JP2732626B2 - コーヒーなどの抽出器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、コーヒーなどの粉状や粒状の被抽出物を用
いて熱湯などにより抽出液を得るときに使用するコーヒ
ーなどの抽出器に関するものである。

従来の技術 従来のこの種の抽出器は、第８図のような構造になつ
ていた。第８図において、１は電気湯沸かし器であり、
湯沸かし器本体２の内部に容器３を設けて、底部から昇
水管４を介して吐出口５に連通させ、かつ底部に発熱体
６を備えており、前記容器３の上端は開口するととも
に、空気ポンプ７を内装する蓋８により気密的に閉塞さ
れている。前記空気ポンプ７の上部を手動で押すことに
より、空気ポンプ７は逆止弁９の作用により空気を容器
３の内部へ圧入する。容器３の内部の液体は外気圧との
差により前記昇水管４を通つて吐出口５から外部へ吐出
される。一方、10はほぼ逆円錐台筒形で底部に滴下口11
を設けたバスケツトであり、ペーパーフイルター12など
をセツトしてコーヒー粉13などを収納しておく。14は上
部に開口15を有して、前記バスケツト10をこの開口15に
載置するガラス容器であり、16はガラス容器14の把手で
ある。

上記のような構造において、前記電気湯沸かし器１の
吐出口から吐出した湯は一条の流れとなり勢いよくバス
ケツト10の内部へ落下する。

また、電気湯沸かし器１の代わりにポツトややかんな
どで湯を沸かして、前記バスケツト10に注いでもよい
が、この場合も湯は通常一条の流れとして注がれてい
た。

一方、バスケツトの一般市販品の外形は種々雑多であ
り、少なくとも比較的広い範囲の散水と比較的狭い範囲
の散水が簡単に使い分けられることが要求されていた。

発明が解決しようとする課題 しかし、上記のような構造のものでは、電気湯沸かし
器１の吐出口５からの吐出湯は一条の流れとなり、か
つ、勢い良く吐出してそのままバスケツト10の内部へ落
下するために、バスケツト10の内部のコーヒー粉13など
は激しく攪拌され、本来の抽出方法である一様に静かに
注湯するといつた方法とはほど遠いこととなり、おいし
いコーヒーなどの抽出液を手軽に手に入れることができ
なかつた。

つまり、バスケツト10の内部の被抽出物への熱湯の注
ぎ方としてバスケツト10の内部の一転に集中的に注ぐの
ではなく一様に注ぎ、かつ注ぐ湯はできる限り静かに注
ぐといつたことが困難であつた。

本発明は、集中的にかつ勢いよく注がれる熱湯など
を、散水蓋により一時的に滞留させてから滴下させるこ
とにより静かに注ぐことができ、また滴下口を複数個設
けることによりバスケツトに一様に注ぐことができると
ともに、バスケツトの大きさに応じて大小二種類の滴下
範囲の選択ができるコーヒーなどの抽出器を提供するこ
とを目的とするものである。

課題を解決するための手段 上記の問題を解決するために本発明のコーヒーなどの
抽出器は、散水蓋と、底部に滴下孔を設けて散水蓋を載
置するバスケットと、このバスケットを載置する抽出液
容器とから成り、前記散水蓋は、第１の散水部および第
２の散水部を備え、第１の散水部は、散水蓋の一方の面
の中央側に配置した第１の凹部およびこの第１の凹部の
底部に形成した複数個の第１の貫通孔からなり、第２の
散水部は、散水蓋の他方の面に第１の凹部とは逆方向で
かつ第１の散水部に対してその周囲に設けた環状の第２
の凹部およびその底部に分散して配置した複数個の第２
の貫通孔からなり、第２の凹部の周囲に環状の平板部が
形成され、この平板部に、散水蓋の両面側に突出してバ
スケットの上端部を包囲する位置決めリブが形成された
たものである。

