JP2744659B2 - バイオセンサー装置 - Google Patents

バイオセンサー装置

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JP2744659B2 JP1303834A JP30383489A JP2744659B2 JP 2744659 B2 JP2744659 B2 JP 2744659B2 JP 1303834 A JP1303834 A JP 1303834A JP 30383489 A JP30383489 A JP 30383489A JP 2744659 B2 JP2744659 B2 JP 2744659B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は種々の物質の細胞あるいは細胞の集合状態に
与える影響を簡便かつ鋭敏に測定するバイオセンサー装
置に関し、さらに詳しくは、代謝性および細胞間相互作
用に対する種々の物質の影響を測定することにより、細
胞毒性あるいは薬理活性等を評価することが可能なバイ
オセンサー装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、種々の化学物質あるいは生体由来物質の生物学
的毒性の評価の対象として細胞が良く用いられ、これら
の物質と細胞が接触することによってもたらされる細胞
死、増殖能あるいはDNA合成能等の細胞機能の低下が物
質の生物学的毒性の目安として用いられてきた。
細胞の生死判定法としては、トリバンブルー、エリス
ロシン、アルシアンブルー等の色素は細胞膜に損傷のな
い細胞には侵入できないが、細胞膜に損傷のある細胞に
は侵入して細胞を染色することを利用して細胞の生死を
判定する色素排除試験法が最も一般的に用いられてい
る。また、予め細胞に取り込ませておいた[51Cr,3H]
ロイシン,[3H]プロリン等の細胞膜からの再放出量を
検出することによって細胞の障害の程度を測定する方法
も開発されている。
一方、細胞の増殖能の測定法としては、生存細胞数の
測定、細胞形態の測定、コロニー形成能などの測定が代
表的である。DNA合成能も細胞の増殖能が良い指標であ
り、[3H]チミジンのDNA内への取り込みを測定する方
法も行われている。
〔発明が解決すべき課題〕
しかしながら、従来行われてきた細胞障害試験法には
以下に示すいくつかの問題点がある。
例えば色素排除試験法は細胞障害性試験法としては感
度が悪く、かつ定量的判定が著しく困難であった。一
方、放射性同位元素によってラベルされたロイシン,プ
ロリン等の放出量の判定法は定量性に優れているもの
の、放射化分析が必要であり、装置、設備、施設等に著
しい制約がある。また、細胞の増殖能の測定法である細
胞数、細胞形態、コロニー形成能等の測定は操作が繁雑
であり、機械化、省力化が困難であると同時に、細胞障
害試験法としての感度が低く、かつ定量性にも乏しい。
3H]チミジンを用いたDNA合成能の測定は、定量性、
感度は良好であるものの、さきにも述べたように、装
置、設備、施設等に大きな制約がある。
また、従来の細胞障害試験法は1ケ1ケ独立の細胞の
機能障害を対象にしたものである。よく知られているよ
うに、動物細胞の場合には、細胞単独では生存および機
能することが困難であり、複数の細胞が集団を形成して
はじめて細胞機能を営むものと考えられている。また、
各物質の細胞機能に与える影響から、それらの物質の生
体に与える影響を類推しようと試みる場合には、個々の
細胞に対する影響を評価するというよりは、むしろ生体
の組織、器官を形成している細胞の集合体に与える影響
が評価する方が良い相互関係が得られるものと考えられ
る。即ち、細胞間の相互作用が重要な役割を担っている
組織、器官を対象とした障害試験のシミュレーターとし
ては、従来の細胞障害試験法は著しく不十分であった。
本発明は上記課題を解決するためのもので、種々の化
学物質あるいは生体由来物質の細胞あるいは細胞の集合
体に与える影響を簡便にかつ鋭敏に測定するバイオセン
