JP2750496B2 - 黄斑円孔及び網膜裂孔の治療剤 - Google Patents

黄斑円孔及び網膜裂孔の治療剤

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は眼科用剤、より詳しくは
黄斑円孔及び網膜裂孔の治療に有用な新しい治療剤に関
する。
【0002】
【従来の技術】網膜裂孔(retinal tear)は、網膜と硝
子体膜との癒着形成と、硝子体剥離による網膜牽引との
2つの要因で生じる病的状態であり、上記硝子体剥離が
起きると癒着部で網膜が前方に引っ張られ、いわゆる
「かぎざき」の形で網膜に裂孔が生じる。また黄斑円孔
(macular hole)は、黄斑部の嚢腫様変性が破れて、中
心窩に小円形の境界鮮明な裂孔が形成された病的状態を
いい、これは老年性変化、ブドウ膜炎後、中心静脈血栓
症後等にも認められることがあり、更に眼球鈍傷に続発
することもある。
【0003】従来より、かかる黄斑円孔及び網膜裂孔の
治療は、経強膜的網膜復位術や硝子体手術によっている
が、近年TGF−β(transforming growth factor -
β)を併用した硝子体手術が試みられ、黄斑円孔への有
効性が報告されている〔Ophthalmology, Vol.100, No.
6, 1993, p868-872〕。
【0004】一方、上皮成長因子(epidermal growth f
actor:以下「EGF」という)は、様々な生物活性を持
つことが知られており、之等の活性を利用して既に例え
ば胃酸分泌抑制剤、抗潰瘍剤、角膜修復剤、創傷治療促
進剤等として医薬品乃至化粧品分野への利用が試みられ
てきている。しかしながら、該EGFの上記黄斑円孔及
び網膜裂孔に対する有用性についての報告は皆無であ
り、該物質と疾患との関連についても全く報告はない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者の目的は、上
記黄斑円孔及び網膜裂孔の治療に有効な新規な治療剤を
提供する点にある。
【0006】本発明者は上記目的より鋭意研究を重ねた
結果、EGFが上記目的に合致する優れた治療効果を奏
し得るという新規事実を見出し、ここに本発明を完成す
るに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、EGF
を有効成分として含有することを特徴とする黄斑円孔及
び網膜裂孔の治療剤に係わる。
【0008】本発明治療剤の有効成分とするEGFは、
従来より知られている、天然から精製されたものや遺伝
子工学的手法等により合成された天然型であってもよ
く、之等天然型EGFを構成するアミノ酸配列の一部を
変異(置換、欠失、付加等)させて得られ、天然型EG
Fが本来有する生物活性を保有するEGF誘導体であっ
てもよい。
【0009】また、上記EGFは、これに有機乃至無機
の酸又は塩基、例えば塩酸、硫酸、酢酸、マロン酸、コ
ハク酸、水酸化ナトリウム、アミノ等を反応させて得ら
れる医薬製剤上許容される塩であつてもよい。
【0010】従って、本明細書におけるEGFとは、上
記天然型EGF、EGF誘導体及び之等の塩類の全てを
含む広義のものと定義される。尚、本発明治療剤をヒト
に適用する場合、上記有効成分としてのEGFは、特に
ヒトの天然型EGFであるのが好ましい。
【0011】上記EGFは、いずれも公知であるか又は
常法に従って調製することができる〔例えば日本組織培
養学会編、「細胞成長因子」(1984年朝倉書店発
行)に収録されている文献や特開平4−159215号
公報等参照〕。
【0012】本発明治療剤は、上記有効成分化合物と共
に慣用される医薬製剤担体を用いて一般的な医薬製剤組
成物の形態に調整され、ヒト及び他の動物に投与適用で
きる。該医薬製剤担体、製剤形態(投与単位形態)、そ
の調整等は、通常の医薬製剤のそれらと同様のものとす
ることができる。
【0013】より詳しくは本発明医薬製剤は、例えば一
般的製剤担体としての賦形剤、結合剤、崩壊剤、界面活
性剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、保湿剤、吸着剤、滑沢
剤、希釈剤等を使用して、常法に従い、各種製剤形態に
調整できるが、通常は水性液剤形態に調整され、これは
用時調整型であることもできる。
【0014】上記水性液剤形態の調整は、通常有効成分