作用 本発明のコーヒーなどの抽出器は、上記構成により、
従来勢いのよい一条の熱湯などが直接バスケツトに注が
れていたものを、散水蓋に設けられた第１の散水部また
は第２の散水部により、熱湯などを一度散水蓋の上に滞
留させるとともに第一の貫通孔または第２の貫通孔から
散水滴下させることにより、バスケツトの形状に応じて
散水の範囲を選択することができ、また熱湯などを静か
に滴下させることができるものである。

実施例 以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづいて説明
する。

第１図は本発明の一実施例におけるコーヒーなどの抽
出器を示す斜視図、第２図は同コーヒーなどの抽出器の
散水蓋の断面図、第３図は同散水蓋の平面図である。第
１図〜第３図において、20はほぼ円盤状の散水蓋であ
り、中央に一方の面に直径約40mm、深さ10〜20mmの円形
の第１の凹部21を設け、かつその底部21aに、中心に１
個および外周近傍に等間隔に４個の合計５個の直径約2.
5mmの第１の貫通孔22を設け、この第１の凹部21と第１
の貫通孔22とで第１の散水部23を形成し、また前記第１
の凹部21の周囲に、第１の凹部21とは逆に、他方の面に
第２の凹部24を幅約15mm、深さ10〜20mmの同心円環状に
設け、かつその底部24aに４個の直径約3mmの第２の貫通
孔25を等間隔に分布して設け、この第２の凹部24と第２
の貫通孔25とで第２の散水部26を形成している。前記第
１の貫通孔22と第２の貫通孔25とは、それぞれ裏面側に
高さ約1mm、厚さ約0.5mmの水切りリブ22a,25aを全周に
設けている。前記第２の凹部24の周囲に、高さ方向のほ
ぼ中央付近から平板部27を水平方向に幅約40mmの同心円
環状に設け、かつこの平板部27の周囲に垂直方向に上下
約3mmの位置決めリブ28を設けている。

29はほぼ逆円錐台筒状のバスケツトであり、上端部が
直径約130mmで、内壁に複数本の縦方向の誘導リブ300設
け、底部には直径約5mmの滴下孔31を設け、かつ底部近
傍の外周に水平方向に直径約130mmとなる円板状の載置
部32を設けている。バスケツト29には内壁に沿つてペー
パーフイルタ33を敷設して、このペーパーフイルタ33に
コーヒー粉34を収容している。

35はほぼ円錐台筒形のガラス製の抽出液容器で、上記
に前記バスケツト29の載置部32を載置する開口部36を有
し、外側面に把手37を有している。

次に上記実施例のコーヒーなどの抽出器における動作
を説明する。まずバスケツト29にペーパーフイルタ33を
セツトし、所望のコーヒー粉34を入れて、抽出液容器35
の開口部36に載置する。バスケツト29にその上端部を位
置決めリブ28が包囲するように、散水蓋20を載置する。
たとえば電気湯沸かし器などで散水蓋20の上方から熱湯
を注ぐ。散水蓋20のほぼ中央に注がれた湯は、第１の散
水部23に勢いよく集中的に落下するが、第１の散水部23
に滞留した後に、第１の貫通孔22により分散されて静か
に滴下するととなり、バスケツト29の内部のコーヒー粉
34に一様に静かに熱湯が注がれる。熱湯がコーヒー粉34
の層を通過する間にコーヒー粉が抽出されてペーパーフ
イルター33で濾過され、誘導リブ30によりバスケツト29
の底部に集中され、滴下孔31から抽出液容器35の内へ滴
下収容されることとなる。また、バスケツト29の外形が
さらに大きい場合や、コーヒー粉34を多く入れた場合に
は、散水蓋20の表裏面を逆に第２の凹部24の側を上にし
てバスケツト29に載置する。この場合は、散水蓋20に注
がれた湯は第１の凹部21の裏面に当たり、第２の凹部24
と第２の貫通孔25とからなる第２の散水部26に滞留した
後に、第２の貫通孔25により分散されて、比較的広い範
囲にわたつてバスケツト29の内部のコーヒー粉34に静か
に一様に注がれる。

