JP2735167B2 - 入退場者照合装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、事業場や会議場等の入
退場者が予め登録された者かどうかその真疑（本人であ
ることが確実であるか、疑わしいか。）を判定する入退
場者照合装置に関する。

【０００２】照合の対象として指紋、掌形（手形）、顔
形等の身体的特徴を利用することは、身分証明書やバッ
ジ等紛失の可能性のある携帯物を不要とし、悪用や偽造
のおそれもないので、保安分野での要求が高まってい
る。

【０００３】ただし、前記の身体的特徴は一定不変のも
のではなく、時間や環境条件の変化によって微妙に変わ
るので、予め登録された特徴データと照合するときは適
切なマージンを持った判定基準と比較する必要がある。

【０００４】従来、この判定基準は一旦設定されると、
昼夜時間を問わず一定であり、従って真昼には厳格過
ぎ、深夜には寛容過ぎるという問題があった。

【０００５】

【従来の技術】以下、従来の技術について説明する。図
５は従来技術による入退場者照合装置の構成図である。

【０００６】同図中、Ａは身体的特徴を包含する信号の
入力点、１は照合時特徴データ抽出手段、２は登録時特
徴データ記憶手段、３は類似度検出手段、４は類似度基
準付与手段、５は真疑判定手段で、Ｂは真疑を判定した
信号の出力点である。

【０００７】図中、登録時特徴データ記憶手段２には予
め入退場予定者の指紋、掌形、顔形等の身体的特徴を記
憶させておく。照合時特徴データ抽出手段１は、Ａから
入力された一入退場者の前記のような身体的特徴を包含
する信号からその身体的特徴を抽出する。照合時特徴デ
ータ抽出手段１の出力は、類似度検出手段３に加えら
れ、ここで登録時特徴データ記憶手段２から読出された
前記一入退場者の登録時特徴データと比較されて、類似
度データを出力する。

【０００８】類似度検出手段３の出力は真疑判定手段５
に加えられ、ここで類似度基準付与手段４の出力である
一定値に設定された類似度基準と比較され、類似度が前
記類似度基準より大きい場合は真、小さい場合は疑であ
る旨の真疑判定信号をＢに出力する。

【０００９】前記の特徴データ記憶および抽出手段１お
よび２としては、たとえばブラウン管面等の平面上に投
影した掌形の画像（掌形の輪郭を示す輪郭線だけ黒色
で、それ以外の部分は白色と仮定する。）を水平方向
に、さらに垂直方向に走査した場合、走査線と前記平面
上の掌形画像の輪郭線とが交差する点に現れる黒点の位
置を示す座標値を、それぞれ記憶および抽出する。この
場合、登録時と照合時における平面上の掌形画像の位置
は正確に一致させるか、あるいは位置のずれに基づく座
標値のずれの補正を施すべきことはもちろんである。

【００１０】類似度検出手段３では、登録時記憶され照
合時読出された複数の座標値と、この複数の座標のそれ
ぞれに対応する照合時に抽出された複数の座標値とを比
較する。比較の結果、相対応する両座標値の一致する回
数を累積計数し、これをたとえば２進数ｊで出力する。
つまり、この場合ｊが類似度に該当する。

【００１１】真疑判定手段５では、前記ｊを、類似度基
準付与手段４から付与される類似度基準、つまり、この
場合には基準（一致）回数、たとえば２進数ｋと比較す
る。そして、ｊ≧ｋであれば真を、ｊ＜ｋであれば疑
を、それぞれたとえば高レベルおよび低レベルで示す真
疑判定信号を出力する。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような従来技術による入退場者照合装置では、真疑判定
基準が一旦設定されると以後制御できないので、たとえ
ば真昼には厳格過ぎ、深夜には寛容過ぎる等の難点があ
る。

【００１３】本発明は従来技術のこのような欠点を除去
し、真疑判定基準が時間によって自動的に制御されて、
たとえば昼間には緩やかで、夜間には厳しい判定を行え
る入退場者照合装置を提供する点にある。

