JP2739998B2 - 防食植生シート - Google Patents

防食植生シート

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JP2739998B2
JP2739998B2 JP8038089A JP8038089A JP2739998B2 JP 2739998 B2 JP2739998 B2 JP 2739998B2 JP 8038089 A JP8038089 A JP 8038089A JP 8038089 A JP8038089 A JP 8038089A JP 2739998 B2 JP2739998 B2 JP 2739998B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、道路、宅地、ゴルフ場等の開発に伴なう土
壌侵食防止を目的として緑化を行なうために使用される
防食植生シートに関する。
(従来の技術とその解決しようとする課題) 近年、道路や宅地、ゴルフ場その他の土地の開発に伴
ない、大小様々な土壌侵食が問題となっている。
このことから、土壌侵食防止を目的として永年緑化を
確保するための種々の対応製品が作り出されており、そ
れらの一種に、土壌侵食個所に対して種子等を含むシー
トを設置し、雨滴や流水による侵食を防ぐと同時に、最
終的にはそれらの土地を永年緑化することで土地の荒廃
を防止しようとする製品が植生シート等として提供され
ている。
例えばこのような植生シートとして従来使われている
製品として、ネットや紙、不織布またはワラなどの素材
を単独か何種類かの組合せで加工されたものが知られて
いる。
しかし従来提案されているこの種の植生シートは、永
年緑化のためには効果が十分でなかったり、特に傾斜地
(法面)に適用された場合の土壌侵食については配慮さ
れておらず実質的に効果のないものが殆どであった。
例えば従来の製品のうちの紙製のものや市販されてい
る普通の薄い不織布では、地面に対して密着性はよいも
のの、雨滴の打撃エネルギーの緩和や、保温には効果が
薄く、このために法面の土壌自体の侵食がおこりやす
く、また種子が発芽した後も地面に根を張りにくく枯れ
てしまう等の不都合が起きやすい。
また厚手の不織布ワラマット、ヤシマットの場合は、
打撃エネルギーには有効でもフィットネスに欠け流下水
による侵食が進行する。
また折角両者を組み合わせた場合でも、降雨時に上下
が分解してしまうと強度が低下するし、分断しない程強
くむすびつけるとフィットネスがはたせないことにな
る。
次ぎに永年緑化のための土壌について検討すると、通
常の開発行為で発生する盛土切土面の土質は、植物の育
つ土壌とは全くかけ離れたものが多い。このために例え
ば特開昭56−58408号、特開昭57−118708号、特開昭56
−158005号等に見られるように、化学肥料や、高度なも
のとしては肥効が長く持続する緩効性の肥料や無機質の
土壌改良剤を介在させる植生帯に関する提案がされてい
る。
しかしながら、侵食を防止し、永年緑化の目的を達成
するためには、さらに緑化植物の生育基盤となる土壌の
物理的・化学的ならびに生物的改良が必要となる。
特に通水・通気・保水性の改良、保肥力の付与、土壌
緩衝能の改善に加え、根圏の生物的改良が重要である
が、このような目的の実現には良質有機質腐植物質の関
与が最も有効である。
ところで、これら有機質土壌改良剤はその殆どが含水
率40〜80%であり、これを一旦乾燥させると無機化過程
の前駆組織や繊維質が萎縮変質して、再び潅水しても表
面の疎水化等により、もはや本来の機能を発揮できない
難点があった。、また含水率の高いままで種子を装着し
た植生シートを製品化することは、目的達成前に種子の
発芽を生起するために実用化出来ないのが実態であっ
た。
(課題を解決するための手段) 本発明者らはこのような現状に鑑み、上記問題を解決
するために鋭意検討を行なった結果、上層に、雨滴の打
撃エネルギーを緩和しかつ保温性,保水性を有すると同
時に、植物育成時には暫時分解して植物の育成を阻害し
ないように空間を増大することができるように工夫され
た混綿繊維を用い、下層には、地面との密着性に優れ、
土砂等の流出を防ぐように工夫された天然繊維またはセ
