JP2744976B2 - 炭酸入り氷の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

炭酸入り氷の製造方法及びその製造装置

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JP2744976B2
JP2744976B2 JP5291228A JP29122893A JP2744976B2 JP 2744976 B2 JP2744976 B2 JP 2744976B2 JP 5291228 A JP5291228 A JP 5291228A JP 29122893 A JP29122893 A JP 29122893A JP 2744976 B2 JP2744976 B2 JP 2744976B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶解時に弾けるような
音が発生されるよう炭酸ガスが封入された氷を製造する
炭酸入り氷の製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】賞味、飲用に供される氷として、透明な
氷の外に、着色されたり、着香されたり、特別な形状に
形成されたり等の様々なものが提供されている。特に、
近時は、内部に高圧気泡が封入された氷は、これが使用
溶解時に水中で弾けるような音が発生することの面白み
がある故に、また、炭酸が封入された氷は、壮快なフレ
ーバーを有する故に好まれている。
【0003】ところが、こうした炭酸氷、高圧気泡入り
氷は、炭酸ガスが有する特有な性質によってその製造は
困難であり、そのために、それを克服すべく、従来から
種々の製造法、製造装置が提案されている。
【0004】例えば、第1の方法として、原料として用
意した細氷を加圧しながらそれらの細氷間隙内に空気を
封じ込めるものとした特開昭62−66075号公報、
同じく64−63768号公報、同じく64−6376
9号公報等がある。第2の方法として、原料として用意
した細氷を加圧し、この圧力時に生じた細氷間隙内の溶
解部分に圧縮空気を封じ込めるものとした特開昭62−
190366号公報、同じく63−189756号公
報、同じく63−297977号公報、同じく64−4
6551号公報等のものがある。第3の方法として、気
泡を強制供給し、あるいは気泡を発生させながら氷結さ
せる特開昭63−38873号公報、同じく63−29
7976号公報等のものがある。第4の方法として、一
定の温度・圧力条件の下で氷粒または水と炭酸ガスとを
加圧しながら接触させることで炭酸ガスの包接水和物を
均一に分散させる特開平1−219460号公報のもの
がある。第5の方法として、飽和状態で気体が溶融され
ている製氷原水中に配置されている袋体に対する加圧、
減圧操作を繰り返すことで製氷原水中に気泡を発生さ
せ、この気泡を製氷原水の表面側に形成される結氷層と
の境界面に付着させるものとした特開昭64−4655
2号公報のものがある。更に、第6の方法として、耐圧
容器内に製氷原水を注水密閉した後、溶存気体を封じ込
めて難水溶性の気相加圧媒体によって加圧し、氷結させ
る特開平3−59372号公報のものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の製造法、製造装置によれば、第1、第2の方法
にあるように、予め原料として細氷を用意するのは面倒
であり、しかも、結果として2段階の氷結作業工程を経
るのはコストアップの一因となる。また、第3の方法に
あるように、気泡の供給は、その気泡供給管を氷結部分
から抜き出すように制御構成する必要があり、構造的に
複雑になる。第4の方法のものは、生成工程中で炭酸ガ
スが放出される虞れがあるばかりでなく、氷粒、細氷は