【００１４】

【課題を解決するための手段】図１は、本発明の原理構
成図である。同図中、６は可変類似度基準付与部、７は
時計手段で、８は類似度基準出力手段である。

【００１５】図１に示すように、入退場者の身体的特徴
を抽出する照合時特徴データ抽出手段と、前記入退場者
の身体的特徴を予め抽出し記憶しておく登録時特徴デー
タ記憶装置と、前記照合時特徴データ抽出手段の出力を
前記登録時特徴データ記憶装置からの読出し出力と比較
して前記身体的特徴の類似度を検出する類似度検出手段
と、類似度の比較基準を付与する類似度基準付与手段
と、前記類似度検出手段の出力を前記類似度基準付与手
段の出力と比較して入退場者の真疑を判定する信号を出
力する真疑判定手段とで構成される入退場者照合装置に
おいて、前記類似度基準付与手段は可変類似度基準付与
部６からなり、前記可変類似度基準付与部６は、時計手
段７と、前記時計手段７からの時間帯情報対応の類似度
基準を前記真疑判定手段に加える類似度基準出力手段８
とで構成する。

【００１６】

【作用】本発明の原理的構成を示す図１において、時計
手段７は時間的情報を発生する。類似度基準が、時間帯
ごとに相異なる値を取るよう予め設定できる類似度基準
出力手段８は、前記時計手段７からの時間帯情報に対応
する類似度基準として、可変類似度基準付与手段６から
出力され、図５における真疑判定手段５に加えられる。

【００１７】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を追って説明す
る。図２は本発明の第１の実施例を示す構成図である。

【００１８】図中、照合時特徴データ抽出手段１を構成
する１１は特徴画像投影器、１２は走査信号源、１３は
黒点座標読取り回路である。登録時特徴データ記憶手段
２を構成する２１は登録特徴記憶回路、２２は黒点座標
読出し回路である。

【００１９】類似度検出手段３を構成する３１は黒点座
標比較回路、３２は一致回数計数回路である。真疑判定
手段４を構成する４１は回数比較回路、４２は真疑判定
回路である。

【００２０】本発明の７は時計手段で、類似度基準出力
手段８を構成する８１は使用者用時間対基準回数設定回
路、８２は設定時間検出回路、８３は基準回数設定回
路、８４は基準回数テーブル、８５は基準回数付与回路
である。

【００２１】特徴画像投影器１１は、たとえばブラウン
管面等の平面上に、照合すべき身体的特徴たとえば顔形
の画像を投影する。この場合、顔形の輪郭線だけが黒色
で、他の部分は白色とする。この平面上の画像は、走査
信号源１２からの走査信号によって、水平方向に、更に
垂直に走査される。

【００２２】黒点座標読取り回路１３は、走査線と前記
輪郭線との交点である黒点の座標値を複数個読取る。登
録特徴記憶回路２１には、すでに照合されるべき身体的
特徴たとえば顔形の特徴データが登録され記録されてい
る。

【００２３】黒点座標読出し回路２２は、前記記録され
ている特徴データから黒点の座標値を複数個読出す。前
記黒点座標読取り回路１３出力の複数の座標値と、前記
黒点座標読出し回路２２出力の前記複数の座標値のそれ
ぞれに対応する複数の座標値とは、黒点座標比較回路３
１に加えられて、相互に比較される。比較に当って、照
合時と登録時の投影された身体的特徴、たとえば顔形の
画像位置のずれによる座標値のずれを補正すべきことは
もちろんである。

【００２４】比較の結果、相対応する両座標値の一致
（不一致）情報は、一致回数計数回路３２に送られる。
ここで、相対応する両座標値の一致する回数が累積計数
され。たとえば２進数ｍとして出力される。

【００２５】すなわち、本第１の実施例では（一致）回
数が類似度に該当している。さて、本入退場者照合装置
の使用者は、使用者用時間対基準回数設定回路８１に、
予め１日の各時間帯に対する基準回数を設定しておく。

【００２６】ここに、第１の実施例における基準回数
は、類似度基準に該当する。前記相対応する両座標値の
すべてが一致する仮想的な場合の回数を１００として、
たとえば真昼の基準回数は６０と緩やかに、深夜の基準
回数は８０と厳しく設定しておく。

【００２７】対象となり得る範囲内の基準回数は、たと
えば２進数ｎの形で、基準回数１，基準回数２，…基準
回数Ｎのように整理されて基準回数テーブル８４に格納
されている。

【００２８】時計手段７としては、たとえばタイムレコ
ーダの中の時計機能等を流用でき、時間情報を設定時間
検出回路８２に送る。設定時間検出回路８２は、使用者
用時間対基準回数設定回路８１からの信号により、予め
設定した時間帯になると、基準回数選択回路８３と、基
準回数付与回路８５とに選択信号を送る。基準回数選択
回路８３は、使用者用時間対基準回数設定回路８１から
の信号により、予め設定した基準回数ｎを基準回数テー
ブル８４から選出して、基準回数付与回路８５に送る。
このようにして、基準回数付与回路は、時間帯ごとに任
意に設定された基準回数ｎを出力する。