サー装置を提供することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するバイオセンサー装置は、上皮系細
胞および物質透過能を有する細胞基質膜および細胞の代
謝物等の検出器からなる。
生体の組織あるいは器官を構成している細胞は上皮系
細胞と、繊維芽細胞に代表される非上皮系細胞に分類さ
れる。上皮系細胞の特徴は、組織あるいは器官の表面に
局在する細胞であり、基底膜上に形成された層状の細胞
で細胞間質が非常に少なく、かつ細胞と細胞の間の結合
が非常に強固に達成したバリヤー性の高い細胞である。
また、もう1つの上皮系細胞の重要な特徴は、細胞膜に
極性が存在するということである。即ち、上皮系細胞層
の培養液側と基底膜側では明確に細胞膜の構造および機
能が異なっていることである。上皮系細胞はまた、表皮
細胞と内皮細胞に分類される。特に、表皮細胞は生体の
皮膚の表面を構成している細胞であり、生体の外界から
の保護のため、バリヤー性が特に高いと同時に極性も高
い。
本発明の重要な効果の1つは、各種物質の細胞集合体
に与える影響を鋭敏に測定し得ることである。細胞の集
合体とは、言い換えれば細胞と細胞の相互作用であり、
細胞間相互作用の最も強い上皮系細胞、特に好ましくは
表皮細胞を対象として選択することは、本発明の重要な
要素である。
さらに、先に述べた上皮系細胞層のバリヤー性および
極性の測定は、細胞と細胞の相互作用、即ち細胞の集合
体への影響の非常に有効な目安になる。
一方、動物細胞は接着依存性細胞および接着非依存性
細胞に分類される。組織、器官を形成する細胞はほとん
ど全てが接着依存性細胞であり、その生存、増殖、物質
産生能等の細胞機能が細胞の足場である基質に依存しな
くては正常に発現されない細胞である。また、細胞の機
能がこの足場である細胞基質の性質によって、著しく影
響されることが近年分かってきた。
我々は、接着依存性細胞である上皮系細胞、特に表皮
細胞の場合には、細胞増殖および細胞機能を長期間維持
するためには、細胞基質が物質透過性を有し、かつコラ
ーゲンを含有することが必須であることを見出した。即
ち、これらの細胞は通常の細胞培養用のプラスチックシ
ャーレ上では細胞の増殖および長期間の機能多維持は不
可能であった。
これは先にも述べた如く、生体の表皮細胞は主として
コラーゲンからなる基質膜を足場として、基底側から栄
養物を採取すると同時に基底膜側に老廃物を排泄すると
いう極性を有しているためと考えられ、栄養物および老
廃物の透過性が基底膜に備わっているものと考えられる
からである。
我々は主栄養素であるグルコースおよび主排泄物であ
る乳酸を透過するコラーゲン膜上で表皮細胞を培養する
ことによって、タイトジャンクションおよびデスモゾー
ム等の細胞間結合による優れたバリヤー性を有する表皮
細胞層をコラーゲン膜上に形成させることに成功した。
この培養表皮細胞層はグルコース、乳酸、アミノ酸、
アンモニア、プロトン等の低分子量物質の透過性をも阻
止することがわかった。
ここで、該表皮培養基質としてコラーゲン膜のみに限
定されるものではなく、コラーゲンを一部含有する基質
膜、例えば物質透過性能を有する人工膜にコラーゲンを
複合化した基質も本発明の目的を達する。
一方、種々の物質を該コラーゲン膜上に形成された表
皮細胞層に接触させた場合の細胞障害性は主として個々
の細胞の代謝過程への影響および細胞の集合状態への影
響に大別される。これらの2つの影響は全く孤立ではな
いものの、前者は細胞のグルコース、乳酸、アンモニ
ア、プロトン等の代謝過程を、後者はグルコース、乳
酸、アンモニア、プロトン等に対する表皮細胞層のバリ
ヤー性を測定することによって、それぞれ独立に評価が
可能である。即ち、培養表皮細胞はグルコースを基底膜
側から採取し、乳酸およびアンモニアをそれぞれ基底膜
側および培養側に排出することがわかった。
一方、先にも述べたように、培養表皮細胞層はグルコ
ース、乳酸、アンモニア、プロトン等の代謝物の透過性