生成できても氷塊の生成は困難であり、しかも、製造コ
ストが嵩むものである。更に、第5の方法にあるよう
に、袋体に対する加圧、減圧操作の繰り返しは、作業工
程的に複雑な制御を必要とするばかりでなく、製氷原水
から発生した気泡が結氷層との境界面に付着せず、その
境界面中に取り込まれないままで気泡として結氷容器中
に残存されるものも多いのである。そしてまた、第6の
方法にあるように、難水溶性の気相加圧媒体の強制供給
による加圧は、気相加圧媒体の漏出を防止する確実なシ
ール手段を必要とし、特別な耐圧容器を用意しなければ
ならない。
【0006】このように、従来の製造法、製造装置は、
手間が掛かるばかりでなく、設備が複雑になって製造コ
ストが嵩み、確実安価な炭酸入り氷の提供が困難であっ
た。
【0007】そこで、本発明は、叙上のような従来存し
た諸事情に鑑み創出されたもので、簡単な製法によって
透明度が高く、硬度に優れた炭酸入り氷を製造でき、し
かも、比較的安価な設備、低いランニングコストによっ
て製造できる炭酸入り氷の製造方法及びその製造装置を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した目的を達成する
ため、本発明方法に係る炭酸入り氷の製造方法にあって
は、耐圧製氷容器1内に注水充満した炭酸ガスが溶解さ
れている製氷原水Wを、耐圧製氷容器1における製氷原
水W上方の空隙内に配装した膨脹する中空弾性加圧嚢8
によって製氷原水W面を直接に加圧する一方、耐圧製氷
容器1を冷却し、製氷原水Wを氷結することを特徴とす
る。
【0009】また、この方法を実施するための本発明装
置に係る炭酸入り氷の製造装置にあっては、炭酸ガス入
りの製氷原水Wが注水される容器本体2の開口に施蓋さ
れる蓋体3を備えた耐圧製氷容器1と、加圧媒体が供給
されることで膨脹し、耐圧製氷容器1内に注水されてい
る製氷原水W面に接触するよう、耐圧製氷容器1におけ
る製氷原水W上方の空隙内に配装されている中空弾性加
圧嚢8と、耐圧製氷容器1をその外部から冷却するブラ
イン包覆部11、同じく中心側から冷却する中央ブライ
ン供給部15から成る冷却手段10とを備えたことを特
徴とする。
【0010】耐圧製氷容器1における容器本体2には、
膨脹する中空弾性加圧嚢8底面が接触する製氷原水W面
の高さ位置にほぼ対応して製氷原水Wを注水する注水口
4、排水する排水口5夫々を開口形成して構成すること
ができる。
【0011】
【作用】本発明に係る炭酸入り氷の製造方法及びその製
造装置にあっては、炭酸ガスが封入溶存されている製氷
原水Wを耐圧製氷容器1内に注入供給するとき、耐圧製
氷容器1内で膨脹している中空弾性加圧嚢8は、注水口
4から注入される製氷原水W面に接触し、製氷原水W面
と中空弾性加圧嚢8との間に存在する空気を押し出し、
排水口5を経て耐圧製氷容器1内の空気を除去させる。
【0012】耐圧製氷容器1内に充満された製氷原水W
面に接触する中空弾性加圧嚢8に対する加圧媒体の強制
的な供給は、耐圧製氷容器1における製氷原水W上方の
空隙内に配装した空弾性加圧嚢8を膨脹させ、製氷原水
Wをその水面によって所定の高圧度の下に直接に加圧さ
せる。
【0013】冷却手段10においてのブラインの供給
は、耐圧製氷容器1内の製氷原水Wを、容器本体2外周
を包むブライン包覆部10によって外周側から、また、
容器本体2のほぼ中心部に配置された中央ブライン供給
部15によって中心側から順次に夫々氷結させる。この
氷結作用は、耐圧製氷容器1内外から耐圧製氷容器1内
で同時進行的に行なわれ、短時間に氷結処理させる。
【0014】また、中空弾性加圧嚢8自体の膨脹は、中
空弾性加圧嚢8が耐圧製氷容器1内の製氷原水Wと容器
本体2を閉塞する蓋体3との間に介装配置されているこ