【００２９】回数比較回路４１には、前記一致回数計数
回路３２の出力２進数ｍと、前記基準回数付与回路８５
の出力２進数ｎとが入力され、相互に比較され、比較結
果が真疑判定回路４２に加えられる。真疑判定回路４２
は、比較結果がｍ≧ｎであれば真を、ｍ＜ｎであれば疑
を、それぞれたとえば高レベルおよび低レベルで示すデ
ィジタル真疑判定信号を出力する。

【００３０】図３は、本発明の第２の実施例を示す構成
図である。同図中、９０はＭＰＵ（マイクロプロセッサ
・ユニットの略号）、９１は装置内部バス、９２は時計
ＩＣ（集積回路の略号）、９３は日、時、分の表示用デ
ィスプレイ、９４は使用者用設定ＲＯＭ（読出し専用記
憶素子の略号）、９５は基準値出力ＩＣ、９６は基準値
レジスタＩＣで、９７は比較器ＩＣである。同図から明
らかなように、本発明の特徴部分である時計手段から類
似度基準出力手段に至る可変類似度基準付与動作がソフ
トウェアを介して実行される。

【００３１】本発明の原理構成を示す図１との関係は、
図３における時計ＩＣ９２とＭＰＵ９０の一部が図１に
おける時計手段７に該当し、図３におけるＭＰＵ９０の
他の一部と、装置内部バス９１の一部および使用者用設
定ＲＯＭ９４、基準値出力ＩＣ９５、および基準値レジ
スタ９６が図１における類似度基準出力手段８に該当す
る。

【００３２】図４は、第２の実施例における動作の流れ
を示す。以下これを解説すると、 ａ．ＭＰＵに内蔵されているタイマを利用して、たとえ
ば１分間隔とか１０分間隔とか、等間隔で現在の時刻を
時計ＩＣ９２から読取る（１Ｓ）。 ｂ．使用者用設定ＲＯＭ９４には、使用者によって設定
された各時間帯に対する類似度基準の一覧表が格納され
ている。現在の時刻と使用者の設定した時間帯とを比較
しつつ、ＲＯＭに格納された一覧表を順次検索して行く
（２Ｓ）。 ｃ．設定した時間帯になると、これに対し設定された基
準値を基準値ＩＣ９５を通じて読み出し基準値レジスタ
９６に書込む（３Ｓ）。

【００３３】以下、比較器ＩＣ９７における真疑判定信
号検出の動作等については第１の実施例での説明と同様
である。

【００３４】

【発明の効果】以上述べたとおり本発明によれば、真疑
判定基準を時間によって自動的に予め設定した値に切換
えできる。

【００３５】従って、１日中の時間帯によって、たとえ
ば真昼には緩やかで深夜には厳しく、あるいは入退場者
輻湊時間帯にはほとんどフリーパスで入退場者閑散時間
帯には疑惑視傾向を持つ、柔軟性のある入退場者照合装
置が実現できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の原理構成図である。

【図２】本発明の第１の実施例の構成図である。

【図３】本発明の第２の実施例の構成図である。

【図４】図３における動作の流れ図である。

【図５】従来技術の入退場者照合装置の構成図である。

【符号の説明】

６ 可変類似度基準付加部 ７ 時計手段 ８ 類似度基準出力手段

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 入退場者の身体的特徴を抽出する照合時
   特徴データ抽出手段と、 前記入退場者の身体的特徴を予め抽出し記憶しておく登
   録時特徴データ記憶手段と、 前記照合時特徴データ抽出手段の出力を前記登録時特徴
   データ記憶手段からの読出し出力と比較して前記身体的
   特徴の類似度を検出する類似度検出手段と、 類似度の比較基準を付与する類似度基準付与手段と、 前記類似度検出手段の出力を前記類似度基準付与手段の
   出力と比較して入退場者の真疑を判定する信号を出力す
   る真疑判定手段とで構成される入退場者照合装置におい
   て、 前記類似度基準付与手段は可変類似度基準付与部（６）
   からなり、 前記可変類似度基準付与部（６）は、 時計手段（７）と、 前記時計手段（７）からの時間帯情報対応の可変類似度
   基準を前記真疑判定手段に加える類似度基準出力手段
   （８）とで構成することを特徴とする入退場者照合装
   置。