JP2855624B2 - 移動体通信の通信方法 - Google Patents

移動体通信の通信方法

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JP2855624B2
JP2855624B2 JP63249441A JP24944188A JP2855624B2 JP 2855624 B2 JP2855624 B2 JP 2855624B2 JP 63249441 A JP63249441 A JP 63249441A JP 24944188 A JP24944188 A JP 24944188A JP 2855624 B2 JP2855624 B2 JP 2855624B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は移動体通信の通信方法に関する。さらに、小
ゾーン構成を用いる移動体通信において、通信中の移動
端末が移動することにより、通信品質が劣化したとき、
その通信品質を満足させる通信方法に関する。
より具体的には、周波数有効利用率、通信品質、無線
回線の制御能力などに優れた送受信ダイバーシティ可能
な通信方法を提供せんとするものである。
[従来の技術] 一般に広いサービス・エリア内で移動体通信を行う際
に、1個の無線基地局が全エリアをカバーしてサービス
・エリア内の移動体と通信を行う方式を大ゾーン方式と
呼んでいる。これに対し、小ゾーン方式とは、サービス
・エリアを複数の小エリアに分割し、分割された各エリ
ア内に各1個の無線基地局を設置し、その、それぞれの
エリア内に居る移動無線機はこれらの無線基地局と通信
を行うものである。
従来の小ゾーン方式は、たとえば現在商用サービス中
のNTT(日本電信電話(株))の自動車電話方式の中で
採用されている。この場合、自動車内に搭載された移動
無線機は自動車の走行により通話の相手局の無線基地局
から遠ざかり、たとえば、無線基地局から5〜7Km以上
になると電波の受信入力電界値が低下するので、通話品
質の劣化が発生する。そのため小ゾーン構成では、サー
ビス・エリア内に無線基地局が互いに10〜12Km間隔に設
置されており、したがって上記の場合必ず自動車の現在
位置の近く(5〜6Km以内)に別の無線基地局が存在
し、この新無線基地局と移動無線機との間で別の無線チ
ャネルを使用して通話を継続させている。
NTT方式では、無線回線の通話の設定および解除など
の制御を行わせる無線回線制御局が、多数の無線基地局
や移動無線機を制御するために設置されており、無線回
線制御局はインタフェースをなす関門交換機を介して一
般の電話網に接続されている。無線回線制御局では、通
話品質の劣化が生じると、移動無線機の周辺の複数の無
線基地局に対し移動無線機の送信電波を受信させ、この
うちの特定の無線基地局に移動無線機との間で新しく無
線チャネルを設定させれば所望の通話品質を維持し得る
と判断したときには、新チャネルの設定を移動無線機と
無線基地局との間で行わせる。
第18図には、このような動作をする従来のシステムの
構成概念図が示されており、これを用いて説明する。
第18図において、4つの円で囲まれた半径5〜7Km程
度の各ゾーン14A,14B,14C,14Dを自動車電話のサービス
・エリアとし、いま自動車内に搭載された移動無線機15
がゾーン14A内の無線基地局13Aと交信中であるとする。
自動車はゾーン14Aからゾーン14Cの方向へ走行中である
ので無線基地局13Aと移動無線機15との間の相対的距離
は大きくなりつつある。交信は継続中であるとし、自動
車はゾーン14Aよりゾーン14C内へ移行したとすると、無
線基地局13Aと移動無線機15との間の距離は5〜7Km以上
となり、相互の受信電波の入力電界値は低下し、一定の
伝送品質以下に低下するに至る。
この品質劣化の状態は、常時、無線回線制御局12で監
視されており、品質が一定基準以下に低下した時点で無
線基地局13Aの周辺の無線基地局13B,13Cおよび13Dに対
し、無線基地局13Aと移動無線機15との間で使用中の無
線チャネル(チャネルCH1と仮定する)の品質を測定す
るように要請する。この要請を受けた無線基地局13B,13
Cおよび13Dでは、それぞれ自己の無線チャネル探索用受
信機(図示せず)をチャネルCH1に同調させて信号を受
信し、その状態を、無線回線制御局12に報告する。
この報告を受けた無線回線制御局12では、無線基地局
13B,13C,および13Dの受信入力電界EB,EC,およびED
値を比較し、EC>EB,EC>EDであり、かつECが伝送品質
の点からみても一定の品質が確保されていることを確認
すると、無線回線制御局12はゾーン14Aからゾーン14Cへ
移行したものとみなし、ゾーン14Aで使用していた無線
のチャネルCH1を切断し、これにかえてゾーン14Cの無線
基地局13Cで使用可能な無線チャネルのうち、未使用の
チャネル(チャネルCH10を仮定)を使用させる手続きす
なわち通話中チャネル切替を始める。
以下、文献 吉川他“自動車電話無線回線制御”日本
電信電話公社 電気通信研究所 研究実用化報告 Vol.
26,No.7 1885頁を参照しながら説明する。
(1)チャネル切替信号は、無線回線制御局12と各無線
基地局13との間は各伝送路16に含まれた制御線を用い、
各無線基地局13と移動無線機15との間は無線による通話
チャネルとする。
(2)チャネル切替信号は、以前通信をしていた、たと
えば無線基地局13Aより、移動無線機15宛に送信し、無
線導通試験トーンは、新たに切替えようとする、たとえ
ば無線基地局13Cより移動無線機15宛に送出する。
(3)移動無線機15において、無線導通試験トーンが受
信できないときは、無線基地局3Aとの間に設定されてい
る旧通話チャネルに戻って通話を継続する。
以上の(1)〜(3)がNTTで現用されている通話中
チャネル切替であるが、これらの説明から明らかなよう
に通話者すなわち自動車電話利用者には、つぎのような
雑音が通話に混入することになる。すなわち、 (a)前記の(1)による切替のための制御信号(この
場合300ビット/秒のディジタル信号)が相手話者の信
号の切断された後に通話中のチャネルに挿入される形で
受信機の出力に現われるので、300Hz程度の可聴音とし
て通話中に混入し、この間通話断となる。
(b)前記(2)の通話試験中は雑音の混入はないが無
音となり、この期間中相手の音声は自分に伝わらず、ま
た自分の音声も相手に伝わらない(通話断)。
以上の(a),(b)による通話断の継続時間は0.7
〜0.8秒と言われている。一方、無線回線制御局12では
無線基地局13Cに対し、両者間の伝送路16Cを通じて、移
動無線機15とたとえばチャネルCH10を用いて通話を開始
するように指示する。この指示も上記の導通試験と同一
時刻に実施されるので、この瞬間より、無線基地局13A
は、移動無線機15との通信を終了し、代って無線基地局
13Cは移動無線機15との通信を開始する。また、無線回
線制御局12は、電話網10との間のインタフェースをなす
交換機11に対し、各無線基地局13を電話網10と接続する
ための交換機11内の通話路スイッチSWを無線基地局13A
から13Cへ切替えるように要求している。すなわち、第1
8図の通話路スイッチSWでA−4スイッチをオフし(ブ
ランクの3角で表示)、C−4スイッチをオンにする
(黒の3角で表示)。
以上の動作により、自動車内で移動無線機15を使用し
て、電話網10内の任意の電話機と、自動車がゾーン14A,
14B,14C,14Dのどこに移動しても通話が継続されること
になる。
かくして、使用者(通話者)はサービス・エリア内で
あれば自動車の走行中いつでも、どこへでも電話がかけ
られるという技術的保証を与えられたことになり、実際
のサービスでは、この技術を駆使したサービスが行われ
ている。
このような小ゾーン構成を採用した移動体通信では、
大ゾーン方式には見られない下記のごとき特徴を発揮す
ることが可能となった。
(a)1つの無線基地局からの電波を狭い地域に限定し
て使用し、サービス・エリアに多数の無線基地局を配し
て同一周波数をくり返し使用する、いわゆる小ゾーン構
成により周波数の有効利用が可能となった。
(b)ディジタル・シンセサイザが出現したので、移動
無線機に数百におよぶ多数の無線チャネルを切替えて使
用することが可能となり、また、これら多数の移動無線
機と無線基地局との間の無線回線を設定制御する技術が
確立されたために(a)項の周波数の有効利用に寄与す
ることが可能となった。
(c)多数の移動無線機に能率よく、発着呼などにおい
て無線回線を設定制御するのに必要な無線回線制御技術
が確立されたので、これも(a)項の特徴に寄与したほ
か、移動無線機の通信中にゾーン移行にともなう通信中
無線チャネル切替も可能となった。
[発明が解決しようとする課題] しかしながら、第18図に例示したような従来方式で
は、技術的対策が不十分であったり、あるいは対策がと
られておらず、利用者には不便を感じさせ満足なサービ
スの提供をすることができないという問題点があり、シ
ステムとしても一層の周波数の有効利用の促進、サービ
ス性の向上等が必要であった。
このような問題点を以下に説明する。
i)周波数の有効利用をはかるためには、小ゾーン構成
の1個のゾーンのゾーン半径を小さくする必要がある
が、これがあまり小さくなると、移動無線機が通信中に
1つのゾーンを通過して他のゾーンへ移行する確率が増
加する。すると、ゾーンの移行時に各ゾーンに割当てて
ある無線チャネルを変更する必要が頻繁に発生し、この
とき無線基地局、移動無線機とも旧無線チャネルを新無
線チャネルに変更させる必要が発生する。従来はこの変
更を無線回線制御局12(第18図)で行っていたが、この
チャネルの変更にともなう通信の一時断等が発生し通信
品質が劣化していた。
ii)送信電力の異なる移動無線機を同一システム内に導
入し、1つのシステム内の機器として動作させる例があ
った。これは、たとえば自動車内に搭載されている移動
無線機(NTTの自動車電話の場合は送信出力5W)と、利
用者が戸外で持運び可能な自動車電話用の無線基地局に
アクセスする形態電話機(NTTの場合は送信出力1W)と
が同一システムに収容されているが、これは無線基地局
に収容されている無線設備の共同利用が可能であるため
経済的なシステム構築が可能となる。
しかしながら、周波数の有効利用の面からみると、同
一周波数の再使用のためのルール作りを複雑にするため
に、有効利用の効果を低下させる方向に作用するほか、
送信電力レベルの異なることにより、他の移動無線機の
受ける干渉妨害の発生する可能性が増加する。これを防
止するためにはコストの上昇および周波数の有効利用を
そこなう結果となった。
iii)小ゾーン化が進み1つの無線基地局の受持つ小ゾ
ーン内において、隣接あるいはその次の隣接する無線基
地局の受持つ小ゾーンが重なり合う状態が多く発生し、
無線回線制御技術として従来技術を用いた場合に、制御
不能となる可能性があった。
これは、1つの小ゾーン内において地形や構築物の影
響により電波伝搬特性は大きな影響(伝搬損失)を受け
る。この影響は周波数を有効利用するために小ゾーン化
が進み、1つの小ゾーンの範囲が小さくなる(半径1Km
以下)にともない、相対的に大きくなる。また使用する
無線基地局および移動無線機には、相対的に高いレベル
の送信機を使用して、地形や構築物の影響のある所でも
良好な通信を確保することになる。すると、地形や構築
物の影響のない所では、遠方にある無線基地局と他のゾ
ーン内に居る移動無線機とが交信可能となることを意味
する。
したがって、1つの小ゾーンはつの無線基地局で管理
され、多数の小ゾーンにより、サービス・エリアである
広い平面がおおわれるという本来の懸念が消滅し、多数
の小ゾーンが重畳されて1つのサービス・エリアを形成
するということになった。
その結果、このような状態にある小ゾーン・システム
を円滑に運用することは、従来技術では、無線通話路の
設定、変更・解除を頻繁に行わなければならなくなり、
無線回線制御装置の能力を大きく上まわる結果となる。
したがって円滑な通話路の確保は現実的には不可能とな
り、逆にいかにしてこのような事態を避けるかに、シス
テム構成上の配慮が行われて来た。
iv)移動体通信においては、移動体の移動にともなう電
波伝搬特性の影響のために、その通信品質が大きく変化
し、電波の伝わり方の悪い場所においては、通信品質が
システムに必要とされる値以下となる等の問題があっ
た。これを解決するためダイバーシティ技術等種々の対
策が採られてきたがいづれも機器のコストを割高にする
ばかりか、周波数の有効利用をそこなう等の問題点があ
った。
また通話中のゾーン間移行にともなう通話断について
は、一種の通信品質上の問題点と考えられ、品質確保の
点からも解決策が必要であった。
v)システム内の通信のトラヒック変動に対する対策が
とられていなかった。
システム内の通信のトラヒック変動は、たとえば公衆
通信では通常、深夜や早朝はきわめて少なく、日中の午
前10時前後と午後2〜3時に、また、自動車電話では、
夕刻5〜6時に大きなトラヒックの山が見られるが、シ
ステム設計を最大のトラヒック時においても、満足に機
能するように設計すると、閑散時には、システム構成機
器が遊休するためにコスト高となり、また、もし閑散時
に適合したシステム構築をするとコストはきわめて割安
となるが、最繁時に使用不能となり、サービス性の低下
はさけ得なかった。
加えて、通信トラヒックの閑散時には、システム内の
遊休設備を有効利用して高品質のサービスを提供し、ト
ラヒックが増加するにしたがい通常のサービスに移行す
るというような、システム内の構成施設を有効利用する
という懸念に欠けていた。これは、従来技術により解決
しようとするとシステム・コストが急上昇してしまうこ
とも1つの原因と考えられる。
また、たとえば無線基地局の送受信機が全部使用中の
場合は、移動無線機から送出される位置登録信号のよう
にきわめて短く、かつ定形的な信号でさえも、従来のシ
ステムでは処理能力がなく、小ゾーン化が進むことに対
する技術的制約となっていた。
vi)従来、通信を行なう移動体の位置登録は、同一時点
において1箇所の無線基地局で受信したデータのみを登
録して処理していたため、高速で移動する移動体通信の
ように位置登録が順次かなりの頻度で変更されるシステ
ムや、周波数の有効利用上位置登録方法に制約があるシ
ステムでは、位置登録の不備のため移動体への着呼不能
となる場合があった。
これは無線基地局に設置されている無線送受信機が1
チャネルのみの場合、制御用、通話用として時分割で使
用しなければならず、かつ移動無線機と交信中に同一の
ゾーン内にある他の移動無線機から位置登録要求のあっ
た場合等において、顕著な悪影響があった。
vii)広帯域信号を用いる移動通信サービスを提供する
ための技術の完成度が不十分で未完成であり、利用者に
不便を与えていた。
従来、多数用いられている移動通信サービスは電話が
主であり、高速データ信号など使用周波数帯域が広帯域
にわたるものは、ほとんど使用されていなかった。これ
は移動体通信においては電波伝搬特性が移動体の移動に
ともない大きく変化するため、良好に広帯域信号を受信
する技術が不足していたからである。
viii)従来の陸上における移動通信では、特殊な場合を
除き、通信中の移動体の移動方向の推定等は、技術的な
困難性もあり実施されていなかった。そのため移動方向
のエリアでの無線回線トラヒック情況などの有効な情報
も得られず、周波数の有効利用あるいはトラヒック管理
の上で問題が残されていた。
ix)ゾーン間またはゾーン内における通話中チャネルの
切替時に瞬断が発生し、これも小ゾーン化の大きな障害
となっていた。
第18図を用いて説明したNTTが実施している通話チャ
ネル切替法では、無線チャネルの切替時に通話が一時的
に(0.7〜0.8秒間)切断されるほか、通話信号以外の制
御信号(300ビット/秒)の一部が混入し耳ざわりであ
るという欠点がある。このような通話回線の一時断や雑
音の混入があると、通話の内容が音声であるときには聞
きなおしを行うことなどで、補うことができるために、
あまり大きな障害とはならないが、自動車内にファクシ
ミリ端末を搭載し送受信に使用した場合には、動作中に
チャネル切替があると、たとえば1分ファクシミリで
は、紙面の0.8/60の部分が黒線(または白線)となって
現われ受信画質が大幅に劣化するという欠点があった。
またデータ通信の場合には、たとえば1200ボーのデータ
信号では、1000ビット程度の信号が欠落するので再送な
どの手続きが必要となった。
なお、耳ざわりの雑音を除去するために、チャネル切
替中無音にしたり、帯域外信号を用いたりする方法もあ
るが、耳ざわりな雑音を除去するという目的は達成でき
ても、回線断の時間は依然として存在するから、ファク
シミリやデータ信号への悪影響の除去にはまったく効果
がないという解決されるべき課題が残されていた。
[課題を解決するための手段] 無線送受信機とID識別記憶部を具備する複数の無線基
地局と、複数の無線基地局と交換機を介して電話網を接
続するスイッチ群とこのスイッチ群を制御する通信制御
部とID識別記憶部と、移動無線機の移動速度を求める演
算部とを含む関門交換機と、この複数の無線基地局がカ
バーするサービス・エリア内を移動しながら同時に複数
の無線基地局と交信するために複数のチャネルを同時に
受信する無線受信回路と、複数のチャネルを同時に送信
する無線送信回路とを含む移動無線機とを含むシステム
を構成した。
[作用] 複数の無線基地局と移動無線機とが、複数のチャネル
を用いて同一の通信内容を並行して交信している最中
に、通信の品質が一定値以下になったチャネル(旧チャ
ネル)が生じた場合には、これを検出した関門交換機に
おいて、一定の通信品質を満足する他の1つの無線基地
局との間で他の1つのチャネル(新チャネル)に切替え
て旧チャネルの交信は終了し、新チャネルを含む複数の
チャネルを用いて、同一の通信内容を瞬断なく交信でき
るようにした。これによって下記の作用および効果を得
ることができた。
i)各無線基地局と関門交換機にそれぞれID識別記憶部
を設け、移動無線機の位置を各無線基地局のデータにも
とづき並行して登録するようにしたから、位置登録の信
頼度が向上した。
ii)複数チャネル中の通信品質の劣化した1チャネルを
新チャネルに切替えるようにしたから、ゾーン間または
ゾーン内における通話(信)中チャネル切替の無瞬断化
が実現された。
iii)経済的な送受信ダイバーシティの採用による良好
な通信品質の確保、すなわち干渉妨害の軽減、および広
帯域信号を用いる新サービスを技術的に可能とした。
iv)トラヒックの閑散時には、多くのチャネルを用いて
並行交信を行うために、無線設備の有効利用が計られ通
信品質が向上した。
v)各無線基地局にID識別記憶部や高速切替による複数
無線チャネルの同時送受信を可能とする機能などを設け
たから、トラヒックの最繁時においても移動無線機から
の位置登録信号の処理が可能となった。
vi)複数チャネルの並行交信により広帯域信号の伝送特
性が向上し、回線品質の向上が得られた。
vii)移動無線機の移動方向および速度の推定が可能と
なり、移動先ゾーンにおける通信の確保および移動見込
先ゾーンで使用されるチャネルの先行割当の実施が可能
となった。
viii)無線回線の制御を従来のシステムのごとき集中型
から、移動無線機もしくは、無線基地局に機能分散する
ことにより、制御処理能力の向上とシステムの信頼性の
向上が得られた。
ix)位置登録、発呼、着呼動作を規定回数反復して行
い、良好な通信状態が得られない場合は高速移動モード
における処理に移行し、高速で移動中であっても、高い
通信の信頼度を確保できるようにした。
ここで高速移動モードとは、通常の通信方法では、高
速移動にともなう不都合な現象を生ずるモードをいう。
これに対し、移動速度が障害を生じない場合のモードを
低速移動モードという。
高速移動モードにおいては、移動無線機の移動方向お
よび速さを測定し、関門交換機から移動方向にある無線
基地局に事前に連絡して交信の準備をせしめるようにす
るほか、無線回線制御の主導権を関門交換機から移動無
線機へ移し、即応性の高い制御能力を持たしめた。
また無線基地局と移動無線機との間の制御信号の送受
信の信頼度を向上せしめるために、送受信のダイバーシ
ティを使用可能とした。
[実施例] 第1−1図,第1−2図および第1−3図は、本発明
の一実施例を説明するためのシステム構成の一例を示し
ている。
第1−1図において、10は一般の電話網であり、11は
電話網10内に含まれている一般の電話と無線システムと
を交換接続するための交換機である。20は関門交換機で
あり、複数の無線基地局30−1,30−2,…,30−nや多く
の移動無線機と一般の電話網10に収容されている電話機
とを交換機11を介して接続するものであり、無線基地局
30−1〜30−nの各局間の制御信号の授受を行うと共
に、通信路の設定解除等を制御する通信制御部21と、通
信制御部21に制御されて各無線基地局30−1〜30−nと
交換機11との間の接続をなすための通信路の切替に必要
なスイッチ群23とが含まれている。
ここで、通信制御部21には、制御信号用の制御回線を
制御する制御回線制御回路21−1と、通話回線を制御す
る通話回線制御回路21−2と、移動無線機の速度(速さ
と進行方向)を計算する速度演算回路21−3とが含まれ
ている。
第1−2図には、各無線基地局30−1,30−2との間で
交信をする移動無線機50が示されている。アンテナ部に
受けた受信信号は、受信ミクサ63と受信部53を含む無線
受信回路68に入り、その出力である通信信号は、制御部
58と電話機部59に入力される。電話機部59から出力され
る通信信号は、送信ミクサ61と送信部51とを含む無線送
信回路66に印加され、送信信号はアンテナ部から送出さ
れて、無線基地局30によって受信される。また、通信中
における干渉妨害の有無を監視し、一定量以上の干渉妨
害を検出した場合には、それを制御部58へ報告する干渉
妨害検出器62や自己の移動無線機50のIDを記憶したり、
自分がどのゾーンに居るかを識別し、また記憶するID・
ローム・エリア情報照合記憶部54や通信中の通話品質を
常時監視し、劣化したときには、それを制御部58へ報告
する通信品質監視部57が図示のごとき結線を有して具備
されている。
この移動無線機50には、さらにシンセサイザ55−1,55
−2,…,55−nおよび56−1,56−2,…,56−nと、切替ス
イッチ64−1,64−2と、切替スイッチ64−1と64−2
を、それぞれ切替え制御するための信号を発生する受信
切替用制御器65Cおよび送信切替用制御器67Cが含まれて
おり、シンセサイザ55−1〜55−nと56−1〜56−n
と、両切替用制御器65Cおよび67Cは、制御部58によって
制御されている。各シンセサイザ55−1〜55−nおよび
56−1〜56−nには、基準水晶発振器71から基準周波数
が供給されている。
第1−3図には移動無線機50との間で交信する無線基
地局30(たとえば30−1)が示されており、第1−2図
に示した移動無線機50の構成とほぼ同じであり、異なっ
ているのは、送信および受信切替用制御器55−1〜55−
n,56−1〜56−n、シンセサイザを切替えるための切替
スイッチ64−1,64−2がなく、シンセサイザも受信用お
よび送信用35−1,36−1のそれぞれ1個のみであり、ま
た、自己および通話先のID番号を識別し記憶するための
ID識別記憶部34を有し、電話機部59(第1−2図)がな
く、電話機部59の代わりをなす関門交換機20へのインタ
フェース39が設けられている点である。
第1−3図の第1−2図に対応する各構成要素を以下
に列記し、各機能の説明は省略する。ここで、( )内
の数字は、第1−2図の対応する各構成要素の番号であ
る。
送信部31(51) 受信部33(53) シンセサイザ35−1(55−1〜55−n) シンセサイザ36−1(56−1〜56−n) 通信品質監視部37(57) 制御部38(58) 基準水晶発振器40(71) 送信ミクサ41(61) 干渉妨害検出器42(62) 受信ミクサ43(63) 無線送信回路46(66) 無線受信回路48(68) 第1−4図には移動無線機の他の実施例50Bが示さ
れ、第1−2図に示れた移動無線機50との差異は、受信
ミクサ63および受信部53を含む無線受信回路68の他に、
受信ミクサ73およびC/N測定用受信部52を設け、両受信
ミクサ63および73に、それぞれ受信切替用制御器65Cお
よび制御部58Bに制御された切替スイッチ64−1および6
4−3を介してシンセサイザ55−1〜55−nの出力を印
加し、送信ミクサ61には送信切替用制御器67Cに制御さ
れた切替スイッチ64−2を介して、シンセサイザ56−1
〜56−nの出力を印加している点である。
この第1−4図に示した移動無線機50Bは、とくに顕
著な受信ダイバーシティ効果を有する機能を備えてい
る。この受信ミクサ73へは移動無線機50Bのアンテナ部
で受信した受信信号の一部が加えられる。受信ミクサ73
への局部発振周波数として切替スイッチ64−3を介して
シンセサイザ55−1〜55−nからの出力が加えられる。
この切替スイッチ64−3は、他の切替スイッチ64−1や
64−2のように高速で切替えられ必要はなく、たとえば
10Hz程度の低速の切替速度で十分である。切替スイッチ
64−3がシンセサイザ55−1の出力を得る位置にあると
き、C/N測定用受信部52で測定したチャネルCH1のC/N値
(搬送波対雑音比の値)を制御部58Bに伝達する。つい
で、切替スイッチ64−3がシンセサイザ55−2の出力を
得る位置にあるとき、チャネルCH2のC/N値を測定する。
