JP2753694B2 - インターロイキン−1β誘導体及び医薬 - Google Patents

インターロイキン−1β誘導体及び医薬

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】本発明は新しいポリペプチド、更に詳しく
はインターロイキン−1β(IL−1β)の新しい誘導
体、並びにIL−1β及びその新しい誘導体の医薬用途
に関する。 【0002】第2回国際リンホカインワークシヨツプに
おいて、かつてリンパ球活性化因子(Lymphocyte Act
ivating Factor ;LAF)、マイトジエニツク プロ
テイン(Mitogenic Protein)、ヘルパーピーク−1
(Helper peak−1)、Tリンパ球代替因子〔T−cell
replacing factorIII(TRF−III )、T−cell rep
lacing factor Mφ(TRFM)〕、Bセルアクチベー
テイング フアクター(B−cell activating facto
r)、Bリンパ球分化因子(B−cell differationfacto
r )などの呼称で報告されてきた生理活性物質は、いず
れもインターロイキン−1(IL−1)なる呼称に統一
されることが決定された〔Cellular Immunol. ,
、433−436(1979)〕。この決定は、上記
各生理活性物質は物質として区別できず生理活性を異な
る角度から把えて表現していたにすぎないとの理由に基
づいている。 【0003】上記IL−1は、更に例えばTリンパ球や
Bリンパ球を活性化し、インターロイキン2の産生亢進
作用や抗体産生を亢進させる作用を有し、また肝細胞に
作用して蛋白質合成を亢進させる作用、プスタグランデ
イン産生を亢進させる作用等を有することも報告されて
いる〔Reviews of Infectious Disease,Vol. 6,
No. 1,51−59(1984)、New England.
J.of Med. ,311,1413(1984)等参
照〕。 【0004】しかして、物質としてのIL−1の本体に
関しては現在尚不明ではあるが、最近になってLAF活
性を有するポリペプチドもしくはその前駆体をコードす
る異なる2種の遺伝子の存在がようやく報告された〔P
roc.Natl.Acad .Sci. ,Vol. 81,7907−7
911(1984)、Nature .Vol. 315,641
(1985)、NucleicAcid Research ,Vol. 13
(16),5869(1985)〕。これらの報告は2
種の遺伝子の塩基配列から推定される159個のアミノ
酸配列を有する「IL−1α」と153個のアミノ酸か
らなる「IL−1β」を記している。 【0005】しかしながら、従来よりコンデイシヨンド
メデイウム(conditioned medium)もしくは部分精製
したと報告されるものの前述の生理活性と、上記塩基配
列から推定されるポリペプチドとの関連は、今尚明らか
にはされていない。 【0006】また、上記公知の生理活性物質としてのI
L−1は、内因性の発熱物質(endogeneous pyrogen :
EP)とも同一物質であるとされ、発熱性を示すことが
知られている〔Nature ,304,449(198
3);Cell.Immunol. ,63,164(1981);
J.Exp.Med.,150,709(1979);J.I
mmunol. ,130,(6)2708(1983);同,
132(3)1311(1984)等参照〕。この事実
から、従来の生理活性としてのIL−1はもとより、仮
に物質として均一なIL−1が提供されたとしても、そ
の医薬用途への適用は、極めて困難とされている。 【0007】本発明は医薬用途に有効に使用できる新し
い有用なIL−1β誘導体であるポリペプチドを提供し
ようとするものである。 【0008】本発明は新しいIL−1β誘導体であるポ
リペプチドの医薬用途を提供しようとするものである。 【0009】本発明は新しいIL−1β誘導体をコード
する遺伝子及びこれを用いて遺伝子工学的手法でIL−
1β誘導体であるポリペプチドを製造する方法を提供し
ようとするものである。 【0010】本発明はまた均質なIL−1β自身の新し
い医薬用途を提供しようとするものである。 【0011】上記本発明の目的及びそれら以外の本発明
の目的は以下の記載により明かにする。 【0012】本発明のIL−1β誘導体(ポリペプチ
ド)はインターロイキン−1βの下記(A)式で表わさ
れるアミノ酸配列に於て、 式(A) 【0013】 【化6】【0014】a)1位Ala、3位Val、4位Arg、5位
Ser、8位Cys、11位Arg、30位His、71位Cy
s、93位Lys、97位Lys、98位Arg、99位Ph
e、103位Lys、120位Trp、121位Tyr及び1
53位Serから選ばれた少なくとも1つのアミノ酸残基
が欠失されているか又は他のアミノ酸で置換されている
こと、 b)1位のAlaから9位のThrに至るアミノ酸配列又は
その中の少くとも1つのアミノ酸残基が欠失されている
こと(但し上記aに記載の1位Ala、3位Val、4位A
rg、5位Ser及び8位Cysから成る群から選ばれたアミ
ノ酸残基の少くとも1つが欠失されている場合を除
く)、 c)103位のLysから153位のSerに至るアミノ酸
配列又はその中の少くとも1つのアミノ酸残基が欠失さ
れていること(但し上記aに記載の103位Lys、12
0位Trp、121位Tyr及び153位Serから成る群か
ら選ばれたアミノ酸残基の少くとも1つが欠失されてい
る場合を除く)、 d)式(A)のN末端に、Met又は下記式(B)で示さ
れる1’位のMetから116’位のAspに至るアミノ酸
配列若しくはそのC末端側の一部のアミノ酸配列が付加
されていること、 式(B) 【0015】 【化7】【0016】というa)〜d)の条件の少くとも1つを
充足する改変されたアミノ酸配列を有することにより特
徴付けられる(但し、少くとも71位Cysが他のアミノ
酸で置換されたポリペプチドを除く)。 【0017】上記及び以下の本明細書に於けるアミノ酸
及びポリペプチドの表示は、IUPAC及びIUAC−
IUBによる命名法又は規則に於ける略号乃至当該分野
で慣用されている略号による表示法に従うものとする。
また塩基配列に於ける核酸の表示も同様とする。アミノ
酸の数又は位置は、欠落及び付加がある場合であって
も、全てIL−1βのアミノ酸配列即ち前記式(A)ア
ミノ酸配列に従って表示する。但しアミノ酸位置を示す
数値のうちダツシユを付したものは式(B)のアミノ酸
配列に従う。 【0018】本発明のIL−1β誘導体は、IL−1β
の前記式A)に示されるアミノ酸配列において、上記
a)〜d)の要件の1つ又は2以上を組み合わせて充足
するアミノ酸配列を含有する新規なポリペプチドであ
る。好ましい誘導体は前記要件a)〜c)の少くとも1
つを充足するアミノ酸配列を有するもの及びa)〜c)
の少くとも1つの要件とd)の要件とを同時に満足する
アミノ酸配列を有するものである。 【0019】本発明のIL−1β誘導体であるポリペプ
チドの好ましい具体例を挙げると次の通りである。 【0020】1)少くとも1位Alaが欠失されているか
又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0021】2)少くとも3位Valが欠失されているか
又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0022】3)少くとも4位Argが欠失されているか
又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0023】4)少くとも5位Serが欠失されているか
又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0024】5)少くとも8位Cysが欠失されているか
又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0025】6)少くとも11位Argが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0026】7)少くとも30位Hisが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0027】8)少くとも71位Cysが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0028】9)少くとも93位Lysが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0029】10)少くとも97位Lysが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0030】11)少くとも98位Argが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0031】12)少くとも99位Pheが欠失されている
か又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0032】13)少くとも103位Lysが欠失されてい
るか又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0033】14)少くとも120位Trpが欠失されてい
るか又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0034】15)少くとも121位Tyrが欠失されてい
るか又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0035】16)少くとも153位Serが欠失されてい
るか又は他のアミノ酸で置換されているポリペプチド。 【0036】17)1位のAlaから3位のValに至るアミ
ノ酸配列、1位のAlaから6位のLeuに至るアミノ酸配
列又は1位のAlaから9位のThrに至るアミノ酸配列が
少くとも欠失されているポリペプチド。 【0037】18)151位Valから153位Serに至る
アミノ酸配列、149位Glnから153位Serに至るア
ミノ酸配列、145位Aspから153位Serに至るアミ
ノ酸配列、141位Glnから153位Serに至るアミノ
酸配列、121位Tyrから153位Serに至るアミノ酸
配列又は103位Lysから153位Serに至るアミノ酸
配列が少くとも欠失されているポリペプチド。 【0038】19)式(A)のN末端にMet、式(B)で
表わされるアミノ酸配列77’位のMetから116’位
Aspに至るアミノ酸配列、71’位Metから116’位
Aspに至るアミノ酸配列、32’位Metから116’位
Serに至るアミノ酸配列又は1’位Metから116’位
Aspに至るアミノ酸配列を少くとも有するポリペプチ
ド。 【0039】上記本発明のIL−1β誘導体は、IL−
1βのアミノ酸配列の特定位置の特定アミノ酸が他のア
ミノ酸で置換されたアミノ酸配列を有するポリペプチド
を包含するが、この置換を行い得る他のアミノ酸は、人
体蛋白質を構成するα−アミノ酸であれば、いずれでも
よいが、中性アミノ酸であるのが好適である。但し、C
ysは、そのSH基に基づいて、分子内又は分子間ジスル
フイド結合を形成することがあり、これを考慮すれば該
アミノ酸はCys以外の上記アミノ酸であるのが好まし
い。特に好ましいものとして例えば4位Argの場合はG
lyを、8位Cysの場合はSer又はAlaを、11位Argの
場合はGlnを、30位Hisの場合はTyrを、71位Cys
の場合はSer、Ala又はValを、93位Lysの場合はL
euを、98位Argの場合はLeuを、103位Lysの場合
はGlnを、120位Trpの場合はArgを、121位Tyr
の場合はGlnを、それぞれ好ましいものとして例示する
ことができる。 【0040】本発明のIL−1β誘導体ならびに本明細
書に記載の方法に従い得られる均質なIL−1βは、例
えばLAF活性、腫瘍細胞増殖抑制活性(GIF活
性)、即ち腫瘍細胞に対して特異的にその増殖を抑制す
る活性、コロニー刺激因子(Colony stimulating fact
or:CSF)、インターフエロン(interferon:IF
N)、インターロイキン2(interleukin −2:IL−
2)、インターロイキン3(interleukin −3:IL−
3)等の種々のサイトカイン(cytokine)類の産生促進
活性、即ち例えばヒト細胞に作用してそれらサイトカイ
ン類の産生を著しく促進させる活性、抗炎症活性、特に
例えば関節炎モデル動物に投与することによって関節炎
の進行を効果的に抑制する活性、放射線障害防止作用、
即ち骨髄移植時の放射線全身照射、癌治療等における放
射線照射、放射線事故時における生体障害乃至は重篤な
副作用等を予防する作用乃至防止する作用等を有してい
る。本発明誘導体は上記各活性のいずれか少なくともひ
とつの点で優れているか、或いは(及び)より毒性が低
く副作用が少ない点で優れている。従って本発明誘導体
ならびに上記の均質なIL−1βは例えば抗体産生促進
やワクチンの効果増強等の免疫系刺激剤、抗腫瘍剤、例
えばCSF、IL−2及びIL−3等のサイトカイン産
生促進剤、抗炎症剤、放射線障害防止剤等の医薬品とし
て有用である。 【0041】殊に上記均質なIL−1β自身が関節炎等
の炎症に著効を示すという本発明による新たな知見は、
従来IL−1が炎症をメデイエートし、その惹起に関与
するとされていた事実によれば、おどろくべきことてあ
る。また、本発明誘導体は上記各活性のいずれか少なく
ともひとつの点で優れているか、或いは(及び)より毒
性が低く副作用が少ない点で優れている。 【0042】とりわけ、本発明誘導体は、CSF産生促
進剤として有効であり、これをヒトに投与するときに
は、ウィルス感染や抗原抗体反応等の危険性を生じるこ
となく、癌化学療法や放射線療法後の骨髄低形成による
顆粒球減少を有効に回復できる(顆粒球減少治療剤)。
上記CSF産生促進剤は、またその本来のCSF産生促
進作用により、CSFの作用に基づく各種疾病の予防及
び治療剤としても有効に利用できる。例えば、CSFは
顆粒球やマクロファージの機能を促進させる作用がある
〔ロペッツら(Lopez, A.F.et al.),J.Immuno
l.,131,2983(1983)、ハンダムら(Hand
am,E.et al.),同122,1134(1979)及び
バダスら(Vadas, M.A.et al.), 同130,79
5(1983)〕ので、種々の感染症の予防及び治療剤
として臨床応用が期待されており、上記CSF産生促進
剤も同様に臨床応用が期待される。 【0043】殊に、近年生体防御能が低下乃至障害され
た個体(compromised host)に、それまで無害であった
病原体が病原性を発揮して惹起される、所謂日和見感染
症(opportunistic infection 或いは terminal infec
tion)は、臨床的に問題となる病原体(起炎菌)がシュ
ードモナス(Pseudomonas)セラティア(Serratia)等
のグラム陰性桿菌、ヘルペス(Herpes simplex,HS
V)、バリセラ−ゾースタ(Varicella zoster,VZ
V)、サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus,CM
V)等のウイルス、キャンディダ(Candida albicans
)アスペルギルス(Aspergillus fumigatus)、ノカ
ルディア(Nocardia asteroidea)等の真菌、カリニ原
虫(Pneumocystis carinii)、トキソプラズマ(Toxop
lasma gondii)等の原虫等であり、現用の抗生物質中に
は、之等の病原菌に対して充分な効果を奏し難く、該日
和見感染症に対する新しい薬剤の研究開発が切望されて
いる。本発明誘導体は、かかる日和見感染症の予防及び
治療剤としても有用であり、特にかかる日和見感染症が
高頻度に見られる抗癌剤投与時、即ち急性白血病の化学
療法や骨髄移植時における各種の感染症、例えばガンジ
ダ症、クリプトコックス症、アスペルギルス症、接合菌
症、黒色真菌感染症、ウィルス感染症、サイトメガロウ
ィルス肺炎、之等の合併症等の予防及び治療剤として有
用なものである。更に本発明誘導体ならびに上記のIL
−1βは、上記医薬用途以外に、そのサイトカイン産生
促進活性に基づいて、例えば細胞株からの各種有用サイ
トカインのインビトロ(in vitro)製造に際して極めて
有効に使用し得る。かかる細胞株からの天然型サイトカ
インの製造は、ことに糖蛋白質であるサイトカインにお
いて着目されており、効率的にかつ大量に有用サイトカ
インを収得することができる本発明誘導体中、少くとも
71位Cysを置換乃至は欠失させたもの、特に上記Cys
を他のアミノ酸、例えばSer、Ala、Val等で置換した
ものは、高活性を示す。 【0044】また、少くとも4位Arg又は少くとも8位
Cysを置換乃至は欠失させた本発明誘導体、及び少くと
も103位以降の少なくともひとつのアミノ酸を欠失さ
せた本発明誘導体は、いずれもプロスタグランジンE
(PGE)産生促進作用が弱く、従って発熱作用等の副
作用ならびに毒性がより少ない特徴を有し、更に少くと
も4位Argを置換乃至は欠失させた本発明誘導体は、G
IFならびにLAF活性に比較して、CSF産生促進活
性ならびに抗炎症活性がより強い特徴を有している。 【0045】更に、本発明誘導体中、式(A)のN末端
に少くとも上記特定のアミノ酸もしくはポリペプチドが
付加したものは、GIF活性及びLAF活性に比してC
SF産生促進作用及び抗炎症作用がより高い特徴を有
し、しかも毒性が低く且つ作用の持続性の点で医薬品と
して、殊に経口剤乃至は座剤として利用する場合に、よ
り有効である。 【0046】更に、本発明誘導体、ことに少くとも8位
Cys及び/又は71Cysを置換乃至は欠失させたもの、
特に上記Cysを他のアミノ酸、例えばSer、Ala、Val
等で置換したものは、種々の条件下におけるIL−1受
容体への結合性において優れている。 【0047】尚、本発明誘導体の内でIL−1βに比し
その分子中にCysをより少なく含むか又は含まないもの
は、CysのSH基に基づく分子内もしくは分子間結合の
不要な形成を考慮すれば、より好ましいものである。 【0048】本発明のポリペプチドは、例えば遺伝子工
学的手法により製造することができる。即ち、前記本発
明に係わる特定のポリペプチドをコードする遺伝子を利
用し、これを微生物のベクターに組込んで該微生物細胞
内で、複製、転写、翻訳させることによって製造するこ
とができる。この方法は、特に大量生産が可能である点
より有利である。 【0049】上記方法において用いられる遺伝子は、通
常の方法、例えばホスフアイト トリエステル法〔ネイ
チヤー(Nature ),310,105(1984)〕等
の常法に従って、核酸の化学合成により全合成すること
もできるが、IL−1βもしくはその前駆体をコードす
る遺伝子を利用するのが簡便であり、該遺伝子より、上
記化学合成手段を含む常法に従って、前記特定のアミノ
酸配列をコードする核酸配列に改変することにより容易
に製造できる。 【0050】IL−1β又はその前駆体をコードする遺
伝子は公知(記述)であり、我々も我々の先の出願(特
願昭60−138281号)に記したようにIL−1β
をコードする遺伝子を得、これを用いて遺伝子工学的手
法でIL−1βを収得するに成功した。之等の一連の遺
伝子工学的手法は後記の参考例において明らかにする。 【0051】上記核酸(塩基)配列の改変操作も公知方
法に従えばよく、目的とするポリペプチドのアミノ酸配
列に応じて実施される〔遺伝子工学的手法としては、例
えば、Molecular Cloning Cold Spring Harbo
r Laboratory (1982)が参照される〕。 【0052】例えば、DNAの切断、結合、リン酸化等
を目的とする制限酵素、DNAリガーゼ、ポリヌクレオ
チドキナーゼ、DNAポリメラーゼ等の各種の酵素処理
等の常套手段等が採用でき、それら酵素は市販品として
容易に入手できる。之等各操作における遺伝子乃至核酸
の単離、精製も常法、例えばアガロース電気泳動法等に
従えばよい。また得られる遺伝子の複製は、一部後述す
るように通常のベクターを利用する方法に従えばよい。
また、所望のアミノ酸配列をコードするDNA断片や合
成リンカーは上記した化学合成により容易に製造でき
る。尚、上記において所望のアミノ酸に対応するコドン
は自体公知でありまたその選択は任意でよく、例えば利
用する宿主のコドン使用頻度等を考慮した常法に従えば
よい〔Nucl. Acids. Res. ,9,43−74(1
981)〕。またこれらの核酸配列のコドンを一部改変
するには、例えば常法どうり、15〜30マー程度の、
所望の改変をコードする合成オリゴヌクレオチドからな
るプライマーを用いたサイト−スペシフィック ミュー
タジエネシス(Site −Specific Mutagenesis)〔P
roc.Natl.Acad.Sci.,81,5662−5666(1
984)〕等の方法を採用することができる。 【0053】上記方法により得られる所望の遺伝子は、
例えばマキサム−ギルバートの化学修飾法〔Maxam−G
ilbert, Meth.Enzym.,65,499−560(198
0)〕やM13フアージを用いるジデオキシヌクレオチ
ド鎖終結法〔Messing, J.and Vieira,J.,Gene,
,269−276(1982)〕等により、その塩基
配列の決定及び確認を行なうことができる。 【0054】上記操作及び方法の具体例は、後記参考例
及び実施例に記述するが、該方法は特に限定されず、当
業界において周知の各種方法のいずれを採用してもよ
い。 【0055】かくして、本発明によれば前記した特定の
アミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする新規な
遺伝子も提供される(以下この遺伝子を「本発明遺伝
子」という)。 【0056】本発明のポリペプチドは、上記特定の遺伝
子(本発明遺伝子)を利用し、従来公知の一般的な遺伝
子組換え技術に従い製造できる。より詳細には、上記本
発明遺伝子が宿主細胞中で発現できるような組換えDN
Aを作成し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、該
形質転換体を培養すればよい。 【0057】ここで宿主細胞としては、真核生物及び原
核生物のいずれをも用いることができる。該真核生物の
細胞には、脊椎動物、酵母等の細胞が含まれ、脊椎動物
細胞としては、例えばサルの細胞であるCos細胞〔Y.
