JP2753452B2 - 耳飾り - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、耳たぶに予め開けら
れた孔に挿通して留められるピアス式の耳飾りに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】ピアス式の耳飾り（以下、単にピアスと
称する）としては、耳たぶの表側に配置される装飾部と
この装飾部から突出して一体に設けられた金属製のピア
スピンとを有する本体と、ピアスピンに挿通されてばね
力によりピアスピンの途中に係合する金属製のストッパ
ーと、から構成されたものが知られている。この種のピ
アスを耳たぶに付ける場合、耳たぶの所定位置に予め孔
を開けておき、耳たぶの表側からこの孔へピアスピンを
挿通し、耳の裏側に突出したピアスピンの先端からスト
ッパーを装着し、ストッパーをピアスピンに係合してい
る。そして、装飾部とストッパーとの間で耳たぶを挟持
し、ピアスを耳たぶに取付けている。

【０００３】また、上述したようなストッパーを必要と
しないピアスが知られており、この種のピアスは、耳た
ぶの表側に配置される本体と、耳たぶの孔に挿通される
ピン部材と、本体およびピン部材を連結する金属製のチ
ェーンと、から構成されている。このピアスを耳たぶに
付ける場合には、ピン部材を耳たぶの表側から耳たぶの
孔へ挿通し、ピン部材に続いてチェーンを挿通する。そ
して、本体が耳たぶの表側に係止されるまでピン部材お
よびチェーンを引張り、ピン部材およびチェーンを耳た
ぶの裏側から垂らしている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ストッ
パーを必要としない上述のようなピアスは、チェーンの
重みを利用して本体の抜け落ちを防止している。従っ
て、チェーンをある程度長くして重くする必要があり、
ピアスが重くなる問題がある。また、この種のピアス
は、耳たぶの裏側でピアスを確実に係止する構造を有し
ていないため、ピアスを耳たぶに確実に留めることがで
きず、不用意に外れる虞がある。更に、耳たぶに接触す
る部分が全て金属により形成されていることから、金属
かぶれを生じ易い問題がある。

【０００５】また、ストッパーを有するピアスは、耳た
ぶに付けられた際にピアスピンの先端がストッパーを超
えて突出し、頭部に向うことになり、耳たぶの表側から
ピアスに外圧がかかる場合、ピアスピンの先端が頭部を
傷付ける可能性がある。また、耳たぶの裏側に隠れて突
出したピアスピンにストッパーを係合する場合には、手
探りで係合するため装着が困難となる問題がある。更
に、ストッパーは、ピアスピンに対して単にばね力を利
用して係合していることから、気付かないうちにピアス
ピンから外れてピアス本体を紛失する虞がある。この発
明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、紛
失の心配がなく、脱着が容易で、比較的軽量な耳飾りを
提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明に係る耳飾りは、耳たぶの表側に配置され
る本体と、上記本体に固着され、上記耳たぶに予め開け
られた孔に挿通される樹脂部分と、を有し、上記樹脂部
分は、それ自体で上記耳たぶの孔に挿通でき、上記孔に
挿通した状態で耳たぶの裏側で把持可能な先端部と、上
記本体と先端部との間に設けられ、上記本体との間で上
記耳たぶを挟持するように直径０．４ｍｍ乃至１．０ｍ
ｍの樹脂材料から成る線材を螺旋状にした係止部と、を
備えている。

【０００７】また、この発明の耳飾りは、耳たぶの表側
に配置される本体、および上記本体に固着され、上記耳
たぶに予め開けられた孔に挿通される樹脂部分を有し、
上記樹脂部分は、一本の樹脂材料からなる線材により形
成され、上記本体との間で上記耳たぶを挟持すべく螺旋
状にされた弾性変形可能な係止部と、この係止部の終端
から直線的に延び、それ自体で上記耳たぶの孔に挿通で
きるように十分に固く、上記孔に挿通した状態で耳たぶ
の裏側で把持可能な先端部と、を備えている。

【０００８】

【０００９】

【００１０】

【作用】この発明に係る耳飾りは、以下のように耳たぶ
に取付けられる。まず、耳たぶに予め開けられた孔へ耳
たぶの表側からピン部材を挿通し、耳たぶの裏側に突出
したピン部材の先端を引張って連結部材を孔へ挿通す
る。連結部材を孔に挿通する際、係止部が弾性変形され
て孔を通過される。孔を通過された係止部は、耳たぶの
裏側で元の形に戻り、本体との間で耳たぶを挟持する。

【００１１】この発明の好ましい実施例によると、係止
部はナイロン線またはテフロン線を環状にして形成され
ている。このような係止部を有する耳飾りを耳たぶに脱
着する場合、環状部分を僅かに潰して捩じりながら耳た
ぶの孔を通過させることにより脱着が容易になる。

