JP2742332B2 - 放熱板を用いた冷却方法 - Google Patents
放熱板を用いた冷却方法Info
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Description
うな電気製品、自動車のエンジンやラジエーター、各種
機械製造装置など使用中に熱を発生して高温になる帯域
から、低温の帯域に高い効率で熱を放射しうる、新しい
原理に基づく冷却方法に関するものである。
度を低下させるには、熱伝導性のよい金属板を介して低
温帯域側を大気又は水で冷却する方法、すなわち空冷法
及び水冷法が知られている。
低温帯域側の表面を凹凸状に形成したり、表面に多数の
フィンや放熱補助体を設けて冷却媒体との接触面積を大
きくすること(実開昭62−52770号公報)や、表面に水
膜を形成させその蒸発熱を利用して冷却を促進すること
(特公平6−3335号公報)などが行われている。
り、フィンや放熱補助体を設けるには、特別な加工工程
を必要とする上に、汚れた場合の清掃がしにくく、また
表面の平滑性が要求される部分には利用できないという
欠点があるし、蒸発熱を利用する方法では、金属面に水
膜を形成させるための特別な装置を必要とするので、使
用範囲が制限されるのを免れない。
熱板がもつ欠点を克服し、簡単な構造で、しかも放熱効
率の高い、全く新しい原理に基づく冷却方法を提供する
ことを目的としてなされたものである。
た放熱板を介して高温帯域が冷却する機構を検討した結
果、以下の知見を得た。
により熱が伝達されると、その高温帯域側の表面の熱は
低温帯域側の表面に伝導の形式で移動する。そして、こ
の低温帯域側の表面において冷却流体と接触し、熱は冷
却流体へと伝達される。この冷却流体に接する放熱板の
温度低下は、その放熱板を構成する材料の全熱容積が小
さければ小さいほど速くなる。
の小さい層を設けると、この層においては、放熱体から
伝達される熱と冷却流体に奪われる熱とが平衡状態にあ
るので、対流により除かれる熱に変わりがなければ、放
熱板のみの場合に比べ低温帯域側表面の温度はより低く
なり、高温帯域側表面から放熱板を通して行われる熱の
移動が促進されることになる。
る。
数、α0は低温帯域の流体の熱伝達係数、Trは高温帯域
の流体の温度、T1は放熱板の高温帯域側の表面温度、T2
は放熱板の低温帯域側の表面温度、T0は低温帯域側の流
体の温度、λは放熱板の熱伝導率、Lは放熱板の厚さで
ある。
熱板の高温側表面に流れ、放熱板の内部を伝導により流
れ、放熱板の低温帯域側の表面から低温帯域の流体に流
れる。
などの入射による熱の伝達もあるので、これらの放射熱
の影響についても検討する必要がある。ところで高温帯
域と低温帯域の間に配置された隔壁に放射熱が与えられ
ると、隔壁は放射熱を吸収して全体的に温度が上昇す
る。そして、低温帯域側の表面には絶えず低温の流体が
接触しているため低温が保持されるが、その内部例えば
厚さ方向の中央部付近の温度は高められたままの状態に
なるため、放射熱の吸収が続く限り、温度は次第に増大
し、遂には、高温帯域側の温度と同じかそれよりも高温
に達し、その結果、高温帯域側表面から低温帯域側表面
への熱の流れが妨げられるようになる。そして、この傾
向は放射熱吸収の大きい物体の方が放射熱吸収の小さい
物体よりも著しくなる。
容積の小さい層を設けたとしても、この層の放射熱吸収
が、放熱板単独の場合よりも大きいと全体としての放射
熱吸収が大きくなるので、高温帯域側表面から低温帯域
側表面への熱の流れは、むしろ阻害されることになる。
結果、金属板の一方の表面に、金属板よりも熱容積が小
さく、しかも放射熱吸収も小さい材料から成る薄層を積
層して放熱板とし、それを低温帯域側に面して配置する
ことにより、金属板のみから成る放熱板よりも著しく放
熱効果を向上させうることを見出し、本発明を完成する
に至った。
面に該金属板よりも小さい熱容積及び放射熱吸収をも
つ、熱伝導性材料から成る熱傾斜形成層を積層した放熱
板を、高温帯域と低温帯域との間に金属面を高温帯域側
に向けて配設し、かつ該放熱板の低温帯域側の面に冷却
