JP2762203B2 - 超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去剤及び除去方法 - Google Patents
超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去剤及び除去方法Info
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- JP2762203B2 JP2762203B2 JP5032434A JP3243493A JP2762203B2 JP 2762203 B2 JP2762203 B2 JP 2762203B2 JP 5032434 A JP5032434 A JP 5032434A JP 3243493 A JP3243493 A JP 3243493A JP 2762203 B2 JP2762203 B2 JP 2762203B2
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- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23F—NON-MECHANICAL REMOVAL OF METALLIC MATERIAL FROM SURFACE; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL; MULTI-STEP PROCESSES FOR SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL INVOLVING AT LEAST ONE PROCESS PROVIDED FOR IN CLASS C23 AND AT LEAST ONE PROCESS COVERED BY SUBCLASS C21D OR C22F OR CLASS C25
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- C23F1/44—Compositions for etching metallic material from a metallic material substrate of different composition
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超硬合金製の加工物の
表面に施されたチタン及び窒化チタン、炭窒化チタン、
炭化チタン等のチタン化合物のコーティング被膜(以
下、チタンコーティング被膜という)の除去を容易に
し、かつ超硬合金素地の硬度または光沢等の表面品質を
劣化させることなく、再コーティングの加工物の再使用
をも可能ならしめることを目的とした、チタンコーティ
ング被膜の除去剤及び除去方法に関するものである。
表面に施されたチタン及び窒化チタン、炭窒化チタン、
炭化チタン等のチタン化合物のコーティング被膜(以
下、チタンコーティング被膜という)の除去を容易に
し、かつ超硬合金素地の硬度または光沢等の表面品質を
劣化させることなく、再コーティングの加工物の再使用
をも可能ならしめることを目的とした、チタンコーティ
ング被膜の除去剤及び除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】チタンコーティング被膜を有する超硬合
金製の加工物は、耐摩耗品として使用される場合が多い
が、摩耗が進行したとき再整形して再使用されることが
ある。かかる再整形工程は、主として研磨加工によって
なされている。しかしながら、放電加工品のように複雑
な形状のものには再整形加工が難しく、これを実行する
としても部分的に加工が施されるのみである。したがっ
て、その寸法精度の厳しさゆえに超硬合金の加工物が摩
耗した場合は破棄されることが普通である。しかしなが
ら、超硬合金を用いた工具は高価であり、再整形後再使
用出来る技術の開発が望まれていた。チタンコーティン
グを施した工具の再整形・再使用に必要な技術として
