JP2745785B2

JP2745785B2 - 義歯床成形用プレス装置

Info

Publication number: JP2745785B2
Application number: JP15705190A
Authority: JP
Inventors: 善照秋本
Original assignee: Ube Industries Ltd
Current assignee: Ube Corp
Priority date: 1990-06-15
Filing date: 1990-06-15
Publication date: 1998-04-28
Anticipated expiration: 2013-04-28
Also published as: JPH0449959A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は熱可塑性樹脂を用いて義歯床を得るプレス装
置に関するものであり、加熱軟化した熱可塑性樹脂プレ
フォームを圧縮成形して義歯床を得るに当り、成形時間
を短縮して極めて効率のよい成形を可能とし、装置を小
型化し得る義歯床成形用プレス装置に関するものであ
る。

［従来の技術］近年、義歯床材料として力学的強度、安全性に優れた
エンジニアリングプラスチックを用いる方法が開発され
ている。その例として射出成形法によりポリカーボネー
ト義歯床、ポリサルサン義歯床等がある。しかし射出成
形法は、義歯床形成に高価な射出成形機を必要とする。

一方、安価な圧縮成形機を用いて、簡便に熱可塑性樹
脂の義歯床を成形する方法として、製作する義歯床に類
似した予備成形品を石膏下型の上で加熱軟化させた後、
圧縮成形する方法が公知となっている。

このような圧縮成形法における装置として、例えば実
開昭59−57919号公報に、熱可塑性樹脂を加熱軟化する
ための恒温室と、石膏下型を石膏上型の下方まで移動す
るためのガイド及び圧縮成形機を組み合わせた義歯床製
作装置が示されている。

［発明が解決しようとする課題］しかしながら、近年、圧縮成形をより短時間に行な
い、義歯床の製作をより効率的に行なおうとする要請が
生じてきた。この場合、上記した実開昭59−57919号公
報に記載の装置においては、特に圧縮成形時間の短縮や
装置の小型化を図ろうという工夫は開示されていない。

［課題を解決するための手段］従って、本発明は義歯床製作における圧縮成形を効率
良く行ない、成形時間を短縮しかつ装置の小型化が可能
なプレス装置を提供することを目的とするものである。

そして、その目的は、本発明によれば、人工歯が保持
された石膏上型が取付けられる上部固定盤、予備軟化さ
れた熱可塑性樹脂プレフォームが載置される石膏下型が
取付けられ、上記上部固定盤の下方に位置する可動盤、
本体が下部固定盤に垂下して取付けられたピストンロッ
ド先端が前記可動盤に固着された駆動用エアシリンダを
備え、該駆動用エアシリンダが、油圧ピストンとそのピ
ストンロッドから構成され、ピストンロッドの内部には
空圧ブースタの増圧ラムが挿入可能な孔が形成されてい
る油圧による駆動シリンダと、増圧ピストンと増圧ラム
が内装されている空圧ブースタとを一体化したものを用
いた義歯床成形用プレス装置、により達成することがで
きる。

［作用］本発明の義歯床成形用プレス装置は、固定された石膏
上型の方向に、加熱軟化した熱可塑性樹脂プレフォーム
を載せた石膏下型を可動盤を介して上昇させ石膏上型に
圧着させて義歯床を成形するに際して、特定の構造を備
えた駆動用エアシリンダを用いることに特徴を有する。

即ち、この駆動用エアシリンダは、基本的に、油圧シ
リンダ部と空圧ブースタ部とから構成されるものであ
り、以下、簡単にその作用を説明する。

まず、当初においては、第一ポートより圧縮空気を供
給し空油圧変換機構を介して油圧シリンダ部の油圧ピス
トンおよびピストンロッドに連結した可動盤（石膏下型
が取付けられている。）を高速にて短時間で石膏上型方
向に上昇させる。次に、可動盤が石膏上型に近接した所
定位置においてそれを検知し、そこで空圧ブースタ部の
第二ポートより圧縮空気を供給し、空気圧による増圧シ
リンダーに切替えて、油圧ピストンを低速度・高推力で
石膏下型を石膏上型に圧着する。