とで、容器本体2、蓋体3両者間の間隙をシールし、耐
圧製氷容器1内外を遮断させる。
【0015】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の一実施例を説
明するに、図において示される符号1は耐圧製氷容器で
あり、例えば上部開口の容器本体2と、この容器本体2
の開口部を密封状にして容器本体2に施蓋される蓋体3
とから成る。この耐圧製氷容器1内には、炭酸ガスを封
じ込めて氷結すべき製氷原水Wが封入されるものとなっ
ており、容器本体2上部近傍に開口形成された注水口4
から製氷原水Wを注水供給し、同じく容器本体2の上部
近傍に開口形成された排水口5を経て溢流させるように
してある。これらの注水口4、排水口5夫々はほぼ同一
高さ位置に設定されていて、容器本体2内に強制的に注
水される製氷原水Wが、仮に膨脹された後述の中空弾性
加圧嚢8底面によって容器本体2内で水面位置が設定さ
れたとき、容器本体2内に残存空気を生じさせずに製氷
原水Wのみが充満された状態で排水口5から溢流される
ものとしてあり、注水終了時にはバルブによって閉塞さ
れるようになっている。
【0016】そして、耐圧製氷容器1内の蓋体3と製氷
原水Wとの間、すなわち耐圧製氷容器1における製氷原
水W上方の空隙内には、例えば蓋体3に貫挿配置した供
給パイプ6によって加圧ポンプ7等から供給され、ま
た、排出パイプ9によって排出される圧縮空気、ブライ
ンの如き所定の加圧媒体によって膨脹される中空弾性加
圧嚢8が配装されており、その膨脹方向は容器本体2に
おける下方に向くようにしてある。この中空弾性加圧嚢
8自体は、膨脹時における底面が、容器本体2内におけ
る製氷原水Wの臨界上面、すなわち前記注水口4による
注水面に到達するものとなっている。また、容器本体2
の開口部周縁と、この容器本体2の開口部に施蓋される
前記蓋体3の開口外周面との間に生じた間隙開口面を閉
塞するシール機能をも有するものとなっている。
【0017】中空弾性加圧嚢8自体は、耐候性、機械的
強度に優れた膨脹性、可撓性あるクロロプレン(C
R)、ニトリル(NBR)、シリコン(SI)、フッ素
(FRM)の如き合成ゴム製のもので、この中空弾性加
圧嚢8自体の膨脹した外側面を、容器本体2、蓋体3両
者の間隙に跨がせた状態で夫々の内側面に圧接し、両者
2,3相互間の間隙を閉塞する。また、中空弾性加圧嚢
8は、蓋体3内側面に配装してあって、蓋体3を容器本
体2に装着固定したときの耐圧製氷容器1の内圧に対し
て発生する反発作用とも相俟って、耐圧製氷容器1外側
方への膨脹性を備えており、この膨脹作用によって容器
本体2の開口部内周面に密接すると同時に、間隙を跨い
で容器本体2、蓋体3夫々の内側面に密着状に圧接す
る。また、この中空弾性加圧嚢8は、収縮されたとき、
その周壁がほぼ蛇腹状に折り畳まれたり、そのまま萎め
られたりし、コンパクトな形状を呈する。
【0018】また、中空弾性加圧嚢8は、これの内部に
所定の圧力が付与されているように予め膨脹させておく
ことも、耐圧製氷容器1内への配装使用時に、耐圧製氷
容器1の内圧と共に中空弾性加圧嚢8の内圧も調整設定
できるように外部からの加圧媒体を供給させるものとす
ることもできる。なお、図示を省略したが、この中空弾
性加圧嚢8自体は、耐圧製氷容器1内における上部に配
装される場合に限らず、容器本体2底部に配装された
り、周側壁内側面に配装されたりすることも可能のであ
り、要は、供給される加圧媒体によって耐圧製氷容器1
内の製氷原水Wを直接に加圧させるものであればよい。
【0019】しかして、図に示された中空弾性加圧嚢8
は、高圧容器本体1内に嵌め入れられた蓋体3底面のほ
ぼ全域に当接する平面でほぼ円盤状を呈するものとして
形成されている場合である。更には、図示を省略した
