JP2750994B2 - 積層材の製造方法及びその装置 - Google Patents
積層材の製造方法及びその装置Info
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Description
し、砂糖きび等のイネ科の植物茎を原料とする積層材の
製造方法及びその装置に関する。更に詳しくは、建築用
材、家具用材、断熱材、吸音材、ディスプレイ用材、各
種工作用材に利用される強化された積層材の製造方法及
びその装置に関するものである。
スプレイ用材、吸音材、各種工作用材等には、挽材、合
板集成材の他にパーティクルボード、ファイバーボード
等を用いることが提案されている。このパーティクルボ
ード及びファイバーボードでは、木材を細かく砕いた木
片に合成樹脂の接着剤を混合してプレス機により熱圧硬
化させて板状に成形し、必要に応じて麦わらや砂糖きび
などのイネ科の植物の細片を加えている。このような合
板では、原料を細かく砕くことにより原料の有効利用が
でき、加工も容易にできるが、その反面、原料のセルロ
ース繊維を細かく砕いていることから、板状に成形した
際に合板に十分な力学的強度を与えることができず、寸
法が常に均一とならない問題がある。また、これらの木
質材料を原料として用いる板状材は、天然の木材を主原
料としているため、近年、森林の伐採による砂漠化の進
行など地球環境に多大な影響を及ぼす問題を考慮する
と、木材資源の供給量に限界が見られる。特に、前記挽
材や前記合板集成材は木材そのものでできており、必要
とされる材料強度や寸法安定性を得るには、木材の限ら
れた部分しか使えず歩留まりが低いという問題がある。
断熱材等には、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチ
レン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の
合成樹脂の中実体又は発泡体を用いることが提案されて
いる。これらの合成樹脂は、軽量で加工性が良く、特に
発泡体は吸音作用、断熱作用に優れているためディスプ
レイ用材や断熱材として広範囲の用途に利用されている
が、原料を石油資源に依存するため、石油資源の供給量
に将来的に限界がみられ、また大気汚染や地球の温暖化
現象等、地球環境に多大な影響を及ぼす恐れがある。
本発明者らは、世界的に豊富に存在し、かつ一年毎に再
生産可能で、廃棄処分すら困難とされている高りゃん、
とうもろこし、砂糖きび等のイネ科の植物茎を利用した
強化積層材及びその製造方法を特許出願した(特開昭6
3−107505号、特開平1−280538号及び特
開平4−47902号)。特開昭63−107505号
公報には、高りゃん、とうもろこし、砂糖きび等のイネ
科の植物茎を繊維方向に切開き、必要により除芯及び脱
脂を行い、切開いたままの状態で圧延し、この圧延され
た複数の圧延茎を互いに平行に配列してシート状物を形
成し、この複数のシート状物に公知の接着剤を塗布した
後、これらを積層して加圧成形する方法が開示されてい
る。
は、前記イネ科の植物茎を繊維方向に切開くことなく、
そのままの状態、或いは圧縮により扁平にして扁平茎を
形成し、複数の扁平茎を互いに平行に配列して扁平茎層
を形成し、この複数の扁平茎層に公知の接着剤を塗布し
た後、これらを積層して加圧成形する方法が開示されて
いる。また、特開平4−47902号公報には、前記イ
ネ科の植物茎を繊維方向に切開くことなく、そのままの
状態、或いは圧縮により扁平にして扁平茎を形成し、或
いは前記植物茎を二分割又は切開いて必要により除芯及
び脱脂を行い、切開いたままの状態で圧延し圧延茎を形
成し、これらの扁平茎及び圧延茎をそれぞれ平行に配列
してシート状物を形成し、このシート状物に接着剤を塗
布して積層し、加圧成形する方法が開示されている。特
に、この接着剤は前記イネ科の植物茎の切除された葉、
袴及び非直線部分をフェノール類に溶解した後、この溶
液にアルデヒド化合物、酸触媒又はアルカリ触媒を加え
ることにより作られる。
には、茎が複数本平行に整列されて結束される。この結
束には、接着剤、テープ、或いは糸を用いることが考え
られる。一般に、シート状物を形成するイネ科の植物茎
は一定した茎径を持たないが、異なる茎径の植物茎が扁
平状態で結束されることが要求される。図34に示すよ
うに、接着剤aによる結束では、隣合う扁平茎3同士を
接着剤aによって接着するため扁平茎同士を間隔を生じ
ることなく互いに密着する。図35に示すように、テー
プbによる結束では、複数本平行に整列された扁平茎3
をその長手方向と略直角をなす方向に沿って上下に挟む
ようにテープbが巻かれる。また、図36に示すよう
に、糸による結束は、隣接する扁平茎3間を上糸L1及
び下糸L2が互い違いに編込まれる。以上のように結束
されて成るシート状物8は、いずれの場合も扁平茎同士
に間隔を設けることができず、扁平茎同士を互いに密着
している。また、これらの方法により作られた積層材
は、任意の比重、重さ、寸法に形成することが可能で、
力学的強度に優れた性能を有することも確認されてい
る。
3−107505号公報に記載の方法では、植物茎の除
芯及び脱脂等をすることにより、極めて高い力学的強度
と寸法安定性が得られる反面、必要とされる厚さの積層
材を得るための工程数が多くなり、また原料である植物
茎が多く必要となり、製造コストが高価になる欠点があ
る。また、上記特開平1−280538号公報に記載の
方法では、植物茎をそのままの状態で使用するため、製
造工程が簡略化され、製造コストを安価に押さえられる
反面、前記特開昭63−107505号公報に記載の方
法による積層材より力学的強度が低く、しかも積層材を
水に浸漬させたり、積層材に水分を含ませたりすると、
積層材が膨潤して寸法の安定性が損なわれる問題があ
る。また、接着剤により結束する方法では、略楕円柱状
の扁平茎の側面同士を接着するので、接着に必要な十分
な接着面積が得られず十分な接着が行われない恐れがあ
り、しかも扁平茎の茎径が一定せず一列に整列させた状
態で凹凸が生じ、同一平面内で茎同士を接着させること
が困難である。また、テープにより結束する方法では、
シート状に整列した扁平茎を上下で挟むようにテープで
接着するため、茎径の大きな扁平茎は広い面積でテープ
が接着されるのに反して、茎径の小さな扁平茎はテープ
に接触する面積が狭く、或いは全く接触せず十分な接着
状態が得られない問題がある。更に、糸により結束する
方法では、特に高りゃん茎の表面がワックス成分からな
ることから、滑り易く、滑りを減少させるために強い張
力で糸を縛る場合には、扁平茎が一列に整列されず集ま
って束になる恐れがある。
供給可能な材料を用い、製造工数を少なくすることによ
り、大量生産に適し製造コストが安価な積層材の製造方
法及びその装置を提供することにある。本発明の別の目
的は、力学的強度と寸法安定性の極めて高い積層材の製
造方法及びその装置を提供することにある。本発明の更
に別の目的は、極めて軽量で、水による膨潤を生じな
い、多種の用途に適する積層材の製造方法及びその装置
を提供することにある。
の本発明の構成を図1により説明する。本発明の積層材
の製造方法は、イネ科の複数本の植物茎1を潰してその
繊維方向に沿って亀裂が生じた扁平茎3にする潰し工程
20と、扁平茎3に熱硬化性樹脂液rを含浸して含浸茎
4,5を得る含浸工程30と、含浸茎4,5を乾燥して
乾燥茎6にする乾燥工程60と、複数本の乾燥茎6を間
隔を空けて整列し、整列した乾燥茎6のそれぞれに縫合
糸Lを貫通して縫合乾燥茎7にし、所定本数の縫合乾燥
茎7を切断してシート状物8にする縫合工程80と、シ
ート状物8の表面に接着剤を塗布する接着剤塗布工程9
0と、接着剤の塗布された複数のシート状物8を互いに
乾燥茎の整列方向を異にして接着剤の塗布面を密着して
これらを積層し、この積層物を加圧して複数のシート状
物8を重ね合せる重ね合せ工程100とを含む方法であ
る。
科の複数本の植物茎1を潰してその繊維方向に沿って亀
裂が生じた扁平茎3にする潰し手段21と、扁平茎3に
熱硬化性樹脂液rを含浸して含浸茎4,5を得る含浸手
段31と、含浸茎4,5を乾燥して乾燥茎6にする乾燥
手段61と、複数本の前記乾燥茎6を間隔を空けて整列
し、整列した乾燥茎6のそれぞれに縫合糸を貫通して縫
合乾燥茎7にし、所定本数の縫合乾燥茎7を切断してシ
ート状物8にする縫合手段81と、シート状物8の表面
に接着剤を塗布する接着剤塗布手段91,92,93,
151a,151bと、接着剤の塗布された複数のシー
ト状物8を互いに乾燥茎の整列方向を異にして接着剤の