用流体を接触させながら放熱させることを特徴とする冷
却方法を提供するものである。
によって定義されるパラメータである。
温度を1℃上げるのに必要な熱量(cal/g/℃)、dは密
度すなわち物質の単位体積(cm3)当りの重量(g)、
Vは該物質の全体積(cm3)、Wは該物質の全重量であ
る。上記の比熱Cは、各材料に固有のもので、その数値
は温度により変化するが、本発明においては外気温度で
通常の比熱測定装置を用いて得た測定値を使用する。
線の放射温度とその放射線が所定材料を通過したときに
低下する温度との割合を百分比で表わしたものであっ
て、所定材料の放射線吸収率Xは、次の式に従って求め
ることができる。
熱源からの放射線が所定材料を通過した後の放射温度
(℃)である。
す拡大断面図である。
を示すグラフである。
ラフである。
明する。第1図は本発明の放熱板の構造の1例を示す拡
大断面図であって、金属板1の片面に熱傾斜形成層2が
積層されている。そして、金属板1は温度THの高温帯域
側に、熱傾斜形成層2は温度TLの低温帯域側に配置され
ている。この金属板の材料としては、これまで放熱板の
材料として公知の金属及び合金の中から任意に選ぶこと
ができる。
銅、ニッケル、白金、銀、金、タングステン、亜鉛など
の単体金属やステンレス鋼、黄銅、青銅、クロム・ニッ
ケル合金、アルミニウム・ケイ素合金、アルミニウム・
マンガン合金、ニッケル・銅合金、チタン・鉄合金、チ
タン・アルミニウム合金などの合金を挙げることができ
る。本発明の金属板はこれらの金属や合金を主体とする
ものである限り、その上にさらにめっき、蒸着などによ
り保護膜が設けられたものであってもよいし、酸化処理
などの表面加工が施されたものでもよい。
るが大型ボイラーなどの寸法の大きいものに用いる場合
は、さらに厚くすることもできるし、小型のものの場合
にはさらに薄くすることもできる。
状、筒状、半球状、球状など任意の形状に形成すること
ができるし、また波形表面、凹凸表面、突起状表面など
の表面形状に加工されたものでもよい。
層の材料としては、基板とは異なる種類の金属や合金、
金属酸化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属窒化物な
どの金属化合物、ガラス、各種陶磁器などのセラミック
ス、黒鉛などの無機質材料も用いることができるが、熱
容積や放射熱吸収の調整が簡単で、金属板への積層加工
が容易であるという点でプラスチック類が特に好適であ
る。このようなプラスチックの例としては、高圧法ポリ
エチレン、低圧法ポリエチレン、エチレン‐酢酸ビニル
共重合体、エチレン‐アクリル酸又はアクリル酸エステ
ル共重合体、含金属エチレン‐アクリル酸共重合体、エ
チレン‐プロピレン共重合体、エチレン‐塩化ビニル‐
酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、プロピレン‐塩
化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS
樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、フッ素樹脂、アク
リル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、尿素樹
脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、ケイ素樹脂、
エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらのプラ
スチックには、慣用されている各種添加剤を配合するこ
とができ、これらの添加剤の種類、組み合せ、添加量を
変えることによって、その熱容量や放射熱吸収率を調整
することができる。これらは単独で用いてもよいし、2
種以上混合して用いてもよい。
の積層方法は、これをあらかじめフィルム状又はシート
状に形成して金属板表面に熱融着や接着により貼着する
方法、プラスチックを適当な溶剤に溶かして金属板上に
塗布又は吹き付けて乾燥、固化させる方法など、これま