が、中空弾性加圧嚢8自体は、容器本体2の開口に装着
固定された蓋体3底面、容器本体2内周面夫々に密着す
るよう、平面でほぼドーナツ状を呈するものとしたり、
容器本体2の底側壁の内部における上面上に配装された
りすることもある。更には、中空弾性加圧嚢8には、製
氷原水Wとの当接境界面に位置させて、中空弾性加圧嚢
8自体における加圧面の全域あるいは一部を平坦面状に
形成規制する剛性材製の変形防止盤(図示せず)が付設
されることもある。
【0020】一方、耐圧製氷容器1自体は、注入された
製氷原水Wをその外周及び中央側から同時的に氷結でき
るように冷却手段10を備えており、この冷却手段10
は、容器本体2の外周部及び底部を包むブライン包覆部
11と、容器本体2のほぼ中心部において、その底部あ
るいは蓋体3からブライン包覆部11に連通している中
央ブライン供給部15とから成っている。
【0021】ブライン包覆部11は、耐圧製氷容器1内
部を冷却するために、容器本体2外周をブラインが覆う
ように容器本体2外周に区画形成されたもので、図2に
示すような冷却ユニット20によって形成された所定の
ブラインが供給される供給口12、冷却ユニット20に
ブラインを還流させる排出口13が形成されている。
【0022】また、中央ブライン供給部15は、容器本
体2のほぼ中心部に、これ2の底部あるいは蓋体3から
ブライン包覆部11に連通して形成されており、この中
央ブライン供給部15は、冷却ユニット20からブライ
ン包覆部11内に供給されたブラインの一部が進入して
容器本体2の中心側から耐圧製氷容器1内を冷却した
後、ブライン包覆部11の排出口13側に排出されるブ
ライン通路を構成している。
【0023】すなわち、この中央ブライン供給部15自
体は、ブライン包覆部11から分岐構成されるブライン
通路のものとなっており、例えば、図示のように、容器
本体2の底部からブライン包覆部11に連通させ、頂部
を閉塞させて容器本体2内に立脚状に形成した外部管1
6と、この外部管16内の頂部付近に開口が位置し、容
器本体2の底部、ブライン包覆部11を貫挿して排出口
13側に連通している内部管17とを内外の二重に配置
して成るものである。これらの内外二重の外部管16、
内部管17から成る中央ブライン供給部15において、
容器本体2外部のブライン包覆部11内から外部管16
によって容器本体2内の中心部にブラインが導入された
後、内部管17によって排出口13側に排出されるので
ある。
【0024】冷却ユニット20は二段圧縮式冷凍サイク
ルのもので、図2に示すように、低温ブラインタンク2
1、脱水用ブラインタンク22、シェルチューブ式のブ
ラインクーラー23等を備え、冷凍機24、オイルセパ
レーター25、コンデンサー26、インタークーラー2
7等から成る冷凍設備であり、冷却させたブラインをブ
ライン包覆部11、中央ブライン供給部15夫々に供給
し、耐圧製氷容器1内を冷却するようになっている。
【0025】次に、本発明装置を使用して行なわれる本
発明方法を説明すると、必要があれば食味が増大できる
よう適当なシロップ、着色料等を調合しておいて成る原
水を冷水機、カーボクーラー等で予め冷却するとき、所
定の加圧条件の下で炭酸ガスを封入溶存させることで製
氷原水Wとしておく。そして、この製氷原水Wを容器本
体2内に注水して十分に満たした後、蓋体3を容器本体
2に施蓋し、中空弾性加圧嚢8内に供給パイプ6を介し
て加圧ポンプ7等から所定の加圧媒体を供給し、中空弾
性加圧嚢8を仮に膨脹させる一方、製氷原水Wを注水口
4から注水することで排水口5から溢流させて、耐圧製
氷容器1内に空気を残存させることなく製氷原水Wにて
充満させる。その後、中空弾性加圧嚢8内に圧縮空気そ
の他を強制送入することで膨脹させると共に、ブライン
包覆部11、中央ブライン供給部15内にブラインを供