塗布面を密着してこれらを積層し、この積層物を加圧し
て複数のシート状物8を重ね合せる重ね合せ手段10
1,111とを含む装置である。
た後に扁平茎3を熱硬化性樹脂液rに浸漬するため、確
実に扁平茎3に熱硬化性樹脂液rを含浸させることがで
きる。また積層前に乾燥茎6を整列状態で縫合して結束
してシート状物8にすることから、積層時には取扱いが
容易となり、作業性が向上する。また、このシート状物
8を構成する乾燥茎6の茎径にばらつきがあってこれに
起因してシート状物8の表面が凹凸であっても、乾燥茎
6のそれぞれに間隔が空けられるため、圧接してシート
状物8を重ね合せたときに、又は表面に接着剤を塗布す
るためにシート状物8を再度加圧して潰したときに、乾
燥茎5の間に設けられた間隔に乾燥茎が広がってシート
状物8の波打ち現象が防止されシート状物8を均一で平
らなものとする。
く説明する。図1は本発明の一実施例に係る積層材の製
造工程をブロック図である。本発明の積層材の原料に
は、高りゃん茎、砂糖きび、とうもろこし等のイネ科の
植物茎が用いられる。積層材の原料はその植物茎から葉
や袴の部分が切除されて植物茎の直線部分が細かく切断
されないままで用いられる。この実施例では、高りゃん
茎を代表例にしてこの高りゃん茎を出発原料とする積層
材を得るまでの製造工程について説明する。
で加工し易い適当な長さに切揃えられる。切揃えられた
高りゃん茎は潰し工程20で適切なローラ圧力により扁
平に潰され、茎上に複数の亀裂が与えられ扁平茎とな
る。次に、扁平茎に十分な強度及び耐水性を与えるため
に、含浸工程30で扁平茎は熱硬化性樹脂液中に一定時
間留められ、茎上の亀裂を介して熱硬化性樹脂液を扁平
茎中に含浸する。熱硬化性樹脂液を含浸した含浸茎は絞
り工程40で一定の間隔を空けて配置された一対のロー
ラ間を通すことにより、含浸した余剰の熱硬化性樹脂液
を絞り取る。絞り取られた余剰の熱硬化性樹脂液は熱硬
化性樹脂液を循環する工程50で回収され、含浸工程3
0で循環している他の熱硬化性樹脂液とともに温度及び
pHが最適値に保たれた後、再び含浸工程30に供給さ
れる。
るに際しては、その表面に木質単層板が接合される。こ
の木質単層板は、木質単層板製造工程130で円柱状の
丸太からその表面層が一定の厚さで転切されることによ
り連続する木質の単層板に形成された後、これを所定の
長さに切断し、更に乾燥工程60で乾燥することにより
得られる。絞り工程40で熱硬化性樹脂液が絞り取られ
た含浸茎は乾燥工程60で一定時間乾燥される。乾燥し
た多数本の乾燥茎は例えば上層、中層、下層の3層のシ
ート状物を形成するように分配される。これらのシート
状物を積層して積層材が作られる。それぞれ分配された
乾燥茎は縫合工程80で平行に整列され、その整列を保
つように縫合糸で順次縫合される。縫合乾燥茎は取扱い
を容易にするため縫合乾燥茎が一定の長さを有するよう
にその縫合糸が一定間隔をもって切断される。
は潰し工程20と同様に再度扁平に潰された後、工程9
0でその表面に接着剤が塗布される。重ね合せ工程10
0で接着剤が塗布された上層、中層、下層の各シート状
物及び乾燥された木質単層板が重ね合される。このよう
に重ね合された積層物は圧接工程110で加熱、圧接さ
れる。この圧接された積層物は縦横切断工程120でそ
の縦方向の辺及び横方向の辺がそれぞれ所定の長さに切
揃えられて強化積層材となる。
て図2から図31を参照して更に詳しく説明する。図2
は両端切断機11及びその周辺機器を示す。葉や袴の部
分を切除した直線部分のみを有する高りゃん茎1は原料
運搬車12の容器に入れられ、反転機13上に容器ごと
移送される。反転機13は反転アクチュエータ13aに
より上下動し上昇時に整理コンベア14に向かって反転
するようになっている。この反転により容器内の高りゃ
ん茎1が整理コンベア14上に移送される。整理コンベ
ア14上に移された高りゃん茎1は整理コンベア14に
より搬送され、両端切断機11に送込まれる。両端切断
機11で高りゃん茎1はその両端が切断され適切な長さ
になる。切断により発生した屑Cは両端切断機11の下
方に設けられた切断屑を取出すコンベア15上に収集さ
れ別の場所に搬送され、搬送後再利用される。
た高りゃん茎1は間欠運転をする掻上げコンベア16に
より潰し機供給コンベア17に供給される。この掻上げ
コンベア16の搬送面には間仕切り16aが設けられ、
間仕切り16a間には略1本の高りゃん茎1が収納され
る。、掻上げコンベア16で搬送された複数本の高りゃ
ん茎1はコンベア16の最上の位置でその下方に設けら
れた潰し機供給コンベア17上に落下し、潰し機供給コ
ンベア17上でその進行方向に沿って複数本が略平行に
配置される。
す。掻上げコンベア16の最上の位置まで搬送された高
りゃん茎1は、最上の位置で一定の本数が揃うまでコン
ベア16の反転受板18上でその両端が支持される。コ
ンベア16の最上の位置で一定の本数の高りゃん茎1が
揃うと、反転受板18が反転して支持が解除され、潰し
機供給コンベア17上に一定の本数が同時に供給され
る。コンベア17上に複数本が略平行に配置された高り
ゃん茎1は、コンベア17により搬送され潰し機21に
供給される。
21は高りゃん茎1をガイドする一対のガイドロール2
2及びガイドされた高りゃん茎1を潰す一対の潰しロー
ル23により構成される。一対のガイドロール22は固
定式のガイドロール22bとこれに対向して設けられガ
イドロール駆動変速機24により駆動される可動式のガ
イドロール22aにより構成される。また一対の潰しロ
ール23は潰しロール駆動変速機25により駆動される
固定式の潰しロール23bとこれに対向して設けられた
可動式の潰しロール23aにより構成される。この可動
式のガイドロール22a及び可動式の潰しロール23a
は、それぞれその回転軸の両端が回転可能に支持され、
間隔調整機26及び27によりガイドロール22b及び
潰しロール23bに対するロール間隔がそれぞれ調整さ
れる。潰し機供給コンベア17により両端切断機11か
ら供給された高りゃん茎1はその繊維方向と平行にガイ
ドロール22に送込まれる。ガイドロール22により潰
しロール23に高りゃん茎1が確実の送込まれる。
成分を含み、滑り易い性質を有している。ガイドロール
22のロール径が十分大きい場合には、滑り易い表皮を
有していても高りゃん茎1は容易にロール間隔に供給さ
れるが、ガイドロール22のロール径が小さい場合に
は、その表皮のワックス成分のために高りゃん茎1が滑
り、容易にロール間隔に供給されない恐れがある。更
に、高りゃん茎1は小径から大径まで種々のサイズを有
するため、一定したロール間隔には供給されない茎もあ
る。このため、このガイドロール22には、小径から大
径まで種々のサイズを有する高りゃん茎1を扁平に成形
して、確実に潰しロール23に送込むことができるよう
に、図6のような縦溝の山形溝28をロール表面に設け
てもよい。
るとともにその表皮に細かい複数の亀裂を生じさせる。
また、この山形溝28を有するガイドロール22は高り
ゃん茎1の表皮に十分な亀裂を生じさせるとともに、更
にこの高りゃん茎1に予備圧延を与える。即ち、潰しロ
ール23で圧延される前にガイドロール22で予備の圧
延作業をすることで、高りゃん茎1の表皮に亀裂を与え
て扁平化するとともに、高りゃん茎1の後述する熱硬化
性樹脂液の含浸性を向上させて、含浸処理の高速化を達
成する。また、予備の圧延作業により高りゃん茎1を予
め潰しておくことにより、潰しロール23での圧縮力を
低減し、高りゃん茎1の節部、表皮、内部組織の過度な
圧延による破壊及び折れ等を防止することができる。ま
た、ガイドロール22のロール表面の山形溝28を横溝
にすることにより、高りゃん茎1をより確実に潰しロー
ル23に送込むことがより可能になる。また、ガイドロ
ール機構22のロールが縦溝或いは横溝を有する場合に
おいて、潰しロール機構23のロールが縦溝もしくは横
溝を有してもよい。
された仮扁平茎は潰しロール23に送込まれる。ガイド
ロール22から潰しロール23に送込まれる仮扁平茎は
所定のロール間隔を有する潰しロール23により再度扁
平に圧延される。この潰しロール23は、そのロール表
面に凹凸のない平型ロールを有し、ガイドロール22の
山形溝28により形成された複数の亀裂を更に広げ、仮
扁平茎の表皮及び内部組織を破壊することなく圧延する
ことができる。高りゃん茎1は節部で折れ易く過度な圧
延により内部組織が破壊され易い。そのため、上記のよ
うにガイドロール22及び潰しロール23を用いて2段
階で圧延し、高りゃん茎1に緩やかな圧力をかけること
により、内部組織が破壊されることなく、複数の亀裂を