以下順にシンセサイザ55−nの出力をオンにする位置に
あるときに、CHnのC/N値を測定し、それぞれ制御部58B
に伝達する。制御部58Bでは、これらの値を用いて受信
切替用制御器65Cおよび送信切替用制御器67Cの切替周波
数をたとえばそれぞれC/N値に反比例した速度で動作す
るように制御する。
つぎに、さらに受信ダイバーシティ効果の増大をはか
るシステムを説明する。第1−5図はこの場合の移動無
線機50Cの構成例を示す。
第1−5図において、移動無線機50Cへの入力電波
(入力信号)はアンテナ入力部でn等分され、それぞれ
無線受信回路68−1,68−2,…,68−nへ到来する。各無
線受信回路68−1〜68−nではそれぞれ受信ミクサ63−
1,63−2,…,63−n、受信部53−1,53−2,…,53−nが具
備されており、また受信ミクサ63−1〜63−nには、そ
れぞれシンセサイザ55−1,55−2,…,55−nからの局部
発振周波数が入力される。したがって同図の構成では、
第1−2図などに示した受信切替スイッチ64−1はな
く、常時各無線チャネルCH1,CH2,…,CHnの信号を受信し
復調することが可能である。またこれら受信部53−1〜
53−nの出力信号の一部が制御部58Cへ送られ、さらに
他の一部は、混合回路69に加えられ通常のダイバーシテ
ィ受信機(この場合は検波後合成)と同様に処理が加え
られ、電話機部59へ送られる。
また各受信部53−1〜53−nの出力の一部は、それぞ
れ通信品質監視部57−1〜57−nに送られ、その出力は
制御部58Cにそれぞれ印加されている。
第1−6図には、第1−5図に示した移動無線機50C
とは異なる移動無線機50Dが示されており、その相違点
はn個の送信ミクサ61−1〜61−n,送信部51−1〜51−
nを含む無線送信回路66−1〜66−nを具備し、各送信
部51−1〜51−nには、送信すべき信号を共通に接続し
て印加され、制御部58Dによって、それぞれ制御されて
指示された周波数を発生するシンセサイザ56−1〜56−
nからの出力を各送信ミクサ61−1〜61−nに印加され
ている。この移動無線機50Dは、移動無線機50C(第1−
5図)のように複数の無線チャネルを切替スイッチ64−
2でチョップせずに連続送信することができる。
第1−5図および第1−6図に示すような回路構成を
とることにより、大きなダイバシティ効果を得ることが
可能となる。
第1−7図および第1−8図には、それぞれ移動無線
機のさらに他の実施例50C2および50D2の構成が示されて
いる。これらの構成は、それぞれ、第1−5図および第
1−6図に示した移動無線機50Cおよび50Dの構成に近似
しており、異なるのは、それらのアンテナ部におけるア
ンテナ数である。そのアンテナの数は、無線送信回路66
の数および無線受信回路68の数のうちの大きな数であ
り、同一の無線チャネル(同一の搬送波周波数)を用い
てダイバーシティ効果を得るようにした点に特徴があ
る。ここでとくに留意すべきは、同一の無線基地局30と
の間でのダイバーシティ送受信のために特に有効であ
り、相異なる2つの無線基地局30に対してダイバーシテ
ィ送受信を行うときには、このように複数のアンテナ部
を使用する必要はない。
以下においては、とくに、断わらないかぎり、移動無
線機50,50B,50C,50D,50C2,50D2を単に移動無線機50と略
称する。
第1−9図には移動無線機50との間で交信する無線基
地局30(たとえば30−1)の他の実施例30Bが示されて
おり、第1−2図に示した移動無線機50の構成とほぼ同
じであり、異なっているのはID・ローム・エリア情報照
合記憶部54(第1−2図)がなく、自己および通話先の
ID番号を識別し記憶するためのID識別記憶部34や、通信
中の通話品質を常時監視し劣化したときには、それを制
御部38へ報告する通信品質監視部37を有し、電話機部59
(第1−2図)がなく、電話機部59の代わりをなす関門
交換機20へのインタフェース39が設けられている点であ
る。
第1−9図の第1−2図に対応する各構成要素を以下
に列記し、各機能の説明は省略する。ここで( )内の
数字は、第1−2図の対応する各構成要素の番号であ
る。
送信部31(51) 受信部33(53) シンセサイザ35−1〜35−n (55−1〜55−n) シンセサイザ36−1〜36−n (56−1〜56−n) 制御部38B(58) 基準水晶発振器40(71) 送信ミクサ41(61) 干渉妨害検出器42(62) 受信ミクサ43(63) 無線送信回路46(66) 無線受信回路48(68) 第1−10図には無線基地局30の実施例が示され、ここ
では複数の送受信機を含む無線基地局30Cがアンテナ共
用装置96と無線基地局制御装置32を共用する多くの通話
(信)用の送受信機90−1〜90−mと、第1−9図に示
した無線受信回路48と通信品質監視部37の両機能を有す
るm個の通信品質監視用受信機93−1〜93−mと、制御
信号用の制御チャネル専用の制御用送受信機94が示さ
れ、関門交換機20および交換機11を介して電話網10に接
続されている。
第1−10図に用いられた送受信機90−1〜90−mのう
ちの1つの送受信機90の構成が第1−11図に示されてお
り、無線基地局制御装置32に含まれたID識別記憶部34C,
制御部38Cおよび基準水晶発振器40Cとの接続関係が示さ
れている。
この第1−11図に示された送受信機90は第1−9図に
示された無線基地局30Bとほぼ同じ構成を有しており、
多くの送受信機90が、ID識別記憶部34C,制御部38Cおよ
び基準水晶発振器40Cを共用し、インタフェース39Cによ
り関門交換機20に接続されている。
第1−10図の送受信機90−1〜90−mに、このような
構成のものを用いているから、切替スイッチ44−1,44−
2により、シンセサイザ35−1〜35−nおよび36−1〜
36−nのうちの、それぞれ特定の1つのシンセサイザを
選択するならば、第1−10図に示す無線基地局30Cは、
m個のチャネルを同時に送受信することができる。
また、送受信機90の切替えスイッチ44−1,44−2を動
作させて、シンセサイザ35−1〜35−nおよび36−1〜
36−nを高速でチョップして、反復して切替えるなら
ば、1つの送受信機90でn個のチャネルを同時に送受信
することが可能である。したがって、第1−10図の無線
基地局30Cでは最大m×n個のチャネルを同時に送受信
することができる。
第1−12図および第1−13図には、第1−10図におい
て使用される送受信機90−1〜90−mの他の実施例であ
る送受信機90Bおよび90−Cが示されている。
第1−12図に示した無線基地局30Dおよび送受信機90B
は第1−5図に示した移動無線機50Cと同様にそれぞれ
独立したシンセサイザ35−1〜35−nと、受信ミクサ43
−1〜43−nおよび受信部33−1〜33−nを含む無線受
信回路48−1〜48−nと、通信品質監視部37−1〜37−
nを含む構造を有しているほかは、第1−11図に示した
送受信機90の構成と同じである。この送受信機90Bを用
いた無線基地局30Cを用いることにより、後述する高速
移動モードにおける制御信号の受信時におけるダイバー
シティ効果を期待することが可能となる。
第1−13図に示した送受信機90Cは、第1−6図に示
した移動無線機50Dと同様に、受信側に加えて送信側に
もそれぞれ独立したシンセサイザ36−1〜36−nと、送
信ミクサ41−1〜41−nおよび送信部31−1〜31−nを
含む無線送信回路46−1〜46−nを含む構造を有してい
るほかは、第1−12図に示した送受信機90Bの構成と同
じである。この送受信機90Cを用いた無線基地局30Cを用
いることにより、後述する高速移動モードにおける制御
信号の送信時におけるダイバーシティ効果を期待するこ
とが可能となる。
第1−14図および第1−15図には他の無線基地局30D
および30Eの実施例が示されている。
第1−14図に示した無線基地局30Dは、第1−5図に
示した移動無線機50Cと同様にそれぞれ独立したシンセ
サイザ35−1〜35−nと、受信ミクサ43−1〜43−nお
よび受信部33−1〜33−nを含む無線受信回路48−1〜
48−nと、通信品質監視部37−1〜37−nを含む構造を
有しているほかは、第1−6図に示した無線基地局30B
に示した送受信機90の構成と同じである。この無線基地
局30Dを用いることにより、後述する高速移動モードに
おける制御信号の受信時におけるダイバーシティ効果を
期待することが可能となる。
第1−15図に示した無線基地局30Eは、第1−6図に
示した移動無線機50Dと同様に、受信側に加えて送信側
にもそれぞれ独立したシンセサイザ36−1〜36−nと、
送信ミクサ41−1〜41−nおよび送信部31−1〜31−n
を含む無線送信回路46−1〜46−nを含む構造を有して
いるほかは、第1−14図に示した無線基地局30Dの構成
と同じである。これらの無線基地局30Eを用いることに
より、後述する高速移動モードにおける制御信号の送信
時におけるダイバーシティ効果を期待することが可能と
なる。
第1−16図,第1−17図および第1−18図,第1−19
図には、それぞれ無線基地局30D2,30E2および送受信機9
0B2,90C2の構成が示されている。これらの構成は、それ
ぞれ、第1−14図,第1−15図および第1−12図,第1
−13図に示した無線基地局30D,30Eおよび送受信機90B,9
0Cの構成に近似しており、異なるのは、それらのアンテ
ナ部におけるアンテナ数である。そのアンテナの数は、
無線送信回路46の数および無線受信回路48の数のうちの
大きな数であり、同一の無線チャネル(同一の搬送波周
波数)を用いてダイバーシティ効果を得るようにした点
に特徴がある。ここでとくに留意すべきは、同一の無線
基地局30との間でのダイバーシティ送受信のために特に
有効であり、相異なる2つの無線基地局30に対してダイ
バーシティ送受信を行うときには、このように複数のア
ンテナ部を使用する必要はない。
第1−20図には無線基地局30C2の構成が示されてい
る。ここでは、第1−10図に示した無線基地局30Cを2
組収容した構成を示しており、各組が別個のアンテナ共
用装置96−1,96−2を有しているから、第1−16図ない
し第1−19図に示した無線基地局30D2,30E2および送受
信機90B2,90C2の有するダイバーシティ効果を有してい
る。
以下においては、とくに断わらないかぎり、無線基地
局30,30B,30C,30D,30E,30D2,30E2を単に移動無線機30と
略称する。
移動無線機50と無線基地局30,関門交換機20との間の
制御用の信号は、制御信号専用の制御チャネルを用いる
場合と、通信(話)信号の帯域外を用いる場合とがあ
る。
この制御信号を通信(話)信号の帯域外で伝送するた
めに、具体的には、制御信号がアナログ信号の場合、第
2図(a)に示すように、通話チャネルの帯域0.3〜3.0
KHz外の低い周波数fD0(たとえば約100Hz)または高い
周波数fD1,fD2,fD3…fD8(たとえば3.8KHzから0.1KHz
間隔で4.5KHzまでの8波)を用いる。
制御すべき項目すなわち制御データが多いときには制
御用の周波数fD0〜fD8の波数をさらに増加させてもよい
し、副搬送波形式をとることも可能である。このとき、
たとえばfD0〜fD8のうちの1波あるいは複数の波に周波
数変調をかけたり、あるいは振幅変調をかけたりするこ
とによって、より多くの制御データを伝送することもで
きる。
また、制御信号としてディジタル・データ信号を用い
た場合には、音声信号もディジタル符号化して、両者を
時分割多重化して伝送することも可能であり、これを第
2図(b)に示す。第2図(b)は、音声信号をディジ
タル符号化回路91でディジタル化し、それとデータ信号
とを多重変換回路92で多重変換し、送信部31の変調回路
に印加する場合の一例である。
以下に、移動無線機50、無線基地局30および関門交換
機20の機能を順次説明する。
(A)移動無線機50 最初に移動無線機50の具備する機能のうち、制御部58
の機能につき説明する。制御部58では、まず基本機能と
してつぎの機能を具備している。
i)自己の移動無線機50の無線送信回路66に対し、電波
の送信の発射又は停止の指令および送信電力レベルの制
御。
ii)自己の移動無線機50の無線受信回路68に対し、電波
の受信指示または停止の指令。
iii)電話機部59に対し、ダイヤル信号送出可否指令お
よび音声の送受信指令。
iv)シンセサイザ群55−1〜55−nおよび56−1〜56−
nに対し発振周波数(チャネル)指定と、発振指令およ
び停止指令。
v)受信および送信切替用制御器65C,67Cに対し、制御
指令。
vi)関門交換機20からの指示による1つのまたは複数の
使用チャネルの変更。
vii)干渉妨害検出器62からの情報による使用チャネル
の変更を関門交換機20に要請。
viii)ID・ロームエリア情報照合記憶部54からの情報に
より、通信すべき相手方IDの確認。
ix)関門交換機20の指示によりサービス種別の上位の移
動無線機に対する通話チャネルの譲渡。
x)受信(送信)切替用制御器65C,67Cに対し、オン・
オフのデューテイ条件の決定。
xi)関門交換機20からの報告により自己の移動無線機50
の移動方向、移動速度の推定。
xii)高速移動モードにおいては、移動無線機50自身が
回線制御の主導権を行使すること。これは関門交換機20
からの要請または自らの判断により可能である。ただし
低速移動モードに移行した場合は、自らの判断または関
門交換機20の要請により回線制御の主導権を関門交換機
20へ譲渡すること。
つぎにi)〜xii)の機能を複合して使用することに
より、つぎの応用機能を具備することができる。
1)自己の移動無線機50の周辺で動作中の他の移動無線
機や他の無線基地局で使用している無線チャネルをID・
ロームエリア情報照合記憶部54に記憶され、発呼または
通信チャネルの切替えのときに活用する。
2)i),vi),vii)の機能を用い、自己の移動無線機5
0に対する最適送信レベルの設定。
3)2)の機能の一つの応用として、ディジタル信号の
伝送に対し、最適信号速度を決定すること。
4)通信の種類(電話、FAXデータなど)により最適使
用チャネルの決定を受けることができる。
5)通信中チャネル切替動作が無瞬断で行われる。
(B)無線基地局30 無線基地局30に下記のような機能を持たせた装置をそ
れぞれ設定する。
a)各無線基地局には、少数(通常1個)の制御チャネ
ル送受信のために専用の無線送受信機と、通話チャネル
専用で、かつその無線基地局に割当てられた通話チャネ
ル数に対応した数の無線送受信機が設置されている。た
とえば、第1−10図の無線基地局30Cを想定する。1つ
の無線基地局30Cに割当てるべき通話チャネル数は、そ
れが担当する小ゾーンに存在する移動無線機50の通話ト
ラヒックにより最適値が与えられる。ゾーンの面積が大
きく、またそのエリア内に存在する移動無線機が多い場
合には、必然的に通話トラヒックも増大するから、すく
なくとも1つの制御チャネルと複数の通話チャネルが必
要であり、送受信機90(第1−11図)の数も当然複数個
必要である。NTTの自動車電話システムで大都会の場合
には、2つの制御チャネルと最大60チャネル程度の通話
チャネルが割当てられている実例がある。
しかしながらゾーンの大きさが次第に小さくなり、遂
には前述した文献、伊藤“携帯電話方式の提案”通信学
会 通信方式研究会資料CS−86−88、1986年11月 に示
されているように半径25m程度の極小ゾーンとなると、
このエリアをサービス・エリアとして受持つ無線基地局
としては通話トラヒックおよび方式、コストの点からそ
こに設置される無線チャネルとして、制御および通話を
それぞれ1とし、これをまかなう無線機の機能としては
1送受信とされる場合がある。すなわち1個の送受信機
を制御および通話兼用にするわけである(第1−9図参
照)。しかもこの兼用は従来のシステムのようにある移
動無線機からの発呼に対し、当初、制御チャネルで対応
し、空いている通話チャネルを指定した後は、自らも通
話チャネルに変更して同一の移動無線機と通信を実行す
るという単純な方法ではなく、後に説明するように1つ
の移動無線機と通話チャネルを用いて通信中においても
後述するように送受信する無線周波数を信号に妨害を与
えないような切替速度で通話チャネルと制御チャネルを
反復切替えることにより、新しく発着呼を希望する移動
無線機50に対しても発着呼動作を受付け、かつ通話を可
能とするすぐれた機能を有している点が本発明の特徴で
ある。
以上説明したように無線基地局30の構成には、種々の
ケースが考えられるが、本発明はそのすべての場合に適
用が可能である。
ただし第1−1図の無線基地局30には送受信部を各1
組のみ示し、あとは省略している。
b)各無線基地局30に設置された通話チャネル専用の送
受信機は、それぞれその無線基地局に割当てられた無線
チャネル内の複数の無線チャネルのうちの1チャネルを
受信可能であることは当然であるが、トラヒック変動の
はげしいゾーンにおいては、無線基地局30C(第1−10
図)に設備される1個の送受信機90が、第1−11図に示
すような構成であるとする。すなわち、無線信号を送受
信する部分の構成を第1−2図に示す移動無線機50とほ
ぼ同様の構成とする。
この結果、このゾーンにおける通話トラヒックが増加
し通常mチャネルの通信に供するため送受信機90の数が
m個設置されている無線基地局30Cにおいても、通話ト
ラヒックの増加により、mチャネル以上の通信が必要に
なった場合には、無線基地局30Cを構成する1つの送受
信機90に対し同基地局内の制御部38Cより送出される制
御信号により現在動作中のシンセサイザ35−1,36−1の
他に35−2,35−3,…,35−nおよび36−2,36−3,…,36−
nや切替スイッチ44−1,44−2を動作させる。これによ
り従来のmチャネルの送受信が可能であったものが最大
m×nチャネルの送受信が可能となる。同時通信可能な
チャネル数は飛躍的に向上する。
ただし切替数に応じて各チャネルの送信電力は、送信
ミクサ61の出力に電力増幅器を入れないかぎり減少する
ので、この点に注意することが必要になるほか、システ
ムに与えられた総チャネル数が上限になる。あるいは他
ゾーンで通信中のチャネルに妨害を与える場合は、それ
以下のチャネル数で限界となる。また、ベースバンド周
波数帯でチャネル間の通信信号のオーバラップが生じな
いように信号帯域の制限も必要となることも当然であ
る。
第1−9図の無線基地局30Bには、送受信機が各1個
しかなく、これを制御チャネルと通話チャネルとに共用
する方法をとるシステムにあっては、1つの移動無線機
50と通話チャネルを用いて通信中においても、前述した
のと同様に送受信する無線周波数を信号に妨害を与えな
いような切替速度で、通話チャネルと制御チャネルを反
復切替えることにより、新しく発着呼を希望する移動無
線機50に対しても、発着呼動作を受付け、かつ優先度の
異なる移動無線機では、現在通話中の移動無線機を新し
く発呼を希望する無線機にチャネルの譲渡をさせること
により、通話を可能とすることができる。
以下、無線基地局30に関し、さらに第1−11図を用い
て説明するが、第1−3図,第1−9図,第1−14図,
第1−15図の無線基地局30,30B,30D,30Eおよび第1−12
図,第1−13図の送受信機90B,90Cを具えた無線基地局3
0Cの機能もほぼ同一である。
制御部38Cでは、まず基本機能として、つぎの機能を
具備している。
i)自己の無線基地局30Cに含まれた送受信機90の送信
部31に対し、電波の送信の発射または停止の指令および
送信電力レベルの制御。
ii)自己の無線基地局30Cの受信部33に対し電波の受信
指示または停止の指令。
iii)関門交換機20に対し、ダイヤル信号送出可否の通
知、音声の送受話可否の通知。
iv)シンセサイザ群35−1〜35−nおよび36−1〜36−
nに対し発振周波数(チャネル)指定と、発振指令およ
び停止指令。
v)受信および送信切替用制御器45,47に対し、制御指
令。
vi)通信品質監視用受信機93−1〜93−mからの情報に
よる使用チャネルの変更適否の判断、ならびに品質情報
を対向する移動無線機50へ伝達することの可否の判断。
vii)干渉妨害検出器42からの情報による使用チャネル
の変更適否の判断。
viii)ID識別記憶部34Cからの情報により、通信すべき
相手方IDの確認および使用チャネルの決定。
ix)サービス種別の上位の移動無線機よりの要請にもと
づき、現在通話中の移動無線機50との通信の早期終了を
はかる。あるいは即時終了を実施する。
x)受信および送信切替用制御器45,47に対し、オン・
オフのデューティ条件の決定。
xi)制御決定に関して、移動無線機50より下位にあるこ
と。これは制御上の判断に関し、移動無線機50と相違し
た時には、移動無線機50に対して主導権を譲渡すること
である。ただし、xi)については、説明の便宜上定めた
もので、実際のシステムでは、無線基地局30に主導性を
もたせても、低速モードの場合には、一向に差支えなく
実施可能である。
xii)すでにa),b)で説明したように通話チャネルと
制御チャネルを兼用する無線機にあっては(A)で説明
した移動無線機50と同様に、第1−9図に示すように複
数個のシンセサイザ35−1〜35−n,36−1〜36−nを有
し、送受信する無線周波数を信号に妨害を与えないよう
な切替速度で通話チャネルと制御チャネルを反復切替え
ることにより、新しく発着呼を希望する移動無線機50に
対しても発着呼動作を受付け、かつ通話を可能とする機
能を有すること。
xiii)関門交換機20または移動無線機50の要請に応じ、
移動無線機50から送信される移動速度測定用信号の受信
電界値を測定し、関門交換機20もしくは移動無線機50へ
その結果を報告する。
つぎにi)〜xiii)の機能を複合して使用することに
より、つぎの応用機能を具備している。
1)自己の無線基地局30Cの周辺で動作中の他の無線基
地局や、他の移動無線機で使用している無線チャネルを
ID識別記憶部34Cに記憶させ発呼または通信中チャネル
の切替えのときに活用する。
2)x)およびxi)の機能の一つの応用として、通話ト
ラヒックの輻輳時において、発呼の抑圧、使用チャネル
の切断もしくは早期終了勧告の実施。
3)i),vi),vii)の機能を用い、自己の無線基地局3
0における最適送信レベルの設定。
4)3)の機能の一つの応用として、ディジタル信号の
伝送に対し、最適信号速度を決定すること。
5)通信の種類(電話、FAX、データなど)により最適
使用チャネルを決定する。
また、他のゾーンへ移行することにともなう制御機能
としては、 6)通信中チャネル切替希望の移動無線機50からの信号
にもとづき、受信品質データの連絡および関門交換機20
または移動無線機50の決定により新無線基地局30Cとし
て選定した場合、交信の開始。
7)関門交換機20に対しては、移動無線機50からの要請
にもとづき、通話路のスイッチ群23の開閉および通話路
の並列使用要求の実施。
8)通話中チャネル切替実施後、一定時間はそれまで通
信していた移動無線機50のIDおよび通話チャネル番号を
記憶する。
9)移動無線機50よりの位置登録信号(制御チャネル使
用)を受信した各無線基地局30Cよりの報告にもとづ
き、その移動無線機50のID(自己識別情報)を関門交換
機20に含まれた通話路制御部21を介してID識別記憶部24
へ記憶する。この場合本発明では複数の無線基地局30C
より位置登録要求がなされるから、移動無線機50で受信
した信号の品質(S/N,C/N等のデシベル値)も合せて記
憶する。
10)移動無線機50よりの発呼信号(制御チャネル使用)
を受信した各無線基地局30Cからの報告にもとずき、受
信信号品質の最も良い無線基地局や次に良い無線基地局
30Cあるいは移動無線機50の移動方向や速度等の検出に
より、移動先ゾーンを見越した新ゾーンの無線基地局30
Cを選定する。これに対しては、その無線基地局に割当
てられている無線チャネルの中から移動無線機50との通
信に使用すべきその時点で使われていない通話チャネル
番号の指定をする。通信品質の劣化した無線基地局に対
しては、関門交換機20または移動無線機50の指令をもと
に移動無線機50との交信を停止する指令信号を送出す
る。
11)後述する高速移動モードの移動無線機50からの位置
登録、発着呼および通話中チャネル切替に関しては、そ
の確認する機能および送受信ダイバーシティを適用する
機能さらに移動無線機50や関門交換機20に移動無線機50
が高速モードであることを報告する機能、あるいは移動
無線機50に対し送受信ダイバーシティの適用を指示する
機能等を有する。
ただし第1−3図に示す無線基地局30においては、ダ
イバーシティ送受信は適用しないことは当然である。
以上の制御機能を一言で表現すれば、従来技術におい
て用いられていた第18図の無線回線制御局12の機能の一
部を、無線基地局30および移動無線機50へ収容したの
で、無線回線制御局12の全機能の収容が可能となり、無
線回線制御局12の廃止を可能とした。
しかしながら、従来技術を用いて、無線基地局30をイ
ンテリジェント化したとしても、その効用には限界があ
り、とくに無線回線制御の能力の向上や、通話中チャネ
ル切替時の瞬断の除去には全く効果がなく、本発明によ
る方法を用いてはじめて名実ともにインテリジェント化
されるということになる。
(C)関門交換機20 第1−1図に示すように関門交換機20には、移動無線
機50,無線基地局30,関門交換機20,交換機11,電話網10
(電話加入者)との間に通話(信)路を設定、解除なら