給し、耐圧製氷容器1全体を冷却することで製氷原水W
を氷結させる。また、この氷結作用によって、固体の水
和物(CO2 ・8H2 O)が析出するのである。
【0026】氷結後は、中空弾性加圧嚢8内圧を排出パ
イプ9によって放出し、30℃前後の圧縮空気を中空弾
性加圧嚢8内に送り込み、また、排出することによっ
て、中空弾性加圧嚢8と製氷原水Wとの接触面相互間に
氷結作用で付着した氷結部分を融解し、その後、蓋体3
を取り外す。同時に切替弁によって脱水用ブラインタン
ク22から0〜5℃前後の温度管理されたブラインをブ
ライン包覆部11に送液し、容器本体2と氷結側面との
接触相互間の氷結部分を融解して、氷結製品を取り出し
やすいようにしておく。次いで、蓋体3を開放して容器
本体2内部の氷結製品を取り出すのである。
【0027】このときの中空弾性加圧嚢8による製氷原
水Wに対する加圧は、耐圧製氷容器1の耐圧性、加圧媒
体としての油の如き液体の使用、中空弾性加圧嚢8の材
質、形成膜の肉厚等の適宜な選定によって、約10,0
00気圧程度のものまで可能である。ただ、この場合、
耐圧製氷容器1自体の損壊を防止するため、氷の膨脹率
をその割合によって中空弾性加圧嚢8から加圧媒体を厳
密に排出しなければならないものである。
【0028】なお、通常の着色味付炭酸氷を製造するに
は、加圧媒体をガス圧とすることで50Kg/cm2
下で製造することが好ましく、15Kg/cm2 程度で
も十分な性能を有する炭酸入り氷の製造が可能である。
【0029】また、製氷原水Wとしてコーラ水溶液、す
なわちカラメル色素アスパルテーム・L−フェニルアラ
ニン化合物、酸味料、香料、保存料(安息香酸Na)等
を含有するものを耐圧製氷容器1内に注水し、中空弾性
加圧嚢8内圧を20Kg/cm2 (圧縮空気)とし、−
20℃のブラインにて6時間氷結させたところ、170
Kgの氷塊を得ることができた。この得られた氷塊は、
その成分が均一に分散した着色味付きの炭酸入り氷であ
った。
【0030】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されており、
これがため、耐圧製氷容器1内に注水した製氷原水Wに
対する中空弾性加圧嚢8を介しての加圧による簡単な製
法によって透明度が高く、硬度に優れた炭酸入り氷を製
造でき、しかも、そのガス溶解度も任意に設定できると
共に、比較的安価な設備、低いランニングコストによっ
て製造できるのである。
【0031】また、耐圧製氷容器1における製氷原水W
上方の空隙内には、加圧媒体の供給によって膨脹する中
空弾性加圧嚢8を配装してあるから、炭酸ガスが封入溶
存されている製氷原水Wを耐圧製氷容器1内に注入供給
するとき、膨脹した中空弾性加圧嚢8は、注水口4から
注入される製氷原水W面に接触し、製氷原水W面と中空
弾性加圧嚢8との間に存在する空気を押し出すことがで
き、排水口5を経て耐圧製氷容器1内の空気を除去する
ことで、中空弾性加圧嚢8によって直接に製氷原水Wを
加圧できる。しかも、注水口4を経た製氷原水Wの注水
によって耐圧製氷容器1内が十分に満たされると、排水
口5を経て製氷原水Wが溢流されることになるから、耐
圧製氷容器1内における残存空気がないことを容易に確
認することができる。
【0032】中空弾性加圧嚢8内に強制的に加圧媒体を
供給することで、製氷原水W面に接触する中空弾性加圧
嚢8を膨脹し、これによって、耐圧製氷容器1内に充満
された製氷原水Wを所定の高圧度の下に直接に加圧させ
ることができ、氷結した製氷原水W全体による炭酸入り
の氷塊を得ることができる。
【0033】そればかりでなく、中空弾性加圧嚢8は、
容器本体2内の製氷原水Wと容器本体2を閉塞する蓋体
3との間に介装配置されているから、中空弾性加圧嚢8
