JP2742081B2 - 非線形弾性ブッシュ及びこれを用いた自動車サスペンション - Google Patents

非線形弾性ブッシュ及びこれを用いた自動車サスペンション

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JP2742081B2 JP3172489A JP3172489A JP2742081B2 JP 2742081 B2 JP2742081 B2 JP 2742081B2 JP 3172489 A JP3172489 A JP 3172489A JP 3172489 A JP3172489 A JP 3172489A JP 2742081 B2 JP2742081 B2 JP 2742081B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は自動車のサスペンション・システムに使用さ
れる非線形弾性ブッシュ及びそれを使用した自動車のサ
スペンションに関する。
〈従来の技術〉 近時、自動車のサスペンション・システムにおいて
は、自動車の操縦性、安定性を高めるために、さまざま
な工夫が行なわれ、さまざまな方式のものが開発されて
いる。
それらの方式の多くは、金属製アームの片端、あるい
は両端にゴム製ブッシュを圧入した構成部材を組合わせ
て、ゴム弾性による衝撃吸収性、振動吸収性を利用し、
快適な走行性を達成しようとしている。したがって、ゴ
ムブッシュは従来、望みのバネ特性を発現させるため
に、ゴム硬度にのみ関心が払われていたが、近年特に、
直進安定性、コーナリング性能及び乗り心地等の走行性
能を発現させるために、ブッシュの構造にさまざまな改
良が行なわれ始めた。
必要に応じて、アーム軸線方向における圧縮力、引張
力、ブッシュ内筒軸線方向におけるたわみ力、ブッシュ
内筒揺動あるいは回転方向におけるねじり剛性を望みの
値とするために、当初、アーム両端のブッシュのゴム硬
度を変えたり、ブッシュ内筒周辺のゴム部に切欠溝を設
けたりする方法から始まったブッシュ構造の工夫は次第
に改良され、偏心ブッシュ(例えば、特開昭56−6314
1)、樹脂片の挿入(例えば、特公昭61−18055)、
二重金具挿入ブッシュ(例えば、特開昭58−97508)等
が従来、行なわれてきた。これらの方法はさまざまなサ
スペンション・システムに共通して見られる傾向である
が、要求される目的によって、その方法は異なってい
る。
近時、自動車のサスペンションにおいては、車輪特
に、後輪のトーコントロールを行なって走行状態に応じ
て、車体が好ましい挙動を示すように意図したものがみ
られる。横力に応じて後輪をトーコントロールする方式
においては、横力が大きくなる程、操縦安定性が向上す
る方向、すなわちトーイン方向へトーコントロールする
ものとなっており、それにより、当該後輪のグリップ力
を高め、このグリップ力の高まりにより、車体を曲がり
にくくして、操縦安定性及び直進安定性を共に確保する
という基本思想が根底にある。
以下、この代表的な一例として、車輪特に後輪のツイ
ンリンク、ストラット式サスペンションに内容を限定し
て説明を進めるが、発明の内容は何らそれ自体に限定さ
れないことは明らかである。
このサスペンションにおいては、第7図にも一例を示
したが、車輪(20)の前後に、概略平行して、一対のラ
テラルリンク(21)(22)が配設されており、いずれ
も、車輛外側はブッシュ(23)(24)を介してホイール
サポート部材としてのハブ(25)に、車輛内側は、ブッ
シュ(26)(27)を介して、サブフレーム(28)に、回
転自在にそれぞれ連結されている。これらのラテラルリ
ンクは、後輪(20)に作用する横力方向に対してブッシ
ュ内筒軸線が直角になるように装着されている。
これら前後一対のラテラルリンクについて更に詳細に
第7図で説明する。もし、これらラテラルリンク軸線上
に作用する押し側のバネ剛性が、引張り側のバネ剛性と
同じであるとすれば、ある方向の入力に対しトーインで
あれば、逆の入力に対して必ずトーアウトに変化してし