Gluzman,Cell,23,175−182(1981)〕
やチヤイニーズ・ハムスター卵巣細胞のジヒドロ葉酸レ
ダクターゼ欠損株〔G.Urlaub and L.A.Chasin
,Proc. Natl.Acad.Sci.,USA, ,421
6−4220(1980)〕等がよく用いられている
が、之等に限定される訳ではない。脊椎動物細胞の発現
ベクターとしては、通常発現しようとする遺伝子の上流
に位置するプロモーター、RNAのスプライス部位、ポ
リアデニル化部位及び転写終了配列等を保有するものを
使用でき、これは更に必要により複製起源を保有してい
てもよい。該発現ベクターの例としては、SV40の初
期プロモーターを保有するpSV2dhfr〔S.Subrama
ni, R.Mulligan and P.Berg,Mol. Cell.Bio
l., (9),854−864〕等を例示できるが、こ
れに限定されない。 【0058】また真核微生物としては酵母が一般によく
用いられており、その中でもサツカロミセス属酵母が有
利に利用できる。該酵母等の真核微生物の発現ベクター
としては、例えば酸性ホスフアターゼ遺伝子に対するプ
ロモーターを持つp AM82〔A.Miyanohara et a
l,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,80,1−5
(1983)〕等を好ましく利用できる。 【0059】原核生物の宿主としては、大腸菌や枯草菌
が一般によく用いられている。本発明では例えば該宿主
菌中で複製可能なプラスミドベクターを用い、このベク
ター中に本発明遺伝子が発現できるように該遺伝子の上
流にプロモーター及びSD(シヤイン・アンド・ダルガ
ーノ)塩基配列、更に蛋白合成開始に必要なATGを付
与した発現プラスミドが使用できる。上記宿主菌として
の大腸菌としては、エシエリヒア・コリ(Escherichia
coli)K12株等がよく用いられ、ベクターとしては
一般にpBR322がよく用いられるが、これに限定さ
れず、公知の各種の菌株及びベクターがいずれも利用で
きる。プロモーターとしては、例えばトリプトフアン・
プロモーター、PLプロモーター、lac プロモーター、
lpp プロモーター等を使用することができ、いずれの場
合にも本発明遺伝子を発現させることができる。 【0060】トリプトフアン・プロモーターを用いる場
合を例にとり詳述すれば、発現ベクターとしてトリプト
フアン・プロモーター及びSD配列を持つベクターpT
M1〔今本文男、代謝、Vol. 22,289(198
5)〕を使用し、SD配列の下流に存在する制限酵素C
laI部位に、必要に応じてATGを付与した所望のポリ
ペプチドをコードする遺伝子を連結させればよい。 【0061】尚、直接発現系に限らず、例えばβ−ガラ
クトシダーゼやβ−ラクタマーゼ等を利用する融合蛋白
質発現系によることもできる。 【0062】かくして得られる発現ベクターの宿主細胞
への導入及びこれによる形質転換の方法としては、一般
に用いられている方法、例えば主として対数増殖期にあ
る細胞を集め、CaCl2処理して自然にDNAを取り
込みやすい状態にして、ベクターを取込ませる方法等を
採用できる。上記方法においては、通常知られているよ
うに形質転換の効率を一層向上させるためにMgCl2
やRbClを更に共存させることもできる。また、宿主
細胞をスフエロプラスト又はプロトプラスト化してから
形質転換させる方法も採用することができる。 【0063】かくして得られる所望の形質転換株は、常
法に従い培養することができ、該培養により、所望のポ
リペプチドが生産、蓄積される。該培養に用いられる培
地としては、通常の細胞培養に慣用される各種の培地の
いずれでもよく、その具体例としては、例えばL培地、
E培地、M9培地等及び之等に通常知られている各種の
炭素源、窒素源、無機塩、ビタミン類等を添加した培地
を例示できる。尚、上記トリプトフアン・プロモーター
を用いた場合には、一般にプロモーターが働くようにす
るためにカザミノ酸を添加した、例えばM9最小培地を
用いて培養することができ、該培地中には培養の適当な
時期にインドールアクリル酸等のトリプトフアン・プロ
モーターの働きを強めるための薬剤を添加することもで
きる。 【0064】このようにして得られる活性物を含有する
培養物からの目的ポリペプチド、即ち本発明ポリペプチ
ドの精製、単離は常法に従って行なうことができる。
尚、本発明ポリペプチドを宿主から抽出するに当って
は、例えば浸透圧シヨツク法等の温和な条件を採用する
のが、その高次構造保持の面からより好ましい。 【0065】上記精製、単離は、例えば当該ポリペプチ
ドの物理、化学的性質を利用した各種の処理操作に従い
実施することができる〔例えば「生化学データーブツク
II」pp1175〜1259、第1版第1印刷、1980
年6月23日、株式会社東京化学同人発行参照〕。該方
法としては、具体的には例えば通常の蛋白沈澱剤による
処理、限外濾過、分子ふるいクロマトグラフイー(ゲル
濾過)、液体クロマトグラフイー、遠心分離、電気泳
動、アフイニテイクロマトグラフイー、透析法、之等の
組合せ等を採用できる。 【0066】より具体的には、上記操作は、例えば以下
のごとくして実施できる。即ち、まず培養上清より予め
目的とするポリペプチドを部分精製する。この部分精製
は、例えばアセトン、メタノール、エタノール、プロパ
ノール、ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒
や酢酸、過塩素酸(PCA)、トリクロロ酢酸(TC
A)等の酸を蛋白沈澱剤として用いる処理、硫酸アンモ
ニウム、硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等の塩析剤
を用いる処理及び/又は透析膜、平板膜、中空繊維膜等
を用いる限外濾過処理等により行なわれる。之等の各処
理の操作及び条件は、通常のこの種方法のそれらと同様
のものとすればよい。 【0067】次いで上記で得られた粗精製物を、ゲル濾
過に付すことにより目的物質の活性が認められる画分を
収得する。ここで用いられるゲル濾過剤としては、特に
限定はなく、例えばデキストランゲル、ポリアクリルア
ミドゲル、アガロースゲル、ポリアクリルアミド−アガ
ロースゲル、セルロース等を素材とするものをいずれも
利用できる。之等の具体例としては、セフアデツクスG
タイプ、同LHタイプ、セフアロースタイプ、セフアク
リルタイプ(以上、フアルマシア社)、セルロフアイン
(チツソ株式会社)、バイオゲルPタイプ、同Aタイプ
(バイオ−ラド社)、ウルトロゲル(LKB社)、TS
K−Gタイプ(東洋曹達株式会社)等の市販品を例示で
きる。 【0068】目的とするポリペプチドは、上記ゲル濾過
により得られる活性画分を、例えばハイドロキシアパタ
イトカラムを用いたアフイニテイークロマトグラフイ
ー、DEAE法、CM法、SP法等のイオン交換カラム
クロマトグラフイー、クロマトフオーカシング法、逆相
高速液体クロマトグラフイー等に付すことにより、又は
之等各操作の組合せにより更に精製することができ、均
質な物質として単離することができる。 【0069】上記クロマトフオーカシング法は、公知の
各種方法により実施できる。カラムとしては、例えばP
BE94(フアルマシア社製)等を、開始緩衝液として
は、例えばイミダゾール−塩酸等を、また溶出液として
は、例えばポリバツフアー74(フアルマシア社製)−
塩酸(pH4.0)等を使用できる。 【0070】上記逆相高速液体クロマトグラフイーは、
例えばC4ハイポアー逆相HPLCカラム(バイオ−ラ
ド社(Bio−Rad Laboratories ))等を用いて、移
動剤としてアセトニトリル、トリフルオロ酢酸(TF
A)、水等及び之等の混合溶媒を用いて実施できる。 【0071】かくして本発明IL−1β誘導体(ポリペ
プチド)を単離、収得できる。IL−1βをコードする
遺伝子から同種の遺伝子組換え操作でIL−1βを収得
できる。 【0072】得られる本発明ポリペプチド又はIL−1
βは、前述した如く優れた薬理活性を有することから、
前述した各種の医薬用途に有用な医薬製剤とすることが
できる。斯かる医薬製剤にはたとえば抗体産生やワクチ
ン効果の増強並びに免疫不全症の治療等の免疫刺激剤、
抗腫瘍剤、サイトカイン類の産生促進剤、抗炎症剤、放
射線障害防止剤、日和見感染症治療剤等が包含される。
該医薬製剤は、通常本発明ポリペプチド又はIL−1β
の薬理有効量と共に適当な医薬製剤担体を配合して製剤
組成物の形態に調製される。該製剤担体としては使用形
態に応じた製剤を調製するのに通常慣用される充填剤、
増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤等の賦形
剤乃至は希釈剤をいずれも使用できる。製剤組成物の形
態は、これが本発明ポリペプチド又はIL−1βを効果
的に含有する状態であれば、特に限定はなく、例えば錠
剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤等の固剤であつてもよいが、
通常液剤、懸濁剤、乳剤等の注射剤形態とするのが好適
である。またこれは使用前に適当な担体の添加によって
液状となし得る乾燥品とすることもできる。之等の製剤
組成物はいずれも常法に従い調製され得る。 【0073】得られる医薬製剤は、該製剤組成物の形態
に応じた適当な投与経路、例えば注射剤形態の医薬製剤
は、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内投与等により
投与され、固剤形態の医薬製剤は、経口乃至は経腸投与
され得る。医薬製剤中の有効成分の量及び該製剤の投与
量は、該製剤の投与方法、投与形態、使用目的、之を適
用される患者の症状等に応じて適宜選択され、一定では
ないが、通常有効成分を約1〜80重量%程度含有する
製剤形態に調製して、この製剤をこれに含有される有効
成分量が一日成人一人当り約0.1μg〜10mg程度
となる範囲で投与するのが望ましい。該投与は、一日1
回である必要はなく一日3〜4回に分けることもでき
る。 【0074】 【実施例】以下、IL−1βを製造する参考例及び本発
明誘導体を製造する実施例を挙げて、本発明を更に詳し
く説明する。 【0075】下記各例では、本発明誘導体に関して、之
等を簡略化するため、以下の略号を付した。 【0076】また、以下の各例において各種生理活性
は、次の方法により測定した。 【0077】 【化8】【0078】 【化9】【0079】 【化10】【0080】 【化11】【0081】 【化12】 【0082】〈活性の測定〉 (1)IL−1活性の測定 オツペンハインら(J.J.Oppenhein et al)の方法
〔J.Immunol.,116,1466(1976)〕に従
い、C3H/HeJ系マウスの胸腺細胞を利用して測定
したLAF活性により表示した。 【0083】(2)GIF活性の測定 96ウエルマイクロプレート(コーニング社)に種々の
濃度に希釈した供試液0.1mlを入れ、次に各ウエル
にヒトメラノーマ細胞A375を2×104個/mlの
濃度で含有する10%FCSを含むイーグルスMEM浮
遊液0.1mlを加え、炭酸ガス培養器(ナフコ社製)
内で4日間培養する。培養終了後、0.05%ニユウト
ラルレツド(和光純薬社製)0.05mlを各ウエルに
加え、37℃で2時間培養する。上澄液を除去した後、
リン酸緩衝生理食塩水0.3mlを各ウエルに静かに加
えてウエルを洗浄する。洗浄液を除去した後、各ウエル
にリン酸1ナトリウム−エタノール等量混合液0.1m
lを加え、マイクロミキサーで数分間振盪し、細胞内に
取込まれた色素量を、96ウエル−マイクロタイトレー
シヨンプレート用光度計(タイターチエツクマルチスキ
ヤン、フロウラボラトリーズ社製)を用いて、吸光度5
40mμにて測定し、増殖抑制活性を求める。対照群
(コントロール群)の細胞増殖の50%抑制を示す試験
群、即ち対照群の吸光度測定値の1/2の吸光度測定値
を示す試験群、の希釈率の逆数をとり、これをGIF活
性単位とする。従つて例えばこの GIF活性が10単
位の場合、この供試液は10倍希釈してもなお細胞増殖
を50%抑制する活性を有する。 【0084】参考例1 プラスミドpGIF−αの製造 (1)ヒトリンパ球の調製 ヒト末梢血を採血し、フイコール・ハイパークの密度勾
配遠心法〔Eur.J.Immunol.,808(197
4)〕により末梢血リンパ球1.9×1010個を得た。 【0085】このリンパ球を4×108/mlの細胞濃
度で、ヒト血清5%を含むRPMI1640培地に懸濁
させ、直径9cmのシヤーレに分注後、5%炭酸ガス中、
37℃で1時間培養した。その後、シヤーレ底部に付着
していない細胞を除去し、ウシ胎児血清10%、TPA
(シグマ(Sigma)社製)0.5ng/ml及びLPS
(デイフコ(Difco)社製)10μg/mlを含むRP
MI1640培地にて細胞を刺激した。5%炭酸ガス
中、37℃で4時間培養した後、PBS及び0.02%
EDTAにて付着性リンパ球9×108個を得た。 【0086】(2) mRNAの調製 上記(1)で得たヒト付着性リンパ球を、6M−グアニジ
ンチオシアネート溶液(6M−グアニジンイソチオシア
ネート、5mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)、
0.1M2−メルカプトエタノール、0.5%ザルコシ
ル(Sarkosyl )30mlにて溶解後、G18G注射針
をつけた50ml注射筒を用いてDNAをせん断した。
この溶液に塩化セシウム(Cs Cl)12gを添加し、
完全に溶解させた後、その6.4mlずつを5.7M
Cs Cl(5.7M Cs Cl−0.1MEDTA)4
mlに重層し、ベツクマンローター(Beckman SW−
40Ti rotor )にて25℃で31500rpm で20時
間遠心した。沈澱したRNAのペレツトを70%エタノ
ールで洗浄後、TE溶液(10mMトリスHCl,pH
7.5,1mM EDTA)に溶解し、1/9容の3M
酢酸ナトリウム(pH5.2)及び2.2容のエタノー
ルを加えて、−70℃で1時間放置した。4℃にて15
000rpm で20分間遠心し、RNAを回収し、TE溶
液に溶解させた。 【0087】かくして付着性リンパ球約9×108細胞
から、全RNA250μgを得た。 【0088】次に、上記で得たRNAからmRNAを取
得するために、オリゴ(dT)−セルロース(Collabo
rative Research Inc.)を用いてカラムクロマトグ
ラフイーを行なつた。吸着は、10mMトリスHCl
(pH7.5),0.5MNaCl,1mM EDTA
にて行ない、カラムを同溶液にて洗浄後、10mMトリ
スHCl(pH7.5)及び1mM EDTAにてRN
Aを溶出させた。 【0089】この結果、溶出されたm RNA量は、1
7.5μgであつた。 【0090】(3)cDNAの調製 上記(2)で得たmRNAから、cDNAを、インビトロ
で合成し、オカヤマ−ベルグのプラスミドベクター〔O
kayama,H.and Berg,P.,Mol.Cell.Biol.,
161(1982)〕を用いて組換え体DNAを作成
し、これをエシエリヒア・コリにトランスホームして、
cDNAライブラリーを作製した。各手法は次の通りで
ある。 【0091】(3)−1)ベクター・プライマーとリンカ
ーDNAの調製 pBR322−SV40(0.71〜0.86)DNA
400μgを、KpnI(NEB)700単位で、37℃
で5時間消化し、0.25M EDTA(pH8.0)
40μlと10%SDS20μlとの混液で反応を停止
させた後、等容のフエノール−クロロホルム(1:1)
で抽出し、エタノールにてDNAを沈澱させ、遠心後、
70%エタノールで洗浄し、DNAを回収した。得られ
たDNAを140mMカコジル酸ナトリウム,30mM
トリスHCl(pH6.8),1mMCoCl2,0.