びに移動無線機のゾーン間移行にともなう位置登録の変
更処理、通話(信)中チャネルの切替えの実施等の機能
を持たせた。具体的には第1−1図に示されるような各
機能を関門交換機20は有している。これを以下説明す
る。
a)移動無線機50からの位置登録信号(制御チャネル使
用)を受信した各無線基地局30よりの報告にもとづき、
その移動無線機50のID(自己識別情報)を通信制御部21
を介してID識別記憶部24へ記憶する。この場合本発明で
は複数の無線基地局30より位置登録要求がなされるか
ら、移動無線機50のIDの他、無線基地局30のIDおよび無
線基地局30で受信した信号の品質(S/N,C/N等のデシベ
ル値)も合わせて記憶する。
b)移動無線機50からの発呼信号(制御チャネル使用)
を受信した各無線基地局30からの報告にもとづき、受信
信号品質の最も良い無線基地局30あるいは次ぎに良い無
線基地局30を選定し、これに対してはその無線基地局に
割当てられている無線チャネルから移動無線機50と通信
すべき、その時点で使われていない通話チャネル番号の
指定、その他の無線基地局30に対しては移動無線機50と
の交信を停止する指令信号を送出する。
c)b)の移動無線機50よりの発呼に関連して開閉すべ
きスイッチ群23の動作の実行、ならびに被呼者が電話網
10に含まれている場合には、交換機11宛の被呼者との通
話設定に必要な情報の伝達。
d)移動無線機50への着呼信号が電話網10に含まれてい
る発呼者から交換機11を経て伝送されてきた場合に、通
信制御部21を介して開閉すべきスイッチ群23の動作の実
行、ならびにID識別記憶部24の検索による被呼移動無線
機50の現在位置確認。
e)制御決定に関して低速移動モードでは、移動無線機
50や無線基地局30より上位にあること。これは制御上の
判断について移動無線機50や無線基地局30と相違した時
には、移動無線機50や無線基地局30に対して主導権を行
使可能とすること。ただし、高速移動モードでは移動無
線機50に主導権を譲渡する。
f)d)の移動無線機50への着呼に関連して、被呼移動
無線機50の現在位置を登録したゾーンをカバーする無線
基地局30への呼出信号の送出指示。まずこの呼出信号は
その移動無線機50の現在位置登録がされているすべての
無線基地局30へ送出され、これを受けた各無線基地局30
では、下り制御チャネルを用い移動無線機50宛の着呼信
号を同時刻に送出する。ただしこの送出時刻は、必ずし
も同時刻でなくてもよく、各無線基地局30ごとに時系列
的に順次送出してもよい。すなわち信号の時間差による
干渉妨害をさける対策が講じられていればよい。
g)移動無線機50が通話開始後、システム内の通話トラ
ヒック事情が許せる場合は、送受信ダイバシティ実施の
承認および動作遂行の指示。
h)移動無線機50との発着呼に関し、一般電話網との間
で課金情報を授受する。
i)送受信ダイバーシティ実施中の移動無線機50に関
し、トラヒックの輻輳あるいは重要加入者の発呼や広帯
域信号サービス希望者がその時刻に現れた場合には、送
受信ダイバーシティの多重度(使用チャネル数)の減少
ないし、ダイバーシティの停止の判断および実行。
j)a)〜f)項により、通信中の移動無線機50が、場
所の移動にともない同一ゾーン内においても、あるいは
ゾーンを移行し無線基地局30との通信品質が劣化した場
合にはそのチャネルに対し、通信(話)中チャネル切替
の動作遂行の指示。なお、この動作を遂行するには、対
向する無線基地局30に対し制御信号を送る必要があるが
この指示(制御信号)は、第2図(a)に示すように通
話チャネルを用い通話信号の周波数帯域の上または下側
周波帯域を用い行われる。
k)移動無線機50が、移動することにより、対向して通
信中の各無線基地局30の受信品質変化の測定結果を関門
交換機20へ送信させることにより、移動無線機50の速度
を推定する能力を有する。すなわち、移動無線機50の速
度測定が必要となった場合には、移動無線機50も独自の
判断をする。もしくは関門交換機20から無線基地局30を
経由して移動無線機50に指示して速度測定に必要な信号
電波を一定間隔、たとえば3秒毎とか5秒毎の間隔で送
信させる。そしてこれを周辺の無線基地局30で受信(電
界強度測定)させ、その値をその都度、関門交換機20へ
送信させる。関門交換機20では、これらのデータを速度
値演算回路21−3において計算させることにより、移動
無線機50の移動速度を推定し、移動無線機の移動方向の
無線基地局30におけるトラヒック状態(通話チャネルの
使用状態)を総合的に判断し、必要により、これらの無
線基地局30と交信中の移動無線機50の送受信ダイバーシ
ティの多重度の逓減または増加の指示を行う。
つぎに、システム全体の作用を、以下の項目順に説明
する。
(1)位置登録(低速移動モード時)。
(2)発呼動作(低速移動モード時)。
(3)着呼動作(低速移動モード時)。
(4)トラヒック閑散時におけるダイバーシティの適用
(低速移動モード時)。
(5)通話中チャネル切替およびダイバシティ効果につ
いて(低速移動モード時)。
(6)移動無線機の移動速度の推定とトラヒック輻輳対
策上の通話チャネル割当法。
(7)高速移動中の移動無線機の位置登録方法および発
着呼等の動作。
(1)位置登録(低速移動モード時) 移動無線機50の常置場所であるホーム・エリア、ある
いはホーム・エリア以外のサービス内のエリアであるロ
ーム・エリアにおいて、すでに関門交換機20および周辺
の無線基地局30−1〜30−nが動作しているときに、移
動無線機50の電源スイッチがオンされて、動作を開始す
ると、最初に行われるのが位置登録動作である。この位
置登録動作の流れを第4図に示し、説明する。
移動無線機50の電源スイッチがオンされると、現在の
位置を登録するために、位置登録信号が上り制御チャネ
ル(CH)を用いて、周辺の無線基地局たとえば30−1〜
30−nに対して送出される(S201、第4A図)。
この移動無線機50からの位置登録信号を受信すると
(S202)、無線基地局30では、受信品質を検査し、ID識
別記憶部34に記憶する(S203)。
受信品質を検査した結果一定値以上である場合には
(S204YES)、位置登録要求信号を受信品質データとと
もに関門交換機20に対して送出する(S205)。この登録
要求信号を複数の無線基地局30から受信した(S206)関
門交換機20では、受信品質を含めて位置登録する(S20
7)。
関門交換機20では、同様に複数の無線基地局30−1〜
30−nに受信品質および位置が記憶されていることを登
録する。この登録作業が完了すると、登録完了信号が各
無線基地局30に対して送出される(S208)。この登録完
了信号を受信した(S209)各無線基地局30では、下り制
御チャネルを用いて移動無線機50に転送する(S210)。
登録完了信号を受信した(S211)移動無線機50は、受
信内容を検査して登録された各無線基地局30のID(識別
番号)をIDローム・エリア情報照合記憶部54に記憶する
(S212)。
以上の動作により位置の登録動作は終了し、着呼に対
して待機状態に入る。
なお、以上の説明から明らかなように、本発明による
移動通信システムの移動無線機50の位置登録は、従来の
システムと異なり複数の場所(無線基地局単位)に登録
することとなる。これが本発明の1つの特徴を表わすも
のである。
また、無線基地局30、および関門交換機20では、位置
登録情報を記憶する場合に、移動無線機50から送られて
きた位置登録信号の品質を測定し、その値を含めて記憶
する。それゆえ、たとえば関門交換20では、移動無線機
30の位置登録信号を記憶するのに、受信品質の上位だっ
た無線基地局30のIDとともに、たとえば、つぎに示すよ
うに受信品質の良い順に記憶する。
同様に各無線基地局30も無線基地局30が受信した情報
のみならず、第1表に示すような周辺の無線基地局30の
受信情報も合せて記憶する。これは移動無線機50との間
で通話路が設定されたとき移動無線機50の移動にともな
う通話(信)中チャネル切替実施のときに有用な情報で
あるばかりでなく、移動無線機50の移動速度を推定する
のに必要だからである。
上記と同様な理由のために、移動無線機50内のIDロー
ム・エリア情報照合記憶部54においても、第1表と同様
の情報を記憶せしめる。
つぎに移動無線機50が待受中(通話しない状態)にお
いて位置登録したゾーンから移動し、隣接ゾーンへ移行
したとする。この移動の認識は、たとえば無線基地局30
(B,C)から常時制御信号が送出されているシステムで
は、受信した制御信号に含まれている無線基地局30のID
を移動無線機50で記憶しているIDと照合すれば判別でき
る。
無線基地局30から常時には制御信号が送出されていな
いシステムでは、所定の時間間隔で移動無線機50から周
辺の無線基地局30宛に上り制御チャネルを用いて下り制
御信号送出要請を行い、これに応じて各無線基地局30か
ら送られてきた無線基地局30のIDを移動無線機50で記憶
しているID情報と照合することにより可能となる。
以上いずれのシステムにおいても、この結果得られた
無線基地局30のID情報のうち、それまで移動無線機50で
記憶していた基地局ID情報と異なる新しい基地局ID情報
がすくなくとも1つ以上あることを発見した場合には、
移動無線機50は新ゾーンへ移行したものと判断し、制御
部58(第1−2図参照)は、IDローム・エリア情報照合
記憶部54への位置登録の更新を実行する。すなわち上り
制御チャネルを用いて移動無線機50のID情報を周辺の無
線基地局30へ送信する。
この信号を良好に受信した複数の無線基地局30では、
すでに説明したのと同様の手続きを行い、関門交換機20
へ移動無線機50の位置登録信号を送出する。この信号を
受信した関門交換機20では、その内部のID識別記憶部24
を動作させ移動無線機50の位置登録情報として、従来の
情報から、新情報に書きかえさせる。これにより、移動
無線機50の位置登録が更新される。
以上の更新作業は、移動無線機50が待受時であるから
必要なのであり、通信(話)中に新ゾーンへ移動した場
合には、後述するように、関門交換機20へは新通話チャ
ネルの割当を新無線基地局と移動無線機50との間で行わ
せる時、同時に位置登録を更新させるので、特別の動作
は不要である。
なお、無線基地局30に設置される無線機の数が少な
く、制御チャネル用の無線機を通話チャネル用に転用す
るシステムにおいては、無線基地局30が他の移動無線機
50と通信中のときは、従来技術を用いたのでは、他に待
機中の無線機がないため、たとえ別の移動無線機から位
置登録要求が出されても、無効呼となっていた。ところ
が移動無線機の構成として、たとえば第1−2図に示す
ような複数のシンセサイザ55−1〜55−n,56−1〜56−
nや切替スイッチ64−1,64−2などを具備させることに
より、送受信チャネルをチョップしながら反復して切替
える方法により、すでに他の移動無線機と通信中であっ
ても、新しく着呼した移動無線機との制御チャネルによ
る交信が可能である。したがって位置登録を受付けるこ
とが可能となる。
(2)発呼動作(低速移動モード時) 移動無線機50からの発呼動作について説明する。
移動無線機50は電源がオンされており、(1)項で説
明した位置登録が完了しているものとする。移動無線機
50から同一システム内の他の移動無線機、あるいは第1
−1図に示されている電話網10に収容されている電話機
を呼ぶ場合の発呼動作は、現在使用されている自動車電
話機からの発呼と同様にダイアル操作が行われる。
さて、使用者が第1−2図に示される移動無線機50の
電話機部59の送受信機をあげる(ハング・オフ)動作を
する。この状態では、移動無線機50から送出する発呼信
号が、どのタイミングで上り制御チャネル(移動無線機
50から無線基地局30)に送出すべきかを、移動無線機50
の制御部58は知っている。それは発呼状態以前の待呼時
において、すでに複数の無線基地局30から送出されてい
る下り制御チャネル(無線基地局30から移動無線機50)
を、この移動無線機50は捕捉しており、この中に含まれ
ている制御信号の発呼可のタイミングを認知しているか
らである。
ただし、無線基地局30から下り制御信号を常時には送
出していないシステムにおいては、移動無線機50からの
上り制御信号を無線基地局30が受信し、これに応じて複
数の無線基地局から送信される下り制御チャネル内に発
呼を希望する無線基地局30の発呼タイミングを含ませる
ようにしている。
また移動無線機50では、第1−2図に示す全機能が活
動状態にはいる。とくに、シンセサイザ55−1,55−2,
…,55−nに対しては局部発振周波数発振の準備をさせ
るが、切替スイッチ64−1はシンセサイザ55−1を選択
する位置に固定する状態を保持する。また、シンセサイ
ザ55−1に対して制御部58では制御信号を送出し、下り
制御チャネル受信のための局部発振周波数を発振させ
る。一方、移動無線機50の周辺にある無線基地局30−1,
30−2,…,30−nでは、その無線基地局には無線機が1
台しか存在していない場合、他の移動無線機50と通信中
か否かにより、つぎの動作で移動無線機50からの上り制
御信号の受信につとめている。
まず、その時点で他の移動無線機50と通信中の無線基
地局30では、その無線基地局30にある受信および送信切
替用制御器65C,67C、およびシンセサイザ55−1,55−2,5
6−1,56−2が動作中であり、このうち55−1,56−1は
他の移動無線機との通信に必要な局部発振周波数を出力
し、シンセサイザ55−2および56−2は制御チャネルで
の交信を必要とする局部発振周波数を出力している。そ
れゆえ、無線基地局30の近傍に居る移動無線機50からの
発呼には、直ちに応じられる状態を保っている。
つぎに、その時点で他の移動無線機との通信もなく、
制御チャネルで待機中の無線基地局30にあっては、無線
受信回路68の受信状態を制御チャネルを受信できるよう
にして固定している。したがって無線送信回路66など
は、常時制御信号を送出しているシステム、または間欠
的に制御信号を送出するシステムでは、間欠送信以外の
時刻では休止中であり、単に無線受信回路68、シンセサ
イザ55−1のみが動作中である。
さて、以上の状態の下において移動無線機50から発呼
要求信号が送信される。この移動無線機50のIDを含む発
呼要求信号は、第1−2図の制御部58で作成され、無線
送信回路66へ送られる。無線送信回路66では変調が加え
られ、適当なレベルにに増幅後、送信ミクサ61からアン
テナに加えられ無線基地局30−1等へ送られる。
この信号を良好に受信した無線基地局30−1等におい
ては、受信信号の内容を検査して、無線基地局30−1の
ID識別記憶部34に記憶され、位置登録の完了している移
動無線機50からの発呼であることを確認し、関門交換機
20に対し発呼応答信号を送出する。もし無線基地局30−
1の記憶部34に記憶されていない移動無線機50であれ
ば、この時点で記憶し、上記と同様に関門交換機20に対
し応答信号を送出する。
関門交換機20においては、無線基地局30−1等で得ら
れた移動無線機50からの受信品質の最もよい無線基地局
と通話路を設定させることとし、同無線基地局(30−1
とする)で、その時点で未使用でかつ電波妨害の発生す
るおそれのない通話チャネルを調査し、それがあれば通
話チャネル割当を要求してきた無線基地局30−1に対し
返答する。この返事を受信した無線基地局30−1では、
下り制御チャネルを用いて移動無線機50宛に送信する。
一方移動無線機50では、この信号を受信し、信号の内
容を検査した結果、移動無線機50に対する通話チャネル
割当であることを確認し、指示された通話チャネルに送
受信チャネルを変更する。また関門交換機20では通話路
設定用のスイッチ群23のスイッチSWがオンされる。
このとき、移動無線機50の電話機部59には、ダイヤル
・トーンが聞こえ、使用者がダイヤル操作をすることに
より、無線基地局30と関門交換機20,交換機11を介し
て、ダイヤル・パルス(PS信号)が送られる。
以下、被呼側の電話網10,交換機11,関門交換機20と無
線基地局30−1と移動無線機50との間に通話(信)路が
設定される。
以上、発呼動作の流れを、第5A図および第5B図に示し
説明する。ただし移動無線機50と通信する無線基地局30
は1局(30−1)だけ代表して示した。関門交換機20お
よび無線基地局30−1はすでに動作を開始しており、移
動無線機50も動作を開始して、第4図で説明した位置登
録作業を終了している。送受話機があげられて(オフ・
フック)、上り制御チャネル(CH)を用いて、このオフ
・フック信号と、移動無線機50のID(識別番号)が送出
される(S231、第5A図)。
これを受けた無線基地局30−1では、移動無線機50の
IDを検出し、ID識別記憶部34にすでに記憶されているも
のであることを確認する(S232)。
そこで無線基地局30−1は、移動無線機50から受信し
た受信品質の値および現在の空チャネル番号を加えて発
呼応答信号として下り制御チャネルを用いて送出する
(S233)。
このような発呼応答信号を複数の無線基地局30から受
けた移動無線機50は、各無線基地局30からの受信品質の
値を検討し、ダイバーシティ送受信可能な、たとえば無
線基地局30−1〜30−nを選択し、空きチャネルを確認
し(S234)、使用する通話チャネルを指定する信号を送
出する(S235)。ここで、無線基地局30−1に対しては
チャネルCH1を送出する。無線基地局30−1では、移動
無線機50が指定してきた通話チャネルが空いていること
を確認して、そのチャネルに切替えて(S236)、チャネ
ル切替完了報告を下り制御チャネルを用いて送出する
(S237)。この切替完了報告けて(S238)、移動無線機
50では、指定した通話チャネルでダイヤル・トーンを待
つ(S239)。
一方無線基地局30−1では、関門交換機20に対して発
呼信号を送出する(S240)。これを受けた関門交換機20
では、移動無線機50のIDや、通信品質をID識別記憶部24
に記憶し、通話路制御部21の制御によりスイッチ群23
の、たとえばSW1−1をオンして無線基地局30−1を電
話網10の交換機11に接続する(S241)。
そこで交換機11側からは、関門交換機20のスィツチ群
23を介してダイアル・トーンが送出される(S242、第5B
図)。
このダイアル・トーンは無線基地局30−1でチャネル
CH1(下り)により転送されて(S243)、移動無線機50
で受信され、通話(信)が設定されたことを確認する
(S244)。移動無線機50は、宛先のダイアル信号をチャ
ネルCH1(上り)を用いて送出し(S245)、無線基地局3
0−1により転送されて(S246)、交換機11が動作して
電話網10の宛先までの通話(信)路が設定される(S24
7)。その後通話がなされる(S248)。
通話が完了すると、送受話器がオン・フックされて
(S249)、オン・フック信号と終話信号が移動無線機50
からチャネルCH1(上り)を用いて送出される(S25
0)。これにより無線基地局30−1は終話を確認し(S25
1)、終話を関門交換機20に伝える。そこで関門交換機2
0では、スイッチ群23のスイッチSW1−1をオフにし、通
話が終了する(S252)。
なお上記の説明で関門交換機20では、移動無線機50と
交信する無線基地局30を1局に限定したが、これは必ら
ずしも必要ではない。すなわち後述する送受信ダイバー
シティの適用時と同様に、通話投書より複数の無線基地
局30と交信させることが可能である。ただしこの場合に
はその近くにおけるトラヒック状態は十分考慮して決定
する必要がある。
また複数の無線基地局30から移動無線機50への送信も
同時期に送信しても差支えない。ただしこの場合には、
通話信号は同一だから問題ないとして、制御信号として
帯域外(第2図(a)参照)にそれぞれ占有周波数帯を
異ならせて、どの無線基地局30から送信されたかを移動
無線機50側で識別させることが必要になる。
(3)着呼動作(低速移動モード時) 以上は移動無線機50からの発呼について本発明を説明
したが、以下移動無線機50への着呼の動作の流れを第6A
図ないし第6C図を用いて説明する。ここでは多くの無線
基地局30のうち、30−1を代表して示した。たとえば無
線基地局30−1などの近傍に存在する移動無線機50等は
すべての無線基地局30で共通して使用する制御チャネル
で待受けている。
ただし、比較的大きな少ゾーン構成をとっているシス
テムでは、各無線基地局30から送信される制御チャネル
が異なっている場合があり、この時は、受信の制御チャ
ネルも各無線基地局30で異なる。このようなシステムで
は、移動無線機50は下り制御チャネルのいずれかを待受
けていることになる。また複数の無線基地局30との通信
は、(4)で説明するダイバーシティの適用の手順をふ
むことになる。
さて、第1−1図において電話網10から交換機11を介
して関門交換機20に移動無線機50宛の着呼信号が入来し
たとする。関門交換機20内のID識別記憶部24では、入来
した着呼信号を検査し、被呼者のIDを調べたところ現在
位置登録されている無線基地局30(複数)が検索された
とする。すると通信制御部21を経由して移動無線機50が
位置登録されているすべての無線基地局30宛に着呼信号
を同時に送出する(S271、第6A図)。
この信号を受信した各無線基地局30たとえば30−1で
は、自局内のID識別記憶部34(C)を検索し移動無線機
50のIDがそこに記憶されていることを確認すると、下り
制御チャネルを用いて、移動無線機50宛に着呼および通
話チャネル指定要請の信号を無線基地局30−1のIDを加
えて送出する。他の無線基地局30にも同様な動作で移動
無線機50を実質的に同一時刻に呼出すことになる(S27
2)。
一方、この着呼信号は制御チャネルで待受中の移動無
線機50で受信され、受信信号の内容を検索し、移動無線
機50宛の着呼信号であることを確認すると(S273)、着
呼確認信号を上り制御チャネルを用いて、無線基地局30
−1,30−2,…,30−n宛に送信する(S274)。移動無線
機50からの上り制御チャネルを受信した各無線基地局30
−1〜30−nでは、受信信号の品質を検査し、発信した
移動無線機50のIDを確認して(S275)、着呼応答信号を
関門交換機20に対して送出する(S276)。
この関門交換機20への着呼応答信号には、移動無線機
50のIDも含まれている。そこでこの着呼応答信号を受け
ると、関門交換機20では、移動無線機50のIDがすでにID
識別記憶部24に記憶されているか否かを確認し、記憶さ
れていない場合には、無線基地局30−1の品質検査のデ
ータとともにID識別記憶部24に登録し(S277)、この記
憶したIDなどとともに通話チャネルを指定する信号を含
む応答確認信号を無線基地局30−1などへ送出する(S2
78)。
この応答確認信号を受けた無線基地局30−1では、移
動無線機50のIDが正しく登録されたことを確認し(C27
9)、関門交換機20から指定されたチャネルが空いてい
るか否かを確認して切替えの可否を検討し(S280、第6B
図)、その結果である切替え認否の信号を下り制御チャ
ネルで移動無線機50に送出する(S281)。
このチャネル指定信号を受信した(S282)移動無線機
50では、指定されたチャネルが空きチャネルであること
を確認した場合には(S283)、そのチャネルに切替え
て、チャネル切替完了報告を上り制御チャネルを用いて
送出する(S284)。
空きチャネルに切替えられたことを確認した(S285)
無線基地局30−1では、このチャネルに切替えて、チャ
ネル切替完了信号を関門交換機20に対して送出する(S2
86)。
関門交換機20では、チャネル切替完了信号を受ける
と、交換機11を介して電話網10への通話路を設定するた
めに、通話路制御部21を動作させてスイッチ群23のたと
えばSW1−1をオンにして、無線基地局30−1と電話網1
0とを接続する(S287)。そこで電話網10側からは交換
機11および関門交換機20を介して呼出信号が送出され
(S288、第6C図)、これを無線基地局30−1で確認する
(S289)。そこで呼出ベル信号を設定された通話チャネ
ルCH1で送出し、移動無線機50で呼出音を発生する(S29
1)。
この呼出音により移動無線機50側の送受信器が持ち上
げられる(オフ・フック)と(S292)、チャネルCH1で
オフ・フック信号が送出され、無線基地局30−1で転送
されて(S293)、関門交換機20に受信されて(S294)、
電話網10と移動無線機50との間で通話が開始される(S2
95)。
通話が終了すると、送受信機がおろされ、オン・フッ
ク信号と終話信号がチャネルCH1により無線基地局30−
1に送られ(S296)、終話を確認した無線基地局30−1
では、この信号を転送する(S297)。このオン・フック
信号および終話信号を受けた関門交換機20は、通信制御
部21を動作せしめてスイッチ群23のSW1−1をオフして
終話する(S298)。
以上の説明において、無線基地局30−1に設置された
制御用の送受信機を通話チャネル用に転用するシステム
においても、移動無線機50の構成で説明したような送受
信チャネルを時間的に反復切替える方法により、すでに
第3の移動無線機と通信中であっても、新しく着呼した
移動無線機と制御チャネルを用いて交信することが可能
である(第1−9図,参照)。
すでに説明した(2)発呼動作および(3)着呼動作
に例示したシステムでは、無線チャネルとして、制御用
の専用の無線チャネルと通話専用の無線チャネルとが明
確に分けられているものであった。しか実際のシステム
では、この区別が明確でないものもある。そのようなシ
ステムにおいては、特定の通話チャネルを以上に説明し