ルロース系再生繊維からなる布帛を用い、これらの上
層,下層の間に、種子を含む植物育成用の造粒物を挟持
させることで、上述した種々の問題を解消した優れた防
食植生シートを構成できることを見出し、本発明に到達
したものである。
すなわち本発明の防食植生シートの特徴は、上層の不
織布、その下面に一体化された下層の布帛、及びこれら
の層間に挟持された種子を含む植物育成用の造粒物から
なるシートであって、上記上層の不織布は、合成繊維及
び金属繊維の少なくとも一方と、天然繊維及びセルロー
ス系再生繊維の少なくとも一方と、バインダー繊維とを
混綿した厚み5〜15mm,目付け量50〜150g/m2の繊維から
なり、上記下層の布帛は,天然繊維またはセルロース系
再生繊維からなるところにあり、かかる防食植生シート
を適宜の緑化対象地面に設置することで、土壌侵食が抑
制され、植物の育成が好適に実現できるものとなった。
本発明における上層の不織布の主要な働きは、雨滴に
よる打撃破壊を防止する作用と、土壌面のフィットする
下層の作用と相まち層中に流下水の通水路を提供するこ
とで土面に対する掃流力を分散緩和する作用と、貯水能
などの水管理機能及び通気・通水・保温等に代表される
環境改善の作用三点であり、上層はこれらの作用を満足
するに十分な繊維空間を提供できるものであることが必
要である。
このような上層の作用を確保するためには、雨滴によ
る打撃緩和のために上層を厚くすることで反対に柔軟性
(フィットネス性)を失うものであってはならず、ま
た、漏れてもいわゆる「へたり」を起こすことなく乾湿
のいずれに対しても繊維による上層の構造変化を実質的
に起こさず、更に植物の発芽・生育において椎苗の貫通
阻害を起こすものであってはならない。換言すれば、本
発明の防食植生シートにおける上層は、乾湿変化による
「へたり」が生じない程度の繊維層の腰の強さと土面の
侵食防止に有効な弾性を備えつつ、植物の生育には層を
構成する繊維が阻害影響を与えないように工夫された構
造を有することが必要となるのである。
以上のような種々の条件を満足させるために、上層の
不織布を構成する繊維には、金属繊維及び/又は合成繊
維と、天然繊維及び/又はセルロース系再生繊維と、バ
インダー剤としての機能を有するバインダー繊維を混綿
したものを使用することが本発明の防食植生シートにお
いて必須とされる。
上層のうちの合成繊維,金属繊維は、この層が吸水し
た場合にいわゆる「へたり」現象が起きて層空間が縮ま
ないように層空間維持の役目を果たす。一方天然繊維,
セルロース系再生繊維は吸水性,柔軟性をこの上層に付
与する役目を果たすためのものである。
上記の天然繊維,セルロース系再生繊維や金属繊維
は、シートが野外にさられた場合に次第に分解,崩壊さ
れるが、これらはその分解速度が異なるので、これを適
宜に選択することで、植物の生育状態に対応して求めら
れる繊維空間の増大程度を随意に設定出来るという極め
て優れた機能を担うことができる。
バインダー繊維は混綿された後、熱をかけることで溶
融し、層内の混綿された上記各繊維に融着することで各
繊維のからまり合いを強化して、繊維層が一体化として
必要な強度と大きな繊維空間を長期に亙り維持するため
に重要な役割を果たすものである。
上記理由により上層不織布の厚さとしては5〜15mm程
度、特に8〜12mm程度が好ましく、不織布の厚みが5mm
以下より薄い場合には雨滴の打撃エネルギーの緩和や保
温効果が十分でなく、他方15mmより厚い場合には経済的
でないばかりでなく、シートとして用いた際に土面との
密着性が十分得られなくなって適当でない。
目付け量としては50〜150g/m2、より好ましくは55〜1
00g/m2であり、目付け量が50g/m2より小さい場合には雨
滴の打撃エネルギーの緩和や、保温,保水効果が十分で
なく、150g/m2より大きい場合には植物の育成成長に対
し、十分な空隙を確保することができない。
上記目的で使用される上層の不織布を構成する各繊維
において、まず合成繊維としては、ポリエステル系,ポ
リウレタン系,ポリアミド系,ポリ尿素系,ポリスチレ
ン系等の剛性の強い合成繊維が好ましい。
金属繊維はスチールウール,ステンレススチールウー
ル等が好ましい。
これらの合成繊維,金属繊維は単独でもまた併用して