このように、バスケツト29の外形の違いやコーヒー粉
34の量の違いがあつても、散水蓋20の第１の散水部23と
第２の散水部26を使い分けることにより、コーヒー粉34
の上に熱湯を一様に注ぐことができ、効率の良い抽出が
行なえるとともに、第１の散水部23または第２の散水部
26に一度滞留させることによりコーヒー粉34への注湯の
勢いを弱め、静かに注ぐことによりにごりのないコーヒ
ーを得ることができる。

また、本実施例において、第１の貫通孔22と第２の貫
通孔25の数が異なるが、その開口面積の総和が等しいよ
うにしておけば、第１の散水部23と第２の散水部26のど
ちらを用いてもコーヒー粉34に注がれる湯の量は常にほ
ぼ一定となり、均一な品質のコーヒーが得られる。

第４図および第５図は本発明の他の実施例のコーヒー
などの抽出器における散水蓋を示すものである。この散
水蓋40は円盤状で、片面側の中央に円形の第１の凹部41
を設け、かつその底部41aに、中心付近に１個および外
周近傍に等間隔に４個の合計５個の第１の貫通孔42を設
け、この第１の凹部41と第１の貫通孔42とで第１の散水
部43を形成し、また他面側の中央に前記第１の凹部41よ
り大きい直径の円形の第２の凹部44を設け、この第２の
凹部44の底部44aは第１の凹部41の底部41aと同一平板で
形成しており、この底部44aに、中心付近に第１の貫通
孔42と並んで１個および外周近傍に等間隔に４個の合計
５個の第２の貫通孔45を設け、この第２の凹部44と第２
の貫通孔45とで第２の散水部46を形成している。前記第
１の貫通孔42と第２の貫通孔45のうちの中心付近のもの
とは、それぞれ裏面側に、その面に形成されている凹部
の深さ（側壁の高さ）より約1mm高い水切りリブ42a,45a
を全周に設けており、第２の貫通孔45のうちの外周近傍
の４個は裏面側に高さ約1mmの水切りリブ45bを全周に設
けている。第１の凹部41の底部41aと第２の凹部44の底
部44aを形成する平板を、第２の凹部44の周囲からさら
に水平方向に延ばして平板部47を環状に形成し、かつこ
の平板部47の周囲に位置決めリブ48を設けるとともに、
第２の凹部44を設けた面の第２の凹部44の周囲と前記位
置決めリブ48との間に中間リブ49を形成している。

本実施例における散水蓋40では、同一平板の互いに反
対面に第１の散水部43と第２の散水部46を形成し、しか
も中心付近に第１の貫通孔42に並んで第２の貫通孔45を
も設けているが、これらの各貫通孔には裏面側にその面
の凹部の深さより高い水切りリブ42a,45aを設けている
ので、たとえば第２の散水部46を使用している場合に、
滞留している湯の水位が上昇しても、第１の貫通孔42の
水切りリブ42aより高くなることはないので、湯が第１
の貫通孔42から滴下するようなことは起らず、常に均一
に湯を注ぐことができる。

第６図および第７図は本発明のさらに他の実施例のコ
ーヒーなどの抽出器における散水蓋を示すものである。
この散水蓋50は、第４図および第５図に示す散水蓋40の
第２の凹部44および平板部47のそれぞれ一部を等間隔か
つ同一形状で４箇所切欠いた形でほぼ十字形の平面形状
を有し、そのほかは散水蓋40と同様の構造に形成されて
いる。すなわち、片面側の中央に円形の第１の凹部51
と、その底部51aに中心付近および外周近傍の合計５個
の第１の貫通孔52とを設けて第１の散水部53を形成し、
また他面側の中央に前記第１の凹部51より大きい第２の
凹部54と、その底部54aに中心付近および外周近傍との
合計５個の第２の貫通孔55を設けて第２の散水部56を形
成し、かつ第１の貫通孔52と第２の貫通孔55のうちの中
心付近のものとは、それぞれ裏面側に、その面に形成さ
れている凹部の深さより約1mm高い水切りリブ52a,55aを
全周に設け、第２の貫通孔55の外周近傍の４個は裏面側
に高さ1mmの水切りリブ55bを全周に設けており、さらに
第１の凹部51の底部51aと第２の凹部54の底部54aを形成
する平板を、第２の凹部54の周囲から十字方向に水平に
延ばして平板部57を形成し、かつこの平板部57の外周端
部に位置切めリブ58を設けるとともに、第２の凹部54を
設けた面側に第２の凹部54の周囲と前記位置決めリブ58
との間に中間リブ59を形成している。