を阻止するが、該層のバリヤー性が低下するとこれらの
代謝物は濃度勾配にしたがって、該層を透過することが
認められた。従って、培養液側および基底膜側のグルコ
ース、乳酸、アンモニア、プロトン濃度の測定を組合わ
せることによって、各種物質の細胞代謝過程への影響お
よびバリヤー性、即ち、細胞の集合状態への影響をそれ
ぞれ別個に評価することが可能になった。
例えば、トリプシン、デイスパーゼ、コラゲナーゼ等
の蛋白分解酵素は主として該層のバリヤー性に影響を与
えるのに対して、サイトカラシンB、ホルムアルデヒ
ド、塩酸ジエチルアミン等の毒性は主として細胞の代謝
活性に影響をもたらした。
細胞の代謝物、特にグルコース、乳酸、アンモニア、
プロトン等の検出装置のセンサー部分は、該培養表皮細
胞/コラーゲン膜の培養液側あるいは基底膜側に簡単に
設置し、連続測定が可能であることが好ましい。グルコ
ースセンサーとしては、グルコースオキシダーゼを固定
した酸素電極あるいは白金電極方式が好ましく、乳酸セ
ンサーとしては、乳酸脱水素酵素を固定化した白金電極
方式あるいは乳酸オキシダーゼを固定化した酵素電極方
式等が好ましい。いずれも市販品が使用可能であるが、
これらに限定されるものではない。
〔作用〕
第1図は代謝物測定センサーを培養液側に設置した本
発明のバイオセンサー装置の外観を示す図、第2図は代
謝物測定センサーを基底膜側に設置した本発明のバイオ
センサー装置の外観を示す図、第3図は本発明のバイオ
センサー装置の測定原理を説明するための図、第4図は
酵素電極を示す図、第5図はガラス膜電極を示す図であ
る。図中、1は細胞基質膜、2は上皮系細胞、3は検出
基、4は培養液、5は試験液、10は容器、11は陽極、12
は陰極、13は内部液、14はテフロン膜、15は固定化酵素
膜、20は容器、21は銀−塩化銀電極、22はガラス膜、23
は内部液である。
細胞基質膜1は少なくともコラーゲンを含有し、孔が
開いていて物質を透過させることができる膜であり、も
ちろん、コラーゲン膜であってもよい。この細胞基質膜
1の上に、例えば表皮細胞のような上皮系細胞2を接着
して成長させ、細胞の集合体を形成する。このような構
造のものにおいては、例えば第3図に示すように、細胞
基質膜1側にグルコースを置くと、細胞は細胞基質膜1
を通してグルコースを取り込んで分解し、代謝物として
乳酸、アンモニア、プロトンを排出するが、乳酸は細胞
基質膜1側に排出され、アンモニアは上皮系細胞2側に
排出される。したがって、各細胞間Aに隙間がないタイ
トジャンクションで、かつ細胞が代謝異常を起こしてい
ない場合には、上皮細胞側と基質膜側とではグルコー
ス、アンモニア、乳酸、プロトンの濃度差が生じ、代謝
異常でグルコースの分解が進まないような場合にはグル
コースの濃度差があっても、アンモニア、乳酸、プロト
ンの濃度差が生じない。また、細胞間に隙間が生じてい
る場合には両側が連通してしまうのでグルコース、アン
モニア、乳酸、プロトンの濃度差は生じない。そこで、
これらの代謝物、あるいはグルコースの濃度を測定する
ことにより細胞間の欠陥や細胞の代謝異常等を検出する
ことができる。また、正常な代謝機能を有し、タイトジ
ャンクションで結合された細胞に対して、薬理毒性等を
測定したい物質を作用させて代謝物を測定することによ
り、物質の細胞への影響を測定することが可能となる。
第1図において、容器6の中には細胞への影響を測定
したい目的とする試験液5が入れられており、この試験
液に基質膜1を接触させ、その反対側にセパレータ7で
試験液から隔離した状態で上皮系細胞2、特に好ましく
は表皮細胞が基質膜1を完全に被覆して形成されてい
る。そして、上皮系細胞2側には培養液4を満たし、グ
ルコース、乳酸、アンモニア、プロトン等を検出するた
めの検出器3を配置する。なお、第2図は基質膜と上皮
系細胞の向きが逆になっていて検出器を基底膜側に配置
した以外は第1図と同様である。
第3図で説明したように上皮系細胞2は極性を有して
いるのて、検出器3によりグルコース、乳酸、アンモニ