【００１２】また、この発明の別の好ましい実施例によ
ると、係止部はナイロン線またはテフロン線を螺旋状に
して形成されている。このような係止部を有する耳飾り
を耳たぶに脱着する場合、螺旋状部分を引伸ばしながら
耳たぶの孔を通過させることにより脱着が容易になる。

【００１３】

【００１４】

【実施例】以下、図面を参照しながらこの発明の実施例
について詳細に説明する。図１に示すように、この発明
の第１の実施例に係るピアス式の耳飾り１（以下、単に
ピアス１と称する）は、耳たぶの表側に配置される装飾
部を有する本体２と、耳たぶに予め開けられた孔に挿通
される第２のピン部材としての案内ピン４と、本体２お
よび案内ピン４を連結する連結部材と、を備え、連結部
材は、環状の係止部として作用するストッパー６を備え
ている。

【００１５】本体２は、例えばプラチナ、金、真珠、エ
メラルド、ダイヤ等の装飾品３と、この装飾品３を上面
に備えた略円板状の皿部５と、から構成され、皿部５の
裏側には、第１のピン部材としての略円柱形のピン７が
略垂直に突出して皿部５と一体に設けられている。ピン
７の先端は偏平に潰されており、この偏平部分７ａとピ
ン７の円柱部分との間の肩部７ｂはピン７の先端に向っ
て傾斜している。そして、偏平部分７ａにはストッパー
６を取付けるための孔７ｃが形成されている。

【００１６】案内ピン４は、直径０．８ｍｍ、長さ８．
０ｍｍの略円柱形に形成され、先端部４ａは丸められて
僅かに先細にされている。案内ピン４の基端部４ｂには
ストッパー６を連結するための略円柱状の凹所４ｃ（直
径０．６ｍｍ、深さ４．０ｍｍ）が同軸に形成されてい
る。

【００１７】ストッパー６は、直径０．３ｍｍ、長さ１
４ｍｍのナイロン線により形成されており、ナイロン線
は、偏平部分７ａの孔７ｃに挿通された後環状に折曲げ
られ、その両端が揃えられて案内ピン４の凹所４ｃ内に
受入れられている。偏平部分７ａの孔７ｃは、ピン７と
ナイロン線とが回動自在となる程度に僅かに潰され、案
内ピン４の凹所４ｃは、ナイロン線の両端が受入れられ
た後かしめられてナイロン線が案内ピン４に固定されて
いる。尚、ナイロン線は接着剤等により案内ピン４に固
定されても良い。

【００１８】以上のように構成されたピアス１を耳たぶ
に取付ける場合、案内ピン４の先端４ａを耳たぶの表側
から耳たぶの孔に案内してピアス１を矢印Ｘ方向へ駆動
する。そして、ストッパー６が耳たぶの孔を通過するよ
うに、耳たぶの裏側に突出した案内ピン４の先端４ａを
一方の手で引張る。この場合、ナイロン線の先端が凹所
４ｃ内に揃えて受入れられていることから、ストッパー
６が案内ピン４の挿通に追従して容易に（障害なしに）
耳たぶの孔を通過できる。つまり、ストッパー６は、耳
たぶの孔を通過するに従って弾性変形して潰されて容易
に孔を通過できる。また、ストッパー６の環状部分を他
方の手で潰しながら且つ僅かに回転しながらストッパー
６を耳たぶの孔に挿通すると、ピアス１をよりスムーズ
に取付けることができる。尚、本体２のピン７の偏平部
分７ａは、案内ピン４の挿通に際し、ストッパー６の折
曲げ部分６ａをできるだけ薄く潰すことができるように
厚さが減少されており、肩部７ｂは、耳たぶの孔に対す
る引っ掛かりを無くすように作用している。

【００１９】このように、案内ピン４およびストッパー
６が耳たぶの孔を通過されてストッパー６が耳たぶの裏
側に配置されると、ストッパー６の環状部分がばね作用
により元の形に復元され、本体２のピン７が耳たぶの裏
側でストッパー６により係止される。従って、皿部５と
ストッパー６との間で耳たぶが挟持され、ピアス１が耳
たぶに取付けられる。また、ストッパー６は、ピン７の
孔７ｃに対して回動自在であることから、耳たぶの裏側
に配置された後に約９０度折曲げることにより、或いは
案内ピン４の自重により折曲げられることにより、スト
ッパー６を耳たぶの裏側で確実に係止でき、ピアス１を
耳たぶに確実に取付けできる。

【００２０】一方、上述のように取付けられたピアス１
を耳たぶから取外す場合、耳たぶの表側に配置された本
体２を一方の手で保持し、耳たぶの裏側の案内ピン４を
他方の手で保持する。そして、他方の手で案内ピン４を
僅かに回転するとともにストッパー６の環状部分を潰し
て、一方の手で本体２を矢印Ｘと反対の方向へ引張りピ
アス１を耳たぶの孔から引き抜く。このようにストッパ
ー６の環状部分を捩じることにより、折曲げ部分６ａが
耳たぶの孔からから抜け易くなり、ピアス１の取り外し
が容易になる。言い換えれば、環状部分を潰さずに耳た
ぶの孔から引き抜くことは困難であり、通常使用時に不
用意に抜け落ちる心配はない。