1mMDTT及び0.25mMdTTP(α−32P−d
TTP 0.5μCi を含む)200μlに溶解させ、
ターミナルトランスフエラーゼ(TTase ,PL)40
0単位にて30分間dT鎖の伸長を行なわせ、0.25
M EDTA20μlと10%SDS 10μlとを加
えて反応を停止させ、フエノール−クロロホルム抽出を
4回繰返した後、エタノール沈澱にてDNAを回収し
た。この結果、dT鎖は約70塩基伸長された。 【0092】次に、上記で得たDNAを、HpaI(NE
B)17単位を用いて、37℃で6時間消化し、アガロ
ース(低融点アガロース,BRL,1%)電気泳動にて
約2.7kbのDNA断片の回収を行なつた。 【0093】電気泳動後、エチジウムブロマイド0.5
μg/mlにてDNAを染色し、UV照射下で約2.7
kbの断片を含むアガロースを切り出し、5倍容の20m
MトリスHCl(pH8.0)−1mM EDTAを加
え、65℃で5分間でアガロースを溶解後、フエノール
抽出、フエノール−クロロホルム(1:1)抽出及びク
ロロホルム抽出を順次行ない、エタノール沈澱にてDN
Aを回収した。 次にオリゴ(dA)セルロースカラム
クロマトグラフイーでベクタープライマーDNAの精製
を行なつた。上記DNAを10mMトリスHCl(pH
7.3)−1mM EDTA−1M NaCl緩衝液1
mlに溶かし、氷冷した後、同緩衝液で平衡化したカラ
ムに載せ、同緩衝液1mlで洗浄後、室温に戻して、1
0mMトリスHCl(pH7.3)−1mM EDTA
で、DNAを溶出した。溶出のピーク画分を集め、エタ
ノール沈澱にてDNAを回収後、10m MトリスHCl
(pH7.3)−1mM EDTA100μlに溶か
し、4℃で保存した。 【0094】リンカーDNAを次の通り調製した。即
ち、 pBR322−SV40(0.19〜0.32)
DNA100μgを、PstI(NEB)120単位で、
37℃下、1.5時間消化後、反応を停止させ、フエノ
ール−クロロホルム抽出、エタノール沈澱を行なつた。
DNAを回収し、140mMカコジル酸ナトリウム、3
0mMトリスHCl (pH6.8)、1mM CoC
2、0.1mM DTT、0.25mMdGTP(1
μCi のα−32P−dGTPを含む)50μlに溶解
し、TTase 60単位を20分間作用させた。この結
果、18残基のdG鎖が付加された。反応停止後、DN
Aを回収し、Hind III(宝酒造)50単位で消化し、
前記したようにアガロース(1.8%)電気泳動で約
0.28kbのDNA断片を回収し、2.3μgのリンカ
ーDNAを得た。 【0095】(3)−2)cDNAの合成とcDNAライ
ブラリーの作製 RNA5μgを減圧乾燥した後、5mMトリスHCl
(pH8.3)10μlに溶解し、65℃で5分間加熱
した。直ちに37℃に移し、反応混合液20μl(50
mMトリスHCl(pH8.3)、8mM MgC
2、30mM KCl、0.3mM DTT、2mM
dNTP、10μCi α−32P−dCTP)を加え、
5分間37℃にて保温した。 【0096】RTase(リバーストランスクリプター
ゼ、生化学工業社製)10単位を加え、37℃で15分
間反応させた後、再度RTase 10単位を加え、更に1
5分間保温した。0.25mM EDTA(p8.0)
2μlと10%SDS1μlとを加えて反応を停止させ
た後、フエノール−クロロホルム抽出を行ない、4M酢
酸アンモニウム20μlとエタノール80μlとを加
え、15分間−70℃で凍らせた後、室温で融解し、1
5000rpm、4℃で10分間遠心し、沈澱させた。沈
澱を10mMトリスHCl(pH7.3)20μlに溶
かし、4M酢酸アンモニウム19μlとエタノール80
μlとを加えて再沈澱させた。 【0097】沈澱を回収し、70%エタノールで洗つた
後、140mMカコジル酸ナトリウム、30mMトリス
HCl(pH6.8)、1mM CoCl2、0.1m
MDTT、0.2μgポリA及び66μM〔α−32P〕
dCTP(10μCi)15μlに溶解した。TTase
(P.L.)18単位を加え、37℃で5分間反応させ
た後、0℃に急冷し、0.25M EDTA1.3μl
と10%SDS 0.65μlとで反応を停止させ、フ
エノール−クロロホルム抽出及びエタノール沈澱を行な
つた。 【0098】沈澱を遠心して回収後、Hind III(宝酒
造)4単位で37℃で2時間消化し、反応停止後、フエ
ノール−クロロホルム抽出し、エタノール沈澱を行なつ
た。沈澱を回収後、10mMトリスHCl(pH7.
3)及び1mM EDTAの10μlに溶かし、エタノ
ール3μlを加え、−20℃で保存した。 【0099】上記で得た試料1μlをリンカーDNA5
ngと共に、10mMトリスHCl(pH7.5)−1m
M EDTA−0.1M NaCl 10μl中で、6
5℃で2分間、次いで42℃で30分間保温した後、0
℃に冷却した。これに20mMトリスHCl(pH7.
5)、4mM MgCl2、10mM(NH42SO4
0.1M KCl、0.1mM β−NAD、50μg
/mlBSA及び6単位/mlエシエリヒア コリDN
Aリガーゼの混合溶液を90μl加え、全液量を100
μlとし、12℃で一夜保存した。 【0100】次いで、10mM dNTP 0.5μ
l、 10mM NAD 0.56μl、エシエリヒア
・コリDNAポリメラーゼI(ベーリンガーマンハイム
社製)0.5μl及びRNase H(PL)0.2μlを
加え、12℃及び25℃で順次1時間ずつ保温した後、
−20℃で凍結保存した。 【0101】エシエリヒア コリHB101株を、LB
培地(バクト−トリプトン10g、バクト−イースト抽
出物5g及びNaCl 10g/l)にて、OD550
0.45まで培養し、5分間氷冷後、4℃で8000rp
mで5分間遠心して菌体を回収した。菌体のペレツトを
氷冷した30mM酢酸カリウム、100mM RbC
l、10mM CaCl2、50mM MnCl、15%
グリセリンに懸濁させ、0℃で5分間保ち、4℃、80
00rpm 、5分間遠心し、得られた菌体を、10mM
MOPS(モルホリノプロパンスルホニツクアシツ
ド)、75mM CaCl2、10mM RbCl、1
5%グリセリンに再度懸濁させ、0℃にて15分間保温
して、コンピテント細胞を作製した。かくして得られた
コンピテント細胞は、その後−70℃で保存した。 【0102】凍結菌液を室温で融解し、400μlの菌
液に対して上記DNA試料20μlを加え、30分間0
℃に放置した後、42℃で90秒間熱シヨツクを与え、
再び0℃で1〜2分間静置した。これにLB培地2ml
を加え、37℃で30分間保温し、50容のLB培地に
植菌し、37℃で6時間培養した後、50μg /mlに
なるようにアンピシリンを加え、更に一夜培養し、cD
NAライブラリーを作製した。このcDNAライブラリ
ーは、50%グリセリン中で−20℃にて保存した。 【0103】(3)−3)合成プローブの作製 IL−1βをコードするcDNAを有する形質転換株の
選出のためのプローブとして、下記核酸配列に対する相
補的な塩基配列(最下段に示す)を、以下の方法により
合成した。 【0104】 【化13】 【0105】即ち、N,N−ジアルキルメチルホスホロ
アミダイト誘導体を縮合ユニツトとして用いた、固相ホ
スフアイト トリエステル法〔Nature,310,105
(1984)〕にて、自動合成機(380A DNA
Synthesizer,Applied Biosystems Inc.,Foster
City,California 94404,USA)を用いて、目
的とする完全保護DNAを合成した。続いて該完全保護
DNAを28%アンモニア水で55℃で10時間処理す
ることにより、5’末端のOH基に結合している保護基
としてのDMTr(ジメトキシトリチル)基以外の保護
基(A、G、Cのアミノ基のアシル基をさす)を脱保護
させ、部分保護DNA(DMTr体)を得た。次いでこ
のDMTr体をC18を担体とする逆相HPLCにより精
製した後、80%酢酸で室温で10分間処理して上記D
MTr基を脱離させ、続いて得られる塩基を、7M尿素
を含む10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動及びバイ
オ−ゲルP−30(バイオ−ラド社製)により精製し
て、目的のDNA(60mer)を得た。 【0106】上記で得たDNA6μgを、50μlの反
応溶液(50mMトリスHCl(pH7.6)、10m
M MgCl2、10mM 2−メルカプトエタノー
ル、0.2mg/ml子牛胸腺DNA、50μCi〔γ
21P〕−ATP)中で、T4ポリヌクレオチドキナー
ゼ(宝酒造)12単位と、37℃にて1時間反応させ、
DNAの5′末端をラベルした。ラベルされたDNAと
未反応の32Pを分別するために、バイオゲルP−30
(バイオ−ラド社)によるカラムクロマトグラフイーを
行なつた。ラベルされたDNA画分を1/9容の3M酢
酸ナトリウムと2.5容のエタノールにて沈澱させ、遠
心して、回収後、10mMトリスHCl(pH8.0)
−1mM EDTA 400μlに溶解し、−20℃で
保存した。 【0107】得られたプローブの比活性は107cpm /
μgDNA以上であつた。 【0108】(3)−4)cDNAライブラリーのスクリ
ーニング アンピシリン50μg/mlを含むLB寒天培地上に径
80mmのニトロセルロースフイルター(ミリポアHAI
F08250)を置き、この上にフイルター当り500
0コロニーになるように希釈した前記cDNAライブラ
リー菌液をまき、37℃にて一夜培養した。フイルター
は、合計24枚を作製した。 【0109】コロニーの出現したフイルターに新しいニ
トロセルロースフイルターを載せることによつて、レプ
リカフイルターを作製した。 【0110】元のフイルター(マスターフイルター)
を、4℃にて保存し、レプリカフイルターを、上記した
寒天培地上で37℃で6時間培養後、クロラムフエニコ
ール200μg/mlを含むLB寒天培地上に移し替
え、37℃で一夜培養した。 【0111】フイルターを、0.5N NaOH、1M
トリスHCl(pH8.0)及び1MトリスHCl(p
H8.0)−1.5M NaClの順で処理し、風乾
後、80℃真空下で2時間ベーキングを行なつた。 【0112】ベーキング済みのフイルターを、1.2M
NaCl、0.12Mクエン酸3ナトリウム、10m
g/mlフイコール(Ficoll )、10mg/mlポリ
ビニルピロリジン、10mg/ml BSA、0.1%
SDS及び0.1mg/mlサルモン スペラム(Sal
mon Sperm)DNAの20ml中で軽く振盪しながら、
68℃にて一夜保温した。溶液を1.2M NaCl、
0.12Mクエン酸3ナトリウム、10mg/mlフイ
コール(Ficoll )、10mg/mlポリビニルピロリ
ジン、10mg/ml BSA、0.1%SDS及び1
6cpm /mlプローブに替え、42℃で一昼夜軽く振
盪し、ハイブリダイゼーシヨンを行なつた。 【0113】ハイブリダイゼーシヨンの終わつたフイル
ターを取り出し、1.2M NaCl、0.12Mクエ
ン酸ナトリウム、0.1%SDSにて室温で3回洗浄
し、その後、60℃で同溶液にてフイルターのバツクグ
ラウンドのカウントがGMサーベイメーターで200cp
mになるまで洗浄した。 【0114】フイルターを風乾後、増感紙を用いてX線
フイルム(フジRX)に−70℃にて2日間オートラジ
オグラムを行なつた。 【0115】フイルムを現像後、シグナル領域に存在す
るコロニーをマスターフイルターよりかき取り、上記の
方法を繰返してポジテイブシグナルを有するコロニーの
単離を行ない、強いシグナルを有するクローンI−2を
単離した。 【0116】(3)−5)クローンの解析 クローンI−2の有するプラスミドpGIF−αのcD
NAの制限酵素地図を作製した。 【0117】その結果を図1に示す。 【0118】図1よりcDNA中には、NcoI(日本ジ
ーン)、Hind III (日本ジーン)、PvuII(日本ジー
ン)及びAccI(日本ジーン)により切断される個所が
それぞれ1個所ずつ存在し、5’末端よりその順序で之
等制限酵素による切断個所が存在していることが確認さ
れた。また、cDNAの長さは、約1.5kbであり、分
子量約18kdのIL−1を充分にコードできることが判
った。 【0119】次に、pGIF−αのcDNAの塩基配列
を、マキサム−ギルバートの化学修飾法及びM13フア
ージを用いるジデオキシヌクレオチド鎖終結法にて決定
した。その結果を次式に示す。 【0120】 【化14】【0121】 【化15】【0122】 【化16】【0123】 【化17】【0124】上記図より、合成プローブと相補的な領域
が5’末端より312番目〜371番目に存在(図に下
線を付して示す)し、ヒトコドン使用頻度から導いた塩
基配列に75%の相同性を示した。 【0125】また、pGIF−αのc DNA中の最長の
リーデイングフレーム(reading frame)を検索したと
ころ、5’末端より57番目から771番目の領域であ
る。 【0126】上記ヒトIL−1前駆体蛋白質をコードす
るcDNAを有するプラスミドpGIF−αは、これを
エシエリヒア・コリ(Escherichia coli )χ1776
株に保有させ、該株を工業技術院微生物工業技術研究所
(微工研)に、「Escherichia coli χ1776/pG
IF−α」なる名称で、微工研条寄第948号(FER
M BP−948)として寄託されている 参考例2 ポリペプチドIの製造 上記参考例1で得たプラスミドpGIF−αを、制限酵
素AccI及びClaIにより切断した後、約1.2キロベ
ースペアー(kbp)のDNA断片をアガロースゲル電気
泳動により単離精製した。このDNA断片をDNAポリ
メラーゼI(クレノー断片)を用いて、制限酵素AccI
及びClaI切断部分を平滑末端とした。 【0127】一方BamHIリンカー( 5’HOCGGAT
CCGOH 3’)の5’末端をT4ポリヌクレオチドキナ
ーゼによりリン酸化し、これを先の平滑末端としたDN
A断片に、T4DNAリガーゼを用いて連結した後、制
限酵素BamHIで切断し、更に制限酵素MspIで切断
し、得られた反応物をアガロースゲル電気泳動に付し、
約540ベースペア(bp)のMspI−BamHI DNA
断片を単離精製した次に、下記オリゴデオキシヌクレオ
チド(I)及び(II)を以下のようにして合成した。 【0128】 5’HOCGATAATGGCTCCTGTACGTTCTCTGAACTGC ACTCTCOH 3’ (I) 5’HOCGGAGAGTGCAGTTCAGAGAACGTACAGGAGC CATTATOH 3’ (II) 即ち、マクロポーラスシリカに結合した5’−O−ジメ
トキシトリチル及びN−保護デオキシヌクレオシド(ア
プライド バイオシステムズ社製)を出発原料とし、
3’側より5’側へ5’−O−ジメトキシトリチル及び
N−保護デオキシモノヌクレオシド−3’−ホスホアミ
ダイトを縮合単位として、自動合成機(アプライド バ
イオシステムズ社製、380A DNAシンセサイザ
ー)を用いて順次、ヌクレオチド鎖を延長させた。続い
てチオフエノールを用いた処理による脱メチル化及び2
8%アンモニアを用いた室温での処理により、シリカよ
りヌクレオチドを脱離させ、完全保護オリゴヌクレオチ
ドを得た。以上の操作はすべて自動合成機を用いて行な
つた〔Hunkapiller等、Nature ,310,105(1
984)〕。 【0129】次いで、得られた完全保護オリゴヌクレオ
チドを28%アンモニア水2mlで55℃で10時間処
理してN−保護基を脱離させ、5’−O−ジメトキシト
リチルオリゴヌクレオチドを得た。この1/5量を用い
て、ODS(山村化学研究所社製)を担体とする逆相高
速液体クロマトグラフイーにより精製後、80%酢酸1
50μlで室温で20分間処理して粗オリゴヌクレオチ
ドを得た。これをODSを担体とする逆相高速液体クロ
マトグラフイーにより更に精製して、目的とするオリゴ
ヌクレオチドを得た。 【0130】上記で合成した合成オリゴデオキシヌクレ
オチド(I)及び(II)の各5’末端を、T4ポリヌク
レオチドキナーゼによりリン酸化し、上記で得たMspI
−BamHI DNA断片に、T4DNAリガーゼを用い
て連結後、制限酵素BamHI及びClaIで切断し、得ら
れた反応物をアガロースゲル電気泳動に付して、約58
0bpのClaI−BamHIDNA断片を単離精製した。 【0131】他方、プラスミドp TMI〔今本文男,代
謝,Vol. 22,289(1985)〕を、制限酵素B
amHI及びClaIで切断後、アガロースゲル電気泳動に
よりtrp プロモーター領域を含む約4.4kbp のDNA
断片を単離精製した。このDNA断片と、先に調製した
約580bpのClaI−BamHIDNA断片とを、T4D
NAリガーゼで連結して所望のポリペプチドI発現用プ
ラスミドp trp GIF−αを得た。 【0132】該プラスミドを、エシエリヒア・コリーH
B101にトランスフオームさせ、目的のトランスフオ
ーマントを、ボイリング法(boiling method)により得
られるプラスミドDNAの制限酵素分析により選択した
〔T.Maniatis ,E.F.Fritsch and J.Sambr
ook ,Molecular Cloning,pp366,Cold Sprin
g Harfor Laboratory,(1982)〕。 【0133】以上の概略を図2に示す。 【0134】また上記トランスフオーマントに組込まれ
たプラスミドp trp GIF−αは、これをエシェリヒア
・コリχ1776にトランスフオームさせ、該形質転換
体を、「Escherichia coliχ1776/p trp GIF
−α」なる名称で1985年12月12日に工業技術院
微生物工業研究所に微工研条寄第949号(FERMB