は、研削加工に代表される機械加工技術以外に、超硬合
金の加工物上のチタンコーティング被膜を除去する技術
が必要である。
金製の加工物は、耐摩耗品として使用される場合が多い
が、摩耗が進行したとき再整形して再使用されることが
ある。かかる再整形工程は、主として研磨加工によって
なされている。しかしながら、放電加工品のように複雑
な形状のものには再整形加工が難しく、これを実行する
としても部分的に加工が施されるのみである。したがっ
て、その寸法精度の厳しさゆえに超硬合金の加工物が摩
耗した場合は破棄されることが普通である。しかしなが
ら、超硬合金を用いた工具は高価であり、再整形後再使
用出来る技術の開発が望まれていた。チタンコーティン
グを施した工具の再整形・再使用に必要な技術として
は、研削加工に代表される機械加工技術以外に、超硬合
金の加工物上のチタンコーティング被膜を除去する技術
が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、メッキの剥離
のように電解剥離、化学剥離を行うと、超硬合金素地の
劣化が激しく、特に刃物においては使用に耐え得ないこ
とが問題となっている。即ち、チタンコーティング被膜
の除去は、主体である研削加工では作業性が悪く、加工
できる形状が限られている。とくに、放電加工で製作さ
れた複雑形状加工物に対しては困難である。複雑形状の
加工物のチタンコーティング被膜の除去には、化学処理
液による浸漬処理が最良である。既存の化学処理法とし
ては、チタン及びチタン合金等の加工物の酸化被膜除
去、光沢化処理(特開昭60−207725号公報,特
開昭62−167895号公報,特開平1−27278
5号公報,特開平3−49688公報を参照)がある
が、これらの方法では超硬合金素地の硬度劣化、光沢劣
化が激しい。また、部分的にチタンコーティング被膜が
施されている加工物においては被膜の施されていない部
分の劣化が目立って大きい。これは、超硬合金はタング
ステン、チタン、タンタル、ニオブ等の炭化物粒子とコ
バルトの集合体であり局部電池作用により選択的腐食を
受けやすく表面が荒れやすいためと考えられる。
のように電解剥離、化学剥離を行うと、超硬合金素地の
劣化が激しく、特に刃物においては使用に耐え得ないこ
とが問題となっている。即ち、チタンコーティング被膜
の除去は、主体である研削加工では作業性が悪く、加工
できる形状が限られている。とくに、放電加工で製作さ
れた複雑形状加工物に対しては困難である。複雑形状の
加工物のチタンコーティング被膜の除去には、化学処理
液による浸漬処理が最良である。既存の化学処理法とし
ては、チタン及びチタン合金等の加工物の酸化被膜除
去、光沢化処理(特開昭60−207725号公報,特
開昭62−167895号公報,特開平1−27278
5号公報,特開平3−49688公報を参照)がある
が、これらの方法では超硬合金素地の硬度劣化、光沢劣
化が激しい。また、部分的にチタンコーティング被膜が
施されている加工物においては被膜の施されていない部
分の劣化が目立って大きい。これは、超硬合金はタング
ステン、チタン、タンタル、ニオブ等の炭化物粒子とコ
バルトの集合体であり局部電池作用により選択的腐食を
受けやすく表面が荒れやすいためと考えられる。
【0004】本発明は、化学的処理液への浸漬により、
超硬合金の表面性状の劣化を引き起こすことなく、チタ
ンコーティング被膜の除去を可能ならしめ、再コーティ
ングに必要な清浄な素地面を得るとともに、非コーティ
ング部分の劣化もない超硬合金面を得ることを可能とし
たチタンコーティング被覆の化学的除去剤及び除去方法
を提供することを目的とする。
超硬合金の表面性状の劣化を引き起こすことなく、チタ
ンコーティング被膜の除去を可能ならしめ、再コーティ
ングに必要な清浄な素地面を得るとともに、非コーティ
ング部分の劣化もない超硬合金面を得ることを可能とし
たチタンコーティング被覆の化学的除去剤及び除去方法
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明において