【００２１】尚、ストッパー６の材質は弾性変形可能な
材料であれば良く、ストッパー６の長さや太さ等は、適
宜選択され、ピアス１が耳たぶへ取り付け易く、取り外
し難いように決定されている。

【００２２】以上のように、本実施例においては、耳た
ぶの裏側でピアスを係止する手段として、従来のばね力
を利用した金属製のストッパーの代りに環状のナイロン
線から成るストッパーを用いている。このため、従来の
ピアスのようにストッパーが不用意に抜け落ちてピアス
本体を紛失することがない。また、上述のようにピアス
の脱着が容易であるにも拘らず、ピアスを耳たぶに確実
に取付けることができる。更に、耳たぶの裏側でストッ
パーを折曲げることができるため、案内ピンの先端が頭
部に向って突出することがなく、頭部を傷付ける心配が
ない。更にまた、ナイロン線から成るストッパーを用い
ることにより、ピアスを軽量且つ安価に製造できる。

【００２３】次に、この発明の第２の実施例について図
２を用いて説明する。尚、基本的な構成は上記第１の実
施例と同じであるので、第１の実施例と同一の部分につ
いては同一符号を用いて説明を省略し、第１の実施例と
異なる部分についてのみ説明する。

【００２４】図２に示すように、ピアス１１は、装飾品
３および皿部５から成る本体１２と、本体１２の裏側か
ら略垂直に延びた樹脂部分１８と、を備えている。樹脂
部分１８は、直径０．７ｍｍ、長さ４５．０ｍｍの一本
のナイロン線を変形して成り、その基端部１８ａは皿部
５の裏面に固定されている。樹脂部分１８は、その基端
部１８ａから所定距離、即ち耳たぶの厚さだけ離間した
位置を起点にして螺旋状に巻かれており、この螺旋状の
部分が係止部としてのストッパー１６を形成している。
尚、ストッパー１６の螺旋は、２回巻きにされ、巻径は
約５．０ｍｍにされている。また、樹脂部分１８の先端
部１４は、ストッパー１６の螺旋の終り位置から約１
０．０ｍｍ直線的に延びており、耳たぶの孔に挿通され
るピン部材として作用する。従って、ストッパー１６お
よび先端部１４は、一本のナイロン線により一体に形成
されていることになる。

【００２５】以上のように構成されたピアス１１を耳た
ぶに取付ける場合、一方の手で本体１２を保持して先端
部１４を耳たぶの表側から耳たぶの孔に挿通し、他方の
手で耳たぶの裏側に突出した先端部１４を保持する。そ
して、本体１２および先端部１４を互いに離間する方向
へ引張りながらピアス１１を矢印Ｘ方向へ駆動する。こ
のように、本体１２および先端部１４を互いに離間する
方向へ引張ると、螺旋状に巻かれたストッパー１６が比
較的まっすぐに延び、耳たぶの孔を通過し易くなる。

【００２６】そして、ストッパー１６が耳たぶの孔を通
過した後、耳たぶの裏側で先端部１４を保持した他方の
手を放すことによりストッパー１６の螺旋が元の形に戻
り、ストッパー１６が耳たぶの裏側に係止され、本体１
２との間で耳たぶを挟持し、ピアス１１が耳たぶに取付
けられる。

【００２７】また、ピアス１１を耳たぶから取外す場
合、取り付けの際と同様に本体１２および先端部１４を
互いに離間する方向へ引張りながら引き抜くことによ
り、容易に取外すことができる。言い換えれば、ストッ
パー１６の螺旋を上述のように変形しないでストッパー
１６を耳たぶの孔に通過させることは困難である。

【００２８】尚、ストッパー１６および先端部１４を構
成するナイロン線は、先端部１４が耳たぶの孔に容易に
挿通できるように十分に固く、且つストッパー１６の螺
旋の十分な復元力が得られるように、材質および太さが
決定されている。また、ストッパー１６の巻数および巻
径は、ピアス１１が耳たぶから不用意に外れないように
適切な値に設定されている。

【００２９】以上のように、本実施例においては、上述
した第１の実施例と同様の効果が得られるとともに、耳
たぶの孔を通過される部分が全てナイロンにより形成さ
れていることから、第１の実施例と比較してより簡単な
構成とすることができ、より安価に製造できる。また、
耳たぶの孔を通過される部分が全てナイロンにより形成
されていることから、従来のピアスのように耳たぶに金
属かぶれを生じることがなく、先端部１４が頭部を傷付
けることがない。