P−949)として寄託した。 【0135】(2)形質転換体の培養 上記形質転換体(エシェリヒア・コリHB101/p tr
p GIF−α)を、アンピシリン50μg/ml及びL
−トリプトフアン20μg/mlを含むLB培地(1%
トリプトン、0.5%酵母エキス及び0.5%Na C
l)10ml中で、37℃で一晩振盪培養し、この1m
lをアンピシリン50μg/ml及び1%カザミノ酸を
含むM9最小培地(0.6%Na2HPO4、0.3%K
2PO4、0.05%NaCl、0.1%NH4Cl、
2mM MgSO4、0.2%グルコース及び0.1m
M CaCl2)50mlに植菌し、37℃で振盪培養
し、550nmでの吸光度(O.D.)が1.0となつた
時点で菌体を集め、15%シユークロース−50mMト
リスHCl(pH8.0)−50mM EDTA(pH
8.0)の溶液5mlに懸濁させ、10mg/mlリゾ
チーム〔10mMトリスHCl(pH8.0)で溶解し
た溶液〕500μlを加え、更に0.3%トリトンX1
00−187.5mM EDTA(pH8.0)−15
0mMトリスHCl(pH8.0)の溶液5mlを加
え、室温で15分間放置後、更によく懸濁させ、遠心分
離によつてGIF活性を有する菌体抽出物上清を得た。 【0136】(3)ポリペプチドIの精製イオン交換クロマトグラフイー(CM−HPLC) 上記で得た菌体抽出物上清を50mM酢酸ナトリウム緩
衝液(pH5.5)で透析後、ギルソンハイパーフオー
マンス リキツド クロマトグラフイー システム(ギ
ルソン(Gilson )社製)によるイオン交換クロマトグ
ラフイー(CM−HPLC)にかけた。その条件は次の
通りである。カラム:IEX−535CM(6.0×1
50mm、東洋曹達社製)溶離液:A液=50mM酢酸ナ
トリウム(pH5.5、B液=0.5M NaCl含有
50mM酢酸ナトリウム(pH5.5)流 速:0.5
ml/分 フラクシヨン容積: リテンシヨンタイム 0〜 60分…2ml/4分/チユーブ 60〜120分…0.5ml/分/チユーブ 120〜180分…2ml/4分/チユーブ 逆相高速液体クロマトグラフイー 上記CM−HPLCで得たリテンシヨンタイム90〜9
1分の画分を、次いで逆相高速液体クロマトグラフイー
に付した。その条件は、次の通りである。 【0137】カラム:C4ハイポアー逆相カラム(RP
304)バイオ−ラド社、直径4.6×250mm溶離
液:A液=0.1%TFA、B液=アセトニトリル:1
%TFA(9:1) 流 速:1ml/分 チヤートスピード: リテンシヨンタイム 0〜50分…5分/cm 50〜80分…2分/cm フラクシヨン容積:2ml/2分/チユーブ リテンシヨンタイムが63.9〜65.3分に、GIF
活性に一致する単一の蛋白の吸光度ピークを示す目的の
ポリペプチドIが得られた。 【0138】得られたポリペプチドIは、IL−1活性
を有し、その比活性は、GIF活性として2.7×10
7単位/mg蛋白であった。 【0139】(4)ポリペプチドIの同定SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PA
GE) Laemmli,U.K.の方法〔Nature ,277,680
(1970)〕に従い、上記(3)で得たポリペプチド
IのSDS−PAGEを行なつた。その条件は次の通り
である。 【0140】試 料:上記逆相高速液体クロマトグラフ
イーににおけるポリペプチドI画分を乾固した後、ラエ
メリーのサンプル バツフアー〔1/20体積の2−メ
ルカプトエタノールを含む(2ME+)又は含まない
(2ME-)〕に溶解し、100℃で4分間処理した。 【0141】ゲル:厚さ1.5mmの15%ポリアクリル
アミドゲルを使用した。 【0142】電気泳動装置:バイオ−ラド(Bio−Ra
d)社製プロテアンを用いた。 【0143】泳動条件:40mAの定電流で2時間泳動
させた。 【0144】泳動後のゲルをバイオ−ラド社製シルバー
スタインキツト(Silver stain kit )を用いて染色し
た。その結果、ポリペプチドIは2ME+下においては
約17Kの位置に、また2ME-下においては約17.
5Kの位置にそれぞれ単一のバンドとして泳動された。 【0145】等電点電気泳動法(IEF) ポリペプチドIの等電点電気泳動を、pH範囲3.5〜
9.5のアンフオラインPAGプレート(LKB社製)
及びモデル1415(バイオ−ラド社製)を用いて行な
つた。その条件は次の通りである。 【0146】試 料:前記(3)で得たポリペプチドI
の0.037μg、0.074μg及び0.74μgの
各々、及び以下のマーカープロテイン(pIマーカープ
ロテイン)の計4レーンを使用した。 【0147】〈マーカープロテイン〉アミログルコシダ
ーゼ(3.50)、大豆トリプシンインヒビター(4.
55)、β−ラクトグロブリンA(5.20)、ウシ
カルボニツク アンヒドラーゼ(bovine carbonic anhy
drase )B(5.85)、ヒト カルボニツク アンヒ
ドラーゼ(human carbonic anhydrase)B(6.5
5)、ウマ ミオグロビン−アシデイツクバンド(hors
e myoglobin-acidic band )(6.85)ウマ ミオグ
ロビン−ベイシツクバンド(horse myoglobin-basic ba
nd)(7.35)、レンチル レクチン−アシデイツク
バンド(lentil lectin-acidic band )(8.15)、
レンチル レクチン−ミドルバンド(lentillectin-mid
dle band)(8.45)、レンチル レクチン−ベイシ
ツクバンド(lentil lectin-basic band)(8.65)
及びトリプシノーゲン(9.30)。 【0148】電極液:陽極液=1M H3PO4 陰極液=1M NaOH 泳動条件:定電力1W/cmゲル幅で90分間冷却下
(10℃)に泳動させた。 【0149】染 色:染色は、シルバー スタイン キ
ツトで行なつた。 【0150】上記泳動後、ゲルを1cm間隔でスライス
し、蒸留水1mlにて振盪抽出(2日)し、pHを測定
し、等電点を算出した。 【0151】その結果、ポリペプチドIの等電点(p
I)は6.8±0.1であり、この位置に単一のバンド
として泳動された。 【0152】アミノ酸組成比 上記(3)の逆相高速液体クロマトグラフイーにより得
られたポリペプチドI画分の30μlを、12mm×1
20mmのパイレツクス製肉厚硬質試験管の底部に注意
深く入れ、水酸化ナトリウム粒を入れたデシケーターに
て減圧乾燥した。乾燥試料の入つた試験管に4N−メタ
ンスルホン酸〔0.2%の3−(2−アミノエチル)イ
ンドール含有、ピアース(Pierce)社製〕50μlを
加え、0.1〜0.2mmHgで1分間脱気後、減圧封管
した。加水分解は118℃のヒーター中で24時間を要
して行なつた。開管後、4N−水酸化ナトリウム46μ
lで中和し、希釈用クエン酸緩衝液で450μlとし
た。 【0153】アミノ酸分析は、アミノ酸アナライザー
(日立製作所製、日立835型分析計)を用い、上記試
料溶液250μlを注入して行なつた。分離されたアミ
ノ酸は、オルトフタルアルデヒド法で検出した。また定
量は、試料の前後に分析した標準アミノ酸で作成した検
量線によつて行なつた。 【0154】その結果を、Pheを基準(9モル)とし
て、各アミノ酸の含有モル比で下記第1表に示す。尚、
上記分析条件下においては、Pro及びCysは測定できな
い。またSer、Thr及びMetについては、上記分析条件
下での回収率を()内に示した。 【0155】第 1 表ア ミ ノ 酸 モ ル 比 Asp及び/又はAsn 17.1 Ser 10.9(80%) Thr 5.4(90%) Glu及び/又はGln 23.8 Gly 8.3 Ala 5.0 Val 10.8 Met 5.5(90%) Ile 4.9 Leu 15.1 Tyr 3.9 Phe ( 9 ) Lys 14.9 His 0.9 Trp 0.8 Arg 3.0アミノ酸配列 上記(3)の逆相高速クロマトグラフイーで得たポリペ
プチドI画分の150μlを、アプライドバイオシステ
ムズ社製プロテインシークエンサーにて分析した。生じ
たPTH−アミノ酸を、33%アセトニトリル水溶液1
00〜50μlにて適宜希釈し、その5μlをウオータ
ーズ710B型オートサンプラーにて注入した。クロマ
トグラフイーのシステムは、ベツクマン112型ポンプ
2台を、421型コントローラーで作働させた。カラム
はウルトラスフエアーODS−5μm の充填された2m
m×250mmを用い、カラムヒーターにて55℃に保
つた。流速は0.3ml/分とし、20mM酢酸ナトリ
ウムとアセトニトリルとの混合液を用い、グラジエント
溶出法で分離し、269nmでモニターした。分析は45
分とした。 【0156】20サイクルの分析の結果、前記(3)で
得たポリペプチドIのN末端20個のアミノ酸配列は、
以下のものであると認められた。 【0157】Ala−Pro−Val−Arg−Ser−Leu−A
sn−Cys−Thr−Leu−Arg−Asp−Ser−Gln−Gln
−Lys−Ser−Leu−Val−Met− 尚、Serは副生物の一つで確認し、更に322nmに吸収
を示すデヒドロ体としての確認も行なつた。サイクル8
では副生物のピークからCysであると推定し、更に元の
試料をカルボキサミドメチル化した後の分析でCysと確
認した。 【0158】また、ポリペプチドIをトリプシンで消化
して得たペプチド断片につき、それらのアミノ酸組成を
分析し、C端部ペプチドも欠損することなく、正確に含
まれていることを確認した。 【0159】即ち、ポリペプチドI 60μgを1%炭
酸水素アンモニウム600μlに溶解し、該溶液に、予
め1%炭酸水素アンモニウムに溶解させたトリプシン
(0.2mg/ml、クーパー社製)溶液の 20μl
を加え、37℃で24時間放置してトリプシン切断ペプ
チドを得た。このペプチド混合物を、逆相HPLC〔C
−18,300オングストローム,4.6×150m
m;0.1%TFAをA液及び1%TFA1/10容を
含むアセトニトリルをB液として、該B液を1%/3分
の割合で増加させるプログラムにより溶出させる〕に付
し、B液が40%までで全ての成分を単離した。之等の
ペプチドをアミノ酸分析に供した。このアミノ酸組成か
ら予想される全てのペプチド断片が同定でき、特にC端
部ペプチドについては、塩基性アミノ酸が含まれておら
ず、そのアミノ酸組成の結果は、予想されるアミノ酸を
正確に含んでいたことから、前記(3)で得られたポリ
ペプチドIのC端部は、予想された通りに正確であるこ
とが確認された。 【0160】また、各ペプチド断片につき、上記と同様
にしてそれらのアミノ酸配列を分析した。その結果、確
認された配列は全てIL−1βに一致した。確認された
ペプチド断片につき、之等をIL−1βのアミノ酸番号
により次に示す。 【0161】〈確認されたペプチド断片(アミノ酸番
号)〉1〜4、5〜11、12〜16、17〜27、2
8〜63、64〜65、66〜74、75〜88、89
〜92、95〜98、99〜103、104〜109、
110〜138、139〜153 以上の結果から、前記(3)で得たポリペプチドIは、
前記定義の配列で特定されるポリペプチドIであること
が確認された。尚、ポリペプチドIの分子量の計算値
は、17376.59である。 【0162】実施例1 本発明IL−1β誘導体の製造 (1) ポリペプチドVIの製造 上記参考例2で得たp trp GIF−αを利用して、サイ
ト−スペシフイツクミユータジエネシス(Site −Spe
cific Mutagenesis)〔Proc.Nat. Acad.Sci.,
,5662−5666(1984)〕の方法に従い、
IL−1β(ポリペプチドI)のアミノ末端から71番
目のCysをSerに変更したポリペプチドVIを以下の通り
製造した。 【0163】即ち、M13mp11フアージベクターを、
一本鎖(ss)DNA鋳型として用いた。まず、プラスミ
ドp trp GIF−αより、EcoRI/BamHIDNAフ
ラグメントを切り出し、M13mp11フアージ(RF)
のEcoRIとBamHIの制限酵素サイトにクローニング
し、これから一本鎖(ss)DNA(M13−GIF−
α)を得、これをミユータジエネシスの鋳型とした。 【0164】合成オリゴヌクレオチド〔5’−CTGT
CCTCAGTGTTG−3’(プライマー)〕を、T
4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化し、これをssM
13−GIF−α DNAとハイブリダイズし、アニー
リング後、dNTPsの存在下、DNAポリメラーゼI
(クレノーフラグメント)及びT4DNAリガーゼで各
々処理し、15℃で18時間インキユベートした。 【0165】得られたDNAをJM105コンピテント
細胞にトランスフオームし、生じたコロニーを、寒天プ
レート上に50コロニー植菌し、37℃で18時間培養
した。生育したコロニーを含むフイルターを通常の方法
によりアルカリ変性し、乾燥後、80℃で2時間ベーキ
ング処理を行なった。このフイルターをプレハイブリダ
イズした後、このものと、上記プライマーの5’末端を
32P−r −ATPでラベルした32P−プローベとを、室
温でハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたフイ
ルターを、6×ssc バッフアーで、室温で10分間、次
いで37℃で10分間各々洗浄し、乾燥後、−70℃で
18時間オートラジオグラフイーを行なった。 【0166】変異した5クローンの内から代表としてM
13−GIF−71s を選びこれをJM105に感染さ
せて培養し、ssDNA及びRF DNAを調製した。 【0167】上記で得たssDNAのM13ジデオキシチ
ェイン ターミネーション シークエンシングにより目
的の遺伝子の変異の確認を行なった。 【0168】また上記RF DNAにおいて、新しくで
きた制限酵素DdeIサイトも確認できた。 【0169】JM105で増殖させたRF DNAよ
り、 EcoRI/BamHIフラグメントを調製し、これ
を前記(1)と同様にして発現プラスミドに組込み、所
望のポリペプチドVI発現プラスミド(p trp GIF−α
−71S)を得た。 【0170】該プラスミドは、これをエシエリヒア・コ
リHB101に保有させ、該株は微工研に「Esherichi
a coli HB101/p trp GIF−α−71S」なる
名称で微工研寄第1296号(FERM BP 129
6)として寄託されている。 【0171】このプラスミドを用いて、参考例2−
(2)と同様にして、菌体抽出物上清を得、該上清のG
IF活性を測定した。その結果、培養液1ml当りのG
IF活性(単位/ml培養液)は、エシェリヒア・コリ
HB101を宿主として2.4×106であつた。 【0172】これより、参考例2−(3)と同一の手段
により、目的のポリペプチドVIを単離、精製した。 【0173】(2) ポリペプチドIVの製造 プラスミドp trp GIF−αを利用して上記(1)と同様
にして、ポリペプチドIVを製造した。 【0174】即ち、M13mp11フアージベクターを、
一本鎖(ss)DNA鋳型として用いた。まずプラスミド
p trp GIF−αより、EcoRI/BamHIDNAフラ
グメントを切り出し、M13mp11フアージ(RF)の
EcoRIとBamHIの制限酵素サイトにクローニング
し、これから一本鎖(ss)DNA(M13−GIF−
α)を得、これをミュータジェネシスの鋳型とした。 【0175】合成オリゴヌクレオチド〔5’−CTGA
ACTCGACTCTC−3’(プライマー)〕を、T
4ポリヌクレオチドキナーゼでリン酸化し、これをssM
13−GIF−α DNAとハイブリダイズし、アニー
リング後、dNTPsの存在下、DNAポリメラーゼI
(クレノーフラグメント)及びT4DNAリガーゼで各
々処理し、15℃で18時間インキユベートした。 【0176】得られたDNAをJM105コンピテント
細胞にトランスフオームし、生じたコロニーを、寒天プ
レート上に100コロニー植菌し、37℃で18時間培
養した。生育したコロニーを含むフイルターを通常の方
法によりアルカリ変性し、乾燥後、80℃で2時間ベー
キング処理を行なった。このフイルターをプレハイブリ
ダイズした後、このものと、上記プライマーの5’末端
を、32P−r−ATPでラベルした32P−プローベと
を、室温でハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせ
たフイルターを、6×ssc バッフアーで、室温で10分
間、次いで37℃で10分間各々洗浄し、乾燥後、−7
0℃で18時間オートラジオグラフイーを行なった。 【0177】変異した4クローンの内から代表としてM
13−GIF−8Sを選びこれをJM105に感染させ
て培養し、ssDNA及びRF DNAを調製した。 【0178】上記で得たssDNAのM13ジデオキシチ
ェイン ターミネーシヨン シークエンシングにより目
的の遺伝子の変異の確認を行なった。 【0179】また上記RF DNAにおいて、新しくで
きた制限酵素Hinf Iサイトも確認できた。 【0180】JM105で増殖させたRF DNAよ
り、 EcoRI/BamHIフラグメントを調製し、これ
を参考例2−(1)と同様にして発現プラスミドに組込
み、所望のポリペプチドIV発現プラスミド(p trp GI
F−α−8S)を得た。 【0181】このプラスミドを用いて、参考例2−
(2)と同様にして、菌体抽出物上清を得た。該上清の
GIF活性は、宿主してエシェリヒア・コリHB101
を用いた場合、1.2×105単位/ml培養液であ
り、エシェリヒア・コリW3110を用いた場合、6.