は、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシ
ド、又はピリジン、又はヘキサメチルホスホルアミド、
又はこれらのうち2種以上の混合物、を水に35〜65
容量パーセント混合した有機溶剤混合水溶液に対して、
少なくとも、フッ化アルカリ金属塩、又はフッ化アンモ
ニウム塩、又はこれらの混合物、を1〜5重量%、リン
酸アルカリ金属塩、又はリン酸水素アルカリ金属塩、又
は重合リン酸アルカリ金属塩、又はこれらのうち2種以
上の混合物、を1〜10重量%、次亜硫酸アルカリ金属
塩を0.1〜5重量%、タンニン酸、又は不飽和脂肪
酸、又はこれらの混合物、を0.1〜5重量%、イミン
化合物系界面活性剤を0.01〜1重量%、が添加され
た超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去
剤を提供することによって上記課題を解決した。
は、ジメチルホルムアミド、又はジメチルスルホキシ
ド、又はピリジン、又はヘキサメチルホスホルアミド、
又はこれらのうち2種以上の混合物、を水に35〜65
容量パーセント混合した有機溶剤混合水溶液に対して、
少なくとも、フッ化アルカリ金属塩、又はフッ化アンモ
ニウム塩、又はこれらの混合物、を1〜5重量%、リン
酸アルカリ金属塩、又はリン酸水素アルカリ金属塩、又
は重合リン酸アルカリ金属塩、又はこれらのうち2種以
上の混合物、を1〜10重量%、次亜硫酸アルカリ金属
塩を0.1〜5重量%、タンニン酸、又は不飽和脂肪
酸、又はこれらの混合物、を0.1〜5重量%、イミン
化合物系界面活性剤を0.01〜1重量%、が添加され
た超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去
剤を提供することによって上記課題を解決した。
【0006】さらに、上記超硬合金表面のチタンコーテ
ィング被膜の化学的除去剤に、過酸化水素を2〜7重量
%添加し、過酸化水素と化学的除去剤からなる溶剤混合
液を10〜40℃の温度に調整したものに超硬合金製の
チタンコーティング加工物を浸漬させることにより、超
硬合金表面のチタンコーティング被膜を化学的に除去す
ることができる。
ィング被膜の化学的除去剤に、過酸化水素を2〜7重量
%添加し、過酸化水素と化学的除去剤からなる溶剤混合
液を10〜40℃の温度に調整したものに超硬合金製の
チタンコーティング加工物を浸漬させることにより、超
硬合金表面のチタンコーティング被膜を化学的に除去す
ることができる。
【0007】 上記の超硬合金表面のチタンコーティング
被膜の化学的除去剤である 溶剤混合水溶液に、窒化チタ
ン、炭窒化チタン、又は炭化チタン等のチタン化合物の
チタンコーティング被膜を施した超硬合金製の加工物を
浸漬することにより、加工物の超硬合金素地を劣化させ
ることなくチタンコーティング被膜を除去できる。この
混合水溶液中の溶媒としては、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ピリジン、ヘキサメチルホスホ
ルアミドがあげられるが取扱性の容易さからジメチルス
ルホキシドが最良である。この混合水溶液は、コバル
ト、タングステン等の又はこれらの化合物の溶出を電気
化学的に抑制する効果があるが、その濃度が30容量%
以下では、その効果が弱く、長時間浸漬で特にコバルト
の溶出が顕著であり、65容量%以上ではチタンコーテ
ィング被膜の除去が完全ではない。なお、ジメチルスル
ホキシドの凝固温度は18.5℃であり約20℃以下で
析出してくる。溶液中のジメチルスルホキシドが析出す
ると溶液の性質が変化するため、チタンコーティング被
膜の除去が不完全となり、超硬表面の光輝度も劣化す
る。このことを防止するために、20容量%以下のアル
コール系溶剤の添加が効果的である。
被膜の化学的除去剤である 溶剤混合水溶液に、窒化チタ
ン、炭窒化チタン、又は炭化チタン等のチタン化合物の
チタンコーティング被膜を施した超硬合金製の加工物を