【００３０】次に、この発明の変形例について図３を用
いて説明する。尚、上述した各実施例と同一の部分につ
いては同一符号を用いて説明を省略し、異なる部分につ
いてのみ説明する。

【００３１】図３に示すように、ピアス２１は、装飾品
３および皿部５から成る本体２と、皿部５の裏面から略
垂直に突出したピン部材としての案内ピン２７と、案内
ピン２７の途中で案内ピンと略垂直な方向に延びた係止
部としてのストッパー２６と、を備えている。

【００３２】ストッパー２６は、直径０．２５ｍｍ、長
さ２０．０ｍｍの一本の直線状のナイロン線から成り、
案内ピン２７の基端部２７ａから所定距離離間した位置
に設けられた孔２７ｂに挿通されている。そして、スト
ッパー２６は、その略中間まで孔２７ｂに挿通され、そ
の状態で孔２７ｂがかしめられて案内ピン２７に固定さ
れている。

【００３３】以上のように構成されたピアス２１を耳た
ぶに取付ける場合、案内ピン２７の先端を耳たぶの表側
から耳たぶの孔に挿通する（矢印Ｘ方向）。そして、本
体２の皿部５が耳たぶの表側に接触配置されるまで案内
ピンを挿通する。この場合、案内ピン２７の途中に設け
られたストッパー２６は、案内ピン２７の挿通に伴って
案内ピンに沿って折曲げられ、案内ピン２７と共に耳た
ぶの孔に挿通される。そして、ストッパー２６が完全に
耳たぶの孔を通過した際にストッパー２６が元の位置に
戻って耳たぶの裏側で案内ピン２７と略垂直になり、皿
部５とストッパー２６との間で耳たぶが挟持される。つ
まり、ストッパー２６および案内ピン２７のそれぞれの
長さは、案内ピン２７が耳たぶの孔に挿通されて皿部５
が耳たぶの表側に接触した時点でストッパー２６が完全
に耳たぶの孔を通過できるように決定されている。

【００３４】また、ピアス２１は、本体２を引張って耳
たぶの孔から案内ピン２７を抜き取ることにより耳たぶ
から取外すことができる。この場合、ストッパー２６
は、取り付け時と反対の方向に折曲げられ、案内ピン２
７と共に耳たぶの孔から抜き取られる。

【００３５】以上のような変形例においては、上述した
各実施例と比較して、構成がより簡略化され、耳たぶへ
の脱着がより簡単になる。尚、この発明は、上述した実
施例に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種
々変形可能である。例えば、耳たぶの孔に挿通されるピ
ン部材は、いかなる材質であっても良く、耳たぶの孔に
容易に挿通可能であれば良い。また、連結部材および係
止部に用いられたナイロン線は、テフロン線等の樹脂材
料であっても良く、弾性変形可能な他のいかなる材料で
あっても良い。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、この発明の耳飾り
は、上記のような構成および作用を有しているので、紛
失の心配がなく、脱着が容易で、比較的軽量である。

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、この発明の第１の実施例に係るピアス
を示す概略図。

【図２】図２は、この発明の第２の実施例に係るピアス
を示す概略図。

【図３】図３は、この発明の変形例に係るピアスを示す
概略図。

【符号の説明】

１…ピアス、２…本体、３…装飾品、４…案内ピン、５
…皿部、６…ストッパー、７…ピン。

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 耳たぶの表側に配置される本体と、 上記本体に固着され、上記耳たぶに予め開けられた孔に
   挿通される樹脂部分と、を有し、 上記樹脂部分は、 それ自体で上記耳たぶの孔に挿通でき、上記孔に挿通し
   た状態で耳たぶの裏側で把持可能な先端部と、 上記本体と先端部との間に設けられ、上記本体との間で
   上記耳たぶを挟持するように直径０．４ｍｍ乃至１．０
   ｍｍの樹脂材料から成る線材を螺旋状にした係止部と、
   を備えていることを特徴とする耳飾り。
2. 【請求項２】 上記係止部の巻数は１回乃至５回であ
   り、巻径は３．０ｍｍ乃至７．０ｍｍであることを特徴
   とする請求項１記載の耳飾り。
3. 【請求項３】 耳たぶの表側に配置される本体、および
   上記本体に固着され、上記耳たぶに予め開けられた孔に
   挿通される樹脂部分を有し、 上記樹脂部分は、一本の樹脂材料からなる線材により形
   成され、上記本体との間で上記耳たぶを挟持すべく螺旋
   状にされた弾性変形可能な係止部と、この係止部の終端
   から直線的に延び、それ自体で上記耳たぶの孔に挿通で
   きるように十分に固く、上記孔に挿通した状態で耳たぶ
   の裏側で把持可能な先端部と、を備えていることを特徴
   とする耳飾り。