持つ扁平茎3を得ることができる。また、圧延により扁
平茎3に生じた複数の細かい亀裂は、後述する熱硬化性
樹脂液の浸透を容易にして扁平茎3の強度を向上させ、
換言すれば強化積層材の力学的強度を向上させる。また
この熱硬化性樹脂液の含浸により扁平茎3の耐水性を向
上させ、換言すれば強化積層材の耐水性を向上させるた
めに重要な役割を果たす。
8は含浸機供給コンベア29及びその周辺機器をそれぞ
れ示す。図5に示した潰し機21から供給された扁平茎
3は図8に示す扁平茎整理コンベア201を経由して含
浸機供給コンベア29により含浸機31に供給される。
コンベア201は駆動変速機202により駆動される。
含浸機供給コンベア29の搬送面29aには略L字型の
掻上げ支持棒29bが固着され、扁平茎3は掻上げ支持
棒29bにより複数本同時に支持される。 図7に示す
ように、含浸機供給コンベア29により供給された扁平
茎3は含浸機内の熱硬化性樹脂液r中に一定時間浸され
て熱硬化性樹脂液rが含浸される。この含浸が完了した
扁平茎3は含浸茎整理コンベア32上に移送されこのコ
ンベア32により次工程に搬送される。移送時に扁平茎
3から零れる余剰の熱硬化性樹脂液rはオーバフローシ
ュート33により回収される。回収された余剰の熱硬化
性樹脂液rは溶液槽34に送られ、ここでpH値と温度
が測定された後、最適なpH値及び温度に制御されて、
再使用されるべくポンプP2により含浸機31へ送られ
る。また、溶液槽34には後述する絞り機41から余剰
の熱硬化性樹脂液rが回収される他、補給溶液Rも補給
される。
供給コンベア29から供給された複数本の扁平茎3はそ
れぞれ扁平茎支持棒36aによりベルトコンベア36の
移動方向と直角の方向に平行に、かつ一定の間隔を空け
て支持される。ベルトコンベア36がベルトコンベア駆
動変速機35により移動すると、コンベア上の扁平茎3
は含浸機31の内部に満たされている含浸液、即ち、熱
硬化性樹脂液r中へ浸される。このとき扁平茎3は支持
棒36a等により熱硬化性樹脂液r中での浮上が抑制さ
れて含浸される。なお、ベルトコンベア36はチェーン
で形成されることが、搬送時の扁平茎3のばらつきを押
さえるため好ましい。即ち、チェーン表面の凹凸により
扁平茎3が滑ることなく保持される。
1の最下位の溶液溜まり301内で滞留しないように通
路に沿って、例えば、ステンレス製の茎トラップ網30
2に沿って移送され、原料取出しシュート37へと運ば
れる。このとき余剰の熱硬化性樹脂液rはベルトコンベ
ア36と原料取出しシュート37の間の扁平茎3の通過
地点に設けられたオーバフローシュート33(図7、図
9及び図10)で回収される。オーバフローシュート3
3はこれ以外に含浸機31に収容不可能な余剰の熱硬化
性樹脂液rを回収する。即ち、図示しない液投入口より
供給される熱硬化性樹脂液rが含浸機から溢れ出ること
を防止する。扁平茎3はシュート37から取出されて含
浸茎4となる。このように含浸機31内に扁平茎3を連
続して通過させることにより、含浸機31は扁平茎3へ
の連続した含浸が可能になり製品の大量生産を可能にす
る。
ついて詳しく説明する。熱硬化性樹脂液rは樹脂液rを
含浸した含浸茎4を加熱することにより含浸茎4を硬化
させる液状物であって、高分子化可能な液状化合物、樹
脂液又はこれらの混合物である。この高分子化可能な液
状化合物には、アクリル酸エステルモノマ、メチルメタ
クリレートモノマ、スチレンモノマ等のような重合可能
な液状モノマ類、これらのモノマ類を縮合、重合又は付
加重合反応によって高分子化可能なプレポリマ、トリレ
ンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート等のような
液状イソシアネート化合物、或いはフラフラール、フル
フリルアルコールもしくはリグノセルロースの液化液等
のような重合反応、縮合反応又は付加縮合反応等により
高分子化可能な液状化合物が挙げられる。
グノセルロースにフェノール類、ポリオール類などを加
えてリグノセルロースを液化した溶液をいう。このリグ
ノセルロースの液化液は、例えば高りゃん茎の屑として
廃棄処分になる葉又は袴の部分、或いは使用に適しない
湾曲茎や両端切断機11により切断される切断屑Cなど
をフェノール類等の存在化で150〜300℃、1〜1
00気圧の高温高圧下で溶解して調製される。また、樹
脂液には不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等の熱可塑性樹
脂を溶媒に溶解させた樹脂溶液又はリグノセルロースの
樹脂化液を用いることもできる。ここでリグノセルロー
スの樹脂化液とは、リグノセルロースの液化液をアルデ
ヒド化合物やイソシアネート化合物等で樹脂化し、水や
溶剤に溶解させた樹脂液をいう。
る扁平茎3は、一定の回転速度に制御されるベルトコン
ベア駆動変速機35により間欠的に駆動されるベルトコ
ンベア36の移動に伴い、熱硬化性樹脂液r中を決めら
れた時間移動する。単に扁平茎3を熱硬化性樹脂液に漬
けた場合に熱硬化性樹脂液が扁平茎3にどの程度含浸さ
れるかは、扁平茎3が熱硬化性樹脂液に漬けられる時間
に比例し、その時間が含浸時間とみなされることとな
る。この含浸時間の調整方法について次に説明する。こ
の含浸時間は熱硬化性樹脂液中を通過する扁平茎3の通
過時間で定まることから、含浸時間は次のような方法で
調整される。
中を通過する扁平茎3の移動速度が調整される。このた
めにコンベア駆動変速機35の駆動速度を調整してコン
ベア36の移動速度を調整する。扁平茎3の移動速度を
調整することによってその含浸時間が調整される。この
方法では、含浸機31の間欠運転速度が変化するため、
含浸工程30の前後の工程における扁平茎3の搬送速
度、或いは工程数を変える必要がある。このため、この
方法はラインの調整作業が煩雑になり、容易に含浸時間
を調整することができない問題がある。
度を一定としてこの扁平茎が通過する熱硬化性樹脂液中
の通過路の長さを調整する方法がある。即ち、図9に示
す液面調整機303により含浸機31内の液面高を調整
して、含浸機31内の熱硬化性樹脂液rの液量を調整す
る。これにより扁平茎が通過する溶液中の通過路の長さ
が調整され、ベルトコンベア36の移動速度を一定に保
てば、扁平茎3の含浸時間が調整される。また、ベルト
コンベアの移動速度を上げるためには、含浸機31の底
面の傾斜角を緩やかにしてこの底面に沿ってベルトコン
ベア36を設けることが好ましい。
及び図12に示すように溶液シュート303aと溶液隔
壁303bとを備える。溶液シュート303aは含浸機
31の上端付近に設けられ、上部に液流入口304を有
する(図11(A))。この液流入口304の両側にはス
ライドレール305が設けられ、このスライドレール3
05には含浸機31内の液面を調整する溶液隔壁303
bがスライド可能に設置される。この溶液シュート30
3aには溶液シュート303a内に流入される熱硬化性
樹脂液rを回収して溶液槽に供給するための液排出口3
06が設けられる。溶液隔壁303bには溶液の通過量
を制限するとともに溶液を通過させるための溶液通過窓
307が形成される(図11(B))。この溶液通過窓3
07は溶液隔壁303bのスライドにより液流入口30
4と重なり合うようになっている。
液隔壁303bが上下動して含浸機31内の溶液の量が
調整される。即ち、図11(C)に示すように液通過窓
307が引上げられると液流入口304を塞ぐようにな
り、溶液の液面が上昇する。反対に、図11(D)に示
すように液通過窓307が引下げられると液流入口30
4が開いて、溶液がシュート303aに流入することか
ら液面が下降する。このように溶液隔壁303bの上下
動により、含浸機31内の熱硬化性樹脂液rの収容量が
変化する。含浸機31内の溶液量が変化すると、扁平茎
3の溶液内における通過路の距離が調整され、含浸時間
が任意に決定される。この方法は、ベルトコンベア36
の移動速度が一定に保たれるため、上述した他の工程の
工程処理速度又は工程数をその都度調整する必要がな
く、含浸時間を容易に調整することができる。
に形成された亀裂から熱硬化性樹脂液rが浸透する。こ
の熱硬化性樹脂液rは扁平茎3の全乾燥重量に対して5
〜200重量%程含浸されることが好ましい。常温常圧
下でも扁平茎3には、十分熱硬化性樹脂液rが含浸され
るが、熱硬化性樹脂液rが加熱され又は加圧もしくは減
圧された状態で扁平茎3に含浸されてもよい。熱硬化性
樹脂液rに高分子量成分が含まれる場合には、扁平茎3
の熱硬化性樹脂液rの含浸量を50重量%以上にする
と、後述するシート状物として積層されこれが圧接され