浸漬することにより、加工物の超硬合金素地を劣化させ
ることなくチタンコーティング被膜を除去できる。この
混合水溶液中の溶媒としては、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、ピリジン、ヘキサメチルホスホ
ルアミドがあげられるが取扱性の容易さからジメチルス
ルホキシドが最良である。この混合水溶液は、コバル
ト、タングステン等の又はこれらの化合物の溶出を電気
化学的に抑制する効果があるが、その濃度が30容量%
以下では、その効果が弱く、長時間浸漬で特にコバルト
の溶出が顕著であり、65容量%以上ではチタンコーテ
ィング被膜の除去が完全ではない。なお、ジメチルスル
ホキシドの凝固温度は18.5℃であり約20℃以下で
析出してくる。溶液中のジメチルスルホキシドが析出す
ると溶液の性質が変化するため、チタンコーティング被
膜の除去が不完全となり、超硬表面の光輝度も劣化す
る。このことを防止するために、20容量%以下のアル
コール系溶剤の添加が効果的である。
【0008】 この溶剤混合水溶液に添加するフッ化アル
カリ金属塩、又はフッ化アンモニウム塩は、フッ化ナト
リウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化
水素アンモニウム等であり、1重量%以下では被膜の除
去が不完全であり、5重量%以上では表面の劣化層が顕
著である。リン酸アルカリ金属塩、又はリン酸水素アル
カリ金属塩、又は重合リン酸アルカリ金属塩は、具体的
には、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、
リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、トリポリリン酸
等があげられる。これらのリン酸アルカリ塩は、特にコ
バルトと不溶性化合物をつくるがチタンとも不溶性化合
物をつくるため、10重量%以上ではコーテイング被膜
の除去が不完全であり、1重量%以下では超硬合金の表
面層に劣化がみられた。
カリ金属塩、又はフッ化アンモニウム塩は、フッ化ナト
リウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化
水素アンモニウム等であり、1重量%以下では被膜の除
去が不完全であり、5重量%以上では表面の劣化層が顕
著である。リン酸アルカリ金属塩、又はリン酸水素アル
カリ金属塩、又は重合リン酸アルカリ金属塩は、具体的
には、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム、
リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、トリポリリン酸
等があげられる。これらのリン酸アルカリ塩は、特にコ
バルトと不溶性化合物をつくるがチタンとも不溶性化合
物をつくるため、10重量%以上ではコーテイング被膜
の除去が不完全であり、1重量%以下では超硬合金の表
面層に劣化がみられた。
【0009】タングステン及びその化合物は、過酸化水
素水等の酸化性水溶液中ではpH6.5〜7.5以外の
酸性でもアルカリ性でもタングステン酸化合物をつくり
やすく、超硬合金表面が変色してくるが、次亜硫酸アル
カリ金属塩、タンニン酸または不飽和脂肪酸を添加する
ことにより、その光輝度の劣化を防止することができ
る。次亜硫酸アルカリ金属塩としては、次亜硫酸ナトリ
ウム、次亜硫酸カリウム等があげられる。また、不飽和
脂肪酸としては、オレイン酸等が上げられる。いずれ
も、所定量以上では除去速度が遅く、被膜の除去が不完
全となる。界面活性剤としては、ジエタノールアミン、
ジプロピルアミン等のイミン化合物系界面活性剤が最適
であり、添加量が多くなると被膜の除去速度が遅くなる
傾向にある。
素水等の酸化性水溶液中ではpH6.5〜7.5以外の
酸性でもアルカリ性でもタングステン酸化合物をつくり
やすく、超硬合金表面が変色してくるが、次亜硫酸アル
カリ金属塩、タンニン酸または不飽和脂肪酸を添加する