まう。この操縦性、安定性を更に向上させるには、前ラ
テラルリンク(21)では、軸線方向の車体内側への押し
側剛性は弱く(柔らかく)軸線方向の車体外側への引張
り側剛性は強く(硬く)し、後ラテラルリンク(22)で
は逆に、押し側剛性は強く(硬く)引張り側剛性は弱く
(柔らかく)してトーイン機能をもたせるようにした偶
力Pを発生させることが必要である。
また、横力によるアライメント変化を小さくして、操
縦安定性を高めるために、そのラテラルリンクには車輛
の前後方向すなわちブッシュ軸方向には弱く(柔らか
く)、車輛の左右方向すなわち、リンク軸線方向には強
い(硬い)バネ特性が要求されている。このような要求
に対して、従来は前者の要求に対しては、車輛内側サブ
フレームに取付ける方のブッシュ(26)(27)は、第8
図、第9図に見られるように、前ラテラルリンク(21)
においては、内筒(1)のセンタに対して、外筒(3)
のセンタを車輛の外側にオフセットさせていた。また、
後ラテラルリンク(22)においては、反対に内筒(1)
のセンタに対して、外筒(3)のセンタを車輛の内側に
オフセットさせて、ゴムの厚みを変えて横力に対する非
線形性をそれぞれ逆に与えて対処していた。また、後者
の要求に対しては、従来第8図、第9図に見られるよう
に、内−外筒間に中間筒(2)あるいは半円筒状の金具
を間挿して、接着形成することにより対処していた。
〈発明が解決しようとする課題〉 このようにツインリンク・ストラット式サスペンショ
ンにおいては、前述したように、内−外筒間に中間筒を
介在させて、車体前後方向の操縦性に比べ、車体左右方
向の横剛性を高める一方、何らかの方法で前後ラテラル
リンクにそれぞれ逆方向の非線形性を与える必要があ
り、前述したような従来技術がとられていた。
ところが、近時の更に優れた走行性能への要求から、
後輪に作用する加速、制動、エンジンブレーキ、コーナ
リングの4つの分力のすべての入力に対して、常にトー
イン機能を達成する必要ができた。このためには、第10
図及び第11図で示したように、従来より更に非線形性を
向上させる必要がある。
この問題を解決するためには、更に偏心ブッシュの内
−外筒の中心位置をずらし、偏心度を上げればよいが、
あまり偏心度を上げると、ゴム厚さが薄い部分の成形性
が悪化したり、ブッシュ自体の特性バランスがくずれる
といった問題が生じた。
また、偏心ブッシュの代りに、高剛性を要する側にゴ
ム又はプラスチック性の硬質体を介装させて剛性度を上
げればよいが、内筒−中間筒間あるいは、中間筒−外筒
間の適用箇所に前記硬質体を介装させた場合には、寸法
バラツキから、振動時にガタつきや接触音を生じたり、
挿入具合から特性バラツキや接触不良を生じたりする問
題を生じていた。
〈課題を解決するための手段〉 本発明は上記問題点に鑑みなされたもので、その要旨
とするところは、内筒(1)、中間筒(2)、外筒
(3)間にゴムを介装接着形成し、かつ予圧縮されたゴ
ムブッシュにおいて、前記内筒(1)外周面、中間筒
(2)内外周面、外筒(3)内周面のいずれかに接する
ゴムスリーブの円周方向の一部にゴム薄肉部(9)を残
した少なくとも一つの凹部(8)を設け、該凹部(8)
と相対する内筒(1)、中間筒(2)、外筒(3)のい
ずれかの筒によって形成される空間を外部と一体に連通
する連通注入口(7)を前記筒に設け、該連通注入口
(7)外部より前記凹部(8)と相対する前記筒によっ
て形成される空間内にゴムより硬質の充填体層(6)を
形成したことにある。
ここで、上記剛性部材円筒には金属製又は樹脂製のも
のを必要に応じて使用できる。樹脂製のものは、その接
着する表面を塩素化処理あるいは塩素化処理することに
より、円筒樹脂とゴムスリーブあるいは、円筒樹脂と硬
質充填体層(6)とを接着状態とすることができる。ま
た、金属製のものは、円筒金具とゴムスリーブとは加硫
接着が圧入接着により、円筒金具と硬質充填体層とは接
着剤使用により接着状態とすることができる。
また、上記ゴムスリーブの凹部(8)には、その内部
表面を塩素化処理あるいは塩化処理することにより、ゴ
ムスリーブと硬質充填体層(6)とを接着状態とするこ