本実施例における散水蓋50では、第４図および第５図
に示す散水蓋40と同様の作用効果を奏すとともに、円盤
形状の一部を切欠いた十字形状を有しているので、バス
ケツト29に載置して使用した場合、切欠きに相当する部
分からバスケツト29の内部を観察することができて、注
湯の調整を行ないやすく、バスケツト29からの湯のあふ
れなどを起さないように注湯することができる。

なお本実施例における散水蓋50は、平面形状が円形を
４箇所で切欠いたほぼ十字形を有しているが、その切欠
きの形状や数は必要に応じて任意に決めればよい。

発明の効果 以上のように本発明のコーヒーなどの抽出器において
は、ほぼ平盤状で、一方の面に設けた第１の凹部とこの
凹部の底部に設けた複数個の第１の貫通孔とからなる第
１の散水部、他方の面に設けた第２の凹部とこの凹部の
底部に前記第１の貫通孔より広い範囲に分布して設けた
複数個の第２の貫通孔とからなる第２の散水部を有する
散水蓋と、ほぼ逆円錐台筒状で底部に滴下孔を設け、前
記散水蓋を載置するバスケツトと、このバスケツトを載
置する抽出液容器とを備えており、特に前記散水蓋で
は、バスケツトの形状、大きさや、コーヒー粉などの被
抽出物の量に違いがあつても、第１の散水部と第２の散
水部とを使い分けて、バスケツト内の被抽出物の上に熱
湯を一様に注ぐことができ、効率の良い抽出を行なうこ
とができるとともに、第１の散水部または第２の散水部
に一度滞留させることにより、被抽出物への注湯の勢を
弱め、静かに注ぐことができて清澄なコーヒーなどの抽
出液を得ることができる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本発明の一実施例におけるコーヒーなどの抽出
器を示す斜視図、第２図は同コーヒーなどの抽出器の散
水蓋の断面図、第３図は同散水蓋の平面図、第４図は本
発明の他の実施例におけるコーヒーなどの抽出器の散水
蓋の断面図、第５図は同散水蓋の平面図、第６図は本発
明のさらに他の実施例におけるコーヒーなどの抽出器の
散水蓋の断面図、第７図は同散水蓋の平面図、第８図は
従来のコーヒーなどの抽出器の断面図である。 20,40,50……散水蓋、21,41,51……第１の凹部、21a,41
a,51a……底部、22,42,52……第１の貫通孔、23,43,53
……第１の散水部、24,44,54……第２の凹部、24a,44a,
54a……底部、25,45,55……第２の貫通孔、26,46,56…
…第２の散水部、29……バスケツト、31……滴下孔、35
……抽出液容器。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 前田 満興 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 前川 馨 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭57−99526（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】散水蓋と、底部に滴下孔を設けて散水蓋を
   載置するバスケットと、このバスケットを載置する抽出
   液容器とから成り、前記散水蓋は、第１の散水部および
   第２の散水部を備え、第１の散水部は、散水蓋の一方の
   面の中央側に配置した第１の凹部およびこの第１の凹部
   の底部に形成した複数個の第１の貫通孔からなり、第２
   の散水部は、散水蓋の他方の面に第１の凹部とは逆方向
   でかつ第１の散水部に対してその周囲に設けた環状の第
   ２の凹部およびその底部に分散して配置した複数個の第
   ２の貫通孔からなり、第２の凹部の周囲に環状の平板部
   が形成され、この平板部に、散水蓋の両面側に突出して
   バスケットの上端部を包囲する位置決めリブが形成され
   たことを特徴とするコーヒーなどの抽出器。