た制御チャネルに見立てて同等の動作を行わせることが
可能である。
(4)トラヒック閑散時におけるダイバーシティの適用
(低速移動モード時) 第8A図ないし第8D図を用いて説明する。(2)項およ
び(3)項で説明したような発着呼動作により、電話網
10内の一般の電話機と移動無線機50との間で(あるいは
システム内の2つの移動無線機間で)通信が開始された
とする。この場合、移動無線機50が通信する無線基地局
は、たとえば30−1で、関門交換機20のスイッチ群23の
スイッチSW1−1はオンであり、通話チャネルCH1,下り
周波数F1,上り周波数f1で通信中であり(S151、第8A
図)、かつシステム内の通信トラヒック状態、すくなく
とも移動無線機50の近傍におけるトラヒック状態は、ビ
ジー・アワーすなわち最繁時ではないとする(無線基地
局30の数が2またはそれ以上の場合でも同様に実施可能
である)。
すると移動無線機50では、ダイバーシティ送受信を行
う準備を開始する。そのため第1−2図に示す移動無線
機50内の制御部58は送信切替用制御器67Cおよび受信切
替用制御器65Cのそれぞれに対し、動作開始指令信号を
送る。同時に制御部58では無線送信回路66に対し、制御
信号の送出を開始する。この制御信号には、移動無線機
50のID、通信の種類(音声、データ等の種別)、現在使
用中のチャネル番号を含み、かつこれを受信した現在通
信中の無線基地局30−1に対しダイバーシティ送受信の
動作開始を要求するためのダイバーシティ送受信希望信
号を送信する(S152)。この信号は現在通話に使用中の
チャネルCH1の通話信号の帯域外を用いて制御信号とし
て無線基地局30−1により受信され転送されて(S15
3)、関門交換機20により受信される(S154)。
関門交換機20では移動無線機50のIDを調べ、多重度3
の送受信が可能であることが判明する(S155)。そこで
周辺の無線基地局30の通信トラヒック状態を調査し、無
線基地局30−2,30−3が送受信ダイバーシティに最適で
あると判断する(S156)。そこで無線基地局30−2,30−
3に通話チャネルCH1の上り周波数f1をモニタ受信する
ことを依頼する(S157、第8B図)。
この上り周波数f1のモニタ受信の依頼を受けた両無線
基地局30−2,30−3では、それぞれモニタ受信し(S15
8,S159)、上り周波数f1のモニタ結果を関門交換機20に
それぞれ報告する(S160,S161)。
モニタ結果を受信した関門交換機20では(S162,S16
3)、モニタの通信品質が良好でなければ(S164NO,S165
NO)ステップS154にもどり、移動無線機50から再度ダイ
バーシティ送受信希望信号が無線基地局30−1経由で送
られてくるのを待ち、再度モニタを依頼し、その通信品
質を調査することになる。モニタの通信品質が良好であ
ったならば(S164YES,S165YES)、無線基地局30−2に
は、無線基地局30−1が使用中の通話チャネルCH1の使
用を指示し、無線基地局30−3には通話チャネルCH2お
よびCH3の使用を指示する(S166)。この無線基地局30
−2への通話チャネルCH1の使用決定は、無線基地局30
−2の周辺で通話チャネルCH1が使用されていないこと
を確認した上でなされる。
この指示信号を受信した両無線基地局30−2および30
−3では、それぞれ通話チャネルCH1およびCH2,CH3を用
いての交信を準備する(S167,S168)。
同時に関門交換機20からは移動無線機50に対して、現
在使用中の通話チャネルCH1の他に、CH2,CH3の交信準備
指令が送信され(S169、第8C図)、無線基地局30−1が
現在使用中の通話チャネルCH1の帯域外の制御信号によ
り転送して(S170)、移動無線機50の無線受信回路68で
受信され(S171)、制御部58に伝達される。これを受信
した制御部58では、シンセサイザ55−2および56−2に
対し、チャネルCH2で通信を無線基地局30−2との間で
開始するために、局部発振周波数の発生を要求して、現
在通信中の通話チャネルCH1にCH2,CH3を加えて送受信ダ
イバーシティによる交信準備に入る(S172)。
他方、無線基地局30−2および30−3もそれぞれ通話
チャネルCH1およびCH2,CH3による交信準備を完了し、そ
の報告を関門交換機20に対して行う(S173,S174)。
無線基地局30−2および30−3から、それぞれ通話チ
ャネルCH1およびCH2,CH3による交信準備完了報告を受け
て、関門交換機20は、送受信ダイバーシティの準備を確
認し(S175,S176)、両無線基地局30−2および30−3
にそれぞれ交信開始の指令を送出する(S177)。そこで
関門交換機20では、通信制御部21に対し、スイッチ群23
を動作させ現在通信中の通話信号を、無線基地局30−2
および30−3に対しても並列送出するためにスイッチSW
1−1をオンのままSW1−2,1−3もオンにする(S17
8)。関門交換機20からの交信開始指令を受信した無線
基地局30−2および30−3は(S179,S180)、それぞれ
通話チャネルCH1およびCH2,CH3の帯域外の制御信号によ
り交信開始信号を移動無線機50に対して送出する(S18
1,S182)。
この交信開始信号を受信した移動無線機50では、無線
基地局30−2,30−3との交信開始を確認する(S183)。
かくしてスイッチSW1−1,1−2,1−3をオンにし、無
線基地局30−1,30−2,30−3と移動無線機50との間で、
通話チャネルCH1,CH1,CH2とCH3、下り周波数F1,F1,F2
とF3、上り周波数f1,f1,f2とf3でダイバーシティ送受
信状態に入る(S184)。関門交換機20では、以上の状態
をID識別記憶部24に記憶する。
以上の送受信ダイバーシティの説明では、移動無線機
50の有するダイバーシティ能力一杯のすなわち最大の多
重度を使用して送受信ダイバーシティを実施する場合を
説明したが、能力に余裕を残して、小さな多重度から、
通信トラヒックの状況をみながら順次多重度を大きくす
る方法をとってもよい。
一般的には、移動無線機50の最大多重度がnであると
すると、上記と同様な動作により移動無線機50の最寄り
にあり現在通信中でなく、かつ通信品質がシステムに要
求されている一定の基準以上を満たす無線基地局30−3,
30−4,…,30−nに対しても、関門交換機20は同様にダ
イバーシティ送受信を開始させることができる。そし
て、ダイバーシティの多重度は、交信可能な無線基地局
30の数あるいは移動無線機50内に具備されている同時送
受信可能な多重度数、すなわち第1−2図の場合はシン
セサイザ55−1〜55−nまたは56−1〜56−nのnの数
に左右される。
また以上の説明ではシステム内の通話トラヒックが混
んでいない場合を想定したが、トラヒックの状態は、関
門交換機20および各無線基地局30で測定されており、ト
ラヒックが順次輻輳してきた場合には、ダイバーシティ
の多重度に関し、順次制限が加えられ、最繁時には、多
重度1すなわちダイバーシティなしの状態にまで移行す
ることになる。ただし、通信の種類(音声、データ、フ
ァクシミリ等の別)により多重度の低減に差別を設け
て、広帯域通信ほど多重度の制限を受けにくくする等、
システム的処理が可能となり、通信の種類にかかわらず
良好な通信の確保が可能となる等の特徴を本発明は有し
ている。
(5)通話中チャネル切替およびダイバーシティ効果に
ついて(低速移動モード時) n−1個の無線基地局30と1個の移動無線機50とが、
n−1個のチャネルを用いて交信している最中に、その
内のあるチャネルにおける通信の品質が一定値以下にな
った場合には、一定の通信品質を満足する現在通信して
いない他の1つの無線基地局30との間で他の1つのチャ
ネル(新チャネル)に切替えて交信するために先立っ
て、切替受信手段と切替送信手段とを通信信号に影響を
与えない速度で切替えて、継続して送受信中のn−2個
のチャネル以外の旧チャネルと新チャネルを一時的に並
行して送受信するようにし、その間に新チャネルの品質
を調査して一定レベル以上であることを確認すると、チ
ャネル切替のための動作を終了して、新チャネルを含む
n−1個の無線チャネルによって交信するようにした。
したがってチャネル切替による通信の瞬断を生ずること
がなくなった。このほか、チャネル切替を実施しない場
合を含めて送受信ダイバーシティ効果を得ることが可能
となった。
第1−1図ないし第1−20図は、この動作の一例を説
明するためのシステム構成を示している。以下これらの
図を参照して説明する。
たとえば、第1−2図に示した移動無線機50は、シン
セサイザ55−1,55−2,…,55−(n−1)と無線受信回
路68と無線送信回路66を用いて無線基地局30−1,30−2,
…,30−(n−1)と通話チャネルCH1,CH2,…,CH(n−
1)を用いて交信中であるとする。移動無線機50は、無
線基地局30−1から遠ざかり、無線基地局30−nへ近づ
いたとする。すると移動無線機50と無線基地局30−1と
のあいだの相対距離の増大にともない、通話品質が劣化
をはじめるので、関門交換機20のS/N監視部56が検出す
る(レベルL1以下に低下したことを検出する)。なお、
レベルL1といえども回線が要求されている値を上回るよ
うに設定されている。
関門交換機20は周辺にあるすべての無線基地局30に対
し、移動無線機50の送信信号の品質を測定するように要
求する。この要求に応じ現在移動無線機50と通信を行っ
ていない各無線基地局30は、測定値を関門交換機20宛に
報告する。各無線基地局30−n等から送られてきたC/N
値等の情報を得た関門交換機20のS/N監視部22では、こ
れら複数の情報を比較したところ無線基地局30−nの測
定結果が最も値が良く、かつ品質基準のレベルL2以上、
ただしL2>L1を満足している事が確認されたとすると、
移動無線機50は、無線基地局30−nの通話ゾーン(ゾー
ンn)近傍へ接近したと判断し、チャネル切替を行うこ
とを内定する。
関門交換機20では、移動無線機50が後述する高速移動
モードである場合にそなえて、ただちに移動無線機50に
対して無線基地局30−nとの間で交信させるようなこと
はせずに、モニタ受信を指示された周辺の各無線基地局
30−nなどから、たとえば、3秒間隔とか5秒間隔に送
られてくるモニタ結果を待受け、無線基地局30−nの通
信品質の変化を監視する。この結果、通信品質の変化が
システムで定める一定の値を越えないことが判明した場
合には、無線基地局30−nに対し、移動無線機50と交信
させることを決定する。
そして、ゾーンnで空いている通話チャネルを調査し
た結果、無線基地局30−nから連絡のあった通り、チャ
ルCHnが使用可能であることを知る。そこで現在通話中
の通話チャネルCH1(あるいはCH2,…,CHn−1や制御チ
ャネルのいずれでもよいが以下の説明ではCH1とする)
を用いて、制御信号により移動無線機50に対して、通話
チャネルCHnで送受信を行う準備をするように指示す
る。
またこれと同時に無線基地局30−nに対し、チャネル
CHnで送受信を行うことを指示する。関門交換機20で
は、これらの指示を出した後、スイッチ群23のSW1−n
もオンの状態にし、無線基地局30−nは通話チャネルn
を用い音声信号の送出を開始する。この場合、当然のこ
とながら無線基地局の変調器の変調の深さおよび信号の
位相も他の無線基地局30−2,30−3,…,30−nと実質的
に同一とする。
この制御信号の伝送を実現するために、具体的には、
制御信号がアナログ信号の場合、すでに説明した第2図
(a)に示すように、通話チャネルの帯域0.3〜3.0KHz
外の低い周波数fD0(たとえば約100Hz)または高い周波
数fD1,fD2,fD3…fD8(たとえば3.8KHzから0.1KHz間隔
で4.5KHzまでの8波、ただし、n=8のとき)を用い
る。
制御すべき項目すなわち制御データが多いときには、
制御用の周波数fD0〜fD8の波数をさらに増加させてもよ
いし、副搬送波形式をとることも可能である。このと
き、たとえばfD0〜fD8のうちの1波あるいは複数の波に
周波数変調をかけたり、あるいは振幅変調をかけたりす
ることによって、より多くの制御データを伝送すること
もできる。
また、制御信号としてディジタル・データ信号を用い
た場合には、音声信号もディジタル符号化して、両者を
時分割多重化して伝送することも可能であり、これをす
でに説明した第2図(b)に示すようにする。
第3図に、第1−1図,第1−2図および第1−3図
に示した本システムのチャネル切替の前後におけるタイ
ミング・チャートを示す。
チャネル切替動作を説明している第3図において、無
線基地局30−1と移動無線機50との間で用いているチャ
ネルCH1の品質がレベルL1以下に低下したことを関門交
換機20のS/N監視部22が検出し、チャネルCHnで無線基地
局30−nからの送信電波を並行して受信可能とするため
の準備を始めるように、チャネルCH1を用いて移動無線
機50に指示する。
そこで移動無線機50の制御部58は、それまでシンセサ
イザ55−1,55−2,…,55−(n−1)を使用して、チャ
ネルCH1による無線基地局30−1の送信波,チャネルCH2
による無線基地局30−2の送信波,……,チャネルCHn
−1による無線基地局30−(n−1)の送信波を受信し
ている状態から、シンセサイザ55−nも動作せしめて、
無線基地局30−nから送信されるチャネルCHnの送信波
も受信可能とするような、周波数をシンセサイザ55−n
に発生せしめる。
かくして、無線基地局30−1から送信されているチャ
ネルCH1の品質低下により、無線基地局30−1との交信
が停止されようとしているとき、無線基地局30−nとチ
ャネルCHnによる交信が開始される。すなわち、移動無
線機50では、受信切替用制御器65Cから切替駆動入力信
号を受けている切替スイッチ64−1の反復切替を継続さ
せる。これと同時に、それまでシンセサイザ56−1,56−
2,…,56−(n−1)を動作せしめて、チャネルCH1〜CH
n−1を用いて、無線基地局30−1〜30−(n−1)に
送信していた状態から、シンセサイザ55−nも動作させ
て、無線基地局30−nに対して、チャネルCHnにより送
信することができる状態に移行させる。この送信に使用
されるシンセサイザ56−1,56−2…,56−nの出力は、
切替スイッチ64−2によって、送信切替用制御器67Cか
らの切替駆動入力信号で反復切替が行われる。
チャネルCH1とCH2,……,CHnとが並行して送受信され
るこの切替送受信期間は、チャネルCHnの確認と同チャ
ネルの品質が一定のレベルL2以上であることを関門交換
機20が確認するまで続けられ、その後はチャネルCH1を
開放し、無線基地局30−2,30−3,…,30−nと移動無線
機50との間の交信は、チャネルCH2,CH3,…,CHnのみによ
り瞬断なく継続される。
この切替送受信期間における切替スイッチ64−1,64−
2の切替周波数f1は、たとえば信号に含まれている最高
周波数の2n倍以上等に定められる。
以下、これについて詳細に説明する。
切替周波数は、下記の諸条件を考慮し、最適値が定め
られる。
1)伝送すべき信号の変調形式 2)伝送すべき信号周波数帯域 3)伝送すべき制御用周波数帯域 4)送受信部の帯域特性、とくにアンテナ入力端に設置
される高周波濾波器の帯域特性 5)切替用制御器の波形特性 6)周波数シンセサイザの応答特性 7)搬送波用周波数とシステム内の使用チャネル数 8)伝送路の電波伝搬特性 9)関門交換機20から無線基地局30−1を介して移動無
線機50までの信号の伝送路と関門交換機20から無線基地
局30−2を介して移動無線機50までの信号の伝送路の差
による伝送遅延時間差、たとえば、1)が周波数変調,
2)が音声信号の場合0.3〜3.0KHz,3)として第2図
(a)に示す帯域外による制御信号を用いる場合には、
0.3KHz以下(fD0)か3.8〜4.5KHz(fD1,fD2…fD8)と
なる。4)の特性として、通過帯域幅が16KHz(また
は、8KHz)、5)の特性として6)におけるシンセサイ
ザの応答特性が良好であり、出力波形が良好であること
に留意して選定すべきであり、用いられるシンセサイザ
は5)の切替用制御器の入力により可急的に急速な応答
特性が望まれる。
7)〜9)はシステム設計上から考慮される項目であ
るが、本発明の実施例として説明する自動車電話用シス
テムでは、7)は900MHz,600チャネルであるので使用周
波数帯域幅は15MHz(または、1200チャネル同15MHz)、
8)は多くの文献で既知であり、9)は0.03m秒程度で
ある。
以上を総合的に考慮し、たとえば自動車電話システム
では、移動無線機50の切替スイッチ64−2における切替
周波数は20×nMHz程度に選定される。
以下受信の場合を説明する。第2図(b)に示すよう
に音声信号や制御信号がディジタル化されている場合に
は、切替用周波数として、より高速の周波数を用いるの
が適当で、n×20KHz〜30KHz程度の値でよい。
また、受信ミクサ63の入力部に印加されるCH1,2,3,
…,n−1,nの各搬送波周波数が受信ミクサ63においてシ
ンセサイザ55−1,55−2,…,55−(n−1),55−nの出
力周波数と混合されると、受信ミクサ63に含まれた中間
周波増幅器の出力におけるn個の中間周波数はそれぞ
れ、受信部53で増幅されたのち受信部53に含まれた復調
回路で復調される。ここでn個の中間周波数の相互間に
周波数差が存在すると、復調出力信号に、歪雑音が発生
する場合としない場合とがある。すなわち、周波数変調
または位相変調においては、周波数差が全くない場合に
は歪雑音は発生しないが、周波数差があるとその周波数
差(ビート周波数)が音声信号あるいは制御信号の周波
数と同一成分を含む場合は歪雑音が発生し、含まない場
合には発生しない。
一方、振幅変調を用いる場合には、周波数差があって
も歪雑音は発生しない。ただし、振幅変調の場合でも中
間周波増幅器などに非直線特性があると、高調波による
非直線歪が発生するから、直線性の良好な増幅器を用い
る必要がある。
以上に説明したような移動無線機50の受信ミクサ63の
入力にCH1,CH2,…,CHn−1およびCHn用の局部発振周波
数を循環的に加え受信しても、これらn個の中間周波数
の相互間に周波数差がなく、かつ各入力波が同一電力の
場合は通信に異常なく、しかもチャネルCH1からチャネ
ルCHnへの移行が何の瞬断または雑音の混入もなく実行
可能であり、かつ受信ダイバーシティ効果が得られる。
つぎに、歪雑音発生の要因と、その除去策について説
明する。
受信ミクサ63の入力に印加される各チャネルCH1,CH2,
…,CHnの入力波の振幅I01,I02,…,I0nは、必ずしも
同一の振幅ではなく、切替スイッチ64−1における切替
の時間的占有率を等しくした場合(デューティ100/n%
の場合)には、無線基地局30−1よりも30−2の方が近
距離にあるために、通常はI02,I03,…,I0nの方がI01
よりも大である。I01,I02,…,I0nの大きさが異なっ
ていると、混変調を発生する可能性がある。それゆえ、
これら入力波の振幅を等しくするための方策として、受
信切替用制御器65Cのスイッチング信号におけるデュー
ティを変化させることも可能である。
しかしながら、実用上さらに効果的な方策は、I01,I
02,…,I0nのうち受信電力の最も大きいもの(たとえ
ばI0nとする)に対し、受信切替用制御器65Cのオンの状
態を長くし、デューティを増大させるのがよい。すなわ
ち、 I0n>>I01,I02,…,I0n-1 とする方法である。この方法により混変調を実際上無視
することが可能になるほかダイバーシティ効果も得られ
る。実際の回路で実現するには、つぎのようにすればよ
い。
すなわち、S/Nのよい受信入力の得られる無線チャネ
ルに相対的に長い時間接続するようにすれば、混変調の
除去とダイバーシティ効果は増大する。そのために受信
部の一部に切替スイッチ64−1と同期し、その時刻にお
ける信号対雑音比を検出し、これを制御部58へ伝え、こ
れにより受信切替用制御器65Cの出力の周波数を変化さ
せることにより、上記の目的を達することが可能とな
る。これは第1−2図の構成でも可能であるが、技術的
に説明を容易にするため第1−4図に示す構成で以下説
明する。
同図において第1−2図と異なる点は、無線受信回路
68とは別に、C/N測定用受信部52、受信ミクサ73、およ
び切替スイッチ64−3を設置し、切替スイッチ64−3の
制御は制御部58Bにより行わせるようにしたことであ
る。以下第1−4図の動作を説明する。
同図においてC/N測定用受信部52を動作させるため
に、前段に受信ミクサ73が設置されている。この受信ミ
クサ73へは移動無線機50Bで受信した受信信号の一部が
加えられる。受信ミクサ73への局部発振周波数として、
切替スイッチ64−3からの出力が加えられる。ただし、
この切替スイッチ64−3は、他の切替スイッチ64−1や
64−2のように高速で切替える必要はなく、たとえば10
Hz程度の低速で十分である。そして切替スイッチ64−3
がシンセサイザ55−1の出力をオンにする位置にあると
き、C/N測定用受信部52で測定したチャネルCH1のC/N値
を制御部58Bに伝達する。ついで切替スイッチ64−3が
シンセサイザ55−2の出力をオンにする位置にあるとき
チャネルCH2のC/Nを測定する。以下順にシンセサイザ55
−nの出力をオンにする位置にあるとき、チャネルCHn
のC/Nを測定し、それぞれ制御部58Bに伝達する。制御部
58Bでは、これらの値を用いて受信切替用制御器65Cおよ
び送信切替用制御器67Cの切替周波数を、たとえば、そ
れぞれC/Nに反比例した速度で動作するように制御す
る。
以上のような動作を可能とするためには、前述の各無
線基地局30からの信号の送信方法に若干の変更を必要と
するので以下これについて説明する。
各無線基地局30から移動無線機50へ送信される制御信
号には、無線基地局30のIDが含まれており、上述の切替
スイッチのデューティを変更するにはこのIDが必要であ
る。各無線基地局30から送信される制御信号をそれぞれ
とり出すためには、各制御信号に含まれる信号の周波数
をそれぞれ異ならせることであり、そこで、濾波器によ
り濾波することが可能となる。
したがって、各無線チャネルのC/Nを測定するととも
に、その信号を送出した無線基地局30のIDをつけ加えて
制御部58Bへ送ることにより、制御部58Bでは各無線チャ
ネルごと、すなわち各無線基地局30ごとに受信(あるい
は送信)するデューティ時間を、C/N値と関係づけて定
めることが可能となる。
以上の効果を第1−2図の構成で達成させるには、同
図の受信部53に各無線基地局30−1,30−2,…,30−nか
ら送信されてくる各制御信号を個々に受信するための帯
域濾波器を具備し、そのそれぞれで、信号対雑音比を測
定するなどの通信品質の監視手段を設ければよい。そし
て、この測定値を制御部58へ報告し、信号対雑音比に応
じた切替えのデューティで、切替スイッチ64−1を動作
させればよいわけである。
以上詳述したように移動無線機50の受信部53を動作さ
せることにより、送受信ダイバーシティ効果の増大をは
かることが可能となる。
さて多くの搬送波の合成による場合の混変調について
は、つぎの方法により歪雑音の除去を行うことができ
る。
すなわち、切替スイッチ64−1の切替速度(周期)を
高速にし、中間周波増幅器の帯域通過特性の外に追いや
る方法がある。しかしながら、すでに述べたように、切
替周波数は信号の最高周波数の2n倍以上に定められてい
る多くの場合には、それ以上高速にする必要はない。
つぎに受信ミクサ63に含まれた中間波増幅器の出力に
おけるn個の各中間周波数を実質的に等しくする具体策
について説明する。
これを行なうには、無線基地局30−1,30−2,…,30−
nの送信部31−1,31−2,…,31−nの搬送周波数の安定
度を決定する基準水晶発振器の周波数安定度を高めるこ
とにより達成される。たとえば、自動車電話方式の例で
は、無線基地局に設置されている基準水晶発振器の安定
度は、現在0.5〜1ppm(0.5〜1×10-6)程度であるので
搬送波の周波数変動は、1×10-6×900MHz=900Hzであ
る。これでは、丁度音声の信号帯域内に雑音が混入す
る。
しかしながら、技術の進歩により0.01ppmが可能にな
ったとすれば、1×10-8×900MHz=9Hzとなり雑音の高
調波があったとしても、その大きなエネルギーが信号帯
域内に混入する可能性は少なくなる。あるいは搬送波の
周波数が9MHzを使用している無線システムでは、1ppmの
搬送波変動では、現在の技術においても雑音の混入はな
いことになる。
つぎに、さらに受信ダイバーシティ効果の増大をはか
る方法を説明する。第1−5図は、この場合の移動無線
機50Cの構成例を示す。
第1−5図において移動無線機50Cへの入力電波(入
力信号)は、アンテナ入力部でn+1等分され、それぞ
れ無線受信回路68−1,68−2,…,68−nおよび干渉妨害
検出器62へ到来する。各無線受信回路68−1〜68−nで
は、それぞれ受信ミクサ63−1,63−2,…,63−n、受信
部53−1,53−2,…,53−nが具備されており、また受信
ミクサ53−1〜53−nにはそれぞれシンセサイザ55−1,
55−2,…,55−nからの局部発振周波数が入力される。
したがって第1−5図の構成では、受信切替スイッチ64
−1はなく常時各無線チャネルCH1,CH2,…,CHnの信号を
受信し復調することが可能である。
またこれらの受信部53−1〜53−nの出力信号は、一
部は制御部58Cへ送られるほか、通信品質監視部57−1,5