ことにより、その光輝度の劣化を防止することができ
る。次亜硫酸アルカリ金属塩としては、次亜硫酸ナトリ
ウム、次亜硫酸カリウム等があげられる。また、不飽和
脂肪酸としては、オレイン酸等が上げられる。いずれ
も、所定量以上では除去速度が遅く、被膜の除去が不完
全となる。界面活性剤としては、ジエタノールアミン、
ジプロピルアミン等のイミン化合物系界面活性剤が最適
であり、添加量が多くなると被膜の除去速度が遅くなる
傾向にある。
【0010】反応の機構として、チタン化合物は、フッ
化アルカリのフッ化水素酸によりフッ化チタン化合物と
なるが、その反応は遅い。ここに、過酸化水素を添加し
て過酸化物を形成してやれば反応が速やかになる。しか
し、この反応は超硬合金の成分であるコバルトにも起
り、しかも電気化学的に他の成分よりもイオン化しやす
いため優先的に溶け出す。そこで、例えばジメチルスル
ホキシドの混合溶媒にすれば、フッ化アルカリの解離度
が水溶液中に比してかなり小さくなる。よって、超硬素
地の電気化学的腐食を抑制できる。また、フッ化チタン
化合物はジメチルスルホキシド溶液に可溶性であるが超
硬合金の他の成分のフッ化物は難溶性であるがゆえにチ
タン化合物のみを優先的に超硬素地から除去できる。超
硬素地の耐食性をより完全にするために有機酸及び界面
活性剤を添加すれば、その物理的、化学的な吸着被膜に
より腐食を防止できる。特に、不飽和脂肪酸とイミンと
の縮合物は防錆効果が大きい。なお、電気メッキ等で利
用されている澱粉、又はゼラチン、又はメチルセルロー
ス等を添加すれば、光沢性と平滑性をさらに向上でき
る。
化アルカリのフッ化水素酸によりフッ化チタン化合物と
なるが、その反応は遅い。ここに、過酸化水素を添加し
て過酸化物を形成してやれば反応が速やかになる。しか
し、この反応は超硬合金の成分であるコバルトにも起
り、しかも電気化学的に他の成分よりもイオン化しやす
いため優先的に溶け出す。そこで、例えばジメチルスル
ホキシドの混合溶媒にすれば、フッ化アルカリの解離度
が水溶液中に比してかなり小さくなる。よって、超硬素
地の電気化学的腐食を抑制できる。また、フッ化チタン
化合物はジメチルスルホキシド溶液に可溶性であるが超
硬合金の他の成分のフッ化物は難溶性であるがゆえにチ
タン化合物のみを優先的に超硬素地から除去できる。超
硬素地の耐食性をより完全にするために有機酸及び界面
活性剤を添加すれば、その物理的、化学的な吸着被膜に
より腐食を防止できる。特に、不飽和脂肪酸とイミンと
の縮合物は防錆効果が大きい。なお、電気メッキ等で利
用されている澱粉、又はゼラチン、又はメチルセルロー
ス等を添加すれば、光沢性と平滑性をさらに向上でき
る。
【0011】 安定したチタンコーティング被膜の除去速
度を得るため処理温度は、10〜40℃、より好ましく
は20〜30℃であり、処理温度が低いほど除去速度が
遅く、温度が高いほど素地の表面性状が悪くなる。除去
速度は、油分付着等の清浄度の程度、撹拌の有無にもよ
るが、処理温度20〜30℃で、1時間当たり0.05
〜0.1μm程度である。
度を得るため処理温度は、10〜40℃、より好ましく
は20〜30℃であり、処理温度が低いほど除去速度が
遅く、温度が高いほど素地の表面性状が悪くなる。除去
速度は、油分付着等の清浄度の程度、撹拌の有無にもよ
るが、処理温度20〜30℃で、1時間当たり0.05
〜0.1μm程度である。
【0012】
【実施例】(実施例1) 超硬合金(組成:WC 73%,TiC 8%,TaC
6%,NbC 3%,Co 10%)で加工されたド
リルの事例について説明する。ドリルの表面は、イオン
プレーティング法により、窒化チタンと炭化チタンとの
複合被膜が長さ100mmの刃部55mmに施されてい
る。被膜の厚さは3μmである。柄部の45mmの超硬
合金表面には、レーザにより文字が描かれている。上記
の径8mmのドリルを下記の条件の除去液に30℃、8
0時間浸漬した。除去液は、ジメチルスルホキシド55
vol%の水溶液1リットル中にフッ化アンモニウム2