ア、プロトン等を検出することにより、もともとタイト
ジャンクションであり、正常な代謝機能を有していた細
胞が、試験液によりどのような影響を受けたかを測定す
ることができる。
グルコースや乳酸濃度を測定するための検出器として
は、例えば第4図に示すような酸素電極を使用すればよ
い。これは容器10内にアルカリ液13を満たして陽極11と
陰極12とを対向配置し、固定化酵素膜15でグルコースや
乳酸を分解すると酸素が消費され、テフロン膜14を通し
て容器内の酸素濃度が変化し、陽極−陰極間に流れる電
流が変化するのでこれを検出することによりグルコース
や乳酸濃度を測定するものである。
また、プロトンの検出は、例えば第5図に示すような
ガラス膜電極を用いてPHを測定すればよい。これは、ガ
ラスの薄膜を隔ててPHの異なる液が接した場合、両側に
電位差が生じ、その値は両側のPHの差に比例するので、
この電位差を検出することによりPHの差、すなわちプロ
トンの検出を行うことができる。
〔実施例〕
以下、実施例および比較例を示し、本発明をさらに具
体的に説明する。
(実施例1) 牛皮から得られたコラーゲン濃度1%のHCl(PH3)水
溶液を作成し、テフロン板上に塗布し、風乾した後に15
ワットの高圧水銀灯を10cmの距離から20分間照射して架
橋を導入したコラーゲンフィルム(膜厚約20μm)を作
成した。該コラーゲンフィルムを円板状に切断し、該円
板状コラーゲンフィルムを2枚の外径20mm、内径10mmの
円板状のポリカーボネート板に挿入し固定化する。コラ
ーゲンフィルムを固定化したポリカーボネート板を内径
60mmの細胞培養デイッシュ中に施設し、紫外線を40分間
照射することによって、滅菌処理を行った。
新生児ラットの皮膚からディスパーゼおよびトリプト
シンを用いる方法(Yoshizato,K,etal,Biomed,Res.7,21
9,1986)によって、表皮細胞を採取し、培養地としてDM
EM(10%FES,10mM−NaHCO3,20mM−Hepes,100i.u./mlの
ペニシリンおよび100μg/mlのストレプトマイシン含
有)を用いて該細胞を該コラーゲンフィルム上に播種
し、炭酸ガスインキュベーター中で37℃で7日間培養
し、コラーゲンフィルムを完全に被覆したコンフルエン
トな表皮細胞層を得た。初期の細胞播種濃度は約2×10
5コ/cm2であった。
第1図に示すように、該培養表皮細胞/コラーゲン膜
の培養液側にグルコースセンサー(グルコースオキシタ
ーゼ固定化白金電極)を設置した。ここで、培養液側に
はグルコース非添加のDMEMを充填し、試験液としては10
mlのDMEMに濃度が約1mg/mlになるようにグルコースを添
加した液を用いた。該センサーを試験液に浸漬し、37℃
にて培養液側のグルコース濃度の測定を経時的に行っ
た。30分後でもグルコース濃度の増加は約0.05mg/mlで
あった。また、該グルコースセンサーの代わりに乳酸セ
ンサーを用いて同様の実験を行ったところ、30分後の培
養液側の乳酸濃度の増加はほとんど認められなかった。
また、該乳酸センサーアンモニアセンサ(イオン電極方
式)に変えて同様の実験を行ったところ、30分後の培養
液側のアンモニア濃度は約6μm/mlにまで上昇した。得
られた測定値から表皮細胞層は試験液中のグルコースの
培養液側への透過を阻止することが分かり、該層のバリ
ヤー性が高いことを示している。一方、乳酸は培養液側
には排泄されないが、アンモニアは培養液側に排泄さ
れ、培養液側のアンモニアの試験液側への移行は該層に
よって阻止されるということが分かった。
(比較例1) (実施例1)で用いられたコラーゲンフィルムを用い
て、同様にポリカーボネート板を用いてセルを作成し
た。次にマウス真皮由来の線維芽細胞を採取し、(実施
例1)で用いたDMEMを用いて、該コラーゲンフィルム上
に播種し、炭酸ガスインキュベーター中で37℃で7日間
培養し、コラーゲンフィルムを完全に被覆したコンフル
エントな線維芽細胞層を得た。初期の細胞播種濃度は約
2×105/cm2であった。