用いることもでき、その含有量は不織布の腰を強くして
所謂「へたり」現象が生じないように60〜90%程度、好
ましくは70〜90wt%とされることが良い。なお金属繊維
の早期の分解性と合成繊維の長期に亙る剛性を併せ利用
する場合には、これらを適当な範囲で併用することがで
き、上層中の分解性を有する繊維と非分解性の繊維を4:
6〜6:4程度の割合で混綿する場合を特に好ましい例とし
て例示することができる。
天然繊維としては木綿,亜麻等の植物繊維、羊毛,カ
シミヤ等の動物繊維であり、更にセルロース系再生繊維
としてはビスコースレーヨン,ニトロセルロース,羊毛
脱脂繊維等であり、いずれも保水性に優れた繊維が好ま
しく、このことからその含有量は10〜20wt%が好ましい
ものである。
バインダー繊維としては、例えば融点の異なるポリマ
ー繊維を繊維長さ方向に並行して複数接着せしめたもの
であってお互いを単に接着したもの、あるいは高融点ポ
リマーを芯に低融点ポリマーを鞘にしたもの等の何れで
あってもよく、この場合の高融点ポリマー繊維の融点は
250〜300℃程度、低融点ポリマー繊維の融点は70〜150
℃程度である。なお例えば高融点ポリマー繊維としてポ
リエステルを使用する場合には低融点ポリマーとしてポ
リエステル、高融点ポリマーとしてポリプロピレンを使
用する場合にはポリプロピレンを低融点ポリマーとして
使用することが好ましい。バインダー繊維の含有量は、
上層不織布の繊維空間を維持するために、上層全体の10
〜20wt%にすることが好ましいものである。
以上の上層を構成する各繊維は、市販のものを使用す
ることができ、繊維径について特に限定されるものでは
ないが、各繊維の物性等から考えればいずれも15〜50μ
m程度のものが好ましい。
上層不織布の製造方法としては、繊維を所定の割合で
混綿した後、通常行なわれている乾式不織布の製造方法
を応用して製造すればよい。すなわち例えば原料繊維を
開綿機にかけてほぐし、これを薄いシート(ウエブ)に
した後適当に積重ね、配列して所定の幅のシートを得る
方法であり、本発明のウエブの接合は前述したようにバ
インダー繊維を接合剤として用いるので、不織布を得た
後加熱処理を行なえば良いものである。加熱処理は、不
織布の全面に渡って行なってもよいし、必要な構造強度
が確保される範囲で線状,点状に部分的に行なってもよ
い。
次に、本発明の防食植生シートの下層を形成する布帛
は、土面の土壌粒子との密着性、親和性及び保水性が必
要であるが、特に土面との密着性が重要である。その理
由は下層の布帛が植物育成用の造粒物とシートの接地面
の橋渡し的機能を有するものであるからである。このた
め不織布あるいは織布でもよいが、その材質が重要とな
り、上記機能を満足するために、天然物を原料とする天
然繊維またはセルロース系再生繊維を用いることができ
る。
このように接地面と密着して一体性をもたせるように
するためには厚みも薄く、目付け量も少ない方がより
が、極端に薄い場合は製造上厚みむら等が発生して好ま
しくないため、目付け量としては不織布の場合は20〜40
g/m2、織り布の場合は40〜100g/m2が適当であり、厚み
としては不織布の場合1.5〜3.5mm程度、好ましくは2〜
3mm程度、織布の場合は0.5〜2mm程度、好ましくは1〜2
mm程度である。
天然繊維としては上層の不織布に使用されるものと同
様のものが好ましい。セルロース系再生繊維としては、
セルロース系人造絹糸、銅アンモニウムレーヨン等が好
ましい。これらの繊維の繊維径は15〜30μm程度の範囲
のものであるが、設置後、種子がある程度成長するまで
の期間破壊しない程度の強度を有すればよい。
上記不織布の製造法は上層の不織布と同じ製造法が用
いられ、織布は一般に製造されたものをそのまま用いる
ことができる。
次に、本発明において防食植生シート中に装着されて
使用される植物育成造粒物について述べる。この造粒物
は、以下述べる構成を有するものであればその製造方
法,形状等に限定されるものではなく、ペレット,ブリ
ケット,タブレット等の何れの形式のものであってもよ
い(以下説明の便宜上、上記造粒物をペレットとして代
表的に説明する)。
本発明で使用される種子としては普通の畑地等と異な
り余り肥沃でない土地や傾斜地においても種子が良好に