このような高速駆動と低速・高推力駆動を組合せた駆
動用エアシリンダを義歯床成形用として用いたことによ
り、成形時間を短縮し、効率のよい義歯床の圧縮成形を
達成することができ、さらにプレス装置全体としての小
型化を達成することができる。なお、高推力を得る場合
には一般的に油圧ポンプにより作動される油圧シリンダ
が用いられるが、この場合だと油圧ポンプ、タンク、ス
トレーナ、切替弁、リリーフ弁、他の必要機器を内蔵し
た油圧ユニットが必要になり、成形装置が大掛りとな
る。

［実施例］次に、本発明を図示の実施例に基づきさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものでは
ない。

第１図は本発明に係る義歯床成形用プレス装置の一実
施例を示す概略構成側面図である。

第１図において、１はプレスゾーンで、ここには、熱
可塑性樹脂プレフォーム２を載置した石膏下型３と人工
歯４を内蔵する石膏上型５が収容されている。また、石
膏上型５は上部固定盤６に、石膏下型３は可動盤７にそ
れぞれ据付けられており、可動盤７は下部固定盤８に垂
下して取付けられた駆動用エアシリンダ10のピストンロ
ッド９の先端に固着されて石膏上型５の方向に昇降する
ようになっている。また、駆動用エアシリンダ10は、基
本的に油圧シリンダ11と空圧ブースタ12とから一体的に
成り立っている。

空圧ブースタ12は増圧ピストン17とそれに一体的に固
着された増圧ラム17aが内装されて構成されている。油
圧シリンダ11は油圧ピストン15とそのピストンロッド９
から構成され、ピストンロッド９の内部に軸線方向に端
部にまで延び、前記空圧ブースタ12の増圧ラム17aが挿
入可能な孔9aが形成されている。11a、11b、12aはオイ
ルシールである。

油圧シリンダ11と空圧ブースタ12の結合部分の前記増
圧ラム17aの貫通孔25には油出入口26が開設されてお
り、ここと空油圧変換機14の下部とは油配管14aにより
接続されている。

空圧ブースタ12の増圧ラム17aの外径および貫通孔25
の内径ｄは増圧ピストン17の外径Ｄよりも所定の小さい
ものとされ、例えば外径ｄの増圧ラム17aと外径Ｄの増
圧ピストン17の面積比（増圧比）は1:30とされている。

なお、30は本発明のプレス装置を内蔵する成形装置
（全体）であり、下部には成形装置30全体を移動自在に
支持するキャスタ30aが取付けられている。下部固定盤
８は成形装置30の骨組である図示していない籠型フレー
ムを構成する水平部材に固定されて、取付けられてい
る。31は石膏下型３および石膏上型５をプレスゾーン１
から出入れする開閉扉、32は制御盤である。そして、下
部固定盤８と上部固定盤６とは図示していない正面視方
向で左右２本のタイロッドにより距離を保たれて連結さ
れ、可動盤７はこのタイロッドにより摺動自在に保持さ
れて昇降自在に設けられている。

以下、このプレス装置の作動を説明する。

まず、第一ポート13より空油圧変換機14に圧縮空気を
供給して圧力をかけ、この空油圧変換機14から油配管14
a、油出入口26を介して油圧シリンダ11のヘッド室内や
孔9a内に油を圧入し、油圧ピストン15（及びピストンロ
ッド９）に連結した可動盤７を高速で石膏上型５の方向
に上昇させる。なお、第１図では油が充満されて、可動
盤７が上昇する直前の状態を示している。また、この可
動盤７には熱可塑性樹脂プレフォーム２を載置した石膏
下型３が取付けられている。可動盤７が石膏上型５に当
接する手前の所定位置に達した時、図示していないリミ
ットスイッチ等の位置検出装置によりこれを検知し、そ
こで増圧動作に切替える。なお、上記無負荷時（低圧
時）の場合の可動盤７の上昇速度（高速）は通常15〜45
mm/sec.で、空気の作動圧力は３〜7kg/cm²である。