とができる。
こうして、自動車のサスペンション・システムにおい
て前記非線形弾性ブッシュを用い、硬質充填体層(6)
が高剛性側に配設してトーコントロールを行なうことと
したのである。
〈作用〉 このような構造としたことにより、本発明の弾性ブッ
シュは荷重方向によって剛性を変化させることができ
る。すなわち、良好な非線形性を付与でき、かつその硬
質充填体層(6)を高剛性側に配設することにより好適
な特性バランスを付与し、前ラテラルリンクでは、軸線
方向の車体内側への押し側剛性は弱く(柔らかく)軸線
方向の車体外側への引張り側剛性は強く(硬く)し、後
ラテラルリンクでは逆に、押し側剛性は強く(硬く)引
張り側剛性は弱く(柔らかく)することができるといっ
た、トーコントロール等に適宜使用できるのである。
以下本発明の一実施例を、図面により詳細に説明す
る。
〈実施例1〉 第1図(a)〜第1図(c)は本発明第1実施例の非
線形弾性ブッシュを示しており、中間筒(2)の内、外
周面にそれぞれ内層ゴムスリーブ(4)、外層ゴムスリ
ーブ(5)を加硫接着形成したものを、内筒(1)と外
筒(3)の間に圧入接着したものである。本実施例で
は、外筒(3)の内周面に接する外層ゴムスリーブ
(5)の半径方向位置に、円周方向に断面略D字扇形状
に区切られ、かつゴム薄肉部(9)を残した凹部(8)
を設け、その凹部(8)と外筒(3)とによって形成さ
れる空間に、この空間に連通するために外筒(3)に穿
孔された注入口(7)を通して液体状樹脂又は流動状硬
質エラストマーが注入されて硬質充填体層(6)が形成
されている。ここで、中間筒、外筒剛性部材端面両側に
は、それぞれ位置決め刻印(11)(12)が付されてい
る。
ここで、前記内筒(1)、中間筒(2)、外筒(3)
の剛性部材には金属製あるいは樹脂製のものが適宜用い
られる。
〈実施例2〉 第2図(a)〜(c)は、前記実施例1より、硬質充
填体層(6)の配置部位が異なる例である。本実施例で
は、内筒(1)の外周面に接する内層ゴムスリーブ
(4)の半径方向位置にゴム薄肉部(9)を残した凹部
(8)を設け、その凹部(8)と内筒(1)によって形
成される空間に、硬質充填体層(6)が形成されてい
る。ここで、前記実施例同様に内筒(1)、中間筒
(2)、剛性部材端面両側にはそれぞれ位置決め刻印
(10)(11)が付けられている。
ここでも、円筒状剛性部材としては金属製あるいは樹
脂製のものが適宜用いられる。
〈実施例3〉 第3図(a)〜(c)に示した例は、内筒(1)の外
周面に内層ゴムスリーブ(4)を加硫接着形成し、ま
た、外筒(3)の内周面に外層ゴムスリーブ(5)を加
硫接着形成したものを、それぞれ、中間筒(2)を介装
して圧入接着したものである。本実施例では、中間筒
(2)の内周面に接する内層ゴムスリーブ(4)と、中
間筒(2)の外周面に接する外層ゴムスリーブ(5)の
半径方向位置に、円周方向に各々断面略D字扇形状に区
切られ、ゴム薄肉部(9A)(9B)を残した凹部(8A)
(8B)を設け、これら凹部と中間筒(2)によって形成
される空間へ連通するために、中間筒の端面から軸平行
に中央部に向かう穿孔(7A)と軸方向中央部で半径方向
に貫通する穿孔(7B)がそれぞれ設けられ、これによっ
て形成される注入口を通して液体状樹脂又は流動状硬質
エラストマーが注入されて、硬質充填体層(6A)(6B)
が一体に形成されている。この例でも、内筒(1)、外
筒(3)剛性部材端面には、それぞれ注入口(7)側に
位置決め刻印(10)(12)が付けられている。本例で
は、樹脂又は硬質エラストマーが注入される空間が中間
筒内外方にH型に跨がるので、空気抜きのための逃げ孔
あるいは逃げ溝を、ゴム部あるいは剛性部材部に適宜設
けてもよい。
ここでは、円筒状剛性部材としては金属製あるいは樹
脂製のものが適宜用いられる。
〈実施例4〉 第4図(a)〜(c)は、実施例3の第3図と同様な
硬質充填体層(6)は直径方向反対側に、更にもう一
つ、点対称に形成したものである。本実施例では、直径
方向反対側に実施例3と同様な構成の凹部(8′A)