2×105単位/ml培養液であつた。 【0182】上記上清より、参考例2−(3)と同一の
手段により、目的のポリペプチドVIを単離、精製した。 【0183】(3) ポリペプチドVの製造 上記(1)及び(2)で得たプラスミドp trp GIF−α−7
1S及びp trp GIF−α−8Sの各々を、制限酵素E
coRI及びHind III で切断後、p trp GIF−α−8
Sから約400bpのDNAフラグメントを、またp trp
GIF−α−71Sから約4600bpのDNAフラグメ
ントをそれぞれ取り出し、両者をライゲーシヨンして、
IL−1β(ポリペプチドI)のN末端から8番目及び
71番目のCysをいずれもSerに変更させた所望のポリ
ペプチドVの発現用プラスミドptrp GIF−α−8S
71Sを得た。 【0184】このプラスミドを用いて、参考例2−
(2)と同様にして、菌体抽出物上清(エシェリヒア・
コリHB101を宿主とする場合はGIF活性として
1.4×104単位/ml培養液、またエシェリヒア・
コリW3110を宿主とする場合はGIF活性として5
×105単位/ml培養液)を得、これより参考例2−
(3)と同一の手段により、目的のポリペプチドVを単
離、精製した。 【0185】(4) ポリペプチドIIの製造 上記(1)と同様にして、5’−GCTCCTGTAGG
TTCTCTG−3’をプライマーとして用いることに
より、ポリペプチドII発現用プラスミドp trpGIF−
α−4Gを得た。 【0186】該プラスミドは、これをエシエリヒア・コ
リHB101に保有させ、該株は微工研に「Esherichi
a coli HB101/p trp GIF−α−4G」なる名
称で微工研寄第1297号(FERM BP 129
7)として寄託されている。 【0187】該プラスミドを用いて、参考例2−(2)
と同様にして菌体抽出物上清(エシェリヒア・コリHB
101を宿主として、GIF活性として2.8×105
単位/ml培養液)を得、これより参考例2−(3)と
同一の手段により、目的のポリペプチドIIを単離、精製
した。 【0188】この精製操作において、CM−HPLCの
主ピークの前半部の再クロマトグラフイーによりポリペ
プチドXXXXVIIIを精製品として得た。ポリペプチド
XXXXVIIIは、ポリペプチドIIと同程度のCSF産生
促進活性を有し、同様に、GIF活性、LAF活性及び
PGE産生促進活性がいずれも低い特徴を示した。 【0189】(5) ポリペプチドIII の製造 上記(1)と同様にして、5’−GCACTCTCCAG
GACTCACA−3’をプライマーとして用いること
により、ポリペプチドIII発現用プラスミドp trp GI
F−α−11Qを得た。 【0190】該プラスミドを用いて、参考例2−(2)
と同様にして菌体抽出物上清(エシェリヒア・コリHB
101を宿主として、GIF活性として2.8×106
単位/ml培養液)を得、これより参考例2−(3)と
同一の手段により、目的のポリペプチドIIIを単離、精
製した。 【0191】(6) ポリペプチドVIIの製造 上記(1)と同様にして、5’−TCTTCAACTAG
ATAGAA−3’をプライマーとして用いることによ
り、ポリペプチドVII発現用プラスミドp trpGIF−α
−102CTを得た。 【0192】該プラスミドを用いて、参考例2−(2)
と同様にして菌体抽出物上清(エシェリヒア・コリHB
101を宿主として、GIF活性として7.4×104
単位/ml培養液)を得、これより参考例2−(3)と
同一の手段により、目的のポリペプチドVIIを単離、精
製した。 【0193】(7) ポリペプチドVIIIの製造 上記(1)と同様にして、5’−AAAGGCGGCTA
GGATATAA−3’をプライマーとして用いること
により、ポリペプチドVIII発現用プラスミドptrp GI
F−α−140CTを得た。 【0194】該プラスミドを用いて、参考例2−(2)
と同様にして、エシェリヒア・コリW3110を宿主と
して用いることにより、菌体抽出物上清(GIF活性と
して5.8×103単位/ml培養液)を得、これより
参考例2−(3)と同一の手段により、目的のポリペプ
チドVIIIを単離、精製した。 【0195】また、上記プラスミドp trp GIF−α−
140CTを、エシェリヒア・コリHB101を宿主と
して発現させることによつて、同様に菌体抽出物上清
(GIF活性として1.3×106単位/ml培養液)
が得られ、これより上記と同様にしてポリペプチドIが
単離、精製された。 【0196】尚、上記において、エシェリヒア・コリH
B 101を宿主とする場合には、ナンセンスサプレツ
サーとしてSupEが働き、UAGの終止コドンがGlnと
して読まれて(read throughされて)ポリペプチドIが
発現される。一方宿主をエシェリヒア・コリW3110
とする場合には、SupE遺伝子がコードされていないた
め、上記UAGが終止コドンとして働き、140個のア
ミノ酸配列からなるポリペプチドVIIIが発現される。 【0197】(8) ポリペプチドI〜VIIIの同定 前記(1)〜(7)で得られた本発明のIL−1β誘導体(ポ
リペプチドI〜VIII)につき、参考例2−(4)と同様
にしてSDS−PAGE(18%ポリアクリルアミドゲ
ル、2ME+)を行なった。 その結果、ポリペプチド
I〜ポリペプチドVIIは、いずれも約17.5kdの位置
に、またポリペプチドVIIIは約16kdの位置に、それぞ
れ単一のバンドとして泳動された。 【0198】また、ポリペプチドIのGIF活性に対す
る中和抗血清(参考例2−(3)で得たポリペプチドI
を通常の方法に従い、家兎に免疫して作製した抗血清、
以下同じ)を用いたウエスタンブロツテイング〔Weste
rn blotting,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,76
1420(1979)〕により、ポリペプチドI〜ポリ
ペプチドVIIIの各々を、相当する位置に単一のバンドと
して確認した。 【0199】実施例2 (1) 参考例2−(1)で得た形質転換体(エシエリヒ
ア・コリHB101/p trp GIF−α)を、アンピシ
リン50μg/ml及びL−トリプトフアン20μg/
mlを含むLB培地400ml中で37℃で一晩培養
し、この400mlを1%カザミノ酸を含むM9最小培
地20lに植菌し、37℃で8.5時間培養した。 【0200】遠心分離により集菌し、得られる菌体を1
M Na2HPO4に懸濁させ、一夜冷室に放置した後、
10mMトリスHCl緩衝液(pH8.0)に対して2
日間透析した。 【0201】得られた透析液を遠心分離(10000rp
m 、30分間)して上清を得た。 【0202】大腸菌培養液300l分に相当する上記上
清を集め、これを100mM酢酸でpH5.0に調製し
た後、SP−ゼータプレツプ250カートリツジ〔LK
B社製〕に付し、流速30ml/分で始め、10mM酢
酸ナトリウム(pH5.3)で100分、続いて0.1
M NaClを含む50mM酢酸ナトリウム(pH5.
5)で220分、更に1M NaClを含む50mM酢
酸ナトリウム(pH5.5)でそれぞれ溶出させた。各
分画をHPLCによりチェックし、目的物の含まれてい
るフラクション、即ち0.1M NaClを含む50m
M酢酸ナトリウム(pH5.5)のフラクション(フラ
クションNo.8〜10)を集めた。 【0203】これを100mM酢酸でpH4.5とした
後、HPLC〔東洋曹達株式会社製、TSKゲルSP−
5PW、5.5×20cm〕に付し、下記条件で溶出させ
て、リテンションタイム(r.t.)65〜72分の分画を
採取した。 【0204】 溶離液A:50mM 酢酸ナトリウム(pH5.5) 溶離液B:0.5M NaCl含有50mM酢酸ナトリ
ウム(pH5.5) 流 速 :30ml/分 かくしてポリペプチドIの精製品を得た。 【0205】これを、限外濾過(YM−5メンブラン)
により、20mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.
0)の溶液組成となるように緩衝液を交換しつつ、濃縮
(20mg/ml)した。 【0206】更に、ポジタインフイルターNFZ(日本
ポール社製)を装着した濾過装置に、上記濃縮液を供し
て滅菌濾過した後、パイロジエンが100pg/mg蛋
白以下の精製品を得た。 【0207】上記精製法により、大腸菌培養液300l
より、ポリペプチドIの約3gを収得した。 【0208】(2) 上記(1)のHPLC(SP−5PW)
の溶出において、メインピークの前半のフラクション
(r.t.64〜65分)を採取し、これを再度クロマトグ
ラフイーに付すことにより、ポリペプチドXを得た。
2.7×106GIF単位/mg蛋白。 【0209】また同様に、メインピークの後半のフラク
ション(r.t.72〜76分)より、ポリペプチドXIを
得た。2.8×107GIF単位/mg蛋白。 【0210】(3) 上記(1)及び(2)で得られたポリペプ
チドI、X及びXIのアミノ酸分析を、参考例2−
(4)と同様にして行なった。結果を下記第2表に示
す。 【0211】またポリペプチドX及びXIについては、
参考例2−(4)におけるアミノ酸配列分析と同様にし
て、それらのN末端部配列を確認、同定した。 【0212】 【化18】【0213】(4) ポリペプチドIは、分子内に2個の
Cys(8位及び71位)を有している。之等Cysの側鎖
SH基の存在状態を、下記方法により調べた。 【0214】a .参考例2−(3)で得たポリペプチド
Iの約5ナノモル相当(0.1M NaClを含有する
50mM酢酸ナトリウム(pH5.5)溶液100μ
l)を、A、B及びCの3本の試験管にそれぞれ分取
し、各試験管に0.1MトリスHCl(pH8.45)
を含有させた6Mグアニジン塩酸溶液各300μlを加
えた。 【0215】次に試験管A及びBには、6Mグアニジン
塩酸溶液25μlを加えてブランクとし、試験管Cには
還元剤であるジチオスレイトール2μモルを含む6Mグ
アニジン塩酸溶液25μlを加え、各試験管に1分間窒
素ガスを吹込んだ後、50℃で2時間放置した。 【0216】次いで、試験管Aには、ブランクとして、
6Mグアニジン塩酸溶液25μlを、試験管B及びCに
はヨードアセトアミド4μモルを含む6Mグアニジン塩
酸溶液25μモルを加え、各試験管に1分間窒素ガスを
吹込んだ後、暗所で25℃下に30分間放置した。 【0217】上記の通り処理した試験管A、B及びC
に、それぞれ10%TFA5μlを加え、逆相HPLC
(C3)により蛋白質を精製した。 【0218】精製蛋白質の約1/10量を試験管に取
り、乾燥後、4N−メタンスルホン酸にて加水分解し、
アミノ酸組成を調べた。 【0219】その結果、試験管B及びCからは、カルボ
キシメチルシステインが、ほぼ同量検出された。このこ
とから、試験管AではポリペプチドIはそのままの状態
であるのに対し、試験管B及びCでは、S−カルボキサ
ミドメチル化−ポリペプチドIに変化したことが確認で
き(試験管Bは還元剤にさらしていないので)、従って
ポリペプチドIに含まれるCysは、ジスルフィド(S−
S)結合を本形成していないことが判った。 【0220】更に、上記試験管A、B及びC中の生成物
の残量(%)を乾燥後、これらにそれぞれ1%重炭酸ア
ンモニウム溶液600μlを加えて溶解させて、各々1
μg/5μl濃度に調製した。之等各液にトリプシン溶
液7.5μlをそれぞれ加え、37℃で20時間酵素消
化を行なった。その後、各液に10%TFA10μlを
加え、酵素反応を停止させ、逆相HPLC(C18)に
て、ペプチド断片を分離した。 【0221】その結果、試験管B及びCはほぼ同じパタ
ーンを示し、試験管Aは之等とは異なるパターンを示し
た。 【0222】上記で単離した各ペプチドのアミノ酸組成
を、前記と同様にして求めた結果、試験管Aのペプチド
断片から、Cys1個を含まなければ生じないポプチドの
存在を確認した。 【0223】以上の結果から、ポリペプチドIのCys残
基は、分内及び分子間のいずれでもジスルフィド結合を
形成していないことが確認された。 【0224】b .エルマン法〔Ellman 法、Arch.Bio
chem.Biophys.,82,70(1959)〕に従い、以
下のごとくしてポリペプチドIのSH基の定量を行なっ
た。 【0225】即ち、参考例2−(3)で得たポリペプチ
ドIの200μg(11.5μモル)を、6M塩酸グア
ニジン及び1−mM EDTAを含む0.1MトリスH
Cl緩衝液(pH8.0)1mlに溶解させた。一方、
新鮮な0.01M DTNB〔5,5’−ジチオビス
(2−ニトロベンゾイック アシッド〕を含む0.05
Mリン酸緩衝液(pH7.0)(以下これを「エルマン
試薬」という)を調製した。 【0226】対照セルに6N塩酸グアニジン及び10m
M EDTAを含む0.1MトリスHCl緩衝液(pH
8.0)1mlを、また試料セルにポリペプチドIを含
む上記溶液1mlをそれぞれ導入し、その各々にエルマ
ン試薬各40μlを加えて混合し、直ちに412nmにお
ける吸光度を測定した。最大吸光度になった後、DTN
Bの分解による吸光度の減少を「0」に補正して、SH
基の濃度を決定したその結果、実際に得られた412nm
での吸光度は0.328であった。 【0227】一方、6M塩酸グアニジンを含む水溶液中
での3−カルボキシレート−4−ニトロチオフエノレー
ト(3−calboxylate −4−nitrothio-phenolate )イ
オンのε412は、13880M-1cm-1であり〔Eur. J.