る際に、熱硬化性樹脂液rが扁平茎から滲み出てシート
状物を接着する作用を生じ、接着剤の使用量を大幅に削
減することができ、好ましい。しかし熱硬化性樹脂液r
に高分子量成分が含まれていない場合には、熱硬化性樹
脂液rの含浸量を必ず50重量%以上にするか、或いは
シート状物の接着時に接着剤を使用する必要がある。ま
た、熱硬化性樹脂液rの含浸量が5重量%未満になる
と、積層材の増強効果が十分得られず、特に寸法安定性
が著しく劣ることとなる。また、200重量%を越える
と、含浸が困難になり、たとえ加圧注入等の方法を用い
て強制的に含浸させようとしても、積層材の強度は殆ど
向上せず、寸法安定性もあまり改善されない。
方法について図10を用いて詳細に説明する。図10は
熱硬化性樹脂液rの循環経路を示す。強化積層材の力学
的強度を高くし、必要とされる耐水性を得るための含浸
処理に使用される熱硬化性樹脂液rは常に最適な温度及
びpHに制御される必要がある。これは扁平茎3に含浸
される熱硬化性樹脂液rの重量パーセント濃度がこの温
度及びpHに左右されるためである。また、扁平茎3に
含浸する熱硬化性樹脂液rは含浸により減少するため常
に補充する必要がある。
36の駆動に伴い熱硬化性樹脂液rの中へ次々と浸され
る。扁平茎3は一定時間熱硬化性樹脂液r中を通過した
後、原料取出しシュート37に運ばれる(図7)。この
移動の際に、前述したように余剰の熱硬化性樹脂液rが
オーバフローシュート33で回収される。このオーバフ
ローシュート33は熱硬化性樹脂液rの液面に合せて含
浸機31に固定される。即ち、オーバフローシュート3
3は扁平茎3が含浸機31から原料取出しシュート37
に移動する通路の下方の含浸機31に固定され、扁平茎
3に付着した余剰な熱硬化性樹脂液rを回収する。しか
も、オーバフローシュート33は液注入口38より補充
される熱硬化性樹脂液rが過剰の場合には、溢れ出る液
を回収する機能も有する。オーバフローシュート33で
回収された熱硬化性樹脂液rは溶液槽34に注入され
る。
され、含浸機31内の熱硬化性樹脂液rは液排出口39
から排出され溶液槽34に貯えられる。この液排出口3
9より排出する熱硬化性樹脂液rはポンプP1で吸上げ
られて溶液槽34に流入させるか、或いは液排出口39
より下位に溶液槽34を設けて自然に溶液槽34に流入
させる。溶液槽34にはオーバフローシュート33及び
液排出口39より熱硬化性樹脂液rが回収され、更に後
述する絞り機41より熱硬化性樹脂液rが回収される。
回収され溶液槽34に貯溜した熱硬化性樹脂液rは撹拌
モータ52aにより駆動される撹拌機52で撹拌され、
pHセンサ51aに接続されたpH指示計51により溶
液のpHを測定される。同時に溶液溜まり301に設け
られた温度計tにより温度が検出される。溶液槽34内
の溶液の温度はラバーヒータ53により制御され、最適
値に保たれる。また溶液のpH値は補給溶液R(図7)
が加えられて最適値に保たれる。溶液槽34の熱硬化性
樹脂液rはポンプP2で汲上げられ流量計54により溶
液の流量が制御されて、液注入口38より含浸機31内
に注入される。このとき、溶液槽34内の溶液をより確
実に撹拌するために、ポンプP2により汲み上げられた
溶液の一部をレリーフ弁55を開いて溶液の一部を溶液
槽34に常にフィードバックする。このようにして、循
環される熱硬化性樹脂液rは、常にその温度及びpH値
を最適値に制御され、含浸条件が一定に維持される。
性樹脂液が含浸された含浸茎4は間欠運転をする含浸茎
整理コンベア32上で整理され、含浸茎整理コンベア3
2の下方に設けられた絞り機供給コンベア42上に所定
の本数が同時に供給される。この絞り機供給コンベア4
2によって含浸茎4の搬送方向が略90゜変化して複数
本同時に次の絞り機41に搬送される。
す。間欠運転をする含浸茎整理コンベア32上において
整理された含浸茎4は、一定の本数の含浸茎4が揃うま
で反転受板43上に支持され、一定の本数の含浸茎4が
揃った時点でその支持が解除され、この反転受板43の
下方に設けられた絞り機供給コンベア42上に複数本同
時に供給される。絞り機供給コンベア42により運ばれ
る含浸茎4は、その繊維方向と平行に絞り機41に供給
される。
絞り機41はロール表面に凹凸のない平ロールからなる
一対の絞りロール44a及び44bを備える。より確実
に含浸茎4を絞り機41に供給するために、縦溝又は横
溝を有する図示しない供給ロール等を別途設けてもよ
い。絞りロール駆動変速機45により駆動される絞りロ
ール44aは上下に移動可能に設けられ、このロールの
両端にロール44aと44bとの間隔を調整し、ロール
44aの回転軸を回転可能に支持する間隔調整機44c
を有する。絞りロール駆動変速機46により駆動される
絞りロール44bは固定式であって、絞りロール44b
との調整される間隔に含浸茎4を通過させることによ
り、含浸茎4に含浸される余剰の熱硬化性樹脂液rを絞
り取る。このときの絞り圧力は間隔調整機44cにより
調整されるロール間隔の距離により決定される。
余剰の熱硬化性樹脂液rは、含浸機31からオーバフロ
ーシュート33を介して得られる余剰の熱硬化性樹脂液
rと同じく、溶液槽34で回収される。即ち、図15に
示すように、絞り機41により絞られた熱硬化性樹脂液
rは絞りロール44bを伝わるか、或いはそのまま落下
して絞りロール44の下方に設けられる絞り液受け箱4
7に回収される。回収された熱硬化性樹脂液rは排液口
47aより排出され、図14に示す溶液槽還元配管48
を通って溶液槽34へ還元される。このようにして絞り
機41により熱硬化性樹脂液rの余剰液が絞り取られた
扁平含浸茎5は整理台49上で整理され、茎運搬車56
に移されて次の乾燥機61へ運ばれる。この搬送された
扁平含浸茎5は、乾燥工程60に供給されるために、以
下に示すような移動パレットに移し換えられる。
る。この移動パレット57は扁平含浸茎5を整列させて
収容するために、例えば直方体状の枠体に形成される。
また移動パレット57はこの枠体の四隅に多段に間隔を
空けて配設された複数のフック59と、両側の対向する
フック59毎に抜取り可能に架渡された複数のロッド5
8とを備え、互いに対向するロッド58間に乾燥される
扁平含浸茎5を架渡して支持するように構成される。図
17及び図18に示すように、フック59は略V字型に
形成され、ロッド58の両端付近を下方から支持するよ
うに一端が移動パレット57の内側面に取付けられる。
一本のロッド58を支持するために2個のフック59が
必要とされる。この一組のフック59は、支持されるロ
ッド58の長手方向に直交するように移動パレット57
の対向枠にそれぞれ同じ高さ位置に取付けられる。同様
に移動パレット57の別の対向枠に別の一組のフック5
9が取付けられる。これらの取付けにより互いに平行か
つ水平な2本のロッド58を支持できる。2本のロッド
58により形成される平面の上下には、更に等間隔をも
って同様な平面が複数層形成されるようにフック59が
取付けられる。
での通気性を良くするために、移動パレット57には複
数の扁平含浸茎5が2本のロッド58上に互いに隣接し
て配列され、一つの層を形成する。また移動パレット5
7には上下に間隔を空けて次の層を形成するように扁平
含浸茎5が収容される。先ず移動パレット57の最下段
のフック59に互いに平行かつ水平な2本のロッド58
を設置して、次に2本のロッド58上に扁平含浸茎5の
両端が支持されるように、ロッド58と直交する方向に
複数の扁平含浸茎5が並列される。扁平含浸茎5が全て
並列配置されると、その上方に一定間隔を空けて次のロ
ッド58が2段目のフック59に設置される。このよう
にして順次積重ねられて扁平含浸茎5が移動パレット5
7に収容される。このロッド58はその長手方向に引抜
き可能に構成され、乾燥完了後にロッド58を引抜くこ
とによって移動パレット57に収容された扁平含浸茎5
を同時に取出すことができる。
1のローラコンベア65上には扁平含浸茎5を収容する
移動パレット57が、図示しないリフトにより扁平含浸
茎5の長手方向と搬送方向が平行になるように置かれ
る。移動パレット57はそのストロークが例えばパレッ
ト1台分の長さに相当する油圧式プッシャ(図示せず)
により押されて移動し、乾燥機61の第1の乾燥工程で
ある予備乾燥室62に供給される。乾燥機61は、予備
乾燥室62、高温乾燥室63及び中温乾燥室64から構
成され、この順番で扁平含浸茎5が乾燥される。即ち、
第1の乾燥工程である予備乾燥室62に供給される扁平
含浸茎5を収容する移動パレット57は、図示しない油
圧式プッシャに押されて駆動され、予備乾燥室62内を
