JP2737959B2 - 移動体通信の通信方法 - Google Patents

移動体通信の通信方法

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JP2737959B2 JP63299201A JP29920188A JP2737959B2 JP 2737959 B2 JP2737959 B2 JP 2737959B2 JP 63299201 A JP63299201 A JP 63299201A JP 29920188 A JP29920188 A JP 29920188A JP 2737959 B2 JP2737959 B2 JP 2737959B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は移動体通信の通信方法に関する。さらに、小
ゾーン構成を用いる移動体通信において、通信中の移動
端末が移動することにより、通信品質が劣化したとき、
その通信品質を満足させる通信方法に関する。
より具体的には、移動体の移動速度が小ゾーン構成を
とるシステムの各ゾーンの大きさに比較して相対的に大
きくなった場合においても、不都合を生ずることもな
く、良好な通信を確保し、かつ周波数有効利用率、通信
品質、無線回線の制御能力などに優れた通信方法を提供
せんとするものである。
[従来の技術] 一般に広いサービス・エリア内で移動体通信を行う際
に、1個の無線基地局が全エリアをカバーしてサービス
・エリア内の移動体と通信を行う方式を大ゾーン方式と
呼んでいる。これに対し、小ゾーン方式とは、サービス
・エリアを複数の小エリアに分割し、分割された各エリ
ア内に各1個の無線基地局を設置し、その、それぞれの
エリア内に居る移動無線機はこれらの無線基地局と通信
を行うものである。
従来の小ゾーン方式は、たとえば現在商用サービス中
のNTT(日本電信電話(株))の自動車電話方式の中で
採用されている。この場合、自動車内に搭載された移動
無線機は自動車の走行により通話の相手局の無線基地局
から遠ざかり、たとえば、無線基地局から5〜7Km以上
になると電波の受信入力電界値が低下するので、通話品
質の劣化が発生する。そのため小ゾーン構成では、サー
ビス・エリア内に無線基地局が互いに10〜12Km間隔に設
置されており、したがって上記の場合必ず自動車の現在
位置の近く(5〜6Km以内)に別の無線基地局が存在
し、この新無線基地局と移動無線機との間で別の無線チ
ャネルを使用して通話を継続させている。NTT方式で
は、無線回線の通話の設定および解除などの制御を行わ
せる無線回線制御局が、多数の無線基地局や移動無線機
を制御するために設置されており、無線回線制御局はイ
ンタフェースをなす関門交換機を介して一般の電話網に
接続されている。無線回線制御局では、通話品質の劣化
が生じると、移動無線機の周辺の複数の無線基地局に対
し移動無線機の送信電波を受信させ、このうちの特定の
無線基地局に移動無線機との間で新しく無線チャネルを
設定させれば所望の通話品質を維持し得ると判断したと
きには、新チャネルの設定を移動無線機と無線基地局と
の間で行わせる。
第9図には、このような動作をする従来のシステムの
構成概念図が示されており、これを用いて説明する。
第9図において、4つの円で囲まれた半径5〜7Km程
度の各ゾーン14A,14B,14C,14Dを自動車電話のサービス
・エリアとし、いま自動車内に搭載された移動無線機15
がゾーン14A内の無線基地局13Aと交信中であるとする。
自動車はゾーン14Aからゾーン14Cの方向へ走行中である
ので無線基地局13Aと移動無線機15との間の相対的距離
は大きくなりつつある。交信は継続中であるとし、自動
車はゾーン14Aよりゾーン14C内へ移行したとすると、無
線基地局13Aと移動無線機15との間の距離は5〜7Km以上
となり相互の受信電波の入力電界値は低下し、一定の伝
送品質以下に低下するに至る。この品質劣化の状態は、
常時、無線回線制御局12で監視されており、品質が一定
基準以下に低下した時点で無線基地局13Aの周辺の無線
基地局13B,13Cおよび13Dに対し、無線基地局13Aと移動
無線機15との間で使用中の無線チャネル(チャネルCH1
と仮定する)の品質を測定するように要請する。
この要請を受けた無線基地局13B,13Cおよび13Dでは、
それぞれ自己の無線チャネル探索用受信器(図示せず)
をチャネルCH1に同調させて信号を受信し、その状態
を、無線回線制御局12に報告する。
この報告を受けた無線回線制御局12では、無線基地局
13B,13C,および13Dの受信入力電界EB,EC,およびED
値を比較し、EC>EB,EC>EDであり、かつECが伝送品質
の点からみても一定の品質が確保されていることを確認
すると、無線回線制御局12はゾーン14Aからゾーン14Cへ
移行したものとみなし、ゾーン14Aで使用していた無線
のチャネルCH1を切断し、これにかえてゾーン14Cの無線
基地局13Cで使用可能な無線チャネルのうち、未使用の
チャネル(チャネルCH10を仮定)を使用させる手続きす
なわち通話中チャネル切替を始める。
以下、文献 吉川他“自動車電話無線回線制御”日本
電信電話電気通信研究所 研究実用化報告Vol.26,No.7
1885頁を参照しながら説明する。
(1)チャネル切替信号は、無線回線制御局12と各無線
基地局13との間は、各伝送路16に含まれた制御線を用
い、各無線基地局13と移動無線機15との間は、無線によ
る通話チャネルとする。
(2)チャネル切替信号は、以前通信をしていた、たと
えば無線基地局13Aより、移動無線機15宛に送信し、無
線導通試験トーンは、新たに切替えようとする、たとえ
ば無線基地局13Cより移動無線機15宛に送出する。
(3)移動無線機15において、無線導通試験トーンが受
信できないときは、無線基地局13Aとの間に設定されて
いる旧通話チャネルに戻って通話を継続する。
以上の(1)〜(3)がNTTで現用されていく通話中
チャネル切替であるが、これらの説明から明らかなよう
に通話者すなわち自動車電話利用者には、つぎのような
雑音が通話に混入することになる。すなわち、 (a)前記の(1)による切替のための制御信号(この
場合300ビット/秒のディジタル信号)が相手話者の信
号の切断された後に通話中のチャネルに挿通される形で
受信器の出力に現れるので、300Hz程度の可聴音として
通話中に混入し、この間通話断となる。
(b)前記(2)の通話試験中は雑音の混入はないが無
音となり、この期間中相手の音声は自分に伝わらず、ま
た自分の音声も相手に伝わらない(通話断)。
以上の(a),(b)による通話断の継続時間は0.7
〜0.8秒と言われている。一方、無線回線制御局12では
無線基地局13Cに対し、両者間の伝送路16Cを通じて、移
動無線機15とたとえばチャネルCH10を用いて通話を開始
するように指示する。この指示も上記の導通試験と同一
時刻に実施されるので、この瞬間より、無線基地局13A
は、移動無線機15との通信を終了し、代って無線基地局
13Cは移動無線機15との通信を開始する。
また、無線回線制御局12は、電話網10との間のインタ
フェースをなす関門交換機19に対し、各無線基地局13を
電話網10と接続するための関門交換機19内の通話路スイ
ッチSWを無線基地局13Aから13Cへ切替えるように要求し
ている。すなわち、第9図の通話路スイッチSWでA−4
スイッチをオフし(ブランクの3角で表示)、C−4ス
イッチをオンにする(黒の3角で表示)。
以上の動作により、自動車内で移動無線機15を使用し
て、電話網10内の任意の電話機と、自動車がゾーン14A,
14B,14C,14Dのどこに移動しても通話が継続されること
になる。
かくして、使用者(通話者)はサービス・エリア内で
あれば自動車の走行中いつでも、どこへでも電話がかけ
られるという技術的保証を与えられたことになり、実際
のサービスでは、この技術を駆使したサービスが行われ
ている。
このような小ゾーン構成を採用した移動体通信では、
大ゾーン方式には見られない下記のごとき特徴を発揮す
ることが可能となった。
(a)1つの無線基地局からの電波を狭い地域に限定し
て使用し、サービス・エリアに多数の無線基地局を配し
て同一周波数をくり返し使用する、いわゆる小ゾーン構
成により周波数の有効利用が可能となった。
(b)ディジタル・シンセサイザが出現したので、移動
無線機に数百におよぶ多数の無線チャネルを切替えて使
用することが可能となり、また、これら多数の移動無線
機と無線基地局との間の無線回線を設定制御する技術が
確立されたために(a)項の周波数の有効利用に寄与す
ることが可能となった。
(c)多数の移動無線機に能率よく、発着呼などにおい
て無線回線を設定制御するのに必要な無線回線制御技術
が確立されたので、これも(a)項の特徴に寄与したほ
か、移動無線機の通信中にゾーン移行にともなう通信中
無線チャネル切替も可能となった。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、第9図に例示したような従来方式で
は、技術的対策が不十分であったり、あるいは対策がと
られておらず、利用者には不便を感じさせ満足なサービ
スの提供をすることができないという問題点があり、シ
ステムとしても一層の周波数の有効利用の促進、サービ
ス性の向上等が必要であった。
このような解決されるべき課題を以下に説明する。
i)周波数の有効利用をはかるためには、小ゾーン構成
の1個のゾーンのゾーン半径を小さくする必要がある
が、これがあまり小さくなると、移動無線機が通信中に
1つのゾーンを通過して、他のゾーンへ移行する確率が
増加する。すると、ゾーンの移行時に、各ゾーンに割当
ててある無線チャネルを変更する必要が頻繁に発生し、
このとき無線基地局、移動無線機とも、旧無線チャネル
を新無線チャネルに変更させる必要が発生する。従来
は、この変更を無線回線制御局12(第9図)で行ってい
たが、このチャネルの変更にともなう通信の一時断等が
発生し、通信品質が劣化していた。
ii)送信電力の異なる移動無線機を同一システム内に導
入し、1つのシステム内の機器として動作させる例があ
った。これは、たとえば自動車内に搭載されている移動
無線機(NTTの自動車電話の場合は送信出力5W)と、利
用者が戸外で持運び可能な自動車電話用の無線基地局に
アクセスする携帯電話機(NTTの場合は送信出力1W)と
が同一システムに収容されているが、これは無線基地局
に収容されている無線設備の共用利用が可能であるため
経済的なシステム構築が可能となる。
しかしながら、周波数の有効利用の面からみると、同
一周波数の再使用のためのルール作りを複雑にするため
に、有効利用の効果を低下させる方向に作用するほか、
送信電力レベルの異なることにより、他の移動無線機の
受ける干渉妨害の発生する可能性が増加する。これを防
止するためにはコストの上昇および周波数の有効利用を
そこなう結果となった。
同一周波数の再使用については、制御能力を高機能化
することで一応対処可能であるが、これにも限定があ
り、小ゾーン化がある程度以上進むと制御不能となった
り、コスト的に全く引き合わないシステムとなってしま
う。干渉妨害については、従来の方法では解決されてお
らず、従来システムにおける大きな問題であった。
したがって周波数の有効利用という見地からは、有効
利用に限界があることになり、有限の電波資源の活用と
いう面で要求を満たすことができなかった。
iii)小ゾーン化が進み1つの無線基地局の受持つ小ゾ
ーン内において、隣接あるいはその次の隣接する無線基
地局の受持つ小ゾーンが重なり合う状態が多く発生し、
無線回線制御技術として従来技術を用いた場合に、制御
不能となる可能性があった。
これは、1つの小ゾーン内において地形や構築物の影
響により電波伝搬特性は大きな影響(伝搬損失)を受け
る。この影響は周波数を有効利用するために小ゾーン化
が進み、1つの小ゾーンの範囲が小さくなる(半径1Km
以下)にともない、相対的に大きくなる。また使用する
無線基地局および移動無線機には、相対的に高いレベル
の送信機を使用して、地形や構築物の影響のある所でも
良好な通信を確保することになる。すると、地形や構築
物の影響のない所では、遠方にある無線基地局と他のゾ
ーン内に居る移動無線機とが交信可能となることを意味
する。
したがって、1つの小ゾーンは1つの無線基地局で管
理され、多数の小ゾーンにより、サービス・エリアであ
る広い平面がおおわれるという本来の概念が消滅し、多
数の小ゾーンが重畳されて1つのサービス・エリアを形
成するということになった。
その結果、このような状態にある小ゾーン・システム
を円滑に運用することは、従来技術では、無線通話路の
設定、変更・解除を頻繁に行わなければならなくなり、
無線回線制御装置の能力を大きく上まわる結果となる。
したがって円滑な通話路の確保は現実的には不可能とな
り、逆にいかにしてこのような事態を避けるかに、シス
テム構成上の配慮が行われて来た。
iv)移動体通信においては、移動体の移動にともなう電
波伝搬特性の影響のために、その通信品質が大きく変化
し、電波の伝わり方の悪い場所においては、通信品質が
システムに必要とされる値以下となる等の問題があっ
た。これを解決するためダイバーシティ技術等種々の対
策が採られてきたが、いづれも機器のコストを割高にす
るばかりか、周波数の有効利用をそこなう等の問題点が
あった。
また通話中のゾーン間移行にともなう通話断について
は、一種の通信品質上の問題点と考えられ、品質確保の
点からも解決策が必要であった。
v)システム内の通信のトラヒック変動に対する対策が
とられていなかった。
システム内の通信のトラヒック変動は、たとえば公衆
通信では通常、深夜や早朝はきわめて少なく、日中の午
前10時前後と午後2〜3時に、また、自動車電話では、
夕刻5〜6時に大きなトラヒックの山が見られるが、シ
ステム設計を最大のトラヒック時においても、満足に機
能するように設計すると、閑散時には、システム構成機
器が遊休するためにコスト高となり、また、もし閑散時
に適合したシステム構築をするとコストはきわめて割安
となるが、最繁時に使用不能となり、サービス性の低下
はさけ得なかった。
加えて、通信トラヒックの閑散時には、システム内の
遊休設備を有効利用して高品質のサービスを提供し、ト
ラヒックが増加するにしたがい通常のサービスに移行す
るというような、システム内の構成施設を有効利用する
という概念に欠けていた。これは、従来技術により解決
しようとするとシステム・コストが急上昇してしまうこ
とも1つの原因と考えられる。
また、たとえば無線基地局の送受信機が全部使用中の
場合は、移動無線機から送出される位置登録信号のよう
にきわめて短く、かつ定形的な信号でさえも、従来のシ
ステムでは処理能力がなく、小ゾーン化が進むことに対
する技術的制約となっていた。
vi)従来、通信を行なう移動体の位置登録は、同一時点
において1箇所の無線基地局で受信したデータのみを登
録して処理していたため、高速で移動する移動体通信の
ように位置登録が順次かなりの頻度で変更されるシステ
ムや、周波数の有効利用上位置登録方法に制約があるシ
ステムでは、位置登録の不備のため移動体への着呼不能
となる場合があった。
これは無線基地局に設置されている無線送受信機が1
チャネルのみの場合、制御用、通話用として時分割で使
用しなければならず、かつ移動無線機と交信中に同一の
ゾーン内にある他の移動無線機から位置登録要求のあっ
た場合等において、顕著な悪影響があった。
vii)広帯域信号を用いる移動通信サービスを提供する
ための技術の完成度が不十分で未完成であり、利用者に
不便を与えていた。
従来、多数用いられている移動通信サービスは電話が
主であり、高速データ信号など使用周波数帯域が広帯域
にわたるものは、ほとんど使用されていなかった。これ
は移動体通信においては電波伝搬特性が移動体の移動に
ともない大きく変化するため、良好に広帯域信号を受信
する技術が不足していたからである。
viii)無線回線制御能力ならびに信頼性の確保が不十分
であった。従来は無線回線の設定、解除あるいは通話中
チャネル切替の実行等は、一定のエリア内に1箇所に集
中して制御を行わせるために設置された無線回線制御局
あるいは無線系制御装置が行っていた。これは、集中化
による回線制御の一元管理上有効な面があるが、もし、
これが障害を発生すると、全システムがダウンするとい
う致命的な事故となる。それ故、ハード・ウェアの二重
化などの対策が講じられてきたが、コスト・アップの原
因となり満足した結果は得られなかった。
ix)従来の陸上における移動通信では、特殊な場合を除
き、通信中の移動体の移動方向の推定等は、技術的な困
難性もあり実施されていなかった。そのため移動方向の
エリアでの無線回線トラヒック情況などの有効な情報も
得られず、周波数の有効利用あるいはトラヒック管理の
上で問題が残されていた。
x)ゾーン間またはゾーン内における通話中チャネルの
切替時に瞬断が発生し、これも小ゾーン化の大きな障害
となっていた。
第9図を用いて説明したNTTが実施している通話チャ
ネル切替法では、無線チャネルの切替時に通話が一時的
に(0.7〜0.8秒間)切断されるほか、通話信号以外の制
御信号(300ビット/秒)の一部が混入し耳ざわりであ
るという欠点がある。このような通話回線の一時断や雑
音の混入があると、通話の内容が音声であるときには聞
きなおしを行うことなどで、補うことができるために、
あまり大きな障害とはならないが、自動車内にファクシ
ミリ端末を搭載し送受信に使用した場合には、動作中に
チャネル切替があると、たとえば1分ファクシミリで
は、紙面の0.8/60の部分が黒線(または白線)となって
現われ受信画質が大幅に劣化するという欠点があった。
またデータ通信の場合には、たとえば1200ボーのデータ
信号では、1000ビット程度の信号が欠落するので再送な
どの手続きが必要となった。
なお、耳ざわりの雑音を除去するために、チャネル切
替中無音にしたり、帯域外信号を用いたりする方法もあ
るが、耳ざわりな雑音を除去するという目的は達成でき
ても、回線断の時間は依然として存在するから、ファク
シミリやデータ信号への悪影響の除去にはまったく効果
がないという課題が残されていた。
xi)移動体の移動速度が、小ゾーン構成をとるシステム
の各ゾーンの大きさに比較して相対的に大きくなった場
合、たとえば小電力(10mW)の出力を有する携帯電話で
は、1つのゾーンの大きさは、せいぜい半径200m程度で
あり、これを走行する自動車の中に持込んで通話しよう
とした場合、従来の方法では制御信号の伝送品質の信頼
性に問題が発生し、通信不能となるケースがあった。
[課題を解決するための手段] 無線送受信機とID識別記憶部を具備する複数の無線基
地局と、複数の無線基地局と電話網を接続するスイッチ
群とこのスイッチ群を制御する通話路制御部とID識別記
憶部とを含む関門交換機と、この複数の無線基地局がカ
バーするサービス・エリア内を移動しながら同時に複数
の無線基地局と交信するために複数のチャネルを同時に
受信する無線受信回路と、複数のチャネルを同時に送信
する無線送信回路とを含む移動無線機とを含むシステム
を構成した。
[作用] 複数の無線基地局と移動無線機とが、複数のチャネル
を用いて同一の通信内容を並行して交信している最中
に、通信の品質が一定値以下になったチャネル(旧チャ
ネル)が生じた場合には、一定の通信品質を満足する他
の1つの無線基地局との間で他の1つのチャネル(新チ
ャネル)に切替えて旧チャネルの交信は終了し、新チャ
ネルを含む複数のチャネルを用いて、同一の通信内容を
瞬断なく交信できるようにした。これによって下記の作
用および効果を得ることができた。
i)各無線基地局と関門交換機にそれぞれID識別記憶部
を設け、移動無線機の位置を各無線基地局のデータにも
とづき並行して登録するようにしたから、位置登録の信
頼度が向上した。
ii)複数チャネル中の通信品質の劣化した1チャネルを
新チャネルに切替えるようにしたから、ゾーン間または
ゾーン内における通話(信)中チャネル切替の無瞬断化
が実現された。
iii)経済的な送受信ダイバーシティの採用による良好
な通信品質の確保、すなわち干渉妨害の軽減、および広
帯域信号を用いる新サービスを技術的に可能とした。
iv)トラヒックの閑散的には、多くのチャネルを用いて
並行交信を行うために、無線設備の有効利用が計られ通
信品質が向上した。
v)各無線基地局にID識別記憶部や高速切替による複数
無線チャネルの同時送受信を可能とする機能などを設け
たから、トラヒックの最繁時においても移動無線機から
の位置登録信号の処理が可能となった。
vi)複数チャネルの並行交信により、広帯域信号の伝送
特性が向上し、回線品質の向上が得られた。
vii)移動無線機の移動方向および速度の推定が可能と
なり、移動先ゾーンにおける通信の確保および移動見込
先ゾーンで使用されるチャネルの先行割当の実施が可能
となった。
viii)無線回線の制御を従来システムのごとき集中型か
ら、移動無線機もしくは、無線基地局に機能分散するこ
とにより、制御処理能力の向上とシステムの信頼性の向
上が得られた。
ix)位置登録、発呼、着呼動作を規定回数反復して行
い、良好な通信状態が得られない場合は高速移動モード
における処理に移行し、高速で移動中であっても、高い
通信の信頼度を確保できるようにした。
ここで高速移動モードとは、通常の通信方法では、高
速移動にともなう不都合な現象を生ずるモードをいう。
これに対し、移動速度が障害を生じない場合のモードを
低速移動モードという。
高速移動モードにおいては、移動無線機の移動方向お
よび速さを測定し、関門交換機から移動方向にある無線
基地局に事前に連絡して交信の準備をせしめるようにし
た。
また無線基地局と移動無線機との間の制御信号の送受
信の信頼度を向上せしめるために、送受信のダイバーシ
ティを使用可能とした。
[実施例] 第1A図,第1B図および第1C図は、本発明の一実施例を
説明するためのシステム構成の一例を示している。
第1A図において、10は一般の電話網であり、そこには
一般電話用の交換機11が含まれている。20は電話網10内
に含まれている一般電話用の交換機11と無線システムと
を交換接続するための関門交換機である。関門交換機20
は複数の無線基地局30−1,30−2,…,30−nや多くの移
動無線機と一般の電話網10に収容されている電話機とを
接続するものであり、無線基地局30−1〜30−nの各局
間の制御信号の授受を行うと共に、通信路の設定解除等
を制御する通話路制御部21と、通話路制御部21に制御さ
れて各無線基地局30−1〜30−nと関門交換機20および
交換機11との間の接続をなすための通信路の切替に必要
なスイッチ群23とが含まれている。
第1B図には、各無線基地局30−1,30−2との間で交信
をする移動無線機50が示されている。アンテナ部に受け
た受信信号は、受信ミクサ63と受信部53を含む無線受信
回路68に入り、その出力である通信信号は、制御部58と
電話機部59に入力される。電話機部59から出力される通
信信号は、送信ミクサ61と送信部51とを含む無線送信回
路66に印加され、送信信号はアンテナ部から送出され
て、無線基地局30によって受信される。また、通信中の
通信品質を常時監視し劣化したときは、それを制御部58
へ報告する通信品質監視部57や、通信中における干渉妨
害の有無を監視し、一定量以上の干渉妨害を検出した場
合には、それを制御部58へ報告する干渉妨害検出器62や
自己の移動無線機50のIDを記憶したり、自分がどのゾー
ンに居るかを識別し、また記憶するID・ローム・エリア
情報照合記憶部54が図示のごとき結線を有して具備され
ている。
この移動無線機50には、さらにシンセサイザ55−1,55
−2,…−55−nおよび56−1,56−2,…,56−nと、切替
スイッチ64−1,64−2と、切替スイッチ64−1と64−2
を、それぞれ切替え制御するための信号を発生する受信
切替用制御器65Cおよび送信切替用制御器67Cが含まれて
おり、シンセサイザ55−1〜55−nと、56−1〜56−n
と、両切替用制御器65Cおよび67Cは、制御部58によって
制御されている。各シンセサイザ55−1〜55−nおよび
56−1〜56−nには、基準水晶発振器71から基準周波数
が供給されている。
第1C図には移動無線機50との間で交信する無線基地局
30(たとえば30−1)が示されており、第1B図に示した
移動無線機50の構成とほぼ同じであり、異なっているの
は、送信および受信切替用制御器55−1〜55−n,56−1
〜56−n、シンセサイザを切替えるための切替スイッチ
64−1,64−2がなく、ID・ロームエリア情報照合記憶部
54(第1B図)がなく、シンセサイザも受信用および送信
用35−1,36−1のそれぞれ1個のみであり、また自己お
よび通話先のID番号を識別し記憶するためのID識別記憶
部34を有し、電話機部59(第1B図)がなく、電話機部59
の代わりをなす関門交換機20へのインタフェース39が設
けられている点である。
第1C図の第1B図に対応する各構成要素を以下に列記
し、各機能の説明は省略する。ここで、( )内の数字
は、第1B図の対応する各構成要素の番号である。
送信部31(51) 受信部33(53) シンセサイザ35−1(55−1〜55−n) シンセサイザ36−1(56−1〜56−n) 通信品質監視部37(57) 制御部38(58) 基準水晶発振器40(71) 送信ミクサ41(61) 干渉妨害検出器42(62) 受信ミクサ43(63) 無線送信回路46(66) 無線受信回路48(68) 第1D図には移動無線機50との間で交信する無線基地局
30(たとえば30−1)の他の実施例30Bが示されてお
り、第1B図に示した移動無線機50の構成とほぼ同じであ
り、異なっているのはID・ローム・エリア情報照合記憶
部54(第1B図)がなく、自己および通話先のID番号を識
別し記憶するためのID識別記憶部34を有し、電話機部59
(第1B図)がなく、電話機部59の代わりをなす関門交換
機20へのインタフェース39が設けられている点である。
第1D図の第1B図に対応する各構成要素を以下に列記
し、各機能の説明は省略する。ここで( )内の数字
は、第1B図の対応する各構成要素の番号である。
送信部31(51) 受信部33(53) シンセサイザ35−1〜35−n (55−1〜55−n) シンセサイザ36−1〜36−n (56−1〜56−n) 通信品質監視部37(57) 制御部38B(58) 基準水晶発振器40(71) 送信ミクサ41(61) 干渉妨害検出器42(62) 受信ミクサ43(63) 無線送信回路46(66) 無線受信回路48(68) 第1E図には無線基地局30の他の実施例が示され、ここ
では複数の送受信機を含む無線基地局30Cがアンテナ共
用装置96と無線基地局制御装置32を共用する多くの通話
(信)用の送受信機90−1〜90−mと、第1D図に示した
無線受信回路48と通信品質監視部37の両機能を有するm
個の通信品質監視用受信機93−1〜93−mと、制御信号
用の制御チャネル専用の制御用送受信機94が示され、関
門交換機20を介して電話網10に接続されている。
第1E図に用いられた送受信機90−1〜90−mのうちの
1つの送受信機90の構成が第1F図に示されており、無線
基地局制御装置32に含まれたID識別記憶部34C,制御部38
C,関門交換機20とのインタフェース39Cおよび基準水晶
発振器40Cとの接続関係が示されている。
この第1F図に示された送受信機90は第1D図に示された
無線基地局30Bとほぼ同じ構成を有しており、多くの送
受信機90が、ID識別記憶部34C,制御部38C,インタフェー
ス39Cおよび基準水晶発振器40Cを共用している。
第1E図の送受信機90−1〜90−mに、このような構成
のものを用いているから、切替スイッチ44−1,44−2に
より、シンセサイザ35−1〜35−nおよび36−1〜36−
nのうちの、それぞれ特定の1つのシンセサイザを選択
するならば、第1E図に示す無線基地局30Cは、m個のチ
ャネルを同時に送受信することができる。
また、送受信機90の切替えスイッチ44−1,44−2を動