育成・成長することが必要であり、そのためには牧草、
芝生、潅木等の種子が好ましい。
さらに植物育成ペレット中に含まれる他の材料につい
てはこれらの種子を長期に渡って良好に育成・成長させ
るために必要となる資材であって、例えば繊維質有機資
材,無機質資材,肥料等である。前記繊維質有機資材と
しては、そのもの自身が良質な肥料となるとともに、長
期にわたって種子が生育・成長するのに良好な環境を保
つために必要な微生物を供給すると同時に、その良好な
存在環境を提供するものであり、例えば汚炭を中和処理
したフミン酸含有腐食土、バーク堆肥、ピートモス等を
単独または数種類一緒に用いることができる。これらは
保水.pH調整等としての役目も果たすものである。無機
質資材としては、保肥力を上げるべく、透水性,保水性
を保つために必要な材料であって、例えばゼオライト,
ベントナイト,パーライト等の陽イオン交換能のあるも
のが好ましい。さらに肥料としては、上記種子を育成さ
せるために必要な肥料であればどのようなものでもよ
く、通常畑地等の肥料として使用されている窒素,燐
酸,カリ等の緩効性のものを用いることができる。なお
これらの種子含有のペレット中には、上記の材料の他、
必要に応じて、材料をペレットの形に保つ上で必要とな
るバインダーとしてデンプン,アルギン酸,ポリビニル
アルコール等が添加でき、また初期活着のための植物ホ
ルモン剤,根粒菌,有機資材の強制的分解のための分解
菌の添加、さらには初期育成保護のための殺虫剤、殺菌
剤等を添加して、様々な育成環境を選択的に付与するこ
とができるものである。
さらに前記種子を含むペレットの製造としては、上記
各材料が細かく粉砕され万能混合機等の混合装置でよく
混合された後、造粒することで製造することができる。
この際、繊維質有機資材等が粉砕の段階で微粉化されて
表面積の増加とともに、親水性が付与され、上記機能を
発揮することができる。さらにまた上記造粒方法として
は、前述の混合体を含水率10%以下になるように乾燥し
た後、打錠成型法等により圧縮成型するか、40〜50wt%
程度になるように水分を加えた後,通常の方法である一
定の形になるように押出し造粒するか、プリケットマシ
ーンにより圧縮成型する方法で行なう。なお後者の場合
にはかなりの水分をペレット中に含むことから、製造さ
れたペレットを温度40℃、通風速度0.5m/sec程度の静置
式乾燥棚で含水率10%程度以下まで乾燥させることがよ
い。
このようにして製造された植物育成ペレットは、普通
の保管状態では発芽せず、十分に給水した後発芽するた
め、長期の保管を行なうことが可能となる。さらにまた
植物育成ペレットの形状は特に限定されるものではない
が、通常円筒状の形が最も製造しやく、8〜20mmφで長
さが10〜20mm程度が適当である。
以上述べた各材料を組合せて本発明の防食植生シート
が構成されるが、上層の不織布と下層の布帛の結合、及
びこれらの層間に介挿挟持される種子含有のペレットの
固定は、上層の不織布に含有される合成繊維、バインダ
ー繊維を利用してヒートシーラ等により点または線の形
で熱融着するか、または同様の形で接着剤により結合さ
せることができる。この場合、種子含有の植物育成ペレ
ットは、シート下層の布帛に接着剤で固定してもしなく
ともよい。個々の植物育成ペレットは、防食植生シート
中にその幅方向、長さ方向に適宜の等間隔等で配置さ
れ、その間隔は一般的には多数の前記ペレットを好まし
くは30〜50mm程度で等間隔に配置する他、種子の種類、
シートを施行適用する場所等の要求に応じて適宜選択で
きる。
また本発明の防食植生シートには、例えば上層と下層
の間に、補強のために縦、及び/又は横或は網目状に糸
を適宜の間隔で介挿させることも好ましい。これは本発
明のシートは引張強度には乏しいため、これを上記糸の
介挿により補強することができるからである。この糸を
シート中に挟持させる上記ペレットと接着させるように
することも好ましい状態である。またさらに、シートの
端部に厚紙,段ボール紙やプラスチックシート,板等を
組みつけることも好ましい。このようにすることでこの
厚紙,段ボール紙等をもってシートを巻き出したり、所
定の地面に設置する作業が容易となり、シートの破れ防