自体の膨脹は、容器本体2、蓋体3両者間の間隙を密閉
するシール機能を発揮し、耐圧製氷容器1内外を遮断
し、全体構成を簡素化することができる。また、中空弾
性加圧嚢8の膨脹は、加圧面に凹凸を形成せず、製氷原
水Wとの当接面を平坦化させ、製氷原水Wの被加圧面に
対する加圧作動を均一にする。しかも、製氷原水Wが氷
結時に膨脹したとき、その緩衝作用を発揮し、耐圧製氷
容器1自体の破壊をも防止する効果がある。
【0034】そればかりでなく、液化炭酸ガスを密閉状
態にある製氷原水Wに徐々に注入し、製氷原水Wの温度
及び圧力を制御することで過飽和状態のままで氷結させ
ることもでき、大量の炭酸ガスの氷内の貯蔵を可能にす
る。すなわち、このような氷は、大量の炭酸ガスを含有
した状態のものであるから、温度管理によるだけで大気
圧化での貯蔵をも可能にする。
【0035】ブライン包覆部11、中央ブライン供給部
15から成る内外二重構造の冷却手段10は、耐圧製氷
容器1内外からの熱交換を効率化させ、短時間に急速な
冷却作業を可能にし、そのため、中空弾性加圧嚢8によ
る直接の加圧と相俟ち、炭酸ガスを溶存させたままの透
明で、硬度の高い炭酸入り氷を形成できる。
【0036】また、本発明によって得られた炭酸入り氷
は、食用として供食でき、あるいは例えば食品輸送時の
冷却物として使用でき、特に高級鮮魚の輸送時等での使
用は、溶解時に発生する炭酸ガスが周囲状況を腐敗に不
活性な状態なものとし、その酸化、腐敗を防止するのに
役立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の一実施例における耐圧製氷容器の
側断面図である。
【図2】同じく冷却系統図の概略図である。
【符号の説明】
W 製氷原水 1 耐圧製氷容器 2 容器本体 3 蓋体 4 注水口 5 排水口 6 供給パイプ 7 加圧ポンプ 8 中空弾性加
圧嚢 9 排出パイプ 10 冷却手段 11 ブライン
包覆部 12 供給口 13 排出口 15 中央ブライン供給部 16 外部管 17 内部管 20 冷却ユニット 21 低温ブラ
インタンク 22 脱水用ブラインタンク 23 ブライン
クーラー 24 冷凍機 25 オイルセ
パレーター 26 コンデンサー 27 インター
クーラー

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 耐圧製氷容器内に注水充満した炭酸ガス
    が溶解されている製氷原水を、耐圧製氷容器における製
    氷原水上方の空隙内に配装した膨脹する中空弾性加圧嚢
    によって製氷原水面を直接に加圧する一方、耐圧製氷容
    器を冷却し、製氷原水を氷結することを特徴とした炭酸
    入り氷の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭酸ガス入りの製氷原水が注水される容
    器本体の開口に施蓋される蓋体を備えた耐圧製氷容器
    と、加圧媒体が供給されることで膨脹し、耐圧製氷容器
    内に注水されている製氷原水面に接触するよう、耐圧製
    氷容器における製氷原水上方の空隙内に配装されている
    中空弾性加圧嚢と、耐圧製氷容器をその外部から冷却す
    るブライン包覆部、同じく中心側から冷却する中央ブラ
    イン供給部から成る冷却手段とを備えたことを特徴とす
    る炭酸入り氷の製造装置。
  3. 【請求項3】 耐圧製氷容器における容器本体には、膨
    脹する中空弾性加圧嚢底面が接触する製氷原水面の高さ
    位置にほぼ対応して製氷原水を注水する注水口、排水す
    る排水口夫々を開口形成してある請求項2記載の炭酸入
    り氷の製造装置。
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