作させて、シンセサイザ35−1〜35−nおよび36−1〜
36−nを高速でチョップして、反復して切替えるなら
ば、1つの送受信機90でn個のチャネルを同時に送受信
することが可能である。したがって、第1E図の無線基地
局30Cでは最大m×n個のチャネルを同時に送受信する
ことができる。
第1G図には移動無線機50の他の実施例が示されてい
る。
第1G図の移動無線機50Bの第1B図に示された移動無線
機50との差異は、受信ミクサ63および受信部53を含む無
線受信回路68の他に、受信ミクサ73およびC/N測定用受
信部52を設け、両受信ミクサ63および73に、それぞれ受
信切替用制御器65Cおよび制御部58Bに制御された切替ス
イッチ64−1および64−3を介してシンセサイザ55−1
〜55−nの出力を印加し、送信ミクサ61には送信切替用
制御器67Cに制御された切替スイッチ64−2を介して、
ンセサイザ56−1〜56−nの出力を印加している点であ
る。
この第1G図に示した移動無線器50Bは、とくに顕著な
受信ダイバーシティ効果を有する機能を備えている。こ
の受信ミクサ73へは、移動無線機50のアンテナ部で受信
した受信信号の一部が加えられる。受信ミクサ73への局
部発振周波数として、切替スイッチ64−3を介してシン
セサイザ55−1〜55−nからの出力が加えられる。
この切替スイッチ64−3は、他の切替スイッチ64−1
や64−2のように高速で切替えられる必要はなく、たと
えば10Hz程度の低速の切替速度で十分である。切替スイ
ッチ64−3がシンセサイザ55−1の出力を得る位置にあ
るとき、C/N測定用受信部52で測定したチャネルCH1のC/
N値(搬送波対雑音比の値)を制御部58Bに伝達する。つ
いで、切替スイッチ64−3がシンセサイザ55−2の出力
を得る位置にあるとき、チャネルCH2のC/N値を測定す
る。以下順にシンセサイザ55−nの出力をオンにする位
置にあるときに、CHnのC/N値を測定し、それぞれ制御部
58Bに伝達する。制御部58Bでは、これらの値を用いて受
信切替用制御器65Cおよび送信切替用制御器67Cの切替周
波数を、たとえば、それぞれC/N値に反比例した速度で
動作するように制御する。
つぎに、さらに受信ダイバーシティ効果の増大をはか
るシステムを説明する。第1H図はこの場合の移動無線機
50Cの構成例を示す。
第1H図において、移動無線機50Cへの入力電波(入力
信号)はアンテナ入力部でn等分され、それぞれ無線受
信回路68−1,68−2,…,68−nへ到来する。各無線受信
回路68−1〜68−nではそれぞれ受信ミクサ63−1,63−
2,…,63−n、受信部53−1,53−2,…,53−nが具備され
ており、また受信ミクサ63−1〜63−nには、それぞれ
シンセサイザ55−1,55−2,…,55−nからの局部発振周
波数が入力される。したがって同図の構成では、第1B図
などに示した受信切替スイッチ64−1はなく、常時各無
線チャネルCH1,CH2,…,CHnの信号を受信し復調すること
が可能である。またこれら受信部53−1〜53−nの出力
信号の一部が制御部58Cへ送られ、さらに他の一部は、
混合回路69に加えられ通常のダイバーシティ受信機(こ
の場合は検波後合成)と同様に処理が加えられ、電話機
部59へ送られる。また各受信部53−1〜53−nの出力の
一部は、それぞれ通信品質監視部57−1〜57nに送ら
れ、その出力は制御部58Cにそれぞれ印加されている。
第1I図には、第1H図に示した移動無線機50Cとは異な
る移動無線機50Dが示されており、その相違点はn個の
送信ミクサ61−1〜61−n,送信部51−1〜51−nを含む
無線送信回路66−1〜66−nを具備し、各送信部51−1
〜51−nには、送信すべき信号を共通に接続して印加さ
れ、制御部58Dによって、それぞれ制御されて指示され
た周波数を発生するシンセサイザ56−1〜56−nからの
出力を各送信ミクサ61−1〜61−nに印加されている。
この移動無線機50Dは、移動無線機50C(第1H図)のよう
に複数の無線チャネルを切替スイッチ64−2でチョップ
せずに連続送信することができる。
第1H図および第1I図に示すような回路構成をとること
により、大きなダイバシティ効果を得ることが可能とな
る。
第1J図および第1K図には他の無線基地局30Dおよび30E
の実施例が、第1L図および第1M図には第1E図において使
用される送受信機90−1〜90−mの他の実施例である送
受信機90Bおよび90Cが示されている。
第1J図および第1L図に示した無線基地局30Dおよび送
受信機90Bは第1H図に示した移動無線機50Cと同様にそれ
ぞれ独立したシンセサイザ35−1〜35−nと、受信ミク
サ43−1〜43−nおよび受信部33−1〜33−nを含む無
線受信回路48−1〜48−nと、通信品質監視部37−1〜
37−nを含む構造を有しているほかは、第1D図に示した
無線基地局30Bおよび第1F図に示した送受信機90との構
成と同じである。これらの無線基地局30Dおよび送受信
機90Bを用いた無線基地局30Cを用いることにより、後述
する高速移動モードにおける制御信号の受信時における
ダイバーシティ効果を期待することが可能となる。
第1K図および第1M図に示した無線基地局30Eおよび送
受信機90Cは、第1I図に示した移動無線機50Dと同様に、
受信側に加えて送信側にもそれぞれ独立したシンセサイ
ザ36−1〜36−nと、送信ミクサ41−1〜41−nおよび
送信部31−1〜31−nを含む無線送信回路46−1〜46−
nを含む構造を有しているほかは、第1J図に示した無線
基地局30Dおよび第1L図に示した送受信機90Bの構成と同
じである。これらの無線基地局30Eおよび送受信機90Cを
用いた無線基地局30Cを用いることにより、後述する高
速移動モードにおける制御信号の送信時におけるダイバ
ーシティ効果を期待することが可能となる。
移動無線機50(B,C,D)と無線基地局30(B,C,D,E),
関門交換機20との間の制御用の信号は、制御信号専用の
制御チャネルを用いる場合と、通話(話)信号の帯域外
を用いる場合とがある。
この制御信号を通信(話)信号の帯域外で伝送するた
めに、具体的には、制御信号がアナログ信号の場合、第
2図(a)に示すように、通話チャネルの帯域0.3〜3.0
KHz外の低い周波数fD0(たとえば約100Hz)または高い
周波数fD1,fD2,fD3…fD8(たとえば3.8KHzから0.1KHz
間隔で4.5KHzまでの8波)を用いる。
制御すべき項目すなわち制御データが多いときには、
制御用の周波数fD0〜fD8の波数をさらに増加させてもよ
いし、副搬送波形式をとることも可能である。このと
き、たとえばfD0〜fD8のうちの1波あるいは複数の波に
周波数変調をかけたり、あるいは振幅変調をかけたりす
ることによって、より多くの制御データを伝送すること
もできる。
また、制御信号としてディジタル・データ信号を用い
た場合には、音声信号もディジタル符号化して、両者を
時分割多重化して伝送することも可能であり、これを第
2図(b)に示す。第2図(b)は、音声信号をディジ
タル符号化回路91でディジタル化し、それとデータ信号
とを多重変換回路92で多重変換し、送信部31の変調回路
に印加する場合の一例である。
以下に、移動無線機50(B,C,D)、無線基地局30(B,
C,D,E)および関門交換機20の機能を順次説明する。
(A)移動無線機50(B,C,D) 最初に移動無線機50(B,C,D)の具備する機能のう
ち、制御部58(B,C,D)の機能につき説明する。制御部5
8(B,C,D)では、まず基本機能としてつぎの機能を具備
している。
i)自己の移動無線機50(B,C,D)の無線送信回路66に
対し、電波の送信の発射又は停止の指令および送信電力
レベルの制御。
ii)自己の移動無線機50(B,C,D)の無線受信回路68に
対し、電波の受信指示または停止の指令。
iii)電話機部59に対し、ダイヤル信号送出可否指令お
よび音声の送受信指令。
iv)シンセサイザ群55−1〜55−nおよび56−1〜56−
nに対し発振周波数(チャネル)指定と、発振指令およ
び停止指令。
v)受信および送信切替用制御器65C,67Cに対し、制御
指令。
vi)通信品質監視部57からの情報による1つのまたは複
数の使用チャネルの変更適否の判断。
vii)通話中チャネル切替を実施したときには、それま
で交信していた無線基地局のID(識別番号)を記憶す
る。
viii)干渉妨害検出器62からの情報による使用チャネル
の変更適否の判断。
ix)ID・ロームエリア情報照合記憶部54からの情報によ
り、通信すべき相手方IDの確認および使用チャネルの決
定。
x)サービス種別の上位の移動無線機に対する通話チャ
ネルの譲渡。
xi)受信(送信)切替用制御器65C,67Cに対し、オン・
オフのデューテイ条件の決定。
xii)制御決定に関して、無線基地局30(B,C,D,E)より
上位にあること。これは制御上の判断について無線基地
局30(B,C,D,E)と相違した時には、無線基地局30(B,
C,D,E)に対して主導権を行使可能とすること。
xiii)移動無線機50(B,C,D)の移動方向、移動速度の
推定。
つぎにi)〜xiii)の機能を複合して使用することに
より、つぎの応用機能を具備することができる。
1)自己の移動無線機50(B,C,D)の周辺で動作中の他
の移動無線機や他の無線基地局で使用している無線チャ
ネルをID・ロームエリア情報照合記憶部54に記憶させ、
発呼または通信チャネルの切替えのときに活用する。
2)xi)およびxii)の機能の一つの応用として、通話
トラヒックの輻輳時において、同時に通信に使用するチ
ャネル数の消滅、ないし発呼の抑圧、使用チャネルの切
断もしくは早期終了勧告の実施。
3)i),vi),viii)の機能を用い、自己の移動無線機
50(B,C,D)に対する最適送信レベルの設定。
4)3)の機能の一つの応用として、ディジタル信号の
伝送に対し、最適信号速度を決定すること。
5)通信の種類(電話、FAXデータなど)により最適使
用チャネルを決定する。
また、他のゾーンへ移行することにともなう制御機能
としては、 6)通信中チャネル切替後の新無線基地局30(B,C,D,
E)の選定。このとき移動無線機50(B,C,D)の移動方向
を加味して、新無線基地局30(B,C,D,E)の選定をす
る。とくに高速移動モードの場合は、今迄交信していた
無線基地局30(B,C,D,E)のIDを検索し一定の法則に従
うルールにより、新しく交信すべき無線基地局30(B,C,
D,E)を選定する。
7)関門交換機20に対しては、無線基地局30(B,C,D,
E)経由で通話路のスイッチ群23の開閉および通話
(信)路の並列使用要求の実施。
8)移動無線機50(B,C,D)自身が後述する高速移動モ
ードであることを認識する機能、またその場合に、送受
信ダイバーシティ、あるいは制御信号の再送回数の増加
等を適用すべきことを判断する機能、および無線基地局
30(B,C,D,E)および関門交換機20へその旨連絡し、シ
ステム動作を高速移動モードに変更させる機能を有す
る。
以上の制御機能を一言で表現すれば、従来技術におい
て用いられていた第9図の無線回線制御局12の機能の一
部を移動無線機50(B,C,D)へ収容したということであ
る。このことは最近進歩の著しい超LSI技術を使用して
はじめて可能となるものであり、いわば移動無線機のイ
ンテリジェント化と表現することができる。しかしなが
ら、従来技術を用いて、移動無線機をインテリジェント
化したとしても、その効用には限界があり、とくに無線
回線制御の能力の向上や、通話中チャネル切替時の瞬断
の除去には全く効果がなく、本発明による方法を用いて
はじめて名実ともにインテリジェント化されるというこ
とになる。
(B)無線基地局30(B,C,D,E) 無線基地局30に下記のような機能を持たせた装置をそ
れぞれ設定する。
a)各無線基地局には、少数(通常1個)の制御チャネ
ル送受信のために専用の無線送受信機と、通話チャネル
専用で、かつその無線基地局に割当てられた通話チャネ
ル数に対応した数の無線送受信機が設置されている。た
とえば、第1E図の無線基地局30Cを想定する。1つの無
線基地局30Cに割当てるべき通話チャネル数は、それが
担当する小ゾーンに存在する移動無線機50(B,C,D)の
通話トラヒックにより最適値が与えられる。ゾーンの面
積が大きく、またそのエリア内に存在する移動無線機が
多い場合には、必然的に通話トラヒックも増大するか
ら、すくなくとも1つの制御チャネルと複数の通話チャ
ネルが必要であり、送受信機90(第1F図)の数も当然複
数個必要である。NTTの自動車電話システムで大都会の
場合には、2つの制御チャネルと最大60チャネル程度の
通話チャネルが割当てられている実例がある。
しかしながらゾーンの大きさが次第に小さくなり、遂
には前述した文献、伊藤“携帯電話方式の提案”通信学
会 通信方式研究会資料 CS 86−88 1986年11月に示
されているように半径25m程度の極小ゾーンとなると、
このエリアをサービス・エリアとして受持つ無線基地局
としては通話トラヒックおよび方式、コストの点からそ
こに設置される無線チャネルとして、制御および通話を
それぞれ1とし、これをまかなう無線機の機能としては
1送受信とされる場合がある。すなわち1個の送受信機
を制御および通話兼用にするわけである(第1D図参
照)。しかもこの兼用は従来のシステムのようにある移
動無線機からの発呼に対し、当初、制御チャネルで対応
し、空いている通話チャネルを指定した後は、自らも通
話チャネルに変更して同一の移動無線機と通信を実行す
るという単純な方法ではなく、後に説明するように1つ
の移動無線機と通話チャネルを用いて通信中においても
後述するように送受信する無線周波数を信号に妨害を与
えないような切替速度で通話チャネルと制御チャネルを
反復切替えることにより、新しく発着呼を希望する移動
無線機50(B,C,D)に対しても発着呼動作を受付け、か
つ通話を可能とするすぐれた機能を有している点が本発
明の特徴である。
以上説明したように無線基地局30(B,C,D,E)の構成
には、種々のケースが考えられるが、本発明はそのすべ
ての場合に適用が可能である。
ただし第1A図の無線基地局30には送受信部を各1組の
み示し、あとは省略している。
b)各無線基地局30(B,C,D,E)に設置された通話チャ
ネル専用の送受信機は、それぞれその無線基地局に割当
てられた無線チャネル内の複数の無線チャネルのうちの
1チャネルを受信可能であることは当然であるが、トラ
ヒック変動のはげしいゾーンにおいては、無線基地局30
C(第1E図)に設備される1個の送受信機90が、第1F図
に示すような構成であるとする。すなわち、無線信号を
送受信する部分の構成を第1B図に示す移動無線機50とほ
ぼ同様の構成とする。この結果、このゾーンにおける通
話トラヒックが増加し通常mチャネルの通信に供するた
め送受信機90の数がm個設置されている無線基地局30C
においても、通話トラヒックの増加により、mチャネル
以上の通信が必要になった場合には、無線基地局30Cを
構成する1つの送受信機90に対し同基地局内の制御部38
Cより送出される制御信号により現在動作中のシンセサ
イザ35−1,36−1の他に35−2,35−3,…,35−nおよび3
6−2,35−3,…,36−nや切替スイッチ44−1,44−2を動
作させる。これにより従来のmチャネルの送受信が可能
であったものが最大m×nチャネルの送受信が可能とな
る。同時通話可能なチャネル数は飛躍的に向上する。
ただし切替数に応じて各チャネルの送信電力は、送信
ミクサ61の出力に電力増幅器を入れないかぎり減少する
ので、この点に注意することが必要になるほか、システ
ムに与えられた総チャネル数が上限になる。あるいは他
ゾーンで通信中のチャネルに妨害を与える場合は、それ
以下のチャネル数で限界となる。第1L図および第1M図の
送受信機90B,90Cはこのような技術的問題を軽減もしく
は除去するのに大きな効果がある。
第1D図の無線基地局30Bには、送受信機が各1個しか
なく、これを制御チャネルと通話チャネルとに共用する
方法をとるシステムにあっては、1つの移動無線機50
(B,C,D)と通話チャネルを用いて通信中においても、
前述したのと同様に送受信する無線周波数を信号に妨害
を与えないような切替速度で、通話チャネルと制御チャ
ネルを反復切替えることにより、新しく発着呼を希望す
る移動無線機50(B,C,D)に対しても、発着呼動作を受
付け、かつ通話を可能とすることができる。
以下、さらに第1F図を用いて説明するが、第1C図,第
1D図,第1J図,第1K図の無線基地局30,30B,30D,30Eおよ
び第1L図,第1M図の送受信機90B,90Cを具えた無線基地
局30Cの機能もほぼ同一である。
制御部38Cでは、まず基本機能として、つぎの機能を
具備している。
i)自己の無線基地局30Cに含まれた送受信機90の送受
信部31に対し、電波の送信の発射または停止の指令およ
び送信電力レベルの制御。
ii)自己の無線基地局30Cの受信部33に対し電波の受信
指示または停止の指令。
iii)関門交換機20に対し、ダイヤル信号送出可否の通
知、音声の送受話可否の通知。
iv)シンセサイザ群35−1〜35−nおよび36−1〜36−
nに対し発振周波数(チャネル)指定と、発振指令およ
び停止指令。
v)受信および送信切替用制御器45,47に対し、制御指
令。
vi)通信品質監視用受信機93−1〜93−mからの情報に
よる使用チャネルの変更適否の判断、ならびに品質情報
を対向する移動無線機50(B,C,D)へ伝達することの可
否の判断。
vii)干渉妨害検出器42からの情報による使用チャネル
の変更適否の判断。
viii)ID識別記憶部34Cからの情報により、通信すべき
相手方IDの確認および使用チャネルの決定。
ix)サービス種別の上位の移動無線機よりの要請にもと
づき、現在通話中の移動無線機50(B,C,D)との通信の
早期終了をはかる。あるいは即時終了を実施する。
x)受信および送信切替用制御器45,47に対し、オン・
オフのデューテイ条件の決定。
xi)制御決定に関して、移動無線機50(B,C,D)より下
位にあること。これは制御上の判断に関し、移動無線機
50(B,C,D)と相違した時には、移動無線機50(B,C,D)
に対して主導権を譲渡することである。ただし、xi)に
ついては、説明の便宜上定めたもので、実際のシステム
では、無線基地局30(B,C,D,E)に主導性をもたせても
一向に差支えなく実施可能である。
xii)すでにa),b)で説明したように通話チャネルと
制御チャネルを兼用する無線機にあっては(A)で説明
した移動無線機50(B,C,D)と同様に、第1D図に示すよ
うに複数個のシンセサイザ35−1〜35−n,36−1〜36−
nを有し、送受信する無線周波数を信号に妨害を与えな
いような切替速度で通話チャネルと制御チャネルを反復
切替えることにより、新しく発着呼を希望する移動無線
機50(B,C,D)に対しても発着呼動作を受付け、かつ通
話を可能とする機能を有すること。
つぎにi)〜xii)の機能を複合して使用することに
より、つぎの応用機能を具備している。
1)自己の無線基地局30(B,C,D,E)の周辺で動作中の
他の無線基地局や、他の移動無線機で使用している無線
チャネルをID識別記憶部34Cに記憶させ発呼または通信
中チャネルの切替えのときに活用する。
2)x)およびxi)の機能の一つの応用として、通話ト
ラヒックの輻輳時において、発呼の抑圧、使用チャネル
の切断もしくは早期終了勧告の実施。
3)i),vi),vii)の機能を用い、自己の無線基地局3
0における最適送信レベルの設定。
4)3)の機能の一つの応用として、ディジタル信号の
伝送に対し、最適信号速度を決定すること。
5)通信の種類(電話、FAX、データなど)により最適
使用チャネルを決定する。
また、他のゾーンへ移行することにともなう制御機能
としては、 6)通信中チャネル切替希望の移動無線機50(B,C,D)
からの信号にもとづき、受信品質データの連絡および新
無線基地局30(B,C,D,E)として選定した場合、交信の
開始。
7)関門交換機20に対しては、移動無線機50(B,C,D)
からの要請にもとづき、通話路のスイッチ群23の開閉お
よび通話路の並列使用要求の実施。
8)通話中チャネル切替実施後、一定時間はそれまで通
信していた移動無線機50(B,C,D)のIDおよび通話チャ
ネル番号を記憶する。
9)移動無線機50(B,C,D)よりの位置登録信号(制御
チャネル使用)を受信した各無線基地局30(B,C,D,E)
よりの報告にもとづき、その移動無線機50(B,C,D)のI
D(自己識別情報)を関門交換機20に含まれた通話路制
御部21を介してID識別記憶部24へ記憶する。この場合本
発明では複数の無線基地局30(B,C,D,E)より位置登録
要求がなされるから、移動無線機50(B,C,D)で受信し
た信号の品質(S/N,C/N等のデシベル値)も合せて記憶
する。
10)移動無線機50(B,C,D)よりの発呼信号(制御チャ
ネル使用)を受信した各無線基地局30(B,C,D,E)から
の報告にもとずき、受信信号品質の最も良い無線基地局
や次に良い無線基地局30(B,C,D,E)あるいは移動無線
機50(B,C,D)の移動方向や速度等の検出により、移動
先ゾーンを見越した新ゾーンの無線基地局30(B,C,D,
E)を選定する。これに対しては、その無線基地局に割
当てられている無線チャネルの中から移動無線機50(B,
C,D)との通信に使用すべきその時点で使われていない
通話チャネル番号の指定をする。通信品質の劣化した無
線基地局に対しては、移動無線機50(B,C,D)との交信
を停止する指令信号を送出する。
11)後述する高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)
からの位置登録、発着呼および通話中チャネル切替に関
しては、その確認する機能および送受信タイバーシティ
を適用する機能さらに移動無線機50(B,C,D)や関門交
換機20に移動無線機50(B,C,D)が高速モードであるこ
とを報告する機能、あるいは移動無線機50(B,C,D)に
対し送受信ダイバーシティの適用を指示する機能等を有
する。
ただし第1C図に示す無線基地局30においては、ダイバ
ーシティ送受信は適用しないことは当然である。
以上の制御機能を一言で表現すれば、従来技術におい
て用いられていた第9図の無線回線制御局12の機能の一
部を、無線基地局30(B,C,D,E)および移動無線機50
(B,C,D)へ収容したので、無線回線制御局12の全機能
の収容が可能となり、無線回線制御局12の廃止を可能と
した。
しかしながら、従来技術を用いて、無線基地局30をイ
ンテリジェント化したとしても、その効用には限界があ
り、とくに無線回線制御の能力の向上や、通話中チャネ
ル切替時の瞬断の除去には全く効果がなく、本発明によ
る方法を用いてはじめて名実ともにインテリジェント化
されるということになる。
(C)関門交換機20 第1A図に示される構成を有する関門交換機20は、本発
明による移動通信システム内における移動無線機50(B,
C,D)の位置情報の記憶をし(ID識別記憶部24の機
能)、移動無線機50(B,C,D)相互間における通話路設
定を行い、通話路制御部21の制御によるスイッチ群23の
開閉の実行、および移動通信システム内の移動無線機50
(B,C,D)とシステム外の電話網10との発着呼の通話路
設定を行い、通話路制御部21の制御によるスイッチ群23
の開閉の実行を担当する。
以下、関門交換機20の機能を詳細に説明する。
a)移動無線機50(B,C,D)よりの発呼に関連して開閉
すべきスイッチ群23の動作の実行、ならびに被呼者が電
話網10に含まれている場合には、関門交換機20宛の被呼
者との通話設定に必要な情報の伝達。
b)移動無線機50(B,C,D)への着呼信号が電話網10に
含まれている発呼者から関門交換機20を経て伝送されて
きた場合に、通話路制御部21を介して開閉すべきスイッ
チ群23の動作の実行、ならびにID識別記憶部24の検索に
よる被呼移動無線機50(B,C,D)の現在位置の確認をす
る。
ID識別記憶部24には、関門交換機20の配下のすべての
無線基地局30(B,C,D,E)の位置が記憶されており、ま
た各無線基地局30(B,C,D,E)へ位置登録されたすべて
の移動無線機50(B,C,D)の位置が記憶されいる。無線
基地局30(B,C,D,E)のうち道路沿いに設置されている
もの等であって、移動無線機(B,C,D)が自動車に搭載
され通信を行う際に、対向して通信を行うに適する無線
基地局30(B,C,D,E)を高速移動モード用無線基地局と
して別管理する機能を有する。なお別管理された無線基
地局30(B,C,D,E)は、主として道路沿いに配置されて
おり、後述するごとく自己識別情報(ID)は、道路に沿
って順に、たとえば1,2,3,4,…,m,m+1,…、というよう
な一定の法則に従って与えられる。したがって高速移動
モードの移動無線機50(B,C,D)は、現在通信中の無線
基地局30(B,C,D,E)のIDや、その前に通信していた無
線基地局30(B,C,D,E)のIDから通話中チャネル切替後
の次に交信すべき無線基地局30(B,C,D,E)のIDを予測
可能であり、高速移動中であるのにかかわらず、円滑に
通話中チャネル切替の実行が可能となる。関門交換機20
はこのような状態にある移動無線機50(B,C,D)に対し
助言を与えて、高速移動モードの移動無線機50(B,C,
D)を別管理する機能を有する。
c)移動無線機50(B,C,D)への着呼に関連して、被呼
移動無線機50(B,C,D)の現在位置を登録したゾーンを
カバーする無線基地局30(B,C,D,E)への呼出信号の送
出指示。まずこの呼出信号はその移動無線機50(B,C,
D)の現在位置登録がされているすべての無線基地局30
(B,C,D,E)へ送出され、これを受けた各無線基地局30
(B,C,D,E)では、下り制御チャネルを用い移動無線機5
0(B,C,D)宛の着呼信号を同時刻に送出する。ただしこ
の送出時刻は、必ずしも同時刻でなくてもよく、各無線
基地局30(B,C,D,E)ごとに時系列的に順次送出しても
よい。すなわち信号の時間差による干渉妨害をさける対
策が講じられていればよい。
d)移動無線機50(B,C,D)が通話開始後、システム内
の通信トラヒック事情が許せる場合は、送受信ダイバシ
ティ実施の判断および動作遂行の指示。
e)送受信ダイバーシティ実施中の移動無線機50(B,C,
D)に関し、トラヒックの輻輳あるいは重要加入者の発
呼や広帯域信号サービス希望者がその時刻に現れた場合
には、送受信ダイバーシティの多重度(使用チャネル
数)の減少ないし、ダイバーシティの停止の判断および
実行。
f)a)〜e)項により、通信中の移動無線機50(B,C,
D)が、場所の移動にともない同一ゾーン内において
も、あるいはゾーンを移行し無線基地局30(B,C,D,E)
との通信品質が劣化した場合にはそのチャネルに対し、
通信(話)中チャネル切替の動作遂行の判断。なお、こ
の動作を遂行するには、対向する無線基地局30(B,C,D,
E)に対し制御信号を送る必要があるがこの指示(制御
信号)は、第2図(a)に示すように通話チャネルを用
い通話信号の周波数帯域の上または下側周波帯域を用い
行われる。
g)移動無線機50(B,C,D)が、移動することにより、
対向して通信中の各無線基地局30(B,C,D,E)の受信品
質変化の測定結果を移動無線機50(B,C,D)に報告させ
ることにより、移動無線機50(B,C,D)の移動方向およ
び移動速度を推定し、一方別途調査した移動無線機(B,
C,D)の移動方向の無線基地局30(B,C,D,E)におけるト
ラヒック状態(通話チャネルの使用状態)を総合的に判
断し、必要により、これらの無線基地局30(B,C,D,E)
と交信中の移動無線機50(B,C,D)の送受信ダイバーシ
ティの多重度の逓減または増加の判断を行い実行する。