7−2,…,57−nにも送られて、各無線チャネルの通信品
質を監視し、その結果を制御部58Cに報告し、さらに受
信部53−1〜53−nの出力は、信号混合回路62に加えら
れて、通常のダイバーシティ受信機(この場合は検波後
の合成)と同様な処理が加えられ電話機部59へ送られ
る。
第1−5図の移動無線機50Cのような回路構成をとる
ことにより、大きなダイバーシティ効果を得ることが可
能となる。
なお第1−5図または第1−6図の回路構成をとる
と、前述した混変調のうち、入力電力の振幅I01,I02
…,I0nの大きさに偏差があるためと、中間周波数の相
互間に周波数差があるために発生する混変調について
は、未然に防止できる(発生原因がない)利点がある。
以上は移動無線機50が受信する場合を説明したが、移
動無線機50が送信する場合をつぎに説明する。
第1−2図において、切替スイッチ64−2で切替えら
れた無線信号は、たとえば無線チャネルCH1,CH2,…,CHn
とが順次に切替えられるが、受信側は無線基地局30−1
(CH1),30−2(CH2),…,または無線基地局30−n
(CHn)で別々に受信れ、移動無線機50側で受信する場
合のように混合される場合の混変調問題はまったく存在
しないのである。ただし側波帯として、搬送角周波数の
成分が存在するから、これらが空間に放出されて、他の
チャネルまたは、他のシステムの通信に妨害を与えない
ように送信ミクサ61の出力部に帯域濾波器を設けて濾波
する必要がある。
このためには、移動無線機50の送信する全チャネルの
周波数外に側帯波を拡散するように切替スイッチ64−2
の切替周波数を設定する必要がある。第1−1図および
第1−2図に示す自動車電話方式では、この切替周波数
を15×nMHzより大きく設定すればよい。
そしてこのような切替周波数を使用して、チャネルCH
1の上り信号は無線基地局30−1,チャネルCH2の上り信号
は同30−2,以下順にチャネルCHnの上り信号は同30−n
で受信される。これらの受信信号は、復調され関門交換
機20へ送信される。あるいは、無線基地局30−1が第1
−10図および第1−11図の構成を有する場合には、チャ
ネルCH1の上り信号は無線基地局30−1の送受信機90−
1,チャネルCH2の上り信号は同30−1の送受信機90−2,
以下順にチャネルCHiの上り信号は同30−1の送受信機9
0−iでそれぞれ受信復調された後、混合されて関門交
換機20等の必要な装置へ送信されてもよい。
以上の説明から明らかなように、本発明の多重送信方
法と装置を用いると受信側で信号のダイバーシティ効果
を得ることが可能になる。
関門交換機20では、無線基地局30−1,30−2,…,30−
nからのn個の信号のうち、音声信号については、無線
基地局30−1,30−2,…,30−nからの信号を混合する。
なお混合にあたって、無線基地局30−2,30−3,…,30−
nからの信号のほうは、30−1より伝送品質が良いか
ら、そのまま混合してもよいし、あるいはS/Nに比例し
た出力で混合してもよい。すなわち、受信バイバーシテ
ィ効果が得られたことになる。
以上の説明から明らかなように、本発明の作用は、移
動無線機50の送信周波数を無線基地局30で測定すること
により、新しい通話チャネルに切替えられた後の周波数
ずれを予測し、これに適合した周波数で、チャネル切替
後に交信する無線基地局の送信チャネルを設定し使用す
ることにより、チャネル切替にともなう通話断ないし発
生する混変調による雑音を除去した点に特徴を有する。
つぎに本発明による通話中チャネル切替で重要な役割
を果す制御信号の使用法について説明する。以下第1−
2図の移動無線機50の場合について説明する。
無線基地局30−1,30−2,…,30−nからチャネルCH1,C
H2,…,CHnを用いて移動無線機50宛に送信する場合につ
いて説明する。
前述のチャネル切替準備動作が完了すると、移動無線
機50の無線受信回路68には、無線基地局30−1,30−2,
…,30−nからのチャネルCH1,CH2,…,CHnの通話信号で
送信され、これが移動無線機50内の切替スイッチ64−1
で順次切替えられて、切替受信される。また切替スイッ
チ64−2も動作を開始するので、移動無線機50からの送
信波も切替送信を開始される。
ここで、関門交換機20から各無線基地局30−1〜30−
nを介して移動無線機50に至る各経路間の差(10km以
内)による遅延時間差は、せいぜい0.03m秒以下である
から、動作に何の支障もなく、無視することができる。
また、無線基地局30−2,30−3,…,30−(n−1)から
の下り信号には、音声信号のみであるが、無線基地局30
−1および30−nからの下り信号には、音声信号のほか
に制御信号(無線基地局30−1および30−nを識別させ
る識別信号や、切替指令信号)が第2図(a)に示した
ような帯域外信号の形で挿入されているから、位相無線
機50の無線受信回路68では、これを受信し制御部58へ転
送する。
制御部58では、この信号を識別し、関門交換機20の指
示により、当初は無線基地局30−1からのチャネル切替
指令やその後の無線機基地局30−nからのチャネルCHn
を用いる通話信号やID信号が送られ、この信号品質も良
好なことを確認するので、無線送信回路68を用いて上り
通話信号の帯域外を用い、この確認事項を無線基地局30
−n向けに通話チャネルCHnにより、無線基地局30−n
経由で関門交換機20へ報告する。
関門交換機20では、無線基地局30−nと移動無線機50
との、下りの通信が良好に動作しているとの連絡を得る
ので、通信制御部21はスイッチ群23のスイッチSW1−1,1
−2,…,1−nのうち、SW1−1のみをオフとする。一
方、移動無線機50は、無線基地局30−1に対しては、送
信の停止を、移動無線機50の、シンセサイザ55−1の動
作を停止させ、切替スイッチ64−1(第1−2図)にシ
ンセサイザ55−2,55−3,…,55−nを循環切替動作する
ようにさせる。これらの状態は、第3図に示されてい
る。
つぎに移動無線機50からチャネルCH1,CH2,…,CHnを用
いて無線基地局30−1,30−2,…,30−nに送信する場合
について説明する。
移動無線機50では、関門交換機20の指示により、受信
切替用制御器65Cおよび送信切替用制御器67Cがそれぞれ
作動し、切替スイッチ64−1および64−2はそれぞれ、
動作中のシンセサイザ55−1,55−2,…,55−nの出力お
よび56−1,56−2,…,56−nの出力を切替えて、チャネ
ルCH1,CH2,…,CHnとを順次切替送受信中である。この動
作中通話チャネルに送られる信号としては、通信信号の
外、帯域外の制御信号(第2図(a))として、移動無
線機50の使用チャネルの状態(チャネルCH1,CH2,…,CHn
からチャネルCH2,CH3,…,CHnへ移行しつつあること)、
移動無線機50の識別ID等(たとえば第2図(a)の
fD1,fD2,fD3などのトーン信号あるいはそれらの組合
わせ)が加えられている。
無線基地局30−i(i=1,2,…,n)で受信されたチャ
ネルCHiの上り信号は、無線基地局30−iの受信部53で
復調され、復調後の音声信号や帯域外信号には異常のな
いことが確認された後、関門交換機20へ転送される。関
門交換機20では、無線基地局30−1,30−2,…,30−nか
らのn個の信号のうち、音声信号については、無線基地
局30−1,30−2…,30−nからの信号を混合する。関門
交換機20では、無線基地局30−1,30−2,…,30−nから
のn個の信号のうち、無線基地局30−1,30−2…,30−
nで加えられた音声の帯域外で送られてきた識別信号な
どによって、それぞれ無線基地局30−1,30−2,…,30−
nからのチャネルCH1,CH2,…,CHnによる信号であること
を確認する。
関門交換機20では、通話中チャネル切替動作が円滑に
進んでいることを確認し、移動無線機50の制御部38に対
し無線基地局30−nを経由して、チャネルCHnにより、
無線基地局30−1とのチャネルCH1による通信を停止
し、無線基地局30−2,30−3,…,30−nとの通信に専念
するための指令信号を送出する。
この制御信号を受信した移動無線機50では、制御部58
の動作により、シンセサイザ55−1および56−1の動作
を停止させて、受信チャネル選択用の切替スイッチ64−
1の位置をシンセサイザ55−2,55−3,…,55−nを循環
切替動作するようにし、送信チャネル選択用の切替スイ
ッチ64−2には、シンセサイザ56−2,56−3,…,56−n
を循環切替動作を継続させるように指令する。
この結果、移動無線機50は、それまでのチャネルCH1
を用いた無線基地局30−1との交信を終了し、無線基地
局30−1,30−2,…,30−nと、それぞれチャネルCH2,CH
3,…,CHnを用いて交信する状態にはいる。これにてチャ
ネル切替が完了し、新無線チャネル群で交信されている
状態が実現する。以上説明した上りチャネルと下りチャ
ネルの切替動作は並行して実行されほぼ同時期に終了す
る。
以上の説明から明らかなようにチャネル切替時も無瞬
断であり、かつ雑音も実用上問題のない程度の低いレベ
ルにとどめることが可能である。
なお以上の動作中のいずれかにおいて、動作不良もし
くは、不動作が起れば、その直前の動作からやりなおす
ことになる。また動作障害が大きいときには、制御部58
に内蔵するメモリ部に記憶してある切替動作前の通話チ
ャネルにもどる動作も具備されている。
第7A図ないし第7D図には、第1−1図,第1−2図お
よび第1−3図に示したシステムの動作の流れを示すフ
ロー・チャートが示されている。
関門交換機20,無線基地局30−1,30−2,…,30−nおよ
び移動無線機50が操作を開始し、関門交換機20に含まれ
るスイッチ群23のスイッチSW1−1,1−2,…,1−(n−
1)がオンであり、無線基地局30−1,30−2,…,30−
(n−1)と移動無線機50との間の交信中である。この
交信には、関門交換機20に含まれる通信制御部21によっ
て指示されたチャネルCH1,CH2,…,CH−(n−1)の下
り周波数F1,F2,…,Fn-1と上り周波数f1,f2,…,f
n-1が使われている(S101、第7A図)。
通信中の無線機基地局30−1,30−2,…,30−(n−
1)からは、たえず移動無線機50からの受信状況報告が
出され(S102)、これを受けた関門交換機20のS/N監視
部22では、通話品質がレベルL1よりも劣化していないか
否かを監視している(S103)。通話品質がレベルL1より
も劣化していたならば(S103YES)、通信制御部21か
ら、無線機基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)等の
周辺にある無線基地局30に対して、無線基地局30−1,30
−2,…,30−(n−1)と移動無線機50との間の交信に
使用している上り周波数f1,f2,…,fn-1の信号をモニ
タ受信するように指示する(S104)。
モニタ受信の指示を受けた周辺の各無線基地局30(た
とえば30−n)では、周波数f1の信号のモニタ受信し
(S105)、その結果を関門交換機20のS/N監視部22に報
告し(S106)、各無線基地局30からのモニタ受信品質を
測定比較し、たとえば無線基地局30−nの通信品質が一
定基準のレベルL2よりも良く、かつ最良であることを検
出する(S107YES)。そこで、通信制御部21は、移動無
線機50が無線基地局30−1のカバーするゾーンから無線
基地局30−nのカバーするゾーンに移動したものと判断
し(S108、第7B図)、無線基地局30−nとの交信に切替
えるために、無線基地局30−nが使用することのできる
空きチャネルを検索し(S109)、その結果、チャネルCH
nを決定する(S110)。通信制御部21は、移動無線機50
の送信部51−2および受信部53−2に、チャネルCHnで
の交信の準備をするように指令する(S111)。
このチャネルCHnを用いるための交信準備指令は、無
線基地局30−nに送られ、チャネルCHnによる交信の準
備をする(S112)。この指令は同時に無線基地局30−1
からチャネルCH1により送出される(S113)。移動無線
機50は、このチャネルCHnによる交信準備指令を受信し
(S114)、チャネルCHnによる交信を可能とするための
準備、すなわち、制御部58からシンセサイザ55−nおよ
び56−nに対して、周波数Fnを受信し、周波数fnで送信
できるように指示し、また切替用発振器65は切替動作に
入る(S115、第7C図)。
チャネルCHnを用いて交信する準備ができると、移動
無線機50は、準備完了の報告をチャネルCHnを用いて無
線基地局30−nに対して報告する(S116)。この報告を
受けた無線基地局30−nは、ステップS112で準備したチ
ャネルCHnによる無線基地局30−n内に準備完了を確認
して報告を出す(S117)。
チャネルCHnを用いての無線基地局30−nと移動無線
機50との間の交信準備の完了を、関門交換機20が確認す
ると(S118)、スイッチ群23のスイッチSW1−1,1−2,
…,1−(n−1)はオンのままにして、スイッチSW1−
nもオンにする(S119)。
そこで関門交換機20に含まれた通信制御部21は、無線
基地局30−nに対して、移動無線機50との間でチャネル
CHnを用いて交信を開始することを指令する(S120)。
この交信開始指令を受信すると(S121)、無線基地局
30−nは交換開始指令をチャネルCHnを用いて送出する
(S122)。移動無線機50は無線基地局30−nを識別する
ための識別信号であるID信号により、チャネルCHnによ
る交信の開始を確認し(S123)、チャネルCHnを用い
て、移動無線機50のID信号を含む通信信号を送出し(S1
24)、この通信信号を受けた無線基地局30−nは、チャ
ネルCHnで交信を開始したこを報告する(S125)。
この報告を受けてチャネルCHnでの交信を開始を確認
した(S126)関門交換機20のS/N監視部22は、移動無線
機50と無線基地局30−nとの間の通信の品質レベルを測
定し、一定の品質レベルL2以上であることを検出すると
(S127YES、第7D図)無線基地局30−1と移動無線機50
との間のチャネルCH1を用いて行っていた交信の停止を
無線基地局30−1および30−nに指令する(S128)。
これによって、無線基地局30−1はチャネルCH1によ
る交信をオフにする(S129)。またチャネルCH1による
交信停止の指令を受けた無線基地局30−nは、その指令
を転送し(S130)、このチャネルCH1による交信停止指
令を移動無線機50が受信すると(S131)、シンセサイザ
55−1および56−1の動作を停止し、切替スイッチ64−
1はシンセサイザ55−1の出力端子への切替を停止し、
切替スイッチ64−2はシンセサイザ56−1の出力端子へ
の切替を停止(この動作は必らずしも必要ではないが)
して、チャネルCH2,3,…,nで動作せしめるようにして、
チャネルCH1交信停止報告をチャネルCHnを用いて送出す
る(S132)。これを受けた無線基地局30−nは、このチ
ャネルCH1交信停止報告を関門交換機20へ転送する(S13
3)。
チャネルCH1の交信停止報告を受けた関門交換機20の
通信制御部21は、スイッチ群23のスイッチSW1−2,1−3,
…,1−nはオンのままとし、スイッチSW1−1をオフに
する(S134)。
これによって、チャネル切替動作の期間を終了し、ス
イッチSW1−2,1−3,…,1−nのオン状態で、チャネルCH
2,CH3,…,CHn、下り周波数F2,F3,…,Fn上り周波数
f2,f3,…,fnを用いて、移動無線機50は無線基地局30
−2,30−3,…,30−nとの間で、一瞬の切断も、雑音の
混入もなく、かつ送受信ダイバーシティ効果を得て、高
品質な通信を継続することができる(S135)。
(6)移動無線機の移動速度の推定とトラヒック輻輳対
策上の通話チャネル割当法 移動無線機50と通信中の複数の無線基地局30が受信す
る受信電界あるいは通信品質の変化を測定し、比較する
ことにより移動無線機50の速度(進行方向および速さ)
を検出することが可能である。これらを、以下、第9図
を用いて説明する。
第9図において16個の円は、それぞれサービス・エリ
ア内の小ゾーンZ1〜Z16を示し、円の中心付近に設置さ
れた無線基地局30−1,30−2,…,30−16等から、それぞ
れ通信可能なエリアを示している。いま現在通信中の移
動無線機50がゾーンZ6内にあり、無線基地局30−2,30−
3,30−5,30−6,30−7,30−10,30−11の7局とダイバー
ジティを適用した通信を行っているとする。移動無線機
50が第9図の矢印の方向に移動しつつあるとすると、移
動無線機50からの送信信号を受信中の以上7つの無線基
地局では、それぞれ受信電界または受信品質を測定中で
あり、これらの値は移動無線機50へ集められる。移動無
線機50では、これらの測定結果を比較することにより、
自移動無線機50の移動方向および速度を次ぎの方法によ
り推定する。
まず移動方向は、観測された入力受信電界レベルが最
も急速に大きくなる方向に変化する無線基地局(第9図
では30−7)へ向っていると推定することができる。信
頼性の高い結果を得るためには、測定持続時間を適切に
選ぶことが重要である。ただしこれは移動無線機50の速
度に大きく関係する。すなわち、電波伝搬特性は時々刻
々変化するからある程度の長い時間(自動車の場合3〜
10秒)ごとに区切ってその間に測定することにより測定
値のばらつきの除去をはかることができる。第9図で、
このようにして得られた測定結果を入力電界の増加の大
きい無線基地局30から順に表わすと、たとえば、 30−7>30−11>30−3 であり、入力電界の減少の大きい無線基地局30から順に
表わすと、 30−6>30−10>30−2>36−5 となろう。
また移動速度については、電波伝搬特性から得られて
いる電波伝搬曲線と比較すると移動速度が推定可能とな
る。
つぎに移動無線機50の移動速度を推定する方法を説明
する。第14図はx,y平面上に3つの、無線基地局30−1,3
0−2および30−3の位置を示したもので、その座標を
それぞれ(a1,b1),(a2,b2)および(a3,b3)とす
る。移動無線機50は時刻、t=t1において点M1(x1
y1)を通過し、時刻t=t2において点M2(x2,y2)に達
したものとする。
関門交換機20は、無線基地局30−1,30−2および30−
3から、移動無線機50の発射する電波を測定した受信電
界の電界値やID等を得て、移動無線機50が低速移動モー
ドにあるのか高速移動モードにあるのかを判断し、第15
図に示す区分図にしたがって制御の主管を決定する。
ここで第15図には、位置登録,発着呼処理(チャネル
割当),通信品質,通信トラヒック情報,移動無線機の
移動速度,制御信号の送出タイミング,ダイバーシティ
多重度,通信中チャネル切替の実行,通信速度の最適
化,トラヒック輻輳規制,送信電力規制およびVIP(重
要人物)へのチャネル譲渡に関する制御を移動無線機50
が主管するのか、または関門交換機20が主管するのかを
低速移動モードおよび高速移動モードの場合について示
している。第15図から明らかなように低速移動モードに
おいては関門交換機20が、高速移動モードにおいては移
動無線機50が主管する。一方、第14図における送信点、
この場合は移動無線機50、から一定の送信電力で送信さ
れた電波をある距離だけ離れて受信した場合の受信電界
の大きさは、実験的に得られており、たとえば第16図に
示す通りである。この図は下記の文献から引用したもの
である。
奥村他 “陸上移動無線における伝搬特性の実験的研
究” 日本電信電話公社 電気通信研究所研究実用化報
告 Vol.16 No.9 1967 1721頁 第16図より測定した電界強度の値から送信点(この場
合は移動無線機50)までの距離が推定可能なことが示さ
れている。ここでhteは送信アンテナの高さ(実効値)
を示している。もっとも、この推定値はかなりの誤差が
あり、後述するように精度を向上する対策が必要であ
る。
システムに適用している無線周波数,通信電力,アン
テナ高やアンテナ利得等が定められると、第16図と同様
な電界強度−距離特性が各無線基地局30の通信品質監視
部37で測定されその結果から、第14図の各無線基地局30
−1,30−2,30−3において、時刻t=t1およびt2に、そ
れぞれ受信電界値E1t1、E1t2、E2t1、E2t2、E3t1、E3t2
と、移動無線機50との推定距離l1,m1,l2,m2,l3,m3
を得る。
移動無線機50の時刻t1,t2における平均速度は、次の
ごとく求められる。
まず、時刻t=t1における無線基地局30−1(座標、
a1,b1)30−2(座標、a2,b2)から移動無線機50の点
M1(x1,y1)までの距離l1,l2は上記の値を用いて、 (x1A−a12+(y1A−b12=l1 2 (1) (x1A−a22+(y1A−b22=l2 2 (2) ここで、x1A,y1Aは、移動無線機50の時刻t1における
位置(未知数)を示す。
(1),(2)式よりx1A,y1Aを求めると、 x1A=[(a1p2+b1p2+q)±{(a1p2+b1p+q)2
(p2+1)(a1 2p2+b1 2p2−l1 2p2+q2+2b1pq)}/2×
{2(p2+1)}-1 (3) y1A=[−(pq−a1p−b1)±{(pq−a1p−b12−(p2
−1)(q2+a1 2+b1 2−l1 2−2a1q)}1/2]×{2(p2
−1)}-1 (4) ここで、 p=(b2−b1)/(a2−a1) (5) q={l1 2−l2 2+(a2 2−a1 2)+(b2 2−b1 2)}×{2
(a2−a1)}1-1 (6) つぎに時刻t=t1における無線基地局30−2,30−3か
ら、移動無線機50の点M1(x1,y1)までの距離l2,l3
上記の値を用いて、 (x1B−a22+(y1B−b22=l2 2 (7) (x1B−a32+(y1A−b32=l3 2 (8) ここで、x1B,y1Bは、移動無線機50の時刻t2における
位置(未知数)を示す。
(7),(8)式より(3)、(4)式と類似の根x
1B,y1Bが得られる。これらを、 x1B=x1B(+),x1B(−) (9) y1B=y1B(+),y1B(−) (10) とおく。ここで(±),(−)は、(3)または(4)
式の平方根の前の符号を示している。
同様にして時刻t=t1における無線基地局30−3,30−
1から、移動無線機50の位置M1(x1,y1)を求めると、 (x1C−a32+(y1C−b32=l3 2 (11) (x1C−a12+(y1C−b12=l1 2 (12) が得られる。これらを、 x1C=x1C(+),x1C(−) (13) y1C=y1C(+),y1C(−) (14) とおく。
以上の計算で求められた根、x1A,x1B,x1Cとy1A,y
1B,y1Cを、それぞれ比較すれば、ほぼ等しい値のもの
と、かなり隔たった値のものがあり、このうち、ほぼ等
しい値のものを所望の根の値であるとすると、 x1A≒x1B≒x1C (15) y1A≒y1B≒y1C (16) なる解が得られる。これらの値が移動無線機50の位置の
推定値の候補であり、これらを算術平均して、 x1(t1)=(x1A+x1B+x1C)/3 (17) y1(t1)=(y1A+y1B+y1C)/3 (18) を時刻t=t1における移動無線機50の現在位置として得
る。
同様にして、時刻t=t2におけるx2,y2の値を求める
と、 x2(t2)=(x2A+x2B+x2C)/3 (19) y2(t2)=(y2A+y2B+y2C)/3 (20) を得る。したがって、移動無線機50の速度V(t1,t2)の速
さV(t1,t2)と方向θ(t1,t2)は、 V(t1,t2)={(x2−x12+(y2−y121/2×(t2−t
1-1 (21) θ(t1,t2)=tan-1{(y2−y1)/(x2−x1)} (22) であると推定される。
この例は、3つの無線基地局30−1,30−2,30−3で、
かつ時刻t1,t2において測定した場合であったが、電界
強度測定に参加する無線基地局30の数がさらに増加し、
かつ測定時刻も3つ以上となれば、移動無線機50の速度
の推定値の精度は一層向上することになる。関門交換機
20の測定値演算回路21−3は、上記の演算を行う。
また、移動無線機50の速度を示す(21)式および(2
2)式の代りに、移動無線機50の速度のうち、各無線基
地局30への成分すなわち、移動無線機50が無線基地局30
へ向っている(遠ざかる場合は負の値になる)速度(速
さ、方向))を推定することも可能である。以下、この
演算法を説明する。
無線基地局30−1の座標(a1,b1)と時刻t=t1のと
きの移動無線機50の位置M1(x1,y1)とから、線分M1,3
0−1のx軸とのなす角α1は次式で表される。
α1=tan-1{(b1−y1)/(a1−x1)} (23) また、移動無線機50の速さv(t1,t2)のベクトルM
1,30−1方向の速さv1は(21),(23)式より V1=vcos(α1−θ) (24) (23),(24)式より移動無線機50の無線基地局30−
1方向の速度V1は(23),(24)式より与えられること
になる。
同様に無線基地局30−2,30−3方向の速度V2,V3はそ
れぞれ、 V2=vcos(α2−θ) (26) α2=tan-1{(b2y1)/(a2−t1)} (27) V3=vcos(α3−θ) (28) α3=tan-1{(b3y1)/(a3−x1)} (29) を得る。
以上の演算結果を用いるならば、移動無線機50の移動
速度を制御信号の送出方法と結合させることにより、次
