JP2747108B2 - 可動羽根水車の最適運転設定方法 - Google Patents

可動羽根水車の最適運転設定方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の目的〕 (産業上の利用分野) 本発明は水力発電所の可動羽根水車において、ガイド
ベーン開度とランナ羽根角度を最適位置に組合せる可動
羽根水車の最適運転設定方法に関する。
(従来の技術) 可動羽根水車の概略の構成を第9図に示す。本図に於
いて水圧鉄管路により導かれた流水はケーシング1に入
り、流水量の調整が可能なように油圧又は他の動力で開
閉機構が接続されたガイドベーン2を通り、ランナ3に
複数個配備され、油圧又は他の動力で開閉可能なランナ
羽根4に作用し、ドラフトチューブ5を通り図示しない
放水路へ排出される。
この様な水車の場合、運転時の使用水量に応じてラン
ナ羽根4の角度とガイドベーン2の開度のそれぞれを最
適な組合せで運転する必要がある。
これは、ガイドベーン2によって調整された流水量に
応じてランナ羽根角度を開閉させ、ランナ羽根出力端に
於いて絶対流速のベクトルを垂直方向に向かせ、ランナ
羽根4を出た流水が旋廻成分を有する事がない様にする
必要がある為である。
第6図にランナ羽根出口端に於ける流速のベクトル線
図を示す。図中に於いて、ランナ羽根周速度成分Uは一
定であり、又ランナ3から流出する絶対流速成分Vはラ
ンナ羽根4の出口角度の方向ベクトルを有する。第6図
(A)は相対流速成分が垂直方向を向いており、旋廻成
分を有しない最適組合せ状態を示している。第6図
(B)はランナ羽根角度が過開状態であり、効率低下を
招きドラフトチューブ内に大きな渦が発生し、振動騒音
が過大となり、特に主軸の水車の回転速度より遅い周期
での振れが大きく不安定な運転状態となる。一方、第6
図(C)の状態はランナ羽根角度が過小であり、同様に
効率低下を供ない振動や騒音が過大となり第6図(B)
と同様な現象が生じる。
従来、ランナ羽根角度とガイドベーン開度との適正な
組合せを求める方法として、インデックス試験法(指数
法)による水車の相対効率相験を行ない最適な組合せを
求めていた。
すなわち、現地発電所に於いて、水車入口圧力H、水
車吸出し高さH2、水車流量Q、ガイドベーン開度a、ラ
ンナ羽根角度θ及び発電機出力PGを測定する。このうち
水車流量は一般的にケーシングに設置されたピエゾメー
タタップの圧力差hを計測することにより、 で相対流量として求める事が出来る。又有効落差Hは、 H=H1−H2 となり、水車出力は、P=PGとなる。ここで、η
は発電機効率である。
従って、水車の相対効率εは、 で求める事が出来る。
次に、この試験に於いて最適組合せを求める方法につ
いて述べる。先ず、ガイドベーン開度aを任意な開度a1
に固定する。次にランナ羽根角度をθ11に固定し、前記
した各部の測定を実施し水車効率εを求める。次にラン
ナ羽根角度をθ12に調整し同様に測定を行い、この様な
作業を羽根角度4〜5種類について行う。そして、ガイ
ドベーン開度をa2に調整し同様な作業を次々行なう。こ
の様にしてガイドベーン開度を4〜6種類について行な
い、それぞれのガイドベーン開度aについて水車相対効
率ε、水車出力P及びランナ羽根角度を求め、第8図に
示す線図を作成する。この図に於いて、それぞれのガイ
ドベーン開度aの相対効率曲線を包絡する最適効率曲線
εを描く。次に、任意のガイドベーン開度a1〜a4のε
曲線が接するランナ羽根角度を図中のP〜θ曲線に下
ろし、羽根角度θ〜θを求める。この時のガイドベ
ーン開度a1〜a4に対応する最適組合せ羽根角度がθ
θとなり、第7図に示す最適組合せ曲線Z(一般にオ
ンカム曲線と呼ばれている)が決定される。
(発明が解決しようとする課題) ところが、このようなインデックス試験法による効率
試験でガイドベーン開度とランナ羽根角度の最適組合せ
決定する方法では、試験時に多大の人力が必要となり、
又測定データを解析する手間が必要となり、最適組合せ