h)後述する高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)
からの位置登録,発着呼,通話中チャネル切替に関して
は、その確認する機能、および無線基地局30(B,C,D,
E)や移動無線機50(B,C,D)に対して送受信ダイバーシ
ティあるいは制御信号の再送回数の増加等を適用すべき
ことを指示する機能を有する。
つぎに、システム全体の作用を、以下の項目順に説明
する。
(1)位置登録 (2)発呼動作 (3)着呼動作 (4)トラヒック閑散時におけるダイバーシティの適用 (5)通話中チャネル切替およびダイバシティ効果の説
明と理論的根拠。
(6)移動無線機の移動速度の推定とトラヒック輻輳対
策上の通話チャネル割当法。
(7)高速移動中の移動無線機の位置登録方法および発
着呼等の動作 (1)位置登録(低速移動モード時) 移動無線機50の常置場所であるホーム・エリア、ある
いはホーム・エリア以外のサービス内のエリアであるロ
ーム・エリアにおいて、すでに関門交換機20および周辺
の無線基地局30−1〜30−nが動作しているときに、移
動無線機50の電源スイッチがオンされて、動作を開始す
ると、最初に行われるのが位置登録動作である。この位
置登録動作の流れを第4図に示し、説明する。
移動無線機50の電源スイッチがオンされると、現在の
位置を登録するために、位置登録信号が上り制御チャネ
ル(CH)を用いて、周辺の無線基地局たとえば30−1〜
30−nに対して送出される(S201、第4図)。
この移動無線機50からの位置登録信号を受信すると
(S202)、無線基地局30では、受信品質を検査し、ID識
別記憶部34に記憶する(S203)。
受信品質を検査した結果一定値以上である場合には
(S204YES)、位置登録要求信号を受信品質データとと
もに関門交換機20に対し送出する(S205)。この登録要
求信号を複数の無線基地局30から受信した(S206)関門
交換機20では、受信品質を含めて位置登録する(S20
7)。
関門交換機20では、同様に複数の無線基地局30−1〜
30−nに受信品質および位置が記憶されていることを登
録する。この登録作業が完了すると、登録完了信号が各
無線基地局30に対して送出される(S208)。この登録完
了信号を受信した(S209)各無線基地局30では、下り制
御チャネルを用いて移動無線機50に転送する(S210)。
登録完了信号を受信した(S211)移動無線機50は、受
信内容を検査して登録された各無線基地局30のID(識別
番号)をIDローム・エリア情報照合記憶部54に記憶する
(S212)。
以上の動作により位置の登録動作は終了し、着呼に対
して待機状態に入る。
なお、以上の説明から明らかなように、本発明による
移動通信システムの移動無線機50の位置登録は、従来の
システムと異なり複数の場所(無線基地局単位)に登録
することとなる。これが本発明の1つの特徴を表わすも
のである。
また、無線基地局30、および関門交換機20では、位置
登録情報を記憶する場合に、移動無線機50から送られて
きた位置登録信号の品質を測定し、その値を含めて記憶
する。それゆえ、たとえば関門交換20では、移動無線機
30の位置登録信号を記憶するのに、受信品質の上位だっ
た無線基地局30のIDとともに、たとえば、つぎに示すよ
うに受信品質の良い順に記憶する。
同様に各無線基地局30も無線基地局30が受信した情報
のみならず、第1表に示すような周辺の無線基地局30の
受信情報も合せて記憶する。これは移動無線機50との間
で通話路が設定されたとき移動無線機50の移動にともな
う通話(信)中チャネル切替実施のときに有用な情報で
あるばかりでなく、移動無線機50の移動速度を推定する
のに必要だからである。
上記と同様な理由のために、移動無線機50内のIDロー
ム・エリア情報照合記憶部54においても、第1表と同様
の情報を記憶せしめる。
つぎに移動無線機50が待受中(通話しない状態)にお
いて位置登録したゾーンから移動し、隣接ゾーンへ移行
したとする。この移動の認識は、たとえば無線基地局30
(B,C)から常時制御信号が送出されているシステムで
は、受信した制御信号に含まれている無線基地局30のID
を移動無線機50で記憶しているIDと照合すれば判別でき
る。
無線基地局30から常時には制御信号が送出されていな
いシステムでは、所定の時間間隔で移動無線機50から周
辺の無線基地局30宛に上り制御チャネルを用いて下り制
御信号送出要請を行い、これに応じて各無線基地局30か
ら送られてきた無線基地局30のIDを移動無線機50で記憶
しているID情報と照合することにより可能となる。
以上いずれのシステムにおいても、この結果得られた
無線基地局30のID情報のうち、それまで移動無線機50で
記憶していた基地局ID情報と異なる新しい基地局ID情報
がすくなくとも1つ以上あることを発見した場合には、
移動無線機50は新ゾーンへ移行したものと判断し、制御
部58(第1−2図参照)は、IDローム・エリア情報照合
記憶部54への位置登録の更新を実行する。すなわち上り
制御チャネルを用いて移動無線機50のID情報を周辺の無
線基地局30へ送信する。
この信号を良好に受信した複数の無線基地局30では、
すでに説明したのと同様の手続きを行い、関門交換機20
へ移動無線機50の位置登録信号を送出する。この信号を
受信した関門交換機20では、その内部のID識別記憶部24
を動作させ移動無線機50の位置登録情報として、従来の
情報から、新情報に書きかえさせる。これにより、移動
無線機50の位置登録が更新される。
以上の更新作業は、移動無線機50が待受時であるから
必要なのであり、通信(話)中に新ゾーンへ移動した場
合には、後述するように、関門交換機20へは新通話チャ
ネルの割当を新無線基地局と移動無線機50との間で行わ
せる時、同時に位置登録を更新させるので、特別の動作
は不要である。
なお、無線基地局30に設置される無線機の数が少な
く、制御チャネル用の無線機を通話チャネル用に転用す
るシステムにおいては、無線基地局30が他の移動無線機
50と通信中のときは、従来技術を用いたのでは、他に待
機中の無線機がないため、たとえ別の移動無線機から位
置登録要求が出されても、無効呼となっていた。ところ
が移動無線機の構成として、たとえば第1−2図に示す
ような複数のシンセサイザ55−1〜55−n,56−1〜56−
nや切替スイッチ64−1,64−2などを具備させることに
より、送受信チャネルをチョップしながら反復して切替
える方法により、すでに他の移動無線機と通信中であっ
ても、新しく着呼した移動無線機との制御チャネルによ
る交信が可能である。したがって位置登録を受付けるこ
とが可能となる。
(2)発呼動作 移動無線機50(B,C,D)からの発呼動作について説明
する。
移動無線機50(B,C,D)は電源がオンされており、
(1)項で説明した位置登録が完了しているものとす
る。移動無線機50(B,C,D)から同一システム内の他の
移動無線機、あるいは第1A図に示されている電話網10に
収容されている電話機を呼ぶ場合の発呼動作は、現在使
用されている自動車電話機からの発呼と同様にダイヤル
操作が行われる。
さて、使用者が第1B図に示される移動無線機50の電話
機部59の送受話機をあげる(ハング・オフ)動作をす
る。この状態では、移動無線機50から送出する発呼信号
が、どのタイミングで上り制御チャネル(移動無線機50
から無線基地局30(B,C,D,E))に送出すべきかを、移
動無線機50の制御部58は知っている。それは発呼状態以
前の待呼時において、すでに複数の無線基地局30(B,C,
D,E)から送出されている下り制御チャネル(無線基地
局30(B,C,D,E)から移動無線機50)を、この移動無線
機50は捕捉しており、この中に含まれている制御信号の
発呼可のタイミングを認知しているからである。
また移動無線機50では、第1B図に示す全機能が活動状
態にはいる。とくに、シンセサイザ55−1,55−2,…,55
−nに対しては局部発振周波数発振の準備をさせるが、
切替スイッチ64−1はシンセサイザ55−1を選択する位
置に固定する状態を保持する。また、シンセサイザ55−
1に対して制御部58では制御信号を送出し、下り制御チ
ャネル受信のための局部発振周波数を発振させる。一
方、移動無線機50の周辺にある無線基地局30−1,30−2,
…,30−nでは、その無線基地局には無線機が1台しか
存在していない場合、他の移動無線機と通信中か否かに
より、つぎの動作で移動無線機50からの上り制御信号の
受信につとめている。
まず、その時点で他の移動無線機と通信中の無線基地
局30(B,C,D,E)では、その無線基地局30(B,C,D,E)に
ある受信および送信切替用制御器65C,67C、およびシン
セサイザ55−1,55−2,56−1,56−2が動作中であり、こ
のうち55−1,56−1は他の移動無線機との通信に必要な
局部発振周波数を出力し、シンセサイザ55−2および56
−2は制御チャネルでの交信を必要とする局部発振周波
数を出力している。それゆえ、無線基地局30(B,C,D,
E)の近傍に居る移動無線機50からの発呼には、直ちに
応じられる状態を保っている。
つぎに、その時点で他の移動無線機との通信もなく、
制御チャネルで待機中の無線基地局30(B,C,D,E)にあ
っては、無線受信回路68の受信状態を制御チャネルを受
信できるようにして固定している。したがって無線送信
回路66などは休止中であり、単に無線受信回路68、シン
セサイザ55−1のみが動作中である。
さて、以上の状態の下において移動無線機50から発呼
要求信号が送信される。この移動無線機50のIDを含む発
呼要求信号は、第1B図の制御部58で作成され、無線送信
回路66へ送られる。無線送信回路66では変調が加えら
れ、適当なレベルにに増幅後、送信ミクサ61からアンテ
ナに加えられ無線基地局30−1等へ送られる。
この信号を良好に受信した無線基地局30−1等におい
ては、受信信号の内容を検査して、無線基地局30−1の
ID識別記憶部34に記憶され、位置登録の完了している移
動無線機50からの発呼であることを確認し、無線基地局
30−1で受信した受信品質の数値および空チャネル番号
を加えて、発呼してきた移動無線機50へ返信し、移動無
線機50が使用すべき通話チャネル番号を決定するように
要請する。もし無線基地局30−1の記憶部34に記憶され
ていない移動無線機であれば、この時点で記憶し、この
追加した情報を移動無線機50へ返信する。ただし、この
場合返信のタイミングは、他の無線基地局からの返信に
干渉妨害を与えないように前述したような受信品質と関
連したものとする。
一方、これら周辺の無線基地局30−1,30−2,…,30−
nからの応答信号を受信した移動無線機50では、その時
点における通話トラヒック状態を考慮し、ダイバーシテ
ィ送受信すべき無線基地局の数を決定する。すなわち無
線基地局30−1,30−2,…,30−nからの応答信号の内容
を検査し、通話品質が一定の規格を満足しているものの
うちから、移動無線機50の移動方向や速度、移動無線機
50に具備されているダイバーシティ送受信可能な多重
度、電波妨害を発生するおそれのない空通話チャネルお
よび周辺のトラヒック状態等から、無線基地局30−1,30
−2ないし30−nと通信することを決断したとする。こ
の場合移動無線機50では上り制御チャネルを用い、無線
基地局30−1,30−2,…,30−nに対し、それぞれ使用す
る通話チャネル番号を通知し、同番号のチャネルで待機
するように要求する。
これら無線基地局30−1,30−2,…,30−nでは、制御
信号に指示されたタイミングをもって、それぞれ無線基
地局30−1〜30−nが指示された通話チャネルで待機中
であることを報告する。
上述の複数の無線基地局30−1〜30−nからの移動無
線機50への報告(送信)は同時期に送信しても差支えな
い。ただし、この場合、帯域外にそれぞれ占有周波数帯
を異ならせ、どの無線基地局30(B,C,D,E)から送信さ
れたかを移動無線機50で識別させることが必要になる。
以上の発呼動作の流れを、第5A図および第5B図に示し
説明する。ただし移動無線機50と通信する無線基地局30
は1局(30−1)だけ代表して示した。関門交換機20お
よび無線基地局30−1はすでに動作を開始しており、移
動無線機50も動作を開始して、第4図で説明した位置登
録作業を終了している。送受信機があげられて(オフ・
フック)、上り制御チャネル(CH)を用いて、このオフ
・フック信号と、移動無線機50のID(識別番号)が送出
される(S231、第5A図)。
これを受けた無線基地局30−1では、移動無線機50の
IDを検出し、ID識別記憶部34にすでに記憶されているも
のであることを確認する(S232)。
そこで無線基地局30−1は、移動無線機50から受信し
た受信品質の値および現在の空チャネル番号を加えて発
呼応答信号として下り制御チャネルを用いて送出する
(S233)。
このような発呼応答信号を複数の無線基地局30から受
けた移動無線機50は、各無線基地局30からの受信品質の
値を検討し、ダイバーシティ送受信可能な、たとえば無
線基地局30−1〜30−nを選択し、空チャネルを確認し
(S234)、使用する通話チャネルを指定する信号を送出
する(S235)。ここで、無線基地局30−1に対してはチ
ャネルCH1を送出する。無線基地局30−1では、移動無
線機50が指定してきた通話チャネルが空いていることを
確認して、そのチャネルに切替えて(S236)、チャネル
切替完了報告を下り制御チャネルを用いて送出する(S2
37)。この切替完了報告を受けて(S238)、移動無線機
50では、指定した通話チャネルでダイヤル・トーンを待
つ(S239)。
一方、無線基地局30−1では、関門交換機20に対して
発呼信号を送出する(S240)。これを受けた関門交換機
20は、移動無線機50のIDや、通信品質をID識別記憶部24
に記憶し、通話路制御部21の制御によりスイッチ群23
の、たとえばSW1−1をオンして無線基地局30−1を電
話網10の交換機11に接続する(S241)。
そこで交換機11側からは、関門交換機20のスィツチ群
23を介してダイアル・トーンが送出される(S242、第5B
図)。
このダイアル・トーンは無線基地局30−1でチャネル
CH1(下り)により転送されて(S243)、移動無線機50
で受信され、通話(信)が設定されたことを確認する
(S244)。移動無線機50は、宛先のダイアル信号をチャ
ネルCH1(上り)を用いて送出し(S245)、無線基地局3
0−1により転送されて(S246)、交換機11が動作して
電話網10の宛先までの通話(信)路が設定される(S24
7)。その後通話がなされる(S248)。
通話が完了すると、送受話器がオン・フックされて
(S249)、オン・フック信号と終話信号が移動無線機50
からチャネルCH1(上り)を用いて送出される(S25
0)。これにより無線基地局30−1は終話を確認し(S25
1)、終話を関門交換機20に伝える。そこで関門交換機2
0では、スイッチ群23のスイッチSW1−1をオフにし、通
話が終了する(S252)。
なお、高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)から
の発呼については後述する。
(3)着呼動作 以上は移動無線機50(B,C,D)からの発呼について本
発明を説明したが、以下移動無線機50(B,C,D)への着
呼の動作の流れを第6A図および第6B図を用いて説明す
る。ここでは多くの無線基地局30のうち、30−1を代表
して示した。たとえば無線基地局30−1などの近傍に存
在する移動無線機50等はすべての無線基地局30で共通し
て使用する制御チャネルで待受けている。
第1A図において電話網10から関門交換機20に移動無線
機50宛の着呼信号が入来したとする。関門交換機20内の
ID識別記憶部24では、入来した着呼信号を検査し、被呼
者のIDを調べたところ現在位置登録されている無線基地
局30(複数)が検索されたとする。すると通信制御部21
を経由して移動無線機50が位置登録されているすべての
無線基地局30宛に着呼信号を同時に送出する(S271、第
6A図)。
この信号を受信した各無線基地局30では、自局内のID
識別記憶部34(C)を検索し移動無線機50のIDがそこに
記憶されていることを確認すると、下り制御チャネルを
用いて、移動無線機50宛に着呼および通話チャネル指定
要請の信号を無線基地局30−1のIDを加えて送出する。
他の無線基地局30にも同様な動作で移動無線機50を実質
的に同一時刻に呼出すことになる(S272)。
一方、この着呼信号は制御チャネルで待受中の移動無
線機50で受信され、受信信号の品質や信号の内容を検索
し、移動無線機50宛の着呼信号であることを確認した後
は(S273)、移動無線機50が近傍の通話トラヒック状態
を考慮の上、それぞれ無線基地局30−1,30−2,…,30−
nと通信可能な通話チャネルを決定し、上り制御チャネ
ルを用いて、無線基地局30−1,30−2,…,30−n宛に送
信する(S274)。またこれと同時に移動無線機50(第1B
図)内の各シンセサイザ55−1,55−2および56−1,56−
2,…,56−nや切替スイッチ64−1,64−2と受信および
送信切替用制御器65Cおよび67Cを動作させ、たとえば通
話チャネルCH1(無線基地局30−1用)、通話チャネルC
H2(無線基地局30−2用)、……,通話チャネルn(無
線基地局30−n用)で送受信可能な状態に移行させる。
移動無線機50からの上り制御チャネルを受信した各無線
基地局30−1〜30−nでは、受信信号の品質を検査し、
発信した移動無線機50のIDを確認して(S275)、着呼応
答信号を関門交換機20に対して送出する(S276)。
この関門交換機20への着呼応答信号には、通話路設定
のためのスイッチ群23への信号も含まれている。そこで
この着呼応答信号を受けると、関門交換機20では、移動
無線機50のIDがすでにID識別記憶部24に記憶されている
か否かを確認し、記憶されていない場合には、無線基地
局30−1の品質検査のデータとともにID識別記憶部24に
登録し(S277)、この記憶したIDなどを含む応答確認信
号を無線基地局30−1などへ送出する(S278)。
この応答確認信号を受けた無線基地局30−1では、移
動無線機50のIDが正しく登録されたことを確認し(S27
9)、移動無線機50から指定されたチャネルが空いてい
るか否かを確認して切替えの可否を検討し(S280、第6B
図)、その結果である切替え認否の信号を下り制御チャ
ネルで移動無線機50に送出する(S281)。
この切替え認否の信号を受信した(S282)移動無線機
50では、空きチャネルが無いために、指定したチャネル
の切替えが認められない場合には(S283NO)、ステップ
S274にもどり、別の通話チャネルを指定する(S274)。
指定したチャネルが空きチャネルであり、切替えが認め
られた場合には(S283YES)、そのチャネルに切替え
て、チャネル切替完了報告を上り制御チャネルを用いて
送出する(S284)。
空きチャネルに切替えられたことを確認した(S285)
無線基地局30−1では、このチャネルに切替えて、チャ
ネル切替完了信号を関門交換機20に対して送出する(S2
86)。
関門交換機20では、チャネル切替完了信号を受ける
と、交換機11を介して電話網10への通話路を設定するた
めに、通話路制御部21を動作させてスイッチ群23のたと
えばSW1−1をオンにして、無線基地局30−1と電話網1
0とを接続する(S287)。そこで電話網10側からは関門
交換機20を介して呼出信号が送出され(S288、第6C
図)、これを無線基地局30−1で確認する(S289)。そ
こで呼出ベル信号を設定された通話チャネルCH1で送出
し、移動無線機50で呼出音を発生する(S291)。
この呼出音により移動無線機50側の送受話器が持ち上
げられる(オフ・フック)と(S292)、チャネルCH1で
オフ・フック信号が送出され、無線基地局30−1で転送
されて(S293)、関門交換機20に受信されて(S294)、
電話網10と移動無線機50との間で通話が開始される(S2
95)。
通話が終了すると、送受話器がおろされ、オン・フッ
ク信号と終話信号がチャネルCH1により無線基地局30−
1に送られ(S296)、終話を確認した無線基地局30−1
では、この信号を転送する(S297)。このオン・フック
信号および終話信号を受けた関門交換機20は、通話路制
御部21を動作せしめてスイッチ群23のSW1−1をオフし
て終話する(S298)。
以上の説明において、無線基地局30−1に設置された
制御用の送受信機を通話チャネル用に転用するシステム
においても、移動無線機の構成で説明したような送受信
チャネルを時間的に反復切替える方法により、すでに第
3の移動無線機と通信中であっても、新しく着呼した移
動無線機と制御チャネルを用いて交信することが可能で
ある(第1D図,参照)。
すでに説明した(2)発呼動作および(3)着呼動作
に例示したシステムでは、無線チャネルとして、制御用
の専用の無線チャネルと通話専用の無線チャネルとが明
確に分けられているものであった。しかし実際のシステ
ムでは、この区別が明確でないものもある。そのような
システムにおいては、特定の通話チャネルを以上に説明
した制御チャネルに見立てて同等の動作を行わせること
が可能である。
なお、高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)につ
いては後述する。
(4)トラヒック閑散時におけるダイバーシティの適用 (2)項および(3)項で説明したような発着呼動作
により、電話網10内の一般の電話機Aと移動無線機50
(B,C,D)との間で(あるいはシステム内の2つの移動
無線機間で)通信が開始されたとする。この場合移動無
線機50(B,C,D)が通信する無線基地局30(B,C,D,E)は
1つで、かつシステム内の通信トラヒック状態、すくな
くとも移動無線機50(B,C,D)の近傍におけるトラヒッ
ク状態は、ビジー・アワーすなわち最繁時ではないとす
る(無線基地局30(B,C,D,E)の数が2またはそれ以上
の場合でも同様に実施可能である)。
すると移動無線機50(B,C,D)では、ダイバーシティ
送受信を行う準備を開始する。そのため第1B図に示す移
動無線機50(B,C,D)を例にとると、その制御部58は送
信切替用制御器67Cおよび受信切替用制御器65Cのそれぞ
れに対し、動作開始指令信号を送るとともに、現在動作
中のシンセサイザ55−1および56−1の他にシンセサイ
ザ55−nおよび56−nに対し制御チャネルCH50が送受信
可能なように、周波数発振を要求する。同時に制御部58
では無線送信回路66に対し、制御信号の送出を開始す
る。この制御信号には、移動無線機50(B,C,D)のID、
通信の種類(音声、データ等の種別)、現在使用中のチ
ャネル番号を含み、かつこれを受信した周辺の現在通信
中でない無線基地局30(B,C,D,E)に対しダイバーシテ
ィ送受信の動作開始を要求する。ただし以上の無線基地
局30(B,C,D,E)に対する条件は、もしその無線基地局3
0(B,C,D,E)が、第1D図または第1E図,第1F図,第1J
図,第1K図,第1L図,第1M図に示されたような構成がな
されている場合には、第3者の移動無線機と通信中であ
ってもさらに新しく移動無線機と通話が可能であるので
この条件を緩和することが可能である。
以上の動作により、移動無線機50(B,C,D)の送信ミ
クサ61の出力には、現在通信中のチャネルCH1の他に、
制御チャネルCH50による送信が得られ、一方受信ミクサ
63へは現在通話中の通話チャネルCH1の受信の外に制御
チャネルの受信も可能になる。これは(5)項の通話中
チャネル切替の動作で詳細に説明されている。
移動無線機50(B,C,D)から送信された制御信号は最
寄りの複数の現在通信中でない無線基地局30−2,30−3,
…,30−nで受信される。すると、この中の1つである
無線基地局30−2では、受信信号の品質や信号の内容を
検査した結果、移動無線機50(B,C,D)から受信した信
号の品質が一定値以上であり、かつ直ちに通信品質が低
下することはなく、干渉妨害の発生の可能性もないと判
断したときは、送信してきた移動無線機50(B,C,D)に
対し無線基地局30−2のID、使用可能な無線チャネル番
号(たとえばCH2)等を含む制御信号を移動無線機50
(B,C,D)宛に送信し、ダイバーシティ送受信可の報告
を行う。
この信号は移動無線機50(B,C,D)の無線受信回路68
で受信され、制御部58に伝達される。これを受信した制
御部58では、無線基地局30−2から送られてきた信号を
吟味した結果、ダイバーシティ送受信を行うことが適切
であると判断し、シンセサイザ55−2および56−2に対
し、チャネルCH2で通信を無線基地局30−2との間で開
始するために、局部発振周波数の発生を要求する。また
無線基地局30−2へは、関門交換機20内の通話路制御部
21に対し、スイッチ群23を動作させ現在通信中の通話信
号を無線基地局30−2に対しても並列送出することを要
求する。
この要求を受けた関門交換機20では、無線基地局30−
2の要請にしたがい、音声信号すなわち一般の電話機か
らの音声信号を無線基地局30−1のみでなく同30−2宛
にも同一信号で送出を開始する。
この音声信号を受信した無線基地局30−2では、移動
無線機50(B,C,D)宛に無線基地局30−2のID等を加え
無線チャネルCH2で送出する。一方、移動無線機50(B,
C,D)では無線チャネルCH2の受信が可能な状態になって
いるので、この信号を受信した無線受信回路68の出力を
通信品質監視部57で検査した後、品質が良好であれば音
声信号は電話機部59へ、制御信号は制御部58へ伝達され
る。
以上の動作を実行することにより、移動無線機50(B,
C,D)は無線基地局30−1および30−2との間でダイバ
ーシティ送受信状態に入ることになる。
上述した移動無線機50(B,C,D)から、その周辺にあ
る無線基地局30(B,C,D,E)へ向けて送信されたダイバ
ーシティ送受信実施要求信号は、無線基地局30−2以外
の無線局30−3,30−4,…,30−nでも同様に受信してお
り、これらのうち条件に適する無線基地局は、30−1と
同様の応答信号を移動無線機50(B,C,D)に送信してい
るはずである。
それゆえ、移動無線機50(B,C,D)の制御部58または
関門交換機20では、さらに多数の無線基地局との間でダ
イバーシティ送受信を行いたい場合には、上述した無線
基地局30−2との間でダイバーシティ送受信したときと
全く同様の動作を行って、すべての動作が正常に働く
と、たとえば無線基地局30−3との間にダイバーシティ
送受信が開始される。
以下、上記と同様な動作により移動無線機50(B,C,
D)の最寄りにあり現在通信中でなく、かつ通信品質が
システムに要求されている一定の基準以上を満たす無線
基地局30−3,30−4,…,30−nに対しても、同様にダイ
バーシティ送受信が開始される。そして、ダイバーシテ
ィの多重度は、交信可能な無線基地局30(B,C,D,E)の
数あるいは移動無線機50(B,C,D)内に具備されている
同時送受信可能な多重度数、すなわち第1B図の場合はシ
ンセサンザ55−1〜55−nまたは56−1〜56−nのnの
数に左右される。
また以上の説明ではシステム内の通話トラヒックが混
んでいない場合を想定したが、トラヒック状態は各無線
基地局30(B,C,D,E)あるいは移動無線機50(B,C,D)で
測定されており、トラヒックが順次輻輳してきた場合に
は、ダイバーシティの多重度に関し、順次制限が加えら
れ、最繁時には、多重度1すなわちダイバーシティなし
の状態にまで移行することになる。ただし通信されてい
る通信の種類(音声、データ、ファクシミリ等の別)に
より多重度の低減に差別を設けることにより、広帯域通
信ほど多重度の制限を受けにくくする等、システム的処
理が可能となり、通信の種類にかかわらず良好な通信の