止を図ることができるからである。
本発明の防食植生シートは、例えば幅95〜105cm、長
さ10m程度とし、巻取った形で保管,運搬し、現地にお
いてはこれを巻出して適宜寸法に裁断して、メグシ,ア
ンカーピン等を用いて地面に固定し、落着かせるために
施行後、潅水(例えば約6l/m2)する形式で使用され
る。
(発明の効果) このようにして所定の地面に設置された防食植生シー
トは、上層の不織布が雨滴の打撃エネルギーを緩和し、
掃流力を分散緩和すると同時に保水,保温の役目も果た
し、その下側に存在するペレットの保護及び種子の発芽
に対して良好な環境を提供する。一方下層の布は地面と
密着して流下水による土地の侵食を防ぐと同時に、上層
と同様の保水,保温効果も発揮することができる。
設置されたシート中に内装されている種子含有のペレ
ットは、降雨等により潅水されると吸水を始めやがて膨
潤して崩壊する。しかしこの崩壊物は粘結性を有するた
め下層の布上に留まり、種子の発芽、育成に対して栄養
の補給、その他の好適な環境を提供し続ける。このよう
な環境下で種子の発芽、成長が行なわれる。
上記のような種子の発芽、生育の過程において、シー
ト上層の不織布の目付け量が多すぎる場合には、その密
に存在する繊維が植物の成長を阻害する結果となる虞れ
があるが、本発明のシートは種々の繊維を上記範囲に設
定して混綿しているので、植物の生育に問題を招くこと
がなく、生育・成長に優れた効果を生み出す。
特に分解性のある数種類の繊維を混綿している場合に
は、各繊維の分解速度が異なり、これが極めてうまく植
物の育成に対応することで上述した優れた効果をもたら
す。すなわち、金属繊維は約3〜5週間で分解して崩壊
し、天然繊維は約2〜3カ月で分解して崩壊するが、合
成繊維は長期間分解しない。従ってこれらにより植物の
生育状態に伴なった繊維密度の減少、空隙の増大、シー
トとしての強度保持がバランスよく発揮されることにな
る。
以上により、シート中の植物が良好に生育し、地面に
しっかり根をはることにより、シートの施行された土地
の永年緑化が実現でき、土地の荒廃を確実に防止できる
効果がある。
(実施例) 実施例1 第1図及び第2図に示す防食植生シートとして、下層
はガーゼ状綿布で目付け量約65g/m2の織布2とした。
上層の不織布1は、ポリエステル繊維約10デニール50
%、スチールウール約30μ30%、レーヨン約10デニール
10%、バインダー繊維約15デニール10%を、目付け量約
15g/m2、厚み約10mmの弾性シートとして形成し、これら
の層間に下記参考例のペレットを幅方向約40〜50mmの間
隔で均等に配置し挾持させて、ヒートシールにより一体
化して防食植生シートを作成した。
実施例2 同様に、レーヨン約3デニール80%、バインダー繊維
約4デニール20%の混綿繊維として目付け量約21g/m2
厚み約1.5mmの下層の不織布2の上に、上層の不織布1
を、ポリエステル繊維約6デニール50%、スチールウー
ル約20μ30%、レーヨン約4デニール10%、バインダー
繊維約10デニール10%を混綿し、目付け量約53g/m2、厚
み約6mmの弾性シートとして形成し、ペレットを実施例
1と同様に挾持させてヒートシールにより一体化して防
食植生シートを作成した。
参考例 種子含有の植物育成ペレット3は、泥炭中和物265g
(水分69.3%)、バーク堆肥486.6g(水分18.0%)、ゼ
オライト70#244.4g(水分2.8%)、ベントナイト315.7
g(水分7.7%)を混合し、これに緑化用の種子としてケ
ンタッキー31フエスク(K31F)2.0g、クリーピングレッ
ドフエスク(CRF)1.5g、ホワイトクローバー(WC)0.5
g、めどはぎ(MH)30g、えにしだ(ES)5.0gを、万能ミ
キサーで分散混合しながら、造粒水分55WB%となるよう
水を932m1加水し、さらに分散混合した。
この塊状物を、押出し式造粒機(ミートチョッパー
ペリタスNo.12型)でダイス径20mmφ、約5mm厚の円柱状
に造粒・成型し、40℃、10Hr通風乾燥により造粒した。
実施例3(耐食性試験) 実施例1,2のシートの耐食効果を確認するために次の
耐食性試験を行なった。
耐食性試験 締固度のよい下記表1のマサ土を斜角30°,幅1m、斜
