JP2744800B2 - 動物用飼料及び同添加物 - Google Patents

動物用飼料及び同添加物

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JP2744800B2 JP1003583A JP358389A JP2744800B2 JP 2744800 B2 JP2744800 B2 JP 2744800B2 JP 1003583 A JP1003583 A JP 1003583A JP 358389 A JP358389 A JP 358389A JP 2744800 B2 JP2744800 B2 JP 2744800B2
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桂一 田中
実 坂井田
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日本配合飼料株式会社
天生水産株式会社
株式会社神崎屋
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は動物用飼料添加物、同添加物を含有する飼料
及び同添加物の製造法に関する。更に詳しくは動物体内
での脂肪およびコレステロールの合成をコントロールし
て高コレステロール症,脂肪肝を防止することのできる
動物用飼料添加物、同添加物の製造法、及び同添加物を
含有する飼料に関する。
<従来の技術及びその課題> 動物における脂質代謝及びその調節については古くか
ら関心がもたれて居り、多くの文献も発表されている。
また、動物、特に家禽・家畜の肥育促進との関係から飼
料成分と肥育効率の研究がなされている。しかし、家禽
・家畜を脂肪含有量を一定のレベルに保ちつつ、肥育効
率を挙げられる飼料はいまだ提供されていないのが現状
である。
<課題を解決するための手段> 本発明者らは、上述の目的を達成するべく、鋭意研究
をした結果、蛋白質のエキス分を有機酸醗酵用母液例え
ば、食酢の天然醸造の際に利用される静置醗酵に使用さ
れる醗酵母液に加えて常法により醗酵させることにより
得られる物質が動物体内の脂肪及びコレステロールの合
成をコントロールしつつ、肥育を促進することができる
のを見い出し本発明を完成したものである。
蛋白質エキスの調製には動物、植物性蛋白質のいずれ
を問わず使用できる。エキス分を得るには、これら蛋白
質を酵素などで分解,ペプタイド化し、製品とする。必
要に応じて濃縮すればよい。勿論、食品工場の加工残滓
などを利用してもよい。
動物用飼料としての栄養上のバランスからは、必須ア
ミノ酸に富む蛋白質を利用することが好ましい。従つ
て、価格、入手の難易などの点から魚肉、植物蛋白質、
例えば脱脂大豆などが好適に利用される。
魚肉エキスとしては例えば特公昭53−31935号により
得られるものが好適に使用される。
有機酸醗酵用母液への蛋白質エキス分の添加量として
は1〜30重量%である。この液を素材として有機酸醗酵
をさせ、各種の有機酸例えば酢酸、乳酸、グルコン酸、
リンゴ酸、コハク酸、酒石酸、フマール酸、クエン酸、
ピルビン酸、ピログルタミン酸などの混合物を生成させ
る。醗酵終了後更に蛋白質エキスを必要に応じ最大60重
量%と醗酵多糖類を60重量%まで添加して製品としても
よい。これらの添加により動物の嗜好性を高めることが
できる。
醗酵多糖類としてはデンプンなどを酵素消化させたも
のが挙げられ、特に黒酵母Aureobesidiumpullulamsなど
の微生物を用いて澱粉を原料として醗酵させた多糖類が
好適に使用される。
代表的なものとして林原株式会社製のプルランが挙げ
られる。上記多糖類以外にグルコース、フラクトース、
ラクトース、庶糖などの糖類を添加してもよい。
かくして得られた飼料添加物は10〜90日間室温で熟成
する。熟成後酸度を使用目的に応じて2〜10%程度に調
整する。酸度調整後、50〜80℃で5〜15分間加熱処理し
て滅菌する。滅菌後容器に充填して製品とする。また、
凍結乾燥、噴霧乾燥などにより粉末化してもよく、動物
用の飼料成分として利用されるふすま、脱脂糠、小麦
粉、デキストリンなどに吸着させて製品としてよくまた
直接動物用の配合飼料に吸着させてもよい。
本発明の発明に係る動物用飼料添加物の配合飼料への
添加量は、配合飼料に対して0.1〜10重量%である。
飼料への添加は動物に給餌する直前に行なつてもよ
く、また動物用の配合飼料,混合飼料などに予じめ添加
しておいてもよい。栄養補給の意味で飲用の水に2〜10
0倍に希釈し、動物に供してもよい。
<使用> 蛋白質エキスを有機酸醗酵に際して加えることにより
有機酸醗酵を容易にすると共に飼料添加物としての栄養
のバランスを良くする。更に蛋白質エキス・多糖類やそ
の他甘味料を添加することにより動物の嗜好性を高める
ことができる。動物に給餌すると脂肪代謝及びコレステ
ロールの合成をコントロールすることができるがその作
用機作については明らかではない。しかし、本飼料用添
加物は動物の脂肪代謝の改善に広く利用できるので、家
禽・家畜のみならず広く愛玩動物や水産動物用の各種飼
料に添加して使用できる。
<実施例> 以下実施例及び試験例を挙げて本発明を説明するが勿
論この発明はこれらにより限定されるものでない。
<製造例> 先ず常法により酒液を製造し、酢を加えて不可飲処理
する。この酒液95重量部に対して、市販の魚肉エキス
(商品名ペプタミン)を5重量部添加して常法に準じで
有機酸醗酵させる。醗酵終了後に、醗酵液92重量部に対
して前述の魚肉エキス5重量部と醗酵多糖類3重量部を
添加する。このものを常温、暗所で60日間熟成する。熟
成後酸度を4.5%に調整し、65℃10分間加熱して滅菌す