確保が可能となる等の特徴を本発明は有している。
(5)通話中チャネル切替およびダイバーシティ効果の
説明と理論的根拠 n−1個の無線基地局30(B,C,D,E)と1個の移動無
線局50(B,C,D)とが、N−1個のチャネルを用いて交
信している最中に、その内のあるチャネルにおける通信
の品質が一定値以下になった場合には、一定の通信品質
を満足する現在通信していない他の1つの無線基地局30
(B,C,D,E)との間で他の1つのチャネル(新チャネ
ル)に切替えて交信するために先立って、切替受信手段
と切替送信手段とを通信信号に影響を与えない速度で切
替えて、継続して送受信中のn−2個のチャネル以外の
旧チャネルと新チャネルを一時的に並行して送受信する
ようにし、その間に新チャネルの品質を調査して一定レ
ベル以上であることを確認すると、チャネル切替のため
の動作を終了して、新チャネルを含むn−1個の無線チ
ャネルによって交信するようにした。したがってチャネ
ル切替による通信の瞬断を生ずることがなくなった。こ
のほか、チャネル切替を実施しない場合を含めて送受信
タイバーシティ効果を得ることが可能となった。
第1A図ないし第1M図は、この動作の一例を説明するた
めのシステム構成を示している。以下これらの図を参照
して説明する。
移動無線機50(B,C,D)(以下、単に移動無線機50と
略す)は、シンセサイザ55−1,55−2,…,55−(n−
1)と無線受信回路68と無線送信回路66を用いて無線基
地局30−1,30−2,…,30−(n−1)と通話チャネルCH
1,CH2,…,CH(n−1)を用いて交信中であるとする。
移動無線機50は、無線基地局30−1から遠ざかり、無線
基地局30−へ近づいたとする。すると移動無線機50と無
線基地局30−1とのあいだの相対距離の増大にともな
い、通話品質が劣化をはじめるので、これを移動無線機
50の通信品質監視部56が検出する(レベルL1以下に低下
したことを検出する)。なお、レベルL1といえども回線
が要求されている値を上回るように設定されている。
移動無線機50は周辺にあるすべての無線基地局30(B,
C,D,E)(以下、単に無線基地局30と略す)に対し、移
動無線機50の送信信号の品質を測定するように要求す
る。この要求に応じ現在移動無線機50と通信を行ってい
ない各無線基地局30は、測定値を移動無線機50宛に報告
する。この場合、自己の移動無線機50の送信アンテナか
ら送出される信号は、無線基地局30−1,30−2,…,30−
(n−1)宛の通話信号を継続的に送信するかたわら、
上り(移動無線機50から無線基地局30へ)制御チャネル
(CH50)により基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)
の周辺にある無線基地局(たとえば30−n)に対し受信
状態が良好ならば、下り(無線基地局30から移動無線機
50へ)制御チャネル(CH50)を用いて応答するように要
求する。
移動無線機50から送出する制御信号の内容には、以下
に示す信号が含まれている。
i)移動無線機50のID。
ii)現在通話中の相手無線基地局30−1,30−2,…,30−
(n−1)のIDおよび受信品質。
iii)現在使用中のチャネル番号。
iv)通信の種類(電話、FAX、データ等)。
v)サービス種別。
このような内容を含む制御信号は、周辺にある複数の
無線基地局30で受信される。
すなわち、これらの無線基地局30は、別の移動無線機
と交信中の場合を除いては、待受時には、各システムで
定められた制御チャネル(たとえばCH50)で受信待機中
であり、各無線基地局30で受信される。同時にこれを受
信した各無線基地局30に設置されている通信品質監視部
36で通信の品質が検査され、一定の品質以上であれば相
手方の移動無線機50のIDを無線基地局30内のID識別記憶
部34に記憶するとともに制御部38へ通知する。この通知
の内容には、つぎに示すものが含まれている。
a)送信してきた移動無線機50のID。
b)移動無線機50が現在通信中である相手側無線基地局
30−1,30−2,…,30−(n−1)のID。
c)使用しているチャネル番号。
d)通信の種類。
e)受信状態(S/NまたはC/N(キャリア対ノイズ比)あ
るいはディジタル信号の場合は平均ビット誤り率)。
f)サービス種別。
この信号を受けた制御部38では、その内容を検査し、
自己の無線基地局30−nが記憶している通信可能な空チ
ャネルを検索する。この結果、移動無線機50が希望して
いるサービスの種類を満たす空チャネルがあり、かつ通
信品質としてチャネル切替後も一定期間所要通信品質を
確保し得ると判断した場合は、自己の無線基地局30−n
より移動無線機50に対し、受信状態を知らせることを決
定する。そのために、まず関門交換機20の通話路制御部
21に対し自己のID、送信してきた移動無線機50のIDおよ
びその通信中の相手の無線基地局30−1,30−2,…,30−
(n−1)のIDなどを送信し、スイッチ群23のスイッチ
SW1−1,1−2,1−nとを同時にオンの状態にし、無線基
地局30−nに対しても、無線基地局30−1,30−2,…,30
−(n−1)(以下30−1等と省略する)と同一の通話
信号の送出を要請する。ただし、この動作は後述するよ
うに、無線伝送路で使用する信号の変調形式が振幅変調
波の場合、あるいは浅い変調の周波数変調の場合は、省
略することが可能である。
つぎに無線基地局30−nに対する無線基地局30−1等
と同一の通話信号の送出要請に対する通話信号の送出時
期に関しては、e)の受信状態により、送信のタイミン
グを決定する。すなわち、受信状態が極めて良好で、た
とえばC/N=40dB以上であれば直ちに送信し、C/N=39〜
30dBのときは2秒後、C/N=29〜29dBのときは4秒後、C
/N=19〜15のときは6秒後など一定の時間経過後に送信
するようにシステム内で定められた手順により受信C/N
値に従って、返信のタイミングを異ならせて前記移動無
線機50へ送信する。このタイミングをとる理由は、他の
無線基地局30との同時制御信号の送信による干渉妨害を
未然に防止するためと、制御信号を受信する移動無線機
50が、受信状態のよい無線基地局30−n等を選択し易く
するためである。
さて、無線基地局30−nから前記移動無線機50に対し
送信する信号には、つぎの内容が含まれている。
1]通話信号……関門交換機20から得た下り(電話網10
内の電話機から移動無線機50への)通話信号。
これは、現在の無線基地局30−1等から移動無線機50
に対し送信中の通話信号と全く同一である。また無線基
地局30−nの送信部31に含まれている変調器で行われる
信号波の変調レベルも無線基地局30−1等の場合と同一
に設定される。
2]制御信号……これには、つぎの信号が含まれてい
る。
2−1)自己の無線基地局30−nが受信した移動無線機
50のID。
2−2)自己の無線基地局30−nのID。
2−3)自己の無線基地局30−nで使用可能(干渉妨害
のない)でかつサービス区別や通信の種類に合致した通
話チャネル番号。
2−4)受信状態(受信C/N値等)。
無線基地局30−nが送信したこのような情報を含む制
御信号は、移動無線機50で受信される。
このようにして各無線基地局30−n等から送られてき
たC/N値等の情報を得た移動無線機50の制御部58では、
これら複数の情報を比較したところ無線基地局30−nの
測定結果が最も値が良く、かつ品質基準のレベルL2
上、ただしL2>L1を満足している事が確認されたとする
と、移動無線機50は、無線基地局30−nの通話ゾーン
(ゾーンn)近傍へ接近したと判断し、チャネル切替を
行うことを決断する。
そして、ゾーンnで空いている通話チャネルをIDおよ
びロームエリア情報照合記憶部54を検査して調査した結
果、無線基地局30−nから連絡のあった通り、チャルCH
nが使用可能であることを知る。そこで上り制御チャネ
ルを用いて、制御信号により無線基地局30−nに対し、
チャネルCHnで送受信を行うように指示するとともに、
無線基地局30−nを経由して関門交換機20に対しスイッ
チ群23のスイッチSW1−1とSW1−2,SW1−(n−1)の
ほかにSW1−nを同時にオンの状態にし、無線基地局30
−nに対しても、無線基地局30−1,30−2,…,30−(n
−1)と同一の通話信号の送出を開始するように要請す
る。
これらの要請を受けた関門交換機20では、スイッチ群
23のSW1−nもオンの状態にし、無線基地局30−nは通
話チャネルnを用い音声信号の送出を開始する。この場
合、当然のことながら無線基地局30−nの変調器の変調
の深さも他の無線基地局30−1,30−2,30−3,…,30−
(n−1)と同一とする。
この制御信号の伝送を実現するために、具体的には、
制御信号がアナログ信号の場合、すでに説明した第2図
(a)に示すように、通話チャネルの帯域0.3〜3.0KHz
外の低い周波数fD0(たとえば約100Hz)または高い周波
数fD1,fD2,fD3…fD8(たとえば3.8KHzから0.1KHz間隔
で4.5KHzまでの8波、ただし、n=8のとき)を用い
る。
制御すべき項目すなわち制御データが多いときには、
制御用の周波数fD0〜fD8の波数をさらに増加させてもよ
いし、副搬送波形式をとることも可能である。このと
き、たとえばfD0〜fD8のうちの1波あるいは複数の波に
周波数変調をかけたり、あるいは振幅変調をかけたりす
ることによって、より多くの制御データを伝送すること
もできる。
また、制御信号としてディジタル・データ信号を用い
た場合には、音声信号もディジタル符号化して、両者を
時分割多重化して伝送することも可能であり、これをす
でに説明した第2図(b)に示すようにする。
第3図に、第1A図,第1B図および第1C図に示した本シ
ステムのチャネル切替の前後におけるタイミング・チャ
ートを示す。
チャネル切替動作を説明してる第3図において、無線
基地局30−1と移動無線機50との間で用いているチャネ
ルCH1の品質がレベルL1以下に低下したことを無線基地
局30−1あるいは移動無線器50の通信品質監視部37,あ
るいは57が検出し、上述したプロセスによりチャネルCH
nで無線基地局30−nからの送信電波を並行して受信可
能とするための準備を始める。
すなわち、移動無線機50の制御部58は、それまでシン
セサイザ55−1,55−2,…,55−(n−1)を使用して、
チャネルCH1にる無線基地局30−1の送信波,チャネルC
H2による無線基地局30−2の送信波,……,チャネルCH
n−1による無線基地局30−(n−1)の送信波を受信
している状態から、シンセサイザ55−nも動作せしめ
て、無線基地局30−nから送信されるチャネルCHnの送
信波も受信可能とするような、周波数をシンセサイザ55
−nに発生せしめる。
かくして、無線基地局30−1から送信されているチャ
ネルCH1の品質低下により、無線基地局30−1との交信
が停止されようとしているとき、無線基地局30−nとチ
ャネルCHnによる交信が開始される。すなわち、移動無
線機50では、受信切替用制御器65Cから切替駆動入力信
号を受けている切替スイッチ64−1の反復切替を継続さ
せる。これと同時に、それまでシンセサイザ56−1,56−
2,…,56−(n−1)を動作せしめて、チャネルCH1〜CH
n−1を用いて無線基地局30−1〜30−(n−1)に送
信していた状態から、シンセサイザ55−nも動作させ
て、無線基地局30−nに対してチャネルCHnにより送信
することができる状態に移行させる。この送信に使用さ
れるシンセサイザ56−1,56−2…,56−nの出力は、切
替スイッチ64−2によって、送信切替用制御器67Cから
の切替駆動入力信号で反復切替が行われる。
チャネルCH1とCH2,……,CHnとが並行して送受信され
るこの切替送受信期間は、チャネルCHnの確認と同チャ
ネルの品質が一定のレベルL2以上であることを移動無線
機50が確認するまで続けられ、その後はチャネルCH1を
開放し、無線基地局30−2,30−3,…,30−nと移動無線
器50との間の交信は、チャネルCH2,CH3,…,CHnのみによ
り瞬断なく継続される。
この切替送受信期間における切替スイッチ64−1,64−
2の切替周波数f1は、たとえば信号に含まれている最高
周波数の2n倍以上等に定められる。以下、これについて
詳細に説明する。
切替周波数は、下記の諸条件を考慮し、最適値が定め
られる。
1)伝送すべき信号の変調形式 2)伝送すべき信号周波数帯域 3)伝送すべき制御用周波数帯域 4)送受信部の帯域特性、とくにアンテナ入力端に設置
される高周波濾波器の帯域特性 5)切替用制御器の波形特性 6)周波数シンセサイザの応答特性 7)搬送波用周波数とシステム内の使用チャネル数 8)伝送路の電波伝搬特性 9)関門交換機20から無線基地局30−1を介して移動無
線機50までの信号の伝送路と無線系制御装置20から無線
基地局30−2を介して移動無線機50までの信号の伝送路
の差による伝送遅延時間差 たとえば、1)が周波数変調,2)が音声信号の場合0.
3〜3.0KHz,3)として第2図(a)に示す帯域外による
制御信号を用いる場合には、0.3KHz以下(fD0)か3.8〜
4.5KHz(fD1,fD2…fD8)となる。4)の特性として、
通過帯域幅が16KHz(または、8KHz)、5)の特性とし
て6)におけるシンセサイザの応答特性が良好であり、
出力波形が良好であることに留意して選定すべきであ
り、用いられるシンセサイザは5)の切替用制御器の入
力により可急的に急速な応答特性が望まれる。
7)〜9)はシステム設計上から考慮される項目であ
るが、本発明の実施例として説明する自動車電話用シス
テムでは、7)は900MHz,600チャネルであるので使用周
波数帯域幅は15MHz(または、1200チャネル同15MHz、
8)は多くの文献で既知であり、9)は0.03m秒程度で
ある。
以上を総合的に考慮し、たとえば自動車電話システム
では、移動無線機50の切替スイッチ64−2における切替
周波数は20×nMHz程度に選定される。
以下受信の場合を説明する。第2図(b)に示すよう
に音声信号や制御信号がディジタル化されている場合に
は、切替用周波数として、より高速の周波数を用いるの
が適当で、n×20KHz〜30KHz程度の値でよい。
また、受信ミクサ63の入力部からみたチャネルCH1,2,
3,…,n−1,nの搬送波周波数をω1,ω2,…,ωn-1,ω
n、またシンセサイザ55−1,55−2,…、55−(n−1),
55−nの出力周波数を、それぞれωL1,ωL2ωLn-1,ω
Lnとすると、無線基地局30−1,30−2…,30−(n−
1),30−nからの受信ミクサ63に含まれた中間周波増
幅器の出力における搬送波の周波数はそれぞれ、 Ω1=ω1−ωL1 (11) Ω2=ω2−ωL2 (12) …… Ωn-1=ωn-1−ωLn-1 (1n-1) Ωn=ωn−ωLn (1n) すなわち、切替スイッチ64−1の動作により中間周波
数として受信部53には、 Ω1=ω1−ωL1 Ω2=ω2−ωL2 …… Ωn-1=ωn-1−ωLn-1 Ωn=ωn−ωLn 等の搬送波周波数を有する信号波とが順次に入力するこ
とになる。そして(11)と(12)…,(1n-1)式とは、 Ω1≒Ω2≒……≒Ωn-1=Ωn (2) の関係にある。このような信号が受信部で増幅されたの
ち復調回路で復調されるが、n個の中間周波数 ω1−ωL1 ω2−ωL2 …… ωn-1−ωLn-1 ωn−ωLn との周波数差が存在すると、復調出力信号に、歪雑音が
発生する場合としない場合とがある。すなわち、周波数
変調または位相変調の場合には、周波数差が全くない場
合には歪雑音は発生しないが、周波数差があるとその周
波数差(ビート周波数)が信号周波数と同一成分を含む
場合は発生し、含まない場合には発生しない。
一方、振幅変調の場合には、周波数差があっても歪雑
音は発生しない。ただし、振幅変調の場合でも中間周波
増幅器などに非直線特性があると、高調波による非直線
歪が発生するから、直線性の良好な増幅器を用いる必要
がある。
以上に説明したような移動無線機50の受信ミクサ63の
入力にCH1,CH2,…,CHn−1およびCHn用の局部発振周波
数を循環的に加え受信しても通信に異常なく、しかもチ
ャネルCH1からチャネルCHnへの移行が何の瞬断(雑音の
混入もなく実行可能であり、かつ受信ダイバーシティ効
果のあることを理論的に説明する。
まず、角度変調波を用いる場合を説明する。
データあるいは音声信号(アナログまたはディジタル
形式の信号に対して)は、つぎのように表現できる。
また帯域外に存在する制御信号は、 ここで、aiは振幅の大きさ、ωiは信号の角周波数、
θiはt=0のときの位相を表わす。m,nは正の整数を表
わす。
つぎに周波数変調の場合を説明するが、位相変調にお
いて本発明は同様に適用される。(3)式または(3)
式および(4)式で搬送波を周波数変調すると、得られ
る変調波は、 I=I0sin∫(ω+μ(t))dt =I0sin(ωt+s(t)) (5) または、 I=I0sin∫(ω+μ(t)+μc(t))dt =I0sin(ωt+s(t)+sc(t)) (5′) ただし、 この結果(5′)式の右辺のsinの内の式s(t)+sc
(t)は一般的な形の伝送信号を表わすことになる。
さて、(5)式または(5′)を用いると、無線基地
局30−1,30−2,…,30−(n−1),30−nから送信され
た信号が、移動無線機50のアンテナを介して受信ミクサ
63に入力され、局部発振部出力(第1B図の場合、シンセ
サイザ55−1,55−2,…,55−(n−1),55−n)と混合
されると、受信部53の入力としては、(1)式および
(2)式と同じ記号を用いて次式のように表すことがで
きる。(ただし切替スイッチ64−1は停止の状態とす
る)。
Ii=I0isin(Ωit+s(t)+sci(t)) (6) (i=1,2,…,n) つぎに、切替スイッチ64−1が切替動作を開始したと
する。また、無線基地局30−i(i=1,2,…,n)からは
音声信号s(t)と制御信号sci(t)が、それぞれ送
られてきたとする、移動無線機50の受信部53の入力とし
て、 ただし、pは切替角周波数、mは正の奇数とし、n個
の入力波に対する切替時間は等間隔とした。(7)式の
右辺を変形すると次式のようになる。
I=(I01/n)[sin{Ω1t+U1(t)} +(n/π)sin(π/n) ×[cos{(Ω1−p)t+U1(t)} −cos{(Ω1+p)t+U1(t)}] +(n/3π)sin(3π/n) ×[cos{(Ω1−3p)t+U1(t)} −cos{(Ω1+3p)t+U1(t)} +(n/5π)sin(5π/n) ×[cos{(Ω1−5p)t+U1(t)} −cos{(Ω1+5p)t+U1(t)}] +…… ] +(I02/n)[sin{Ω2t+U2(t)} +(n/π)sin(π/n) ×[cos[(Ω2−p)t+U2(t)} −cos{(Ω2+p)t+U2(t)}] +(n/3π)sin(3π/n) ×[cos{(Ω2−3p)t+U2(t)} −cos{(Ω2+3p)t+U2(t)}] +(n/5π)sin(5π/n) ×[cos{(Ω2−5p)t+U2(t)} −cos{(Ω2+5p)t+U2(t)}] +…… ] +…… …… +(I0n/n)[sin{Ωnt+Un(t)} +(n/π)sin(π/n) ×[cos{(Ωn−p)t+Un(t)} −cos{(Ωn+p)t+Un(t)}] +(n/3π)sin(3π/n) ×[cos{(Ωn−3p)t+Un(t)} −cos{(Ωn+3p)t+Un(t)}] +(n/5π)sin(5π/n) ×[cos{(Ωn−5p)t+Un(t)} −cos{(Ωn+5p)t+Un(t)}] +…… ] (8) ただし、Ui(t)=s(t)+sci(t) (i=1,2,…,n) ここで(8)式をみると多くの搬送波を合成したもの
となっているから、このまま中間周波増幅器で増幅した
後に復調したのでは、一般に混変調(干渉妨害)による
歪雑音を発生する可能性がある。
また(8)式で表わされる入力波の振幅I01,I02
…,I0nは必ずしも同一の振幅ではなく、切替の時間的
占有率を等しくした場合(デューティ100/n%の場合)
には、無線基地局30−1よりも30−2の方が近距離にあ
るために、通常はI02,I03,…,I0nの方が大である。I
01,I02等の大きさが異なっていると、混変調を発生す
る可能性がある。上記(8)式で示した多くの搬送波の
合成による原因と、I01,I02等が異なることによる原因
の2種類の混変調発生要因がある。
さて(8)式で示した多くの搬送波の合成による場合
の混変調については、つぎの方法により歪雑音の除去を
行うことができる。
すなわち、切替スイッチ64−1の切替速度(周期)を
高速にし、中間周波増幅器の帯域通過特性の外に追いや
る方法がある。しかしながら、すでに述べたように、切
替周波数は信号の最高周波数の2n倍以上に定められてい
る多くの場合には、それ以上高速にする必要はないであ
ろう。高速にすることにより(7)式右辺のm=1,3,5
…の項は(8)式を見ればわかるように中間周波増幅段
において無視することが可能となり、(8)式は下記の
ように表わすことができる。
I=(1/n) ×I01sin(Ω1t+s(t)+sc1(t)) +(1/n) ×I02sin(Ω2t+s(t)+sc2(t)) +…… +(1/n) ×I0nsin(Ωn-1t+s(t)+scn(t)) (9) (9)式において、 Ω1=Ω2=……Ωn-1=Ωn=Ω (10) sc2(t)=……=Scn-1(t)=scn(t)=0 (11) とおくことができるとする。実際に(10)式は後述する
ような手段で技術的に可能であり、(11)式は前述の通
り無線基地局30−1から(またはチャネル切替の後半で
は無線基地局30−nからのみ)送信する制御信号のみと
すれば(11)式が成立する。すると(9)式は下記のよ
うに変形することができる。
I=(1/n) ×I01sin(Ωt+s(t)+Sc1(t)) +(1/n)×(I02+I03+……+Ion) ×sin(Ωt+s(t)) (12) (12)式は変形すると次式のごとくなる。
I=(1/n)×(I01 2+In 2) +2I01In×cossc(t))1/2 ×sin(Ωt+s(t)+β(t)) (13) β(t)=tan-1[sinsc(t) ×{(I01/In)+cossc(t)}-1] (13′) In=(I02+I03+……+I0n)/n (13″) (13),(13′)式において I01<<In (14) sc(t)<<1 (14′) であるから(13)式は近似的に下記のようになる。
I=(1/n) ×Insin(Ωt+s(t)+sc(t)) (15) (15)式をみると、これはn分岐のアンテナ入力を有
する切替受信ダイバーシティ方式で、信号を切替受信し
た後、そのまま合成するいわゆる直線合成を行った結
果、入力電界の低いI01を無視し、入力電界の高い入力
信号による合成を行ったことを示している。受信切替ス
イッチのデューティを可変とし、受信入力の大きいチャ
ネルにデューティを大きくすると、この効果はさらに大
きくなる。したがって、本発明は受信ダイバーシティ効
果があることが明らかにされたことになる。(14)式か
ら周波数弁別回路の出力(無線受信回路68の出力)は次
式で表わされる。
E=d/dt{s(t)+sc(t)} =μ(t)+μc(t) (16) ここで、μ(t)およびμc(t)は、それぞれ
(3)式および(4)式に示されたものである。なお
(14)式は、通常の移動通信方式では、つねに満足して
おり、特に制限条件とはならない。それは主要な音声信
号に、制御信号に比して深い変調を加え、制御信号には
浅い変調をかけており、しかも音声に加える変調の深さ
も、近年、等価トーン(1KHz)信号で3.5ラジアン(25K
Hz搬送波間隔の場合、また搬送波間隔が12.5KHzの場合
は、同じく1.75ラジアンとさらに浅くなる)と浅くなっ
ているためである。
以上により周波数変調の場合の無歪条件は(10)式お
よび(14)式が十分条件であることが明らかにされた。
以下(10)式を成立させる技術的条件について説明す
る。
技術的にこれを行なうには、無線基地局30−1,30−2,
…,30−nの送信部31−1,31−2,…,31−nの搬送周波数
の安定度を決定する基準水晶発振器の周波数安定度を高
めることにより達成される。たとえば、後述する自動車
電話方式の例では、基地局に設置されている基準水晶発
振器の安定度は、現在0.5〜1ppm(0.5〜1×10-6)程度
であるので搬送波の周波数変動は、1×10-6×900MHz=
900Hzである。これでは、丁度音声の信号帯域内に雑音
が混入する。
しかしながら、技術の進歩により0.01ppmが可能にな
ったとすれば、1×10-8×900MHz=9Hzとなり雑音の高
調波があったとしても、その大きなエネルギーが信号帯
域内に混入する可能性は少なくなる。あるいは搬送波の
周波数が9MHzを使用している無線システムでは、1ppmの
搬送波変動では、現在の技術においても雑音の混入はな
いことになる。
以上は移動無線機50が受信する場合を説明したが、移
動無線機50が送信する場合をつぎに説明する。
第1B図において、切替スイッチ64−2で切替えられた
無線信号は、たとえば無線チャネルCH1,CH2,…,CHnとが
順次に切替えられるが、受信側は無線基地局30−1(CH
1),30−2(CH2),…,または無線基地局30−n(CH
n)で別々に受信され、移動無線機50側で受信する場合
のように混合される場合の混変調問題はまったく存在し
ないのである。ただし(8)式から明らかなように、側
波帯として、搬送角周波数 (Ω±np) の成分が存在するから、これらが空間に放出されて、他
のチャネルまたは、他のシステムの通信に妨害を与えな
いように送信出力部に帯域濾波器を設けて濾波する必要
がある。
このためには、切替周波数として移動無線機50の送信
する全チャネルの周波数外に式(Ω±np)を拡散する必
要があり、例に用いた第1A図および1B図に示す自動車電
話方式では、 p/(2π)>15×nMHz にする必要がある。
以下数式を用いて説明する。ただし式中に使用する文
字は特に断わらないかぎり前述の同じとする。たとえ
ば、第1H図の送信ミクサ61の出力に現れる送波信号は次
式で表わされる。
ただし、pは切替角周波数、mは正の奇数とし、n個
の入力波に対する切替時間は等間隔とした。(17)式は
変形すると(8)式と同様な形の式を得る。そして得ら
れた式に関し、すでに説明したような作用を有する帯域
濾波器を通すと出力信号として次式を得る。
I=I0sin{Ω1t+s(t)+sc(t)} +I0sin{Ω2t+s(t)+sc(t)} +…… …… +I0sin{Ωnt+s(t)+sc(t)} (18) 上式において右辺第1項は無線基地局30−1向け、第
2項は同30−2向け、以下第i項は同30−i向けであ
り、それぞれの信号は普通の周波数変調の送信の場合と
同じ数式を呈している。
そしてチャネルCH1の上り信号は無線基地局30−1,チ
ャネルCH2の上り信号は同30−2,以下順にチャネルCHnの
上り信号は同30−nで受信される。これらの受信信号
は、復調され関門交換機20等の必要な装置へ送信され
る。あるいは、無線基地局30−1が第1E図および第1F図
の構成を有する場合には、チャネルCH1の上り信号は無
線基地局30−1の送受信機90−1,チャネルCH2の上り信
号は同30−1の送受信機90−2,以下順にチャネルCHnの
上り信号は同30−1の送受信機90−nでそれぞれ受信復
調された後、混合されて関門交換機20等の必要な装置へ
送信されてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の多重送信方
法と装置を用いると受信部で信号のダイバーシティ効果
を得ることが可能になる。
関門交換機20では、無線基地局30−1,30−2,…,30−
nからのn個の信号のうち、音声信号については、無線
基地局30−1,30−2,…,30−nからの信号を混合する。