0g、次亜硫酸水素10g、ポリリン酸Na10g、タ
ンニン酸5g、澱粉5g、ジエチレントリアミン0.5
ccを投入し除去剤とし、さらに過酸化水素水15vo
l%(約3.7重量%)を加えた。 フッ化アンモニウム 20g/l 次亜硫酸水素Na 10g/l ポリリン酸Na 10g/l タンニン酸 5g/l 澱粉 5g/l ジエチレントリアミン 0.5cc/l ジメチルスルホキシド 55vol% 過酸化水素水(25%溶液) 15vol%(約3.7重量%) なお、処理液は、温度を均一に保つために温水浴にして
ある。
6%,NbC 3%,Co 10%)で加工されたド
リルの事例について説明する。ドリルの表面は、イオン
プレーティング法により、窒化チタンと炭化チタンとの
複合被膜が長さ100mmの刃部55mmに施されてい
る。被膜の厚さは3μmである。柄部の45mmの超硬
合金表面には、レーザにより文字が描かれている。上記
の径8mmのドリルを下記の条件の除去液に30℃、8
0時間浸漬した。除去液は、ジメチルスルホキシド55
vol%の水溶液1リットル中にフッ化アンモニウム2
0g、次亜硫酸水素10g、ポリリン酸Na10g、タ
ンニン酸5g、澱粉5g、ジエチレントリアミン0.5
ccを投入し除去剤とし、さらに過酸化水素水15vo
l%(約3.7重量%)を加えた。 フッ化アンモニウム 20g/l 次亜硫酸水素Na 10g/l ポリリン酸Na 10g/l タンニン酸 5g/l 澱粉 5g/l ジエチレントリアミン 0.5cc/l ジメチルスルホキシド 55vol% 過酸化水素水(25%溶液) 15vol%(約3.7重量%) なお、処理液は、温度を均一に保つために温水浴にして
ある。
【0013】被膜除去後、水洗乾燥して再びイオンプレ
ーティング法で窒化チタンと炭化チタンとの複合被膜を
ドリル表面に形成して穴明け試験を行ったところ、84
0以上の穴が正常に明けられた。また、柄部の光沢及び
文字には異常が認められなかった。なお、使用する有機
溶剤としてジメチルホルムアミド、ピリジンでも被膜の
除去が可能であるが、毒性および臭気の関係でジメチル
スルホキシドが最適である。有機溶剤の量に比例して除
去時間が長くなり、量が少ないと表面が白化傾向にな
る。また、フッ化アルカリは、Na,Kの塩よりもアン
モニウム塩のほうが除去時間が短くなる。フッ化アルカ
リの濃度が高いほど除去時間が短くなるが、表面コバル
トが溶出傾向となり、ドリルの刃先が欠けやすくなる。
リン酸アルカリ塩の添加は、表面の光沢向上に効果があ
るが、濃度が高くなると被膜が除去できなくなる。界面
活性剤の添加は、被膜の除去の均一化と時間短縮に効果
があるが、濃度が高いと光沢が劣化傾向になる。なお、
澱粉、ゼラチン等の添加は、表面の光沢向上に効果があ
るが、濃度が高いと除去時間が長くなり、除去処理後の
水洗乾燥で超硬表面に残る傾向がある。
ーティング法で窒化チタンと炭化チタンとの複合被膜を
ドリル表面に形成して穴明け試験を行ったところ、84
0以上の穴が正常に明けられた。また、柄部の光沢及び
文字には異常が認められなかった。なお、使用する有機
溶剤としてジメチルホルムアミド、ピリジンでも被膜の
除去が可能であるが、毒性および臭気の関係でジメチル
スルホキシドが最適である。有機溶剤の量に比例して除
去時間が長くなり、量が少ないと表面が白化傾向にな
る。また、フッ化アルカリは、Na,Kの塩よりもアン
モニウム塩のほうが除去時間が短くなる。フッ化アルカ
リの濃度が高いほど除去時間が短くなるが、表面コバル
トが溶出傾向となり、ドリルの刃先が欠けやすくなる。
リン酸アルカリ塩の添加は、表面の光沢向上に効果があ
るが、濃度が高くなると被膜が除去できなくなる。界面
活性剤の添加は、被膜の除去の均一化と時間短縮に効果
があるが、濃度が高いと光沢が劣化傾向になる。なお、
澱粉、ゼラチン等の添加は、表面の光沢向上に効果があ
るが、濃度が高いと除去時間が長くなり、除去処理後の
水洗乾燥で超硬表面に残る傾向がある。
【0014】 (実施例2) 次に、超硬合金(組成:WC 80.2%,VC 0.