第1図に示すように、該培養線維芽細胞/コラーゲン
膜の培養液側に(実施例1)で用いたものと同様のグル
コースを培養液側の容積が約0.1mlになるようにした設
置した。ここで、培養液側にはグルコース非添加DMEMを
充填し、試験液としては10mlのDMEMに濃度が約1mg/mlに
なるようにグルコースを添加して用いた。該センサーを
該試験液に浸漬し、37℃にて培養液側のグルコース濃度
の測定を経時的に行った結果、10分後には濃度は試験後
のグルコース濃度と同じ約1mg/mlに上昇した。
一方、グルコースセンサーの代わりに乳酸センサーお
よびアンモニアセンサーを用いて、培養液側のそれぞれ
の濃度を測定したが、いずれもほとんど増加は認められ
なかった。これらの実験結果は培養線維芽細胞層の場合
には、培養表皮細胞層の場合と異なり、バリヤー性が全
く認められず、培養液側の代謝物の濃度は試験液側のそ
れの濃度と等しくなってしまい、本発明が意図した細胞
および細胞の集合状態への薬物への影響を測定すること
は困難であった。
(実施例2) (実施例1)と全く同様の方法で培養表皮細胞/コラ
ーゲンフィルムを作製し、第2図に示すように細胞基質
側にグルコースセンサーを設置し、基質側の容積を約0.
1mlになるようにした。
ここで基質側にはグルコースを含まないDMEMを充填
し、試験液として10mlのDMEMに濃度が約1mg/mlになるよ
うにグルコースを添加した液を用いた。該センサーを該
試験液に浸漬し、37℃にて基質側のグルコースの濃度を
モニターした。30分後にもグルコースの濃度の増加は低
く、約0.03mg/mlであった。一方、グルコースセンサー
の代わりに乳酸センサーを用いて基質側の乳酸濃度をモ
ニターした。その結果、30分後には乳酸濃度は約90μm/
mlに上昇した。また、アンモニアセンサーによって基質
側のアンモニア濃度を測定した。上昇はほとんど認めら
れなかった。これらの実験結果は(実施例1)で述べた
ように、該表皮細胞層のバリヤー性が本発明の細胞およ
び細胞の集合状態への薬物の影響の評価に適している系
であることを示している。
(実施例3) (実施例1)と全く同様の方法で、培養表皮細胞/コ
ラーゲンフィルムを作製し、第1図に示すように細胞基
質側にグルコースセンサーを設置し、基質側の容積を約
0.1mlになるようにした。ここで培養液側にグルコース
を含まないDMEMを充填し、試験液として10mlのDMEMに濃
度が約1mg/mlになるようにグルコースおよび代謝阻止剤
としてサイトカラシンBをジメチルスルホキシドを溶解
し、最終濃度が約15μg/mlになるようにそれぞれ添加し
た。該センサーを該試験液に浸漬し、37℃にて培養液側
のグルコースの濃度を経時的に測定した。30分後にもグ
ルコースセンサーの代わりにアンモニアセンサー(イオ
ン電極方式)を用いて同様の実験を行ったところ、培養
液側のアンモニア濃度の増加はほとんど極められなかっ
た。また、第2図に示すように基質側に該センサを設置
し、同様の試験液を用いて実験を行った。基質側のグル
コース濃度は30分後でもほとんど上昇が認められなかっ
た。さらに、基質側の乳酸上昇もほとんど認められなか
った。培養液側と基質液側のグルコース濃度差が維持さ
れることはサイトカラシンBは該表皮細胞層のバリヤー
性には影響を与えないことを示している。しかしなが
ら、培養液側のアンモニア濃度の上昇および基質側の乳
酸濃度の上昇が認められないことは、サイトカラシンB
が細胞代謝を完全に阻害していることを示唆している。
即ち、本発明の装置を用いることによって、毒性の細胞
への作用機序を評価することが可能になった。
(実施例4) (実施例1)と全く同様の方法で、培養表皮細胞/コ
ラーゲンフィルムを作製し、第1図および第2図に示す
ように培養液側および細胞基質側にグルコース、乳酸、
アンモニアセンサーをそれぞれ設置した。センサー側の
容積は約0.1mlであり、グルコースを含有しないDMEMを
充填した。一方、試験液として10mlのDMEMに濃度が約0.