なお混合にあたって、無線基地局30−2,30−3,…,30−
nからの信号のほうが、30−1より伝送品質が良いか
ら、そのまま混合してもよいし、あるいはS/Nに比例し
た出力で混合してもよい。すなわち、受信ダイバーシテ
ィ効果が得られたことになる。
以上本発明の送受信ダイバーシティ効果について説明
したが、以下その効果を増大させる方法について詳述す
る。
まず受信ダイバーシティであるが、前述した順次切替
方法では、切替スイッチ64−1の各シンセサイザ55−1,
55−2,…,55−nの接続持続時間(デューティ・タイ
ム)を等しいとした。しかしながら、これは必らずしも
必要でなく、むしろS/Nのよい受信入力の得られる無線
チャネルに相対的に長い時間接続するようにすれば、ダ
イバーシティ効果は増大する。そのために受信部の一部
に切替スイッチ64−1と同期しその時刻における信号対
雑音比を検出し、これを制御部58へ伝え、これにより受
信切替用制御器65Cの出力の周波数を変化させることに
より、上記の目的を達することが可能となる。これは第
1B図の構成でも可能であるが、技術的に説明を容易にす
るため第1G図に示す構成で以下説明する。
同図において第1B図と異なる点は、無線受信回路68と
は別に、C/N測定用受信部52、受信ミクサ73、および切
替スイッチ64−3を設置し、切替スイッチ64−3の制御
は制御部58Bにより行わせるようにしたことである。以
下第1G図の動作を説明する。
同図においてC/N測定用受信部52を動作させるため
に、前段に受信ミクサ73が設置されている。この受信ミ
クサ73へは移動無線機50Bで受信した受信信号の一部が
加えられる。受信ミクサ73への局部発振周波数として、
切替スイッチ64−3からの出力が加えられる。ただし、
この切替スイッチ64−3は、他の切替スイッチ64−1や
64−2のように高速で切替える必要はなく、たとえば10
Hz程度の低速で十分である。そして切替スイッチ64−3
がシンセサイザ55−1の出力をオンにする位置にあると
きC/N測定用受信部52で測定したチャネルCH1のC/N値を
制御部58Bに伝達する。ついで切替スイッチ64−3がシ
ンセサイザ55−2の出力をオンにする位置にあるときチ
ャネルCH2のC/Nを測定する。以下順にシンセサイザ55−
nの出力をオンにする位置にあるとき、チャネルCHnのC
/Nを測定し、それぞれ制御部58Bに伝達する。制御部58B
では、これらの値を用いて受信切替用制御器65Cおよび
送信切替用制御器67Cの切替周波数を、たとえば、それ
ぞれC/Nに反比例した速度で動作するように制御する。
以上のような動作を可能とするためには、前述の各無
線基地局30からの信号の送信方法に若干の変更を必要と
するので以下これについて説明する。
さて、前述の(9)式を再掲すると、 (9)式において各無線基地局30から送信される制御信
号には、無線基地局30のIDが含まれており、上述の切替
スイッチのデューティを変更するにはこのIDが必要であ
るから、前述した(11)式のように、 sci=0 (i=1,2,…,n) とおくわけにはいかない。したがって、この場合(10)
式は成立するものの、(12)式に相当する式は下記のよ
うになる。
(19)式において各sci(t)は1に比べて十分小であ
るから(ただし、常数項は省略する。)、(12)式に相
当する式としては近似的に下式を得る。
(20)式で表わされる信号を復調し、各無線基地局30か
ら送信される制御信号をとり出すためには、sci(t)
に含まれる信号の周波数成分をそれぞれ異ならせること
により、濾波器により濾波することが可能である。
したがって、各無線チャネルのC/Nを測定するととも
に、その信号を送出した無線基地局30のIDをつけ加えて
制御部58Bへ送ることにより、制御部58Bでは各無線チャ
ネルごと、すなわち各無線基地局30ごとに受信(あるい
は送信)するデューティ時間を、C/N値と関係づけて定
めることが可能となる。
以上の効果を第1B図の構成で達成させるには、同図の
受信部53に各無線基地局30−1,30−2,…,30−nから送
信されてくる制御信号sc1(t),sc2(t)…,s
cn(t)を個々に受信するための帯域濾波器を具備し、
そのそれぞれで、信号対雑音比を測定するなどの通信品
質の監視手段を設ければよい。そして、この測定値を制
御部58へ報告し、信号対雑音比に応じた切替えのデュー
ティで、切替スイッチ64−1を動作させればよいわけで
ある。
以上詳述したように移動無線器50の受信部53を動作さ
せることにより、送受信ダイバーシティ効果の増大をは
かることが可能となる。
つぎに、さらに受信ダイバーシティ効果の増大をはか
る方法を説明する。第1H図は、この場合の移動無線機50
Cの構成例を示す。
第1H図において移動無線機50Cへの入力電波(入力信
号)は、アンテナ入力部でn+1等分され、それぞれ無
線受信回路68−1,68−2,…,68−nおよび干渉妨害検出
器62へ到来する。各無線受信回路69−1〜68−nでは、
それぞれ受信ミクサ63−1,63−2,…,63−n、受信部53
−1,53−2,…,53−nが具備されており、また受信ミク
サ53−1〜53−nにはそれぞれシンセサイザ55−1,55−
2,…,55−nからの局部発振周波数が入力される。した
がって第1H図の構成では、受信切替スイッチ64−1はな
く常時各無線チャネルCH1,CH2,…,CHnの信号を受信し復
調することが可能である。
またこれらの受信部53−1〜53−nの出力信号は、一
部は制御部58Cへ送られるほか、通信品質監視部57−1,5
7−2,…,57−nにも送られて、各無線チャネルの通信品
質を監視し、その結果を制御部58Cに報告し、さらに受
信部53−1〜53−nの出力は、信号混合回路62に加えら
れて、通常のダイバーシティ受信機(この場合は検波後
の合成)と同様な処理が加えられ電話機部59へ送られ
る。
第1H図のような回路構成をとることにより、大きなダ
イバーシティ効果を得ることが可能となる。
以上の説明から明らかなように、本発明の作用は、移
動無線機50の送信周波数を無線基地局30で測定すること
により、新しい通話チャネルに切替えられた後の周波数
ずれを予測し、これに適合した周波数て、チャネル切替
後に交信する無線基地局の送信チャネルを設定し使用す
ることにより、チャネル切替にともなう通話断ないし発
生する混変調による雑音を除去した点に特徴を有する。
つぎに本発明による通話中チャネル切替で重要な役割
を果す制御信号の使用法について説明する。以下の説明
では、第1B図の構成をとるものとする。
無線基地局30−1,30−2,…,30−nからチャネルCH1,C
H2,…,CHnを用いて移動無線機50宛に送信する場合につ
いて説明する。
前述のチャネル切替準備動作が完了すると、移動無線
機50の無線受信回路68には、無線基地局30−1,30−2,
…,30−nからのチャネルCH1,CH2,…,CHnの通話信号で
送信され、これが移動無線機50内の切替スイッチ64−1
で順次切替えられて、切替受信される。また切替スイッ
チ64−2も動作を開始するので、移動無線機50からの送
信波も切替送信を開始される。
ここで、関門交換機20から各無線基地局30−1〜30−
nを介して移動無線機50に至る各経路間の差(10Km以
内)による遅延時間差は、せいぜい0.03m秒以下である
から、動作に何の支障もなく、無視することができる。
また、無線基地局30−2,30−3,…,30−(n−1)から
の下り信号には、音声信号のみであるが、無線基地局30
−1および30−nからの下り信号には、音声信号のほか
に制御信号(無線基地局30−1および30−nを識別させ
る識別信号や、切替指令信号)が第2図(a)に示した
ような帯域外信号の形で挿入されているから、移動無線
機50の無線受信回路68では、これを受信し制御部58へ転
送する。
制御部58では、この信号を識別し、制御部58の制御に
より、当初は無線基地局30−1からのチャネル切替応答
信号やその後の無線基地局30−nからのチャネルCHnを
用いる通話信号やID信号が送られ、この信号品質も良好
なことを確認するので、無線送信回路68を用いて上り通
話信号の帯域外を用い、この確認事項を無線基地局30−
nに向けに通話チャネルCHnにより、無線基地局30−n
経由で関門交換機20へ連絡する。
関門交換機20では、無線基地局30−nと移動無線機50
との、下りの通信が良好に動作しているとの連絡を得た
ので、通話路制御部21はスイッチ群23のスイッチSW1−
1,1−2,…,1−nのうち、SW1−1のみをオフとする。一
方、移動無線機50は、無線基地局30−1に対しては、送
信の停止を、移動無線機50の、シンセサイザ55−1の動
作を停止させ、切替スイッチ64−1(第1B図)にシンセ
サイザ55−2,55−3,…,55−nを循環切替動作するよう
にさせる。
これらの状態は、第3図に示されている。
つぎに移動無線機50からチャネルCH1,CH2,…,CHnを用
いて無線基地局30−1,30−2,…,30−nに送信する場合
について説明する。
移動無線機50では、自己の装置内の制御部58の指示に
より、受信切替用制御器65Cおよび送信切替用制御器67C
がそれぞれ作動して、切替スイッチ64−1および64−2
はそれぞれ、動作中のシンセサイザ55−1,55−2,…,55
−nの出力および56−1,56−2,…,56−nの出力を切替
えて、チャネルCH1,CH2,…,CHnとを順次切替送受信中で
ある(第1B図)。この動作中、通話チャネルに送られる
信号としては、通話信号の外、帯域外の制御信号(第2
図(a))として、移動無線機50の使用チャネルの状態
(チャネルCH1,CH2,…,CHnからチャネルH2,CH3,…,CHn
へ移行しつつあること)、移動無線機50の識別ID等(た
とえば第2図(a)のfD1などのトーン信号でfD1とfD3
などを組合わせてもよい)が加えられている。
無線基地局30−i(i=1,2,…,n)で受信されたチャ
ネルCHiの上り信号は、無線基地局30−iの受信部53で
復調され、復調後の音声信号や域外信号には異常のない
ことが確認された後、関門交換機20へ転送される。関門
交換機20では、無線基地局30−1,30−2,…,30−nから
のn個の信号のうち、音声信号については、無線基地局
30−1,30−2…,30−nからの信号を混合する。関門交
換機20では、無線基地局30−1,30−2,…,30−nからの
n個の信号のうち、無線基地局30−1,30−2,…,30−n
で加えられた音声の帯域外で送られてきた識別信号など
によって、それぞれ無線基地局30−1,30−2,…,30−n
からのチャネルCH1,CH2,…,CHnによる信号であることを
確認する。
関門交換機20では、通話中チャネル切替動作が円滑に
進んでいることを確認し、移動無線機50の制御部38に対
し無線基地局30−nを経由して、チャネルCHnにより、
無線基地局30−1とのチャネルCH1による通信を停止
し、無線基地局30−2,30−3,…,30−nとの通信に専念
することが可能であることを報告する。
この制御信号を受信した移動無線機50では、制御部58
の動作により、シンセサイザ55−1および56−1の動作
を停止させて、受信チャネル選択用の切替スイッチ64−
1の位置をシンセサイザ55−2,55−3,…,55−nを循環
切替動作するようにし、送信チャネル選択用の切替スイ
ッチ64−2には、シンセサイザ56−2,56−3,…,56−n
を循環切替動作を継続させるように指令する。
この結果、移動無線機50は、それまでのチャネルCH1
を用いた無線基地局30−1との交信を終了し、無線基地
局30−2,30−3,…,30−nと、それぞれチャネルCH2,CH
3,…,CHnを用いて交信する状態にはいる。これにてチャ
ネル切替が完了し、新無線チャネル群で交信されている
状態が実現する。以上説明した上りチャネルと下りチャ
ネルの切替動作は並行して実行されほぼ同時期に終了す
る。
以上の説明から明らかなようにチャネル切替時も無瞬
断であり、かつ雑音も実用上問題のない程度の低いレベ
ルにとどめることが可能である。
なお以上の動作中のいずれかにおいて、動作不良もし
くは、不動作が起れば、その直前の動作からやりなおす
ことになる。また動作障害が大きいときには、制御部58
に内蔵するメモリ部に記憶してある切替動作前の通話チ
ャネルにもどる動作も具備されている。
第7A図ないし第7E図には、第1A図,第1B図および第1C
図に示したシステムの動作の流れを示すフロー・チャー
トが示されている。
関門交換機20,無線基地局30−1,30−2,…,30−nおよ
び移動無線機50が動作を開始し、関門交換機20に含まれ
るスイッチ群23のスイッチSW1−1,1−2,…,1−(n−
1)がオンであり、無線基地局30−1,30−2,…,30−
(n−1)と移動無線機50との間で交信中である。この
交信には、移動無線機50に含まれる制御部58によって指
示されたチャネルCH1,CH2,…,CH−(n−1)の下り周
波数F1,F2,…,Fn-1と上り周波数f1,f2,…,fn-1
使われている(S101、第7A図)。
通信中の無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)
からは、たえず移動無線機50からの受信状況報告が出さ
れ、通信品質の劣化が発見されると、ただちに移動無線
機50に報告される(S102)。これを受けた移動無線機50
の通信品質監視部57では(S103)、通話品質がレベルL1
よりも劣化していないか否かを監視している(S104)。
通話品質がレベルL1よりも劣化していたならば(S104YE
S)、制御部58から、無線基地局30−1の周辺にある無
線基地局30−2,30−3,…,30−nなどに対し、無線基地
局30−1,30−2,30−3,…,30−(n−1)と移動無線機5
0との間の交信に使用している上り周波数f1,f2,…,f
n-1の信号をモニタ受信するように指示する(S105、第7
B図)。
モニタ受信の指示を受けた周辺の各無線基地局30(た
とえば30−n)では、周波数f1の信号をモニタ受信し
(S106)、その結果を移動無線機50の通信品質監視部57
に報告し(S107,S108)、各無線基地局30からのモニタ
受信品質を測定比較し、たとえば無線基地局30−nの通
話品質が一定基準のレベルL2よりも良いことを検出する
(S109YES)。
通信品質が良好でない場合は(S109NO)ステップS105
にもどり、他の無線基地局30にモニタ受信させる。
そこで制御部58は、移動無線機50が無線基地局30−1
のカバーするゾーンから無線基地局30−nのカバーする
ゾーンに移動したものと判断し(S110、第7C図)、無線
基地局30−nとの交信に切替えるために、無線基地局30
−nが使用することのできる空きチャネルを検索し(S1
11)、その結果、チャネルCHnを決定する(S112)。制
御部58は、移動無線機50の送信部51−nおよび受信部53
−nを介して、無線基地局30−nに対しチャネルCHnで
の交信の準備をするように指令する(S113)。
このチャネルCHnを用いるための交信準備指令は、無
線基地局30−nに送られ、チャネルCHnによる交信の準
備をする(S114)。移動無線機50は、チャネルCHnによ
る交信を可能とするための準備、すなわち、制御部58か
らシンセサイザ55−nおよび56−nに対して、周波数Fn
を受信し、周波数fnで送信できるように指示し、また切
替用制御器65は切替動作に入る(S115、第7D図)。
チャネルCHnを用いて交信する準備ができると、無線
基地局30−nは、準備完了の報告をチャネルCHnを用い
て移動無線機50に対して連絡し(S116)、これと同時に
無線基地局30−nは、関門交換機20に対しチャネルCHn
による無線基地局30−nと移動無線機50との間で交信準
備が完了したことの報告を出す(S116)。
チャネルCHnを用いての無線基地局30−nと移動無線
機50との間の交換準備の完了を、関門交換機20が確認す
ると(S117)、スイッチ群23のスイッチSW1−1,1−2,
…,1−(n−1)はオンのままにして、スイッチSW1−
nもオンにする(S118)。そこで関門交換機20に含まれ
た通話路制御部21は、移動無線機に対して、移動無線機
50との間でチャネルCHnを用いて交信を開始可能なこと
を報告する(S119)。
交信開始可能報告を受信すると、無線基地局30−nは
交信開始信号をチャネルCHnを用いて移動無線機50宛に
送出する(S123)。移動無線機50は無線基地局30−nを
識別するための識別信号であるID信号により、チャネル
CHnによる交信の開始を確認し(S124)、同時に移動無
線機50の通信品質監視部57は、移動無線機50と無線基地
局30−nとの間の通信の品質レベルを測定し、一定の品
質レベルL2以上であることを検出すると(S125YES、第7
E図)、無線基地局30−1と移動無線機50との間のチャ
ネルCH1を用いて行っていた交信の停止を無線基地局30
−1に指令する(S126)。これによって、無線基地局30
−1はチャネルCH1による交信をオフにする(S127)。
このチャネルCH1による交信停止を移動無線機50が確認
すると(S129)、シンセサイザ55−1および56−1の動
作を停止し、切替スイッチ64−1はシンセサイザ55−1
の出力端子への切替えを停止し、切替スイッチ64−2は
シンセサイザ56−1の出力端子への切替えを停止し(こ
の動作は必ずしも必要ではないが)して、チャネルCH2,
CH3,…,CHnで動作せしめるようにする。
チャネルCH1交信停止を確認した関門交換機20の通話
路制御部21は、スイッチ群23のスイッチSW1−2,1−3,
…,1−nはオンのままとし、スイッチSW1−1をオフに
する(S128)。
これによって、チャネル切替動作の期間を終了し、ス
イッチSW1−2,1−3,…,1−nのオン状態で、チャネルCH
2,CH3,…,CHn下り周波数F2,F3,…,Fn上り周波数f2
f3,…,fnを用いて、移動無線機50は無線基地局30−2,
30−3,…,30−nとの間で、一瞬の切断も、雑音の混入
もなく、かつ送受信ダイバーシティ効果を得て、高品質
な通信を継続することができる(S130)。
(6)移動無線機の移動速度の推定とトラヒック輻輳対
策上の通話チャネル割当法 移動無線機50と通信中の複数の無線基地局30が受信す
る受信電界あるいは通信品質の変化を測定し、比較する
ことにより移動無線機50の速度(進行方向および速さ)
を検出することが可能である。これらを、以下、第8図
を用いて説明する。
第8図において16個の円は、それぞれサービス・エリ
ア内の小ゾーンZ−1〜Z16を示し、円の中心付近に設
置された無線基地局30−1,30−2,…,30−16等から、そ
れぞれ通信可能なエリアを示している。いま現在通信中
の移動無線機50がゾーンZ6内にあり、無線基地局30−2,
30−3,30−5,30−6,30−7,30−10,30−11の7局とダイ
バーシティを適用した通信を行っているとする。移動無
線機50が第8図の矢印の方向に移動しつつあるとする
と、移動無線機50からの送信信号を受信中の以上7つの
無線基地局では、それぞれ受信電界または受信品質を測
定中であり、これらの値は移動無線機50へ集められる。
移動無線機50では、これらの測定結果を比較することに
より、自移動無線機50の移動方向および速度を次ぎの方
法により推定する。
まず移動方向は、観測された入力受信電界レベルが最
も急速に大きくなる方向に変化する無線基地局(第8図
では30−7)へ向っていると推定することができる。信
頼性の高い結果を得るためには、測定持続時間を適切に
選ぶことが重要である。ただしこれは移動無線機50の速
度に大きく関係する。すなわち、電波伝搬特性は時々刻
々変化するからある程度の長い時間(自動車の場合3〜
10秒)ごとに区切ってその間に測定することにより測定
値のばらつきの除去をはかることができる。第8図で、
このようにして得られた測定結界を入力電界の増加の大
きい無線基地局30から順に表わすと、たとえば、 30−7>30−11>30−3 であり、入力電界の減少の大きい無線基地局30から順に
表わすと、 30−6>30−10>30−2>30−5 となろう。
また移動速度については、電波伝搬特性から得られて
いる電波伝搬曲線と比較すると移動速度が推定可能とな
る。
以上の測定結果を用いることにより、移動無線機50の
移動先を推定し、移動先の無線基地局30の通信トラヒッ
ク状況を調査し輻輳した状態のときは、その無線基地局
30で通信中の移動無線機50の通信の種類により通信する
無線基地局30の数を減少させることが可能になる。つぎ
にトラヒックの輻輳状態が1つのゾーンではなく複数の
ゾーンにまたがる場合には、広域にわたる輻輳対策が必
要になる。これは大都会の都心部で自動車電話システム
等で発生している現象であり、第8図の30−6,30−7,お
よび30−11がトラヒック輻輳状態にあるとする。これに
ついての本発明の適用を詳細に説明する。
ゾーンZ11内には、移動無線機50aが居り、矢印の方向
に進行しているが、発呼信号を送出したとする。この発
呼信号は移動無線機50aへ集められ、割当るべき通話チ
ャネルが決定されるが、トラヒックが輻輳していない時
には、無線基地局30−6,30−7,30−10,30−11,30−12,3
0−14,30−15等で使用される通話チャネルが割当てられ
る(ダイバーシティ送受信が行われる)。ところが上記
の3ゾーンで(Z6,7,11)でトラヒックが輻輳している
場合には、30−6,30−7および30−11のチャネルは割当
てられない。この場合交信相手として、通話品質の最も
よい無線基地局30は当然30−11であるが、上記の理由の
ため割当てられない。もしダイバーシティの多重度が上
記の4重(30−10,30−12,30−14,30−15)では不足す
る場合には、移動無線機50aでは、移動無線機50aの移動
方向、移動速度を推定可能であるから、移動方向にある
無線基地局30−8や30−16で使用するチャネルを割当て
る。したがって移動無線機50aはゾーンZ11に居るにもか
かわらず、やや遠い無線基地局30−8および30−16と通
信を開始することになる。
以上説明したチャネル割当てを適用することにより、
従来のシステム技術では解決されなかったトラヒック高
密度地域における輻輳対策が可能となる。
(7)高速移動中の移動無線機の位置登録方法および発
着呼等の動作 本発明に関わる移動無線機が自動車に搭載され高速で
移動している状態における位置登録や発着呼等の動作を
説明する。
本発明を適用する具体的システム例は前述したごと
く、小ゾーンあるいはマイクロセル構造を用いることを
基本としている。そして小ゾーンあるいはマイクロセル
の大きさは、自動車電話方式では半径3〜5Km、携帯電
話方式では半径25〜100m程度であった。これらゾーン内
において移動無線機50(B,C,D)が移動する場合、通信
の確保に必要な条件は送受信に必要な所要信号対雑音比
の確保である。
これをさらに具体的に説明すると、移動無線機50(B,
C,D)の移動距離が、通信時間内において相対的に少な
く、一方、受信電界強度が移動無線機50(B,C,D)の移
動距離を通じて大きく変動しない状態であれば、通信の
確保上望ましい条件ということになる。別の表現を用い
れば、1つの無線基地局30(B,C,D,E)のサービス・エ
リアが、移動無線機50(B,C,D)の通信時間における移
動距離に比べ相対的に大きければよいことになる。
ただし、移動無線機(B,C,D)の通信時間が長かった
り、あるいは1つの無線基地局30(B,C,D,E)のサービ
ス・エリアの大きさが相対的に小さければ、すでに説明
したごとき通話中チャネル切替等が必要であったが、以
下に述べるような別の対策等は不要であった。自動車電
話の場合、1つの無線基地局30(B,C,D,E)のサービス
・エリアの大きさと自動車の通常の時間内の通話中の移
動距離とは、通信の確保上望ましい条件を満してはいる
が、以下に説明するマイクロセルを用いる携帯型の移動
無線機50(B,C,D)を自動車内に持込んで通信に用いよ
うとすると困難な問題に直面する。
すなわち下記の文献 伊藤“携帯電話の方式検討−無線回線制御とルーチン
グを中心に−”電子情報通信学会通信方式研究会CS 87
−16 1987年5月 に掲載されているような携帯電話方式においては、携
帯電話機(本発明の移動無線機)は、通常、人が携帯し
歩行しながら通話に供することを目的として方式設計が
なされている。したがって1つの携帯電話親装置(本発
明の無線基地局)のサービス・エリアは半径25m程度で
あっても、人の歩行はせいぜい100m/分程度であり、1
つの無線基地局30(B,C,D,E)のサービス・エリアの大
きさと移動無線機50(B,C,D)の通話時間内における移
動距離とが調和を保っているので、通信の実行に当って
技術的に特に困難となるものはない。
ところが携帯電話機を自動車のようにマイクロセルの
大きさに比較して単位時間内の移動距離の大きい移動体
に搭載すると、移動体の移動速度が大きいために、送受
信に必要な所要信号対雑音比が得られない場合があり、
後述のような種々の問題点が発生し、すでに説明したも
のとは異なる技術的な対応が必要となる。
まず位置登録においては、前述の第4図を参考にして
説明すると、 i)移動無線機50(B,C,D)からの位置登録信号が最寄
りの無線基地局30(B,C,D,E)で受信できない。
ii)最寄りの無線基地局30(B,C,D,E)の登録完了信号
を移動無線機50(B,C,D)で受信できない。
上記のうち移動無線機50(B,C,D)の速度の大小から
判断すると、移動無線機50(B,C,D)の速度が大きいと
ころでi)の状態が発生し、次いでii)の順において発
生することになる。それは第4図の各ステップの動作を
実行し、最後の段階で受信不能となったためである。
このような高速移動にともなう不都合な現象を生ずる
場合を高速移動モードと呼び、移動速度が障害を生じな
い場合のモードを低速移動モードと呼ぶことにする。
つぎに移動無線機50(B,C,D)からの発呼について、
前述の第5A図および第5B図を用いて説明する。
i)移動無線機50(B,C,D)からのオフ・フック信号が
最寄りの無線基地局30(B,C,D,E)で受信できない。
ii)最寄りの無線基地局30(B,C,D,E)からの発呼応答
信号が移動無線機50(B,C,D)で受信できない。
iii)移動無線機50(B,C,D)からの通話チャネル指定信
号が最寄りの無線基地局30(B,C,D,E)で受信できな
い。
iv)最寄りの無線基地局30(B,C,D,E)のチャネル切替
完了信号が移動無線機50(B,C,D)で受信できない。
v)最寄りの無線基地局30(B,C,D,E)のダイヤル・ト
ーン信号が移動無線機50(B,C,D)で受信できない。
vi)移動無線機50(B,C,D)からのダイヤル信号が最寄
りの無線基地局30(B,C,D,E)で受信できない。
上記のうち移動無線機50(B,C,D)の移動速度の大小
から判断すると、速度が最も大きなところでi)の状態
が発生し、次いでii),iii),iv),v),vi)の順で次第
に小さな速度で発生するようになる。なお、v),vi)
の状態は、通話中チャネル切替技術で救済することも可
能であるが、一応ここには問題点としてあげておいた。
さらに、移動無線機50(B,C,D)への着呼について前
述の第6A図ないし第6C図を用いて説明すると、 i)無線基地局30(B,C,D,E)からの着呼信号が移動無
線機50(B,C,D)で受信できない。
ii)移動無線機50(B,C,D)からの通話チャネル指定信
号が無線基地局30(B,C,D,E)で受信できない。
iii)無線基地局30(B,C,D,E)からの指定チャネルへの
切替認否信号が移動無線機50(B,C,D)で受信できな
い。
iv)移動無線機50(B,C,D)からのチャネル切換報告が
無線基地局30(B,C,D,E)で受信できない。
vi)移動無線機50(B,C,D)のオフ・フック信号が無線