(8′B)を設け、これら凹部と中間筒によって形成さ
れる空間に、一体に連通する注入口(7′)(7′A)
(7′B)から液体状樹脂又は流動状硬質エラストマー
が注入されて、硬質充填体層(6′A)(6′B)が一
体にもう一つ形成される。ここで、内筒(1)、外筒
(3)剛性部材端面には、それぞれ注入口(7)、
(7′)と直径方向一例に並ぶ位置決め刻印(10)、
(12)(10′)(12′)が付けられている。逃げ孔ある
いは逃げ溝は、実施例3と同様に適宜設けてもよい。
ここでは、円筒状剛性部材としては金属製あるいは樹
脂製のものが適宜用いられる。
〈実施例5〉 第5図は、凹初(8)の別の実施例であり、ゴムスリ
ーブの凹部の底部に、円周方向に並び軸線方向に平行に
延在する複数のリブ(13)を設けたものである。硬質充
填体層(6)とゴムスリーブ(5)との非接着時に、す
べり止めが必要な場合や、接着時の接着部の強化に特に
本形状が使用される。
〈実施例6〉 第6図は、凹部(8)の別の実施例であり、空間の筒
金具に対応するゴムスリーブの凹部(8)の表面を隔壁
体(14)で被ったものである。液体状樹脂又は流動状硬
質エラストマーが300℃以上でゴム表面劣化を及ぼす危
険がある場合や、ゴム部の樹脂又は流動状硬質エラスト
マーによる圧縮をきらう場合には、本例が適用される。
隔壁体(14)には、金属又は低伝熱性樹脂が使用され
る。
なお、実施例において用いられる位置決め用の刻印
は、型成形で位置決めし易いようにV字型、U字型、コ
の字型の凹状溝に、必要に応じ変更することができる。
本発明においては、円筒樹脂は、予め成形したものを
使用するが、硬質充填体層(6)は、前述した通り、一
体に連通する注入口より、樹脂又は硬質エラストマーを
融点あるいは軟化点以上に高めて、液体状あるいは流動
状にしたものを注入して形成される。
本発明で円筒樹脂及び硬質充填体層(6)として使用
される樹脂には、熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレ
ン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリウ
レタン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ポリメチルペンテン樹
脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボ
ネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリブ
チレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンテレ
フタレータ樹脂(PET)、ポリアリレート樹脂、ポリサ
ルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂が適用さ
れる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹
脂、ビニールエステル樹脂等が適用される。これらはそ
のまま、あるいはブレンドされたり、各種短繊維と複合
された繊維強化樹脂(FRP又はFRTP)として、適宜使用
される。
また、本発明で硬質充填体層(6)として使用される
硬質エラストマーには熱可塑性エラストマー及び熱硬化
性エラストマーがいずれも使用できる。
熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱
可塑エラストマー(例えばミラストマー、三井石油化学
工業)、スチレン系熱可塑性エラストマー(例えばエラ
ストマーAR、アロン化成社製)、シンジオタクチック
1、2−ポリブタジエン(JSR−RB、日本合成ゴム社
製)等が適用される。
熱硬化性エラストマーとしては、高硬度のゴムをはじ
めとする、架橋性ミラブルウレタンエラストマー(例え
ばミラセン−HT、TSEインダストリー社)や、シンジオ
タクチック1、2−ポリブタジエン(同上)あるいは、
UBE−FRP(NR、EPDM、宇部興産)等に硬化剤や架橋剤を
