト３３を塗布す
ると共に、上面の反対側端面寄りに分離して帯状に銀ペ
ースト３４を塗布し、焼付ける。その下層の焼結体基板
３０ｂには上面全体、片側端面、及びそれに連続する下
面の大部分（但し、反対側端面寄りは櫛形パターンとす
る）に銀ペースト３４を塗布し、焼き付ける。その下層
の焼結体基板３０ｃ，３０ｄ，３０ｅは、前記焼結体基
板３０ｂと同様である。最下層の焼結体基板３０ｆは最
上層の焼結体基板３０ａと同様である。そして、焼結体
基板３０ａの上面全体と焼結基板３０ｂの下面全体、焼
結体基板３０ｃの上面全体と焼結基板３０ｄの下面全
体、焼結体基板３０ｅの上面全体と焼結基板３０ｆの下
面全体に接着用銀ペースト３５を塗布して接合し、焼付
け一体化する。更に図３のＢに示すように、貼り合わせ
た焼結体基板を接着し一体化する。そして図３のＣに示
すように、所定の厚さで細断すると、図１に示した誘電
体共振器組立体が出来上がる。

【００１４】図１に戻って、外側基板１２ａ，１２ｂ
は、誘電体基板４０の外側主表面と外周部（但し一部を
除く）に電極４２を形成したものである。ここでは、一
方の外側基板１２ａに、誘電体共振器１０ａ，１０ｂの
島状電極１４ａ，１４ｂと導通する入出力用電極４４
ａ，４４ｂを、外周面から外側主表面に至るように設
け、回路基板への面実装を可能としている。これらの外
側基板１２ａ，１２ｂは、必ずしも誘電体共振器と同一
材質である必要はない。例えばフォルステライト等の誘
電体共振器より誘電率が低い材料でもよい。

【００１５】前記のように誘電体共振器１０ａ，１０
ｂ，１０ｃが同じ向きになるように配列し、両側に外側
基板１４ａ，１４ｂを配置して、接着剤などを用いて結
合一体化する。この実施例では、開放面側の各誘電体共
振器接合部にも、両側から外部電極と導通する導体膜４
６を延在させている。なお図面を分かり易くするため、
各図において電極形成部分に影線を施し、無電極部分
（誘電体の素地が露出している部分）には細かな点々を
付して表している。

【００１６】この誘電体フィルタにおいては、組み立て
た時に、誘電体共振器１０ａ，１０ｃの島状電極１４
ａ，１４ｂが外側基板１２ａ，１２ｂの外側の電極４２
に導通しないように、近傍に無電極部分を形成すること
は勿論である。通常、このような誘電体フィルタには、
金属製ケースを被せて遮蔽して回路基板に実装する。金
属製ケースの代わりに、金属板や、導体ペーストを塗布
し焼き付けた基板などで開放端面を覆う構成であっても
よい。それによって入出力間での電波飛びによる不要な
結合を阻止し、減衰特性の低下を防止できる。

【００１７】上記のようなストリップ線路型の誘電体共
振器は、誘電体基板中に形成した内部電極によって１／
４波長共振器が形成され、それが外部電極で短絡したも
のとなる。従って、基本的には誘電体共振器の長さ寸法
（内部電極の長さ）で共振波長（言い換えると共振周波
数）が決まる。また誘電体共振器の厚さ（積層方向寸
法）が大きいほど共振周波数は低くなり、高さ（内部電
極と外部電極との間隔）が小さくなるほど共振周波数は
低くなる。各誘電体共振器は、互いに接する結合用の無
電極部分の位置や面積によって段間の結合調整が行わ
れ、それによって所望のフィルタ特性が発現する。その
ため入出力結合を行う島状電極の位置を変えずに、所望
の種々のフィルタ特性に調整可能である。なお入出力は
誘電体共振器の内部電極と島状電極との間の容量によっ
て結合する。

【００１８】図４及び図５は、結合用の無電極部分の位
置とフィルタ特性との関係を示している。結合用の無電
極部分の形成位置によって共振器間の結合の仕方（Ｃ結
合かＬ結合か）が変わり、フィルタ特性が変化する。図
４のＡに示すように結合用の無電極部分６０を誘電体共
振器の開放面側に設けると、Ｂに示すように低域側に極
ｐが現れる。それに対して図５のＡに示すように結合用
の無電極部分６２を誘電体共振器の短絡面側に設ける
と、Ｂに示すように高域側に極ｐが現れる。これらの無
電極部分６０，６２はいずれも矩形窓状であるが、形状
は任意であってよい。また無電極部分の面積によって結
合度が異なり、面積が大きくなると結合は強まり、帯域
は広がる。以上のことから分かるように、結合用の無電
極部分の形成位置及びその面積によって各誘電体共振器
間の結合を調整し、所望のフィルタ特性を実現すること
が可能となる。

【００１９】上記の両実施例は誘電体共振器を３個使用
した３段フィルタの例であるが、本発明は２段もしくは
４段以上の多段誘電体フィルタにも適用できることは言
うまでもない。各誘電体共振器の向きは必ずしも同一に
する必要はない。また島状電極は、両外側基板にそれぞ
れ配置する構成でもよい。

【００２０】

【発明の効果】本発明は上記のように、誘電体基板の内
部と外周に電極を形成し、一端面のみで短絡した構造の
ストリップ線路型誘電体共振器を用いるから、この誘電
体共振器を、外周面に形成した結合用の無電極部分を介
して複数個、密着縦積みすることにより、所望の段数の
フィルタを作製できる。これによってフィルタを、より
一層小形化でき、実装する際に占有面積を小さく出来る
ため、機器の小形化に有利である。各誘電体共振器の外
周面に形成する結合用の無電極部分の位置や面積などを
変えることで、容易に結合度を調整し帯域幅を制御で
き、極の位置を決定できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す分解斜視図。

【図２】その組立斜視図。

【図３】本発明で用いる誘電体共振器の製作方法を示す
説明図。

【図４】結合用の無電極部分の形成位置とフィルタ特性
の関係を示す説明図。

【図５】結合用の無電極部分の形成位置とフィルタ特性
の関係を示す説明図。

【符号の説明】

１０ａ，１０ｂ，１０ｃ誘電体共振器１２ａ，１２ｂ外側基板１４ａ，１４ｂ島状電極２０誘電体基板２２内部電極２４外部電極２６結合用の無電極部分

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者佐藤久夫東京都港区新橋５丁目36番11号富士電気化学株式会社内 (56)参考文献特開昭60−54502（ＪＰ，Ａ) 特開平２−50502（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) H01P 1/203 H01P 1/205

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】誘電体基板の内部中央長手方向に内部電
極を形成すると共に一端面を除いた外周部分に外部電極
を形成して１／４波長共振ストリップ線路を構成した複
数の誘電体共振器を、それらの外周部分に設けた結合用
の無電極部分を介して縦積みし、それらの厚み方向の両
側に外側基板を配置して一体化した構造をなし、前記の
外側基板は外側主表面と外周部に電極を有しており、両
端に位置する誘電体共振器の外周部分に独立した島状電
極を形成して入出力結合電極とする誘電体フィルタ。
【請求項２】誘電体共振器の外周面の開放面寄りの位
置又は短絡面寄りの位置に結合用の無電極部分を形成
し、それを介して隣接する誘電体共振器間を結合する請
求項１記載の誘電体フィルタ。
【請求項３】一方の外側基板に、誘電体共振器の島状
電極と導通する入出力用電極を設けて、該入出力用電極
の部分で回路基板に接続する請求項１又は２記載の誘電
体フィルタ。