基地局30(B,C,D,E)で受信できない。
上記のうち、移動無線機50(B,C,D)の移動速度の大
小から判断すると、速度が最も大きなところでi)の状
態が発生し、次いでii),iii),iv),v),vi)の順で次
第に小さな速度で発生するようになる。なお、v),v
i)の状態は通話中チャネル切替技術で救済することも
可能であるが、一応ここには入れておいた。
また、通話中チャネル切替について、前述の第7A図な
いし第7E図を用いて説明すると、 i)無線基地局30−1からの通信品質劣化発見の報告を
移動無線機50(B,C,D)で受信不能。
ii)i)の通信品質劣化発見の報告は受信できたが、無
線基地局30−1の周辺の無線基地局30へ周波数f1のモニ
タ受信の指示を出したにもかかわらず、モニタ結果の報
告を受信不能。
iii)ii)のモニタ結果を受信し、無線基地局30−nへ
チャネルCHnの使用を指令したにもかかわらず無線基地
局30−nより応答信号がこない。
iv)無線基地局30−1との交信オフを確認できない。
上記のうち移動無線機50(B,C,D)の移動速度の大小
から判断すると、速度の最も大きなところでi)の状態
が発生し、ii),iii),iv)の順で次第に小さな速度で
発生するようになる。ただし、上記のうちi)は、移動
無線機50(B,C,D)自身でも通信品質監視を行っている
システムにあっては、受信不能が生じても問題はない。
したがって、以下に説明するシステムでは、この監視を
行っているものとする。
さて、移動無線機50(B,C,D)が高速移動モードにあ
る場合、通信を確実に行うための本発明の作用を以下に
説明する。まず、高速移動モードについて、移動無線機
50(B,C,D)の移動速度により、広域呼出モード,高速
移動モード,低速移動モードに準ずるモードの3つのモ
ードに細分することができる。
まず、広域呼出モードについて説明する。携帯電話機
の移動速度が高速すぎるため、本発明の方法を適用して
も、なお十分に信頼性の高い通信を確保できない場合の
モードである。システム構成を適切にとれば後述するよ
うに、実際にはこのモードは発生しないであろう。
低速移動モードに準ずるモードは、高速移動中である
にもかかわらず、移動速度が比較的低速かあるいはシス
テム構成を高速移動に耐えるように構築してあり、通常
の移動モード(低速移動モード)と技術的にはほとんど
変らないシステム動作が行える状態の場合である。した
がってこのモードについての技術的問題は特になく、す
でに述べた本発明による実施例で示したシステム動作で
通信が可能である。
さて、システム構築を高速移動モードの移動無線機50
(B,C,D)にも良好に通信可能なように対策を講じてお
くことは重要である。以下、本システムに含まれる無線
機の送信電力等を前述の文献(伊藤“携帯電話の方式検
討−無線回線制御とルーチングを中心に−”電子情報通
信学会 通信方式研究会CS 87−16 1987年5月)と同一
にして、高速モードに適するシステム構築法を説明す
る。
まず、移動無線機50(B,C,D)が高速移動モードにな
るのは道路上である。そして、道路上は通常電波伝搬特
性が屋内にくらべ良好である。その上、道路沿いの柱上
等に設置される無線基地局30(B,C,D,E)は、主として
道路上の移動無線機50(B,C,D)を対象にすればよく、
したがって、アンテナの指向特性としては道路に沿った
細長い平面に主ビームを向ければよい。すなわち小ゾー
ンを構成するためには、通常のエリアである円形である
必要はなく長円もしくは扇形でよい。すると、同一の無
線基地局30(B,C,D,E)の送信電力であっても、比較的
遠くまで通信可能なサービス・エリアとなる。送信電力
が10mWで円形ゾーンでの場合は、屋外で半径200mが最大
であったが、長円では長軸に沿って半径300〜400m位迄
サービス・エリアにする事が可能となる。
これを図示すると第15図のごとくなる。第15図におい
て道路上の点Aもしくは点Bに高速移動モードの移動無
線機50(B,C,D)があるとし、点Aもしくは点Bの移動
無線機50(B,C,D)は、いずれも右方への高速移動中と
する。また、第15図の点P0〜P3,L1〜L6,Q0〜Q2は道路に
面した柱上に設置されている無線基地局30(B,C,D,E)
の位置を示し、点Q0,L4と点P1,L3とはそれぞれ同一の無
線基地局30(B,C,D,E)に対して、説明の都合上与えら
れた記号である。また同図面上で( )内に示された数
字は、各無線基地局30(B,C,D,E)の設置された点に対
応するID番号である。破線で囲まれた小ゾーンは、それ
ぞれP0,P1,P2,P3,L1,L3,L6の位置に設けられた無線基地
局30(B,C,D,E)のサービス・エリアを示す。
つぎに、第1A図に示した関門交換機20の高速移動モー
ドに関する動作について説明する。すでに、この関門交
換機20の機能について説明したように、関門交換機20の
ID識別記憶部24には多くの無線基地局30(B,C,D,E)や
移動無線機50(B,C,D)に関するモード別記憶機能が具
備されている。
すなわち道路沿いの無線基地局30(B,C,D,E)は、そ
れ以外の所に設置されている無線基地局30(B,C,D,E)
と同様に低速モード用として関門交換機20のID識別記憶
部24に記憶されているほか、高速移動モードの移動無線
機50(B,C,D)が現れた場合にそなえて、高速移動モー
ドの移動無線機50(B,C,D)と通信するのに適する無線
基地局30(B,C,D,E)群として道路沿いの無線基地局30
(B,C,D,E)(高速移動モード用無線基地局と称する)
のみを識別して記憶する機能を有する。そして、高速移
動モード用無線基地局は、高速移動モードの移動無線機
50(B,C,D)がその近傍に出現しない場合,あるいは通
話トラヒックが閑散な場合は、通常の無線基地局30(B,
C,D,E)と同一の動作を行うが、一旦高速移動モードの
移動無線機50(B,C,D)が出現すると、関門交換機20ま
たは、移動無線機50(B,C,D)の指示により高速移動モ
ードの移動無線機50(B,C,D)との交信のみに専念する
機能を有する。
したがって、高速移動モードの移動無線機50(B,C,
D)からの位置登録および発着呼が行われると、関門交
換機20は通信中の高速移動モード用無線基地局30(B,C,
D,E)ともとより、その周辺にある高速移動モード用無
線基地局に対しても、高速移動無線機50(B,C,D)から
送信される信号をモニタ受信させ、その測定結果を関門
交換機20へ報告させる。関門交換機20では、これらを比
較し、高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)の速度
(速さ、方向)を推定し、その結果をこの移動無線機50
(B,C,D)の進行方向にある高速移動モード用無線基地
局30(B,C,D,E)へ通知する。この結果、通常の低速移
動モードに比較して、はるかに移動無線機50(B,C,D)
が高速で移動していても、通信を確保することが可能と
なる。またシステムによっては、高速移動モードの移動
無線機50(B,C,D)か否かを、その移動無線機50(B,C,
D)または高速移動モード用無線基地局30(B,C,D,E)に
判断させるようにすることも可能である。
以下、高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)の位
置登録や発着呼動作の一例を、具体的数値を用いて説明
する。
移動無線機50(B,C,D)は自動車に搭載されていると
し、自動車の車速を時速110Kmとする。この速度はかな
り高速であり、高速道路上での速度と考えられるが、本
発明によるシステムでは設計に余裕をとるためにこの値
を採用する。上記の値は秒速30mとなる。
この速度の自動車が第15図の長円形のゾーンを進行す
ると、1つのゾーンを通過するには、300m×2/30m=20
秒かかることがわかる。ただし、移動無線機50(B,C,
D)からの位置登録や発着呼は、小ゾーンのどの位置か
ら行われるのか不明であるから、たとえば、第15図の点
Aにおいて開始された場合は、ただちに隣接ゾーンへ移
行するために、点P2の高速移動モード用無線基地局30
(B,C,D,E)との交信はすぐ不能となってしまう。
つぎに第15図の点Bで開始されたとすると、点P2の無
線基地局30(B,C,D,E)との交信は約20秒間持続される
ことになり、この場合には、システム条件によっては低
速移動モードの動作とほぼ同一となってしまう場合があ
る。実際にはこの中間と考えられ、1つの高速移動モー
ド用無線基地局30(B,C,D,E)との交信可能時間は平均1
0秒と考えてよい。またシステムによっては第15図に示
す通り別の無線基地局30(B,C,D,E)が点Q0,Q1,Q2およ
び点L2,L5に設置されており、サービス・ゾーン(図示
せず)がオーバラップすることになるが、これはダイバ
ーシティのために使用される場合がある。上記の説明で
は簡単のため、このダイバーシティの説明は省略した。
つぎに移動無線機50(B,C,D)と高速移動モード用無
線基地局30(B,C,D,E)との間の無線区間での交信なら
びに高速移動モード用無線基地局30(B,C,D,E)と関門
交換機20との有線系での交信(位置登録や発着呼)のた
めの信号の送受信に要する時間について説明する。
まず、無線区間であるが、位置登録や発呼のように移
動無線機50(B,C,D)が主導するときの制御信号の所要
時間を検討する。信号形態としてディジタル信号を用
い、信号速度を1200ビット/秒とする。位置登録のため
の移動無線機50(B,C,D)からの送出信号には、40ビッ
トのIDコードのほか、制御種別20ビット、それにプリア
ンブルやスタート信号、検査信号を含んでおり、最大20
0ビットと考えておけばよい。したがって信号送出に要
する時間は、200/1200=0.167秒すなわち約170msecとな
る。一方、高速移動モード用無線基地局30(B,C,D,E)
から移動無線機50(B,C,D)への制御信号も最大170msec
程度である。また有線系の信号送受信に要する時間は無
線系より小であるから、低速移動モードにおける位置登
録に要する全所要時間は通常のシステムで2秒以内であ
る。同様に、発呼に要する所要時間も2秒以内である。
着呼についても通常2秒以内であるが、移動無線機50
(B,C,D)が省電力化のために間欠受信をしていると、
所要時間が長くなり5秒位要する場合がある。
以上いづれの場合も所要時間のみから考えた場合、通
常のモード、すなわち低速移動モードの制御信号送受信
を用いても、他に劣化要因がなければ高速移動モードに
おいて十分実行可能であることが明らかとなった。
しかしながら、後述するように高速移動モードでディ
ジタル制御信号を伝送すると、フェージング作用の影響
等のために、伝送特性が劣化する。これを改善するため
に、つぎの方法が採用される。
i)同一信号を反復くり返し送出する(再送)。
ii)信号速度を高速移動モードに適する値に変更する。
iii)信号形式を高速移動モードに適するものに変更す
る。
iv)誤り訂正機能を強化する。
v)スペース・ダイバーシティ、周波数ダイバーシティ
等、各種のダイバーシティ技術を導入する。
以上の各技術をまとめて、高速移動モード用制御信号
送出方法と呼ぶことにする。上記のモードで送信部より
信号を送出するのに対し、対向する無線機の受信部では
これに見合った受信方法を適用することは当然である。
その方法として、 i)高速,低速モードを問わず受信可能。
ii)モード変換の直前に制御信号により相手方にモード
変換のある事を知らせる。
iii)一定の時間タイミングは、たとえば低速モードで
受信してみて、信号が満足に受信できなければ他のモー
ドに変更して受信する。
iv)受信部として高速用,低速用と2種類を準備する。
など種々の方法がある。
以上の諸技術は本発明を適用する各種システムに採用
される技術について述べたものであり、必ずしも上記す
べての技術を採用するとは限らない。
たとえば、これらのうち最も簡単なものは同一信号の
再送回数の増加であり、これだけでもかなりの効果を期
待できる。
以下、上記の対策のうち送受信ダイバーシティを適用
(ただし、通話中チャネル切替については同一信号の再
送回数の増加法を適用)する方法について具体的に説明
する。
この場合、小ゾーンシステムに採用されている制御信
号送受信方法すなわち、無線基地局30(B,C,D,E)と移
動無線機50(B,C,D)との間で制御チャネルとして使用
されているチャネルの隣接するゾーンで使用されている
他の制御チャネルとの間には、以下のごとき種類があ
る。
a)隣接するゾーンと同一の制御チャネルを使用するシ
ステム この場合、低速移動モードでは、無線基地局30(B,C,
D,E)から送信する下り制御信号は通話路制御部21から
の信号により近傍にある他の無線基地局30(B,C,D,E)
と時間的に同期して送受するか、あるいは時間差を設け
て順次送信される(送信機はそれぞれ1台が動作)。一
方、移動無線機50(B,C,D)か送信する上り制御信号
は、下り制御信号に対応した制御チャネルを使用する
(送信機から1つの制御チャネルを用いた制御信号が送
出される)。
ところが高速移動モードになると、1つの無線基地局
30(B,C,D,E)に具備されている複数の送受信機(ある
いは複数の送受信と同一の機能を時分割で送受する1個
の送受信機)から同一のチャネルで同一信号が同時また
は、順次に送出される。移動無線機50(B,C,D)でこれ
を受信すると、複数の送受信機によるならば一種のスペ
ース・ダイバーシティ効果が、また時分割による1個の
送受信機によるならばタイム・ダイバーシティ効果が得
られることになる。加えて、周辺にある無線基地局30
(B,C,D,E)からも、通話路制御部21からの指示に従う
方法で、同一信号が同一時刻または順次送出されるか
ら、上記の送信ダイバーシティ効果は相乗される。一
方、移動無線機50(B,C,D)からの上り制御信号は、移
動無線機50(B,C,D)に具備されている全送信機を用い
て、同一信号を同一の制御チャネルを用いて、同一信号
を同一の制御チャネルを用い、同時または時間差を設け
て送信するから、この場合も送信ダイバーシティ効果が
得られることになる。
b)隣接するゾーンとは別の制御チャネルを使用するシ
ステム この場合、低速移動モードでは、無線基地局30(B,C,
D,E)からの下り制御信号は周辺の無線基地局30(B,C,
D,E)からの制御信号の送信を全く考慮に入れずに行う
ことが可能となり、とくに関門交換機20からの指示も必
要なく、移動無線機50(B,C,D)に対して複数の無線基
地局30(B,C,D,E)から同時またはランダムに制御信号
の送信をすることができる。この場合に、各無線基地局
30(B,C,D,E)の使用する送信機は各1個である。一
方、移動無線機50(B,C,D)からの上り制御信号は、現
在受信している下り制御チャネルに対応した上り制御チ
ャネルを使用する(送信機から1つの制御チャネルを用
いた制御信号が送出される)。
ところが高速移動モードになると、1つの無線基地局
30(B,C,D,E)に具備されている複数の送受信機(ある
いは複数の送受信機と同一の機能を有する1個の送受信
機)から複数の制御チャネルで同一の信号が同時または
順次に送出される。周辺にある無線基地局30(B,C,D,
E)においても同様の動作が実行される。ただし電波干
渉を避けるため関門交換機20より送信タイミング情報が
各無線基地局30(B,C,D,E)へ送られている。一方、移
動無線機50(B,C,D)では、移動無線機50(B,C,D)の有
する全受信機が複数の制御チャネルのそれぞれを受信す
るように待機状態になっており、送受信ダイバーシティ
効果が得られることとなる。移動無線機50(B,C,D)か
らの上り制御信号は移動無線機50(B,C,D)に具備それ
ている全送信機を用いて、同一の信号を複数の制御チャ
ネルによって同時または時間差を設けて送信するから、
移動無線機50(B,C,D)の近傍にある複数の無線基地局3
0(B,C,D,E)で受信可能となり、これまた送受信ダイバ
ーシティ効果が得られることになる。
以上説明したように高速移動モードでは、制御信号送
受信に対してダイバーシティ効果が得られることが明ら
かになったが、これを通常の移動無線機50(B,C,D)の
状態である低速移動モードで使用しないのはつぎの理由
による。
i)周波数の有効利用 高速移動モードでは、無線基地局30(B,C,D,E),移
動無線機50(B,C,D)とも多くの無線チャネルを使用す
ることになり、他の移動無線機50(B,C,D)の発着呼に
電波妨害を与えたり、あるいは電波妨害を避けるために
発着呼信号送出の時間的なおくれが発生したりするから
である。
ii)低消費電力化 とくに携帯電話機のような小型の移動無線機50(B,C,
D)については、電池の負担を可能なかぎり軽減するた
めに、送信電力を時間的、ないしは量的に少なくするこ
とが望ましい。
したがってシステムとしては低速移動モードが望まし
く、この状態に全移動無線機50(B,C,D)があるものと
して、周波数の有効利用,加入者収容力の増大、他の通
信へ及ぼす影響を最小にする等を目標に最適の制御方法
を定めていたが、高速移動モードでは、これらの最適条
件から若干離れて、高速移動モードで交信中の移動無線
機50(B,C,D)に対する信号伝送の高信頼化をはかる方
向に設計思想を変えた点である。ただし、システム全体
から考えた場合、高速移動モードの移動無線機50(B,C,
D)の数は、通常のモードである低速移動モードの移動
無線機50(B,C,D)の数に比べて、きわめて少ない点で
ある。
一例をあげれば、東京23区内において前述の文献(伊
藤“携帯電話の方式検討−無線回線制御とルーチングを
中心に−”電子情報通信学会通話方式研究会CS 87−16
1987年5月)では、700万台の携帯電話機があるシス
テムで、車内に搭載されている携帯電話機数は全体の10
%以内、実際には5%位と推定される。したがって、た
とえ高速移動モードの移動無線機50(B,C,D)に対し信
号伝送の信頼度向上のため、再送等の技術を用いたとし
ても、全体として周波数の有効利用をそこなうことは僅
かであり、とくに問題とはなり得ないと考えられる。
つぎに高速移動モードにおける移動無線機50(B,C,
D)と高速移動モード用無線基地局30(B,C,D,E)との間
の信号の送受信方法について説明する。後述するように
低速移動モードにおける信号送受信方法を用いたので
は、信号の授受が良好に行えないことを認識した高速移
動モードの移動無線機50(B,C,D)または高速移動モー
ド用無線基地局30(B,C,D,E)において、この移動無線
機50(B,C,D)が高速移動モードであると判断し、つぎ
のような制御信号送出法を採用する。以下、位置登録,
発着呼,通話中チャネル切替の順で説明する。
(A)位置登録 低速移動モードにおける移動無線機50(移動無線機50
(B,C,D)を以下において単にこのようにいう)からの
位置登録信号送出許可信号は通常1回または複数回反復
送信されるが、これはシステム設計条件で定められる。
移動無線機50からの位置登録は、自身が高速移動モード
か否か認識している場合と認識していない場合とがある
が、以下認識していないと仮定して、第10A図ないし第1
0E図のフローチャートを用いて説明する。
移動無線機50の常置場所であるホーム・エリア、ある
いはホーム・エリア以外のサービス内のエリアであるロ
ーム・エリアにおいて、すでに関門交換機20および周辺
の無線基地局30−1,30−2,30−3が動作しているとき
に、移動無線機50の電源スイッチがオンされて、動作を
開始すると、最初に行われるのが位置登録動作である。
移動無線機50は高速移動中であるか否か、わからない
から、まず最初は低速移動モードとして、関門交換機20
主導型の位置登録が開始される。したがって、この方法
ではすでに第4図のステップS201ないしS211で説明した
ように、ステップS401ないしS409(10A図)およびステ
ップS410,S411(第10B図)の動作が進行し、関門交換機
20からの登録完了信号を受信した無線基地局30−1が、
これを移動無線機50へ転送し受信したところである。
(S411)。最寄りの無線基地局30−1からの登録完了信
号を、良好に受信できた場合は(S412,YES)、移動無線
機50では無線基地局30−1のIDを記憶し、登録動作を完
了する(S413)。
ところが、移動無線機50が高速移動中であるので電波
伝搬特性が悪く、通常は、最寄りの無線基地局30−1か
らこの登録完了信号を受信するが、良好に受信すること
ができない(S412NO)。したがって一定の時間タイミン
グの後、移動無線機50では同一の位置登録信号の送出を
再度実行する(S414)。無線基地局30−1では、再送さ
れた位置登録信号を受信し(S415)、受信内容を確認す
ると、受信品質を検査し、ID識別記憶部34にIDを記憶す
る(S416)。受信品質を検査した結果一定値以上である
場合には(S417YES)、位置登録要求信号を関門交換機2
0に対して送出する(S418、第10C図)。この登録要求信
号を受信した(S419)関門交換機20では、無線基地局30
−1に受信品質および位置が記憶されていることを登録
する(S420)。この登録作業が完了すると、登録完了信
号が送出される(S421)。この登録完了信号を受信した
無線基地局30−1では、下り制御チャネルを用いて移動
無線機50に転送する(S422)。
移動無線機50では、位置登録完了信号を受信すると
(S423)、それが良好に受信されたものであるか否かを
検査し(S424)、良好に受信された場合には(S424YE
S)、ステップS413(第10B図)にもどり、無線基地局30
−1のIDを記憶し、登録動作を終了する。良好に受信で
きない場合、あるいは受信不能の場合には(S424NO)、
この不良受信の回数が規定の数n(たとえばn=3)に
達していない場合には(S419NO)、ステップS414からS4
24の動作をくり返し、非常に小さな確率ではあるが規定
の回数nに達した場合には(S425YES)、移動無線機50
自身は高速で移動中であると判断し、高速移動モード用
制御信号送出方法に従って、制御信号のダイバーシティ
送受信することを決定し(S426)、複数または1つの制
御チャネル(CH)を用いて、同一内容の位置登録信号と
移動速度の測定依頼を無線基地局30−1,30−2,30−3に
対して送出する(S427,第10D図)。
一方、関門交換機20においても、移動無線機50の一連
の動作を注意深く見守っており、位置登録を受付けた同
一の移動無線機50から再度位置登録を行ってきたことに
より、移動無線機50は高速移動モードの可能性ありと判
断し、移動無線機50より移動速度の測定依頼があるか否
か待受ける。
この速度の測定依頼信号は一定間隔のタイミングで送
出され、高速移動モードである旨の情報が含まれてい
る。この測定依頼と位置登録許可信号を受信した最寄り
の無線基地局30−1および30−2,30−3では(S429,S43
0)、その受信状態が良好であったならば(S431YES,S43
2YES)、移動無線機50は高速移動モードであることを認
識する(S433,S434)。
無線基地局30−1,30−2,30−3では速度測定依頼をす
でに受けており、移動無線機50から一定間隔のタイミン
グで送られてくる信号の電界値を測定して、その測定結
果を位置登録要求信号とともに関門交換機20へ送信する
(S435,S436)。
受信電界値および位置登録要求信号を受領した関門交
換機20は、この受信電界の変化から、第14図を用いて説
明した方法により各無線基地局30−1,30−2,30−3に対
する移動無線機50の速度を求め、これらを比較処理し
て、移動無線機50が無線基地局30−1,30−2,30−3の方
向へ速度V1,V2,V3で移動中であることを算出する(S4
37)。この速度情報の報告は、位置登録完了信号ととも
に、ただちに無線基地局30−1,30−2,30−3に送出され
(S438、第10E図)、無線基地局30−1,30−2,30−3で
はこれを受信し、記憶し(S439,440)、移動無線機50宛
に複数の制御チャネルを用いるか、あるいは1つの制御
チャネルを用いて、各無線基地局30−1,30−2,30−3か
らそれぞれ異なるタイミングで転送される(S441,S44
2)。無線基地局30−1,30−2,30−3からの速度情報お
よび位置登録完了信号を受信した移動無線機50は(S44
3)、その受信が良好であるか否かを判断し(S444)、
良好であったときは(S444YES)、無線基地局30−1,30
−2,30−3の各IDを記憶して位置登録動作を終了する
(S447)。良好に受信できなかったときには(S444N
O)、その不良受信回数が所定のn回(たとえばn=
3)に達していない場合には(S445NO)、位置登録完了
信号等を良好に受信できるのを待ち(S444)、極めて少
ない確率ではあるが不良受信回数が所定のn回に達して
しまった場合には(S445YES)、位置登録を断念する
か、または広域呼出モードに移行し、着呼のみ可能な広
域呼出用制御信号の受信に専念する(S446)。この広域
呼出モードにおける着呼については、本出願人による特
願昭62−329022号に開示されている。
一方関門交換機20では移動無線機50の位置登録を高速
移動モードで受付けたことを記憶して(S448)、位置登
録動作を終了する。
ここにおける位置登録は、移動速度が大であるため
に、場所の登録は効果的ではない。ただし、通常は移動
無線機50の電源をオフにしておき、発呼するときのみ電
源をオンにして使用する場合には、位置登録後、ただち
に発呼が行われるから効果的である。しかし、一般的に
は、移動方向および速さの測定が行われて速度情報を用
いるようにしている。
この高速移動モードにおける本発明の動作において
は、無線基地局30−1,30−2,30−3からの信号の受信
は、低速移動モードの場合に比べて、はるかに受信しや
すいようになっている。それは高速移動モードの移動無
線機50からの位置登録動作開始信号を受信した最寄りの
無線基地局30−1,30−2,30−3では、その信号の中に含
まれている移動無線機50の速度情報から、移動無線機50
が高速移動モードであることを認識し、無線基地局30−
1から移動無線機50へ送信する位置登録信号送出方法に
従った送信方法を実行する。そしてこの信号の中に無線
基地局30−1,30−2,30−3は高速移動モードの移動無線
機50への応答信号である旨の情報を含めておく。このよ
うな方策により移動無線機50は無線基地局30−1,30−2,
30−3からの位置登録信号送出許可の信号を通常よりは
るかに受信しやすくなる。
また、高速移動モードにおける送受信ダイバーシティ
においては、関門交換機20に対して、移動無線機50が高
速移動中であることを知らせることができるから後述の
発着呼や通話中チャネル切替動作に有効となる。また、
たとえば位置登録が完了したとしても移動無線機50から
は、30秒毎とか1分毎とか一定の法則に従う時間間隔で
位置登録をくり返すので、着呼が確実に実行される。
さらに高速移動モードの移動無線機50からの位置登録
を受付けた関門交換機20では、登録のファイルを別管理
し、かつ高速移動モードの移動無線機50との交信に適す
る別管理されている無線基地局30(B,C,D,E、以下単に3
0という)を発着呼の際に割当てるから、以下に説明す
るように高速移動中であるにもかかわらず発着呼を確実
に実施することが可能である。
第15図には、道路ぞいに配置されている高速移動モー
ドの移動無線機50との交信に適する無線基地局30の群を
示す。第15図の左右に走る道路においては、左から右に
かけて点P0,Q0,P1,P2,Q1,P3,Q2にある各無線基地局30の
自己識別情報(ID)が( )内に示すように301,302,
…,306,307と単調に増大する等差数列で与えられてい
る。一方上下の道路ぞいに配置されている無線基地局30