Biochem.,30,32(1972)〕、このことよ
り、ポリペプチドI溶液のSH基は、0.000024
5(M/e )であり、ポリペプチドIの11.5μモル
中にSH基が24.5μモル存在することとなることが
判った。 【0228】上記より、ポリペプチドIに含まれるCys
は、共に遊離のSH基を有していることが確認された。 【0229】尚、ポリペプチドIを水又はPBS(−)
に溶解し、凍結乾燥を3〜4回繰返した場合において
も、GIF活性及び上記エルマン法によるSH基の定量
値には、殆んど変化は認められなかった。 【0230】(5) 遺伝子組換え技術に従い、大腸菌等
で多量に異種蛋白質を発現させる場合、その蛋白質は大
腸菌の菌体中に不溶性物質(inclusion body)として蓄
積されることが多く、このような場合には、目的蛋白質
を菌体から採取するに当って、例えば7M塩酸グアニジ
ン、8M尿素又は0.1%SDS等の変性剤を使用する
過激な条件下での処理が必要となる。しかるに、この様
な処理によれば、目的蛋白質は、その高次構造を含め
て、不可逆的な損傷を受けるおそれが多分にある。従っ
て、できる限り上記の如き変性剤を使用することなく、
温和な条件下で目的蛋白質を単離抽出できることが、上
記遺伝子組換え技術上の重要な関心事である。しかし
て、前記した(1)に示す方法によれば、目的蛋白質の抽
出単離を、浸透圧ショックという非常に温和な条件の採
用により行なうことができ、この点で該方法は極めて好
ましい。また該方法に従い得られる目的蛋白質は、より
天然に近い高次構造を保持されており、この点からも望
ましいものである。 【0231】(6) 実施例1−(1)に準じて、プラスミド
p trp GIF−αを利用したサイト−スペシフィックミ
ュータジェネシスにより、下記3表に示す各ポリペプチ
ド(本発明IL−1β誘導体)を得た。尚、各ポリペプ
チドの発現、GIF活性の測定及び精製は、上記(1)に
従うものであり、SDS−PAGEは参考例2−(4)
に示す方法に準じた。以下の各例でも特筆しない限り同
様である。 【0232】 【化19】【0233】 【化20】【0234】(7) 実施例1−(6)で得たプラスミドp tr
p GIF−α−102CTを用いて、宿主をエシェリヒ
ア・コリW3110として、同様に発現及び精製して本
発明IL−β誘導体であるポリペプチドXXXを得た。
約11.4kd(SDS−PAGEによる、以下同じ)。 【0235】(8) プラスミドp trp GIF−α−4G
を利用し、プライマーとして5’−GCACTCTCC
AGGACTCACA−3’を用いて、上記(6)と同様
にしてポリペプチドXIV発現用プラスミドp trp GIF
−α−4G11Qを得た。該プラスミドを用いて、エシ
ェリヒア・コリHB101を宿主として、同様に発現
(2.7×105GIF単位/ml培養液)及び精製し
て、本発明IL−1β誘導体であるポリペプチドXIVを
得た。 【0236】約17.5kd。 【0237】(9) 実施例1−(3)に準じて、プラスミド
p trp GIF−α−4G及びp trp GIF−α−98L
を用いて、ポリペプチドXV発現用プラスミドp trp G
IF−α−4G98Lを得た。 【0238】即ち、上記両プラスミドを制限酵素EcoR
I及びHind III で切断後、p trpGIF−α−4Gか
ら約400bpのDNAフラグメントを、またp trp GI
F−α−98Lから約4.6kbp のDNAフラグメント
をそれぞれ取り出し、両者をライゲーションさせた。 【0239】プラスミドp trp GIF−α−4G98L
を用いて、エシェリヒア・コリW3110を宿主として
同様に発現及び精製して本発明IL−1β誘導体である
ポリペプチドXVを得た。約17.5kd。 【0240】〔10〕 上記(9)において、プラスミドp
trp GIF−α−4Gの代りにプラスミドp trp GI
F−α−11Q(その約400bpのDNAフラグメント
を使用)を用いて、同様にしてポリペプチドXVI発現用
プラスミドp trp GIF−α−11Q98Lを得た。該
プラスミドを用い同様にして本発明IL−1β誘導体で
あるポリペプチドXVIを得た。約17.5kd。 【0241】〔11〕 上記(9)において、プラスミドp
trp GIF−α−4Gの代りにプラスミドp trp GI
F−α−4G11Qを用いて、該プラスミドからの約4
00bpのDNAフラグメントを使用して、同様にしてポ
リペプチドXIII発現用プラスミドp trp GIF−α−
4G11Q98Lを得た。該プラスミドを用い同様にし
て本発明IL−1β誘導体であるポリペプチドXIIIを
得た。約17.5kd。 【0242】〔12〕 実施例1−(3)に準じて、プラ
スミドp trp GIF−α−8A及びp trp GIF−α−
71Sを用いて、ポリペプチドXXXVI発現用プラスミ
ドp trpGIF−α−8A71Sを得た。 【0243】即ち、上記両プラスミドを制限酵素EcoR
I及びHind IIIで切断後、p trpGIF−α−8Aから
約400bpのDNAフラグメントを、またp trp GIF
−α−71Sから約4.6kbp のDNAフラグメントを
それぞれ取り出し、両者をライゲーションさせた。 【0244】プラスミドp trp GIF−α−8A71S
を用い、エシェリヒア・コリHB101を宿主として同
様に発現(8.7×105GIF単位/ml培養液)及
び精製して本発明IL−1β誘導体であるポリペプチド
XXXVIを得た。約17.5kd。 【0245】〔13〕 上記〔12〕において、プラス
ミドp trp GIF−α−71Sの代りにプラスミドp tr
p GIF−α−71A(その約4.6kbp のDNAフラ
グメントを使用)を用い、同様にしてポリペプチドXX
XVII 発現用プラスミドp trpGIF−α−8A71A
を得た。該プラスミドを保有するエシエリヒア・コリH
B101は微工研に「Escherihia coli HB101/
ptrp GIF−α−8A71A」なる名称で微工条
研第1298号(FERM BP 1298)として寄
託されている。該プラスミドを用い同様に発現(1.6
×106GIF単位/ml培養液)及び精製して本発明
IL−1β誘導体であるポリペプチドXXXVII を得
た。約17.5kd。 【0246】〔14〕 上記〔12〕において、プラス
ミドp trp GIF−α−71Sの代りにプラスミドp tr
p GIF−α−71Vを用いて、該プラスミドからの約
4.6kbp のDNAフラグメントを使用し、同様にして
ポリペプチドXXXVIII発現用プラスミドp trp GI
F−α−8A71Vを得た。該プラスミドを用いて同様
に発現(2.1×106GIF単位/ml培養液)及び
精製して本発明IL−1β誘導体であるポリペプチドX
XXVIIIを得た。約17.5kd。 【0247】〔15〕 上記(1)の方法に従い、実施例
1−(1)〜(7)及び後記実施例3−(6)〜(9)の各々で得ら
れた形質転換体より、本発明IL−1β誘導体であるポ
リペプチドII〜VIII及びXXXI〜XXXIVを製造し
た。 【0248】之等はいずれもSDS−PAGEで単一の
バンドとして泳動された。またポリペプチドII〜VIII
は、前記と同一の位置に泳動され、ポリペプチドXXX
I〜XXXIVは、下記の通りであった。 【0249】 ポリペプチドXXXI 約22kd ポリペプチドXXXII 約23kd ポリペプチドXXXIII 約27kd ポリペプチドXXXIV 約31kd 実施例3 (1)U937細胞の培養 ヒトリンパ組織球腫U937細胞(Ascenso,J.L.
et al., Blood,Vol.57,p 170(1981)〕
1.4×109個を、12−O−テトラデカノイルホル
ボール−13−アセテート(TPA)(フアルマシア社
製)25ng/ml、コンカナバリンA(ConA)(シ
グマ社製)10μg/ml及び10%牛胎児血清(FC
S)を含むRPMI−1640培地に入れて、4×10
5個/mlの濃度の細胞浮遊液を調製した。 【0250】この細胞浮遊液10mlずつを、直径9cm
のシヤーレ(フアルコン3003)に分注し、5%炭酸
ガス中、37℃で3日間培養後、培養上清をアスピレー
ターにて除去し、10%FCS、細菌リポポリサツカラ
イド(LPS)(デイフコ社製)10μg/ml、ムラ
ミルジペプチド(MDP)(和光純薬社製)1μg/m
l及びTPA1ng/mlを含むRPMI−1640培
地10mlを、各シヤーレに分注した。この培地にて5
%炭酸ガス中、37℃で18時間培養し、シヤーレ底部
に付着したU937細胞をm RNA調製用の材料として
利用した。 【0251】(2)mRNAの調製 RNAの抽出は、グアニジニウム/熱フエノール(guan
idium /hot phenol)法〔Feramisco, J.R,et a
l., J.Biol.Chem., Vol. 257,p 11024
(1982)〕とグアニジニウム/セシウムクロライド
(guanidinium /cesium chloride )法〔Glisin,V.
et al., Biochemistry ,Vol. 13,p 2633(1
974)〕との組合せにより行なった。 【0252】上記(1)で培養したU937細胞を洗浄す
るために、培養上清を除去した後、各シヤーレを5ml
のPBS(−)溶液にてすすぎ、その後、各シヤーレに
1mlの4M−グアニジン・イソチオシアネート混合液
〔4M−グアニジンイソチオシアネート(Fluka社
製)、50mMトリスHCl(pH7.6)、10mM
EDTA、2%ラウロイリルザルコシン酸ナトリウム〕
を添加し、細胞を溶解させた。溶解液をラバーポリスマ
ンとパスツールピペツトにて回収して、細胞溶解液42
0mlを得た。この溶解液を60℃に保ち、18G注射
針に通過させることにより、染色体DNAをせん断し、
その後60℃に保温したフエノールを等量加え、18G
注射針にて更に溶液を混合し、せん断した。次いでこの
混合液に0.1M酢酸ナトリウム−10mMトリスHC
l(pH7.4)−1mM EDTA液210mlとク
ロロホルム−イソアミルアルコール(24:1容積比)
混液420mlとを加え、60℃に保温しながら、15
分間激しく撹拌した。混合液を氷冷後、3000rpm 、
4℃で20分間遠心し、水層を回収した。水層に2容の
エタノールを加え、−70℃にて一夜放置後、粗RNA
沈澱を得た。該粗RNAを、6Mグアニジン・イソチオ
シアナート−5mMクエン酸ナトリウム(pH7.0)
−0.1Mβ−メルカプトエタノール−0.5%ラウロ
イリルザルコシン酸ナトリウム液48mlに溶解させ、
塩化セシウム19.2g を添加して溶解させた。次にこ
の混合液7mlずつを、5.7M塩化セシウム−0.1
M EDTA(pH7.5)の4mlに重層し、ベツク
マンSW40Ti ローターにて、25℃、31500rp
m で20時間遠心して、RNAを分取した。 【0253】かくして得られたRNA量は9.7mgで
あつた。 【0254】次に上記で得られたRNAからmRNAを
取得するため、オリゴ(dT)-セルロース(コラボレイ
テイブ リサーチ(Collaborative Research,Inc.
社製)を用いて、カラムクロマトグラフイーを行なっ
た。吸着は10mMトリスHCl(pH7.5)−0.
5M NaCl−1mM EDTAにて行い、溶出は1
0mMトリスHCl(pH7.5)−1mM EDTA
にて行った。 【0255】この結果、得られたmRNAは、400μ
gであつた。 【0256】(3)cDNAライブラリーの調製 cDNAライブラリーの調製は、以下の通り、cDNA
が動物細胞において発現可能なオカヤマ−ベルグ(Oka
yama- Berg )法により行った。即ち、cDNAクロー
ニングに用いるdT鎖の付加したベクター・プライマー
は、プラスミドpCDV1より、またdG鎖の付加した
リンカーDNAは、プラスミドpL1より、各々オカヤ
マらの方法〔Okayama, H. and P.Berg., Molecul
ar andCellular Biology, Vol.3,p 280(19
83)〕に従って調製した。 【0257】次に上記(2)で得た mRNA15μgを、
5mMトリスHCl(pH7.5)−0.5mM ED
TA(pH7.5)水溶液20μlに溶解し、65℃で
5分間、次いで37℃で5分間インキユベートした後、
反応液(全量40μl)を、50mMトリスHCl(p
H8.3)、8mM MgCl2、30mM KCl、
0.3mMジチオスレイトール、2mMの各dATP、
dGTP、dCTP及びdTTP、ベクター・プライマ
ー DNA2.8μg、RNase インヒビター(Prome
ga Biotech社製)60ユニツト、逆転写酵素(バイオ
−ラド社製)40ユニツトになるように調整して、37
℃で1時間インキユベートし、0.5MEDTA(pH
7.5)2μl及び10%SDS2μlを加えて反応を
停止させた。その後、フエノール・クロロホルム抽出及
びクロロホルム抽出を行い、エタノール沈澱としてベク
ター・プライマーcDNA:mRNAを回収した。回収
されたベクター・プライマーcDNA:mRNAを、1
40mMカコジル酸ナトリウム、30mMトリスHCl
(pH6.8)、1mM CaCl2、0.1mMジチ
オスレイトール、0.3μgポリ(A)、66μM d
CTP及び38ユニツトのターミナルデオキシヌクレオ
チジルトランスフエラーゼ(フアルマシア社製)からな
る反応液30μl中で37℃、5分間インキユベートし
た後、0.5M EDTA(pH7.5)1.5μl及
び10%SDS1.5μlを加えて反応を停止させ、フ
エノール・クロロホルム抽出及びクロロホルム抽出を行
なって、エタノール沈澱としてオリゴdC鎖付加cDN
A:mRNA−ベクター・プライマーを回収した。 【0258】この回収された核酸を、7mMトリスHC
l(pH7.5)、7mM MgCl2、60mMNa
Cl、100μg/ml牛血清アルブミン及び12ユニ
ツトの制限酵素Hind III(日本ジーン社製)からなる
反応液20μl中で、37℃で90分間インキユベート
し、次いで0.5MEDTA(pH7.5)1μl及び
10%SDS1μlを加えて反応を停止させた。その
後、フエノール・クロロホルム抽出及びクロロホルム抽
出を行い、エタノール沈澱として、Hind III 分解され
たオリゴdC鎖付加cDNA:mRNA−ベクター・プ
ライマーを回収した。これを10mMトリスHCl(p
H7.5)−1mM EDTA(pH7.5)(TE
(pH7.5)10μlに溶解させた。このうちの1μ
lを用いて、上記TE(pH7.5)、0.1M Na
Cl及びオリゴ dC鎖の付加されたリンカーDNA14
ngからなる反応液10μl中で、65℃で2分間イン
キユベートし、次いで42℃で30分間インキユベート
した後、0℃に冷却した。 【0259】上記反応液を、更に20mMトリスHCl
(pH7.5)、4mM MgCl2、10mM(N
42SO4、0.1M KCl、50μg/ml牛血
清アルブミン、0.1mM β−NAD(ニコチンアミ
ド・アデニン・ジヌクレオチド、フアルマシア社製)及
び0.6μgのエシエリヒア・コリDNAリガーゼ(フ
アルマシア社製)を含む反応液100μlとなるように
調整し、12℃で一夜インキユベートした。この反応液
に、dATP、dGTP、dCTP及びdTTPの各々
を40μMになるように、またβ−NADを 0.15
mMになるようにそれぞれ加え、更にエシェリヒア・コ
リDNAリガーゼの0.4μg、エシェリヒア・コリD
NAポリメラーゼI(ベーリンガー・マンハイム社製)
の4.6ユニツト及びエシェリヒア・コリRNase H
(フアルマシア社製)の1ユニツトを加え、12℃で1
時間、次いで25℃で1時間インキユベートした。 【0260】上記で得られた反応液を用いて、エシェリ
ヒア・コリHB101株を形質転換させた。エシェリヒ
ア・コリHB101株のコンピテント・セルとしては、
ベテスダ リサーチ ラボラトリーズ社(Bethesda R
esearch Laboratories :BRL)の製品を使用し、該
BRL社のマニユアルに従って、上記形質転換を行なっ
た。 【0261】かくして、約21000個からなるcDN
Aライブラリーが得られた。 【0262】(4)サルCos−1細胞へのトランスフェク
シヨン 上記(3)で得られたcDNAライブラリーを、1グルー
プ当り平均70クローンのグループに分け、各グループ
からプラスミドDNAを調整した。 【0263】プラスミドDNAは、アルカリ溶菌法(M
olecular Cloning−A Laboratory Manual,Cold
Spring Harbor Laboratory ,1982,p 368)
に従い調製した。 【0264】かくして各グループから調製されたプラス
ミドDNAを、それぞれサル培養細胞のCos−1細胞
〔Gluzman, Y.,Cell ,Vol. 23,p 175(19
81)〕にトランスフェクションした。該トランスフェ
クションは、DEAE−デキストラン法によつた〔Yok
ota,T.et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA.,V
ol. 81,p 1070(1984)〕。即ち、Cos−1
細胞をトリプシン処理により、10%FCSを含む R
PMI−1640培地に懸濁させ、細胞数を1×106
個/mlに調整後、10%FCSを含むRPMI−16
40培地を2ml/ウエル加えた6ウエルプレートに、
各々500μlずつ分注した。一晩37℃で培養後、上
清を除き、血清を含まない培地で細胞を洗浄し、10μ
g/mlプラスミドDNA、0.4mg/mlDEAE
−デキストラン(フアルマシア社製)、50mMトリス
HCl(pH7.4)及び10%FCSを含むRPMI
−1640培地を1ml/ウエル加えて、4.5時間3
7℃で培養した。その後、上清を除き、血清を含まない
培地で細胞を洗浄し、150μMクロロキン(シグマ社
製)及び10%FCSを含むRPMI−1640培地を
2ml/ウエル加えて、更に37℃で3時間培養した。
上清を除き、血清を含まない培地で細胞を洗浄後、10
%FCSを含むRPMI−1640培地を3ml/ウエ
ル加えて、37℃で72時間培養した。上清を回収した
後、10%FCSを含むRPMI−1640培地を2m
l/ウエル加え、凍結融解を2回繰返し、細胞抽出液を
回収した。この培養上清及び細胞抽出液について、GI
F活性を測定した。 【0265】GIF活性を示したグループを10クロー
ン/グループの24グループに分け、上記と同様の操作
を行ない、GIF活性を測定し、活性を示したグループ
について、更にグループ内の各クローンにつき、上記と
同様の操作を行なって、GIF活性を示すクローンを同
定した。 【0266】かくして、pcD−GIF−16及びpcD−
GIF−207の2種類のクローンを得た。 【0267】之等のクローンのGIF活性(GIF単位
/ml)を第4表に示す。 【0268】第 4 表クローン 培養上清 細胞抽出物 pcD−GIF−16 48.3 120.7 pcD−GIF−207 62.6 196.9pcDV1(対照) 0 0 (5)クローンの解析 次に、両クローン由来のGIF活性の物質としての異同
を明白にするため一定のGIF活性を示すpcD−GIF
−16又はpcD−GIF−207の培養上清及び細胞抽
出物のそれぞれに対して、ポリペプチドIのGIF活性
に対する中和抗血清の順次希釈液を添加し、上記各上清
及び細胞抽出物に与える影響を試験した。 【0269】その結果を図3の第3−a図(pcD−GI