4%, Cr3Cz0.8%,Co 17%,)のエン
ドミルの場合について説明する。エンドミルの表面は、
イオンプレーティング法により窒化チタン被覆が施され
ている。被覆の厚さは3μmである。上記の径10mm
のエンドミルの表面を次の条件の除去液に20℃で80
時間浸漬した。除去液は、ジメチルスルホキシド45v
ol%の水溶液1リットル中にフッ化アンモニウム20
g、次亜硫酸水素Na10g、リン酸水素K10g、タ
ンニン酸5g、オレイン酸0.5cc(約0.05重量
%)、澱粉5g、ジエチレントリアミン0.5ccを投
入し除去剤とし、さらに除去剤1リットルに対して、ポ
リエチレングリコール 10vol%、過酸化水素15
vol%(約3.7重量%)を加えた。 フッ化アンモニウム 20g/l 次亜硫酸水素Na 10g/l リン酸水素K 10g/l タンニン酸 5g/l オレイン酸 0.5cc/l(約0.05重量%) 澱粉 5g/l ジエチレントリアミン 0.5cc/l ジメチルスルホキシド 45vol% ポリエチレングリコール 10vol% 過酸化水素水(25%溶液) 15vol%(約3.7重量%) なお、処理液は、温度を均一に保つために温水浴にして
ある。
4%, Cr3Cz0.8%,Co 17%,)のエン
ドミルの場合について説明する。エンドミルの表面は、
イオンプレーティング法により窒化チタン被覆が施され
ている。被覆の厚さは3μmである。上記の径10mm
のエンドミルの表面を次の条件の除去液に20℃で80
時間浸漬した。除去液は、ジメチルスルホキシド45v
ol%の水溶液1リットル中にフッ化アンモニウム20
g、次亜硫酸水素Na10g、リン酸水素K10g、タ
ンニン酸5g、オレイン酸0.5cc(約0.05重量
%)、澱粉5g、ジエチレントリアミン0.5ccを投
入し除去剤とし、さらに除去剤1リットルに対して、ポ
リエチレングリコール 10vol%、過酸化水素15
vol%(約3.7重量%)を加えた。 フッ化アンモニウム 20g/l 次亜硫酸水素Na 10g/l リン酸水素K 10g/l タンニン酸 5g/l オレイン酸 0.5cc/l(約0.05重量%) 澱粉 5g/l ジエチレントリアミン 0.5cc/l ジメチルスルホキシド 45vol% ポリエチレングリコール 10vol% 過酸化水素水(25%溶液) 15vol%(約3.7重量%) なお、処理液は、温度を均一に保つために温水浴にして
ある。
【0015】 被膜除去のために実施例1の液組成でも良
いが、液温が低い場合ポリエチレングリコール、エタノ
ール等の添加が均一に被膜を除去するのに効果がある。
オレイン酸は、製品の表面の光輝度の向上に効果があ
る。被膜除去後、水洗乾燥して再びイオンプレーティン
グ法で窒化チタン被膜をエンドミル表面に形成した。新
品と同程度のものが得られた。
いが、液温が低い場合ポリエチレングリコール、エタノ
ール等の添加が均一に被膜を除去するのに効果がある。
オレイン酸は、製品の表面の光輝度の向上に効果があ
る。被膜除去後、水洗乾燥して再びイオンプレーティン
グ法で窒化チタン被膜をエンドミル表面に形成した。新
品と同程度のものが得られた。
【0016】 その他、表1に示される種々の組成を有す
る本発明の化学除去液1〜7に示す実施例及び8〜10
に示す比較例を23〜27℃の温度条件で処理してから
水洗後乾燥して得られた試料表面の状態を硬度、肉眼で
観察した。これらの結果も表1に示した。この結果から
分かるように、本発明による化学除去液によれば素地の
光輝度、硬度劣化のないドリルが得られた。
る本発明の化学除去液1〜7に示す実施例及び8〜10
に示す比較例を23〜27℃の温度条件で処理してから
水洗後乾燥して得られた試料表面の状態を硬度、肉眼で
観察した。これらの結果も表1に示した。この結果から
分かるように、本発明による化学除去液によれば素地の
光輝度、硬度劣化のないドリルが得られた。
【0017】
【表1】
【0018】本発明によれば浸漬処理だけで、超硬合金
上のチタンコーティング被膜を除去でき、しかも工具と
しての性能は、新品と同等以上になることがわかった
(表2)。それによって、超硬コーティング加工物のリ
サイクルがより容易になり、さらに加工工程の簡略化が
図れ産業上非常に有益である。
上のチタンコーティング被膜を除去でき、しかも工具と
しての性能は、新品と同等以上になることがわかった
(表2)。それによって、超硬コーティング加工物のリ
サイクルがより容易になり、さらに加工工程の簡略化が
図れ産業上非常に有益である。