では、上から下へ点L1ないしL6にある各無線基地局30の
自己識別情報(ID)が、431,433,435,437,…とこれまた
単調に増大する等差数列で与えられている。また各無線
基地局30のサービス・エリアは破線で示すごとくである
とすると、道路上のサービス・エリアは、通常相隣る無
線基地局30のサービス・エリアで重畳される状態にある
ことになる。
さて、移動無線機50は第15図のA点にあり、かつ右方
へ高速移動しつつあるとする。この時点での位置登録
は、当然ID番号304および305の無線基地局30に対し行わ
れるが、第10A図ないし第10E図で説明したごとく、移動
無線機50や関門交換機20は、移動無線機50の速度(方向
と速さ)は認識しており(第15図の右方向へ移動中であ
ること)これを発着呼の際に活用することになる。すな
わち位置登録の場所,各無線基地局30の設置間隔と、移
動無線機50の速度より、ある時間(次の位置登録のため
の信号送出までの時間)経過後の移動無線機50の位置を
かなり精度よく推定することが可能だからである。
なお高速移動モードの移動無線機50が急に低速移動モ
ードに変化する場合がある。自動車から下車した人が移
動無線機50を携帯する場合などがこれに該当する。この
場合には、高速移動モードから低速移動モードに移行し
たにもかかわらず、位置登録のための上記の信号送出は
継続されることになる。この場合にそなえるため、移動
無線機50からの位置登録信号を受信した無線基地局30−
1では、これを関門交換機20へ転送し、これを受けた関
門交換機20では、前回記憶した位置登録と同一場所ある
いは大きな移動が認められないと判断した時は、無線基
地局30−1経由で移動無線機50へ、低速移動モードに移
行したことを知らせ、、位置登録の反復実施を停止させ
る。あるいはシステムによっては、無線基地局30−1か
ら常時または間欠的に下り制御信号が送出されている場
合は、移動無線機50では、これを受信することにより、
自身のID・ロームエリア情報照合記憶部54を検索し、こ
の結果を関門交換機20へ通知することにより、同一の目
的を達することも可能である。
以上の動作により位置の登録動作は終了し、着呼に対
して待機状態に入る。
(B)発呼動作 移動無線機50からの高速移動モードにおける発呼動作
について説明する。
すでに位置登録動作において、移動無線機50自身が高
速移動モードであることを認識している場合と、そうで
ない場合とがある。後者はたとえば位置登録を行った
後、自動車に乗り込み発呼する場合であろう。以下、後
者の場合を第11A図ないし第11H図に示すフローチャート
を用いて説明するが、前者もこの中に含めることが可能
である。
移動無線機50は動作を開始し、これと通信する無線基
地局30−1,30−2,30−3や関門交換機20もすでに動作を
開始し、第10A図ないし第10E図で説明した位置登録は終
了している。
移動無線機50の送受話器が上げられて(オフ・フッ
ク)、上り制御チャネル(CH)を用いてこのオフ・フッ
ク信号と移動無線機50のID(識別番号)が送出される
(S501、第11A図)。この移動無線機50自身は高速で移
動中であることを知らないから、通常の低速移動モード
でオフ・フック信号の送出を行う。
オフ・フック信号を受けた無線基地局30−1では、移
動無線機50のIDを検出しID識別記憶部34にすでに登録さ
れているものであることを確認する(S502)。
そこで無線基地局30−1は、移動無線機50から受信品
質の値および現在の空チャネル番号を加えて、発呼応答
信号として下り制御チャネルを用いて送出する(S50
3)。これと同時に無線基地局30−1では、移動無線機5
0からのID信号の検出が良好にできたか否かをチェック
し(S504)、良好に検出できなかった場合には(S504N
O)、オフ・フック信号が再び送られてくるのを待つこ
とになる。無線基地局30−1からの発呼応答信号は移動
無線機50において受信され(S505)、この受信品質が良
好でない場合、あるいは全く受信できない場合には(S5
06NO)、所定の間隔で発呼信号を規定の回数まで送出す
ることをくり返す(S507NO、S501〜S506)。規定回数に
達すると(S507YES)、移動無線機50は高速移動モード
を認識し、制御の主導権をとることとし、高速移動モー
ドにおける発呼信号送出を制御チャネルを用いてダイバ
ーシティ送受信することを決定する(S508、第11B
図)。そこで移動無線機50は複数のまたは1つの制御チ
ャネルで同一内容のオフ・フック信号(発呼信号)と速
度測定依頼を同時に送信し、制御チャネルでの受信を待
機する(S509)。
このオフ・フック信号と速度測定依頼の信号とを受け
た無線基地局30−1およびその周辺の無線基地局30−2,
30−3は(S510,S511)、この両信号を良好に受信する
ことができた場合には(S512YES,S513YES)、無線基地
局30−1,30−2,30−3は、移動無線機50が高速移動中で
あることを認識するので、高速移動モード用として空い
ている通話チャネルの番号の通知と、そのチャネルを用
いての通話の準備をすることを指示する空チャネル情報
を、移動無線機50に複数の制御チャネルを用いて、また
は1つの制御チャネルで通話路制御部21の制御でタイミ
ングをずらして送出し(S514,S515、第11C図)、移動無
線機50ではこの高速移動モード用空チャネル情報をダイ
バーシティ受信する(S516)。この空チャネル情報に
は、高速移動モード用の通話チャネルCH100およびCH10
1,CH102が空いていることが含まれている。
速度測定依頼を良好に受けた無線基地局30−1および
30−2,30−3では(S512YES,S513YES、第11B図)、それ
ぞれ空チャネルとしてCH100(無線基地局30−1用),CH
101(無線基地局30−2用),CH102(無線基地局30−3
用)が適することと速度測定の結果とを関門交換機20に
送信する(S517,S518、第11C図)。
この速度測定結果と空チャネル情報を無線基地局30−
1,30−2,30−3から受けた関門交換機20は、各無線基地
局30−1,30−2,30−3の受信電界の変化から、各無線基
地局30−1,30−2,30−3に対する移動無線機50の速度を
求め、これらを比較処理して、移動無線機50が無線基地
局30−1,30−2,30−3の方向へそれぞれ速度v1,v2,v3
で移動中であることを算出する(S519)。この情報は、
ただちに無線基地局30−1,30−2,30−3に送信される
(S520)。
無線基地局30−1,30−2,30−3では、関門交換機20か
らの速度情報を受信し、記憶する(S521,S522)。
空チャネル情報を含む発呼応答信号を受信した移動無
線機50では(S516、第11C図)、良好に受信できたか否
かを調べ(S523、第11D図)、良好に受信できなかった
り、あるいは、所定の時間経過後も全く受信できない状
態のときには(S523NO)、再度ステップS501(第11A
図)にもどり、オフ・フック信号の送出をくり返す。そ
れにもかかわらず発呼応答信号を受けることができない
場合は発呼を断念することになろう。しかしながら、こ
のような事態の起こる可能性は極めて稀であり、通常
は、このオフ・フック信号の送出をくり返すうちに、発
呼応答信号を良好に受信することができるであろう(S5
23YES、第11D図)。
移動無線機50は発呼応答信号を良好に受信すると、高
速移動モードに割当てられ指示された通話チャネルであ
る空チャネルCH100(無線基地局30−1用),CH101(無
線基地局30−2用),CH102(無線基地局30−3用)を確
認し(S524)、この指示されたチャネルを希望する場合
は(必ずしも高速移動モードを使用する必要はない)、
高速移動モード用のチャネルCH100等を指定する信号を
送出し(S525)、これを受けた無線基地局30−1,30−2,
30−3では、指定チャネル(CH100〜102)が空いている
ことを確認して指定チャネルに切替える(S526,S527)
と同時に下り制御チャネルでチャネル切替完了報告を移
動無線機50に送出し(S528,S529)、これを移動無線機5
0が確認すると、無線基地局30−1,30−2,30−3を介し
て関門交換機20からダイヤル・トーンとして送られてく
るのを待つ(S531、第11E図)。
無線基地局30−1,30−2,30−3では、移動無線機50に
チャネルの切替完了報告を送出すると、関門交換機20に
対して発呼信号の送出を依頼し(S532,S533)、この依
頼を受けた関門交換機20は移動無線機50のIDを検出し、
通信品質をID識別記憶部24に記憶し、通話路制御部21の
制御によりスイッチ群23の、たとえばSW1−1,SW1−2,SW
1−3をオンして無線基地局30−1,30−2,30−3を電話
網10の交換機11に接続する(S534)。
そこで交換機11側からは、関門交換機20のスィツチ群
23を介してダイヤル・トーンが送出される(S535)。
このダイヤル・トーンは無線基地局30−1,30−2,30−
3からチャネルCH100,CH101,CH102(下り)により転送
されて(S536,S537)、移動無線機50で受信され、通話
(信)路が設定されたことを確認する(S538)。移動無
線機50は、宛先のダイヤル信号をチャネルCH100,CH101,
CH102(上り)を用いて送出し(S539、第11F図)、無線
基地局30−1,30−2,30−3により転送されて(S540,S54
1)、交換機11が動作して電話網10の宛先までの通話
(信)路が設定される(S542)。その後通話がなされる
(S543)。
通話が完了すると、送受話器がオン・フックされて
(S544)、オン・フック信号と終話信号が移動無線機50
からチャネルCH100,CH101,CH102(上り)を用いて送出
される(S545)。これにより無線基地局30−1,30−2,30
−3は終話を確認し(S546,S547)、終話を関門交換機2
0に伝える。そこで関門交換機20ではスイッチ群23のス
イッチSW1−1,SW1−2,SW1−3をオフにし、高速移動モ
ードにおけるダイバーシティ送受信による通話が終了す
る(S548)。
無線基地局30−1が低速移動モードにおけるオフ・フ
ック信号を受けて、移動無線機50のIDを良好に検出した
場合には(S504YES、第11A図)、無線基地局30−1は、
移動無線機50から受信した受信品質の値および現在の空
チャネル番号を加えて発呼応答信号として低速移動モー
ドのまま下り制御チャネルを用いて送出する(S549、第
11G図)。
このような発呼応答信号を無線基地局30−1から受け
た移動無線機50は、各無線基地局30−1からの受信品質
の値を検討し、ダイバーシティ送受信可能な、たとえば
無線基地局30−1〜30−nを選択し、空チャネルを確認
し(S550)、使用する通話チャネルを指定する信号を送
出する(S551)。ここで、無線基地局30−1(30−2〜
30−nの記載は省略)に対してはチャネルCH1を指定す
る信号を送出する。無線基地局30−1では、移動無線機
50が指定してきた通話チャネルが空いていることを確認
して、そのチャネルに切替えて(S552)、チャネル切替
完了報告を下り制御チャネルを用いて送出する(S55
3)。この切替完了報告を受けて(S554)、移動無線機5
0では、指定した通話チャネルでダイヤル・トーンを待
つ(S555)。
一方、無線基地局30−1では、関門交換機20に対して
発呼信号を送出する(S556)。これを受けた関門交換機
20は、移動無線機50のIDや、通信品質をID識別記憶部24
に記憶し、通話路制御部21の制御によりスイッチ群23
の、たとえばSW1−1をオンして無線基地局30−1を電
話網10の交換機11に接続する(S557)。
そこで交換機11側からは、関門交換機20のスィツチ群
23を介してダイヤル・トーンが送出される(S558、第11
H図)。
このダイヤル・トーンは無線基地局30−1で低速移動
モード用のチャネルCH1(下り)により転送されて(S55
9)、移動無線機50で受信され、通話(信)が設定され
たことを確認する(S560)。移動無線機50は、宛先のダ
イヤル信号をチャネルCH1(上り)を用いて送出し(S56
1)、無線基地局30−1により転送されて(S562)、交
換機11が動作して電話網10の宛先までの通話(信)路が
設定される(S563)。その後通話がなされる(S564)。
通話が完了すると、送受話器がオン・フックされて
(S565)、オン・フック信号と終話信号が移動無線機50
からチャネルCH1(上り)を用いて送出される(S56
6)。これにより無線基地局30−1は終話を確認し(S56
7)、終話を関門交換機20に伝える。そこで関門交換機2
0では、スイッチ群23のスイッチSW1−1をオフにし、通
話が終了する(S568)。
以上の説明では、移動無線機50と交信する無線基地局
は30−1,30−2,30−3と仮定したが、実際にはさらに多
くの無線基地局30と同時に交信する。すなわち低速移動
モードの発呼動作で説明した通り、ダイバーシティ送受
信を行うためである。したがって高速移動モード用通話
チャネルの指定は、ある無線基地局30−1には、たとえ
ばチャネルCH100、無線基地局30−2にはたとえばチャ
ネルCH101,…,…という具合に各無線基地局30に対応し
て1個づつ指定される。その結果、それ以後の信号伝送
は、ダイバーシティ効果のために無線基地局30および移
動無線機50の受信品質はダイバーシティ効果のために向
上するので、通常は高速移動モードの制御信号送出方法
を適用する必要はなく、低速移動モードとほぼ同一の送
信方法(ただし、移動無線機50から送出する制御信号に
は、高速移動モードであることを示す情報は含めてお
く)で十分となる。
(C)着呼動作 移動無線器50への着呼の動作の流れを第12A図ないし
第12I図を用いて説明する。無線基地局30−1などの近
傍に存在する移動無線機50等はすべての無線基地局30で
共通して使用する制御チャネルで待受けている。
ここで移動無線機50は高速移動モードの状態にあるか
否か認識している場合もあるが、その認識がないものと
して説明する。
第1A図において電話網10から関門交換機20に移動無線
機50宛の着呼信号が入来したとする。関門交換機20内の
ID識別記憶部24では、入来した着呼信号を検査し、被呼
者のIDを調べたところ現在位置登録されている無線基地
局30(複数)が検索されたとする。この場合、移動無線
機50は低速モードで位置登録がなされているはずであ
る。すると、通話路制御部21を経由して移動無線機50が
位置登録されているすべての無線基地局たとえば30−1,
30−2,30−3宛に着呼信号を同時に送出する(S601、第
12A図)。
この信号を受信した各無線基地局30−1,30−2,30−3
では、自局内のID識別記憶部34(C)を検索し移動無線
機50のIDがそこに記憶されていることを確認すると、下
り制御チャネルを用いて、移動無線機50宛に着呼および
通話チャネル指定要請の信号を無線基地局30−1,30−2,
30−3のIDを加えて送出する(S602,603,604)。
この無線基地局30−1,30−2,30−3からの着呼信号の
送出に対して、移動無線機50が良好に受信することがで
きず(S607NO)、また無線基地局30−1,30−2,30−3
が、移動無線機50からの着呼応答を所定の時間経っても
無線基地局30−1,30−2,30−3が受けない場合には(S6
05,S606)、着呼信号の送出を規定の回数に達するまで
くり返す(S608,S609、第12B図)。
着呼信号の送出が規定の回数に達すると(S608YES,S6
09YES)、無線基地局30−1,30−2,30−3では、移動無
線機50は、無線基地局30−1,30−2,30−3のサービス・
ゾーン外に居るか、もしくは高速移動中であると判断
し、高速移動モード用の着呼方法をとるべきことを関門
交換機20へ連絡する(S610,S611)。
各無線基地局30−1,30−2,30−3から、移動無線機50
が高速移動中であると推定される情報を受信して分析し
た結果(S612)、関門交換機20は、移動無線機50は高速
移動中であると判断し(S613)、ID識別記憶部24を検索
して、移動無線機50は高速移動モードで位置登録済か否
かを確認し(S614、第12C図)、依然として、高速移動
モードで位置登録がなされていないならば(S614NO)、
広域呼出モードに移行し(S615)、着呼のみ可能な広域
呼出用制御信号の受信に専念する(S615)。
一方、移動無線機50においては、位置登録動作を一定
の法則に従う間隔で実施中であり、高速移動モードによ
る位置登録を完了しているはずである。この結果位置登
録した無線基地局を30−11,30−12,30−13とすると、関
門交換機20には、この旨記憶される。
移動無線機50が高速移動モードで位置登録済と変更さ
れている場合には(S614YES)、位置登録済の無線基地
局30−1(この場合に、無線基地局30は、当然、以前登
録されていた無線基地局30−1とは異なるケースが大部
分であるが、同一の無線基地局30−1と仮定した。30−
2,30−3も同様である。)、および移動無線機50の進行
方向に存在する無線基地局30−2,30−3に対し、高速移
動モード用に指定された伝搬特性の良好な通話チャネル
のうち、空いたチャネルを用いて交信するための準備
と、ダイバーシティ送受信の適用と、移動無線機50の速
度測定と、また、移動無線機50に対する高速移動モード
の着呼信号の送出とを依頼する信号を関門交換機20は無
線基地局30−1,30−2,30−3に送る(S616)。
この空チャネル準備,ダイバーシティ送受信の適用,
速度測定および着呼信号送出依頼を受信した無線基地局
30−1,30−2,30−3では、高速移動モードによる着呼信
号と空チャネル情報を複数の制御チャネルまたは通話路
制御部21に制御されて1つの制御チャネルを用いて送出
タイミングをずらして移動無線機50に対して送信する
(S617,S618)。
この着呼信号は高速移動モード用制御チャネルで待受
中の移動無線機50で受信され(S619)、受信信号の品質
や信号の内容を検索し、着呼信号は良好であったか否か
検討がされ(S620)、移動無線機50宛の着呼信号である
ことを確認した後は(S621)、移動無線機50が近傍の通
話トラヒック状態を考慮の上、それぞれ無線基地局30−
1,30−2,30−3とそれぞれ通信可能な通話チャネルたと
えばCH100,CH101,CH102を決定し、上り制御チャネルを
用いて、無線基地局30−1,30−2,30−3宛に送信する
(S622、第12D図)。またこれと同時に移動無線機50
(第1B図)内の各シンセサイザ55−1,55−2および56−
1,56−2,…,56−nや切替スイッチ64−1,64−2と受信
および送信切替用制御器65Cおよび67Cを動作させ、たと
えば通話チャネルCH100(無線基地局30−1用)、通話
チャネルCH101(無線基地局30−2用)、通話チャネルC
H102(無線基地局30−3用)で送受信可能な状態に移行
する準備をさせる。移動無線機50からの上り制御チャネ
ルを受信した各無線基地局30−1,30−2,30−3では、受
信信号の品質を検査し、発進した移動無線機50のIDを確
認して(S623,S624)、着呼応答信号を関門交換機20に
対して送出する(S625,S626)。
この関門交換機20への着呼応答信号には、通話路設定
のためのスイッチ群23への信号も含まれている。そこで
この着呼応答信号を受けると、関門交換機20では、移動
無線機50のIDがすでにID識別記憶部24に記憶されている
か否かを再確認し、通常は記憶されているが、万一、記
憶されていない場合には、無線基地局30−1,30−2,30−
3の品質検査のデータとともにID識別記憶部24に登録
し、この記憶したIDなどを含む応答確認信号を無線基地
局30−1,30−2,30−3へ送出する(S628)。
この応答確認信号を受けた無線基地局30−1,30−2,30
−3では、移動無線機50のIDが正しく登録されたことを
確認し(S629,S630)、移動無線機50から指定されたチ
ャネルが空いているか否かを確認して切替確認信号を複
数または1つの下り制御チャネルで移動無線機50に送出
する(S631,S632)。
この指定チャネルへの切替確認信号を受信した(S63
3)移動無線機50では、空きチャネルが無いために、指
定したチャネルの切替えが認められない場合には(S634
NO)、ステップS622にもどり、別の通話チャネルを指定
する(S622)。指定したチャネルたとえばCH100,CH101,
CH102が空きチャネルであり、切替えが認められた場合
には(S634YES)、そのチャネルに切替えて、チャネル
切替完了報告を上り制御チャネルを用いて送出する(S6
35、第12E図)。
空きチャネルに切替えられたことを確認した無線基地
局30−1,30−2,30−3では、このチャネルに切替えて、
チャネル切替完了信号を関門交換機20に対して送出する
(S636,S637)。
関門交換機20では、チャネル切替完了信号を受ける
と、交換機11を介して電話網10への通話路を設定するた
めに、通話路制御部21を動作させてスイッチ群23のSW1
−1,SW1−2,SW1−3をオンにして、無線基地局30−1,30
−2,30−3と電話網10とを接続する(S638)。そこで電
話網10側からは関門交換機20を介して呼出信号が送出さ
れ(S639)、これを無線基地局30−1,30−2,30−3で確
認する(S640,S641)。そこで呼出ベル信号を設定され
た高速移動モード用の通話チャネルCH100,CH101,CH102
で送出し(S642,S643)、移動無線機50で呼出音を発生
する(S644)。
この呼出音により移動無線機50側の送受話器が持ち上
げられる(オフ・フック)と(S645、第12F図)、チャ
ネルCH100、CH101,CH102でオフ・フック信号が送出さ
れ、無線基地局30−1,30−2,30−3で転送されて(S64
6,S647)、関門交換機20に受信されて(S648)、電話網
10と移動無線機50との間で通話が開始される(S649)。
通話が終了すると、送受話機がおろされ、オン・フッ
ク信号と終話信号がチャネルCH100,CH101,CH102により
無線基地局30−1,30−2,30−3に送られ(S650)、終話
を確認した無線基地局30−1,30−2,30−3では、この信
号を転送する(S651,S652)。このオン・フック信号お
よび終話信号を受けた関門交換機20は、通話路制御部21
を動作せしめてスイッチ群23のSW1−1,SW1−2,SW1−3
をオフして終話する(S653)。
移動無線機50が低速移動モードにあり、無線基地局30
−1,30−2,30−3が移動無線機50からの着呼応答信号を
良好に受信した場合(S605YES,S606YES、第12A図)ある
いは、無線基地局30−1,30−2,30−3から移動無線機50
が低速移動モードで良好に着呼信号を受信した場合には
(S607YES、第12A図)、受信信号の品質や信号の内容を
検索し、移動無線機50宛の着呼信号であることを確認し
た後は(S654、第12G図)、移動無線機50が近傍の通話
トラヒック状態を考慮の上、それぞれの無線基地局30−
1,30−2,30−3と通信可能な低速移動モードの通話チャ
ネルを決定し、上り制御チャネルを用いて、無線基地局
30−1,30−2,30−3宛に送信する(S655)。またこれと
同時に移動無線機50(第1B図)内の各シンセサイザ55−
1,55−2および56−1,56−2,56−3や切替スイッチ64−
1,64−2と受信および送信切替用制御器65Cおよび67Cを
動作させ、たとえば通話チャネルCH1(無線基地局30−
1用)、通話チャネルCH2(無線基地局30−2用)、通
話チャネルCH3(無線基地局30−3用)で送受信可能な
状態に移行させる。移動無線機50からの上り制御チャネ
ルを受信した各無線基地局30−1,30−2,30−3では、受
信信号の品質を検査し、発信した移動無線機50のIDを確
認して(S656)、着呼応答信号を関門交換機20に対して
送出する(S657)。
この関門交換機20への着呼応答信号には、通話路設定
のためのスイッチ群23への信号も含まれている。そこで
この着呼応答信号を受けると、関門交換機20では、移動
無線機50のIDがすでにID識別記憶部24に記憶されている
か否かを確認し、記憶されていない場合には、無線基地
局30−1の品質検査のデータとともにID識別記憶部24に
登録し(S658)、この記憶したIDなどを含む応答確認信
号を無線基地局30−1,30−2,30−3などへ送出する(S6
59)。
この応答確認信号を受けた無線基地局30−1,30−2,30
−3では、移動無線機50のIDが正しく登録されたことを
確認し(S660)、移動無線機50から指定されたチャネル
が空いているか否かを確認して切替えの可否を検討し
(S661、第12H図)、その結果である切替え認否の信号
を低速移動モード用下り制御チャネルで移動無線機50に
送出する(S662)。
この切替え認否の信号を受信した(S663)移動無線機
50では、空きチャネルが無いために、指定したチャネル
の切替えが認められない場合には(S664NO)、ステップ
S655(第12G図)にもどり、別の通話チャネルを指定す
る(S655)。指定したチャネルが空きチャネルであり、
切替えが認められた場合には(S664YES、第12H図)、そ
のチャネルに切替えて、チャネル切替完了報告を低速移
動モード用上り制御チャネルを用いて送出する(S66
5)。
空きチャネルに切替えられたことを確認した(S666)
無線基地局30−1,30−2,30−3では、このチャネルに切
替えて、チャネル切替完了信号を関門交換機20に対して
送出する(S667)。
関門交換機20では、チャネル切替完了信号を受ける
と、交換機11を介して電話網10への通話路を設定するた
めに、通話路制御部21を動作させてスイッチ群23のSW1
−1,1−2,1−3をオンにして、無線基地局30−1,30−2,
30−3と電話網10とを接続する(S668)。そこで電話網
10側からは関門交換機20を介して呼出信号が送出され
(S669,第12I図)、これを無線基地局30−1,30−2,30−
3で確認する(S670)。そこで呼出ベル信号を設定され
た低速移動モード用の通話チャネルCH1で送出し、移動
無線機50で呼出音を発生する(S672)。
この呼出音により移動無線機50側の送受話器が持ち上
げられる(オフ・フック)と(S673)、チャネルCH1で
オフ・フック信号が送出され、無線基地局30−1,30−2,
30−3で転送されて(S674)、関門交換機20に受信され
て(S675)、電話網10と移動無線機50との間で通話が開
始される(S676)。
通話が終了すると、送受話器がおろされ、オン・フッ
ク信号と終話信号がチャネルCH1により無線基地局30−
1,30−2,30−3に送られ(S677)、終話を確認した無線
基地局30−1,30−2,30−3では、この信号を転送する
(S678)。このオン・フック信号および終話信号を受け
た関門交換機20は、通話路制御部21を動作せしめてスイ
ッチ群23のSW1−1,SW1−2,SW1−3をオフして終話する
(S679)。
以上の説明において、無線基地局30−1,30−2,30−3
に設置された制御用の送受信機を通話チャネル用に転用
するシステムにおいても、移動無線機の構成で説明した
ような送受信チャネルを時間的に反復切替える方法によ
り、すでに第3の移動無線機と通信中であっても、新し
く着呼した移動無線機と制御チャネルを用いて交信する
ことが可能である(第1D図,参照)。
なお、以上(B)および(C)項で説明した発呼およ
び着呼による通信中に移動無線機50(B,C,D)が高速移
動モードから低速移動モードへ変化する場合がある。こ
の場合の対策としては、その通話にかぎっては高速移動
モードを持続させる方法と速度検出を行い低速移動モー