F−16培養上清)、図3の第3−b図(pcD−GIF
−16細胞抽出物)、図3の第3−c図(pcD−GIF
−207培養上清)及び図3の第3−d図(pcD−GI
F−207細胞抽出物)に示す。各図において横軸は血
清希釈倍率を、縦軸はGIF活性(%)を各々示す。ま
た各図中(1)は抗ポリペプチドI血清を、(2)は正
常血清をそれぞれ示す。 【0270】第3−a図及び第3−b図に示す通り、pc
D−GIF−16由来のGIF活性は、抗ポリペプチド
I血清の添加により、濃度依存的に、完全に中和された
が、第3−c 図及び第3−d 図に示す通り、pcD−GI
F−207由来のGIF活性は、抗ポリペプチドI血清
には全く影響されなかった。従って、pcD−GIF−2
07由来のGIF活性物は、ポリペプチドI及びpcD−
GIF−16由来のGIF活性物とは、免疫学的に異な
ることが判明した。 【0271】また、プラスミドpcD−GIF−16及び
pcD−GIF−207のcDNAの制限酵素地図を図4
に示す。更に之等のcDNAの塩基配列を塩基特異的化
学修飾法〔Methods in Enzymology,Vol. 65,p 4
99(1980)〕及びフアージM13ベクター〔Gen
e,Vol. 19,p 269(1982)〕を使用したジデ
オキシ・チエーン・ターミネーシヨン〔Proc.Natl.A
cad.Sci.,USA ,Vol. 74 ,p 5463(197
7)〕により決定した。 【0272】その結果、pcD−GIF−16の有するc
DNAは、マーチらの報告するIL−1βの翻訳領域 c
DNA配列と同一であり、pcD−GIF−207の有す
るcDNAは、同じくIL−1αの翻訳領域cDNA配
列と同一であることが確認された〔Carl J.March e
t al.,Nature,Vol.315,p 641(198
5)〕。 【0273】(6) ポリペプチドXXXIVの製造 上記(5)で得たフルレングス(full length )に近いI
L−1βのcDNAクローンpcD−GIF−16を、制
限酵素PvuIIで切断し、更に制限酵素NcoIで部分切断
して、380bpのNcoI−PvuIIDNAフラグメント
を、アロースゲル電気泳動法により単離、精製した。 【0274】このDNAフラグメントにマング・ビーン
・ヌクレアーゼ(mung bean nuclease)を作用させて、
制限酵素NcoI切断により生じた接着末端を平滑末端と
した。 【0275】次に、合成オリゴヌクレオチド〔 5’−G
ATAATG− 3’及び 5’−CATTAT− 3’〕の
各5’末端をT4ポリヌクレオチドキナーゼによりリン
酸化し、之等を先のDNAフラグメントにT4DNAリ
ガーゼを用いて連結後、制限酵素ClaI及びHind III
で切断し、アガロースゲル電気泳動法により、約400
bpのClaI−Hibd III DNAフラグメント〈A〉を単
離、精製した。 【0276】他方、前記で得た発現プラスミドp trp G
IF−αを、制限酵素ClaI及びHind III で切断し、
大きい方のDNAフラグメント〈B〉を、アガロースゲ
ル電気泳動方により単離、精製した。 【0277】上記フラグメント〈A〉と〈B〉とをT4
DNAリガーゼを用いて連結し、連結物をエシェリヒア
・コリHB101にトランスフオームさせた。ボイリン
グ法により、得られるトランスフォーマントのプラスミ
ドDNAを抽出し、制限酵素による切断地図を解析し
て、目的のトランスフオーマントを選択した。 【0278】かくして単離された目的トランスフオーマ
ント(エシエリヒア・コリHB101/p trp GIF−
α−V)を、50μg/mlL−トリプトファンを含む
LB培地10ml中で、37℃で一晩振盪培養し、この
1mlを50μg/mlアンピシリン及び1%カザミノ
酸を含むM9最小培地50mlに植菌し、37℃で振盪
培養し、550nmでの吸光度が約1.0となった時点で
菌体を集め、15%シュークロース−50mMトリスH
Cl−50mM EDTA(pH8.0)の溶液5ml
に懸濁させ、これに10mg/mlリゾチーム〔10m
MトリスHCl(pH8.0)で溶解〕溶液500μl
を加え、更に0.3%トリトンX100−187.5M
EDTA(pH7.0)−150mMトリスHCl
(pH8.0)の溶液5mlを加え、室温で15分間放
置後、超音波処理を行ない、遠心分離により菌体抽出物
上清を得た。 【0279】得られた菌体抽出物上清について、GIF
活性の測定を行なった所、培養液1ml当り112ユニ
ツトであった。 【0280】(7) ポリペプチドXXXIIの製造 前記で得たプラスミドpGIF−αを、制限酵素NcoI
及びAccIで切断して、約0.7kbの NcoI−AccI
DNAフラグメントを、アガロースゲル電気泳動法によ
り単離、精製した。このDNAフラグメントを、DNA
ポリメラーゼI(クレノー断片)を用いた処理により、
その両末端を平滑末端とした。 【0281】他方、プラスミドp TM1を、制限酵素H
ind IIIで切断後、DNAポリメラーゼI(クレノー断
片)を用いて、切断部位を平滑末端とした。 【0282】上記により得られる2つのDNAフラグメ
ントを、T4DNAリガーゼを用いて連結し、連結物を
エシェリヒア・コリHB101にトランスフォームし、
ボイリング法によりトランスフォーマントからプラスミ
ドDNAを抽出し、制限酵素による切断地図から目的の
トランスフォーマントを選択した。 【0283】かくして単離されたトランスフォーマント
(エシェリヒア・コリHB101/p trp GIF−α−
III)を、上記(6)に示すエシェリヒア・コリHB101
/ptrp GIF−α−Vの場合と同様にして培養後、菌
体抽出物上清を得た。この培養上清のGIF活性は培養
液1ml当り190ユニツトであった。 【0284】(8) ポリペプチドXXXIII の製造 このポリペプチド発現プラスミドの作成は、サイト−ス
ペシフィック ミユータジェネシスの方法に従い、以下
に詳述するように不要な塩基配列部位を除去することに
より実施した。 【0285】即ち、pGIF−αを、制限酵素PstI及
び AccIで切断後、アガロースゲル電気泳動法によ
り、約0.9kbのPstI−AccIDNAフラグメントを
単離、精製し、その両末端をT4DNAポリメラーゼを
用いて平滑末端とした。 【0286】このフラグメントを、別途にプラスミドp
TM1を制限酵素Hind IIIで切断後、DNAポリメラ
ーゼI(クレノー断片)を用いて平滑末端として調製し
たDNAフラグメントに、T4DNAリガーゼを用いて
連結し、連結物をエシェリヒア・コリHB101にトラ
ンスフォームし、目的トランスフォーマントを、ボイリ
ング法により抽出されたプラスミドDNAの制限酵素地
図により選択した。また得られたプラスミドのDNA塩
基配列も確認した。以下このプラスミドを「pTM1−
I−2」と呼ぶ。 【0287】次いで、プラスミドp TM1−I−2を、
制限酵素EcoRI及びHind IIIで切断して、約740b
pのEcoRI−Hind III DNAフラグメントを、アガ
ロースゲル電気泳動法により単離、精製した。これを、
M13mp11フアージ(RF)のEcoRIとHind III
の制限酵素部位に、T4DNAリガーゼを用いて連結し
た。これから一本鎖(ss)DNA(mp11−trp−I2
(E/M))を得、これをミューダジェネシスの鋳型と
した。 【0288】合成オリゴヌクレオチド〔5’−CACG
TAAAAAGGGTATCGATAATGAAGTG
CTCCT−3’(プライマー)〕を、T4ポリヌクレ
オチドキナーゼでリン酸化し、これをss mp 11−trp
−I−2(E/M)とハイブリダイズし、アニーリング
後、dNTPsの存在下にDNAポリメラーゼI(クレ
ノー断片)及びT4DNAリガーゼで各々処理し、15
℃で2晩インキユベートした。 【0289】得られたDNAをJM105コンピテント
細胞にトランスフォームし、生じたコロニーを、寒天プ
レート上に200コロニー植菌し、37℃で18時間培
養した。生育したコロニーを含むフィルターを通常の方
法によりアルカリ処理変性し、乾燥後、80℃で2時間
ベーキング処理した。このフィルターをハイブリダイズ
した後、このものと上記プライマーの5′末端を32P−
γ−ATPでラベルされた32P−プローベとを、室温で
ハイブリダイズさせた。ハイブリダイズさせたフイルタ
ーを6×SSCバッファーを用い、室温で10分間、次
いで0.25×SSCバッファーを用い60℃で5分間
各々洗浄し、乾燥後、−70℃で18時間オートラジオ
グラフィーを行なった。 【0290】変異したクローンの内から、代表としてmp
11−trp GIF−α−IV(E/M)を選び、これをJ
M105に感染させて培養し、ssDNA及びRF DN
Aを調製した。 【0291】上記で得られたssDNAのM13ジデオキ
シチェイン ターミネーション シークエンシングによ
り、目的遺伝子の削除を確認した。 【0292】また、JM105で増殖させたRF DN
Aより約630bpのEcoRI−Hind III DNAフラグ
メントを、アガロースゲル電気泳動法により単離、精製
した。 【0293】一方、プラスミドp TM1−I−2より、
同様にして約4.2kbEcoRI−Hind III DNAフラ
グメントを、単離、精製し、これと先の約630bpのE
coRI−Hind III DNAフラグメントとを、T4DN
Aリガーゼを用いて連結させ、連結物をエシェリヒア・
コリHB101にトランスフォームさせた。 【0294】目的のトランスフォーマントは、ボイリン
グ法に従い、トランスフォーマントよりブラスミドを抽
出し、その制限酵素地図解析により選択した。 【0295】かくして単離されたトランスフォーマント
(エシェリヒア・コリHB101/p trp GIF−α−
IV)を、前記(6)に示すエシェリヒア・コリHB101
/p trp GIF−α−Vの場合と同様にして培養後、菌
体抽出物上清を得た。この培養上清のGIF活性は培養
液1ml当り336ユニツトであった。 【0296】(9) ポリペプチドXXXIの製造 上記(8)と同様にして、所望のポリペプチド発現プラス
ミドp trp GIF−α−IIを保有するトランスフォーマ
ントを作成した。 【0297】鋳型としては、先の一本鎖DNAmp11−
trp−I−2(E/M)を用いた。またプライマーとし
ては、合成オリゴヌクレオチド〔5’−CACGTAA
AAAGGGTATCGATAATGCTGGTTCC
CT−3’〕を用いた。 【0298】上記プラスミドを保有するトランスフォー
マント(エシェリヒア・コリHB101/p trp GIF
−α−IIを同様にして培養後、菌体抽出物上清を得た。
この培養上清のGIF活性は培養液1ml当り112ユ
ニツトであった。 【0299】本発明IL−1β自身(ポリペプチドI)
及びその本発明誘導体のGIF活性については、既に記
載したが、加えて以下の試験を行なった。 【0300】尚、前記したポリペプチドIに対する抗血
清を用いて、RIA法により測定したポリペプチドI換
算蛋白量(mg)当りのLAF活性(U)は、下記第5
表に示す通りである。 【0301】第 5 表ポリペプチド LAF活性 (U/mg) ポリペフチドI 4.5×106 ポリペプチドII 1.6×105 ポリペプチドIII 6.2×106 ポリペプチドIV 2.6×105 ポリペプチドV 2.1×105 ポリペプチドVI 1.3×107 ポリペプチドVIII 8.0×10 3 薬理試験例1:ポリペプチドIのCSF産生促進効果試
験 (1)ヒト肺細胞のCSF産生に対する促進効果試験CS
F産生株として、ヒト肺細胞由来株HFL−1(Human
Embryonic lung Fibroblasts, ATCC登録細胞株
No.CCL−153)を用い、以下の試験を行なった。 【0302】まず、上記HFL−1細胞を2×105
/mlの細胞濃度となるように、10%ウシ胎児血清加
ハムスター12K培養液〔Ham, R.G.,Proc.Natl.
Acad.Sci.,53,288(1965)〕に浮遊させ
た。次いで上記細胞懸濁液中に、種々の濃度に調製した
前記参考例で得たポリペプチドIを加え、炭酸ガス培養
器内で37℃で24時間、48時間及び72時間各々培
養し、各培養上清を集め、之等培養上清中に産生蓄積さ
れたCSF量を、マウス骨髄細胞を使用して測定した
〔Lewis,I.C.et al., J.Immunol,128,1
68(1982)〕。 【0303】ポリペプチドIを用いて得られた各培養時
間(hr)での結果を図5に示す。図において、横軸はポリ
ペプチドIの濃度(GIF単位/ml)を、縦軸はCS
F活性(単位/ml)を示す。 【0304】上記結果より、ポリペプチドIの添加によ
れば、HFL−1細胞株のCSF産生量は、該ポリペプ
チドの無添加に比べて実に数百倍にも亢進されることが
明らかである。 【0305】(2)ヒト皮膚由来細胞のCSF産生に対す
るポリペプチドIの促進効果試験 ヒト正常皮膚由来細胞株としてCRL−1445(AT
CC.No.)を利用して以下の試験を行なった。 【0306】上記細胞を2×105個/mlの細胞濃度
となるように10%ウシ胎児血清加ダルベツコMEM培
養液〔Dulbeco,R.and Freeman,G.,Virology ,
,396(1959)〕に浮遊させた。上記細胞浮遊
液に、種々の濃度の参考例で得たポリペプチドIを加
え、炭酸ガス培養器内で37℃で24、48及び72時
間培養した後、培養上清を集め、産生されたCSF量を
マウス骨髄細胞を使用して上記試験(1)と同様にして測
定した。 【0307】得られた結果を図5と同様にして、図6に
示す。 【0308】図6より、GIF活性として1単位/ml
以上のポリペプチドIをヒト正常皮膚由来の原線維芽細
胞に加えることにより、該細胞のCSF産生能は著しく
促進されることが明らかである。 【0309】(3)生体内でのCSF産生に対する促進効
果試験 ポリペプチドIを生体内に投与した場合、生体内でのC
SF産生亢進作用が発2されることを以下の動物実験に
より試験した。 【0310】即ち、正常マウス(BALB/C系マウ
ス、静岡県実験動物協同組合より購入)に、種々の量の
参考例で得たポリペプチドI(GIF活性として105
〜105単位/個体)を静脈内投与した。上記投与後
2、4、8、12及び24時間目に各実験動物より採血
し、血清中のCSF濃度をマウス骨髄細胞を用いて測定
した。 【0311】結果を図7に示す。図において横軸は各種
濃度(GIF単位/個体)のポリペプチドIの投与後時
間(hr)を、縦軸はCSF活性(単位/ml血清)を各
々示す。また図中(1)はポリペプチドIの10万GI
F単位/個体投与群を、(2)は同1万GIF単位/個
体投与群を、(3)は同1000GIF単位/個体投与
群を、また(4)は対照群(HSA10μg/個体投与
群)を各々示す。 【0312】図7より、ポリペプチドIを動物に与えた
場合、動物血清中のCSF濃度は著しく高くなっている
ことが判明した。即ち、ポリペプヂトIは注射された量
に比例して生体内でのCSF産生を著しく亢進させる作
用のあることが認められた 薬理試験例2:ポリペプチドIの抗関節炎試験 (1) パースン〔Pearson,C.M.,Proc.Soc. Exp.
Biol.Med.,91,95(1956)〕及びワードと
ジヨーンズ〔Ward,J. R.,Jones, R.S.,Arthrit
is Rheumatism,,557(1962)〕の方法に準
じて、アジユバント関節炎ラツトを作製した。即ち、雌
性S.D.系ラツトの尾根部皮内に、ミコバクテリウム
・ブチリカム(Mycobacterium butyricum)死菌を流動
パラフインに懸濁させたアジユバントを0.05ml注
射した。14日目に足腫脹に基づいて群分けし(n =
6)、その翌日より5日間に亘って、参考例で得たポリ
ペプチドI又はその溶媒(生理食塩水;対照群)を、皮
内投与した。経日的に足容積を測定することにより、関
節炎に対する影響を評価した。 【0313】結果を図8に示す。図において横軸はアジ
ユバント投与後日数(日)を、縦軸は足体積(×0.0
1ml)を各々示す。また図中(1)はポリペプチドI
の10万GIF単位/個体投与群を、(2)は同1万G
IF単位/個体投与群を、(3)は同1000GIF単
位/個体投与群を、(4)は同100GIF単位/個体
投与群を、(5)は対照群(生理食塩水投与群)を、ま
た(6)は正常ラツト群を各々示す。 【0314】図8より、対照群(グラフ(5))の足腫
脹は、23日目まで増悪したのに対し、ポリペプチドI
の投与群(グラフ(1)〜(4))においては、その投
与の4日目(アジユバンド投与後18日目)より足腫脹
の抑制作用が認められ、最終投与4日後(アジユバンド
投与後23日目)においても関節炎の進行を阻止できる
ことが確認された。 【0315】薬理試験例3:本発明誘導体のCSF産生
促進効果試験 細胞株U−373MG〔ATCC HTB17、Gliob
lastoma,Astrocytoma, Human〕を用いて、以下の試験
を行なった。 【0316】上記細胞を、2×105個/mlの細胞濃
度となるように、10%FCS(GIBCO 社製)、MEM
非必須アミノ酸(Flow 社製)及びMEMピルビン酸ナ
トリウム(Flow 社製)を添加したイーグルMEM培地
(日水社製)に浮遊させ、種々の濃度となるように被験
物質を加えて、炭酸ガス培養器内で37℃で24時間培
養した。 【0317】各培養上清を集め、之等培養上清中に産生
蓄積されたCSF量を、マウス骨髄細胞を使用して測定
した〔Lewis,I.C.et al., J.Immunol,12
,168(1982)〕。 【0318】結果を図9に示す。図において、横軸は被
験物質の濃度(ng/ml)を、縦軸はCSF活性(U
/ml)を示す。また、図中、曲線(1)〜(7)は、
以下の各ポリペプチドを被験物質とした時の結果を示
す。 【0319】曲線(1)…ポリペプチドVI 曲線(2)…ポリペプチドII 曲線(3)…ポリペプチドVIII 曲線(4)…ポリペプチドV 曲線(5)…ポリペプチドIV 曲線(6)…ポリペプチドIII 曲線(7)…ポリペプチドXXX 薬理試験例4:本発明誘導体の抗炎症試験 ウインター(Winter )らの方法〔Proc.Soc.Expt
l. Biol.Med.,111,544−547(196
2)〕に準じて、この試験を行なった。 【0320】即ち、6〜8週齢の雄ラツト(Spraque
Dawley 系、日本チャールスリバー社)を、実験前日に
体重に基づいて1群6〜8匹の各群に分けて用いた。起
炎剤としてカラゲニン(Marine Colloid社製)を、生
理食塩水に1%となるように懸濁させたものを使用し、
ラツトの右後肢足蹠皮下に0.1ml注射して足浮腫を
惹起させた。足浮腫を評価するため、起炎剤注射の前後
の一定時間に、右後肢足蹠容積を、プレシモメーター
(plethysmometer,Ugo−Vasile 社製)を用いて測定
した。前値に対する起炎剤注射後の容積増加率を浮腫率
(swelling%)として表わした。 【0321】被験物質は、ダルベッコのリン酸塩緩衝食
塩水(Dulbeco s phosphate buffered saline)に溶解
希釈し、ラツトの背部皮内に0.1ml宛、起炎剤注射
の1時間前に注射した。尚、対照群として、溶媒投与群
を作成し、同一実験に供した。 【0322】結果を図10に示す。 【0323】図において横軸は、起炎剤投与後時間(h
r)を、縦軸は浮腫率(%)を示す。また、図中、曲線
(1)は対照群を、曲線(2)はポリペプチドVIの0.