増圧動作では、空圧ブースタ12の第二ポート16より圧
縮空気を供給する。そうすると空圧ブースタ12の増圧ラ
ム17aが貫通孔25内を上昇して油出入口26が閉じられる
と供にその先端部は油圧シリンダ11のヘッド室内に進入
する。下型３のプレフォーム２が上型５に未だ接触しな
いときの無負荷時は増圧ラム17aが上昇した体積分だけ
ピストンロッド９（下型３）は上昇する。そして、プレ
フォーム２が上型５に接触して負荷がかかると、油圧シ
リンダ11内に蓄えられた油を増圧ラム17aが圧縮し、例
えば増圧比30の推力で油圧シリンダ11のピストンロッド
９を押す。なお、増圧プレス動作が完了した時点では増
圧ラム17aの先端の一部がピストンロッド９の孔9a内に
挿入される。このように、空圧ブースタ12の増圧ピスト
ン17のヘッド側面積はその増圧ラム17aの断面積よりも
例えば30倍と大きくしているため、ピストンロッド９は
低速度で、かつ、空気圧のみによる推力よりも例えば30
倍大きい高推力で上昇し、石膏下型３を石膏上型５に圧
着し、熱可塑性樹脂プレフォーム２の圧縮成形が行なわ
れる。

この場合の可動盤７の速度（低速）は通常15〜30mm/s
ec.であり、また、プレス推力は通常約2.5〜4tonとして
圧縮成形が行なわれる。

上記圧縮成形が終了したら、第三ポート27から空圧ブ
ースタ12のロッド室および第四ポート28から油圧シリン
ダ11のロッド室へ圧縮空気を供給し、増圧ラム17aおよ
びピストンロッド９をそれぞれ下降させ可動盤７を下降
させて、上型５と下型３とを開いてそれぞれを扉31から
取出す。そして、圧縮成形されて下型３上に残っている
義歯床を下型３から取除いて所望のものが得られる。

このように本実施例のプレス装置は、取扱いが簡便で
大掛りな装備を必要としない圧縮空気で作動され、高増
圧比を得られる構成のエアシリンダを用いたので、プレ
ス装置の駆動部が大型化せず、従ってプレス装置が小型
化されコンパクトに構成される。

従って、歯科技工場でのプレス装置の占有面積も小さ
くてすみ、取扱い操作も簡便に行なうことができる。

なお、上記実施例の装置においては、第１図に示すよ
うに、作業者が可動盤７と下部固定盤８の間に挟み込ま
れるという事故を防止するため、プレス装置前面に、石
膏下型３の固定具19の一部として安全板18を配置してい
る。

また、本発明の義歯床の成形に際しては、予め石膏上
型５および石膏下型３を加熱し、石膏下型３上に載置さ
れた熱可塑性樹脂プレフォーム２を軟化させるため、第
１図に示すように、遠赤外線ヒーター（図示せず）を有
する上下二室からなる加熱ボックス20を、エアシリンダ
からなる駆動装置21により連結機構22を介してプレスゾ
ーン１内へ装入する。このようにして、通常、熱可塑性
樹脂プレフォーム２は約380℃で軟化され、石膏上型５
は約130℃に保持された後、加熱ボックス20はプレスゾ
ーン１より退くことになる。

［発明の効果］以上説明したように、本発明に係る義歯床成形用プレ
ス装置によれば、義歯床を成形するに際して、特定の構
造を備えた駆動用エアシリンダを用いたので、圧縮成形
時間を短かくすることができると共に、装置の小型化を
計ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る義歯床成形用プレス装置の一実施
例を示す概略構成図である。１…プレスゾーン、２…熱可塑性樹脂プレフォーム、３
…石膏下型、４…人工歯、５…石膏上型、６…上部固定
盤、７…可動盤、８…下部固定盤、９…ピストンロッ
ド、10…駆動用エアシリンダ、11…油圧シリンダ、12…
空圧ブースタ、13…第一ポート、14…空油圧変換機、15
…油圧ピストン、16…第二ポート、17…増圧ピストン、
17a…増圧ラム、18…安全板、19…固定具、20…加熱ボ
ックス、21…駆動装置、22…連結機構、30…成形装置、
30a…キャスタ、31…開閉扉、32…制御盤。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】人工歯が保持された石膏上型が取付けられ
る上部固定盤、予備軟化された熱可塑性樹脂プレフォームが載置される
石膏下型が取付けられるとともに、上記上部固定盤の下
方に位置する可動盤、本体が下部固定盤に垂下して取付けられ、ピストンロッ
ド先端が前記可動盤に固着された駆動用エアシリンダ、
を備え、該駆動用エアシリンダが、油圧ピストンとそのピストン
ロッドから構成され、ピストンロッドの内部には空圧ブ
ースタの増圧ラムが挿入可能な孔が形成されている油圧
による駆動シリンダと、増圧ピストンと増圧ラムが内装
されている空圧ブースタとを一体化したものであること
を特徴とする義歯床成形用プレス装置。