で金属板上に他の材料を積層するのに慣用されている方
法の中から任意に選ぶことができる。
は10〜500μmの厚さの透明熱傾斜形成層を積層させ
る。
ら低温帯域側表面への熱の流れを妨げないために、熱伝
導性を有していることが必要である。したがって、断熱
効果を有する材料例えば発泡スチレンや発泡ウレタンの
ような材料は好ましくない。
成層の熱容積及び放射熱吸収を、それぞれ該金属板の熱
容積の10%以下及び放射熱吸収の60%以下にすることが
必要である。熱傾斜形成層の熱容積は好ましくは5%以
下、放射熱吸収は好ましくは50%以下にするのがよい。
たが、本発明方法で用いる放熱板においては、この熱傾
斜形成層を複数層にすることもできる。この場合は、金
属板に直接積層されている熱傾斜形成層の熱容積と放射
熱吸収を金属板のそれらより小さいという関係が満たさ
れるとともに、金属板側にある熱傾斜形成層とその反対
側にある熱傾斜形成層との間に、後者の熱容積及び放射
熱吸収が前者のそれらよりも小さいという関係が満たさ
れることが必要である。
に制限はなく、0.01%という小さい割合においても十分
な効果が認められる。また、放射熱吸収については、当
然のことながら小さければ小さいほど熱の流れが円滑に
なるので良い結果が得られる。
帯域の隔壁の全部又は一部を、金属板が内側になるよう
にこの放熱板で形成し、低温帯域側表面に冷却用流体例
えば空気や水を流し、表面の熱を除去しながら放熱させ
る。この場合、放熱を促進させるために、従来採られて
いた手段、表面を凹凸にしたり、あるいはフィンを設け
て冷却用流体との接触面積を大きくする方法や、表面に
送風して熱の除去を促進する方法や表面に水膜を形成さ
せ、その蒸発熱によって冷却を促進する方法なども併用
することもできる。
用ラジエーターの過熱防止、冷蔵庫の効率向上、熱交換
器の熱交換効率の向上、テレビジョンの内部に発生した
熱の放散などに好適に利用することができる。
cal/℃、放射熱吸収率98%)を3枚用意し、それぞれの
横方向に2分した片方の側にポリ塩化ビニルを、厚さを
それぞれ113μm、68μm及び18μmと変えて積層し、
鉄板の熱容積に対し、それぞれ5.0%、3.0%及び0.8%
の熱容積をもつ熱傾斜形成層を設けた。
均一に赤外線ランプを照射して、60℃まで加熱したのち
照射を停止し、それぞれの表面の温度降下の経時的変化
を求めた。その結果を第2図に示す。この図におけるA
は鉄板のみ、Bは厚さ113μm、Cは厚さ68μm及びD
は厚さ18μmのポリ塩化ビニルを積層したものである。
熱が促進されていることが分る。
方体状の箱(50×50×50cm)2個を作成し、一方の箱の
開口部に厚さ1mmの鉄板(熱容積216.4cal/℃、放射熱吸
収率98%)のみから成る放熱板(A)を、他方の箱の開
口部には、その鉄板の外側にメタクリル酸メチル‐アク
リル酸エチル‐スチレン共重合体の厚さ5μmの塗膜
(熱容積0.5cal/℃、放射熱吸収率1.9%)を形成させた
ものから成る放熱板(B)をそれぞれ取り付けた。
度を63℃に上昇させたのち、放熱板の約1.2mの位置にク
ーラーを設置し、16℃の冷却空気を放熱板に送風しなが
ら、冷却を行った。この際の箱内部の温度を経時的に測
定し、その結果を破線(A)と実線(B)のグラフとし
て第3図に示す。
より、冷却が促進されていることが分る。
し、一方の箱の開口部に亜鉛めっきした厚さ1mmの市販
の鉄板(熱容積216.4cal/℃、放射熱吸収率95%)のみ
から成る放熱板を、他方の箱の開口部には、この鉄板の
外側表面に異なった厚さのメタクリル酸メチル‐アクリ
ル酸エチル‐スチレン共重合体の塗膜を設けた放熱板を
それぞれ取り付けた。
ぞれについて黒布で覆った125W-赤外線ランプ1個で内
部を同時に加熱し、内部温度の変化を経時的に測定し、
その結果を第1表に示す。
放熱効果が向上すること及び鉄板に対する熱容積が10%
以下の熱容積をもつ熱傾斜形成層を有するものが特に優
れた放熱効果を示すことが分る。
収率98%)に、メタクリル酸メチル‐アクリル酸エチル
‐スチレン共重合体とシリコーンオイルとの混合物の厚