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】本発明に係わる超硬合金表面のチタンコ
ーティング被膜の化学的除去剤は、上記のような組成を
有するのであるから、超硬合金を構成するタングステ
ン、チタン、タンタル、ニオブ等の炭化物粒子とコバル
トの集合体である局部電池作用の発生がなく、このため
に選択的腐食を受けて超硬合金表面形状の劣化が防止さ
れた。特に切削工具に用いられた超硬合金においては、
かかる劣化が生じないので高価な超硬合金工具の再利用
が可能であるので、長寿命のものを提供することが可能
となった。
ーティング被膜の化学的除去剤は、上記のような組成を
有するのであるから、超硬合金を構成するタングステ
ン、チタン、タンタル、ニオブ等の炭化物粒子とコバル
トの集合体である局部電池作用の発生がなく、このため
に選択的腐食を受けて超硬合金表面形状の劣化が防止さ
れた。特に切削工具に用いられた超硬合金においては、
かかる劣化が生じないので高価な超硬合金工具の再利用
が可能であるので、長寿命のものを提供することが可能
となった。
Claims (2)
- 【請求項1】 ジメチルホルムアミド、又はジメチルス
ルホキシド、又はピリジン、又はヘキサメチルホスホル
アミド、又はこれらのうち2種以上の混合物、を水に3
5〜65容量パーセント混合した有機溶剤混合水溶液に
対して、少なくとも、 フッ化アルカリ金属塩、又はフッ化アンモニウム塩、又
はこれらの混合物、が1〜5重量%、 リン酸アルカリ金属塩、又はリン酸水素アルカリ金属
塩、又は重合リン酸アルカリ金属塩、又はこれらのうち
2種以上の混合物、が1〜10重量%、 次亜硫酸アルカリ金属塩が0.1〜5重量%、タ ンニン酸、又は不飽和脂肪酸、又はこれらの混合物、
が0.1〜5重量%、 イミン化合物系界面活性剤が0.01〜1重量%、が添 加されていることを特徴とする超硬合金表面のチタ
ンコーティング被膜の化学的除去剤。 - 【請求項2】 請求項1記載の超硬合金表面のチタンコ
ーティング被膜の被膜の化学的除去剤に、過酸化水素を
2〜7重量%添加し、過酸化水素と前記化学的除去剤か
らなる溶剤混合液を10〜40℃の温度に調整したもの
に超硬合金製のチタンコーティング加工物を浸漬し、チ
タンコーティング被膜の除去を行うことを特徴とする超
硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5032434A JP2762203B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去剤及び除去方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5032434A JP2762203B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去剤及び除去方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06228778A JPH06228778A (ja) | 1994-08-16 |
JP2762203B2 true JP2762203B2 (ja) | 1998-06-04 |
Family
ID=12358850
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5032434A Expired - Fee Related JP2762203B2 (ja) | 1993-01-29 | 1993-01-29 | 超硬合金表面のチタンコーティング被膜の化学的除去剤及び除去方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2762203B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101818360B (zh) * | 2010-03-16 | 2011-11-30 | 西安泰金工业电化学技术有限公司 | 一种去除废钛阳极涂层的方法 |
-
1993
- 1993-01-29 JP JP5032434A patent/JP2762203B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06228778A (ja) | 1994-08-16 |
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