1μg投与群を、曲線(3)はポリペプチドVIの1μg
投与群を、曲線(4)はポリペプチドVIの10μg投与
群をそれぞれ示す。 【0324】薬理試験例5:本発明誘導体の放射線障害
防止作用試験 BALB/c系マウス(9週齢)に致死量のX線を照射
する20時間前に、ポリペプチドVIの1μg/マウス又
は0.3μg/マウスを腹腔内注射した。X線照射装置
(MBR−1505R、日立メディコ社)を使用し、8
50レントゲンのX線を、上記マウスに全身照射し、以
後、毎日その生存を確認した。尚、コントロールとし
て、PBS投与群をおいた。 【0325】結果を図11に示す。図において横軸はX
線照射後の日数(日)を、縦軸は供試動物の生存率
(%)を示し、曲線(1)はポリペプチドVIの1μg投
与群を、曲線(2)はポリペプチドVIの0.3μg投与
群を、また曲線(3)はコントロール群をそれぞれ示
す。 【0326】図11より、コントロール群では、X線照
射後18日目に全例死亡したのに対し、ポリペプチドVI
投与群では、その投与量に依存して、放射線障害の防止
作用が認められ、1μg投与群では、約8割が放射線障
害による死亡から回避され、生存することが確認され
た。 【0327】薬理試験例6:本発明誘導体の日和見感染
防御効果試験 易感染モデルマウスを用いて、以下の試験を実施した。 【0328】ICR系雄性マウス(6週齢)を供試動物
(1群7匹)とし、第1日目に、5−フルオロウラシル
(5−Fu 、協和醗酵社製)100mg/kgを静脈内
投与した。第2日目、第4日目及び第6日目に、ポリペ
プチドVIの1μg/マウスを皮下投与し、第7日目に、
緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa E−2)の所定量を
腹腔内投与して感染させた。第10日目に供試動物の生
存数を計数して、生存率(%)を求めた。 【0329】結果を図12(1)〜(3)に示す。 【0330】図12(1)は上記実験群の結果を、同
(2)はポリペプチドVIを投与しなかった(5−Fu の
みを投与した)対照群の結果を、また同(3)は5−F
u 及びポリペプチドVIのいずれも投与しなかった対照群
の結果をそれぞれ示す。 【0331】第12図中、縦軸は生存率(%)を、横軸
は下記各緑膿菌投与量を採用した群A〜Eをそれぞれ示
す。 【0332】A群…19000菌数/マウス投与群 B群… 3800菌数/マウス投与群 C群… 750菌数/マウス投与群 D群… 150菌数/マウス投与群 E群… 30菌数/マウス投与群 F群… 6菌数/マウス投与群 製剤例1 GIF活性として1×107単位/mlのポリペプチドV
Iの生理食塩水溶液に、ヒト血清アルブミン(HSA)
を0.5%となるように添加して、濾過(0.22μm
メンブランフイルター)後、これを無菌的に1mlずつ
バイアル瓶に分注して凍結乾燥し、注射用製剤を調製し
た。 【0333】かくして得られた製剤は、これを用時注射
用蒸留水1mlに溶解して利用される。 【0334】〈動物細胞からのサイトカインの製造方
法〉 (1) 種々の濃度のポリペプチドXXXVII 及び0.0
1%PHA−P存在下に、HBS−2C5B2細胞
〔J.Immunol.,131,1682−1689(198
5)〕を、2×105cells/wellにて培養した。培養2
4時間後の上清を採取し、そのIL−2活性を、スミス
(K.A.Smith)らの方法に従い、IL−2依存性マ
ウスT細胞(CTLL2)を用いて測定した〔J.Imm
unol.,120,2027(1978))〕。 【0335】結果を下記第6表に示す。 【0336】(2) U−373MG細胞を、10%FCS加RPMI
−1640培地で集密的まで培養し、更に20ng/m
lのポリペプチドXXXVII を含む又は含まない(コン
トロール)上記培地中で18時間インキュベートした。 【0337】培地を除去した後、前記実施例3−(2)に
準じて、グアニジニウム/セシウムクロライド法により
RNAを抽出し、オリゴ(dT)−セルロースクロマ
トグラフィーにより、ポリ(A)+ RNA(mRNA)
を収得した。ノザン・ブロッティング法(Northern bl
otting)に従い、上記ポリ(A)+ RNAの10μgを
アガロースゲル(1.2%)電気泳動に付し分画後、ニ
トロセルロース・フィルターに転写した。減圧下に80
℃でベーキングし、20mMトリスHCl(pH8.
0)中で100℃5分間の処理後、50%フォルムアミ
ド、5×ssc、50mMソジウムフォスフェート(p
H6.5)、4×デンハード液(Denhardt's solutio
n)及び200μg/mlの変性サルモン スペラムD
NA中で42℃下にプリハイブリダイゼーションを行っ
た。 【0338】5時間後、ニックトランスレーションで放
射能標識したGM−CSF cDNA〔Science, 22
,810(1985)〕のPstI−NcoIDNA断片
又はBSF−2cDNA〔Nature, 324,73(1
986)〕のKpnI−BamHIDNA断片と、42℃下
に20時間ハイブリダイゼーションを行った。フィルタ
ーを、0.1%SDS加2×sscで室温下に15分
間、更に0.1%SDS加0.1×sscで50℃下に
1時間洗浄した。オートラジオグラムは、増感紙を用い
て、−70℃下に一夜行った。 【0339】GM−CSFのDNA断片を用いた時の結
果を図13に示す。レーンAは本発明ポリペプチドを用
いた結果を、レーンBは本発明ポリペプチドを用いない
コントロールの結果を示す。 【0340】また、BSF−2のDNA断片を用いた時
の結果を図13に準じて図14に示す。 【0341】以上に示す結果より、本発明ポリペプチド
を用いることにより、動物細胞からの天然サイトカイン
類の生産が効率よく行い得ることが判る。 【0342】また、本発明ポリペプチドの、かかる方法
への適用に際しては、極めて微量、通常10ng/ml
程度の使用で十分であり、誘導されたサイトカイン類の
精製過程をも容易にする。 【0343】(3) 動物細胞よりサイトカインを生産す
る場合、産生誘引に使用する本発明ポリペプチドがその
条件下において構造的に安定であり、細胞表面上のIL
−1受容体に結合することが必須である。すなわち、本
発明ポリペプチドがIL−1受容体に結合し、サイトカ
イン産生に必要なシグナルを細胞内に伝えることが重要
である。 【0344】そこで、線維芽細胞上のIL−1受容体へ
の結合に関して、以下の試験を行った。 【0345】6−wellプレート上で、一面にほぼ均一に
まで増殖したBalb /3T3細胞(クローンA31:A
TCC,CCL−163、1×106cells/well)に、
125Iで標識したポリペプチドI(IL−1β)の50
000cpm/well及び事前に10%FCS加D−MEM
中で37℃下にインキユベートした20ng/mlのポ
リペプチドIを加え、4℃で反応させた。反応液をパス
ツールピペットで除き、10%FCS加D−MEMの
1mlを加えて静かに洗い上清をすてた。この洗浄操作
を2回繰返した後、1mlの1%SDS、0.2N N
aOHで細胞を可溶化し、可溶化液及びさらにウエルを
洗浄した可溶化液中の放射能(結合放射能)をγ−カウ
ンターにて測定した。 【0346】尚、上記 125I標識ポリペプチドIは、ボ
ルトンとハンター(Bolton and Hunter)の方法〔Bi
ochem. J.,133,529(1973)〕に従い製
造、精製した(比活性;250μCi/μgprotein 以
上)。 【0347】得られた結果を下記第7表に示す。 【0348】 阻止能(%)=(A−C)/(A−B)×100 A:未標識ポリペプチドIが存在しない時の結合した放
射能 B:プレートに非特異的に吸着した放射能 C:結合した放射能の実測値 かかる指標は、共存させたポリペプチドIのIL−1受
容体への結合力を表わす。 【0349】上記第7表より、ポリペプチドI、即ちI
L−1β自体は、サイトカイン誘導条件下において、時
間の経過と共に、IL−1受容体への結合力が低下して
しまうことが明らかとなった。 【0350】そこで、上記において、24時間の事前の
インキュベーションを行ったポリペプチドI、ポリペプ
チドVI又はポリペプチドXXXVII を用いた同試験を行
った。 【0351】結果を下記第8表に示す。 【0352】 上記結果より、動物細胞からのサイトカイン類製造に際
しては、IL−1β自体よりも、本発明ポリペプチドを
採用するのがより好ましいことが判る。 【0353】 【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:153 配列の型: アミノ酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Ala Pro Val Arg Ser Leu Asn Cys Thr Leu Arg Asp Ser Gln Gln Lys 5 10 15 Ser Leu Val Met Ser Gly Pro Tyr Glu Leu Lys Ala Leu His Leu Gln 20 25 30 Gly Gln Asp Met Glu Gln Gln Val Val Phe Ser Met Ser Phe Val Gln 35 40 45 Gly Glu Glu Ser Asn Asp Lys Ile Pro Val Ala Leu Gly Leu Lys Glu 50 55 60 Lys Asn Leu Tyr Leu Ser Cys Val Leu Lys Asp Asp Lys Pro Thr Leu 65 70 75 80 Gln Leu Glu Ser Val Asp Pro Lys Asn Tyr Pro Lys Lys Lys Met Glu 85 90 95 Lys Arg Phe Val Phe Asn Lys Ile Glu Ile Asn Asn Lys Leu Glu Phe 100 105 110 Glu Ser Ala Gln Phe Pro Asn Trp Tyr Ile Ser Thr Ser Gln Ala Glu 115 120 125 Asn Met Pro Val Phe Leu Gly Gly Thr Lys Gly Gly Gln Asp Ile Thr 130 135 140 Asp Phe Thr Met Gln Phe Val Ser Ser 145 150 153 配列番号:2 配列の長さ:116 配列の型: アミノ酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Met Ala Glu Val Pro Glu Leu Ala Ser Glu Met Met Ala Tyr Tyr Ser 5 10 15 Gly Asn Glu Asp Asp Leu Phe Phe Glu Ala Asp Gly Pro Lys Gln Met 20 25 30 Lys Cys Ser Phe Gln Asp Leu Asp Leu Cys Pro Leu Asp Gly Gly Ile 35 40 45 Gln Leu Arg Ile Ser Asp His His Tyr Ser Lys Gly Phe Arg Gln Ala 50 55 60 Ala Ser Val Val Val Ala Met Asp Lys Leu Arg Lys Met Leu Val Pro 65 70 75 80 Cys Pro Gln Thr Phe Gln Glu Asn Asp Leu Ser Thr Phe Phe Pro Phe 85 90 95 Ile Phe Glu Glu Glu Pro Ile Phe Phe Asp Thr Trp Asp Asn Glu Ala 100 105 110 Tyr Val His Asp 115 116 配列番号:3 配列の長さ:153 配列の型: アミノ酸 鎖の数:1本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:ペプチド 配列: Ala Pro Val Arg Ser Leu Asn Cys Thr Leu Arg Asp Ser Gln Gln Lys 5 10 15 Ser Leu Val Met Ser Gly Pro Tyr Glu Leu Lys Ala Leu His Leu Gln 20 25 30 Gly Gln Asp Met Glu Gln Gln Val Val Phe Ser Met Ser Phe Val Gln 35 40 45 Gly Glu Glu Ser Asn Asp Lys Ile Pro Val Ala Leu Gly Leu Lys Glu 50 55 60 Lys Asn Leu Tyr Leu Ser Ser Val Leu Lys Asp Asp Lys Pro Thr Leu 65 70 75 80 Gln Leu Glu Ser Val Asp Pro Lys Asn Tyr Pro Lys Lys Lys Met Glu 85 90 95 Lys Arg Phe Val Phe Asn Lys Ile Glu Ile Asn Asn Lys Leu Glu Phe 100 105 110 Glu Ser Ala Gln Phe Pro Asn Trp Tyr Ile Ser Thr Ser Gln Ala Glu 115 120 125 Asn Met Pro Val Phe Leu Gly Gly Thr Lys Gly Gly Gln Asp Ile Thr 130 135 140 Asp Phe Thr Met Gln Phe Val Ser Ser 145 150 153
【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、プラスミド pGIF−αの cDNAの
制限酵素地図を示す。 【図2】図2はプラスミド pGIF−αとプラスミド p
TMIとからプラスミドptrpGIF−αを構築する概略
図を示す。 【図3】図3−a 乃至図3−d はプラスミドpcD−GI
F−16由来のGIF活性物及びプラスミドpcD−GI
F−207由来のGIF活性物の各々に対する抗ポリペ
プチドI血清(中和抗体)の影響を示すグラフである。 【図4】図4はプラスミドpcD−GIF−16及びプラ
スミドpcD−GIF−207のcDNAの制限酵素地図
を示す。 【図5】図5はポリペプチドIのCSF産生に対する促
進効果試験結果を示すグラフである。 【図6】図6はポリペプチドIのCSF産生に対する促
進効果試験結果を示すグラフである。 【図7】図7はポリペプチドIのCSF産生に対する促
進効果試験結果を示すグラフである。 【図8】図8はポリペプチドIの抗関節炎試験結果を示
すグラフである。 【図9】図9は本発明IL−1β誘導体のCSF産生促
進試験の結果を示すグラフである。 【図10】図10は本発明IL−1β誘導体の抗炎症試
験の結果を示すグラフである。 【図11】図11は本発明IL−1β誘導体の放射線障
害防止作用試験の結果を示すグラフである。 【図12】図12は本発明IL−1β誘導体の日和見感
染症防御効果試験の結果を示すグラフである。 【図13】図13は本発明IL−1の誘導体のGM−C
SF誘導産生効果試験の結果を示す図面である。 【図14】図14は本発明IL−1β誘導体のBSF−
2誘導産生効果試験の結果を示す図面である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/02 A61K 37/02 ABE (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:91) (31)優先権主張番号 特願昭61−200324 (32)優先日 昭61(1986)8月27日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 河合 一吉 徳島県板野郡松茂町満穂字満穂開拓130 −2 ソレイユ503号 (72)発明者 嶽肩 世津子 徳島市川内町加賀須野1090−18 (72)発明者 石井 清士 徳島県板野郡藍住町住吉字逆藤39−46 (72)発明者 柳原 康夫 徳島市川内町大松891−6 (72)発明者 平井 嘉勝 徳島県板野郡北島町新喜来字江古川5− 49 (56)参考文献 NATURE VOL.315,(20 JUNE 1985) PP.641−647 PROC.NATL.ACAD.SC I.USA,VOL.81 (1984) P P.7907−7911 J.IMMUNOL.,VOL.135, NO.4 (1985) PP.314−320 J.IMMUNOL.,VOL.135, NO.6 (1985) PP.3962−3968

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.インターロイキン−1βの下記式(A)で表される
    アミノ酸配列において、 【化1】4位ArgがGlyに置換されたアミノ酸配列; 11位ArgがGlnに置換されたアミノ酸配列; 103位アミノ酸から141位アミノ酸のいずれかからC末端
    までのアミノ酸配列が欠失されているアミノ酸配列;ま
    たは それらアミノ酸配列のN末端にMetを有するアミノ酸配
    列; を有することを特徴とするポリペプチド。 2.以下の配列を有する請求項1記載のポリペプチド。 【化2】 3.インターロイキン−1βの下記式(A)で表される
    アミノ酸配列に於いて、 【化3】 4位ArgがGlyに置換されたアミノ酸配列; 11位ArgがGlnに置換されたアミノ酸配列; 103位アミノ酸から141位アミノ酸のいずれかからC末端
    までのアミノ酸配列が欠失されているアミノ酸配列;ま
    たは それらアミノ酸配列のN末端にMetを有するアミノ酸配
    列を有することにより特徴付けられるポリペプチドをコ
    ードする遺伝子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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J.IMMUNOL.,VOL.135,NO.4 (1985) PP.314−320
J.IMMUNOL.,VOL.135,NO.6 (1985) PP.3962−3968
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