としてのEGFを、液体担体(希釈剤)に溶解乃至懸濁
させて製造され、その際用いられる希釈剤は、通常慣用
される水、生理食塩水、各種緩衝液等でよく、該製剤に
は必要に応じて、慣用される溶解補助剤、安定化剤、等
張化剤や着色剤、保存剤、酸化防止剤、増粘剤、賦形剤
等や他の医薬品有効成分化合物等を含有させることもで
きる。かかる水性液剤は、また例えば特開平4−159
215号公報に開示された水性薬剤であることもでき
る。
【0015】本発明製剤中に有効成分として含有される
べきEGFの量は、特に限定されず広範囲より適宜選択
できるが、通常医薬製剤組成物中に約1〜5重量%程
度、好ましくは1〜2重量%程度含有されるものとする
のがよい。
【0016】本発明治療剤による黄斑円孔及び網膜裂孔
の治療は、好ましくは有効成分であるEGFを病変部位
に接触させることにより行なわれ、通常は、硝子体手術
〔標準眼科学、第4版、医学書院、第73頁、1990
年11月15日発行〕における併用療法として、本発明
治療剤を病変部に局所注入等により留置することにより
実施される。上記における本発明治療剤の投与量は、疾
患の程度や患者の条件等に応じて適宜決定されるが、通
常有効成分であるEGFの約0.5〜5μgが、病変部
に少なくとも5〜10分間程度接触留置される量とする
のがよい。尚、有効成分の病変部への接触効率を高める
ために、本発明治療剤を留置後、その上に粘性物質を更
に静置することもできる。かかる粘性物質としては、医
薬的に許容されるものであれば特に限定はなく、例えば
ヒアルロン酸ナトリウム等を有利に利用できる。
【0017】本発明治療剤の適用によれば、黄斑円孔及
び網膜裂孔、殊に特発性黄斑円孔、医原性網膜裂孔、裂
孔原性網膜剥離等を良好に処置することができ、之等疾
患への適用によって、黄斑円孔及び網膜裂孔の線維性組
織の増生による閉鎖、そして中心暗点の縮小、視力低下
抑制、その他の自覚症状の改善効果が認められる。
【0018】
【実施例】以下、本発明を更に詳しく説明するため、実
施例を挙げる。
【0019】
【実施例1】ヒトEGFを生理食塩水に溶解して、EG
F12.5μg/mlを含有する生理食塩水溶液形態の
本発明治療剤を調整した。
【0020】上記本発明治療剤を以下の臨床試験に供し
た。
【0021】即ち、IV期特発性黄斑円孔患者(55
歳、女性)を対象とし、まず3ポートにて型のごとく硝
子体切除を行ない、後部硝子体剥離を確認した後、空気
タンポナーデ下に、円孔部に本発明治療剤の200μl
(EGFとして2.5μg)を局所注入し、その上にヒ
アルロン酸ナトリウム100μlを静置して5分間接触
させた。硝子体腔をガス(20%SF6)充填下に手術
を終了した。
【0022】その結果、観察が可能となる術後1カ月の
時点で、円孔底及び円孔縁に線維性組織の増生を認め、
いわゆる円孔は消失した。自覚症状は明らかに改善し、
視野検査にて中心暗点の縮小が認められた。視力は術前
と比べて変化はなかった。
【0023】以上のように、特発性黄斑円孔手術に、本
発明治療剤による処置が有効であると認められた。更
に、本発明治療剤は黄斑円孔以外にも、医原性或は特発
性網膜裂孔治療剤としても有用である。即ち、従来上記
網膜裂孔閉鎖には瘢痕性癒着を意図して、高周波電流、
冷凍凝固、レーザー凝固等の手段が採用されてきてお
り、之等の破壊操作では術後の眼内炎症や眼内増殖等の
問題があり、更に網膜色素上皮層が露出することによる
問題(pigment dispersion)があったが、本発明治療剤
の適用によれば、上記の如き破壊操作を伴わずに、網膜
色素上皮層を被覆することにより生理的状態に近い治療
効果が期待できる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上皮成長因子を有効成分として含有する
    ことを特徴とする黄斑円孔及び網膜裂孔の治療剤。
JP5259813A 1993-10-18 1993-10-18 黄斑円孔及び網膜裂孔の治療剤 Expired - Fee Related JP2750496B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Neuron,Vol.6(1991),p.923−936

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