さ0.5mmの層(熱容積0.5cal/℃、放射熱吸収率1.9%)
を積層した放熱板を作成した。この放熱板を、鉄板が内
側になるようにして発泡スチロール製の箱(50×50×50
cm)の全面開口部に張装し、屋外に配置して太陽光にさ
らし、内部の温度変化を測定した。
同じ箱を並置し、その内部温度の変化を測定した。この
結果を第2表に示す。
と、外部より加熱された場合においても放熱効果が向上
することが分る。
開口部(窓面)が同じ大きさの部屋で、一方の部屋の開
口部に亜鉛めっきした厚さ1mmの市販の鉄板(熱容積21
6.4cal/℃、放射熱吸収率95%)に、アクリル酸エチル
とメタクリル酸メチルとスチレンの共重合体を厚さ5μ
mに塗布した鉄板をこの塗布面を外気側に向けて取り付
けた。もう一方の部屋の開口部には、塗布しない鉄板を
取り付けた。
風暖房機で加温したときの室内の温度の経時変化を示
す。
り、開口部分の面積は1.40m2であった。
%であった。
が大きいことが分る。
る方法であり、単に熱傾斜を形成させるための積層を行
うという非常に簡単な加工により放熱板の効率を向上さ
せることができるので、冷却機、熱交換器などの能力ア
ップや、内部発熱を伴う機器の過熱防止など広い分野に
わたって利用することができる。
Claims (3)
- 【請求項1】金属板を主体とし、その一方の面に該金属
板よりも小さい熱容積及び放射熱吸収をもつ、熱伝導性
材料から成る熱傾斜形成層を積層した放熱板を、高温帯
域と低温帯域との間に金属面を高温帯域側に向けて配設
し、かつ該放熱板の低温帯域側の面に冷却用流体を接触
させながら放熱させることを特徴とする冷却方法。 - 【請求項2】熱傾斜形成層の熱容積及び放射熱吸収がそ
れぞれ金属板の熱容積の10%以下及び放射熱吸収の60%
以下である請求の範囲第1項記載の冷却方法。 - 【請求項3】冷却用流体が冷却空気又は冷却水である請
求の範囲第1項又は第2項記載の冷却方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP50804495A JP2742332B2 (ja) | 1993-09-03 | 1994-09-02 | 放熱板を用いた冷却方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24399893 | 1993-09-03 | ||
JP5-243998 | 1993-09-03 | ||
JP50804495A JP2742332B2 (ja) | 1993-09-03 | 1994-09-02 | 放熱板を用いた冷却方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2742332B2 true JP2742332B2 (ja) | 1998-04-22 |
Family
ID=26536528
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP50804495A Expired - Lifetime JP2742332B2 (ja) | 1993-09-03 | 1994-09-02 | 放熱板を用いた冷却方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2742332B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101217838B1 (ko) * | 2011-04-08 | 2013-01-02 | 주식회사 퓨리존 | 고효율 컨베이어형 살균장치 |
-
1994
- 1994-09-02 JP JP50804495A patent/JP2742332B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101217838B1 (ko) * | 2011-04-08 | 2013-01-02 | 주식회사 퓨리존 | 고효율 컨베이어형 살균장치 |
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