02%になるようにトリプトシンを添加した液を用いた。
また、試験液にはグルコースを約1mg/mlになるように添
加した。該センサーを該試験液に浸漬し、37℃にて培養
液側、基質側のグルコース、乳酸、アンモニア濃度を連
続的に測定した。その結果、培養液側にしても、基質側
にしても、センサ側のグルコース濃度は30分後には約1m
g/mlとなり、試験液側との濃度差は全く認められなかっ
た。この結果はトリプトシンが該表皮細胞層のバリヤー
性を完全に破壊したことを示唆している。
(実施例5) 実施例1と全く同様の方法で、培養表皮細胞層を作製
し、第1図に示すように培養液側にPHセンサーを設置
し、プロトン濃度を測定した。センサー側の容積は約0.
1mlであり、グルコースを含有しないDMEMを充填した。
一方、試験液として10mlのDMEMにグルコースを最終濃度
が約1mg/mlになるように添加した液を用いた。該センサ
ーを該試験液に浸漬し、37℃にて培養液側と基質液側の
PH差を連続的に測定した。初期には培養液側および基質
側のPHは共に7.1でPH差は認められなかったが、時間の
経過と共に培養液側のPHが低下し、30分後には6.9に低
下し、そのPH差が約0.2になった。この結果は培養表皮
細胞層がプロトンに対しても有効なバリヤー層を形成し
ていることを示唆したいる。プロトンの能動輸送システ
ムの阻害剤であるオメプラゾールを該試験液に最終濃度
が0.5mMになるように添加し、上記と同様の方法で培養
液側と基質側のPH差を測定した結果、30分後にはPH差は
とんど認められなくなった。この結果はオメプラゾール
がプロトンに対してもバリヤー性を有効に破壊すること
を示唆していて、本発明の装置により細胞膜の能動輸送
能への影響の評価が可能であることがわかった。
〔発明の効果〕
以上のように本発明によれば、各種化学物質および生
体由来物質等の細胞に与える影響を簡便にかつ感度よく
測定することを可能にするのみならず、従来法では評価
が困難であった細胞の集合体への影響をも感度よく測定
することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
第1図は代謝物測定センサーを培養液側に設置した本発
明のバイオセンサー装置の外観を示す図、第2図は代謝
物測定センサーを基底膜側に設置した本発明のバイオセ
ンサー装置の外観を示す図、第3図は本発明のバイオセ
ンサー装置の測定原理を説明するための図、第4図は酵
素電極を示す図、第5図はガラス膜電極を示す図であ
る。 1……細胞基質膜、2……上皮系細胞、3……検出器、
4……培養液、5……試験液、10……容器、11……陽
極、12……陰極、13……内部液、14……テフロン膜、15
……固定化酵素膜、20……容器、21……銀−塩化銀電
極、22……ガラス膜、23……内部液。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】物質透過能を有する細胞基質膜上に上皮系
    細胞を成長させ、上皮系細胞側または細胞基質膜側に物
    質濃度を検出する検出器を配置したことを特徴とするバ
    イオセンサー装置。
  2. 【請求項2】前記上皮系細胞が表皮細胞である請求項1
    記載のバイオセンサー装置。
  3. 【請求項3】前記物質透過能を有する細胞基質膜がすく
    なくともコラーゲンを含有する膜である請求項1記載の
    バイオセンサー装置。
  4. 【請求項4】前記検出器がグルコースセンサーである請
    求項1記載のバイオセンサー装置。
  5. 【請求項5】前記検出器が乳酸センサーである請求項1
    記載のバイオセンサー装置。
  6. 【請求項6】前記検出器がアンモニアセンサーである請
    求項1記載のバイオセンサー装置。
  7. 【請求項7】前記検出器がPHセンサーである請求項1記
    載のバイオセンサー装置。
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