一定時間を経て通過する。このとき、この移動パレット
57の前方に更に別のパレットがある場合には、このパ
レットも連動されて移動される。以下同様にして、扁平
含浸茎5は高温乾燥室62及び中温乾燥室63内を順次
通過されて乾燥される。
について詳しく説明する。第1の乾燥工程である予備乾
燥室62では低温による予備乾燥が行われる。即ち、熱
硬化性樹脂液rが適量含浸された扁平含浸茎5はこの扁
平含浸茎5の内部組織及び表皮に含浸される熱硬化性樹
脂液rの含浸量が多い段階で、低温によって穏やかに乾
燥される。この穏やかな乾燥により、扁平含浸茎5に含
浸された含浸剤は急激に温度上昇されず、水分の沸騰現
象による含浸剤の流出を防止することができる。更に、
このような穏やかな乾燥により含浸剤の浸透が促進さ
れ、含浸剤を効率よく扁平含浸茎5の内部に吸収したま
まで乾燥させることができる。
3では高温による効率的乾燥が行われる。即ち、上記の
予備乾燥室62における低温乾燥に引き続き、高温乾燥
室63で高温乾燥を行うことにより、被乾燥物の乾燥時
間を短縮することができる。通常、ある一定量以上の水
分をこの被乾燥物が有する場合、その水分の蒸発に必要
とされるエネルギはまず水分の温度上昇に使われる。こ
の水分の温度上昇を担うエネルギを高温乾燥により短時
間で効率的に与える。即ち、被乾燥物に蒸発潜熱を素早
く与えることにより、乾燥時間を短縮でき、しかも、被
乾燥物が蒸発潜熱を有するため、含浸剤が加熱硬化を起
こすような過度な温度上昇を防ぐことができる。このよ
うに、効率的乾燥には高温乾燥が望ましいが、通常被乾
燥物が変質しない程度の温度範囲に乾燥温度が設定され
る。
4では中温による仕上げ乾燥を行う。即ち、上記の高温
乾燥室63における温度乾燥により、被乾燥物内の水分
の蒸発潜熱は理想的には沸点まで上げられる。このと
き、水分の急激な沸騰現象が起こらないうちに、或いは
含浸液の熱硬化が起きないうちに、中温乾燥室64にお
いて乾燥温度を若干下げた中温乾燥による仕上げ乾燥が
行われる。この中温乾燥により、前2室で乾燥されずに
茎内部又は表皮部に残る水分が除去され、含浸茎が十分
に乾燥される。以上のように、乾燥工程に経時的に温度
の変化をつけることにより、乾燥時間を短縮することが
でき、しかも、後述する強化積層材を加熱圧接成形する
際に、接着不良の原因となる過剰な水分を確実に取り除
くことができる。
て図20に基づいて説明する。図20に示すように、乾
燥室内の温度を変化させるヒータ66は、各乾燥工程に
必要とされる適切な温度に上昇させるに十分な熱量を発
生する。吸気口69より吸入される空気はヒータ66に
供給され、このヒータ66によって暖められた空気は、
ヒータ66の上方に設けられた循環ファン67により乾
燥室内を循環される。まず循環ファン67から送られる
空気は、送風口68よりローラコンベア65上を搬送さ
れる移動パレット57の上方に吹込まれる。吹込まれた
空気は移動パレット57内を通過して、移動パレット5
7の下方に設けられた図示しないパンチングメタルを通
過して、図示しない排気ファンにより排気される。以上
のように移動パレット57の略真上から空気を通過させ
ることにより、収容されている扁平含浸茎5が気流の乱
れ等によるばらつきを少なくし、隣接配置される扁平含
浸茎5が互いに接着されることなく確実に乾燥される。
いて図21に基づいて詳細に説明する。図21は木質単
層板145の製造工程に係る木質単層板製造機131、
木質単層板切断機141及びその周辺機器を示す。原料
である丸太135はフックレール137によって移動す
るフック134により支持されて切断機供給コンベア1
32に供給され、このコンベア132により切断機13
3に供給される。切断機133に供給された丸太135
は、加工上必要とされる適切な長さにその両端を切断さ
れ、フック134により旋盤供給コンベア139上に搬
送される。旋盤供給コンベア139により丸太135は
回転式旋盤加工機136に供給される。この回転式旋盤
加工機136で円柱状の丸太135はその中心位置を回
転軸として回転駆動される。同時に丸太135の表面層
が一定の厚さで転切され、連続する木質の単層板に形成
される。この連続する木質単層板147は単層板切断機
供給コンベア138により搬送され、木質単層板切断機
141に順次供給される。
質単層板147は、カッタ142により加工上必要とさ
れる適切な長さに切断されて木質単層板145となる。
この木質単板145は整理コンベア143により整理台
146に搬送され、整理台146上に整理して置かれ
る。整理台146上に置かれた木質単層板145は図示
しない木質単層板運搬車に積換えられて、図19に示し
た乾燥機61へ供給され乾燥される。以上のように形成
された木質単層板145は、乾燥工程60において乾燥
され、乾燥茎6で作られたシート状物8に重ね合されて
強化積層材として完成される。
形成工程、即ち縫合工程について説明する。図22は縫
合機である横はぎ機81及びその周辺機器を示す。上記
乾燥機61により乾燥された被乾燥物のうち、熱硬化性
樹脂液が含浸され乾燥された乾燥茎6は移動パレット5
7に載ったまま乾燥機61より取出される。シート状物
に形成するために複数本の乾燥茎6が上層シート形成工
程71、中層シート形成工程72、及び下層シート形成
工程73に分配される。各工程毎に分配された乾燥茎6
は、上層シート形成工程71の整列コンベア74、中層
シート形成工程72の整列コンベア75及び下層シート
形成工程73の整列コンベア76の上にそれぞれ整列配
置される。これらのコンベア74〜76は図示しない整
理コンベア駆動機により駆動され、それぞれ乾燥茎6を
横はぎ機入り口コンベア77、78及び79上に搬送す
る。
燥茎6はそれぞれ横はぎ機82、83及び84に次々に
供給され、そこで一定間隔をもって縫合される。即ち、
隣接配置された複数本の乾燥茎6は分散しないように或
いは作業性を向上させるために、配列したすべての乾燥
茎6は糸で縫合されるか、又は粘着テープや再湿テープ
で仮止めされることにより、結束される。このように連
続的に縫合されたシート状の扁平茎は、所定の長さに切
断され、強化積層材の各層を形成するシート状物に形成
される。
について、特に上層シート形成工程71における横はぎ
工程について、図23及び図24に基づいて更に詳しく
説明する。図22〜図24に示すように、横はぎ機入り
口コンベア77により供給される乾燥茎6は、図示しな
い搬送コンベア駆動装置により間欠運転される搬送コン
ベア85、例えば、チェーンコンベア上に一定の間隔を
空けて配置され、横はぎ機81の縫合部86に供給され
る。乾燥茎6を搬送コンベア85上で一定の間隔を空け
るのは、後述する圧接工程110において、加圧された
茎が扁平方向に拡幅するだけの空間を確保するためであ
る。この拡幅のための間隔を設けない場合には、圧接工
程110により加圧した時に一部の茎が膨れ上がり、板
表面の平滑性が低下する。
行に整列された複数の乾燥茎6のそれぞれに糸を貫通し
て乾燥茎同士を縫合することにより、縫合乾燥茎7が作
られ、所定本数の縫合乾燥茎7を切断してシート状物8
が得られる。即ち、ワックス成分を含む乾燥茎6の表皮
は滑り易く、糸で縛るように結束するだけでは十分な結
束状態は得られず、また、テープや接着剤を用いて結束
させる場合には間隔を設けることが困難である。従っ
て、乾燥茎6のそれぞれに糸を貫通して縫合する。
えコンベア87、はぎ針支持機88及びはぎ針89によ
り構成される。間欠運転する搬送コンベア85により順
次送込まれる乾燥茎6はこの乾燥茎6の上方に設けられ
た押さえコンベア87により搬送コンベア85に押さえ
付けられる。これにより、押さえ付けられた乾燥茎6は
縫合時にばらつくことなく一定の間隔を有して確実に縫
合される。図示しないはぎ針支持機駆動機により駆動さ
れるはぎ針支持機88には、はぎ針89が複数本、例え
ば4本、任意の位置に平行にその針先を茎の方向に向け
て設置され、各針の先端には乾燥茎6を縫合するために
必要な縫合糸が通される。これらのはぎ針89ははぎ針
支持機88により支持され上下動される。はぎ針支持機
88の上下動により、コンベア87により確実に押さえ
られた乾燥茎6が縫合される。即ち、搬送コンベア85
に互いに隣接して置かれた乾燥茎6は繊維方向と直角を
成す方向に縫合部86に送られ、はぎ針支持機88によ
り茎の任意の4箇所で縫合される。
る所定の本数が等間隔、即ち、等ピッチで縫合部86に
供給され、或いは必要最小限の間隔で供給され、そこで
縫合される。所定の本数の乾燥茎6を縫合して形成され
た縫合乾燥茎7を分離してシート状物8にするために、