の(8)項で説明するごとき制御信号送出法の最適化を
はかることが可能となる。
さらに上記の移動速度の推定により、移動無線機50の
移動先を推定し、移動先の無線基地局30の通信トラヒッ
ク状況を調査し、輻輳した状態のときは、その無線基地
局30で通信中の移動無線機50の通信の種類により通信す
る無線基地局30の数を減少させることが可能になる。つ
ぎにトラヒックの輻輳状態が1つのゾーンではなく複数
のゾーンにまたがる場合には、広域にわたる輻輳対策が
必要になる。これは大都会の都心部で自動車電話システ
ム等で発生している現象であり、第9図の30−6,30−7,
および30−11がトラヒック輻輳状態にあるとする。これ
についての本発明の適用を詳細に説明する。
ゾーンZ11内には、移動無線機50aが居り、矢印の方向
に進行しているが、発呼信号を送出したとする。この発
呼信号は移動無線機50aへ集められ、割当るべき通話チ
ャネルが決定されるが、トラヒックが輻輳していない時
には、無線基地局30−6,30−7,30−10,30−11,30−12,3
0−14,30−15等で使用される通話チャネルが割当てられ
る(ダイバーシティ送受信が行われる)。ところが上記
の3ゾーンで(Z6,7,11)でトラヒックが輻輳している
場合には、30−6,30−7および30−11のチャネルは割当
てられない。この場合交信相手として、通話品質の最も
よい無線基地局30は当然30−11であるが、上記の理由の
ため割当てられない。もしダイバーシティの多重度が上
記の4重(30−10,30−12,30−14,30−15)では不足す
る場合には、移動無線機50aでは、移動無線機50aの移動
方向、移動速度を推定可能であるから、移動方向にある
無線基地局30−8や30−16で使用するチャネルを割当て
る。したがって移動無線機50aはゾーンZ11に居るにもか
かわらず、やや速い無線基地局30−8および30−16と通
信を開始することになる。
以上説明したチャネル割当てを適用することにより、
従来のシステム技術では解決されなかったトラヒック高
密度地域における輻輳対策が可能となる。
なお本項で説明した移動無線機50の移動速度の推定法
は技術的にはかなり高度なものであり、また速度値演算
回路21−3を関門交換機20に設ける等、高価になる可能
性があるため、小規模なシステムでは適用のメリットの
ない場合がある。
そのような場合に対処するために、以下に説明する簡
易な方法が考えられる。すなわち、移動無線機50または
無線基地局30、もしくは関門交換機20において、移動無
線機50の行う位置登録変更の頻度、通話中に行うチャネ
ル切替の頻度等を想定し、これが一定の値以上であれ
ば、高速移動モードと判定する方法である。これは移動
速度が大きいほど、移動無線機50の行う位置登録の変更
や通話中チャネル切替の頻度が増加することを根拠とし
ている。
上記のような方法であれば、移動無線機50,無線基地
局30または関門交換機20にカウンターを準備し、一定の
時間間隔でその回数を測定すれば、頻度が求められるか
ら、移動無線機50の低速または高速移動モードの判定は
容易かつ安価に実現可能である。ただし、測定結果であ
る回数と移動無線機50の実際の速度とは、正比例ではな
く若干の誤差をともなうが、システム上容認し得る値に
とどめることが可能であろう。
(7)高速移動中の移動無線機の位置登録方法および発
着呼等の動作 本発明に関わる移動無線機が自動車に搭載され高速で
移動している状態における位置登録や発着呼等の動作を
説明する。
本発明を適用する具体的システム例は前述したごと
く、小ゾーンあるいはマイクロセル構造を用いることを
基本としている。そして小ゾーンあるいはマイクロセル
の大きさは、自動車電話方式では半径3〜5km、携帯電
話方式では半径25〜100m程度であった。これらゾーン内
において移動無線機50が移動する場合、通信の確保に必
要な条件は送受信に必要な所要信号対雑音比の確保であ
る。
これをさらに具体的に説明すると、移動無線機50の移
動距離が、通信時間内において相対的に少なく、一方、
受信電界強度が移動無線機50の移動距離を通じて大きく
変動しない状態であれば、通信の確保上望ましい条件と
いうことになる。別の表現を用いれば、1つの無線基地
局30のサービス・エリアが、移動無線機50の通信時間に
おける移動距離に比べ相対的に大きければよいことにな
る。
ただし、移動無線機の通信時間が長かったり、あるい
は1つの無線基地局30のサービス・エリアの大きさが相
対的に小さければ、すでに説明したごとき通話中チャネ
ル切替等が必要であったが、以下に述べるような別の対
策等は必要あった。自動車電話の場合、1つの無線基地
局30のサービス・エリアの大きさと自動車の通常の時間
内の通話中の移動距離とは、通信の確保上望ましい条件
を満してはいるが、以下に説明するマイクロセルを用い
る携帯型の移動無線機50を自動車内に持込んで通信に用
いようとすると困難な問題に直面する。
すなわち下記の文献 伊藤“携帯電話の方式検討−無線回線制御とルーチン
グを中心に−”電子情報通信学会通信方式研究会CS 87
−16 1987年5月 に記載されているような携帯電話方式においては、携帯
電話機(本発明の移動無線機)は、通常、人が携帯し歩
行しながら通話に供することを目的として方式設計がな
されている。したがって1つの携帯電話親装置(本発明
の無線基地局)のサービス・エリアは半径25m程度であ
っても、人の歩行はせいぜい100m/分程度であり、1つ
の無線基地局30のサービス・エリアの大きさと移動無線
機50の通話時間内における移動距離とが調和を保ってい
るので、通信の実行に当って技術的に特に困難となるも
のはない。
ところが携帯電話機を自動車のようにマイクロセルの
大きさに比較して単位時間内の移動距離の大きい移動体
に搭載すると、移動体の移動速度が大きいために、送受
信に必要な所要信号対雑音比が得られない場合があり、
後述のような種々の問題点が発生し、すでに説明したも
のとは異なる技術的な対応が必要となる。
まず位置登録においては、前述の第4図を参考にして
説明すると、 i)移動無線機50からの移動登録信号が最寄りの無線基
地局30で受信できない。
ii)最寄りの無線基地局30の登録完了信号を移動無線機
50で受信できない。
上記のうち移動無線機50の速度の大小から判断する
と、移動無線機50の速度がもっとも大きいところでi)
の状態が発生し、次いでii)の順に発生することにな
る。それは第4図の各ステップの動作を実行し、最後の
段階で受信不能となったためである。
このような高速移動にともなう不都合な現象を生ずる
場合を速度移動モードと呼び、移動速度が障害を生じな
い場合のモードを低速移動モードと呼ぶことにする。
つぎに移動無線機50からの発呼について、前述の第5A
図および第5B図を用いて説明する。
i)移動無線機50からのオフ・フック信号を最寄りの無
線基地局30で受信できない。
ii)最寄りの無線機基地局30からの発呼応答信号を移動
無線機50で受信できない。
iii)移動無線機50からの通話チャネル指定信号を最寄
りの無線基地局30で受信できない。
iv)最寄りの無線基地局30のチャネル切替完了信号を移
動無線機50で受信できない。
v)最寄りの無線基地局30のダイヤル・トーン信号を移
動無線機50で受信できない。
vi)移動無線機50からのダイヤル信号を最寄りび無線基
地局30で受信できない。
上記のうち移動無線機50の移動速度の大小から判断す
ると、速度が最も大きなところでi)の状態が発生し、
次いでii),iii),iv),v),vi)の順で次第に小さな速
度で発生するようになる。なお、v),vi)の状態は、
通話中チャネル切替技術で救済することも可能である
が、一応ここには問題点としてあげておいた。
さらに、移動無線機50への着呼について前述の第6A図
ないし第6C図を用いて説明すると、 i)無線基地局30からの着呼信号を移動無線機50で受信
できない。
ii)移動無線機50からの通話チャネル指定信号を無線基
地局30で受信できない。
iii)無線基地局30からの指定チャネルへの切替認否信
号を移動無線機50で受信できない。
iv)移動無線機50からのチャネル切換報告と無線基地局
30で受信でない。
vi)移動無線機50のオフ・フック信号を無線基地局30で
受信できない。
上記のうち、移動無線機50の移動速度の大小から判断
すると、速度が最も大きなところでi)の状態が発生
し、次いでii),iii),iv),v),vi)の順で次第に小さ
な速度で発生するようになる。なお、v),vi)の状態
は通話中チャネル切替技術で救済することも可能である
が、一応ここには入れておいた。
また、通話中チャネル切替について、前述の第7A図な
いし第7D図を用いて説明すと、 i)無線基地局30−1からの通信品質劣化発見の報告を
移動無線機50で受信不能。
ii)i)の通信品質劣化発見の報告は受信できたが、無
線基地局30−1の周辺の無線基地局30へ周波数f1のモニ
タ受信の指示を出したにもかかわらず、モニタ結果の報
告を受信不能。
iii)ii)のモニタ結果を受信し、無線基地局30−nへ
チャネルCHnの使用を指令したにもかかわらず無線基地
局30−nより応答信号がこない。
iv)無線基地局30−1との交信オフを確認できない。
上記のうち移動無線機50の移動速度の大小から判断す
ると、速度の最も大きなところでi)の状態が発生し、
ii),iii),iv)の順で次第に小さな速度で発生するよ
うになる。ただし、上記のうちi)は、移動無線機50自
身でも通信品質監視を行っているシステムにあっては、
受信不能が生じても問題はない。したがって、以下に説
明するシステムでは、この監視を行っているものとす
る。
さて、移動無線機50が高速移動モードにある場合、通
信を確実に行うための本発明の作用を以下に説明する。
まず、高速移動モードについて、移動無線機50の移動速
度により、広域呼出モード,高速移動モード,低速移動
モードに準ずるモードの3つのモードに細分することが
できる。
まず、広域呼出モードについて説明する。携帯電話機
の移動速度が高速すぎるため、本発明の方法を適用して
も、なお十分に信頼性の高い通信を確保できない場合の
モードである。システム構成を適切にとれば後述するよ
うに、実際にはこのモードは発生しないであろう。
低速移動モードに準ずるモードは、高速移動中である
にもかかわらず、移動速度が比較的低速かあるいはシス
テム構成を高速移動に耐えるように構築してあり、通常
の移動モード(低速移動モード)と技術的にはほとんど
変らないシステム動作が行える状態の場合である。した
がってこのモードについての技術的問題は特になく、す
でに述べた本発明による実施例で示したシステム動作で
通信が可能である。
さて、システム構築を高速移動モードの移動無線機50
にも良好に通信可能なように対策を講じておくことは重
要である。以下、本システムに含まれる無線機の送信電
力等を前述の文献(伊藤“携帯電話の方式検討−無線回
線制御とルーチングを中心に−”電子情報通信学会 通信方式研究会CS 87−16 1987年5月)と同一にして、
高速モードに適するシステム構築法を説明する。
まず、移動無線機50が高速移動モードになるのは道路
上である。そして、道路上は通常電波伝搬特性が屋内に
くらべ良好である。その上、道路沿いの柱上等に設置さ
れる無線基地局30は、主として道路上の移動無線機50を
対象にすればよく、したがって、アンテナの指向特性と
しては道路に沿った細長い平面に主ビームを向ければよ
い。すなわち小ゾーンを構成するためには、通常のエリ
アである円形である必要ななく長円もしくは扇形でよ
い。すると、同一の無線基地局30の送信電力であって
も、比較的遠くまで通信可能なサービス・エリアとな
る。送信電力が10mWで円形ゾーンでの場合は、屋外で半
径200mが最大であったが、長円では長軸に沿って半径30
0〜400m位迄サービス・エリアにする事が可能となる。
これを図示すると第17図のごとくなる。第17図におい
て道路上の点Aもしくは点Bに高速移動モードの移動無
線機50があるとし、点Aもしくは点Bの移動無線機50
は、いずれも右方への高速移動中とする。また、第17図
の点P0〜P3,L1,L2,Q0〜Q2は道路に面した柱上に設置さ
れている無線基地局30の位置を示す。また破線で囲まれ
た小ゾーンは、それぞれP0,P1,P2,P3,L1,L2の位置に設
けられた無線基地局30のサービス・エリアを示す。
つぎに、第1−1図に示した関門交換機20の高速移動
モードに関する動作について説明する。すでに、この関
門交換機20の機能について説明したように、関門交換機
20のID識別記憶部24には多くの無線基地局30や移動無線
機50に関するモード別記憶機能が具備されている。
すなわち道路沿いの無線基地局30は、それ以外の所に
設置されている無線基地局30と同様に定速モード用とし
て関門交換機20のID識別記憶部24に記憶されているほ
か、高速移動モードの移動無線機50が現れた場合にそな
えて、高速移動モードの移動無線機50と通信するのに適
する無線基地局30群として道路沿いの無線基地局30(高
速移動モード用無線基地局と称する)のみを識別して記
憶する機能を有する。そして、高速移動モード用無線基
地局は、高速移動モードの移動無線機50がその近傍に出
現しない場合,あるいは通話トラヒックが閑散な場合
は、通常の無線基地局30と同一の動作を行うが、一旦高
速移動モードの移動無線機50が出現すると、関門交換機
20または、移動無線機50の指示により高速移動モードの
移動無線機50との交信のみに専念する機能を有する。
したがって、高速移動モードの移動無線機50からの位
置登録および発着呼が行われると、関門交換機20は通信
中の高速移動モード用無線基地局30はもとより、その周
辺にある高速移動モード用無線基地局に対しても、高速
移動無線機50から送信される信号をモニタ受信させ、そ
の測定結果を関門交換機20へ報告させる。関門交換機20
では、これらを比較し、高速移動モードの移動無線機50
の速度(速さ、方向)を推定し、その結果をこの移動無
線機50の進行方向にある高速移動モード用無線基地局30
へ通知する。この結果、通常の低速移動モードに比較し
て、はるかに移動無線機50が高速で移動していても、通
信を確保することが可能となる。またシステムによって
は、高速移動モードの移動無線機50か否かを、その移動
無線機50または高速移動モード用無線基地局30に判断さ
せるようにすることも可能である。
以下、高速移動モードの移動無線機50の位置登録や発
着呼動作の一例を、具体的数値を用いて説明する。
移動無線機50は自動車に搭載されているとし、自動車
の車速を時速110kmとする。この速度はかなり高速であ
り、高速道路上での速度と考えられるが、本発明による
システムでは設計に余裕をとるためにこの値を採用す
る。上記の値は秒速30mとなる。
この高速の自動車が第17図の長円形のゾーンを進行す
ると、1つのゾーンを通過するには、300m×2/30m=20
秒かかることがわかる。ただし、移動無線機50からの移
動登録や発着呼は、小ゾーンのどの位置から行われるの
か不明であるから、たとえば、第17図の点Aにおいて開
始された場合は、ただちに隣接ゾーンへ移行するため
に、点P2の高速移動モード用無線基地局30との交信はす
ぐ不能となってしまう。つぎに第17図の点Bで開始され
たとすると、点P2の無線基地局30との交信は約20秒間持
続されることになり、この場合には、システム条件によ
っては低速移動モードの動作とほぼ同一となってしまう
場合がある。実際にはこの中間と考えられ、1つの高速
移動モード用無線基地局30との交信可能時間は平均10秒
と考えてもよい。またシステムによっては第17図に示す
通り別の無線基地局30が点Q0,Q1,Q2に設置されており、
サービス・ゾーン(図示せず)がオーバラップすること
になるが、これはダイバーシティのために使用される場
合がある。上記の説明では簡単のため、このダイバーシ
ティの説明は省略した。
つぎに移動無線機50と高速移動モード用無線基地局30
との間の無線区間での交信ならびに高速移動モード用無
線基地局30と関門交換機20との有線系での交信(位置登
録や発着呼)のための信号の送受信に要する時間につい
て説明する。
まず、無線区間であるが、位置登録や発呼のように移
動無線機50が主導するときの制御信号の所要時間を検討
する。信号形態としてディジタル信号を用い、信号高速
を1200ビット/秒とする。位置登録のための移動無線機
50からの送出信号には、40ビットのIDコードのほか、制
御種別20ビット、それにプリアンブルやスタート信号、
検査信号を含んでおれり、最大200ビットと考えておけ
ばいよい。したがって信号送出に要する時間は、200/12
00=0.167秒すなわち約170msecとなる。
一方、高速移動モード用無線基地局30から移動無線機
50への制御信号も最大170msec程度である。また有線系
の信号送受信に要する時間は無線系より小であるあら、
低速移動モードにおける位置登録に要する全所要時間は
通常のシステムで2秒以内である。同様に、発呼に要す
る所要時間も2秒以内である。着呼についても通常2秒
以内であるが、移動無線機50が省電力化のために間欠受
信をしていると、所要時間が長くなり5秒位要する場合
がある。
以上の例では、信号速度を1200ビット/秒とした場合
であり、これを2400ビット/秒もしくは4800ビット/秒
程度に高速化すれば、位置登録や発着呼に要する所用時
間は大きく短縮することが可能である。
以上いずれの場合も所要間のみから考えた場合、通常
のモード、すなわち低速移動モードの制御信号送受信を
用いても、他に劣化要因がなければ高速移動モードにお
いて十分実行可能でることが明らかとなった。
しかしながら、後述するように高速移動モードでディ
ジタル制御信号を伝送すると、フェージング作用の影響
等のために、伝送特性が劣化する。これを改善するため
に、つぎの方法が採用される。
i)同一信号を反復くり返し送出する(再送)。
ii)信号速度を高速移動モードに適する値に変更する。
iii)信号形式を高速移動モードに適するものに変更す
る。
iv)誤り訂正機能に強化する。
v)スペース・ダイバーシティ、周波数ダイバーシティ
等、各種のダイバーシティ技術を導入する。
以上の各技術をまとめて、高速移動モード用制御信号
送出方法と呼ぶことにする。上記のモードで送信部より
信号を送出するのに対し、対向する無線機の受信部では
これに見合った受信方法を適用することは当然である。
その方法として、 i)高速,定速モードを問わず受信可能。
ii)モード変換の直前に制御信号により相手方にモード
変換のある事を知らせる。
iii)一定の時間タイミングは、たとえば低速モードで
受信してみて、信号が満足に受信できなければ他のモー
ドに変更して受信する。
iv)受信部として高速用,低速用と2種類を準備する。
など種々の方法がある。
以上の諸技術は本発明を適用する各種システムに採用
される技術について述べたものであり、必ずしも上記す
べての技術を採用するとは限らない。
たとえば、これらのうち最も簡単なものは同一信号の
再送回数の増加であり、これだけでもかなりの効果を期
待できる。
以下、上記の対策のうち送受信ダイバーシティを適用
(ただし、通話中チャネル切替については同一信号の再
送回数の増加法を適用)する方法について具体的に説明
する。
この場合、小ゾーンシステムに採用されている制御信
号送受信方法すなわち、無線基地局30と移動無線機50と
の間で制御チャネルとして使用されているチャネルの隣
接するゾーンで使用されている他の制御チャネルとの間
には、以下のごとき種類がある。
a)隣接するゾーンと同一の制御チャネルを使用するシ
ステム この場合、低速移動モードでは、無線基地局30から送
信する下り制御信号は通話路制御部21からの信号により
近傍にある他の無線基地局30と時間的に同期して送受す
るか、あるいは時間差を設けて順次送信される(送信機
はそれぞれ1台が動作)、一方、移動無線機50が送信す
る上り制御信号は、下り制御信号に対応した制御チャネ
ルを使用する(送信機から1つの制御チャネルを用いた
制御信号が送出される)。
ところが高速移動モードになると、1つの無線基地局
30に具備されている複数の送受信機(あるいは複数の送
受信と同一の機能を時分割で送受する1個の送受信機)
から同一のチャネルで同一信号が同時または、順次に送
出される。移動無線機50でこれを受信すると、複数の送
受信機によるならば一種のスペース・ダイバーシティ効
果が、また時分割による1個の送受信機によるならばタ
イム・ダイバーシティ効果が得られることになる。加え
て、周辺にある無線基地局30からも、通話路制御部21か
らの指示に従う方法で、同一信号が同一時刻または順次
送出されるから、上記の送信ダイバーシティ効果は相乗
される。一方、移動無線機50からの上り制御信号は、移
動無線機50に具備されている全送信機を用いて、同一信
号を同一の制御チャネルを用いて、同一信号を同一の制
御チャネルを用い、同時または時間差を設けて送信する
から、この場合も送信ダイバーシティ効果が得られるこ
とになる。
b)隣接するゾーンとは別の制御チャネルを使用するシ
ステム この場合、低速移動モードでは、無線基地局30からの
下り制御信号は周辺の無線基地局30からの制御信号の送
信を全く考慮に入れずに行うことが可能となり、とくに
関門交換機20からの指示も必要なく、移動無線機50に対
して複数の無線基地局30から同時またはランダムに制御
信号の送信をすることができる。この場合に、各無線基
地局30の使用する送信機は各1個である。一方、移動無
線機50からの上り制御信号は、現在受信している下り制
御チャネルに対応した上り制御チャネルを使用する(送
信機から1つの制御チャネルを用いた制御信号が送出さ
れる)。
ところが高速移動モードになると、1つの無線基地局
30に具備されている複数の送受信機(あるいは複数の送
受信機と同一の機能を有する1個の送受信機)から複数
の制御チャネルで同一の信号が同時または順次に送出さ
れる。周辺にある無線基地局30においても同様の動作が
実行される。ただし電波干渉を避けるため関門交換機20
より送信タイミング情報が各無線基地局30へ送られてい
る。一方、移動無線機50では、移動無線機50の有する全
受信機が複数の制御チャネルのそれぞれを受信するよう
に待機状態になっており、送受信ダイバーシティ効果が
得られることとなる。移動無線機50からの上り制御信号
は移動無線機50に具備それている全送信機を用いて、同
一の信号を複数の制御チャネルによって同時または時間
差を設けて送信するから、移動無線機50の近傍にある複
数の無線基地局30で受信可能となり、これまた送受信ダ
イバーシティ効果が得られることになる。
以上説明したように高速移動モードでは、制御信号送
受信に対してダイバーシティ効果が得られることが明ら
かになったが、これを通常の移動無線機50の状態である
低速移動モードで使用しないのはつぎの理由による。
i)周波数の有効利用 高速移動モードでは、無線基地局30,移動無線機50と
も多くの無線チャネルを使用することになり、他の移動
無線機50の発着呼に電波妨害を与えたり、あるいは電波
妨害を避けるために発着呼信号送出の時間的な遅れが発
生したりするからである。
ii)低消費電力化 とくに形態電話機のような小型の移動無線機50につて
いは、電池の負担を可能なかぎり軽減するために、送信
電力を時間的、ないしは量的に少なくすることが望まし
い。
したがってシステムとしては低速移動モードが望まし
く、この状態に全移動無線機50があるものとして、周波
数の有効利用,加入者収容力の増大、他の通信へ及ぼす
影響を最小にする等を目標に最適の制御方法を定めてい
たが、高速移動モードでは、これらの最適条件から若干
離れて、高速移動モードで交信中の移動無線機50に対す
る信号伝送の高信頼化をはかる方向に設計思想を変えた
点である。ただし、システム全体から考えた場合、高速
移動モードの移動無線機50の数は、通常のモードである
低速移動モードの移動無線機50の数に比べて、きわめて
少ない点である。
一例をあげれば、東京23区内において前述の文献(伊
藤“携帯電話の方式検討−無線回線制御とルーチングを
中心に−”電子情報通信学会通話方式研究会CS 87−16
1987年5月)では、700万台の携帯電話機があるシステ
ムで、車内に搭載されている携帯電話機数は全体の10%
以内、実際には5%位と推定される。したがって、たと
え高速移動モードの移動無線機50に対して信号伝送の信
頼度向上のため、再送等の技術を用いたとしても、全体
として周波数の有効利用をそこなうことは僅かであり、
とくに問題とはなり得ないと考えられる。
つぎに高速移動モードにおける移動無線機50と高速移
動モード用無線基地局30との間の信号の送受信方法につ
いて説明する。後述するように低速移動モードにおける
信号送受信方法を用いたのでは、信号の授受が良好に行
えないことを認識した高速移動モードの移動無線機50ま
たは高速移動モード用無線基地局30において、この移動
無線機50が高速移動モードであると判断し、制御の主導
権を低速モードで行使してきた関門交換機20から移動無
線機50へ変更する措置をとる。その結果、移動無線機50
は低速モードの場合のように、たとえば発着呼における
通話チャネルの指定、通話中チャネル実行時における新
チャネルの指定等の指示を、いちいち関門交換機20に仰
ぐ必要がなくなり、移動無線機50自身で判断し決定する
ことが可能である。第15図には低速、高速の各移動モー
ドにおけるシステムの各制御項目の主導権の所在が示さ
れており、そのうち、高速移動モードにおける通信トラ
ヒック情報,移動無線機の移動速度およびトラヒック輻