混合して適用できる。これらはそのまま、あるいはブレ
ンドされたり、各種短繊維と複合された繊維強化ゴム
(FRR)として、適宜使用できる。
これら硬質エラストマーは、本発明のゴムスリーブ層
に使用されるゴムよりも、少なくともゴム硬度が10゜以
上高く、特に、JIS硬度HS70゜〜98゜のものが好適に使
用される。
ここにおいて、熱硬化性樹脂あるいは熱硬化エラスト
マーでは、硬化寸前の高温物を注入して、そのまま温度
維持により、硬化物を得るのが望ましいし、熱可塑性樹
脂あるいは熱可塑エラストマーでは、高温液体化あるい
は流動化した高温物を速やかに融点(軟化点)以下に冷
却するのが望ましい。
本発明では、ゴムスリーブと円筒状剛性部材とは接着
されるが、剛性部材が樹脂製の場合には、接着に先立
ち、円筒樹脂の接着表面は塩素化処理あるいは塩化処理
して用いられる。このゴムスリーブと、円筒状剛性部材
との接着は、公知の加硫接着あるいは圧入接着で行なわ
れる。
本発明では、ゴムスリーブと、このゴムスリーブの凹
部に形成される硬質充填体層(6)とは、接着される場
合も、また、接着されない場合もあり、これらは必要に
応じて実施される。接着される場合には、たわみ量に見
合った、急速な剛性の立ち上りがみられ、接着されない
場合には、ゴム表面と、硬質充填体層(6)表面間の滑
り効果により応力が拡散できるので、それぞれ要求特性
に合わせて、接着、非接着が決定される。
接着される場合には、樹脂が注入される前に、そのゴ
ムスリーブ凹部内部表面は、同じく、塩素化処理あるい
は塩化処理される。これら塩素化処理あるいは塩化処理
は、前もって脱脂処理された後、塩素酸で行なわれる
が、この塩素酸としては、トリクロロイソシアヌル酸、
ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、次亜ハロゲン酸ア
ルキル、次亜ハロゲン酸塩、亜塩素酸ナトリウム等が使
用される。この塩化処理をすることによりゴムと樹脂と
の優れた接着を得ることができる。
なお、本発明においては、ブッシュの大きさ、形状、
硬質充填体層(6)の円周方向における角度、軸線方向
に渡る長さ、半径方向における厚さ等、諸々の数値は、
ゴムの硬さと共にシステム内で、ブッシュに要求される
特性に応じて決定される。また、本発明の実施例におい
ては、硬質充填体層(6)を半径方向に1箇所設けた
り、直径方向反対位置に2箇所設けた例を使用したが、
実際には、90゜あるいは120゜に交わる方向に多数設け
て使用される場合もある。
〈実施例7〉 実施例3で形成された非線形弾性ブッシュをツインリ
ンクストラット式サスペンションの前後ラテラルリンク
のそれぞれ車体内側ブッシュに用い、前ラテラルリンク
では、硬質充填体層(6)を高剛性側であるラテラルリ
ンク軸線方向外方に配設し、また、後ラテラルリンクで
は、硬質充填体層(6)を高剛性側であるラテラルリン
ク軸線方向内方に配設してそれぞれ圧入し、ラテラルリ
ンクとした。
〈発明の効果〉 本発明によれば、ゴムスリーブ中に予め凹部(8)を
形成して、内筒(1)、中間筒(2)、外筒(3)間に
接着形成し、かつ予圧縮したゴムブッシュの凹部(8)
と筒金具によって形成される空間に、一体に連通する注
入口から液体状樹脂を注入するようにしたので、予圧縮
して変形したゴムの凹部(8)空間に、その空間形状そ
のままに適合した硬質充填体層(6)を得ることがで
き、応力歪みからくるゴムの応力集中疲労や、形状不適
合からくる異音を防ぐことができる。
また、要求されるブッシュ強度の許す範囲内で円筒樹
脂を用いることにより、軽量化も達成することができ
る。
また、さまざまな形状や位置に、硬質充填体層(6)
を形成できるので、さまざまな要求特性を得ることがで
きる。また、実施例7のツインリンク、ストラット式サ
スペンションのラテラルリンクで使用して、従来の偏心
ブッシュでは見られない優れた特性を得ることができ
る。更に、上記ツインリンク、ストラック式サスペンシ
ョンに限ることなく、高剛性部を配設して非線形を得る
ような自動車用サスペンション・システム、あるいはそ