所定の本数の縫合乾燥茎7間には比較的大きい間隔が設
けられる。即ち、等間隔或いは必要最小限の間隔で縫合
される乾燥茎6は、所定本数まで比較的小さなピッチで
配列され、所定本数の乾燥茎6間には縫合糸を切断する
ための比較的大きな分離用の間隔が与えられる。はぎ針
89が乾燥茎6の間と乾燥茎6の表面及び茎内部組織を
貫通して縫合糸が編まれて所定本数の乾燥茎6が縫合さ
れる。乾燥茎6の表面及び茎内部組織をはぎ針89が貫
通する箇所があることから、乾燥茎6を一定の間隔をも
って縫合する際、縫合後に縫合糸Lの緊張が緩み、乾燥
茎6が縫合糸Lから容易にすり抜けられなくなる。また
縫合不良が発生した時には、この縫合糸Lは簡単に取外
すことができ、取外された乾燥茎6は再利用することが
できる。
により詳しく説明する。図25(A)に示すように、は
ぎ針支持機88に固定されたはぎ針89は、図示しない
駆動装置によって駆動されて乾燥茎6の進行方向に対し
て垂直方向に上下動される。このはぎ針89は、図24
(B)に示すように最下端から上昇する際に縫合糸Lを
一本だけ引掛けることができるようにその針先が形成さ
れる。はぎ針89により引掛けられた縫合糸Lは乾燥茎
6の間欠移動に伴い、図24(C)のように乾燥茎6上
に引き延ばされる。はぎ針89が縫合される箇所に移動
されると、乾燥茎6が一時的に停止され、押さえコンベ
ア87(図24)により押さえた状態ではぎ針89が上
下動する。はぎ針89の下降時に針先から縫合糸Lが外
れ、図24(D)に示すようにこの針先は乾燥茎6の下
方に設けられている縫合糸Lを再度引掛ける。このよう
に引掛けられた縫合糸Lははぎ針89の上昇時に前と同
じように乾燥茎6上に新たに引延ばされ、ループを描い
て引延ばされていた縫合糸の間を通って図24(E)に
示すように縫合される。同様にして乾燥茎6は次の縫合
箇所まで搬送されると、一端停止後縫合される。なお、
はぎ針89の上下動箇所は乾燥茎6が在る位置に限ら
ず、図24(F)のように乾燥茎6が存在しない位置で
もよい。
りに、一対のはぎ針のみを縫合される乾燥茎6の両端に
可能なかぎり近づけて配置してもよい。一対のはぎ針で
押さえコンベア87の外側でのみ乾燥茎6を縫合すれ
ば、後述する縦横切断機121(図31)によって強化
積層材の両側部が切揃えられる際に、この縫合部分が切
り落とされ、縫合に使用された縫合糸が完成された強化
積層材から除去され、縫合糸が残らない強化積層材が得
られる。
本数が並列された状態で縫合されたシート状の縫合乾燥
茎7は、搬送コンベア85により切断部800に搬送さ
れ、切断される。この切断部800は、シート状の縫合
乾燥茎7を所定の長さに切断するカッタ801と、その
刃先をシート状の縫合乾燥茎7に垂直に向かうようにカ
ッタ801を支持し固定するカッタ支持機802により
構成される。図示しないカッタ支持機駆動機により駆動
されるカッタ支持機802が上下動し、カッタ801が
上下動すると、この所定本数のシート状の縫合乾燥茎7
間の縫合糸が切断される。図27に示すように、所定本
数の縫合乾燥茎7は切断されてシート状物8となり、シ
ート状物取出しコンベア803により搬送される。
更に詳しく説明する。図26は、横はぎ機81の切断部
800、特に縫合乾燥茎7が切断される部分について示
す。図26(A)は、所定本数の縫合乾燥茎7間の縫合
糸Lが切断される前の状態を示す。図示しないカッタ支
持機駆動機により駆動されるカッタ支持機802は、カ
ッタ801の刃面を挟む位置に一対のヒータ804を有
する。これらのヒータ804はそれぞれヒータ支持バネ
805を介してカッタ支持機802に取付けられる。ま
た、ヒータ804はこのヒータ804を駆動する図示し
ないヒータ駆動制御装置及び熱硬化剤を塗布する塗布機
構806を有する。この塗布機構806によって塗布さ
れた熱硬化剤はヒータ804の熱により加熱硬化する。
の切断の瞬間を示す。図示しない駆動装置により間欠駆
動される搬送コンベア85及びシート状物取出しコンベ
ア803は、搬送されるシート状の縫合乾燥茎7が切断
箇所に達すると、僅かな時間停止する。この停止したシ
ート状の縫合乾燥茎7の縫合糸はカッタ801の上下動
に従い切断される。切断された縫合糸Lの切断端は、切
断と同時にヒータ804とヒータ804の下方に設けら
れるヒータ受圧板807とにより挟持される。これによ
り、図26(C)及び図33に示すように挟持された縫
合糸Lの切断端は、ヒータ804の熱により加熱され、
その切断面に塗布されている熱硬化剤806が加熱硬化
されて縫合糸の端部が結び留められることとなる。
と、搬送コンベア85及びシート状物取出しコンベア8
03は再び間欠的に駆動され、シート状物8がシート状
物取出しコンベア803により搬送される。また、次の
所定本数が並列されたシート状の縫合乾燥茎7は搬送コ
ンベア85により次の切断箇所まで搬送される。このよ
うに、縫合乾燥茎7を切断して成るシート状物8は、高
りゃん茎の間隔が調節されることにより、間隔の空いた
簾状に形成される。また、ここでは上層シート形成工程
71について説明したが、中層シート形成工程72及び
下層シート形成工程73についても同様にしてシート状
物8が得られる。
茎のシート状物8は、強化積層材を製造する際に、単層
または多層に積み重ねられて熱圧成形されるが、以上の
ように高りゃん茎を縫合糸Lにより縫合して一枚のシー
ト状に形成することにより、作業性が向上し作業がより
簡単になる。また、このシート状物8を構成する扁平茎
は、小径から大径まで種々の茎径を有するため、結束さ
れて成るシート状物表面は凹凸になっている。この凹凸
を平らにするために、即ち、接着剤塗布工程90におい
て均一に接着剤を塗布するために、第2の潰し工程で再
度扁平に潰される。このとき、シート状物8の扁平茎間
に設けられた間隔が埋められることにより、シート状物
8の扁平方向への膨出がなくなり、寸法精度の高いシー
ト状物8が得られる。
ート形成工程72及び下層シート形成工程73における
それぞれの接着剤塗布機91、92及び93、並びにそ
の周辺機器を示す。図22の横はぎ機82から供給され
たシート状物8は上層シート形成工程71の接着剤塗布
機供給コンベア94に一枚ずつ置かれ、接着剤塗布機9
1に供給される。同様に、中層シート形成工程72にお
けるシート状物8及び下層シート形成工程73における
シート状物8は、それぞれ接着剤塗布機92及び93に
供給される。上層シート形成工程71の接着剤塗布機9
1及び下層シート形成工程73の接着剤塗布機93で
は、シート状物8の片面のみに接着剤が塗布される。ま
た、中層シート形成工程72の接着剤塗布機92では、
シート状物8の両面に接着剤が塗布される。或いは、全
ての工程においてシート状物の両面に接着剤を塗布して
もよい。
剤を塗布した各シート状物は、重ね合せ台供給コンベア
97、98及び99により重ね合せ工程100供給され
る。図29は重ね合せ台101、圧接機111及びその
周辺機器を示す。重ね合せ機供給コンベア97、98及
び99により供給される上層、中層及び下層のシート状
物8は、乾燥機61から供給される木質単層板145と
重ね合せ台101上で重ね合される。即ち、重ね合せ台
101上でシート状物8及び木質単層板145が重ね合
される際に、先ず接着剤が塗布されない木質単層板14
5が最下層に置かれる。その上に下層シート形成工程7
3で形成された下層のシート状物が、その接着剤塗布面
を最下層の木質単層板145に対向するように反転され
て重ねられる。その上に中層シート形成工程72で形成
された中層のシート状物8がその繊維方向を下層のシー
ト状物と直交するように重ねられる。その上に上層シー
ト形成工程71で形成された上層のシート状物8がその
接着剤塗布面を上方に向け、その繊維方向を中層のシー
ト状物と直交するように重ねられる。その上に接着剤が
吹付けられない木質単層板145が重ねられる。また積
層材の種類によって、表面に木質単層板145を積層し
ない場合には、この木質単層板145を接着するための
接着剤は不必要であることはいうまでもない。例えば5
層に重ね合される積層物は、圧接機入り口コンベア10
2上に移され、このコンベア102により圧接機111
に搬送される。
ト状物8は、十分な力学的強度を有する高りゃん茎の繊
維方向に対し、この繊維方向と直交する方向の力学的強
度は十分なものとはいえない。そのため、このように繊
維方向と直交する方向の力学的強度を高めるために、シ
ート状物8を複数枚その繊維方向が直交するように交互
に積層し、縦横に十分な強度を有する積層材が製造され
る。また、作業性及び高りゃん茎の歩溜りからシート状
物8毎に、このシート状物8を構成する高りゃん茎が直