輳規制に関する情報については、移動無線機50が独自に
それらの情報を収集する場合と、関門交換機20から入手
する場合とがある。
以下、上記のごとく高速移動モードにおける移動無線
機50への制御の主導権の変更理由について説明する。
i)制御信号により動作する主体(たとえば移動無線機
50)と、その制御信号により動作の指令を出すもの(制
御の主導権のある機器)との間が物理的に離れている場
合、制御信号の伝送時間の存在が制御の実行に制約とな
る可能性がある点である。たとえば従来のシステム例と
してとりあげた自動車電話方式の場合、移動無線機50か
ら無線基地局30を経て関門交換機20に至る距離は20km位
になることがあり、この場合の信号の伝送時間は光速を
3×105km/秒として、 2×20km/3×105km=0.12m秒となり無視できない値とな
る。
ii)集中制御の場合、多数の移動無線機50、無線基地局
30と関門交換機20は制御信号の授受を行わねばならいか
ら、信号の輻輳が発生しやすい。その点、制御の主導権
を各移動無線機50に与える分散制御法を採用すれば、上
記の欠点をとり除くことができる。ただし、各移動無線
機50には高機能化された制御部58を採用する必要があ
る。
iii)トラヒック変動や無線干渉の情報をもとに、移動
無線機50の使用すべき無線チャネルの指定を関門交換機
20で実行することは、低速移動モードでは可能である
が、高速移動モードでは情報の変更がはげしく、上記
i),ii)の理由から得策ではない。
以上の理由から、前述したような主導権の変更を行う
わけである。
以下、高速移動モードのおける制御信号送出法に関し
位置登録,発着呼,通話中チャネル切替の順で説明す
る。
(A)位置登録 低速移動モードにおける移動無線機50からの位置登録
信号送出許可信号は通常1回または複数回反復送信され
るが、これはシステム設計条件で定められる。移動無線
機50からの位置登録は、自身が高速移動モードか否か認
識している場合と認識していない場合とがあるが、以下
認識していないと仮定して、第10A図ないし第10E図のフ
ローチャートを用いて説明する。
移動無線機50の常置場所であるホーム・エリア、ある
いはホーム・エリア以外のサービス内のエリアであるロ
ーム・エリアにおいて、すでに関門交換機20および周辺
の無線基地局30−1,30−2,30−3が動作しているとき
に、移動無線機50の電源スイッチがオンされて、動作を
開始すると、最初に行われるのが位置登録動作である。
移動無線機50は高速移動中であるか否か、わからない
から、まず最初は低速移動モードとして、関門交換機20
主導型の位置登録が開始される。したがって、この方法
はすべてに第4図のステップS201ないしS211で説明した
ように、ステップS401ないしS409(10A図)およびステ
ップS410,S411(第10部図)の動作が進行、関門交換機2
0からの登録完了信号を受信した無線基地局30が、これ
を移動無線機50へ転送し受信したところである。(S41
1)。
最寄りの無線基地局30−1からの登録完了信号を良好
に受信できた場合は(S412,YES、移動無線機50では無線
基地局30−1のIDを記憶し、登録動作を完了する(S41
3)。
ところが、移動無線機50が高速移動中であるので電波
伝搬特性が悪く、通常は、最寄りの無線基地局30−1か
らこの登録完了信号を受信するが、良好に受信すること
ができない(S412NO)。したがって一定の時間タイミン
グの後、移動無線機50では同一の位置登録信号の送出を
再度実行する(S414)。無線基地局30−1では、再送さ
れた位置登録信号を受信し(S415)、受信内容を確認す
ると、受信品質を検査し、ID識別記憶部34にIDを記憶す
る(S416)。受信品質を検査した結果一定値以上である
場合には(S417YES)、位置登録要求信号を関門交換機2
0に対して送出する(S418,第10C図)。この登録要求信
号を受信した(S419)関門交換機20では、無線基地局30
−1に受信品質および位置が記憶されていることを登録
する(S420)。この登録作業が完了すると、登録完了信
号が送出される(S421)。この登録完了信号を受信した
無線基地局30−1では、下り制御チャネルを用いて移動
無線機50に転送する(S422)。
移動無線機50では、位置登録完了信号を受信すると
(S423)、それが良好に受信されたものであるか否かを
検査し(S424)、良好に受信された場合には(S424YE
S)、ステップS413(第10B図)にもどり、無線基地局30
−1のIDを記憶し、登録動作を終了する。良好に受信で
きない場合、あるいは受信不能の場合には(S424NO)、
この不良受信の回数が規定の数n(たとえばn=3)に
達していない場合には(S419NO)、ステップS414からS4
24の動作をくり返し、非常に小さな確率ではあるが規定
の回数nに達した場合には(S425YES)、移動無線機50
自身は高速で移動中であると判断し、高速移動モード用
制御信号送出方法に従って、制御信号のダイバーシティ
送受信することを決定し(S426)、複数または1つの制
御チャネル(CH)を用いて、同一内容の位置登録信号と
移動速度の測定依頼を送出する(S427,第10D図)。
一方、関門交換機20においても、移動無線機50の一連
の動作を注意深く見守っており、位置登録を受付けた同
一の移動無線機50から再度位置登録を行ってきたことに
より、移動無線機50は高速移動モードの可能性ありと判
断し、移動無線機50より移動速度の測定依頼があるか否
か待受ける。
この速度の測定依頼信号は一定間隔のタイミングで送
出され、高速移動モードである旨の情報が含まれてい
る。この測定依頼と位置登録許可信号を受信した最寄り
の無線基地局30−1および30−2,30−3では(S429,S43
0)、その受信状態が良好であったならば(S431YES,S43
2YES)、移動無線機50は高速移動モードであることを認
識する(S433,S434)。
無線基地局30−1,30−2,30−3では速度測定依頼をす
でに受けており、移動無線機50から一定間隔のタイミン
グで送られてくる信号の電界値を測定して、その測定結
果を位置登録要求信号とともに関門交換機20へ送信する
(S435,S436)。
受信電界値および位置登録要求信号を受領した関門交
換機20は、この受信電界の変化から、第14図を用いて説
明した方法により各無線基地局30−1,30−2,30−3に対
する移動無線機50の速度を求め、これらを比較処理し
て、移動無線機50が無線基地局30−1,30−2,30−3の方
向へ速度V1,V2,V3で移動中であることを算出する(S4
37)。この速度情報の報告は、位置登録完了信号と制御
の主導権を移動無線機50に譲渡する旨の信号とともに、
ただちに無線基地局30−1,30−2,30−3に送出され(S4
38、第10E図)、無線基地局30−1,30−2,30−3ではこ
れを受信し、記憶し(S439,440)、移動無線機50宛に複
数の制御チャネルを用いるか、あるいは1つの制御チャ
ネルを用いて、各無線基地局30−1,30−2,30−3からそ
れぞれ異なるタイミングで転送される(S441,S442)。
無線基地局30−1,30−2,30−3からの速度情報および位
置登録完了信号を受信した移動無線機50は(S443)、そ
の受信が良好であるか否かを判断し(S444)、良好であ
ったときは(S444YES)、無線基地局30−1,30−2,30−
3の各IDを記憶して位置登録動作を終了する。良好に受
信できなかったときには(S444NO)、その不良受信回数
が所定のn回(たとえばn=3)に達していない場合に
は(S445NO)、位置登録完了信号等を良好に受信できる
のを待ち(S444)、極めて少ない確率ではあるが不良受
信回数が所定のn回に達してしまった場合には(S445YE
S)、位置登録を断念するか、または広域呼出モードに
移行し、着呼のみ可能な広域呼出用制御信号の受信に専
念する(S446)。この広域呼出モードにおける着呼につ
いては、本出願人による特願昭62−329022号に開示され
ている。
ここにおける位置登録は、移動速度が大であるため
に、場所の登録は効果的ではない。そのために、移動方
向および速さの測定が行われて速度情報を用いるように
している。
この高速移動モードにおける本発明の動作において
は、無線基地局30−1,30−2,30−3からの信号の受信
は、低速移動モードの場合に比べて、はるかに受信しや
すいようになっている。それは高速移動モードの移動無
線機50からの位置登録動作開始信号を受信した最寄りの
無線基地局30−1,30−2,30−3では、その信号の中に含
まれている移動無線機50の速度情報から、移動無線機50
が高速移動モードであることを認識し、無線基地局30−
1から移動無線機50へ送信する位置登録信号送出方法に
従った送信方法を実行する。そしてこの信号の中に無線
基地局30−1,30−2,30−3は高速移動モードの移動無線
機50への応答信号である旨の情報を含めておく。このよ
うな方策により移動無線機50は無線基地局30−1,30−2,
30−3からの位置登録信号送出許可の信号を通常よりは
るかに受信しやすくなる。
また、高速移動モードにおける送受信ダイバーシティ
においては、関門交換機20に対して、移動無線機50が高
速移動中であることを知らせることができるから後述の
発着呼や通話中チャネル切替動作に有効となる。また、
たとえば位置登録が完了したとしても移動無線機50から
は、30秒毎とか1分毎とか一定の法則に従う時間間隔で
位置登録をくり返すので、着呼が確実に実行される。
なお高速移動モードの移動無線機50が急に低速移動モ
ードに変化する場合がある。自動車から下車した人が移
動無線機50を携帯する場合などがこれに該当する。この
場合には、高速移動モードから低速移動モードに移行し
たにもかかわらず、位置登録のための上記の信号送出は
継続されることになる。この場合にそなえるため、移動
無線機50からの位置登録信号を受信した無線基地局30−
1では、これを関門交換機20へ転送し、これを受けた関
門交換機20では、前回記憶した位置登録と同一場所ある
いは大きな移動が認められないと判断した時は、無線基
地局30−1経由で移動無線機50へ、低速移動モードに移
行したことを知らせ、位置登録の反復実施を停止させ
る。あるいはシステムによっては、無線基地局30−1か
ら常時または間欠的に下り制御信号が送出されている場
合は、移動無線機50では、これを受信することにより、
自身のID・ロームエリア情報位置登録をくり返すので、
着呼が確実に実行される。
なお高速移動モードの移動無線機50が急に低速移動モ
ードに変化する場合がある。自動車から下車した人が移
動無線機50を携帯する場合などがこれに該当する。この
場合には、高速移動モードから低速移動モードに移行し
たにもかかわらず、位置登録のための上記の信号送出は
継続されることになる。この場合にそなえるため、移動
無線機50からの位置登録信号を受信した無線基地局30−
1では、これを関門交換機20へ転送し、これを受けた関
門交換機20では、前回記憶した位置登録と同一場所ある
いは大きな移動が認められないと判断した時は、無線基
地局30−1経由で移動無線機50へ、低速移動モードに移
行したことを知らせ、位置登録の反復実施を停止させ
る。あるいはシステムによっては、無線基地局30−1か
ら常時または間欠的に下り制御信号が送出されている場
合は、移動無線機50では、これを受信することにより、
自身のID・ロームエリア情報照合記憶部54を検索し、こ
の結果を関門交換機20へ通知することにより、同一の目
的を達することも可能である。
以上の動作により位置の登録動作は終了し、着呼に対
して待機状態に入る。
(B)発呼動作 移動無線機50からの高速移動モードにおける発呼動作
について説明する。
すでに位置登録動作において、移動無線機50自身が高
速移動モードであることを認識している場合と、そうで
ない場合とがある。後者はたとえば位置登録を行った
後、自動車に乗り込み発呼する場合であろう。以下、後
者の場合を第11A図ないし第11F図に示すフローチャート
を用いて説明するが、前者もこの中に含めることが可能
である。
移動無線機50は動作を開始し、これと通信する無線基
地局30−1,30−2,30−3や関門交換機20もすでに動作を
開始し、第10A図ないし第10E図で説明し位置登録は終了
している。
移動無線機50の送受話器が上げられて(オフ・フッ
ク)、上り制御チャネル(CH)を用いてこのオフ・フッ
ク信号と移動無線機50のID(識別番号)が送出される
(S501、第11A図)。この移動無線機50自身は高速で移
動中であることを知らないから、通常の低速移動モード
でオフ・フック信号の送出を行う。
オフ・フック信号を受けた無線基地局30−1では、移
動無線機50のIDを検出しID識別記憶部34にすでに登録さ
れているものであることを認識する(S502)。
そこで無線基地局30−1は、移動無線機50から受信品
質の値および現在の空チャネル番号を加えて、発呼応答
信号として下り制御チャネルを用いて送出する(S50
3)。これと同時に無線基地局30−1では、移動無線機
からのID信号の検出が良好に検出できたか否かをチェッ
クし(S504)、良好に検出できなかった場合には(S504
NO)、オフ・フック信号が再び送られてくるのを待つこ
とになる。無線基地局30−1からの発呼応答信号は、移
動無線機50において受信され(S505)、この受信品質が
良好でない場合、あるいは全く受信できない場合には
(S506NO)、所定の間隔で発呼信号を規定の回数まで送
出することをくり返す(S507NO、S501〜S506)。規定回
数に達すると(S507YES)、移動無線機50は高速移動モ
ードを認識し、制御の主導権をとることとし、高速移動
モードにおける発呼信号送出を制御チャネルを用いてダ
イバーシティ送受信することを決定する(S508、第11B
図)。そこで移動無線機50は複数のまたは1つの制御チ
ャネルで同一内容のオフ・フック信号(発呼信号)と速
度測定依頼を同時に送信し、制御チャネルでの受信を待
機する(S509)。
関門交換機20では、無線基地局30からの発呼信号の連
絡はあったものの、一定のタイミングを経過しても、チ
ャネル指定要求信号が送られてこないので、移動無線機
50は高速移動モードである可能性ありと判断し、制御の
主導権を移動無線機50へ譲渡することにして、速度測定
依頼信号の受信につとめる。そこで、移動無線機50から
のオフ・フック信号と高速測定依頼の信号とを受けた無
線基地局30−1およびその周辺の無線基地局30−2,30−
3は(S510,S511)、この両信号を良好に受信すること
ができた場合には(S512YES,S513YES)、無線基地局30
−1,30−2,30−3は、移動無線機50が高速移動中である
ことを認識するので、高速移動モード用として空いてい
る通話チャネルの番号の通知と、そのチャネルを用いて
の通話の準備をすることを指示する空チャネル情報を移
動無線機50に複数の制御チャネルを用いて、または1つ
の制御チャネルで通話路制御部21の制御でタイミングを
ずらして送出し(S514,S515,第11C図)、移動無線機50
ではこの高速移動モード用空チャネル情報をダイバーシ
ティ受信する(S516)。この空チャネル情報には、高速
移動モード用の通話チャネルCH100およびCH101,CH102が
空いていることが含まれている。
速度測定依頼を良好に受けた無線基地局30−1および
30−2,30−3では(S512YES,S513YES、第11B図)、それ
ぞれ空チャネルとしてCH100(無線基地局30−1用),CH
101(無線基地局30−2用),CH102(無線基地局30−3
用)が適することと、電界強度測定の結果と、オフ・フ
ック信号とを関門交換機20に送信する(S517,S518、第1
1C図)。
この電界強度測定結果と移動無線機50からのオフ・フ
ック信号を無線基地局30−1,30−2,30−3から受けた関
門交換機20は、各無線基地局30−1,30−2,30−3の電界
値を比較処理して、移動無線機50が無線基地局30−1,30
−2,30−3の方向へ、それぞれ速度V1,V2,V3で移動中
であることを算出する(S519)。この情報は、移動無線
機50に対し、制御の主導権を譲渡する旨の信号を加え
て、ただちに無線基地局30−1,30−2,30−3に送信され
る(S520)。
無線基地局30−1,30−2,30−3では、関門交換機20か
らの速度情報等を受信し、記憶する(S521,S522)。
空チャネル情報を含む発呼応答信号を受信した移動無
線機50では(S516、第11C図)、良好に受信できた否か
を調べ(S523、第11D図)、良好に受信できなかった
り、あるいは、所定の時間経過後も全く受信できない状
態のときには(S523NO)、再度ステップS501(第11A
図)にもどり、オフ・フック信号の送出をくり返す。そ
れにもかかわらず発呼応答信号を受けることができない
場合は発呼を断念することになろう。しかしながら、こ
のような事態の起こる可能性は極めて稀であり、通常
は、このオフ・フック信号の送出をくり返すうちに、発
呼応答信号を良好に受信することができるであろう(S5
23YES、第11D図)。
移動無線機50は発呼応答信号を良好に受信すると、高
速移動モードに割当てられた指示された通話チャネルで
ある空チャネルCH100(無線基地局30−1用),CH101
(無線基地局30−2用),CH102(無線基地局30−3用)
を確認し(S524)、この指示されたチャネルを希望する
場合は(必ずしも高速移動モードを使用する必要はな
い)、高速移動モード用のチャネルCH100等を指定する
信号を送出し(S525)、これを受けた無線基地局30−1,
30−2,30−3では、指定チャネル(CH100〜102)が空い
ていることを確認して指定チャネルに切替える(S526,S
527)と同時に下り制御チャネルでチャネル切替完了報
告を移動無線機50に送出し(S528,S529)、これを移動
無線機50が確認すると、無線基地局30−1,30−2、30−
3を介して関門交換機20からダイヤル・トーンとして送
られてくるのを待つ(S531、第11E図)。
無線基地局30−1,30−2,30−3では、移動無線機50に
チャネルの切替完了報告を送出すると、関門交換機20に
対して発呼信号を送出を依頼し(S532,S533)、この依
頼を受けた関門交換機20は移動無線機50のIDを検出し、
通信品質をID識別記憶部24に記憶し、通話路制御部21の
制御によりスイッチ群23の、たとえばSW1−1,SW1−2,SW
1−3をオンして無線基地局30−1,30−2,30−3を電話
網10の交換機11に接続する(S534)。
そこで交換機11側からは、関門交換機20のスイッチ群
23を介してダイヤル・トーンが送出される(S535)。
このダイヤル・トーンは無線基地局30−1,30−2,30−
3からチャネルCH100,CH101,CH102(下り)により転送
されて(S536,S537)、移動無線機50で受信され、通話
(信)路が設定されたことを確認する(S538)。移動無
線機50は、宛先のダイヤル信号をチャネルCH100,CH101,
CH102(上り)を用いて送出し(S539、第11F図)、無線
基地局30−1,30−2,30−3により転送されて(S540,S54
1)、交換機11が動作して電話網10の宛先までの通話
(信)路が設定される(S542)。その後通話がなされる
(S543)。
通話が完了すると、送受話器がオン・フックされて
(S544)、オン・フック信号と終話信号が移動無線機50
からチャネルCH100,CH101,CH102(上り)を用いて送出
される(S545)。これにより無線基地局30−1,30−2,30
−3は終話を確認し(S546,S547)、終話を関門交換機2
0に伝える。そこで関門交換機20ではスイッチ群23のス
イッチSW1−1,SW1−2,SW−3をオフにし、高速移動モー
ドにおけるダイバーシティ送受信による通話が終了する
(S548)。
無線基地局30−1が低速移動モードにおけるオフ・フ
ック信号を受けて、移動無線機50のIDを良好に検出し
(S504YES、第11A図)、移動無線機50も発呼応答信号を
良好に受信した場合には(S506YES)、第5A図のステッ
プS233およびS234に移行する。
以上の説明では、移動無線機50と交信する無線基地局
は30−1,30−2,30−3と仮定したが、実際にはさらに多
くの無線基地局30と同時に交信する。すなわち低速移動
モードの発呼動作で説明した通り、ダイバーシティ送受
信を行うためである。したがって高速移動モード用通話
チャネルの指定は、ある無線基地局30−1には、たとえ
ばチャネルCH100、無線基地局30−2にはたとえばチャ
ネルCH101,…,…という具合に各無線基地局30に対応し
て1個づつ指定される。その結果、それ以後は、ダイバ
ーシティ効果のために無線基地局30および移動無線機50
の受信品質は向上するので、通常は高速移動モードの制
御信号送出方法を適用する必要はなく、低速移動モード
とほぼ同一の送信方法(ただし、移動無線機50から送出
する制御信号には、高速移動モードであることを示す情
報は含めておく)で十分となる。
(C)着呼動作 移動無線機50への着呼の動作の流れを第12A図ないし
第12G図を用いて説明する。無線基地局30−1などの近
傍に存在する移動無線機50等はすべての無線基地局30で
共通して使用する制御チャネルで待受けている。
ここで移動無線機50は高速移動モードの状態にあるか
否か認識している場合もあるが、その認識がないものと
して説明する。
第1−1図において電話網10から関門交換機20に移動
無線機50宛の着呼信号が入来したとする。関門交換機20
内のID識別記憶部24では、入来した着呼信号を検査し、
被呼者のIDを調べたところ現在位置登録されている無線
基地局30(複数)が検索されたとする。この場合、移動
無線機50は低速モードで位置登録がなされているはずで
ある。すると、通話路制御部21を経由して移動無線機50
が位置登録されているすべての無線基地局たとえば30−
1,30−2,30−3宛に着呼信号を同時に送出する(S601、
第12A図)。
この信号を受信した各無線基地局30−1,30−2,30−3
では、自局内のID識別記憶部34(C)を検索し移動無線
機50のIDがそこに記憶されていることを確認すると、下
り制御チャネルを用いて、移動無線機50宛に着呼信号を
無線基地局30−1,30−2,30−3のIDを加えて送出する
(S602,603,604)。
この無線基地局30−1,30−2,30−3からの着呼信号の
送出に対して、移動無線機50が良好に受信することがで
きず、(S607NO)、また無線基地局30−1,30−2,30−3
が、移動無線機50からの着呼応答を所定の時間経っても
無線基地局30−1,30−2,30−3が受けない場合には(S6
05,S606)、着呼信号の送出を規定の回数に達するまで
くり返す(S608,S609、第12B図)。
着呼信号の送出が規定の回数に達すると(S608YES,S6
09YES)、無線基地局30−1,30−2,30−3では、移動無
線機50は、無線基地局30−1,30−2,30−3のサービス・
ゾーン外に居るか、もしくは高速移動中であると判断
し、高速移動モード用の着呼方法をとるべきことを関門
交換機20へ連絡する(S610,S611)。
各無線基地局30−1,30−2,30−3から、移動無線機50
が高速移動中であると推定される情報を受信して分析し
た結果(S612)、関門交換機20は、移動無線機50は高速
移動中であると判断し(S613)、ID識別記憶部24を検索
して、移動無線機50は高速移動モードで位置登録済か否
かを確認し(S614、第12C図)、依然として、高速移動
モードで位置登録がなされていないならば(S614NO)、
広域呼出モードに移行し(S615)、着呼のみ可能な広域
呼出用制御信号の受信に専念する(S615)。
一方、移動無線機50においては、位置登録動作を一定
の法則に従う間隔で実施中であり、高速移動モードによ
る位置登録を完了しているはずである。この結果位置登
録した無線基地局を30−11,30−12,30−13とすると、関
門交換機20には、この旨記憶される。
移動無線機50が高速移動モードで位置登録済と変更さ
れている場合には(S614YES)、位置登録済の無線基地
局30−1(この場合に、無線基地局30は、当然、以前登
録されていた無線基地局30−1とは異なるケースが大部
分であるが、同一の無線基地局30−1と仮定した。30−
2,30−3も同様である。)、および移動無線機50の進行
方向に存在する無線基地局30−2,30−3に対し、高速移
動モード用に指定された伝搬特性の良好な通話チャネル
のうち、空いたチャネルを用いて交信するための準備
と、ダイバーシティ送受信の適用と、移動無線機50の速
度測定と、また、移動無線機50に対し制御の主導権を譲
渡する旨の連絡と、高速移動モードの着呼信号の送出と
を依頼する信号を、関門交換機20は無線基地局30−1,30
−2,30−3に送る(S616)。
この空チャネル準備,ダイバーシティ送受信の適用,
速度測定および着呼信号送出依頼等を受信した無線基地
局30−1,30−2,30−3では、高速移動モードによる着呼
信号と空チャネル情報を複数の制御チャネルまたは通話
路制御部21に制御されて1つの制御チャネルを用いて送
出タイミングをずらして移動無線機50に対して送信する
(S617,S618)。
この着呼信号は高速移動モード用制御チャネルで待受
中の移動無線機50で受信され(S619)、受信信号の品質