る。滅菌したものを密封容器に入れて製品とする。
<飼料の調製例> 上記の如くして得られた飼料用添加物を下記原料組成
を有する成鶏用配合飼料に重量%として0.2%加えて飼
料を調製する。
<試験例> ・供試鶏および管理 実験には、卵用種雄ヒナ(後藤孵卵場産)を用いた。
供試鶏は育成期間および実験期間を通して室温25℃に調
節された動物環境制御飼育室内で飼育した。孵化時から
4週齢まては、37℃に調節したバタリー式育雛器内で、
それ以降(実験開始後)は中雛用ケージで飼育した。4
週齢までは市販の幼雛用飼料を、それ以降(実験期間)
はレイヤー試験用中雛用標準飼料(SDL No.2、日本配合
飼料株式会社)を給与した。飼料および水は自由に摂取
させた。
・実験計画 前述のように飼養管理した鶏ヒナを、4週齢目に体重
を測定し、各区の平均体重がほぼ等しくなるように、1
区8羽ずつ5区、すなわち、本発明に係る飼料添加物無
添加区(対照区)、同添加物0.2%、0.5%、1.0%およ
び2.0%添加区に分けた。実験期間は3週間として、飼
育室は14時間照明した。
実験最終日に鶏の体重を測定した後、翼下静脈からヘ
パリン処理した注射器を用いて血液を採取した。その
後、断頭放血によつて屠殺し、胸骨端より開腹し、速や
かに肝臓および腹腔内脂肪を採取し重量を測定した。
採取した血液は血漿を分離した後、各脂質画分濃度の
測定に供試した。肝臓は冷生理食塩水(0.9%NaCl溶
液)で洗浄し、1部は脂質合成およびコレステロール合
成関連酵素の活性測定に供し、残りの肝臓は各脂質画分
含量の測定に用いた。
・結果 それらの結果は表1、表2および表3に示した。
表1より明らかな如く実験最終日の体重はいずれの本
発明の飼料添加物の添加区においても無添加区に比べ統
計的に有意に大きく飼料中に添加することによつて、成
長中鶏ヒナの増体に効果的に作用したことが明らかとな
つた。飼料摂取量はいずれの区においても大きな差は見
られなかつた。ところが表2に示す如く、体重100g当り
の肝臓重量は本発明の飼料添加物を0.5%、1.0%および
2.0%飼料に添加することによつて低い値を示した。ま
た、表1に示したように腹腔内脂肪重量も本発明の飼料
添加物の添加によつて、統計的に有意な低下あるいは低
下の傾向を示した。
表2に示しように血清中トリグリセリドと遊離型コレ
ステロール濃度は本発明の飼料添加物を1.0%又は2.0%
飼料に添加することによつて低下する傾向を示したが、
それ以外の脂質画分濃度では飼料への本発明の飼料添加
物の添加によつて大きな影響は見られなかつた。肝臓中
トリグリセリドと遊離型のコレステロール含量は1.0%
又は2.0%を飼料に添加することによつて、またコレス
テロールエステル含量は0.5%、1.0%又は2.0%添加す
ることによつて、それぞれ統計的に有意な低下を示し
た。しかるに、肝臓中リン脂質含量は添加による影響は
見られなかつた。
ところで表3に示したように肝臓における脂肪酸合成
に関与している酵素、acetyl−CoA corboxylaseおよびf
atty acid synthetaseの活性は、添加によつて、統計的
に有意な低下あるいは低下する傾向を示した。また、NA
DP−malate dehydragenaseおよびcitrate cleavage enz
ymeの活性には大きな影響は見られなかつた。肝臓にお
けるコレステロール合成の律速酵素であるHMG−CoA red
uctase活性は、1.0%添加では低下の傾向、そして2.0%
添加では統計的に有意な低下を示した。これらの結果か
ら本発明に係る飼料添加物を1.0%以上飼料中に添加し
て鶏ヒナに給与すると、肝臓での脂肪酸およびコレステ
ロール合成の低下が観察された。
即ち、脂肪酸およびコレステロール合成を抑制する効
果が期待され、脂質分を低くおさえ良質の食用肉が提供
される可能性および脂肪肝を防止する可能性が示唆され
た。
また犬や猫などの愛玩動物においては脂質代謝の改善
による肥満防止の効果および養殖魚における脂肪沈着防
止効果が期待されるところである。
<発明の効果> 本発明に係る飼料添加物の利用により動物体内での脂
肪、コレステロール合成抑制効果が認められるので、脂
質分を低くおさえた良質の食用肉の提供が期待される。
しばしば問題となる脂肪肝の防止にも役立つ。また、愛
玩動物での脂質代謝改善による肥満防止効果が期待され
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂井田 実 神奈川県横浜市磯子区磯子6丁目9番13 号

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】蛋白質エキスを有機酸醗酵用母液に加えて
    有機酸醗酵を行なうことにより得られたことを特徴とす
    る動物用飼料添加物。
  2. 【請求項2】特許請求の範囲第1項において蛋白質エキ
    スが魚肉エキスである動物用飼料添加物。
  3. 【請求項3】特許請求の範囲第1項記載の動物用飼料添
    加物を含有することを特徴とする動物用飼料。
  4. 【請求項4】蛋白質エキスを有機酸醗酵用母液に加えて
    有機酸醗酵を行なうことを特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の動物用飼料添加物の製造法。
JP1003583A 1989-01-10 1989-01-10 動物用飼料及び同添加物 Expired - Lifetime JP2744800B2 (ja)

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