に長時間を必要としていた。又、決定された組合せ状態
も長時間に於ける運転による狂いが発生しても運転中に
発見する事ができなかった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもの
で、可動羽根水車のガイドベーン開度とランナ羽根角度
の最適組合せ設定値を現地における効率試験に依らず、
簡便で短時間において求めることができる可動羽根水車
の最適運転設定方法を提供することを目的とする。
〔発明の構成〕
(課題を解決するための手段) 本発明の可動羽根水車の最適運転設定方法は、水車軸
に対向して90゜の位相差を持たせて軸振れ測定センサー
を配置し、この二つのセンサー出力により軸振れリサジ
ュー図を演算出力する軸振れ解析装置を設け、水車のガ
イドベーンを所定の開度に固定しランナ羽根角度を開方
向又は閉方向に調整せしめ、前記軸振れ解析装置による
軸振れリサジュー図が単純で最小面積となるランナ羽根
角度をあらかじめ固定されたガイドベーン開度との最適
位置とせしめるものである。
(作 用) このように構成することにより、従来のように効率試
験によるガイドベーン開度とランナ羽根角度の最適組合
せの設定を必要としないことから、短時間で確実な可動
羽根水車のガイドベーン開度とランナ羽根角度の最適組
合せを設定することができる。
(実施例) 以下、本発明の一実施例を説明する。本発明では可動
羽根水車のガイドベーン開度とランナ羽根角度の最適組
合せを求めるにあたって、水車の特性を利用する。
すなわち、第6図に示す如く水車はガイドベーン開度
とランナ羽根角度の最適組合せ状態を逸脱するとランナ
下に渦流が発生するので、この渦流によりランナ全体が
振られ、水車軸に過大な振れを生じせしめる事になる。
特に可動羽根水車の場合、回転体が第5図に示す様に軸
系の先端に比較的重量があり又渦流の影響を受け易いラ
ンナを保持している為、軸振れが発生しやすい。そこ
で、本発明ではこの様な水車の特性を考慮し任意のガイ
ドベーン開度にガイドベーンを固定し、ランナ羽根角度
を変化せしめ、ドラフトチューブ内に渦流が発生しない
状態で、かつ回転速度より遅い周期の軸の振れまわりが
最小の状態であるときを最適組合せと設定する。
第1図(A),(B)に本発明の一実施例の構成を示
す。先ず、水車軸6に対向して2ケ(X方向,Y方向)の
軸振れ計測センサー7,8を90゜の位相差を持たせて配置
せしめる。
それぞれの軸振れ計測センサー7,8は出力増幅器9を
介してその出力は軸振れ解析装置10に接続せしめる。更
に調整後の運転監視として調整時に決定されたデータを
記憶するメモリ装置11及び運転中のデータと調整時のデ
ータを対比させ異常の有無を判別する演算装置12と異常
発生を知らしめる警報出力装置13によって構成される。
軸振れ解析装置10では第2図に示すX方向,Y方向の軸
振れの状態が記録される。これらの図から同一時間に於
けるX方向,Y方向の振れ量をそれぞれ円のグラフ上に点
記していくと、第3図に示す軸振れのリサジュー図を描
くことが出来る。リサジュー図は軸振れ解析装置10によ
り演算出力され、軸振れ解析装置10に内蔵せる出力装置
又は別置された出力装置にて出力せしめる。
次にガイドベーン開度を任意の開度a1に固定し、ラン
ナ羽根角度を任意の角度に調整せしめ、軸振れリサジュ
ー図が単純で最小面積となる時のランナ羽根角度θ
求める。第4図(A),(B)に実機に於けるリサジュ
ー図の状態を示す。第4図(A)はガイドベーン開度と
ランナベーン角度の組合せが不適切で回転速度より遅い
周期で発生する渦流の影響を受けて軸の大きな振れまわ
り現象が発生している。他方、第4図(B)はガイドベ
ーン開度とランナベーン角度の最適な組合せ状態を示し
ている。つまり、第4図(B)においては、リサジュー
図が単純で、かつその面積が最小となっていることか
ら、水車軸6のX方向およびY方向の振れが小さく、ガ
イドベーン開度とランナベーン角度の不適切な組合せに
起因し効率低減の一因となる渦流の発生がなく、ガイド
ベーン開度とランナベーン角度の最適な組合せを示して