交するように積層されることが望ましく、また、高りゃ
ん茎に含浸される熱硬化性樹脂液rの量が少ない場合、
或いはこの熱硬化性樹脂液rの種類によっては、シート
状物8の表面に接着剤を塗布して積層する。
れる接着剤について詳しく説明する。 この際に使用さ
れる接着剤は公知のものでもよく、例えばユリア樹脂、
メラミン・ユリア共縮合樹脂、フェノール・メラミン樹
脂、フェノール樹脂、フェノール・レゾルシノール樹
脂、レゾルシノール樹脂、水性高分子イソシアネート接
着剤を含むイソシアネート系接着剤、タンニン樹脂等が
ある。前述したリグノセルロースの樹脂化液を本発明の
接着剤として用いれば、高りゃん茎との高い接着親和力
を得ることができ、シート状物8の接着性能が向上す
る。またリグノセルロースの樹脂化液は、高りゃん茎の
直線部分以外の廃棄される部分、即ち、この高りゃん茎
の葉や袴の部分、或いは屈曲部分や余分な部分を切除さ
れるときに出される切断屑Cを溶解して再利用するた
め、高りゃん茎の使用効率を高め、この高りゃん茎を有
効に利用することができる。また、この接着剤の使用量
は、シート状物8の全乾燥重量に対して1〜50重量%
であることが望ましい。この接着剤の使用量が1重量%
未満のときには積層材の力学的強度が著しく低下し、ま
た、その使用量が50重量%を超えるときにはこの積層
材の性能に比べコストが著しく上昇する。
層物は、圧接工程110で加熱硬化される。この重ね合
される積層物は必要に応じて仮圧締を施され、圧接機1
11により50〜250℃の温度下、2〜30kg/c
m2の圧力で加熱圧縮される。また、図30に示すよう
に、加圧時にスペーサ103を配置することにより、加
圧される積層物を必要とされる厚さに形成することがで
きる。また、積層物の平滑度を上げるため、又はより高
い精度の厚みを得るために、必要によりこの積層物はス
クレイパ、プレーナ、サンダ等により表面加工される。
ば5層から成る積層物は、単独で、或いはその積層方向
に複数固配列され、複数固同時に圧接機111により圧
接される。このときシート状物8内の高りゃん茎の内部
組織に、含浸機30により含浸される熱硬化性樹脂液r
は、圧接機111により積層物が圧接される際の圧接に
よる圧力により高りゃん茎内より滲み出ることとなる
が、この滲み出る熱硬化性樹脂液rによってシート状物
8が互いに接着することが助長される。即ち、高りゃん
茎は含浸機30によりその表皮に有する亀裂より熱硬化
性樹脂液rを含浸すると、熱硬化性樹脂液rが容易に高
りゃん茎の表皮及び芯部の多孔性の髄部にまで均一に浸
透する。この浸透した熱硬化性樹脂液rが十分な水分を
持つ場合には、圧接機111の押付け圧力で高りゃん茎
より滲み出て、高りゃん茎の表層に付着し或いは積層さ
れるシート状物8同士の間隔をうめて、シート状物8が
互いに接着される。
液化液又はその樹脂化液を用いると、これらにはリグノ
セルロースの加水分解等による広範囲の分子量成分が生
成されているために、髄部には低分子量成分及び高分子
量成分がともに浸透し、強固に増強される。それと同時
に低分子量成分が皮層内部に浸透して皮部強度が向上す
る。また、高分子量成分は皮部表層にて樹脂層を形成
し、皮部の増強作用を有すると同時にシート状物8同士
の接着作用を有する。従って、リグノセルロースの液化
液又はその樹脂化液を使用する際、他の熱硬化性樹脂液
を使用したときよりも優れた増強効果を示すとともに、
積層に際し使用される接着剤の使用量を減らすか、或い
は全く使用せずに済む効果も得られる。
物8を積層して熱圧成形すると、シート状物に塗布され
る接着剤が乾燥し、かつ熱硬化性樹脂液rが硬化され樹
脂化合物に変わることにより、強化される積層材を得る
ことができる。このように熱圧成形された強化積層材は
製品取出しコンベア104により搬送され、製品積載機
105に積込まれる。
定の寸法に採寸される縦横切断工程120(図1)に供
給される。図31は縦横切断機121及びその周辺機器
を示す。製品積載機105に積込まれた積層物は製品搬
送車106により搬送され、製品取出し部122上に複
数個取出される。この取出された積層物は、一個ずつ或
いは複数個同時に、縦切り機供給コンベア123により
縦切り機124に供給される。この供給される積層物
は、略正四角柱をしており、縦切り機124でその向い
合う一組の辺、即ち正方形の向い合う一組の平行かつ同
じ長さの2辺が切揃えられる。切揃えられた積層物は縦
切り機取り出しコンベア125により方向転換機126
上に搬送される。方向転換機126でその方向が90゜
転換された積層物は横切り機供給コンベア127により
横切り機128に搬送される。横切り機128で積層物
は縦切り機124で切揃えられた一組の辺と隣接する他
の一組の辺が切揃えられる。
れて形成された強化積層材9はこの強化積層材9の品質
検査及び製品の選別を行うために設けられる選別コンベ
ア129により、搬送されながら品質検査及び製品の選
別が行われる。ここで品質検査に合格し選別された製品
としての強化積層材9は製品積み機230に積込まれ、
図示しない梱包工程を経て製品として出荷される。
0では、図28に示されるように接着剤をシート状物8
に吹付けて塗布したが、この吹付けに代えて図32に示
すように、スポンジ状のローラ151a及び151bを
有する塗布機151を用いてもよい。またシート状物に
接着剤が塗布される前に予めこのシート状物8への接着
剤の含浸性を良くするためにシート状物8を再び潰して
もよい。即ち、図32に示すように図4に示した潰し機
21と同様の一対の潰しローラ150a,及び150b
を有する潰し機150を塗布機151の前方に配置して
もよい。シート状物8が潰し機150に供給されると、
潰しローラ150a及び150bによりシート状物8が
潰されてより扁平化される。この扁平化されたシート状
物8は潰し機によって強制的にスポンジ状のローラ15
1a及び151b間に押込まれ、ここでローラ151a
及び151bによって接着剤が塗布され、図33に示す
ようにその上下に他のシート状物8が重ね合される。
で同様に圧接されて確実に密着する。図32の塗布機1
51ではスポンジ状のローラ151a,151bに接着
剤補給機152a,152bから常に接着剤が供給さ
れ、しかもローラ151a,151bがシート状物8の
侵入に際して変形されることから、そのシート状物8に
凹凸があっても確実に接着剤がそのシート状物8に均一
に塗布される。またこの塗布前にシート状物8が潰され
て扁平化されていることから、より確実にシート状物8
に接着剤が塗布される。従って作られた積層体では、そ
の接着強度が向上する。
方法及びその装置によれば、安価でしかも半永久的に供
給可能な、高りゃん茎等のイネ科の植物茎を用い、この
植物茎をそのままで、或いは圧延して使用することによ
り製造工数を少なくすることができ、製造コストが安価
で済む。また、この装置は、複数の製造工程を有し、各
製造工程の高低速度が一定に保たれ連続的に製品が製造
できるので、大量生産に向いている。また、この装置
は、強化積層材の力学的強度及び寸法安定性を極めて向
上させる工程を有し、水による膨潤を防ぐ工程を有する
ことにより、極めて軽量で、多種の用途に適する強化積
層材の製造方法及びその製造装置を提供することができ
る。
の周辺機器の構成図。
辺機器の構成図。
の周辺機器の構成図。
図。
機供給コンベアの構成図。
成図。
図。
図。
図。
図。
周辺機器の構成図。
機の側面図。
シート状物を他のシート状物と重ね合せた側面図。
面図。
面図。
図。
段) 57・・・移動パレット 58・・・ロッド 59・・・フック 60・・・乾燥工程 61・・・乾燥機(乾燥手段) 62・・・予備乾燥室 63・・・高温乾燥室 64・・・中温乾燥室 67・・・循環ファン(乾燥気流供給手段) 80・・・横はぎ工程(縫合工程) 81・・・横はぎ機(縫合手段) 82,83,84・・・横はぎ機(縫合機構) 89・・・はぎ針(縫合針) 90・・・接着剤塗布工程 91,92,93,151・・・接着剤塗布機 100・・・重ね合せ工程 101・・・重ね合せ台(重ね合せ手段) 111・・・圧接機(重ね合せ手段) 150a,150b・・・潰しローラ(潰し機構) 151a,151b・・・スポンジ状のローラ(塗布機
構) 303・・・液面調整機(液面調整手段) 801・・・切断カッタ(切断機構) 804・・・ヒータ(固着機構) 806・・・熱硬化剤(固着機構) L・・・縫合糸 P2・・・ポンプ(熱硬化性樹脂液の循環手段) r・・・熱硬化性樹脂液
Claims (23)
- 【請求項1】 イネ科の複数本の植物茎(1)を潰してそ