め距離2mに盛り土し、硬度計(山中式)指度15mm平均に
転圧した人工的切面を試作試験し、その表面に、実施例
1,2のシートを張設し、潅水したあと、約100mm/Hrで5
時間の人口降雨による侵食促進を行ない、侵食の程度の
外観を観察し、結果を表2に示した。
比較例1 比較のために、下記市販品(試料番号3,4,5)につい
ての同様の耐食性試験を実施例1と同様の条件で行な
い、その結果を表2に合せて示した。
試料番号3のシート(補強繊維入り紙);肥料,種子を
特殊紙二層ではさんで肥料は混入されたもの(ロンケッ
トネット(商品名)(ロンタイ(株)社製) 試料番号4のシート(ワラマット);試料番号3のシー
トにさらに上層にワラを積層し、肥料は混入されていな
いもの(ロンケットワラ(商品名)(ロンタイ(株)社
製)) 試料番号5のシート(短繊維シート);綿状布に種子と
肥料を混入したシートで、肥料は混入されていないもの
「新緑」(商品名)((株)アドバンテージ社製) この表2の結果から明らかであるように、実施例のシ
ートを使った場合は、殆ど下の地盤の侵食がないのに対
し、比較例では地盤の侵食が激しい。
実施例4(植生試験) 実施例1,2のシートの植生効果、保水効果を、試料番
号3〜5のシートと対比するために、室内及び屋外の人
工斜面に各シートを張設し、発芽、生育、及び保水性に
ついて試験しその結果を表3に示した。
室内試験 アクリル製の容器(10cm×10cm角,深さ3cm)にパー
ライトを約15cm厚に充填し、各シートをセットし、約6m
1/日で給水した。
屋外試験 シートの保水効果の対比のため、少雨期でかつ昼夜間
の温度差の激しい初冬(12月中旬)を選らび、1m×2m=
2m2のシートを斜角約20°、法方位西向きの斜面に並べ
て張設し、散水(約6m1/日)した。期間中は給水を行な
わず、自然環境にゆだねた。
試験場所:山口県 山口大学農学部 また試験期間中(2カ月間)の降雨量は約7mmであっ
た。その結果を表3,4に示した。
この表3,4の結果から明らかであるように、補強繊維
入紙,ワラマットについては枯死したものが多く、本発
明の実施例品とは大きな差があった。
実施例5 種子の発芽を促進し、生育を良化するには、ペレット
周辺を適正温度に保持することが重要であることから、
実施例1,2のシートを屋外の斜面にセットし、地表面温
度,地中温度を測定し、保温効果を試料番号3〜5の市
販品と対比した。
実験場所は昼夜間の温度差のはげしい山口市を選択
し、測定は、外気温度、地表面温度及び地中温度(地下
約5m)とし、5日間の平均値を表5に示した。
この表5の結果から明らかであるように、実施例1,2
は保温効果も良好で種子が生育するのに適した環境を提
供している。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明よりなる防食植生シートの構成概要一例
を示した断面図、第2図は同シートを巻取りした状態を
示した図である。 1:上層の不織布 2:下層の布帛 3:ペレット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中原 秀雄 山口県宇部市草江1丁目2―13 (72)発明者 石川 剛 山口県徳山市大字戸田1853―7 (72)発明者 桑野 忠純 山口県防府市華浦2丁目8―13 (56)参考文献 特開 昭56−158005(JP,A) 特開 昭53−100605(JP,A) 実開 昭51−4103(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】上層の不織布、その下面に一体化された下
    層の布帛、及びこれらの層間に挟持された種子を含む植
    物育成用の造粒物からなるシートであって、上記上層の
    不織布は、合成繊維及び金属繊維の少なくとも一方と、
    天然繊維及びセルロース系再生繊維の少なくとも一方
    と、バインダー繊維とを混綿した厚み5〜15mm,目付け
    量50〜150g/m2の繊維からなり、上記下層の布帛は,天
    然繊維またはセルロース系再生繊維からなることを特徴
    とする防食植生シート。
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