いるこの様にして、次々のガイドベーン開度を別位置に
固定し、それぞれのガイドベーン開度に於いてリサジュ
ー図が単純で最小面積となるランナ羽根角度を選択すれ
ば、第7図に示す最適組合せ曲線Zを得る事が出来る。
次に、上記の方法によって求められたガイドベーン開
度、ランナ羽根角度リサジュー図のX方向の大きさY方
向の大きさや及び軸振れの周波数を入力データとして記
憶させ運転に入る。運転中に発生する軸振れの大きさを
監視し、調整時に採取した入力データと対比を行ない、
もし運転時のデータが記憶データを越えたり、回転速度
より遅い振れまわり成分が検出された場合、異常状態が
発生した事になり警報を発するか、その差があらかじめ
決めたレベル以上である場合、主機を停止せしめる。
以上の様にこの実施例でのガイドベーン開度とランナ
羽根角度の最適組合せ点を求める方法では、小数の人員
でしかも短時間に最適運転状態を決定する事が出来又採
取されたデータをそれまま監視データの基準とする事が
出来るから、信頼性の高い運転監視が可能となる。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、軸振れ測定センサー出
力により軸振れリサジュー図を演算出力する軸振れ解析
装置を用いているので短時間で確実な可動羽根水車のガ
イドベーン開度とランナ羽根角度の最適組合せを求め調
整する事が出来る。この事から不適切な組合せによって
生じる軸系の振動過大現象を回避する事が出来、軸振れ
過大によって生じる軸受の損傷や寿命の短縮を防止する
ばかりでなく、ランナ羽根が固定側リングに接触する重
大事故防止にも大きく寄与する。又、本発明による運転
監視方法および装置により水車運転中に生じた不具合も
最小の内に発見する事が出来、重大事故への進展も未然
に防止出来る等、多大の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図(A),(B)は本発明の一実施例を示す構成
図、第2図は軸振れ解析装置で測定された軸振れの状態
を90゜位相を持って配置されたセンサX方向,Y方向につ
いて示す特性図、第3図は2個のセンサーによって集録
されて得られるリサジュー図、第4図(A)は実機水車
によって記録された組合せ不適切な状態を示すリサジュ
ー図、第4図(B)は適正組合せを示すリサジュー図、
第5図は可動羽根水車の軸系のドラフトチューブ内に発
生した渦流の説明図、第6図(A),(B),(C)は
第5図に示される渦流の発生原因を示すランナ羽根出口
端に於ける流速ベクトル図、第7図は最適組合せ曲線の
特性図、第8図は従来実施されている最適組合せを求め
るインデックス試験を示す説明図、第9図は可動羽根水
車の構成図である。 1……ケーシング、2……ガイドベーン 3……ランナ、4……ランナ羽根 5……ドラフトチューブ、6……水車軸 7……軸振れ計測センサX方向 8……軸振れ計測センサY方向 9……増幅器、10……軸振れ解析装置 11……メモリー装置、12……演算装置 13……警報出力装置、14……水平軸受け 15……発電機

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可動羽根水車のガイドベーン開度とランナ
    羽根角度との最適組合せを設定する可動羽根水車の最適
    運転設定方法において、水車軸に対向して90゜の位相差
    を持たせて軸振れ測定センサーを配置し、この二つのセ
    ンサー出力により軸振れリサジュー図を演算出力する軸
    振れ解析装置を設け、水車のガイドベーンを所定の開度
    に固定しランナ羽根角度を開方向又は閉方向に調整せし
    め、前記軸振れ解析装置による軸振れリサジュー図が単
    純で最小面積となるランナ羽根角度をあらかじめ固定さ
    れたガイドベーン開度との最適位置とせしめる可動羽根
    水車の最適運転設定方法。
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