の繊維方向に沿って亀裂が生じた扁平茎(3)にする潰し
工程(20)と、 前記扁平茎(3)に熱硬化性樹脂液(r)を含浸して含浸茎
(4,5)を得る含浸工程(30)と、 前記含浸茎(4,5)を乾燥して乾燥茎(6)にする乾燥工程(6
0)と、 複数本の前記乾燥茎(6)を間隔を空けて整列し、前記整
列した乾燥茎(6)のそれぞれに縫合糸(L)を貫通して縫合
乾燥茎(7)にし、所定本数の縫合乾燥茎(7)を切断してシ
ート状物(8)にする縫合工程(80)と、 前記シート状物(8)の表面に接着剤を塗布する接着剤塗
布工程(90)と、 前記接着剤の塗布された複数のシート状物(8)を互いに
乾燥茎の整列方向を異にして接着剤の塗布面を密着して
これらを積層し、この積層物を加圧して複数のシート状
物(8)を重ね合せる重ね合せ工程(100)とを含むことを特
徴とする積層材の製造方法。 - 【請求項2】 含浸工程(30)では、扁平茎(3)を一定速
度で熱硬化性樹脂液(r)の中に通過させて含浸し、かつ
含浸時に樹脂液面の高さを調整して含浸時間を調整する
請求項1記載の積層材の製造方法。 - 【請求項3】 乾燥工程(60)では、低い温度で含浸茎
(4,5)を乾燥する予備乾燥、前記予備乾燥の温度より高
い温度で含浸茎(4,5)を乾燥する高温乾燥及び前記予備
乾燥の温度と前記高温乾燥の温度の中間の温度で含浸茎
(4,5)を乾燥する中温乾燥をこの順序で連続して行う請
求項1記載の積層材の製造方法。 - 【請求項4】 縫合工程(80)では、所定本数の整列した
乾燥茎(6)のそれぞれの間に僅かな間隔を空けるととも
に所定本数の整列した乾燥茎(6)間に前記間隔よりも大
きな分離用間隔を空けた状態で縫合し、前記分離用間隔
で縫合糸(L)が切断され、縫合糸(L)の結び留めがなされ
る請求項1記載の積層材の製造方法。 - 【請求項5】 縫合工程(80)では、整列した乾燥茎(6)
が間欠的に縫合箇所まで搬送され、整列した乾燥茎(6)
が静止しているときに乾燥茎(6)に縫合糸(L)を貫通して
縫合する請求項1記載の積層材の製造方法。 - 【請求項6】 縫合工程(80)では、整列した乾燥茎(6)
のそれぞれの間に第1の間隔を空けかつ所定本数の整列
した乾燥茎(6)毎に第1の間隔よりも大きな第2の間隔
を空けた状態で間欠的にその茎の長手方向に直交する方
向に搬送し、整列した乾燥茎(6)が静止しているときに
上下動する縫合針(89)で縫合糸(L)を引出して次々に整
列した乾燥茎(6)を縫合糸(L)で結束して縫合乾燥茎(7)
にする請求項1記載の積層材の製造方法。 - 【請求項7】 第2の間隔に露出された縫合糸(L)を切
断するとともにその縫合糸(L)の切断端を接着剤で結び
留めした後、縫合糸(L)で結束された所定本数の整列し
た乾燥茎(6)を分離してシート状物(8)にする請求項6記
載の積層材の製造方法。 - 【請求項8】 シート状物(8)を潰してこれを積層して
積層材に形成する請求項7記載の積層材の製造方法。 - 【請求項9】 接着剤塗布工程(90)は、乾燥茎(6)を再
びその繊維方向に沿って亀裂を生じさせる潰し工程及び
この亀裂が形成された乾燥茎(6)に接着剤を塗布する工
程を含む請求項1記載の積層材の製造方法。 - 【請求項10】 イネ科の複数本の植物茎(1)を潰して
その繊維方向に沿って亀裂が生じた扁平茎(3)にする潰
し手段(21)と、 前記扁平茎(3)に熱硬化性樹脂液(r)を含浸して含浸茎
(4,5)を得る含浸手段(31)と、 前記含浸茎(4,5)を乾燥して乾燥茎(6)にする乾燥手段(6
1)と、 複数本の前記乾燥茎(6)を間隔を空けて整列し、前記整
列した乾燥茎(6)のそれぞれに縫合糸を貫通して縫合乾
燥茎(7)にし、所定本数の縫合乾燥茎(7)を切断してシー
ト状物(8)にする縫合手段(81)と、 前記シート状物(8)の表面に接着剤を塗布する接着剤塗
布手段(91,92,93,151)と、 前記接着剤の塗布された複数のシート状物(8)を互いに
乾燥茎の整列方向を異にして接着剤の塗布面を密着して
これらを積層し、この積層物を加圧して複数のシート状
物(8)を重ね合せる重ね合せ手段(101,111)とを含む積層
材の製造装置。 - 【請求項11】 潰し手段(21)は、植物茎(1)を受け入
れるためにローラ間隔が変更可能に構成され前記植物茎
(1)をガイドする一対のガイドローラ(22a,22b)と、ロー
ラ間隔が変更可能に構成され前記ガイドローラ(22a,22
b)によってガイドされた植物茎(1)を潰してその植物茎
の繊維方向に沿う亀裂を与えて扁平茎(3)にする一対の
潰しローラ(23a,23b)とを備えた請求項10記載の積層
材の製造装置。 - 【請求項12】 ガイドローラ(22a,22b)及び潰しロー
ラ(23a,23b)の少なくとも一方は、そのローラ表面に縦
溝又は横溝のいずれかの山形溝(28)が形成された請求項
11記載の積層材の製造装置。 - 【請求項13】 含浸手段(31)は、扁平茎(3)を一定速
度で熱硬化性樹脂液(r)の中に通過させるとともにその
液面高を調整して含浸時間を調整する含浸時間調整手段
(303)を含む請求項10記載の積層材の製造装置。 - 【請求項14】 含浸手段(31)は、溶液槽(34)に熱硬化
性樹脂液(r)を循環させる循環手段(P2)と、循環される
熱硬化性樹脂液(r)の温度及びpHを調整する手段(53)
とを更に備えた請求項13の積層材の製造装置。 - 【請求項15】 乾燥手段(61)は、低い温度で含浸茎
(4,5)を乾燥する予備乾燥室(62)、前記予備乾燥室(62)
の温度より高い温度で含浸茎(4,5)を乾燥する高温乾燥
室(63)及び前記予備乾燥室(62)と前記高温乾燥室(63)の
温度の中間の温度で含浸茎(4,5)を乾燥する中温乾燥室
(64)をこの順序で備えた請求項10記載の積層材の製造
装置。 - 【請求項16】 乾燥手段(61)は、含浸茎(4,5)を積載
する移動パレット(57)を間欠的に移動させる機構と、含
浸茎(4,5)に対して略直交する方向から前記パレット(5
7)に乾燥気流を供給する供給手段(67)とを含む請求項1
0記載の積層材の製造装置。 - 【請求項17】 移動パレット(57)は、直方体状に形成
された枠体と、この枠体の四隅に多段に間隔を空けて配
設された複数のフック(59)と、両側の対向するフック毎
に抜取り可能に架渡された複数のロッド(58)とを備え、
互いに対向するロッド(58)間に含浸茎(4,5)を架渡して
支持するように構成された請求項16記載の積層材の製
造装置。 - 【請求項18】 縫合手段(81)は、整列した乾燥茎(6)
を間欠的に縫合箇所まで搬送する搬送機構(85)と、前記
乾燥茎(6)が静止時に乾燥茎(6)に縫合糸(L)を貫通する
ように縫合する縫合機構(82,83,84)とを含む請求項10
記載の積層材の製造装置。 - 【請求項19】 搬送機構(85)は、所定本数の乾燥茎
(6)を前記本数より少なくとも1つ少ない第1の間隔を
空けて整列し、かつこの整列した乾燥茎(6)間に前記間
隔よりも大きな第2の間隔を空けて整列するように間欠
的に搬送する請求項18記載の積層材の製造装置。 - 【請求項20】 縫合手段(81)は、第2の間隔に露出さ
れた縫合糸(L)を切断するとともにその縫合糸(L)の切断
端を接着剤で結び留めした後、縫合糸(L)で結束された
縫合乾燥茎(7)を分離してシート状物(8)にする切断固着
機構(801,804,806)を含む請求項19記載の積層材の製
造装置。 - 【請求項21】 縫合機構(82,83,84)は、整列した乾燥
茎(6)の静止時に上下動する縫合針(89)と、整列した乾
燥茎(6)の下方から上昇する縫合針(89)によって引出さ
れ乾燥茎(6)を貫通して整列した乾燥茎(6)を結束する縫
合糸(L)とを備えた請求項18記載の積層材の製造装
置。 - 【請求項22】 シート状物(8)を構成する乾燥茎(6)を
潰す潰し手段(150)を備えた請求項20記載の積層材の
製造装置。 - 【請求項23】 接着剤塗布手段は、シート状物(8)を
構成する乾燥茎(6)を再びその繊維方向に沿って亀裂を
生じさせる潰し機構(150a,150b)と、この亀裂を生じた
乾燥茎(6)に接着剤を塗布する塗布機構(151a,151b)とを
含む請求項10記載の積層材の製造装置。
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JP14490493A JP2750994B2 (ja) | 1993-06-16 | 1993-06-16 | 積層材の製造方法及びその装置 |
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