ドへ移行させる方法のいづれかを採用することが可能で
ある。前者の場合、システム技術としてとくに説明を加
えることはないが、後者の場合にはつぎに説明する通話
中チャネル切替の技術を使用することとなる。
(D)通話中チャネル切替 高速移動モードの移動無線機50に対する通話中チャネ
ル切替動作はすでに説明した低速移動モードの通話中チ
ャネル切替に近似している。自動車に搭載された移動無
線機50が行う通話中チャネル切替に先立って発呼が開始
されたとき、自動車の移動速度が小で低速移動モードの
発呼に成功したものとする。ただし、その後通話中に自
動車の移動速度が増加すると、下記の技術的困難が発生
する。すなわち、通話に使用している複数のチャネルの
1つが通話品質劣化を生じたので、このチャネルの使用
を廃し、新通話チャネルを用い新無線基地局30と交信を
開始することを行う動作の中途で、旧チャネルの通話品
質がシステムで定められた品質以下に劣化する。もしく
は新しい無線基地局30との間の新チャネルの設定におい
て、高速移動モードのために失敗する。具体的な失敗の
原因としては、高速移動にともなう電波伝搬特性の悪化
のためディジタル制御信号の伝送品質が劣化し、周辺の
無線基地局30への、または無線基地局30への新チャネル
使用の指示、またはその応答信号が良好に受信できない
ことである。
このような問題点を解決するための動作の流れを第13
A図ないし第13I図に示し説明する。
関門交換機20,無線基地局30−1,30−2,…,30−n等
(30−p,30−q,…,等は単に30−n等という)および移
動無線機50が動作を開始し、関門交換機20に含まれるス
イッチ等23のスイッチSW1−1,1−2,…,1−(n−1)が
オンであり、無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−
1)と移動無線機50との間で低速移動モードで交信中で
ある。この交信には、移動無線機50に含まれる制御部58
によって指示されたチャネルCH1,CH2,…,CH−(n−
1)の下り周波数F1,F2,…,Fn-1と上り周波数f1
f2,…,fn-1が使われている(S701、第13A図)。
通信中の無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)
からは、たえず移動無線機50からの受信状況報告が出さ
れ、通信品質の劣化が発見されると、ただちに移動無線
機50に報告される(S702)。これを受けた移動無線機50
において、通信品質監視部57により移動無線機50自身も
通話品質の劣化を発見しており(S703,S704)、通話品
質がレベルL1よりも劣化していないか否かを監視してい
る(S705)。通話品質がレベルL1よりも劣化していたな
らば(S705YES)、制御部58から、無線基地局30−1の
周辺にある無線基地局30−nなどに対し、無線基地局30
−1,30−2,30−3,…,30−(n−1)と移動無線機50と
の間の交信に使用している上り周波数f1,f2,…,fn-1
の信号をモニタ受信するように指示する(S706、第13B
図)。
モニタ受信の指示を受けた周辺の各無線基地局30−n
などでは、周波数f1の信号をモニタ受信し(S707)、そ
の結果を移動無線機50の通信品質監視部57に報告し(S7
08,S709)、各無線基地局30−nなどからのモニタ受信
品質を測定比較し、たとえば無線基地局30−nの通話品
質が一定基準のレベルL2よりも良いことを検出する(S7
10YES)。
通信品質が良好でない場合は(S710NO)ステップS706
(第13B図)にもどり、規定の回数に達するまでモニタ
受信の指示を繰り返し送出する(S711NO、第13C図)。
モニタ受信の指示の送出回数が規定の回数に達すると
(S711YES)、制御部58は、移動無線機50自身が高速移
動モードにあるものと判断し、高速移動モードに適する
制御信号形態でモニタ受信を電波伝搬特性の良好な複数
のまたは1つの高速移動モード用制御チャネル(CH)を
用いて無線基地局30−n等に指示する(S712)。
隣接するゾーンで使用中の制御チャネルとは別の制御
チャネルを使用するシステムの無線基地局30において
は、同一チャネルで送信する送信機数を増加させたり、
移動無線機50からの受信にそなえて複数の受信機を待機
させるなどの方法を適用する。後者の複数の受信機を使
用させる方法を用いる場合は、受信アンテナを複数個設
置し、そのそれぞれの出力を各受信機へ導入するように
回路を構成する。
このような無線基地局30だけのダイバーシティでも、
制御信号の伝送時の信頼度向上にかなり大きく貢献する
から、システムとして十分な場合もあるが、なお不足す
る場合は、他の方策、たとえば同一制御信号の再送回数
(S711の規定回数)を増加させるようにする。ステップ
S712における指示を受けた無線基地局30−n等では(S7
13)、モニタ受信し、その結果を複数のまたは1つの高
速移動モード用制御信号を用いてダイバーシティにより
移動無線機50に報告する(S714)。
このモニタ結果をダイバーシティ受信した移動無線機
50では、このモニタ結果を受信する場合の通信品質が良
好でないか、あるいは全く受信できない場合には(S716
NO)、ステップS706(第13B図)にもどって、モニタ受
信の指示を繰り返す。モニタ結果を通信品質良好に受信
した場合には(S716YES)、そのモニタ結果を分析し
て、移動無線機50自身は無線基地局30−1のカバーする
ゾーンから無線基地局30−nのカバーするゾーンに移動
したものと判断し(S717、第13D図)、無線基地局30−
nとの交信に切替えるために、無線基地局30−nが使用
することのできる空きチャネルを検索し(S718)、その
結果、高速移動モードに適したチャネルCHnを決定する
(S719)。制御部58は、移動無線機50の送信部51−nお
よび受信部53−nを介して、無線基地局30−nに対しチ
ャネルCHnでの交信の準備をするように指令する(S72
0)。
このチャネルCHnを用いるための交信準備指令は、高
速移動モード用の制御チャネルを用いて無線基地局30−
nに送られ、チャネルCHnによる交信の準備をする(S72
1)。移動無線機50は、チャネルCHnによる交信を可能と
するための準備、すなわち、制御部58からシンセサイザ
55−nおよび56−nに対して、周波数Fnを受信し、周波
数fnで送信できるように指示し、また切替用制御器65は
切替動作に入る(S722、第13E図)。
チャネルCHnを用いて交信する準備ができると、無線
基地局30−nは、準備完了の報告をチャネルCHnを用い
て移動無線機50に対して連絡し(S723)、これと同時に
無線基地局30−nは、関門交換機20に対し高速移動モー
ドに適したチャネルCHnによる無線基地局30−nと移動
無線機50との間での交信準備が完了したことの報告を出
す(S723)。これを受けた移動無線機50は、チャネルCH
nによる交信準備が完了したことを確認し(S727)、無
線基地局30−nに対して交信開始指令を発し(S728)、
これを受信した無線基地局30−nでは交信を待つ(S72
9)。
高速移動モードに適したチャネルCHnを用いての無線
基地局30−nと移動無線機50との間の交信準備の完了
を、関門交換機20が確認すると(S724)、スイッチ群23
のスイッチSW1−1,1−2,…,1−(n−1)はオンのまま
にして、スイッチSW1−nもオンにする(S725)。そこ
で関門交換機20に含まれた通話路制御部21は、移動無線
機50に対して、移動無線機50との間でチャネルCHnを用
いて交信を開始可能なことを報告する(S726)。
交信開始可能報告を受信すると、無線基地局30−nは
交信開始信号をチャネルCHnを用いて移動無線機50宛に
送出する(S730)。移動無線機50は無線基地局30−nを
識別するための識別信号であるID信号により、チャネル
CHnによる交信の開始を確認し(S731)、同時に移動無
線機50の通信品質監視部57は、移動無線機50と無線基地
局30−nとの間の通信の品質レベルを測定し、一定の品
質レベルL2以上であることを検出すると(S732YES、第1
3F図)、無線基地局30−1と移動無線機50との間のチャ
ネルCH1を用いて行っていた交信の停止を無線基地局30
−1に指令する(S733)。
これによって、無線基地局30−1はチャネルCH1によ
る交信をオフにする(S734)。このチャネルCH1による
交信停止を移動無線機50が確認すると(S736)、シンセ
サイザ55−1および56−1の動作を停止し、切替スイッ
チ64−1はシンセサイザ55−1の出力端子への切替えを
停止し、切替スイッチ64−2はシンセサイザ56−1の出
力端子への切替えを停止(この動作は必ずしも必要では
ないが)して、チャネルCH2,CH3,…,CHnで動作せしめる
ようにする。
チャネルCH1交信停止を確認した関門交換機20の通話
路制御部21は、スイッチ群23のスイッチSW1−2,1−3,
…,1−nはオンのままとし、スイッチSW1−1をオフに
する(S735)。
これによって、チャネル切替動作の期間を終了し、ス
イッチSW1−2,1−3,…,1−nのオン状態で、チャネルCH
2,CH3,…,CHn、下り周波数F2,F3,…,Fn上り周波数
f2,f3,…,fnを用いて、移動無線機50は無線基地局30
−2,30−3,…,30−nとの間で、一瞬の切断も、雑音の
混入もなく、かつ送受信ダイバーシティ効果を得て、高
品質な通信を継続することができる(S737)。
ここで、チャネルCH2〜CH(n−1)は低速移動モー
ドのままであり、チャネルCHnは高速移動モードで使用
されている。
ステップS710(第13B図)において、移動無線機50が
モニタ信号を良好に受信した場合は(S710YES)、制御
部38は、移動無線機50が無線基地局30−1のカバーする
ゾーンから無線基地局30−nのカバーするゾーンに移動
したものと判断し(S738、第13G図)、低速移動モード
のまま無線基地局30−nとの交信に切替えるために、無
線基地局30−nが使用することのできる空きチャネルを
検索し(S739)、その結果、たとえばチャネルCHnを決
定する(S740)。制御部58は、移動無線機50の送信部51
−nおよび受信部53−nを介して、無線基地局30−nに
対しチャネルCHnでの交信の準備をするように指令する
(S741)。
このチャネルCHnを用いるための交信準備指令は、無
線基地局30−nに送られ、チャネルCHnによる交信の準
備をする(S742)。移動無線機50は、チャネルCHnによ
る交信を可能とするための準備、すなわち、制御58から
シンセサイザ55−nおよび56−nに対して、周波数Fn
受信し、周波数fnで送信できるように指示し、また切替
用制御器65は切替動作に入る(S743、第13H図)。
チャネルCHnを用いて交信する準備ができると、無線
基地局30−nは、準備完了の報告をチャネルCHnを用い
て移動無線機50に対して連絡し(S744)、これと同時に
無線基地局30−nは、関門交換機20に対しチャネルCHn
による無線基地局30−nと移動無線機50との間で交信準
備が完了したことの報告を出す(S744)。これを受けた
移動無線機50は、チャネルCHnによる交信準備が完了し
たことを確認し(S748)、無線基地局30−nに対して交
信開始指令を発し(S749)、これを受信した無線基地局
30−nでは交信を待つ(S750)。
チャネルCHnを用いての無線基地局30−nと移動無線
機50との間の交信準備の完了を、関門交換機20が確認す
ると(S745)、スイッチ群23のスイッチSW1−1,1−2,
…,1−(n−1)はオンのままにして、スイッチSW1−
nもオンにする(S746)。そこで関門交換機20に含まれ
た通話路制御部21は、移動無線機50に対して、移動無線
機50との間でチャネルCHnを用いて交信を開始可能なこ
とを報告する(S747)。
交信開始可能報告を受信すると、無線基地局30−nは
交信開始信号をチャネルCHnを用いて移動無線機50宛に
送出する(S751)。移動無線機50は無線基地局30−nを
識別するための識別信号であるID信号により、チャネル
CHnによる交信の開始を確認し(S752)、同時に移動無
線機50の通信品質監視部57は、移動無線機50と無線基地
局30−nとの間の通信の品質レベルを測定し、一定の品
質レベルL2以上であることを検出すると(S753YES、第1
3I図)、無線基地局30−1と移動無線機50との間のチャ
ネルCH1を用いて行っていた交信の停止を無線基地局30
−1に指令する(S754)。
これによって、無線基地局30−1はチャネルCH1によ
る低速移動モードの交信をオフにする(S755)。このチ
ャネルCH1による交信停止を移動無線機50が確認すると
(S757)、シンセサイザ55−1および56−1の動作を停
止し、切替スイッチ64−1はシンセサイザ55−1の出力
端子への切替えを停止し、切替スイッチ64−2はシンセ
サイザ56−1の出力端子への切替えを停止(この動作は
必ずしも必要ではないが)して、チャネルCH2,CH3,…,C
Hnで動作せしめるようにする。
チャネルCH1交信停止を確認した関門交換機20の通話
路制御部21は、スイッチ群23のスイッチSW1−2,1−3,
…,1−nはオンのままとし、スイッチSW1−1をオフに
する(S756)。
これによって、チャネル切替動作の期間を終了し、ス
イッチSW1−2,1−3,…,1−nのオン状態で、低速移動モ
ードでのチャネルCH2,CH3,…,CHn下り周波数F2,F3
…,Fn上り周波数f2,f3,…,fnを用いて、移動無線機
50は無線基地局30−2,30−3,…,30−nとの間で、一瞬
の切断も、雑音の混入もなく、かつ送受信ダイバーシテ
ィ効果を得て、高品質な通信を継続することができる
(S758)。
以上のように動作するから、高速移動モードにおいて
は、高速で移動する移動無線機50の移動情報は関門交換
機20へ伝えられ、この移動情報を分析することにより、
移動無線機50の移動方向にある無線基地局30に事前に移
動情報を伝達し、高速移動モードの移動無線機50に対す
るサービスの提供に対する準備をすることができるから
通話中チャネル切替は一層円滑に実施可能となる。また
通常、通話中チャネル切替に要する時間は切替が決定し
てから1〜3秒以内で完了する。
さらに、移動無線機50自体としても、自己が高速移動
モードにあることを認識すると、第1B図,第1G図,第1H
図および1I図に示すような移動無線機50であるならば通
話中チャネル切替が終了したあとも、移動無線機50から
は常時(または、一定の法則に従って間欠的に)制御信
号を高速移動モードで送出し、近傍にある高速移動モー
ド用無線基地局30に対し、通話中チャネル切替の実施を
呼びかけて、早期に実施することができることになり、
無線基地局30からの応答信号が受信不能となる事態をさ
けることが可能となる。
具体的には、第15図を用いて本発明の特徴をさらに説
明すると、移動無線機50から制御信号を用い高速移動モ
ード用無線基地局30へ通話中チャネル切替を呼びかけて
行く方法は、移動無線機50が点Aにある時から点P3にあ
る無線基地局30に対し通話中チャネル切替を呼びかけて
行くことにある。この場合移動無線機50が点Bへ移動す
れば、点P2の無線基地局30との通信を停止し、点P3にあ
る無線基地局30と通信可能となる。したがって点Bへ移
動したあとも、すくなくとも20秒は点P3の無線基地局30
と交信が可能なのであり、さらに、点P4(点P3の右側に
あり図示されてはいない)の無線基地局30とは、点P3の
無線基地局30との交信が停止する手前から交信を開始す
ることになる。すなわち、チャネル切替動作を、移動無
線機50の移動に先行して着手することにより、1つの無
線基地局30との交信を許容される最大限の時間内に有効
に行うことが可能となる。
さらに高速移動モードの移動無線機50は現在通信中の
無線基地局30のIDや、その前に通信していた無線基地局
30のID等も記憶しているから、通話中チャネル切替後の
次に交信すべき無線基地局30のIDを移動無線機50の制御
部58では容易に予測可能であり、早目、早目に次に通信
すべき無線基地局30を予測し通話チャネルを設定するこ
とが可能である。第14A図ないし第14D図は高速移動モー
ドの発生する道路ぞいにある無線基地局30が、一定の法
則にもとづいてIDを割当てられているとき(この場合、
等差数列)の通話中チャネル切替の動作の流れを示す。
第14A図における関門交換機20,無線基地局30−1〜30
−n,および移動無線機50のステップS801からS805の動作
は、第13A図のステップS701からS705の動作に同じであ
り、移動無線機50が無線基地局30−1との通信品質の劣
化を確認すると(S805、第14A図)、すでに交信した無
線基地局30のIDを検索し、直前に交信に参加した最新の
無線基地局は30−5,そのIDは305であり、その前に交信
に加わった無線基地局は30−4,そのIDは304、さらにそ
の前に交信に加わった無線基地局は30−3,そのIDは303
であることが判明したので、次に交信すべき無線基地局
は30−n,そのIDは306であると推定し、無線基地局30−
nに対し、無線基地局30−1との交信に使用している通
話チャネルCH1の上り周波数f1のモニタ受信をするよう
に制御チャネルを用いて指示する(S806、第14B図)。
このモニタ受信の指示を受けた無線基地局30−nは、
周波数f1の信号をモニタ受信し(S807)、その結果を移
動無線機50に報告し(S808)、その報告を通信品質監視
部57に受けた移動無線機50では(S809)、モニタ受信の
結果の報告を良好に受信できなかったならば(S810N
O)、第13C図のステップS712ないし第13F図のステップS
737に示す動作に移行する。モニタ受信の結果の報告を
良好に受信できたならば(S810YES)、移動無線機50は
無線基地局30−n,そのIDは306のゾーン内へ移行したと
判断し、使用可能な空チャネルを検索し、その結果通話
チャネルCHnを用いて無線基地局30−nと交信するため
の準備をするように無線基地局30−nに制御チャネルを
用いて指令する(S811)。
この指令を受けた無線基地局30−nは、通話チャネル
CHnによる交信の準備を開始する(S812)。以上の説明
では無線基地局30−n等と番号をnとしたがこの場合、
n=6とおいてさしつかえない。
以後のステップS813(第14C図)ないしステップS828
(第14D図)の動作は、ステップS722(第13E図)ないし
ステップS737(第13F図)の動作に同じである。
第14A図ないし第14D図に示した動作は、第13A図ない
し第13F図に示した動作に比較して通話中チャネル切替
の動作が簡単になっている。なお無線基地局30のIDとし
ては、301,302,…,310,311,…,といった公差が1の等
差数列ばかりではなく502,504,506,…,や701,704,707,
710,…,というように設定してもよく、さらに901,902,
904,907,911,と必らずしも等差数列でなく単調増大数列
でもよい。要するに移動無線機50で容易に判断できるも
のであればよい。
また、第15図で交叉点にある重複して付与されたID番
号302,437と303,435の無線基地局30は、同図で左右に走
行する高速移動モードの移動無線機50との通信に適する
無線基地局30であると同時に、上下に通る道路上を高速
で移動する移動無線機50とも交信可能である。したがっ
て、交叉点にあるこれら2つの無線基地局30は重複して
IDを付与されているが複数の無線基地局を同一場所に設
置すれば、重複しないで、単一のIDをそれぞれに付与し
てもよい。
さらに、移動無線機50が高速移動モードから低速移動
モードへ移行した場合は、上記の制御信号送出により、
1つの無線基地局30との交信時間が20秒より長くなるか
ら一定の値(たとえば40秒)を越えた場合には、低速移
動モードへ移行したものと判断し、その後は、移動無線
機50からの制御信号の常時送出(間欠送出を含む)を停
止し、低速移動モードへ移行するような方法をとること
も可能である。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、小ゾーン構成を用い
る移動通信システムに本発明を適用することにより従来
のシステムにおけるような、通話(信)中にゾーン移行
をすると一時断が発生し、ファクシミリ信号やデータ信
号では、画質劣化やバースト的信号の誤りが発生して問
題となっていたものが、たとえ通信中のチャネル切替え
の頻度が増加しても、この心配が完全に除去されること
になり、経済的な送受信ダイバーシティの採用による通
信品質の向上、干渉妨害の軽減による周波数有効利用度
の向上、それにともない、広帯域信号を用いる新サービ
スを技術的に可能とすることになった。また、トラヒッ
クの閑散時における無線設備の有効利用による通信品質
の向上や、ある小ゾーンでトラヒックが急増した場合に
は、使用可能チャネルを実質的に増加可能としたり、さ
らにトラヒックの最繁時においても、移動無線機からの
位置登録信号を処理可能とすることのほか、移動体の進
行方向や速度を検出することにより、マイクロセルを用
いる小ゾーン構成のシステムにおいて、移動体の移動速
度がゾーンの大きさに比較して相対的に大きくなっても
効果的な通話チャネルの指定が可能となり経済的で、か
つ周波数の利用効率の高い移動通信システムの構築が可
能となったので、本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1A図,第1B図および第1C図は本発明の一実施例を示す
システム構成図、 第1D図および第1E図は本発明の無線基地局の他の実施例
を示す回路構成図、 第1F図は送受信機の一実施例を示す回路構成図、 第1G図,第1H図および第1I図は移動無線機の他の実施例
を示す回路構成図、 第1J図および第1K図は本発明の無線基地局のさらに他の
実施例を示す回路構成図、 第1L図および第1M図は送受信機のさらに他の実施例を示
す回路構成図、 第2図(a)および(b)は本発明に用いる制御信号の
構成例を説明するためのスペクトル図および回路構成
図、 第3図は第1A図ないし第1C図に示したシステムの動作を
説明するためのタイミング・チャート、 第4図は本発明の位置登録動作の流れを示すフローチャ
ート、 第5A図および第5B図は移動無線機からの発呼動作の流れ
を示すフローチャート、 第6A図,第6B図および第6C図は移動無線機への着呼動作
の流れを示すフローチャート、 第7A図,第7B図,第7C図,第7D図および第7E図は第1A図
ないし第1C図に示したシステムのチャネル切替動作の流
れを示すためのフロー・チャート、 第8図は移動無線機の進行方向および速度検出を説明す
るための動作概念図、 第9図は従来のシステム例を説明するためのシステム構
成概念図、 第10A図,第10B図,第10C図,第10D図および第10E図は
高速移動モードに対処する本発明の位置登録動作の流れ
を示すフローチャート、 第11A図,第11B図,第11C図,第11D図,第11E図,第11F
図,第11G図および第11H図は高速移動モードに対処する
本発明の発呼動作の流れを示すフローチャート、 第12A図,第12B図,第12C図,第12D図,第12E図,第12F
図,第12G図,第12H図および第12I図は高速移動モード
に対処する本発明の着呼動作の流れを示すフローチャー
ト、 第13A図,第13B図,第13C図,第13D図,第13E図,第13F
図,第13G図,第13H図および第13I図と、第14A図,第14
B図,第14C図および第14D図は高速移動モードに対処す
る本発明の通話中チャネル切替動作の流れを示すフロー
チャート、 第15図は高速移動モードにおける本発明のシステムの動
作を説明するための、道路沿いに配置された無線基地局
と移動無線機の位置を示す配置図である。 10…電話網、11…交換機 12…無線回線制御局、13A〜D…無線基地局 14A〜D…ゾーン、15…移動無線機 16A〜D…伝送路、19,20…関門交換機 21…通話路制御部、23…スイッチ群 24…ID識別記憶部、29…送信信号分割部 30,30B,30C,30D,30E 30−1,〜30−n…無線基地局 31,31−1〜31−n…送信部 32,32B,32C…無線基地局制御装置 33,33−1〜33−n…受信部 34,34C,34−1〜 34−n…ID識別記憶部 35−1〜35−n,36−1〜 36−n…シンセサイザ 37,37−1〜37−n…通信品質監視部 38,38B,38C,38D,38E…制御部 39,39C…インタフェース 40,40C…基準水晶発振器 41,41−1〜41−n…送信ミクサ 42…干渉妨害検出器 43,43−1〜43−n…受信ミクサ 44−1,44−2…切替スイッチ 45…受信切替用制御器 46,46−1〜46−n…無線送信回路 47…送信切替用制御器 48,48−1〜48−n…無線受信回路 49…通信信号部 50,50B,50C,50D…移動無線機 51,51−1〜51−n…送信部 53,53−1〜53−n…受信部 54…ID・ロームエリア情報照合記憶部 55−1〜55−n,56−1〜 56−n…シンセサイザ 57,57−1〜57−n…通信品質監視部 58,58B,58C,58D…制御部 59…電話機部 61,61−1〜61−n…送信ミクサ 62…干渉妨害検出器 63,63−1〜63−n…受信ミクサ 64−1,64−2,64−3…切替スイッチ 65C…受信切替用制御器 66,66−1〜66−n…無線送信回路 67C…送信切替用制御器 68,68−1〜68−n…無線受信回路 69…混合回路 71…基準水晶発振器 90,90B,90C…送受信機 91…ディジタル符号化回路 92…多重変換回路 93−1〜93−m…通信品質監視用受信機 94…制御用送受信機 96…アンテナ共用装置 Z1〜Z16…ゾーン。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のゾーンをそれぞれカバーしてサービ
    ス・エリアを構成する各無線基地手段(30,30B,30C,30
    D,30E)と、前記サービス・エリア内に存在する移動無
    線手段(50,50B,50C,50D)があり、前記移動無線手段か
    ら位置を登録するための自己の識別情報を含む位置登録
    信号の送出をしたときに、前記各無線基地手段のうちこ
    の位置登録信号を良好な状態で受信したすくなくとも1
    つの交信可能な無線基地手段では、前記各無線基地手段
    との間を伝送路で結合された関門交換手段(20)へ前記
    位置登録信号を転送し、この位置登録信号を転送された
    前記関門交換手段では、前記位置登録信号に含まれた前
    記移動無線手段の識別情報および前記移動無線手段と交
    信可能な前記無線基地手段の識別情報を登録するととも
    に、前記登録された識別情報に関わる前記無線基地手段
    を介して前記登録した情報を前記移動無線手段に返信
    し、この返信を受けた前記移動無線手段内に前記返信さ
    れてきた登録した情報を記憶する移動体通信の通信方法
    において、 前記移動無線手段の移動速度が大きいために前記移動無
    線手段と前記無線基地手段との間の送受信を良好に行い
    得ないことを前記移動無線手段、前記無線基地手段、お
    よび前記関門交換手段のうちのすくなくとも1つにおい
    て判断した場合に、所定の道路に沿って設けられた複数
    の無線基地手段の自己識別情報に所定の関係を持たせて
    おき、前記移動無線手段が前記所定の道路を移動中にそ
    の移動方向にある無線基地手段の自己識別情報を前記所
    定の関係から推定して、前記移動無線手段が無線基地手
    段を切り替えるための情報として使用する 移動体通信の通信方法。
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