の他の用途に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
第1図(a)は本発明第1実施例の非線形弾性ブッシュ
の正面図、第1図(b)、同(c)は同ブッシュの断面
図であって、第1図(b)は(c)図中B−B部断面
図、第1図(c)は(a)図中A−A部断面図である。 第2図(a)は、本発明第2実施例の非線形弾性ブッシ
ュの正面図、第2図(b)、同(c)は同ブッシュの断
面図であって、第2図(b)は(c)図中D−D部断面
図、第2図(c)は(a)図中C−C部断面図である。 第3図(a)は本発明第3実施例の非線形弾性ブッシュ
の正面図、第3図(b)、同(c)は同ブッシュの断面
図であって、第3図(b)は(c)図中F−F部断面
図、第3図(c)は(a)図中E−E部断面図である。 第4図(a)は本発明第4実施例の非線形弾性ブッシュ
の正面図、第4図(b)、同(c)は同ブッシュの断面
図であって、第4図(b)は(c)図中H−H部断面
図、第4図(c)は(a)図中G−G部断面図である。 第5図、及び第6図は本発明第5、第6実施例の非線形
弾性ブッシュの要部破断正面図である。 第7図はツインリンク・ストラット式サスペンションの
平面図である。第8図(a)は前ラテラルリンクの平面
図、第8図(b)は第8図(a)中I−I部断面図、第
9図(a)は前ラテラルリンクの平面図、第9図(b)
は第9図(a)中J−J部断面図である。第10図及び第
11図は荷重−たわみ線図である。 (1)内筒、(2)中間筒 (3)外筒、(4)内層ゴムスリーブ (5)外層ゴムスリーブ、(6)硬質充填体層 (7)連通注入口、(8)凹部 (9)ゴム薄肉部、(10)(11)(12)刻印 (13)リブ、(14)隔壁体

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】内筒(1)、中間筒(2)、外筒(3)間
    にゴムを介装接着形成し、かつ予圧縮されたゴムブッシ
    ュにおいて、前記内筒(1)外周面、中間筒(2)内外
    周面、外筒(3)内周面のいずれかに接するゴムスリー
    ブの円周方向の一部にゴム薄肉部(9)を残した少なく
    とも一つの凹部(8)を設け、該凹部(8)と相対する
    内筒(1)、中間筒(2)、外筒(3)のいずれかの筒
    によって形成される空間を外部と一体に連通する連通注
    入口(7)を前記筒に設け、該連通注入口(7)外部よ
    り前記凹部(8)と相対する前記筒によって形成される
    空間内にゴムより硬質の充填体層(6)を形成してなる
    ことを特徴とする非線形弾性ブッシュ。
  2. 【請求項2】前記ゴムスリーブ層凹部(8)と相対する
    筒が樹脂で形成され、該凹部(8)と相対する筒樹脂に
    よって形成される空間内に、外部と一体に連通する連通
    注入口(7)より硬質充填体層(6)を形成してなるこ
    とを特徴とする請求項1記載の非線形弾性ブッシュ。
  3. 【請求項3】前記ゴムスリーブ層凹部(8)の底部に円
    周方向に並び、軸線方向に平行に延在する複数のリブ
    (13)を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載の
    非線形弾性ブッシュ。
  4. 【請求項4】前記ゴムスリープ層凹部(8)の表面を隔
    壁体(14)で被覆したことを特徴とする請求項1又は2
    記載の非線形弾性ブッシュ。
  5. 【請求項5】前記ゴムスリーブ層凹部(8)内部表面を
    塩素化処理あるいは塩化処理してなることを特徴とする
    請求項1,2又は3記載の非線形弾性ブッシュ。
  6. 【請求項6】自動車のサスペンション・システムにおい
    て、前記請求項1記載の非線形弾性ブッシュの硬質充填
    体層(6)を高剛性側に配設してなることを特徴とする
    自動車サスペンション。
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