や信号の内容を検索し、着呼信号は良好であったか否か
検討がされ(S620)、移動無線機50宛の着呼信号である
ことを確認した後は(S621)、移動無線機50が制御の主
導権をとることとし、着呼応答信号を高速移動モード・
ダイバーシティを適用して制御チャネルにより無線基地
局30−1,30−2,30−3に送信し、同時に速度測定用の信
号を送出する(S622、第12D図)。この着呼応答信号と
速度測定用信号を受信した無線基地局30−1,30−2,30−
3は、電界測定の結果とともに着呼応答信号を関門交換
機20に送出する(S623,S624)。
着呼応答信号および電界測定結果を関門交換機20が受
信すると(S625)、無線基地局30−1,30−2,30−3から
の電界強度の測定結果を比較し演算して、各無線基地局
30−1,30−2,30−3へそれぞれV1,V2,V3の速度で移動
無線機50が移動中であることを検出し、この速度情報を
各無線基地局30−1,30−2,30−3へ送信する(S626)。
この速度情報を受信した各無線基地局30−1,30−2,30
−3ではそれを記憶して、移動無線機50へ制御チャネル
を用いて転送する(S627,S628)。これを受けて、記憶
した移動無線機50では(S629)、近傍の通話トラヒック
状態を考慮の上、それぞれ無線基地局30−1,30−2,30−
3とそれぞれ通信可能な通話チャネル、たとえばCH100,
CH101,CH102を決定し、上り制御チャネルを用いて、無
線基地局30−1,30−2,30−3宛に送信する(S622、第12
E図)。またこれと同時に移動無線機50(第1−2図)
内の各シンセサイザ55−1,55−2および56−1,56−2,
…,56−nや切替スイッチ64−1,64−2と受信および送
信切替用制御器65Cおよび67Cを動作させ、たとえば通話
チャネルCH100(無線基地局30−1用)、通話チャネルC
H101(無線基地局30−2用)、通話チャネルCH102(無
線基地局30−3用)で送受信可能な状態に移行する準備
をさせる。移動無線機50からの上り制御チャネルを受信
した各無線基地局30−1,30−2,30−3では、受信信号の
品質を検査し、発信した移動無線機50のIDを確認して
(S631,S632)、着呼応答信号を関門交換機20に対して
送出する(S633,S634)。
この関門交換機20への着呼応答信号には、通話路設定
のためのスイッチ群23への信号も含まれている。そこで
この着呼応答信号を受けると、関門交換機20では、移動
無線機50のIDがすでにID識別記憶部24に記憶されている
か否かを再確認し(S635)、通常は記憶されているが、
万一、記憶されていない場合には、無線基地局30−1,30
−2,30−3の品質検査のデータとともにID識別記憶部24
に登録し、この記憶したIDなどを含む応答確認信号を無
線基地局30−1,30−2,30−3へ送出する(S636)。
この応答確認信号を受けた無線基地局30−1,30−2,30
−3では、移動無線機50のIDが正しく登録されたことを
確認し(S637,S638)、移動無線機50から指定されたチ
ャネルが空いているか否かを確認して切替確認信号を複
数または1つの下り制御チャネルで移動無線機50に送出
する(S639,S640)。
この指定チャネルへの切替確認信号を受信した(S64
1)移動無線機50では、空きチャネルが無いために、指
定したチャネルの切替えが認められない場合には(S624
NO)、ステップS630にもどり、別の通話チャネルを指定
する(S626)。指定したチャネルたとえばCH100,CH101,
CH102が空きチャネルであり、切替えが認められた場合
には(S642YES)、そのチャネルに切替えて、チャネル
切替完了報告を上り制御チャネルを用いて送出する(S6
43、第12F図)。
空きチャネルに切替えられたことを確認した無線基地
局30−1,30−2,30−3では、このチャネルに切替えて、
チャネル切替完了信号を関門交換機20に対して送出する
(S644,S645)。
関門交換機20では、チャネル切替完了信号を受ける
と、交換機11を介して電話網10への通話路を設定するた
めに、通話路制御部21を動作させてスイッチ群23のSW1
−1,SW1−2,SW1−3をオンにして、無線基地局30−1,30
−2,30−3と電話網10とを接続する(S646)。そこで電
話網10側からは関門交換機20を介して呼出信号が送出さ
れ(S647)、これを無線基地局30−1,30−2,30−3で確
認する(S648,S649)。そこで呼出ベル信号を設定され
た高速移動モード用の通話チャネルCH100,CH101,CH102
で送出し(S650,S651)、移動無線機50で呼出音を発生
する(S652)。
この呼出音により移動無線機50側の送受話器が持ち上
げられる(オフ・フック)と(S653、第12G図)、チャ
ネルCH100,CH101,CH102でオフ・フック信号が送出さ
れ、無線基地局30−1,30−2,30−3で転送されて(S65
4,S655)、関門交換機20に受信されて(S656)、電話網
10と移動無線機50との間で通話が開始される(S657)。
通話が終了すると、送受話機がおろされ、オフ・フッ
ク信号と終話信号がチャネルCH100,CH101,CH102により
無線基地局30−1,30−2,30−3に送られ(S658)、終話
を確認した無線基地局30−1,30−2,30−3では、この信
号を転送する(S659,S660)。このオン・フック信号お
よび終話信号を受けた関門交換機20は、通話路制御部21
を動作せしめてスイッチ群23のSW1−1,SW1−2,SW1−3
をオフして終話する(S661)。
移動無線機50が低速移動モードにあり、無線基地局30
−1,30−2,30−3が移動無線機50からの着呼応答信号を
良好に受信した場合(S605YES,S606YES、第12A図)ある
いは、無線基地局30−1,30−2,30−3から移動無線機50
が低速移動モードで良好に着呼信号を受信した場合には
(S607YES、第12A図)、第6A図のステップS273,S275以
下に示された動作をすることになる。
以上の説明において、無線基地局30−1,30−2,30−3
に設置された制御用の送受信機を通話チャネル用に転用
するシステムにおいても、移動無線機の構成で説明した
ような送受信チャネルを時間的に反復切替える方法によ
り、すでに第3の移動無線機と通信中であっても、新し
く着呼した移動無線機と制御チャネルを用いて交信する
ことが可能である(第1−9図,参照)。
なお、以上(B)および(C)項で説明した発呼およ
び着呼による通信中に移動無線機50が高速移動モードか
ら低速移動モードへ変化する場合がある。この場合の対
策としては、その通話にかぎっては高速移動モードを持
続させる方法と速度検出を行い低速移動モードへ移行さ
せる方法のいづれかを採用することが可能である。前者
の場合、システム技術としてとくに説明を加えることは
ないが、後者の場合にはつぎに説明する通話中チャネル
切替の技術を使用することとなる。
(D)通話中チャネル切替 高速移動モードの移動無線機50に対する通話中チャネ
ル切替動作はすでに説明した低速移動モードの通話中チ
ャネル切替に近似している。自動車に搭載された移動無
線機50が行う通話中チャネル切替に先立って発呼が開始
されたとき、自動車の移動速度が小で低速移動モードの
発呼に成功したものとする。ただし、その後通話中に自
動車の移動速度が増加すると、下記の技術的困難が発生
する。すなわち、通話に使用している複数のチャネルの
1つが通話品質劣化を生じたので、このチャネルの使用
を廃し、新通話チャネルを用い新無線基地局30と交信を
開始することを行う動作の中途で、旧チャネルの通話品
質がシステムで定められた品質以下に劣化する。もしく
は新しい無線基地局30との間の新チャネルの設定におい
て、高速移動モードのために失敗する。具体的な失敗の
原因としては、高速移動にともなう電波伝搬特性の悪化
のためディジタル制御信号の伝送品質が劣化し、周辺の
無線基地局30への、または無線基地局30への新チャネル
使用の指示、またはその応答信号が良好に受信できない
ことである。
このような問題点を解決するための動作の流れを第13
A図ないし第13D図に示し説明する。
関門交換機20,無線基地局30−1,30−2,…,30−n等
(30−p,30−q,…,等は単に30−n等という)および移
動無線機50が動作を開始し、関門交換機20に含まれるス
イッチ群23のスイッチSW1−1,1−2,…,1−(n−1)が
オンであり、無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−
1)と移動無線機50との間で低速移動モードで交信中で
ある。この交信には、移動無線機50に含まれる制御部58
によって指示されたチャネルCH1,CH2,…,CH−(n−
1)の下り周波数F1,F2,…,Fn-1と上り周波数f1
f2,…,fn-1が使われている(S701、第13A図)。
通信中の無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)
では、たえず移動無線機50からの受信状況をモニタして
おり、通信品質の劣化が発見されると、ただちに関門交
換機20に報告される(S702)。
これを受けた関門交換機20のS/N監視部22では、通話
品質が劣化していないか否かを監視している(S703)。
通話品質が劣化していたならば(S703YES)、通信制御
部21から、無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)
等の周辺にある無線基地局30に対して、無線基地局30−
1,30−2,…,30−(n−1)と移動無線機50との間の交
信に使用している上り周波数f1,f2,…,fn-1の信号を
モニタ受信するように指示する(S704)。
モニタ受信の指示を受けた周辺の各無線基地局30(た
とえば30−n)では、周波数f1の信号をモニタ受信をし
(S705)、その結果を関門交換機20のS/N監視部22に報
告し(S706)、各無線基地局30からのモニタ受信品質を
測定比較し、たとえば無線基地局30−nの通信品質が一
定基準のレベルよりも良いことを検出する(S707YE
S)。このモニタ受信の結果は各無線基地局30−1〜30
−nから、たとえば3秒間隔とか5秒間隔で関門交換機
20に送られてきており、関門交換機20では、この通信品
質の時間的変化を監視し((S708、第13B図)、その変
化が一定の限界内にあるならば(S708YES)、移動無線
機50は低速移動モードにあるものと判断し(S709)、第
7B図のステップS108以下の動作に移行する。その変化が
一定の限界を越える場合には(S708NO)、移動無線機50
は高速移動モードにあるものと判断し、制御の主導権を
移動無線機50に譲渡することを、現在、移動無線機50と
通信中の無線基地局30−1,30−2,…,30−(n−1)を
介して、連絡させる(S710)。それには各通話チャネル
CH1〜n−1の音声信号の帯域外に制御信号を挿入する
方法が採用される。
無線基地局30−1,30−2,…,30−n等より通信中のチ
ャネルの帯域外の制御信号の形で上記の情報の連絡を受
けた移動無線機50では、通話品質の監視は通話品質監視
部57により実施中であり、これら両方の情報または、い
づれか一方の情報から高速移動モードであることを認識
し、制御の主導権を行使することを決定する(S713)。
これと同時に移動無線機50自身は無線基地局30−1のカ
バーかるゾーンから無線基地局30−nのカバーするゾー
ンに移動したものと判断し(S714)、無線基地局30−n
との交信に切替えるために、無線基地局30−nが使用す
ることのできる空きチャネルを検索し(S715)、その結
果、高速移動モードに適したチャネルCHnを決定する(S
716)。制御部58は、移動無線機50の送信部51−nおよ
び受信部53−nを介して、無線基地局30−nに対しチャ
ネルCHnでの交信の準備をするように指令する(S71
7)。
このチャネルCHnを用いるための交信準備指令は、高
速移動モード用の制御チャネルを用いて無線基地局30−
nに送られ、チャネルCHnによる交信の準備をする(S71
8)。移動無線機50は、チャネルCHnによる交信を可能と
するための準備、すなわち、制御部58からシンセサイザ
55−nおよび56−nに対して周波数Fnを受信し、周波数
fnで送信できるように指示し、また切替用制御器65は切
替動作に入る(S722、第13C図)。
チャネルCHnを用いて交信する準備ができると、無線
基地局30−nは、準備完了の報告をチャネルCHnを用い
て移動無線機50に対して連絡し(S720)、これと同時に
無線基地局30−nは、関門交換機20に対し高速移動モー
ドに適したチャネルCHnによる無線基地局30−nと移動
無線機50との間での交信準備が完了したことの報告を出
す(S720)。これを受けた移動無線機50は、チャネルCH
nによる交信準備が完了したことを確認し(S724)、無
線基地局30−nに対して交信開始指令を発し(S725)、
これを受信した無線基地局30−nでは交信を待つ(S72
6)。
高速移動モードに適したチャネルCHnを用いての無線
基地局30−nと移動無線機50との間の交信準備の完了
を、関門交換機20が確認すると(S721)、スイッチ群23
のスイッチSW1−1,1−2,…,1−(n−1)はオンのまま
にして、スイッチSW1−nもオンにする(S722)。そこ
で関門交換機20に含まれた通話路制御部21は、移動無線
機50に対して、移動無線機50との間でチャネルCHnを用
いて交信を開始可能なことを報告する(S723)。
交信開始可能報告を受信すると、無線基地局30−nは
交信開始信号をチャネルCHnを用いて移動無線機50宛に
送出する(S727)。移動無線機50は無線基地局30−nを
識別するための識別信号であるID信号により、チャネル
CHnによる交信の開始を確認し(S728)、同時に移動無
線機50の通信品質監視部57は、移動無線機50と無線基地
局30−nとの間の通信の品質レベルを測定し、一定の品
質レベルL2以上であることを検出すると(S729YES、第1
3D図)、無線基地局30−1と移動無線機50との間のチャ
ネルCH1を用いて行っていた交信の停止を無線基地局30
−1に指令する(S730)。
これによって、無線基地局30−1はチャネルCH1によ
る交信をオフにする(S731)。このチャネルCH1による
交信停止を移動無線機50が確認すると(S733)、シンセ
サイザ55−1および56−1の動作を停止し、切替スイッ
チ64−1はシンセサイザ55−1の出力端子への切替えを
停止し、切替スイッチ64−2はシンセサイザ56−1の出
力端子への切替えを停止(この動作は必ずしも必要でな
いが)して、チャネルCH2,CH3,…,CHnで動作せしめるよ
うにする。
チャネルCH1交信停止を確認した関門交換機20の通話
路制御部21は、スイッチ群23のスイッチSW1−2,1−3,
…,1−nはオンのままとし、スイッチSW1−1をオフに
する(S732)。
これによって、チャネル切替動作の期間を終了し、ス
イッチSW1−2,1−3,…,1−nのオン状態でチャネルCH2,
CH3,…,CHn、下り周波数F2,F3,…,Fn上り周波数f2
f3,…,fnを用いて、移動無線機50は無線基地局30−2,
30−3,…,30−nとの間で、一瞬の切断も、雑音の混入
もなく、かつ送受信ダイバーシティ効果を得て、高品質
な通信を継続することができる(S734)。
ここで、チャネルCH2〜CH(n−1)は低速移動モー
ドのままであり、チャネルCHnは高速移動モードで使用
されている。
以上のように動作するから、高速移動モードにおいて
は、高速で移動する移動無線機50の移動情報は関門交換
機20へ伝えられ、この移動情報を分析することにより、
移動無線機50の移動方向にある無線基地局30に事前に移
動情報を伝達し、高速移動モードの移動無線機50に対す
るサービスの提供に対する準備をすることができるから
通話中チャネル切替は一層円滑に実施可能となる。また
通常、通話中チャネル切替に要する時間は切替が決定し
てから1〜3秒以内で完了する。
さらに、移動無線機50自体としても、自己が高速移動
モードにあることを認識すると、第1−2図,第1−4
図ないし第1−8図に示すような移動無線機50であるな
らば、通話中チャネル切替が終了したあとも、移動無線
機50からは常時(または、一定の法則に従って間欠的
に)制御信号を高速移動モードで送出し、近傍にある高
速移動モード用無線基地局30に対し、通話中チャネル切
替の実施を呼びかけて、早期に実施することができるこ
とになり、無線基地局30からの応答信号が受信不能とな
る事態をさけることが可能となる。
具体的には、第17図を用いて本発明の特徴をさらに説
明すると、移動無線機50から制御信号を用い高速移動モ
ード用無線基地局30へ通話中チャネル切替を呼びかけて
行く方法は、移動無線機50が点Aにある時から点P3にあ
る無線基地局30に対し通話中チャネル切替を呼びかけて
行くことにある。この場合移動無線機50が点Bへ移動す
れば、点P2の無線基地局30との通信を停止し、点P3にあ
る無線基地局30と通信可能となる。したがって点Bへ移
動したあとも、すくなくとも20秒は点P3の無線基地局30
との交信が可能なのであり、さらに、点P4(点P3の右側
にあり図示されてはいない)の無線基地局30とは、点P3
の無線基地局30との交信が停止する手前から交信を開始
することになる。すなわち、チャネル切替動作を、移動
無線機50の移動に先行して着手すことにより、1つの無
線基地局30との交信を許容される最大限の時間内に有効
に行うことが可能となる。
また、移動無線機50が高速移動モードから低速移動モ
ードへ移行した場合は、上記の制御信号送出により、1
つの無線基地局30との交信時間が20秒より長くなるから
一定の値(たとえば40秒)を越えた場合には、低速移動
モードへ移行したものと判断し、その後は、移動無線機
50からの制御信号の常時送出を停止し、低速移動モード
へ移行するような方法をとることも可能である。
[発明の効果] 以上の説明から明らかなように、小ゾーン構成を用い
る移動通信システムに本発明を適用することにより従来
のシステムにおけるような、通話(信)中にゾーン移行
をすると一時断が発生し、ファクシミリ信号やデータ信
号では、画質劣化やバースト的信号の誤りが発生して問
題となっていたものが、たとえ通話中のチャネル切替え
の頻度が増加しても、この心配が完全に除去されること
になり、経済的な送受信ダイバーシティの採用による通
信品質の向上、干渉妨害の軽減による周波数有効利用度
の向上を技術的に可能とすることになった。また、トラ
ヒックの閑散時における無線設備の有効利用による通信
品質の向上や、ある小ゾーンでトラヒックが急増した場
合には、使用可能チャネルを実質的に増加可能とした
り、さらにトラヒックの最繁時においても、移動無線機
からの位置登録信号を処理可能とすることのほか、移動
体の進行方向や速度を検出することにより、マイクロセ
ルを用いる小ゾーン構成のシステムにおいて、移動体の
移動速度がゾーンの大きさに比較して相対的に大きくな
っても効果的な通話チャネルの指定が可能となり経済的
で、かつ周波数の利用効率の高い移動通信システムの構
築が可能となったので、本発明の効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1−1図,第1−2図および第1−3図は本発明の一
実施例を示すシステム構成図、 第1−4図,第1−5図,第1−6図,第1−7図およ
び第1−8図は移動無線機の他の実施例を示す回路構成
図、 第1−9図および第1−10図は本発明の無線基地局の他
の実施例を示す回路構成図、 第1−11図は送受信機の一実施例を示す回路構成図、 第1−12図および第1−13図は送受信機の他の実施例を
示す回路構成図、 第1−14図および第1−15図,第1−16図および第1−
17図は無線基地局のさらに他の実施例を示す回路構成
図、 第1−18図および第1−19図は送受信機のさらに他の実
施例を示す回路構成図、 第1−20図は無線基地局のさらに他の実施例を示す回路
構成図、 第2図(a)および(b)は本発明に用いる制御信号の
構成例を説明するためのスペクトル図および回路構成
図、 第3図は第1−1図ないし第1−3図に示したシステム
の動作を説明するためのタイミング・チャート、 第4図は本発明の低速移動モードにおける位置登録動作
の流れを示すフローチャート、 第5A図および第5B図は移動無線機からの低速移動モード
における発呼動作の流れを示すフローチャート、 第6A図,第6B図および第6C図は移動無線機への低速移動
モードにおける着呼動作の流れを示すフローチャート、 第7A図,第7B図,第7C図,および第7D図は第1−1図な
いし第1−3図に示したシステムの低速移動モードにお
けるダイバーシテイ送受信のチャネル切替動作の流れを
示すためのフローチャート、 第8A図,第8B図,第8C図および第8D図は低速移動モード
におけるダイバーシティ送受信動作への流れを示すフロ
ーチャート、 第9図は移動無線機の進行方向および速度検出を説明す
るための動作概念図、 第10A図,第10B図,第10C図,第10D図および第10E図
は、高速移動モードにおける位置登録動作の流れを示す
フローチャート、 第11A図,第11B図,第11C図,第11D図,第11E図および
第11F図は、高速移動モードにおける発呼動作の流れを
示すフローチャート、 第12A図,第12B図,第12C図,第12D図,第12E図,第12F
図および第12G図は、高速移動モードにおける着呼動作
の流れを示すフローチャート、 第13A図,第13B図,第13C図および第13D図は高速移動モ
ードにおけるダイバーシティ送受信のチャネル切替動作
の流れを示すためのフローチャート、 第14図は移動無線機の速度を求めるための座標、距離、
電界をあらわすマップ、 第15図は本システムにおける制御の種類と制御の主管区
分を示す区分図、 第16図は電界強度と距離の関係をあらわした電界強度
図、 第17図は高速移動モードにおける本発明のシステムの動
作を説明するための道路沿いに配置された無線基地局と
移動無線機の位置を示す配置図、 第18図は従来のシステム例を説明するためのシステム構
成概念図である。 10…電話網、11…交換機 12…無線回線制御局、13A〜D…無線基地局 14A〜D…ゾーン、15…移動無線機 16A〜D…伝送路、20…関門交換機 21…通信制御部 21−1…制御回線制御回路 21−2…通信回線制御回路 21−3…速度値演算回路 22…S/N監視部 23…スイッチ群、24…ID識別記憶部 30,30B,30C,30D,30E,30C2,30D2,30E2,30−1,〜30−n…
無線基地局 31,31−1〜31−n…送信部 32…無線基地局制御装置 33,33−1〜33−n…受信部 34,34C,34−1〜34−n…ID識別記憶部 35−1〜35−n,36−1〜36−n…シンセサイザ 37…通信品質監視部 38,38B,38C,38D,38E…制御部 39,39C…インタフェース 40,40C…基準水晶発振器 41…送信ミクサ、42…干渉妨害検出器 43…受信ミクサ 45…受信切替用制御器 46…無線送信回路 47…送信切替用制御器 48…無線受信回路 50,50B,50C,50D,50E,50C2,50D2…移動無線機 51…送信部 53,53−1〜53−n…受信部 55−1〜55−n,56−1〜56−n…シンセサイザ 58,58B,58C,58D,58E…制御部 59…電話機部 61,61−1〜61−n…送信ミクサ 62…干渉妨害検出器 63,63−1〜63−n…受信ミクサ 64−1,64−2,64−3…切替スイッチ 65C…受信切替用制御器 66,66−1〜66−n…無線送信回路 67C…送信切替用制御器 68,68−1〜68−n…無線受信回路 69…混合回路 71…基準水晶発振器 91…ディジタル符号化回路 92…多重変換回路 93−1〜93−m…通信品質監視用受信機 94…制御用送受信機 96…アンテナ共用装置 Z1〜Z16…ゾーン。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のゾーンをそれぞれカバーしてサービ
    ス・エリアを構成する各無線基地手段(30)と、前記各
    無線基地局と一般の電話網(10)とを接続する関門交換
    手段(20)を含む移動体の通信網において、 前記サービス・エリア内に所在する移動無線手段(50)
    と前記無線基地局との間で交信することを可能とするた
    めに、 すくなくとも1つの前記無線基地手段と前記移動無線手
    段との間で前記移動無線手段の位置登録、通話路の設
    定、解除および交信中の前記無線基地手段の更新をして
    通話路の変更を可能とする移動体通信の通信方法におい
    て、 前記関門交換手段において前記移動無線手段の移動速度
    を推定し、システムの定める一定速度以下の場合は制御
    信号の交信を前記関門交換手段が主導し、 前記移動無線手段の移動速度が大きいために前記移動無
    線手段と前記無線基地手段との間の送受信を良好に行い
    得ないことを前記移動無線手段、前記無線基地手段、お
    よび前記関門交換手段のうちのすくなくとも1つにおい
    て判断した場合に、制御信号の交信の主導権を前記移動
    無線手段に変更する移動体通信の通信方法。
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